特許第6646739号(P6646739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646739
(24)【登録日】2020年1月15日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20200203BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-514633(P2018-514633)
(86)(22)【出願日】2017年4月25日
(86)【国際出願番号】JP2017016418
(87)【国際公開番号】WO2017188268
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2018年10月24日
(31)【優先権主張番号】特願2016-89221(P2016-89221)
(32)【優先日】2016年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 文洋
(72)【発明者】
【氏名】奥塚 元
(72)【発明者】
【氏名】野村 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】永野 雅春
【審査官】 東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/080665(WO,A1)
【文献】 特開平9−126617(JP,A)
【文献】 特開2015−6077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00−7/98
B60L 9/18
B60L 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と負荷との間で電力を変換して供給する電力変換装置であって、
前記蓄電装置の直流電力と前記負荷に供給する交流電力とを変換するパワーモジュールと、
前記蓄電装置の直流電圧を変換するDC/DCコンバータと、
外部コネクタを介して供給される交流電力を直流電力に変換して前記蓄電装置に充電させる充電装置と、
前記パワーモジュール、前記DC/DCコンバータ及び前記充電装置に接続され、電圧を平滑化するコンデンサを有するコンデンサモジュールと、
前記パワーモジュールと、前記DC/DCコンバータと、前記充電装置と、前記コンデンサモジュールとを収装し、冷却面を有するケースと、
を備え、
前記ケース内で、前記コンデンサモジュールの周囲に、前記パワーモジュール、前記充電装置及び前記DC/DCコンバータが配置されると共に、前記パワーモジュールと前記充電装置との間に前記DC/DCコンバータが配置され、
前記コンデンサモジュールは、前記冷却面上に載置される
電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記コンデンサモジュールは、薄板状に形成されると共に前記冷却面上に載置され、
前記パワーモジュール、前記DC/DCコンバータ及び前記充電装置は、前記コンデンサモジュールの上方側に載置される
電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記コンデンサモジュールは、平面視で前記冷却面と略同一の面積に形成される
電力変換装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記コンデンサモジュールは、薄板状に形成されると共に前記冷却面上に載置され、前記パワーモジュール、前記DC/DCコンバータ及び前記充電装置の少なくとも一つに対応する位置の一部に開口部を有し、
前記パワーモジュール、前記DC/DCコンバータ及び前記充電装置は、前記コンデンサモジュールの上方側に載置され、
前記パワーモジュール、前記DC/DCコンバータ及び前記充電装置の少なくとも一つは、前記冷却面に接触する伝熱部を有し、
前記伝熱部は、前記コンデンサモジュールの前記開口部を介して前記冷却面と接触する
電力変換装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の電力変換装置であって、
前記コンデンサモジュールは、前記パワーモジュール、前記DC/DCコンバータ及び前記充電装置の少なくとも一つに電気的に接続するバスバーが、上方側に突設する
電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動自動車やハイブリッド自動車等に搭載される電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動自動車やハイブリッド自動車等に搭載される電力変換装置は、パワーモジュールや各種電子機器が備えられ、各部品の配置により筐体が大型化してしまうという問題があった。
【0003】
このような問題に対して、JP2013−209078Aには、収納ケース内の車両前方方向に高電圧部品を配列すると共に車両後方方向に低電圧部品を配列するようにした電気ユニット(特許文献1参照)が開示されている。
【発明の概要】
【0004】
JP2013−209078Aに記載の従来の技術は、衝撃入力が加えられたときに、低電圧部品が高電圧部品に対する緩衝材として機能することで、ユニットを大型化することなく、衝撃入力時に高電圧部品が露出しないようにできるものである。
【0005】
一方で、JP2013−209078Aに記載の従来の技術では、電力の配線における損失については考慮されていなかった。特に、パワー素子やコンデンサ等を接続する配線の経路が長くなると、経路の抵抗値やインダクタンスが上昇し、電力損失が増加するという問題がある。また、配線の経路が長くなると、配線が他の信号線等からのノイズを拾いやすくなり、電気ノイズが増加するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、電力損失や電気ノイズを低減すると共に、装置を小型化できる電力変換装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明のある実施態様によると、蓄電装置と負荷との間で電力を変換して供給する電力変換装置であって、蓄電装置の直流電力と負荷に供給する交流電力とを変換するパワーモジュールと、蓄電装置の直流電圧を変換するDC/DCコンバータと、外部コネクタを介して供給される交流電力を直流電力に変換して蓄電装置に充電させる充電装置と、パワーモジュール、DC/DCコンバータ及び充電装置に接続され、電圧を平滑化するコンデンサを有するコンデンサモジュールと、パワーモジュールと、DC/DCコンバータと、充電装置と、コンデンサモジュールとを収装し、冷却面を有するケースと、を備え、ケース内で、コンデンサモジュールの周囲に、パワーモジュール、充電装置及びDC/DCコンバータが配置されると共に、パワーモジュールと充電装置との間にDC/DCコンバータが配置され、コンデンサモジュールは、冷却面上に載置される。
【0008】
本発明によると、ケース内において、コンデンサモジュールの周囲に、パワーモジュール、充電装置及びDC/DCコンバータが配置され、コンデンサモジュールとDC/DCコンバータと積層されて配置されると共に、冷却面側に載置されるので、コンデンサモジュールと、パワーモジュール、充電装置及びDC/DCコンバータとの間の電力配線の距離を短くすることができる。これにより、直流電力の経路での抵抗やインダクタンスを小さくでき、ノイズを拾いにくくできるので、電力損失や電気ノイズを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態の電力変換装置の機能ブロック図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態の電力変換装置の上面図である。
図3A図3Aは、本発明の第1実施形態の電力変換装置の側面図である。
図3B図3Bは、本発明の第1実施形態の電力変換装置の斜視図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態の電力変換装置の側面図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態のコンデンサモジュールの説明図である。
図6図6は、本発明の第2実施形態のコンデンサモジュールの他の構成例を示す説明図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態の他の構成例のコンデンサモジュールを適用した電力変換装置の断面図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態のコンデンサモジュールの構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態の電力変換装置1の機能ブロック図である。
【0012】
電力変換装置1は、電動車両又はプラグインハイブリッド車両に備えられ、蓄電装置(バッテリ)5の電力を回転電機(モータジェネレータ)6の駆動に適した電力に変換する。負荷としてのモータジェネレータ6は、電力変換装置1から供給される電力により駆動され、車両が駆動される。
【0013】
電力変換装置1は、モータジェネレータ6の回生電力を直流電力に変換して、バッテリ5を充電する。また、電力変換装置1は、車両に備えられた急速充電用のコネクタ又は普通充電用のコネクタから電力が供給されることで、バッテリ5を充電する。
【0014】
バッテリ5は、例えばリチウムイオン二次電池で構成される。バッテリ5は、電力変換装置1に直流電力を供給し、電力変換装置1から供給される直流電力により充電される。バッテリ5の電圧は例えば240V〜400Vの間で変動し、それよりも高い電圧が入力されることで、バッテリ5が、充電される。
【0015】
モータジェネレータ6は、例えば永久磁石同期電動機として構成される。モータジェネレータ6は、電力変換装置1から供給される交流電力により駆動されて、車両を駆動する。車両が減速するときは、モータジェネレータ6が回生電力を発生する。
【0016】
電力変換装置1は、ケース2内に、コンデンサモジュール10、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30、充電装置40、充電・DC/DCコントローラ50及びインバータコントローラ70を備える。これら各部は、バスバー又は配線により電気的に接続される。
【0017】
コンデンサモジュール10は、複数のコンデンサ素子により構成される。コンデンサモジュール10は、電圧を平滑化することで、ノイズの除去や電圧変動の抑制を行なう。コンデンサモジュール10は、第1バスバー11と、第2バスバー12と、電力配線13とを備える。第1バスバー11は、三極交流のそれぞれの極に対応する一組のバスバーを含み、6個のバスバーから構成される。第2バスバーは、直流の正極及び負極それぞれに対応する二つのバスバーから構成される。
【0018】
第1バスバー11は、パワーモジュール20に接続される。第2バスバー12は、DC/DCコンバータ30、リレー61、バッテリ5及び電動コンプレッサ(図示せず)に接続される。電力配線13は、可撓性を有するケーブル(例えばリッツ線)により構成され、充電装置40に接続される。第1バスバー11と、第2バスバー12と、電力配線13とは、コンデンサモジュール10の内部で正極と負極とを共用する。
【0019】
パワーモジュール20は、複数のパワー素子(図示せず)をON/OFFすることにより直流電力と交流電力とを相互に変換する。複数のパワー素子は、パワーモジュール20に備えられるドライバ基板21によりON/OFFが制御される。
【0020】
パワーモジュール20は、コンデンサモジュール10の第1バスバー11に接続される。第1バスバー11は、正極及び負極からなる3組のバスバーからなる。パワーモジュール20は、U相、V相、W相からなる3相の出力バスバー24を備える。出力バスバー24は、電流センサ22に接続される。電流センサ22は、モータジェネレータ6側に三相の交流電力を出力するモータ側バスバー25を備える。
【0021】
インバータコントローラ70は、車両のコントローラ(図示せず)からの指示及び電流センサ22からのU相、V相、W相の電流の検出結果に基づいて、パワーモジュール20を動作させる信号をドライバ基板21に出力する。ドライバ基板21は、インバータコントローラ70からの信号に基づいて、パワーモジュール20を制御する。インバータコントローラ70、ドライバ基板21、パワーモジュール20及びコンデンサモジュール10により、直流電力と交流電力とを相互に変換するインバータモジュールが構成される。
【0022】
DC/DCコンバータ30は、バッテリ5から供給される直流電力の電圧を変換して、他の機器へと供給する。DC/DCコンバータ30は、バッテリ5の直流電力(例えば400V)を12Vの直流電力に降圧する。降圧された直流電力は、車両に備えられるコントローラや照明、ファン等の電源として供給される。DC/DCコンバータ30は、第2バスバー12を介してコンデンサモジュール10及びバッテリ5に接続される。
【0023】
充電装置40は、車両に備えられる充電用の外部コネクタから普通充電コネクタ81を介して供給される商用電源(例えば交流200V)を直流電力(例えば500V)に変換する。充電装置40により変換された直流電力は、電力配線13からコンデンサモジュール10を介してバッテリ5に供給される。これによりバッテリ5が充電される。
【0024】
充電・DC/DCコントローラ50は、電力変換装置1によるモータジェネレータ6の駆動及びバッテリ5の充電を制御する。具体的には、充電・DC/DCコントローラ50は、車両のコントローラからの指示に基づいて、充電装置40による普通充電コネクタ81を介したバッテリ5の充電、急速充電コネクタ63を介したバッテリ5の充電及びモータジェネレータ6の駆動、DC/DCコンバータ30による降圧を制御する。
【0025】
リレーコントローラ60は、充電・DC/DCコントローラ50の制御により、リレー61の断続を制御する。リレー61は、正側リレー61a及び負側リレー61bにより構成される。リレー61は、充電用の外部コネクタから急速充電コネクタ63を介して接続された場合に通電し、急速充電コネクタ63から供給される直流電力(例えば500V)を第2バスバー12へと供給する。供給された直流電力によりバッテリ5が充電される。
【0026】
図2図3A及び図3Bは、本発明の第1実施形態の電力変換装置1の構成ブロック図である。図2は電力変換装置1の上面図であり、図3Aは、電力変換装置1の側面図であり、図3Bは、電力変換装置1の斜視図である。
【0027】
ケース2の内部では、コンデンサモジュール10の周囲に、コンデンサモジュール10に隣接して、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40が配置される。
【0028】
より具体的には、コンデンサモジュール10は、ケース2の内部において、パワーモジュール20と充電装置40との間で、これらパワーモジュール20と充電装置40とに隣接して配置される。コンデンサモジュール10はDC/DCコンバータ30に直接対向して配置され、コンデンサモジュール10の上方側にDC/DCコンバータ30が積層して配置される。充電装置40は充電・DC/DCコントローラ50に直接対向して配置され、充電・DC/DCコントローラ50の下方側に充電装置40が積層して配置される。また、図3Bに示すように、コンデンサモジュール10とパワーモジュール20とは、第1バスバー11により直接接続する。すなわち、コンデンサモジュール10から延設される第1バスバー11が、パワーモジュール20の端子へとネジ止めされることにより、コンデンサモジュール10とパワーモジュール20とが直接接続する。
【0029】
コンデンサモジュール10の一方の側面には、U相、V相、W相からなる3相の第1バスバー11が突出する。第1バスバー11には、パワーモジュール20が直接螺合等により接続される。パワーモジュール20において、第1バスバー11とは逆側に、U相、V相、W相からなる3相の出力バスバー24が突出する。
【0030】
出力バスバー24には、電流センサ22が直接螺合等により接続される。電流センサ22の下方側(図3A参照)には、モータ側バスバー25が突出する。モータ側バスバー25は、パワーモジュール20の出力バスバー24のU相、V相、W相それぞれに直接接続され、3相の交流電力を出力する。モータ側バスバー25は、ケース2から露出して構成され、ハーネス等によりモータジェネレータ6に接続される。
【0031】
パワーモジュール20の上面にはドライバ基板21が積層される。ドライバ基板21の上方側には、インバータコントローラ70とリレーコントローラ60とが積層して配置される。
【0032】
コンデンサモジュール10の底面側には、第2バスバー12が突出する。第2バスバー12は、コンデンサモジュール10の上方側に積層して配置されるDC/DCコンバータ30に直接螺合により接続される。第2バスバー12は、正側リレー61a及び負側リレー61bへと接続される(図1参照)。
【0033】
第2バスバー12は、バッテリ5が接続されるバッテリ側コネクタ51と、電動コンプレッサが接続されるコンプレッサ側コネクタ52とに、バスバー14を介して接続される。
【0034】
DC/DCコンバータ30は、バスバー31を介して車両側コネクタ82に接続される。車両側コネクタ82は、DC/DCコンバータ30が出力する直流電源を車両の各部に供給するハーネス等が接続される。
【0035】
コンデンサモジュール10の第1バスバー11とは反対の側には、電力配線13が突出する。電力配線13は、可撓性を有する柔軟なケーブルであり、充電装置40に接続される。充電装置40は普通充電コネクタ81にバスバー41を介して接続される。
【0036】
信号線コネクタ65は、電力変換装置1のDC/DCコンバータ30、充電装置40、充電・DC/DCコントローラ50及びインバータコントローラ70に接続される信号線を、ケース2の外部との間で接続する。
【0037】
信号線コネクタ65から充電・DC/DCコントローラ50へと信号線55が接続される。信号線55は、充電・DC/DCコントローラ50からリレーコントローラ60に至る信号線62と同梱されて、DC/DCコンバータ30の上面を通過して充電・DC/DCコントローラ50のコネクタ56に接続される。DC/DCコンバータ30の上面には信号線55及び信号線62を支持するガイド部58が形成される。
【0038】
ケース2は、上ケース2aと下ケース2bとにより構成される。下ケース2bには冷却水流路4が形成されている。冷却水流路4には冷却水が流通するように構成されており、冷却水流路4の直上に載置されるパワーモジュール20、コンデンサモジュール10及び充電装置40を冷却する。
【0039】
以上のように、本発明の第1実施形態では、蓄電装置(バッテリ5)と負荷(モータジェネレータ6)との間で電力を変換して供給する電力変換装置1であって、バッテリ5の直流電力とモータジェネレータ6に供給する交流電力とを変換するパワーモジュール20と、バッテリ5の直流電圧を変換するDC/DCコンバータ30と、外部コネクタ(普通充電コネクタ81)を介して供給される電力によりバッテリ5を充電させる充電装置40と、電圧を平滑化するコンデンサを有するコンデンサモジュール10と、パワーモジュール20と、DC/DCコンバータ30と、充電装置40と、コンデンサモジュール10とを収装するケース2と、を備え、ケース2内で、コンデンサモジュール10の周囲に、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40が配置される。
【0040】
このように構成することで、ケース2内でコンデンサモジュール10と、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40との距離を短くできるので、直流電力の経路での抵抗(R)やインダクタンス(L)を小さくすることができ、電力損失や電気ノイズを低減できる。さらに、ケース2内でコンデンサモジュール10と、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40との距離を短くできるので、電力変換装置1を小型化することができる。
【0041】
また、本発明の第1実施形態の電力変換装置1では、コンデンサモジュール10がパワーモジュール20と充電装置40との間に配置される。すなわち、コンデンサモジュール10を、発熱量が多いパワーモジュール20と充電装置40との間に配置したので、パワーモジュール20と充電装置40とで互いに熱による影響を与えることを抑制できる。特に、パワーモジュール20の動作(モータジェネレータ6の力行、回生)と、充電装置40の動作(普通充電コネクタ81からの電力によるバッテリ5の充電)とは同時に実行されることがないので、これらの間での熱による影響を排除することができる。
【0042】
より具体的には、次のような状況を想定する。すなわち、充電設備のある車庫や駐車場等において車両が充電設備から充電コネクタを介して充電されている場合は、充電装置40が動作してバッテリ5を充電することにより、充電装置40が発熱する。その後、車両を走行する場合は、パワーモジュール20が動作してバッテリ5の電力を用いてモータジェネレータ6を駆動することにより、パワーモジュールが発熱する。このような状況において、充電装置40とパワーモジュール20とが隣接して配置されている場合には、既に発熱している充電装置40と走行により発熱するパワーモジュール20との間で互いに熱による影響を受け合う。これに対して、本発明の第1実施形態では、平面視において、充電装置40とパワーモジュール20との間に、コンデンサモジュール10を配置したことにより、これらの間で熱による影響を排除することができる。コンデンサモジュール10は、複数のコンデンサ素子により構成される。コンデンサ素子は、例えば積層された金属及び樹脂のフィルムを巻回して構成されるので、体積当たりの熱的容量が大きい。このような構成により、隣接するパワーモジュール20又は充電装置40の熱が上昇したとしても、コンデンサモジュール10の熱的容量が大きいためにその熱を受け止め、他方へとその熱が伝達することを抑制する。
【0043】
また、本発明の第1実施形態では、DC/DCコンバータ30は、前記コンデンサモジュール10と積層して配置されるので、ケース2内でコンデンサモジュール10とDC/DCコンバータ30とが積層方向に隣接して配置され、電力変換装置1を小型化することができる。
【0044】
また、本発明の第1実施形態の電力変換装置1では、コンデンサモジュール10は、第1バスバー11、第2バスバー12及び電力配線13を備え、第1の端子がパワーモジュール20に接続され、第2の端子がDC/DCコンバータ30に接続され、第3の端子が充電装置40に接続される。このような構成により、ケース2内でコンデンサモジュール10と、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40との電力経路を短くできるので、直流電力の経路での抵抗(R)やインダクタンス(L)を小さくすることができ、電力損失や電気ノイズを低減できると共に、電力変換装置1を小型化することができる。
【0045】
また、本発明の第1実施形態の電力変換装置1は、第1の端子及び第2の端子は、第1バスバー11、第2バスバー12であり、第3の端子は、可撓性を有するケーブル(電力配線13)である。このような構成により、特に第3の端子を接続する経路を自由にできるので、ケース2に内での各部の配置の自由度が増し、電力変換装置1を小型化することができる。
【0046】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0047】
図4は、本発明の第2実施形態の電力変換装置1の側面図である。
【0048】
第1実施形態では、コンデンサモジュール10がパワーモジュール20と充電装置40との間に配置され、コンデンサモジュール10の上方側にDC/DCコンバータ30が積層して配置される構成であった。
【0049】
これに対して、第2実施形態では、コンデンサモジュール10がケース2の冷却面上に載置され、その上方側に、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40が載置される構成とした。
【0050】
図4に示すように、下ケース2bには冷却水流路4が形成される。下ケース2bには、冷却水流路4の上方側であって下ケース2bの内面の上側(以下、「冷却面4a」と呼ぶ)のおよそ全面、すなわち冷却面4aと平面視で略同一の面積に形成された薄板状のコンデンサモジュール10が載置される。
【0051】
コンデンサモジュール10の上方側には、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40が載置されている。DC/DCコンバータ30は、パワーモジュール20と充電装置40との間に配置される。
【0052】
コンデンサモジュール10を構成するコンデンサ素子は、例えば、金属薄膜と誘電体薄膜とが積層されて構成される。コンデンサモジュール10の静電容量は積層された薄膜の面積に対応する。そこで、薄膜の形状や積層形状を変更することで、形状の自由度を高められる。本実施形態では、立方体形状のコンデンサモジュール10の外形をできるだけ上下方向に薄く形成することで、必要な静電容量を確保しながら、コンデンサモジュール10を薄板状に形成した。
【0053】
一例として、コンデンサモジュールの10の形状を、図2における平面視で点Aと点Bとを対角とする矩形形状とした場合は、図2及び図3Aに示すコンデンサモジュール10と同容量であっても、上下方向に概ね1/3の薄さの形状とすることができる。
【0054】
本発明の第2実施形態のコンデンサモジュール10は、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40の下方側の略全面に配置され、コンデンサモジュールの10の上方側にバスバーが突設する。より具体的には、薄板状のコンデンサモジュール10の内部の全面に正極及び負極のバスバーを配置し、任意の場所から正極及び負極のバスバーを上方に立ち上げる構造とすることで、薄板状のコンデンサモジュールの上方の任意の場所にバスバーを配置することができる。
【0055】
このような構成により、コンデンサモジュール10の第1バスバー11、第2バスバー12及び第3バスバー23は、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40への接続のために最も近い場所に配置できる。従って、コンデンサモジュール10と、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40との間の電力経路を短くできるので、直流電力の経路での抵抗(R)やインダクタンス(L)を小さくすることができ、電力損失や電気ノイズを低減できると共に、電力変換装置1を、第1実施形態と比較して上下方向に小型化(薄型化)することができる。
【0056】
また、コンデンサモジュール10の任意の場所にバスバーを配置できるので、コンデンサモジュール10の上方側に配置する各部品の位置を自由に決定できる。コレにより、レイアウトの自由度が向上し、電力変換装置1のケース2内の各部品の配置の自由度が高められるので、電力変換装置1を小型化することができる。
【0057】
図5は、本発明の第2実施形態のコンデンサモジュール10を説明する斜視図である。
【0058】
コンデンサモジュール10は、第1バスバー11、第2バスバー12及び第3バスバー23を備える。第1バスバー11、第2バスバー12及び第3バスバー23は、コンデンサモジュール10の上方側に突設され、それぞれパワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40が載置される位置に対応して設けられる。
【0059】
第1バスバー11は、パワーモジュール20の入力端子に対応して、U相、V相、W相それぞれに正極と負極との組を有する6つのバスバーにより構成される。
【0060】
第2バスバー12は、DC/DCコンバータ30の入力端子に対応して正極と負極との組からなる2つのバスバーにより構成される。
【0061】
第3バスバー23は、充電装置40の入力端子に対応して正極と負極との組からなる2つのバスバーにより構成される。
【0062】
パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40は、コンデンサモジュール10の上面に載置されたときに、第1バスバー11、第2バスバー12及び第3バスバー23に電気的に接続される。
【0063】
以上のように、本発明の第2実施形態では、ケース2内において、下ケース2bの冷却面4aに、薄板状のコンデンサモジュール10を配置し、コンデンサモジュール10の上方側に、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40を載置する構成とした。
【0064】
このように、コンデンサモジュール10を薄板状に形成し、下ケース2bの冷却面4aの略全面に配置することにより、コンデンサモジュール10がケース2内で占める上下方向の体積が小さくなり、電力変換装置1を薄型化することができる。
【0065】
図6は、本発明の第2実施形態におけるコンデンサモジュール10の他の構成例を示す説明図であり、図7は、本発明の第2実施形態の他の構成例のコンデンサモジュールを適用した電力変換装置の断面図である。
【0066】
図4に示したように、下ケース2bの冷却面4aの略全面にわたってコンデンサモジュール10を配置した場合は、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40と冷却面4aとの間の熱抵抗が大きくなる。
【0067】
そこで、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40の冷却効率を高めるために、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40と冷却面4aとが直接接するように、コンデンサモジュール10に開口部を設けた。
【0068】
図6に示すように、開口部20aは、パワーモジュール20と冷却面4aとが直接接する位置に形成される。同様に、開口部30aは、DC/DCコンバータ30と冷却面4aが直接接する位置に形成され、開口部40aは、充電装置40と冷却面4aとが直接接する位置に形成される。
【0069】
図7に示すように、パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40は、開口部20a、30a及び40aに対応する位置に、例えば金属で形成される伝熱部を備える。パワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40に備えられる半導体素子やインダクタ等の発熱部品が、伝熱部を介して冷却面4aとで直接熱交換が行なわれる。
【0070】
前述のように、コンデンサモジュール10は、必要な静電容量を確保しつつ、その外形を様々に変更することが可能である。従って、図6に示すように、コンデンサモジュール10の上方側に載置されるパワーモジュール20、DC/DCコンバータ30及び充電装置40が冷却面4aに直接触れるような開口部を構成することで、放熱効率を高めることができ、電力変換装置1の効率を向上できる。
【0071】
図8は、本発明の第2実施形態におけるコンデンサモジュール10の他の構成例を示す説明図である。
【0072】
コンデンサモジュール10の静電容量は、金属薄膜及び誘電体薄膜の積層体の体積に依存する。そこで、コンデンサモジュール10に要求される静電容量を確保しつつ、さらに電力変換装置1を薄型化するために、コンデンサモジュール10の形状を図7に示すような箱形形状としてもよい。
【0073】
より具体的には、コンデンサモジュール10の冷却面4aに接する側を図5に示す形状よりもさらに薄型化し、その四辺側を上方側に立ち上げた箱形形状として、四辺側に立ち上げた空間をコンデンサ素子として活用することで、コンデンサモジュール10の冷却面4aに接する面を薄型化できるので、電力変換装置1をより薄型化することが可能となる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0075】
上記第1実施形態では、コンデンサモジュール10と充電装置40との間を可撓性を有するケーブル(電力配線13)により接続し、第2実施形態では、コンデンサモジュール10と充電装置40との間をバスバー(第3バスバー23)により接続したが、これに限られない。コンデンサモジュール10と充電装置40との間をバスバーにより接続してもよいし、コンデンサモジュール10と、パワーモジュール20又はDC/DCコンバータ30との間を可撓性を有するケーブルにより接続してもよい。
【0076】
本願は、2016年4月27日に日本国特許庁に出願された特願2016−089221に基づく優先権を主張する。この出願のすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8