特許第6646752号(P6646752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6646752低収縮かつ高強度である大型サイズのセラミックスプレート及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646752
(24)【登録日】2020年1月15日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】低収縮かつ高強度である大型サイズのセラミックスプレート及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 3/02 20060101AFI20200203BHJP
   C04B 35/628 20060101ALI20200203BHJP
   C04B 35/626 20060101ALI20200203BHJP
   C04B 35/16 20060101ALI20200203BHJP
   E04F 13/14 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   B28B3/02 S
   C04B35/628 470
   C04B35/626 950
   C04B35/16
   E04F13/14 103A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-538744(P2018-538744)
(86)(22)【出願日】2016年4月14日
(65)【公表番号】特表2019-509191(P2019-509191A)
(43)【公表日】2019年4月4日
(86)【国際出願番号】CN2016079299
(87)【国際公開番号】WO2017133080
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2018年7月24日
(31)【優先権主張番号】201610078095.8
(32)【優先日】2016年2月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515266393
【氏名又は名称】蒙娜麗莎集団股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 一軍
(72)【発明者】
【氏名】汪 慶剛
(72)【発明者】
【氏名】潘 利敏
(72)【発明者】
【氏名】楊 曉峰
(72)【発明者】
【氏名】謝 志軍
(72)【発明者】
【氏名】張 松竹
(72)【発明者】
【氏名】閻 振華
(72)【発明者】
【氏名】董 軍樂
(72)【発明者】
【氏名】趙 勇
(72)【発明者】
【氏名】楊 元東
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−229861(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105199148(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101724175(CN,A)
【文献】 特開2006−090020(JP,A)
【文献】 特開2015−091744(JP,A)
【文献】 特開平05−132375(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104743881(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 3/00 − 5/12
C04B 35/16
C04B 35/626
E04F 13/00 −13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)セラミックス原料粉体を製造する工程と、
(2)長さと直径の比が10〜18である針状ケイ灰石を、シランカップリング剤を用いて表面被覆処理を行い、フュームドシリカを用いて予備分散を行うことによって、予備処理された針状ケイ灰石を得る工程と、
(3)セラミックス原料粉体と予備処理された針状ケイ灰石とを十分に混合して、乾式造粒を用いて造粒し、乾式プレス成形、焼成を行うことによって、低収縮かつ高強度である大型サイズのセラミックスプレートを製造し、そのうち、前記予備処理された針状ケイ灰石の添加量は前記セラミックス原料粉体の10wt%〜30wt%である工程と、
を含む、ことを特徴とする低収縮かつ高強度である大型サイズのセラミックスプレートの製造方法。
【請求項2】
工程(1)において、セラミックス原料粉体の製造方法として、各セラミックス原料を乾燥した後、予備粉砕し、120メッシュの篩に掛け、篩下を、配合比例に沿って混合して粉末化加工を行い、250メッシュの篩下が<2%となるように取り扱うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
工程(2)は、針状ケイ灰石に表面改質装置にてシランカップリング剤を分散することによって改質剤被覆層を一つ形成してから、フュームドシリカと十分に混合させて予備分散を行うことを含み、シランカップリング剤の添加量が針状ケイ灰石の0.1〜0.8wt%であり、フュームドシリカの添加量が針状ケイ灰石の0.1〜0.5wt%であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記シランカップリング剤は、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランまたはメタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピルのうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
工程(3)において、前記乾式プレス成形の圧力が86000〜96000kNであり、成形仕様が(1150〜1300)mm× (2400〜2600)mm×(3〜6)mmであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
工程(3)において、焼成温度は1190〜1220℃であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミックスプレートの製造プロセスに関し、特に低収縮かつ高強度である大型サイズのセラミックスプレート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックスプレートは、原材料、エネルギー及び輸送コストを大きく節約するとともに、省スペース性があって建築構造にかかる荷重を低減できるという利点があるので、環境に優しい省エネルギー産業というような国の政策に適合するものとみなされる。従来、大型サイズのセラミックスプレートを大規模的に生産する方法として、乾式プレス成形と湿式押出成形の2つの方法がある。押出成形プロセスにおいて、素材については高含水率が要求されるが、乾燥中に生地に気孔やひびが発生しやすくなり、これらは焼成後の製品の品質と歩留まりを低下させる。これに比べて、乾式プレス成形技術の方は、技術がより成熟しており、製品の品質も歩留まりもより高い。
【0003】
セラミックスプレートの強度と靭性をさらに向上させるためには、長さと直径の比の大きい繊維を添加することができる。例えば、特許文献1には、セラミックスの原料に針状ケイ灰石と水を添加して、真空土練機で円筒状に押出してから、圧延成形を行うことにより、強度の高い大型プレート状のセラミックス焼結体を得る、大型プレート状のセラミックス焼結体の製造方法が開示されている。湿式押出プロセスを用いるため、針状ケイ灰石は押出方向に沿って一定方向に配列されやすくなるため、製品の抗折強度に異方性を招き、垂直押出方向から測定した製品強度は高く、その一方、平行押出方向から測定した製品強度は低い。
【0004】
乾式プレス成形においては、製粉を行うことが必要となり、湿式スプレー造粒プロセスを用いて製粉する方法は、設備の制限を受けるので、一定の程度の長さと直径の比を持つ繊維を噴出することができない。例えば、特許文献2には、原料の素材粒子を製造する際に、原料に針状ケイ灰石を添加し、スプレー乾燥造粒技術を用いる、酸化ケイ素セラミックス大型薄板の製造方法が開示されている。しかしながら、針状ケイ灰石は、スラリーの流速に大きな影響を与え、粉の噴出が難しい。また、長さと直径の比が大きいので篩に掛けて鉄を取り除くことが難しくなり、生地の白度に大きな影響を与える。従って、一定の程度の長さと直径の比を持つ繊維を含むセラミックスに対しては、乾式製粉技術を用いることが望ましい。しかしながら、乾式製粉技術を用いた場合は、繊維が均一に分散しにくいという問題が存在する。また、従来のセラミックスプレートの配合比例では、焼成収縮が高くなり(10%程)、サイズの不規則などの問題を招きやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第1191853号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第102173760号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記内容に鑑み、本発明が解決しょうとする技術的課題は、低収縮かつ高強度である大型サイズのセラミックスプレート及びその製造方法を提供することにある。すなわち、セラミックスプレートの強度を高めて、靭性をよくし、焼成収縮を低下させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、
(1)セラミックス原料粉体を製造する工程と、
(2)針状ケイ灰石を、シランカップリング剤を用いて表面被覆処理を行い、フュームドシリカ(fumed silica)を用いて予備分散を行うことによって、予備処理された針状ケイ灰石を得る工程と、
(3)セラミックス原料粉体と予備処理された針状ケイ灰石とを十分に混合して造粒し、乾式プレス成形、焼成を行うことによって、低収縮かつ高強度である大型サイズのセラミックスプレートを製造し、そのうち、前記予備処理された針状ケイ灰石の添加量は前記セラミックス原料粉体の10wt%〜30wt%である工程と、を含む、低収縮かつ高強度である大型サイズのセラミックスプレートの製造方法を提供している。
【0008】
本発明は、針状ケイ灰石の補強作用と低焼成収縮の特性を効果的に活用するものであり、大型サイズのセラミックスプレートの製造において針状ケイ灰石を導入することによってセラミックスプレートの強度を高めて、大型サイズのセラミックスプレートの焼成収縮率を低くして、低収縮かつ高強度である大型サイズのセラミックスプレートが得られる。また、乾式プレス成形によって、製品の品質と歩留まりを高くする。また、針状ケイ灰石を予備処理し、具体的に、シランカップリング剤を用いて表面改質処理を行い且つフュームドシリカを用いて予備分散を行い、表面改質は、粉体が集められやすくなって分散性が悪くなるという課題を解決し、フュームドシリカのぼくぼくした構造は、粉体の分散性をさらに高めて、針状ケイ灰石の分散にかかわる課題を解決することができ、製品の品質と歩留まりをさらに高めることができる。
【0009】
工程(1)において、セラミックス原料の配合比例は、水洗泥が8〜20%、混合泥が4〜16%、カリウム砂が12〜20%、中温砂(medium-temperature-treated sand)が24〜30%、 1#ナトリウム砂が6〜12%、2#ナトリウム砂が16〜22%、黒滑石が1〜2%であることが好ましい。
【0010】
工程(1)において、セラミックス原料粉体の製造方法として、各セラミックス原料を乾燥した後、予備粉砕し、120メッシュの篩に掛け、篩下を、配合比例に沿って混合して粉末化加工を行い、250メッシュの篩下が<2%となるように取り扱うことが好ましい。本発明によれば、乾式造粒プロセスを用いて併せて造粒を行うことにより、セラミック原料粉体は、針状ケイ灰石とより均一に混合することができる。
【0011】
前記針状ケイ灰石の長さと直径の比は10〜18であることが好ましい。長さと直径の比の10〜18である針状ケイ灰石を用いたため、針状ケイ灰石の分散に有利になり、かつセラミックスプレートの強度を増加させることができる。
【0012】
工程(2)は、針状ケイ灰石に対して表面改質装置にてシランカップリング剤(添加量0.1〜0.8%)を散布することによって改質剤被覆層を一つ形成してから、フュームドシリカ(添加量は0.1〜0.5%)と十分に混合させて予備分散を行うことを含むことが好ましい。
【0013】
前記シランカップリング剤は、KH550、KH560、KH570のうち少なくとも1つであることが好ましい。
【0014】
工程(3)において、前記造粒は乾式造粒で行うことが好ましい。乾式造粒を使用する場合は、設備の制限を受けなくてもよく、針状ケイ灰石を含む粉体を容易に製造することができる。
【0015】
工程(3)において、前記乾式プレス成形の圧力は86000〜96000KNであり、成形仕様が(1150〜1300)mm×(2400〜2600)mm×(3〜6)mmであることが好ましい。本発明によれば、大型サイズのセラミックス生地を製造することができる。
【0016】
焼成温度は、1190〜1220℃であることが好ましい。
【0017】
一方、本発明は上記の何れかの方法によって製造された、低収縮かつ高強度である大型サイズのセラミックスプレートを提供しており、前記セラミックスプレートの仕様は(1100〜1260)mm×(2200〜2500)mm×(3〜6)mmである。前記セラミックスプレートは磁器製品とビトリファイドタイル製品とを含み、その内、磁器製品の収縮率は5〜8%であり、抗折強度は55〜68MPaであり(58〜68MPaが好ましい)、吸水率は0.5%より小さく、リファイドタイル製品の収縮率は1〜5%であり、抗折強度は40〜55MPaであり、吸水率は0.5〜10%である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、強度が高く、靭性が優れ、焼成収縮率が低い大型サイズのセラミックスプレートを提供することができる。製品の焼成規則性を高めることができるとともに、材料消耗を低減させることもでき、さらにエネルギーを節約する作用を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態のプロセスフローチャートを示す。
図2】本発明の一例に係るセラミックス原料の化学成分表(表1)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を、図面と下記の実施形態を結び付けてさらに説明し、図面及び下記の実施形態は、本発明を説明するだけのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。別途指摘されていない限り、本発明に記載された含有量(添加量)の百分率はともに質量百分率を指す。
【0021】
本発明では、乾式プレス成形プロセスを用いて低収縮かつ高強度である大型サイズのセラミックスプレートを製造する。乾式プレス成形は、湿式押出成形よりも技術が成熟しており、製品の品質も歩留まりもよい。本発明では、セラミックスプレートの原料に針状ケイ灰石を添加することにより、セラミックスプレートの強度と靭性の更なる向上、焼成収縮率の低減、及びサイズの均一度の向上を図ることができる。なお、針状ケイ灰石を添加する前に、針状ケイ灰石に対して予備処理を行って、針状ケイ灰石の分散にかかわる問題を解決することができる。図1は、本発明における一実施形態のプロセスのフローチャートを示す。以下、本発明に係る低収縮かつ高強度である大型サイズセラミックスプレートの製造方法を、図1を参照しながら説明する。
【0022】
(セラミックス原料粉体の製造)
セラミックス原料について
本発明において、セラミックス原料は特に限定されず、例えば、通常のセラミックス原料を用いてもよい。使用される原料及びその化学成分の一例は、表1に示されたようなものである。
【0023】
セラミックス原料の配合比例は、
水洗泥を8〜20%、混合泥を 4〜16%、カリウム砂を12〜20%、中温砂を(medium-temperature-treated sand)24〜30%、 1#ナトリウム砂を6〜12%、2#ナトリウム砂を16〜22%、黒滑石を1〜2%にすることが好ましい。
【0024】
使用される原料を乾燥させる。水分が<4%となるように乾燥することが好ましい。乾燥した後、セラミックス原料の各々を予備粉砕装置を用いて予備粉砕し、120メッシュの篩に掛ける。篩上原料は続いて粉末化され、篩下原料は、配合比例に沿って予備混合して調製される。その後、併せて粉末化加工(粉砕して粉末にすること)を行い、250メッシュの篩下が<2%になるように制御される。粉体材料を混合してセラミックス原料粉体を得る。
【0025】
針状ケイ灰石
本発明では、針状ケイ灰石の長さと直径の比を10〜18とすることが好ましい。長さと直径の比を18より大きくすれば、分散が難しくなる。また長さと直径の比を10より小さくすれば、補強効果に影響を与える。また針状ケイ灰石の直径を10μm〜60μmとしてもよい。
【0026】
針状ケイ灰石への予備処理
本発明では、針状ケイ灰石に対して次のような予備処理を行っている。すなわち、シランカップリング剤を用いて表面被覆処理を行い、フュームドシリカを用いて予備分散を行う。シランカップリング剤は、針状ケイ灰石に対して表面改質を施すことができ、セラミックス原料との相容性を強めることができる。フュームドシリカは、針状ケイ灰石に対して予備分散を行うことができる。これにより、針状ケイ灰石は、分散性が大幅に改良されるので、セラミックス原料において均一に散在されることができる。シランカップリング剤として、KH550、KH560、KH570を含むが、KH550とすることが好ましい。予備処理の具体的な方法の一例として、針状ケイ灰石は、表面改質装置にてシランカップリング剤(添加量0.1〜0.8%)を散布することによって改質剤被覆層を一つ形成し、そしてフュームドシリカ(添加量は0.1〜0.5%)と十分に混合して予備分散を行う。これらの添加量の百分率は、ともに針状ケイ灰石に対するものである。
【0027】
予備処理された針状ケイ灰石と上述のセラミックス原料粉体とを十分に混合させることにより混合粉体が生成される。混合方法は例えばボールミーリングであってもよい。針状ケイ灰石の添加量は10%〜30%とすることが好ましい。その添加量を30%より大きくすれば、焼成温度が低下し、焼結範囲が小さくなり、焼成に不利となる。その添加量を10%より小さくすれば、収縮率が大きくなり、サイズの増大が小さくなり、上述の効果を発揮できない。針状ケイ灰石の添加量を15%〜20%とすることがより好ましい。
【0028】
その後、混合粉体を造粒する。湿式スプレー造粒プロセスを用いた製粉方法では、一定の程度の長さと直径の比を持つ繊維を噴出することができないため、本発明では、乾式造粒を使用することが好ましい。それに、針状ケイ灰石は、予備処理された後良好な分散性を有するため、乾式造粒に適する。造粒の具体的な方法の一例は、例えば、乾式浮遊状態造粒があり、ウオールタイル(Wall tile)やフロアタイル(floor tile)の原料には、粘土類原料、石英類及び長石類の原料が含まれている。セラミックス原料は、調製された後、新型のディスク型ミルにて粒径D 50= 11.3 μmの微粉になるまで乾式粉砕される。このとき、粉体の表面物理化学原理により、微粉粒子自体は、表面張力や分子間力の作用によって凝集現象が自発的に発生し、その上、原料に含まれる約25%の粘土類原料によって微粉自体の凝集能力がさらに増加する。微粉が浮遊造粒設備の混合直円筒に送入されたとき、風力の作用で均一に分散し、一定の粘性を有する霧化液滴と十分に接触及び粘着する。微粉は、霧化液滴又は大型顆粒微粉を粒子の核心とし、結晶核の近くの微粉材料が核心をぐるぐると包むことで大きな固体粒子となり、また霧化液滴は一定の粘性を有するので、より多くの微粉粒子を接着し、さらに凝集して形を形成する。初めて形を形成した粒子は、粒度が小さく、強度が低い。しかし、その後、特製のサイクロン筒に送入されて、筒の壁に沿って摩擦しながら転がり、摩擦や材料同士の衝突による作用力の作用によって、粒子はさらに凝集して、球形度が一層完璧になり、粉体の強度もその分向上し、粉体材料の球形状態の維持に有利である。造粒で形成された粒子の粒径は0.1〜1mmであっても良い。
【0029】
次に、上記の粒子に対して乾式プレス成形を行う。より一層乾式プレス成形に適するよう、乾式プレス成形の前に、粒子に対して更に乾燥、篩分、エイジング(aging、例えば、24時間)等の処理を行ってもよい。乾式プレス成形の圧力は、86000kN〜96000kN(キロニュートン)にしてもよい。成形仕様は、(1150〜1300)mm×(2400〜2600)mm×(3〜6)mmにしてもよい。
【0030】
次に、成形後の生地を焼成して、セラミックスプレートを製造する。一例において、焼成温度は1190〜1220℃であってもよい。焼成時間は50〜65分であってもよい。焼成した後、さらに模様装飾を施釉して釉焼を行ってもよい。或いは、生地に模様装飾を施釉した後、一度に焼成することもできる。なお、焼成する前に予め生地を乾燥しても良い。例えば、180〜210℃下で25〜35分間乾燥することができる。
【0031】
本発明において、焼成して得た製品は大型サイズのセラミックスプレートであり、その仕様は(1100〜1260)mm×(2200〜2500)mm×(3〜6)mmであってもよい。焼成して得たものを切断や縁加工して最終製品を取得してもよい。本発明は、針状ケイ灰石の焼成収縮が低いという特性を十分に活用しており、磁器製品の焼成収縮率は5〜8%である。また、針状ケイ灰石の補強作用により、本発明のセラミックスプレートの抗折強度は高く58〜68MPaに達する。且つ吸水率は0.5%より小さい。本発明のセラミックスプレートは、磁器タイル(porcelain tile)製品又はビトリファイドタイル(vitrified tile)製品であっても良い。磁器タイル製品は、収縮率が5〜8%であり、抗折強度が55〜68MPaであり、吸水率が0.5%より小さい。ビトリファイドタイル製品は、収縮率が1〜5%であり、抗折強度が40〜55MPaであり、吸水率が0.5%〜10%である。
【0032】
(実施例)
以下、実施例を通じて、本発明をさらに詳しく説明する。同様に、以下の実施例は、本発明をさらに説明するためのものであり、本発明の特許範囲を制限するものではなく、当業者が本発明の上記内容によりなされた非本質的な改良及び調整は、共に本発明の特許範囲に属する。下記例の具体的なプロセス変量も適合範囲内の一例にすぎない。即ち、当業者は、本願の説明により適合範囲内で選ぶことができ、下記例の具体的な数値に限定されない。
【0033】
下記実施例のテスト方法は以下の通りである。
【0034】
針状ケイ灰石の長さと直径の比の測定:偏光顕微鏡によって行う。
【0035】
焼成収縮率の測定:焼成する前に、タイル面の中心部位に互いに垂直する2つの直線を描き、ノギスを用いて直線の交差点から長さが10mmの線分を取り、焼成した後、該線分の長さを再び測定して、収縮率を算出する。
【0036】
抗折強度の測定:SKZデジタル抗折計によって行う。
【0037】
吸水率の測定:TXYデジタルセラミックス吸水率測定器によって行い、真空法によって建築用セラミックスの吸水率、見掛け気孔率、体積密度を測定することができる(真空度は、≧0.095MPaであって、調整可能であり、真空排気の時間は、0〜99分59秒間の範囲で連続的に調整可能であり、浸す時間は、0〜99分59秒間の範囲で連続的に調整可能であり、容積は、φ400x450mmであり、電源は〜220Vである。)。
【0038】
[実施例1]
セラミックス原料の配合比例は、水洗泥が15%、混合泥が10%、カリウム砂が16%、中温砂が28%、 1#ナトリウム砂が10%、2#ナトリウム砂が20%、黒滑石が1%であり、各原料の化学成分は上記表1に示されたとおりである。
【0039】
針状ケイ灰石は、長さと直径の比が15であり、直径が30μmであり、江西奥特精細粉体有限会社から購買し、その型番はAT-針状粉である。
【0040】
具体的なステップは以下のとおりである。
【0041】
1)用いられるセラミックス原料を乾燥し(水分が<4%となるように)、そして、セラミックス原料の各々を予備粉砕装置で予備粉砕し、120メッシュの篩に掛け、篩上原料は続いて粉末化し、篩下原料は配合比例に沿って予備混合して調製し、その後は併せて粉末化加工を行い、250メッシュの篩下が<2%となるように制御して、粉体を得た。
【0042】
2)針状ケイ灰石に対して、シランカップリング剤を用いて表面被覆処理を行い、0.4%のフュームドシリカを用いて予備分散を行う。具体的なステップとして、針状ケイ灰石は、表面改質装置にてシランカップリング剤(添加量は0.5%である)を分散することで改質剤被覆層を一つ形成することで凝集を低減し、そしてフュームドシリカ(添加量は0.4%である)と十分に混合して予備分散を行った。
【0043】
3)ステップ1)で得た粉体と、ステップ2)で得た予備処理後の針状ケイ灰石とを十分に混合し、予備処理された針状ケイ灰石の添加量は13%とした。その後、造粒を行い、造粒方法として、乾式浮遊状態造粒プロセスを用いた。
【0044】
4)粒子を24時間エイジングしてから、プレス機器に送入して成形を行い、プレス成形の圧力は90000kNとし、成形後の生地の仕様は1275mm×2550mm×5.9mmであった。
【0045】
5)生地を1210℃で55分間焼成して、セラミックスプレートを得た。製品の仕様は1180mm×2359mm×5.5mmであって、製品の収縮率は7.5%、抗折強度は60Mpa、吸水率は0.34%であった。
【0046】
[実施例2]
予備処理された針状ケイ灰石の添加量を22%にすることのみ実施例1と異なる。最終に得たセラミックスプレートの製品仕様は1204mm×2407mm×5.4mmであって、製品の収縮率は5.6%、抗折強度は65Mpa、吸水率は0.34%であった。
【0047】
[実施例3]
予備処理された針状ケイ灰石の添加量を28%にすることのみ実施例1と異なる。最終に得たセラミックスプレートの製品仕様は1210mm×2420mm×5.6mmであって、製品の収縮率は5.1%、抗折強度は66Mpa、吸水率は0.45%であった。
【0048】
[実施例4]
予備処理された針状ケイ灰石の添加量を11%にすることのみ実施例1と異なる。最終に得たセラミックスプレートの製品(ビトリファイドタイル製品)仕様は1223mm×2445mm×5.5mmであって、製品の収縮率は4.1%、抗折強度は42Mpa、吸水率は9%であった。
【0049】
[実施例5]
予備処理された針状ケイ灰石の添加量を27%にすることのみ実施例1と異なる。最終に得たセラミックスプレートの製品(ビトリファイドタイル製品)仕様は1250mm×2449mm×5.5mmであって、製品の収縮率は2%、抗折強度は47Mpa、吸水率は6%であった。
【0050】
[比較例1]
針状ケイ灰石を添加せず、上記セラミックス原料のみを用いること以外、実施例1と同様にセラミックスプレートを製造した。最終に得たセラミックスプレート製品の仕様は1141mm×2282mm×5.4mmであって、製品の収縮率は10.5%、抗折強度は48Mpa、吸水率は0.23%であった。
【0051】
[比較例2]
実施例1に比べて、針状ケイ灰石を添加したが、針状ケイ灰石に対して予備処理をせず、他のステップは実施例1と同じようにした。その結果、針状ケイ灰石の分散均一性が非常に悪くなって、凝集体の温度が高すぎ、局部で焼結度の不一致を招き、製品が脆弱な部分で破断が発生しやすく、物理化学性能が悪くなった。最終に得たセラミックスプレート製品の仕様は1173mm×2346mm×5.5mmであって、製品の収縮率は8%で、抗折強度は48Mpaで、吸水率は0.6%であった。
図1
図2