(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0015】
図1には、本発明に係る車椅子12が示されている。
図1において矢印Xは前後方向前向きを示し、矢印Yは左右方向左向きを示し、矢印Zは上下方向上向きを示している。この車椅子12は、左右一対のベースフレーム14、クロスメンバー対16、左右一対の後座フレーム18、背フレーム20、左右一対のアームレスト22、左右一対の回動装置23、左右一対の前輪24及び左右一対の後輪26を備えている。この車椅子12は、略左右対称にされている。
【0016】
この左右一対のベースフレーム14は、それぞれ、上側パイプ28、前側パイプ30及び下側パイプ32を備えている。上側パイプ28の前部28aは前後方向に延びている。上側パイプ28の後部28bは、前から後に向かって上から下向きに傾斜して延びている。上側パイプ28は、この前部28aと後部28bの間で屈曲している。前側パイプ30は、上下方向に延びている。前側パイプ30の上端は前部28aに固定されている。下側パイプ32は、前後方向に延びている。下側パイプ32の前端は、前側パイプ30の下部に固定されている。下側パイプ32の後端は、上側パイプ28の後部28bに固定されている。上側パイプ28、前側パイプ30及び下側パイプ32が一体とされて、ベースフレーム14が形成されている。
【0017】
クロスメンバー対16は、クロスメンバー34及び36からなる。クロスメンバー34は、その上端部に前座パイプ38を備えている。前座パイプ38は、左の上側パイプ28の前部28aに沿って前後方向に延びている。前座パイプ38は、この上側パイプ28に着脱可能に支持されている。クロスメンバー34の下端部は、右ベースフレーム14の下側パイプ32に沿って前後方向に延びている。クロスメンバー34の下端部は、この下側パイプ32に回動可能に支持されている。クロスメンバー34の中間部は、この下端部から前座パイプ38まで延びて連結している。この前座パイプ38と下端部と中間部とは一体にされている。
【0018】
クロスメンバー36は、その上端部に前座パイプ40を備えている。前座パイプ40は、右の上側パイプ28の前部28aに沿って前後方向に延びている。前座パイプ40は、この上側パイプ28に着脱可能に支持されている。クロスメンバー36の下端部は、左ベースフレーム14の下側パイプ32に沿って前後方向に延びている。クロスメンバー36の下端部は、この下側パイプ32に回動可能に支持されている。クロスメンバー36の中間部は、この下端部から前座パイプ40まで延びて連結している。この前座パイプ38と下端部と中間部とは一体にされている。
【0019】
クロスメンバー34の中間部とクロスメンバー36の中間部とは、長手方向中央部で、互いに回動可能に連結されている。このクロスメンバー34とクロスメンバー36とが互いに回動して、左右ベースフレーム14の間隔が変更可能にされている。このクロスメンバー対16を備えることで、左右ベースフレーム14の間隔が狭められて折り畳み可能にされている。
【0020】
左右一対の後座フレーム18は、それぞれ前後方向を長手方向に延びている。後座フレーム18の前端は、上側パイプ28の後部28bの上端部に回動可能に連結されている。後座フレーム18は、左右方向を回動軸にして可能可能にされている。後座フレーム18の前端を回動中心にして、その後端が回動可能にされている。
【0021】
背フレーム20は、左右一対の縦パイプ42と、左右一対のハンドル44とを備えている。左右一対の縦パイプ42は、それぞれ後座フレーム18の後端から上方に向かって延びている。縦パイプ42は、後座フレーム18と一体にされている。ハンドル44は、縦パイプ42の上部から後方に延びている。
【0022】
左右一対のアームレスト22は、ガイドパネル46、アームフレーム48、肘載せ50及び回動固定装置52を備えている。アームフレーム48は、肘載せ50と後座フレーム18との間に位置している。
【0023】
図2に示される様に、アームフレーム48は、前後方向に延びる上フレーム48a及び下フレーム48bと、上フレーム48aの前端と下フレーム48bの前端とを連結する前フレーム48cと、上フレーム48aの後端と下フレーム48bの後端とを連結する後フレーム48dとからなっている。この後フレーム48dには、ボス48eが形成されている。
【0024】
回動固定装置52は、ロックピン54と、頭部56と、弾性体としてのバネ58とを備えている。ロックピン54は、アームフレーム48の下フレーム48bに左右方向に摺動可能に取り付けられている。図示されないが、後座フレーム18には、ロックピン54の先端が係合する孔などの凹部が形成されている。頭部56は、ロックピン54の後端に取り付けられている。バネ58は、アームフレーム48に対して、ロックピン54を後端から先端に向かって付勢している。
【0025】
回動装置23は、ダンパー60、回動ピン62及び軸受64を備えている。回動ピン62の外端部は、アームフレーム48のボス48eに挿入されて固定されている。この回動ピン62は、アームフレーム48と一体にされている。軸受64は、背フレーム20に取り付けられている。軸受64は、回動ピン62をその軸線を回転軸にして回転可能に支持している。これにより、アームフレーム48は、背フレーム20に対して回動可能にされている。
【0026】
図3に示される様に、ダンパー60は、ケース66とローター68と流体シールとしてのOリング70とを備えている。ローター68は、円柱形状の本体72と本体72の外周面から半径方向外向きに伸びる鍔74とを備えている。鍔74は、本体72の外周面を一周している。鍔74には、周方向に延びる凹部と凸部とが形成されている。本体72には、軸孔76が形成されている。軸孔76は、本体72の軸線に沿って延びており、本体72を貫通している。
【0027】
ケース66は、ローター68の鍔74が収納されている。鍔74は、ケース66に対して、ローター68の軸線を回転軸に回転可能に収容されている。鍔74の表面74aは、ケース66の内壁面66aと、隙間78を空けて対向している。この表面74aは、ローター対向面として機能する。この内壁面66aは、ケース対向面として機能する。この内壁面66aは、鍔74の表面74aに沿って形成されている。この壁面66aと表面74aとの間隔は、略一定の大きさにされている。この隙間78には、流体としてのオイルが封入されている。Oリング70が、このオイルを隙間78に封入している。
【0028】
図2に示されるように、ダンパー60のケース66は、背フレーム20に取り付けられて固定される。このローター68の軸孔76に、回動ピン62の内端部が挿入されて固定されている。回動ピン62は、ローター68と一体にされている。
【0029】
図1に示されるように、ガイドパネル46は、アームフレーム48に取り付けられている。ガイドパネル46は、例えば板状の樹脂からなる。ガイドパネル46は、前座パイプ38(40)、後座フレーム18及び背フレーム20と、後輪26との間を仕切っている。前座パイプ38及び後座フレーム18の左右の縁で、車椅子12の内側と外側とを隙間なく仕切っている。肘載せ50は、前後方向を長手方向に延びている。肘載せ50は、後座フレーム18と平行に延びている。
【0030】
前輪24は、ベースフレーム14の前側パイプ30の下方に取り付けられている。前輪24は、例えば、所謂キャスターが用いられる。前輪24は、上下方向を回転軸にして回転可能に取り付けられている。後輪26は、上側パイプ28の後部28bに取り付けられている。この前輪24と後輪26とが地面に接地して転がることで、車椅子12は走行する。
【0031】
クロスメンバー対16の前座パイプ38と前座パイプ40とには、前座布80が架け渡されている。一対の後座フレーム18には、後座布82が架け渡されている。背フレーム20の一対の縦パイプ42には、背布84が架け渡されている。前座布80は、着座した使用者の大腿部を支持する。この前座パイプ38及び前座パイプ40は、本発明の前座フレームである。前座布80は、前座フレームの前座面86である。後座布82は、使用者の臀部を支持する。後座布82は、後座フレーム18の後座面88である。この車椅子12の座面89は、前座面86と後座面88とからなっている。背布84は、使用者の背中を支持する。背布84は、背フレーム20の背もたれ面90である。
【0032】
図4(a)には、背フレーム20が倒されてリクライニング姿勢にされた車椅子12の一部が示されている。アームレスト22は、左右方向において座面89の内側と外側とを仕切っている。このアームレスト22は、使用位置にされている。このアームレスト22は、回動固定装置52のロックピン54の先端が後座フレーム18の孔に係合して、回動が規制されている。
【0033】
図4(b)には、アームレスト22が跳ね上げられて、リクライニング姿勢にされた車椅子12が示されている。アームレスト22は跳ね上げ位置にされている。このアームレスト22は、回動固定装置52のロックピン54の先端が背フレーム20に形成された孔に係合して、回動が規制されている。
【0034】
図1、
図4(a)及び
図4(b)を参照しつつ、アームレスト22の取扱方法が説明される。
図1に示されるように、背フレーム20が起こされた着座姿勢の車椅子12に、使用者が着座する。使用者の大腿部が前座布80に支持される。臀部が後座布82に支持される。背中及び後頭部が背布84に支持される。
【0035】
図示されないが、後座フレーム18及び背フレーム20の回動のロックが解除される。介助者がハンドル44を下方に押し下げる。後座フレーム18及び背フレーム20が後方に回動する。後座フレーム18及び背フレーム20が後方に回動させられた後に、その回動がロックされる。この様にして、車椅子12は、
図4(a)のリクライニング姿勢にされる。
【0036】
着座姿勢からリクライニング姿勢にされるときに、後座フレーム18が傾斜することで、使用者の臀部がずれることが抑制されている。この車椅子12は、使用者が不自然な姿勢になることが抑制されている。リクライニング姿勢にされた後に、使用者は座り直す必要がない。車椅子12をリクライニング姿勢にすることで、使用者は楽な姿勢を維持できる。
【0037】
図4(a)の車椅子12で、介助者が、回動固定装置52のロックピン54を引く。ロックピン54の先端と後座フレーム18の孔との係合が解除される。アームレスト22の回動のロックが解除される。介助者がアームレスト22を後方に回動させる。アームレスト22が背フレーム20の前方から後方に回動する。
図4(b)に示されるように、アームレスト22が跳ね上げ位置にされる。介助者が、ロックピン54を押し込む。ロックピン54の先端が背フレーム20の孔と係合する。アーム22の回動がロックされる。アームレスト22が跳ね上げ位置にされて、車椅子12の側面から使用者が乗り降りする。
【0038】
この車椅子12では、アームレスト22を回動すると、この回動装置23のローター68がケース66に対して回転する。ローター68の鍔74の表面74aとケース66の内壁面66aとの間に、封入されたオイルの粘性抵抗が発生する。この粘性抵抗により、アームレスト22の急速な回動が抑制される。この回動装置23により、アームレスト22の回動速度を制御する。この車椅子12では、流体の抵抗でアームレスト22の回動速度が制御されている。
【0039】
この発明では、流体により生じる抵抗を流体の抵抗と称している。前述の流体の粘性抵抗の他、流体の流動抵抗も、この流体の抵抗に含まれる。この流体の抵抗により回動速度が制御されるので、ボルトナットのように、弛みによる回動速度の変化がない。固体と固体との摩擦のように摺動する面の摩耗もほとんどない。互いに摺動する面の摩耗による回動速度の変化が抑制されている。このアームレスト22は、長期に亘り、適度な回動速度で回動させられ得る。
【0040】
アームレスト22の回動速度が速すぎると、使用者や介助者は驚く。使用者や介助者が安心して操作する観点から、この回動速度は、好ましくは40(rad/s)以下であり、更に好ましくは15(rad/s)以下である。一方で、回動速度が遅すぎると、使用者や介助者は煩わしく感じる。この観点から、この回動速度は、好ましくは5(rad/s)以上である。この回動速度を求めるには、肘載せ50の長手方向を水平方向に対して60°上方に傾斜させて、かつ回動装置23の回動軸を水平方向にして、アームレスト22を支持する。アームレスト22の支持を外して、アームレスト22を重力により回動させる。この回動時に測定される最大回動速度が、この回動速度として求められる。
【0041】
このローター68では、ローター68の鍔74の表面74aとケース66の内壁面66aとの間に封入されたオイルの粘性抵抗が発生している。この粘性抵抗は、回動速度が大きくなると大きくなり、小さくなると小さくなる。これにより、アームレスト22の回動速度の急激な変化が抑制されている。
【0042】
このローター68では、鍔74の表面74aに凹凸が形成されており、ケース66の内壁面66aもこの表面74aに沿って形成されているので、表面74aと壁面66aとの対向面積が大きくされている。大きな対向面積を備えることで、長期間に亘り、安定した回動速度がえられうる。
【0043】
このアームレスト22が回動可能状態にあるとき、着座姿勢とリクライニング姿勢とで車椅子12の姿勢を変化させても、回動装置23を備えることで、アームレスト22が急速に回動することが抑制されている。この回動装置23は、回動する後座フレーム18や背フレーム20と共に回動するアームレスト22を回動させる機構として、特に好ましい。また、跳ね上げ位置にあるアームレスト22の回動を規制する機構を備えていなくても、アームレスト22の急速な回動を抑制できる。
【0044】
ここでは、介助者がアームレスト22を操作する場合を例に説明がされたが、使用者がアームレスト22を操作してもよい。また、回動装置23が座面89より下側にある場合、座面89及び背もたれ面90より突出しない位置まで回動されうる回動量があれば、アームレスト22は使用者の移動の邪魔にならない。このため、回動装置23が座面89より下方にある場合、背もたれ面90より前方にあってもよい。
【0045】
図5には、本発明の他の実施形態に係る回動装置92が示されている。この回動装置92は、回動装置23に代えて車椅子12でも使用されうる。この回動装置92は、ケース94、ローター96及びベーン98を備えている。
【0046】
ケース94は、ローター96を回動可能に支持している。このケース94とローター96との間に流体室100が形成されている。ベーン98は、ローター96の外周面から半径方向外向きに延びている。ベーン98は、ケース94の内周面に接しいる。ベーン98は、流体室100を第1室102と第2室104とに分けている。図示されないが、この流体室100は、流体シールにより流体が封入可能にされている。この流体室100には、例えばオイルが封入される。
【0047】
ケース94には、オリフィス106が形成されている。オリフィス106は、第1室102と第2室104とを連通している。ケース94は、流量調整弁108を備えている。この流量調整弁108は、オリフィス106の開口面積を変更可能にしている。ベーン98には、チェック弁110が形成されている。このチェック弁110は、第1室102から第2室104へのオイルの流動を許容して、第2室104から第1室102へのオイルの流動を阻止する。このオリフィス106がベーン98に形成され、流量調整弁108がベーンに形成されてもよい。更には、このオリフィス106とチェック弁110とは、両方ともにベーン98に形成されてもよいし、ケース94に形成されてもよい。
【0048】
図5の矢印Aは、アームレスト22を跳ね上げるときの、ローター96の回動向きを示している。矢印Bは、アームレスト22を跳ね上げ位置から使用位置へ回動させるときの、ローター96の回動向きを示している。この回動装置92は、チェック弁110を備えることで、アームレスト22を跳ね上げる回動向きへ流動抵抗が小さくされ、その逆の回動向きへの流動抵抗が大きくされている。このアームレスト22は、跳ね上げが容易にされ、跳ね上げ位置からの急速な下降が抑制されている。
【0049】
この流動抵抗は、回動速度が大きくなると大きくなり、小さくなると小さくなる。アームレスト22の回動速度の急激な変化が抑制される。この回動装置92によっても、流体の抵抗でアームレスト22の回動速度を制御し得る。この回動装置92にチェック弁110を形成せずに、跳ね上げる回動向きとその逆の回動向きとのいずれの向きにも同様の流動抵抗を生じさせてもよい。
【0050】
図6には、本発明の他の実施形態に係る車椅子の回動固定装置112が示されている。この回動固定装置112は、回動固定装置52に代えて車椅子12でも使用されうる。この回動固定装置112は、ケース114、ロックピン116、頭部118、バネ120及びロックプレート122を備えている。
【0051】
ケース114は、背フレーム20に固定されている。ケース114は、ロックピン116をその軸線方向に摺動可能に支持している。ロックピン116の後端には、頭部118が固定されている。ケース114には、バネ120が挿入されている。バネ120は、ケース114に対してロックピン116の先端をロックプレート122に近付く向きに付勢している。
【0052】
ロックプレート122は、アームレスト22に固定されている。ロックプレート122は、アームフレーム48に固定されている。ロックプレート122には、ロック孔124a及び124bが形成されている。アームレスト22が使用位置にあるとき、ロック孔124aはロックピン116の先端が挿入される位置に形成されている。アームレスト22が跳ね上げ位置にあるとき、ロック孔124bはロックピン116の先端が挿入される位置に形成されている。
【0053】
この回動固定装置112では、アームレスト22が使用位置にあるとき、ロック孔124aにロックピン116が係合して、アームレスト22の回動が規制される。アームレスト22が跳ね上げ位置にあるとき、ロック孔124bにロックピン116が係合して、アームレスト22の回動が規制される。このケース114がアームフレーム48に固定されて、ロックプレート122が背フレームに固定されてもよい。
【0054】
図7には、本発明の他の実施形態に係る車椅子126の一部が示されている。この車椅子126について、車椅子12と異なる構成が説明される。車椅子12と同様の構成については、その説明が省略される。また、車椅子12と同様の構成については、同じ符号を用いて説明がされる。
【0055】
図7及び
図8(a)に示される様に、この車椅子126は、アームレスト128及び受具130を備えている。アームレスト128は肘載せ50を備え、更に、アームフレーム132、操作レバー134、固定ピン136及びバネ138を備えている。このアームレスト128は、ガイドパネル46を備えてもよい。アームレスト128は、背フレーム20に回動可能に取り付けられている。
【0056】
アームフレーム132は、前後方向に延びる上フレーム132a及び下フレーム132bと、上フレーム132aの前端と下フレーム132bの前端とを連結する前フレーム132cと、上フレーム132aの後端と下フレーム132bの後端とを連結する後フレーム132dとからなっている。
【0057】
図8(a)に示される様に、アームフレーム132の下フレーム132bの下方に固定ピン136が支持されている。この固定ピン136は、前後方向に摺動可能にされている。バネ138は、アームフレーム132に対して固定ピン136の先端向き、即ち後向きに、固定ピン136を付勢している。
【0058】
後座フレーム18に、受具130が固定されている。この受具130には、固定ピン136の先端を受ける孔140が形成されている。この孔140に固定ピン136が係止されている。
【0059】
操作レバー134は、下フレーム132bに取り付けられている。操作レバー134は、非把持状態において、下フレーム132bの長手方向に沿って延びている。この下フレーム132bは、操作レバー134の支持フレームとして機能している。操作レバー134の他端部は、下フレーム132bに軸着されている。この軸着された他端部は、操作レバー134の一端と他端との間であって、他端側に位置している。操作レバー134の他端に、固定ピン136が係止されている。
【0060】
操作レバー134の他端部と一端との間に把持面144が形成されている。この把持面144は、操作レバー134が回動する向きに略直交している。この把持面144は、アームフレーム132から離れる向きに向いている。この把持面144は、操作レバー134を押さえる手に当接する向きに向いている。この把持面144は、人の手の人差し指、中指、薬指及び小指の四本の指が並ぶ幅で形成されている。
【0061】
この把持面144には、4つの凹部146が形成されてる。それぞれの凹部146は、アームフレーム132に近付く向きに凹んでいる。4つの凹部146が、操作レバー134の長手方向に並んで形成されている。この4つの凹部146は、人の手の4本の指にフィットする大きさと間隔とで形成されている。
【0062】
操作レバー134の一端には突起148が形成されている。この突起148は、把持面144から突出している。この突起148は、把持面144に連続して形成されている。突起148は、最も一端側の凹部146から連続して形成されている。突起148は、把持面144から離れる向きに突出している。この突起148は、操作レバー134の長手方向と直交する方向に延びている。
【0063】
操作レバー134に、把持面144から延びて、アームフレーム132の左右側面の一部を覆うカバー150が形成されている。このカバー150は、下フレーム132bの左右側面に沿って延びている。操作レバー134の長手方向に垂直な断面は、把持面144と左右一対のカバー150とで、U字形状にされている。
【0064】
この下フレーム132bには、凹み152が形成されている。この凹み152は、操作レバー134が軸着された他端部から一端に向かって深くなる形状に凹んでいる。この操作レバー134は、把持面144と左右一対のカバー150により、アームフレーム132の一部を覆っている。この操作レバー134は、この凹み152を覆っている。
【0065】
図8(a)には、固定状態にあるアームレスト128の一部が示されている。この固定状態では、固定ピン136が孔140に係合されている。操作レバー134の一端は、支持フレームである下フレーム132bから離れる固定位置に回動している。操作レバー134は、この固定位置において、この凹み152を覆っている。
【0066】
図8(b)には、回動可能状態にあるアームレスト128の一部が示されている。回動可能状態では、固定ピン136と孔140との係合が解除されている。操作レバー134の一端は、下フレーム132bに近付く解除位置に回動している。操作レバー134は、この解除位置において、この凹み152を覆っている。操作レバー134は、解除位置及び固定位置との間の位置でも、この凹み152を覆っている。
【0067】
図8(a)の固定状態で、介助者が操作レバー134を押し上げる。固定ピン136と孔140との係合が解除されて、アームレスト126は、
図8(b)の回動可能状態になる。介助者がアームレスト126を後方に回動させる。アームレスト126が背フレーム20の前方から後方に回動する。アームレスト126が跳ね上げ位置にされる。車椅子12の側面から使用者が乗り降りする。
【0068】
この操作レバー134は、把持面144を備えているので、手の人差し指、中指、薬指及び小指の4本の指を並べた状態で握りうる。また、指に代えて、手の平を把持面144に当てて、操作レバーを操作しうる。この操作レバー134は、手や指に障害があっても容易に操作しうる。この操作レバー134の長手方向は、下フレーム132bの長手方向に沿っている。この操作レバー134は、把持面144が下フレーム132bの長手方向に沿って延びているので、握りやすい。
【0069】
この把持面144は、握るときに並べられる4本の指に沿う形状にされている。この把持面144は、直感的に手で握る部分であることが認識されうる。この操作レバー134は、直感的に操作し易い。
【0070】
この下フレーム132bには、凹み152が形成されている。操作レバー134が解除位置にあるときに、この凹み152に操作レバー134が入り込む。これにより、非把持状態において、操作レバー134の把持面144を下フレーム132bの長手方向に沿った形状にされていても十分な回動ストロークが得られる。この操作レバー134は、回動ストロークを大きくするために、操作レバー134を長手方向に長くする必要がない。凹み152を備えているので、この操作レバー134は、十分な回動ストロークを確保しつつ、小型化されうる。
【0071】
ここでは、長手方向に垂直な断面においてU字形状にされた操作レバー134を例に説明がされたが、この形状に限られない。下フレーム132bに沿って延びる操作レバー134が、十分な回動ストロークを確保できる形状であればよい。例えば、操作レバー134を回動させたときに、中空の下フレーム132bの内側に操作レバー134の一部が入り込んでもよい。また、操作レバー134は、下フレーム132bの左右側面に回動可能に取り付けられてもよい。
【0072】
この操作レバー134の突起148は、操作レバー134を握る手又は指の側面に当接する。この突起148は、操作レバー134から手がずれることを抑制する。この突起148により、把持力が弱くても、操作レバー134が操作しうる。この突起148により、操作レバー134を握らなくても、例えば1本の指でも把持面144を押して、操作レバー134を操作しうる。
【0073】
この車椅子126では、回動可能状態と固定状態とに切り替える操作レバー134の長手方向に沿って、支持アームとしての下フレーム132bが延びている。この操作レバー134は、下フレーム132bに対して回動可能にされている。アームレスト128が使用位置にあるときに、この操作レバー134の一方の端部が下フレーム132bに近付く解除位置に回動してアームレスト128が回動可能状態にされる。操作レバー134の一方の端部が下フレーム132bから離れる固定位置に回動してアームレスト128が固定状態にされている。この回動可能状態にするときに操作レバー134を回動させる動作で、アームレスト128は跳ね上げる向きに回動させられる。この操作レバー134を回動させて回動可能状態にすることと、アームレスト128を跳ね上げる向きに回動させることが、1つ動作で容易にできる。
【0074】
この操作レバー134の凹部146は、アームレスト128が
図4(a)の状態から
図4(b)の状態に回動する向きに凹んでいることが好ましい。これにより、操作レバー134を回動させて回動可能状態にすることと、アームレスト128を回動させることが、1つ動作でより容易にできる。
【0075】
この操作レバー134では、後座フレーム18に取り付けられた受具130の孔140と、操作レバー134に係止された固定ピン136とで、固定状態と回動可能状態とに切り替えている。この固定状態と回動可能状態との切替は、操作レバー134と後座フレーム18のいずれかに孔140に相当する凹部が形成され、他方に固定ピン136に相当する凸部が形成されていればよい。
【0076】
ここでは、操作レバー134が下フレーム132bに取り付けられたが、操作レバー134は、上フレーム132a、前フレーム132c又は後フレーム132dに取り付けられてもよい。
【0077】
図9の車椅子154は、アームレスト128に代えてアームレスト156を備えている。このアームレスト156は、操作レバー134に代えて操作レバー158を、バネ138に代えてバネ160を、受具130に代えて係合突起162を備えている。ここでは、車いす126と異なる構成について説明がされる。また、車椅子126と同様の構成については、同じ符号を用いて説明がされる。
【0078】
この車椅子154では、アームフレーム132の下アーム132bに操作レバー158が回動可能に取り付けられている。バネ160は、操作レバー158の一端が下アーム132bから離れる向きに付勢している。操作レバー158の他端には凹部としての切り欠き164が形成されている。凸部としての係合突起162は、後座フレーム18に固定されている。
【0079】
固定位置にある操作レバー158は実線で示されている。解除位置にある操作レバー158は二点鎖線で示されている。この固定位置では、操作レバー158は、切り欠き164が係合突起162に係止している。アームレスト156は固定状態にされている。解除位置では、切り欠き164と係合突起162との係止が解除されている。アームレスト156は回動可能状態にされる。この操作レバー158を操作することで、このアームレスト156が固定状態と回動可能状態とに切り替えられる。