特許第6646780号(P6646780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6646780
(24)【登録日】2020年1月15日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】遊技機の可動役物の移動機構
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-77620(P2019-77620)
(22)【出願日】2019年4月16日
【審査請求日】2019年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】398075426
【氏名又は名称】沖マイクロ技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095717
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 博文
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 誠一
【審査官】 大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6567743(JP,B1)
【文献】 特開2011−224077(JP,A)
【文献】 特開2016−067403(JP,A)
【文献】 特開2014−014601(JP,A)
【文献】 特開2014−030595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機内に配置されて遊技盤面上で演出動作する可動役物と、
該可動役物を支持するフレームと、
該フレームに配設されて前記可動役物の落下をガイドするガイド構成体と、
該ガイド構成体に併設されて前記フレーム内に上下方向に延長し、かつ駆動源と係合した支持シャフトと、
該支持シャフトに移動可能に支持され、かつ前記可動役物と適宜に連結して該可動役物を上方へ搬送する搬送手段と、
該搬送手段と前記ガイド構成体との連係によって前記連結した可動役物を上規定位置で解放する解放機構と、
該解放機構の作動により落下した前記可動役物を下規定位置で固定する固定機構と、
前記搬送手段の下規定位置への到達によって前記固定機構による固定状態を解除する解除機構と、
から成ることを特徴とした遊技機の可動役物の移動機構。
【請求項2】
前記支持シャフトの連結による可動役物の上下方向の移動が、垂直線上又は傾斜線上の移動であることを特徴とした請求項1記載の遊技機の可動役物の移動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に係る発明(以下、「本発明」という。)は、パチンコ機、スロットマシン等の遊技機内の遊技盤面上に演出体として取り付けた装飾物(以下、「役物」と称する。)の移動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機には、弾球の入賞により遊技盤面上で趣向的な動きを行う役物(以下、「可動役物」と称する。)を配置して、これらを機械的な移動機構で適時の落下や特異な動きをさせているものがある。
【0003】
これらの移動機構の一つとして、役物を上下方向に移動又は落下させる機構がある。このような機構としては、例えば、特許文献1で開示されているように、遊技領域内に昇降自在に設けた可動演出体を、駆動機構で上位の所定位置まで押し上げて固定機構で保持して置き、適時にこれを解除して下位の所定位置まで自重で落下させるものがある。
【0004】
また、落下だけではなく、その他の動きを加えたものとして、例えば、特許文献2で開示しているように、設定した上下距離間にスライド可能に保持した装飾体を、駆動モータを用いて所定高さの位置で上下に揺動又は振動させたり、落下カムの作動によって所定の高さから落下させたりするように構成したものがある。この落下させた装飾体を、別に設置した上昇用の駆動モータを駆動源としてスライダ上のラック部材に支持されて上昇移動させて行くものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−116178号公報
【特許文献2】特開2015−066184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の開示技術は、可動演出体(「可動役物」と同義。)が上位の位置から落下するが、その可動演出体はラック&ピニオン手段で昇降する駆動体の上端側に当接して停止させているものである。このとき、当該可動演出体は、片持ち状態であることが多いため、当接停止時に揺れや弾みによる上下動の現象が見られた。かかる現象は機構の耐久性欠如ばかりか遊技者の興趣を削ぐものであるため、役物の演出上好ましい現象ではなく課題の一つとなっていた。
【0007】
また、上記特許文献2の開示技術においても、装飾体(「役物」と同義。)は落下後に昇降するラック部材の上端側に当接して停止するため、引用文献1と同様に上下振動が見られた。
【0008】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、可動役物を設定した上規定位置から落下させた際に、下規定位置の落下点において跳ね返ることなく確実に停止し、かつ静止させ、機構の耐久性の確保と共に遊技者の興趣を損なわせないことを目的とした遊技機の可動役物の移動機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る遊技機の可動役物の移動機構は、以下のように構成している。
すなわち、遊技機内に配置されて遊技盤面上で演出動作する可動役物と、該可動役物を支持するフレームと、該フレームに配設されて前記可動役物の落下をガイドするガイド構成体と、該ガイド構成体に併設されて前記フレーム内に上下方向に延長し、かつ駆動源と係合した支持シャフトと、該支持シャフトに移動可能に支持され、かつ前記可動役物と適宜に連結して該可動役物を上方へ搬送する搬送手段と、該搬送手段と前記ガイド構成体との連係によって前記連結した可動役物を上規定位置で解放する解放機構と、該解放機構の作動により落下した前記可動役物を下規定位置で固定する固定機構と、前記搬送手段の下規定位置への到達によって前記固定機構による固定状態を解除する解除機構と、から構成している。
【0010】
また、前記可動役物の移動方向は、通常は垂直な直線上の移動であるが、これに限らず演出の仕様より勾配を設けた傾斜線上を移動させる構成であっても良い。
【発明の効果】
【0011】
以上の構成により、搬送手段によって所定の上規定位置まで搬送された可動役物は、ガイド構成体と連係した搬送手段の作動より、その連結が解放されて自重によって落下して(又は傾斜下降して)、所定の下規定位置で当接体に当接する。この時、当接体が緩衝材で形成されているために弾みや揺れが生じるが、固定機構により、このような弾みや揺れを無くして停止かつ静止させることができる。
【0012】
また、可動役物が落下した後に、支持シャフトの上位位置に残留した搬送手段は、支持シャフトの駆動作動によって降下移動させると、当接体への当接近傍位置で解除機構が作動して前記固定機構を解除することができる。そして、この作動に伴って再び可動役物と連結する。ここで、支持シャフトを駆動させて、搬送手段と共に可動役物を上方へ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明にかかる実施形態(以下、「本実施例」という。)の分解組立斜視図である。
図2】本実施例の全体斜視図である。
図3】本実施例の解放機構と搬送手段との関わりを示した組立斜視図である。
図4】本実施例の解放機構の作動を示した斜視図であり、(A)は解放前、(B)は解放後の状態を示す斜視図である。
図5】本実施例の搬送手段を示す斜視図である。
図6】本実施例の移動行程を示す模式図であって、(A)はガイド構成体と搬送手段との関係を示す平面図、(B)は(A)のA−A線断面図である。
図7】本実施例の移動行程を示す模式図であって、(A)はガイド構成体と搬送手段との関係を示す平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
図8】本実施例の移動行程を示す模式図であって、(A)はガイド構成体と搬送手段との関係を示す平面図、(B)は(A)のC−C線断面図である。
図9】本実施例の移動行程を示す模式図であって、(A)はガイド構成体と搬送手段との関係を示す平面図、(B)は(A)のD−D線断面図である。
図10】本実施例の移動行程を示す模式図であって、(A)はガイド構成体と搬送手段との関係を示す平面図、(B)は(A)のE−E線断面図である。
図11】本実施例の移動行程を示す模式図であって、(A)はガイド構成体を示す平面図、(B)は(A)のF−F線断面図である。
図12】本実施例の固定機構の作動を示す斜視図(A)、(B)である。
図13】本実施例の解除機構の作動を示す斜視図(A)、(B)である。
図14】本実施例の固定機構と解除機構の一連の作動を示す模式図(A)、(B)、(C)、(D)、(E)である。
図15】固定機構と解除機構との他の実施例を示す斜視図(A)と、固定機構の作動を示す模式図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一例である本実施例Mについて図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、図1、2に表記した矢印Fr方向から見た面を正面(front)として用いる。
【0015】
(A)フレームについて
図示記号1はフレームであり、遊技機(図面省略。)内に配置されて、遊技盤面(図面省略。)上で演出動作する可動役物3を保持するものである。該フレーム1は、正面視(Fr矢視)において縦方向(上下方向)に開口した溝状の凹部開口空間を確保して、正面視で左右に分割した左フレーム枠11と右フレーム枠12とから構成している。
【0016】
左フレーム枠11には、正面視右側方向に開口した断面コ字状の溝延長からなるスライドレール13を配設している。このスライドレール13には溝延長に倣って摺動する摺動コマ14を配置している。摺動コマ14には可動役物3の支持板31が取り付けられ、可動役物3の移動工程を規定している。また、左フレーム枠11の正面下端部には、後述する固定機構6として機能する係止レバー61を、付勢力をもって軸支している。
【0017】
対する右フレーム枠12の凹部開口空間内の底部には、後述する解放機構5の倣いレバー51の下端部を受止める緩衝体15を配設している。この緩衝体15は、衝撃力の緩和可能な弾性材で形成している。
【0018】
前記スライドレール13の上端位置付近のフレーム1には、検知センサ16を設置している。これにより、支持板31の上端縁に突出形成した検知片34を検知して、可動役物3の上端位置への到達を検知している。
【0019】
また、右フレーム枠12の正面視右側に立設した壁面には、後述する搬送手段4から突設させた摺動突片46が進入して摺動する摺動溝17を形成している。摺動溝17は、後述の支持シャフト41に平行で略同長の溝延長を成している。
【0020】
(B)ガイド構成体について
図示記号2はガイド構成体である。ガイド構成体2は、所定の上端位置(上規定位置)まで上昇して来た可動役物3の落下を起動させるガイドとなるものである。
【0021】
ガイド構成体2は、前記フレーム1の前記凹部開口空間の正面視奥部に配置している。その構成は、上下方向に延びる所定の溝長をもって正面に開口した主ガイド溝21と、これより短い長さで右側に所定間隔で平行に配置した副ガイド溝22とから成る。そして、主ガイド溝21の上端部付近と下端部付近には、副ガイド溝22と連続した溝から構成した分岐溝23と合流溝24とを形成している。この分岐溝23は、主ガイド溝21の上端部付近から正面視右斜め下方の溝路をもって副ガイド溝22に接続している。また合流溝24は、副ガイド溝22の下端部から正面左斜め下方の溝路をもって主ガイド溝21に接続している。
【0022】
さらに、前記分岐溝23には、片持ち軸支によって所定の回転角で揺動する分岐ブレード23bを配設している。この分岐ブレード23bは、主ガイド溝21の上端付近から副ガイド溝22に導くよう主ガイド溝側に傾斜した状態を初期状態として復帰する付勢力をもって軸支している。この付勢力は、分岐ブレード23bの回動軸にトーションバネ等のバネ手段を取り付けて行っている。
【0023】
一方、合流溝24は、上記分岐ブレード23bと同様に片持ち軸支によって所定の回転角で揺動する合流ブレード24bを配設している。この合流ブレード24bは、副ガイド溝22を閉じた状態を初期状態として復帰する付勢力をもって軸支している。この付勢力の付加は、上記分岐ブレード23bと同様にトーションバネ等のバネ手段を取り付けて行っている。
【0024】
(C)可動役物について
次に、可動役物3は、種々趣向にデザインされた立体形状(本実施例の図面では矩形板状)を成し、遊技機内の遊技盤面上で演出動作するものである。図面上では右側又は左側が遊技盤面となる。
【0025】
この可動役物3は、上記ガイド構成体側へ向かって延びる平板状の支持板31が一体的に取り付けられている。そして、支持板3が前記摺動コマ14に取り付けられ、この取り付け状態によって可動役物3は左フレーム11に片持ち状態で上下動可能となっている。この支持板31には、可動役物3と後述する搬送手段4との連結を解放するための解放機構5を付属させている。
【0026】
また、支持板31の先端側(前記主ガイド溝側)は、その一部を正面視で右側へ直角に屈曲させて、前記ガイド構成体2と対面させた作動板32を形成している。加えて、支持板31の下端縁部付近には、矩形状に開口した係合口33を形成している。この係合口33の下辺縁部33aには、後述する固定機構6の係止レバー61の引っ掛け部61aが係合する。さらに、支持板31の上端縁部には、前記光検知式の検知センサ16と反応する検知片34を突片状に形成している。
【0027】
一方、前記作動板32には、後述する解放機構5を作動させるための倣いレバー51を片持ち揺動可能に軸支している。その揺動面は前記支持板31と垂直面を成している。また、倣いレバー51の上端部(又は揺動先端部)には、前記ガイド構成体側に突出した突起ローラ52を取り付けている。さらに、作動板32には、この突起ローラ52が、正面右側への回動を許容するための切欠き部35を形成している。
【0028】
(D)搬送手段について
図示記号4は搬送手段を示す。搬送手段4は、フレーム内のガイド構成体2に併設されると共に、可動役物3を上方へ移動させる手段である。この構成は、リードスクリューを用いて立設状に配置した支持シャフト41に上下動可能にして螺合状態で支持されている。ここで、支持シャフト41は、ギア42を介して駆動源となるモータ43が連結されている。この構成により、モータ43の正逆転力を支持シャフト41にギア伝達し、搬送手段4を上昇又は下降させている。
【0029】
また、この搬送手段4には、立設配置した先端部がガイド構成体2の方向(正面奥の方向)に向かって揺動する押上レバー44を配置している。この立設した押上レバー44はその先端部が搬送手段4からガイド構成体側に露出した状態を初期状態とし、かつ初期状態に復帰させる付勢力を付帯している。
【0030】
上記押上レバー44の先端上面と離隔対向した位置には、抑えレバー45を配置している。この抑えレバー45は、片持ち軸支されており正面奥側に延出した先端部が前記押上レバー44の先端上面と所定間隔で離隔した状態を初期状態とし、かつ初期状態に復帰させる付勢力を有している。
【0031】
かかる構成により、前記押上レバー44と抑えレバー45との間で対象物を挟持できる把持力を発生させている。この把持力が、後述の解放機構5の倣いレバー51の狭持部51bでの把持力となる。別言すると、上方から移動してきた搬送手段4の押上レバー44が、倣いレバー51の挟持部51bを乗り越えて、抑えレバー45の先端部と協働して挟持部51bを把持することとなり、これにより搬送手段4と可動役物3とが連結状態となる。
【0032】
加えて、搬送手段4には摺動突片46が配設されている。摺動突片46は、上述したように右フレーム枠12に取り付けた前記摺動溝17の溝内に進入して移動させるものである。この構成により、螺合した支持シャフト41の軸回転による搬送手段4の共回りが抑止されて、支持シャフト41に沿った昇降移動が可能となっている。
【0033】
(E)解放機構について
次に、可動役物3の落下を起動させる解放機構5について説明する。解放機構5は、上記作動板32に取り付けた倣いレバー51が主要構成要素となる。この倣いレバー51は、片持ち揺動可能にして、略垂直に立設した状態を初期状態とし、この初期状態に復帰する付勢力をもって下端部51aで軸支されている。また、正面視(Fr矢視)で右凸状に湾曲した帯板状を成して、その上端部に肉厚の挟持部51bを形成している。また、挟持部51bからはガイド構成体2に向かって突出した状態で突起ローラ52を取り付けている。これにより、倣いレバー51は突起ローラ52の主ガイド溝内及び副ガイド溝内の倣い移動に従って揺動(正面視右側回動)することとなる。
【0034】
なお、突起ローラ52は、上記仕様に限定するものではない。例えば、滑らかに倣い移動ができる物であれば良く、滑動する球体や柱体でも良い。
【0035】
(F)固定機構について
固定機構6は、左フレーム枠11の下底部付近に片持ち状に軸支して揺動する係止レバー61と、可動役物3に取り付けた支持板31の下端縁部付近に矩形状に開口して形成した係合口33と、から構成される。
【0036】
係止レバー61は、略鍵状を成し、正面視左側に張り出した引っ掛け部61aと、ここから先端に向かって斜め上方に延びる直線状の摺接部61b(接触して摺動する部分)と、上端側において正面視奥側に向かって延びる円柱状のポスト部61cを形成して構成する。係止レバー61は、略垂直に立設した状態を初期状態とし、この状態に復帰する付勢力(左回転力)を付加して軸支されている。また、係止レバー61の取り付け位置は、正面視で軸支点(揺動中心点)が前記可動役物3の下降位置より右側であって、かつ搬送手段4の下降位置の左側となる右フレーム枠12の位置に設定している。
【0037】
一方、上記係合口33は、上記構成の係止レバー61の引っ掛け部61aが挿入して係合し得る開口形状を成している。係止レバー61は、可動役物3の最降下点(又は下規定位置)の到達位置において、その引っ掛け部61aが係合口33の下辺縁部33aに接触して係合すると共に、付勢によって初期状態(垂直立設状態)に復帰している。
【0038】
(G)解除機構について
さらに、搬送手段4には、解除機構5を構成する正面手前側の位置に連続した突条リブ47を形成している。この突条リブ47は、正面視で左下方に傾斜した略直線峰状を呈している。かかる形状の突条リブ47は、固定機構6の係止レバー61のポスト部61cと連係して解除機構を構成している。解除機構と固定機構6とは、互いに連係して作動することにより搬送手段4と可動役物3との連結も行っている。
【0039】
[本実施例の作動]
次に、上記のように構成した本実施例Mの作動行程を、図6図14として示した模式図等に基づき説明する。
【0040】
(ア)可動役物3の移動
可動役物機3の移動は、以下の行程による。
先ず、搬送手段4の押上レバー44と抑えレバー45の挟持把持力により支持板31に配置された解放機構5の倣いレバー51を把持する。この把持により支持板31に片持ち状に支持された可動役物3と搬送手段4が連結状態となる。この状態でモータ43を起動させて支持シャフト41を適宜に正逆選択して軸回転させると、これに螺合環装した搬送手段4及び支持板31を介して連結した可動役物3とが、上昇又は下降移動する。なお、この昇降移動の行程は、スライドレール13によって規定されている(図6)。
【0041】
搬送手段4の上昇移動において、支持板31に取り付けられた倣いレバー51に付属した突起ローラ52は、対面する主ガイド溝21の内部に進入して溝内を倣い移動して行く。そして、上端部付近では、分岐ブレード23bを押し退けてさらに上方へ移動して行くこととなる(図7)。
【0042】
なお、突起ローラ52が分岐ブレード23bを完全に押し退けない位置では(図6)、モータ43の正逆転を適宜に選択制御することによって可動役物3を上下振動や上下ストローク移動など趣向的な動きをさせることができる。
【0043】
(イ)搬送手段4からの可動役物3の解放
次に、搬送手段4を上規定位置(上端部)まで移動させると、突起ローラ52が分岐ブレード23bを押し退けて完全に通過する。すると、分岐ブレード23bは、付勢力により初期状態(主ガイド溝21を閉じた状態)に復帰する。この時点で、モータ43を逆転させて搬送手段4を若干距離だけ降下させると、突起ローラ52が分岐ブレード23bの傾斜面(正面視右下がり傾斜)を摺動して副ガイド溝22へと導かれる。これに連動して、倣いレバー51は正面視で右側へ回転する結果、その挟持部51bは搬送手段4の押上レバー44と抑えレバー45との挟持から外れることとなる。これにより可動役物3は、搬送手段4との連結状態から解放されることとなる(図4(B)、図8)。
【0044】
(ウ)可動役物3の落下
可動役物3は、搬送手段4との連結状態から解放されると、自重によって落下する。この過程では、支持板31に取り付けられている倣いレバー51の突起ローラ52は、副ガイド溝22に沿ってその内部を移動することとなる。そして、突起ローラ52は副ガイド溝22の下端部まで移動してきたところで、合流溝24に導かれて付勢力をもって閉じられていた合流ブレード24bを押し退けて主ガイド溝21の下端部まで移動して行き、倣いレバー51の下端部51aが緩衝体15に当接して可動役物3が停止することとなる(図9図10)。
【0045】
(エ)可動役物3の固定
可動役物3は、下端位置(下規定位置)まで落下すると、これを支持する支持板31に固定機構6が作用して保持固定することとなる。
【0046】
これは、支持板31に形成した係合口33へ、鍵状の係止レバー61の引っ掛け部61aを係合させることによって実現している。具体的には、落下移動により下規定位置へ到達する行程において、支持板31の下端部が係止レバー61の摺接部61bに摺動しながら下降移動し、その移動力が片持ち状態の係止レバー61を正面視右側(右フレーム枠側)に回動させる。そして、さらに下降移動すると前記支持板31の下端部が係止レバー61の引っ掛け部61aを乗り越え、引っ掛け部61aが係合口33の下辺縁部33aに係合することとなる。これにより、緩衝体15への当接による可動役物3の弾みや揺れが抑止されて固定静止される(図12図14)。
【0047】
(オ)可動役物3の固定解除
上記ウ)〜エ)の状態においては、連結状態が解放された搬送手段4が、支持シャフト41の上端位置に残留した状態にある。ここで、モータ43を上昇時と逆の回転をさせると、支持シャフト41に螺合環装した搬送手段4は下降移動する。そして、係合口33と係合している係止レバー61のポスト部61cに前記搬送手段4の突条リブ47を当接させた後にさらに下方向に摺動すると、その摺動圧により係止レバー61は正面視右側に回転する。この回転により、係止レバー61は係合口33から外れ、可動役物3との固定状態が解除されることとなる(図13図14)。
【0048】
(カ)可動役物3の上昇
次に、上記解除とほぼ同時に可動役物3に一体化した支持板31と搬送手段4が連結状態となる。すなわち、搬送手段4の降下に従って、支持板31に付属した倣いレバー51の挟持部51bが、搬送手段4に付属した付勢軸支の押上レバー44の先端部の下部に接触して乗り越え、離隔対向して付勢配置した抑えレバー45との挟持力によって把持される結果、連結状態となるからである(図11)。この状態において、支持シャフト41を軸回転(下降時と逆回転)させると搬送手段4は可動役物3を伴って上昇移動することとなる。
【0049】
[他の実施例]
以上、本発明の実施における固定機構6の構成には、上記構成に限定するものではなく、同様の機能を実現することができる以下の構成としても良い。
例えば、図15に示したように、支持板31の支持板31の下端縁部から上位位置に滑動回転するロータ体7を配設し、このロータ体7が前記構成の係止レバー61の引っ掛け部61aを乗り越えることによって係止レバー61を作動(回動)させるようにしても良い。
【0050】
また、立設状態を初期状態とする係止レバー61の付勢復帰力を増せば、ローラ体7と前記係止レバー61との摺動摩擦によるブレーキ作用が働いて、可動役物3のスムーズな減速と停止が実現できることとなる。
【符号の説明】
【0051】
M 本実施例
1 フレーム
11 左フレーム枠
12 右フレーム枠
13 スライドレール
14 摺動コマ
15 緩衝体
16 検知センサ
17 摺動溝
2 ガイド構成体
21 主ガイド溝
22 副ガイド溝
23 分岐溝
23b 分岐ブレード
24 合流溝
24b 合流ブレード
3 可動役物
31 支持板
32 作動板
33 係合口
33a 下辺縁部
34 検知片
35 切欠き部
4 搬送手段
41 支持シャフト
42 ギア
43 モータ
44 押上レバー
45 抑えレバー
46 摺動突片
47 突条リブ
5 解放機構
51 倣いレバー
51a 下端部
51b 挟持部
52 突起ローラ
6 固定機構
61 係止レバー
61a 引っ掛け部
61b 摺接部
61c ポスト部
7 ローラ体
【要約】
【課題】可動役物を上規定位置から落下させた際、下規定位置の落下点で確実に停止し、かつ静止させ、機構の耐久性の確保と共に遊技者の興趣を損なわせない遊技機の可動役物の移動機構を提供する。
【解決手段】遊技機内に配置されて遊技盤面上で演出動作する可動役物3と、可動役物を支持するフレーム1と、フレームに配設された可動役物の落下ガイド用のガイド構成体2と、ガイド構成体に併設されてフレーム内に上下方向に延長し、かつ駆動源と係合した支持シャフト41と、支持シャフトに移動可能に支持され、かつ可動役物と連結して可動役物を上方へ搬送する搬送手段4と、搬送手段と連結した可動役物を上規定位置で解放する解放機構5と、落下した可動役物を下規定位置で固定する固定機構6と、搬送手段の下規定位置への到達によって固定機構の固定状態を解除する解除機構47、61cと、から構成する。
【選択図】 図1
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