特許第6646887号(P6646887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6646887低周波治療器及び低周波治療器用のパッド、低周波治療器用の本体部、低周波治療器用のホルダ、低周波治療器用のパッドとホルダの組み合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646887
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】低周波治療器及び低周波治療器用のパッド、低周波治療器用の本体部、低周波治療器用のホルダ、低周波治療器用のパッドとホルダの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/02 20060101AFI20200203BHJP
   A61N 1/32 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   A61N1/02
   A61N1/32
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-174545(P2015-174545)
(22)【出願日】2015年9月4日
(65)【公開番号】特開2017-47063(P2017-47063A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】土居 由樹
(72)【発明者】
【氏名】中澤 進二
(72)【発明者】
【氏名】前田 香代子
(72)【発明者】
【氏名】小副川 伸彦
【審査官】 白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0088419(US,A1)
【文献】 特開平06−339531(JP,A)
【文献】 特開平08−257141(JP,A)
【文献】 特開2002−179109(JP,A)
【文献】 実開平06−074151(JP,U)
【文献】 特表2013−512076(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0231393(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/199327(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00− 1/08
A61N 1/32
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体に取り付けられ、使用者に低周波パルス電流を供給するパッドと、
前記パッドを保持するホルダと、
前記ホルダに取り付けられることで、前記パッドに低周波パルス電流を供給する本体部と、を備えた低周波治療器において、
前記ホルダに対して前記本体部を重ねて取り付けた状態では係合し、取り外した状態では当該係合が解除するよう構成された誘導係合部を備え、
前記誘導係合部は、
前記取り付けの際には、前記ホルダと前記本体部とが正対方向に移動して係合に至り、
前記取り外しの際には、前記取り付けの際の移動方向と逆方向への移動は抑制されており、前記ホルダに対して前記本体部が前記正対方向に交わる方向に移動することで前記係合が解除されるよう形成されていることを特徴とする低周波治療器。
【請求項2】
前記誘導係合部は、前記取り外しの際には、前記ホルダに対して前記本体部が前記正対方向に対して回動することで前記係合が解除されるよう形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の低周波治療器。
【請求項3】
前記誘導係合部は、前記ホルダと前記本体部とのうち一方に形成された突起と、他方に形成され前記突起が嵌る溝部とを備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の低周波治療器。
【請求項4】
前記ホルダは、前記本体部を前記正対方向に交わる方向に挟む両側に位置する壁部であって、前記本体部の回動を許容するように内側が湾曲形状とされた壁部を備え、
前記壁部の内面には、前記溝部として、前記正対方向である縦方向に形成され、上方が開口した縦溝部と、前記縦方向に交わる横方向に形成され、横方向の少なくとも一方の端部が開口した横溝部と、が形成され、
前記本体部は、前記壁部に対向する側面に、前記突起として、前記縦溝部に沿った移動と前記横溝部に沿った移動とが可能な本体部側突起が形成されたことを特徴とする、請求項3に記載の低周波治療器。
【請求項5】
前記横溝部には、前記ホルダに対して前記本体部を重ねて取り付けた状態から、前記ホルダに対して前記本体部が前記正対方向に交わる方向に回動することを制限する制限部を備えることを特徴とする、請求項4に記載の低周波治療器。
【請求項6】
前記本体部は、前記パッドに低周波パルス電流を供給する本体部側電極部を前記ホルダに正対する面から突出して備え、
前記パッドは、前記ホルダ上に取り付けられる取付部を備え、
前記取付部は、前記本体部に正対する面にパッド側電極部を備え、
前記本体部側電極部は、前記ホルダに前記本体部が取り付けられた状態で、前記パッド側電極部に当接することで低周波パルス電流を供給する、請求項4または5に記載の低周波治療器。
【請求項7】
前記ホルダが不導体からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の低周波治療器。
【請求項8】
前記パッドが、前記ホルダに取り付けられる取付部と、当該取付部から少なくとも一方に延び導体からなる導電層が露出した治療部と、を備え、
前記取付部の幅寸法は、前記治療部の幅寸法よりも小さく形成され、
前記取付部の外周縁は、前記壁部の湾曲に略一致した湾曲部を備えることを特徴とする、請求項4または5に記載の低周波治療器
【請求項9】
使用者の身体に取り付けられて使用者に低周波パルス電流を供給するパッドを保持するホルダに取り付けられることで、前記パッドに低周波パルス電流を供給する低周波治療器用の本体部において、
前記ホルダに対して前記本体部を重ねて取り付けた状態では係合し、取り外した状態では当該係合が解除するよう構成された誘導係合部を備え、
前記誘導係合部は、
前記取り付けの際には、前記ホルダと前記本体部とが正対方向に移動して係合に至り、
前記取り外しの際には、前記取り付けの際の移動方向と逆方向への移動は抑制されており、前記ホルダに対して前記本体部が前記正対方向に交わる方向に移動することで前記係合が解除されるよう形成されていることを特徴とする低周波治療器用の本体部。
【請求項10】
使用者の身体に取り付けられるパッドであり、使用者に低周波パルス電流を供給するパッドを保持し、前記パッドに低周波パルス電流を供給する本体部に対して取り付けられる低周波治療器用のホルダにおいて、
前記本体部を重ねて取り付けた状態では係合し、取り外した状態では当該係合が解除するよう構成された誘導係合部を備え、
前記誘導係合部は、
前記取り付けの際には、前記ホルダと前記本体部とが正対方向に移動して係合に至り、
前記取り外しの際には、前記取り付けの際の移動方向と逆方向への移動は抑制されており、前記ホルダに対して前記本体部が前記正対方向に交わる方向に移動することで前記係合が解除されるよう形成されていることを特徴とする低周波治療器用のホルダ。
【請求項11】
使用者の身体に取り付けられて使用者に低周波パルス電流を供給するパッドと、前記パッドを保持するホルダとからなる、低周波治療器用のパッドとホルダの組み合わせにおいて、
前記ホルダは、前記パッドに低周波パルス電流を供給する本体部を重ねて取り付けた状態では係合し、取り外した状態では当該係合が解除するよう構成された誘導係合部を備え、
前記誘導係合部は、
前記取り付けの際には、前記ホルダと前記本体部とが正対方向に移動して係合に至り、
前記取り外しの際には、前記取り付けの際の移動方向と逆方向への移動は抑制されており、前記ホルダに対して前記本体部が前記正対方向に交わる方向に移動することで前記係合が解除されるよう形成されていることを特徴とする低周波治療器用のパッドとホルダの組み合わせ。
【請求項12】
前記ホルダが不導体からなる、請求項11に記載の低周波治療器用のパッドとホルダの組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低周波治療器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、導電層を有するパッドを使用者の身体に取り付けて、身体に低周波パルス電流を供給することで、使用者の肩こりをほぐす等の治療を行う低周波治療器が存在する(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の低周波治療器は、ホルダ(特許文献1における「下半部分」)に対し、パッド(同「電極パッド」)を挟んだ状態で本体部(同「上半部分」)が取り付けられる。ホルダと本体部の取り付けは、本体部に形成された凹部にホルダの突起が嵌合することでなされる。両者の取り付け・取り外しは、ホルダに対して本体部を上下方向に移動することでなされる。
【0004】
また、ホルダに設けられた端子が本体部とパッドとに電気的に接続されることで、本体部から一旦ホルダを介してパッドへ通電される。
【0005】
ところが、特許文献1に記載されたホルダと本体部との取り付け構造では、使用中の使用者が身体を動かした場合等に、前記嵌合が外れてしまうことがある。そうすると、パッドへの通電が行われなくなるため治療が中断されてしまう。この場合、使用者はホルダに対して本体部を取り付け直す必要がある。
【0006】
このように、特許文献1に記載の低周波治療器は、パッドへの通電が不安定となる場合があった点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−339531号公報(図3図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、パッドへの通電を安定的に行うことのできる低周波治療器及び低周波治療器用のパッド、低周波治療器用の本体部、低周波治療器用のホルダ、低周波治療器用のパッドとホルダの組み合わせを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、使用者の身体に取り付けられ、使用者に低周波パルス電流を供給するパッドと、前記パッドを保持するホルダと、前記ホルダに取り付けられることで、前記パッドに低周波パルス電流を供給する本体部と、を備えた低周波治療器において、前記ホルダに対して前記本体部を重ねて取り付けた状態では係合し、取り外した状態では当該係合が解除するよう構成された誘導係合部を備え、前記誘導係合部は、前記取り付けの際には、前記前記ホルダと前記本体部とが正対方向に移動して係合に至り、前記取り外しの際には、前記取り付けの際の移動方向と逆方向への移動は抑制されており、前記ホルダに対して前記本体部が前記正対方向に交わる方向に移動することで前記係合が解除されるよう形成されている低周波治療器である。
【0010】
この構成によれば、取り付けはワンタッチでできる。一方、取り外しは正対方向に交わる方向に移動することで係合解除されるため、使用中に使用者が動いてホルダから本体部が不意に外れることを抑制できる。
【0011】
そして、前記誘導係合部は、前記取り外しの際には、前記ホルダに対して前記本体部が前記正対方向に対して回動することで前記係合が解除されるよう形成されていることもできる。
【0012】
この構成によれば、取り外しの際は回動により係合解除されるため、使用中に使用者が動いてホルダから本体部が不意に外れることを効果的に抑制できる。
【0013】
そして、前記誘導係合部は、前記ホルダと前記本体部とのうち一方に形成された突起と、他方に形成され前記突起が嵌る溝部とを備えることもできる。
【0014】
この構成によれば、誘導係合部を凹凸嵌合により構成できるので、構成を簡素化できる。
【0015】
そして、前記ホルダは、前記本体部を前記正対方向に交わる方向に挟む両側に位置する壁部であって、前記本体部の回動を許容するように内側が湾曲形状とされた壁部を備え、前記壁部の内面には、前記溝部として、前記正対方向である縦方向に形成され、上方が開口した縦溝部と、前記縦方向に交わる横方向に形成され、横方向の少なくとも一方の端部が開口した横溝部と、が形成され、前記本体部は、前記壁部に対向する側面に、前記突起として、前記縦溝部に沿った移動と前記横溝部に沿った移動とが可能な本体部側突起が形成されたものとできる。
【0016】
この構成によれば、取り付ける際、基本的に不動である側であるホルダに縦溝部及び横溝部が設けられ、移動させる側である本体部に本体部側突起が形成されている。よって、両者の位置合わせが容易である。
【0017】
そして、前記横溝部には、前記ホルダに対して前記本体部を重ねて取り付けた状態から、前記ホルダに対して前記本体部が前記正対方向に交わる方向に回動することを制限する制限部を備えることもできる。
【0018】
この構成によれば、制限部により本体部が前記正対方向に交わる方向に回動することを制限できる。このため、ホルダに対して本体部を重ねて取り付けた状態を確実に維持できる。
【0019】
そして、前記本体部は、前記パッドに低周波パルス電流を供給する本体部側電極部を前記ホルダに正対する面から突出して備え、前記パッドは、前記ホルダ上に取り付けられる取付部を備え、前記取付部は、前記本体部に正対する面にパッド側電極部を備え、前記本体部側電極部は、前記ホルダに前記本体部が取り付けられた状態で、前記パッド側電極部に当接することで低周波パルス電流を供給するものとできる。
【0020】
この構成によれば、本体部側電極部をホルダ上に取り付けられるパッドのパッド側電極部に当接した状態で、誘導係合部により本体部とホルダとを係合できる。このため、両電極部の当接を強固にできる。よって、本体部とパッドとの導通状態を安定させられる。
【0021】
そして、前記ホルダが不導体からなるものとできる。
【0022】
この構成によれば、パッドを使用者の背中において背骨を跨ぐように配置した場合、背骨に不導体であるホルダを一致させるように配置できる。これにより、使用者の背骨及び脊髄に低周波パルス電流が流れることを抑制できる。よって、背骨及び脊髄が電流により損傷を受けることを抑制できるため、低周波治療器を安全に使用できる。
【0023】
また、本発明は、前記低周波治療器に用いられる、低周波治療器用のパッドであり、前記ホルダに取り付けられる取付部と、当該取付部から少なくとも一方に延び導体からなる導電層が露出した治療部と、を備え、前記取付部の幅寸法は、前記治療部の幅寸法よりも小さく形成され、前記取付部の外周縁は、前記壁部の湾曲に略一致した湾曲部を備える低周波治療器用のパッドである。
【0024】
この構成によれば、取付部の幅寸法が治療部の幅寸法よりも小さいので、本体部及びホルダを小型にできる。また、取り外しの際の回動方向に沿った湾曲形状の外縁を有するパッドのため、取り外しの際にパッドが本体部側突起に引っ掛かってめくれる事態を抑制でき、快適に使用できる。
【0025】
また、本発明は、使用者の身体に取り付けられて使用者に低周波パルス電流を供給するパッドを保持するホルダに取り付けられることで、前記パッドに低周波パルス電流を供給する低周波治療器用の本体部において、前記ホルダに対して前記本体部を重ねて取り付けた状態では係合し、取り外した状態では当該係合が解除するよう構成された誘導係合部を備え、前記誘導係合部は、前記取り付けの際には、前記ホルダと前記本体部とが正対方向に移動して係合に至り、前記取り外しの際には、前記取り付けの際の移動方向と逆方向への移動は抑制されており、前記ホルダに対して前記本体部が前記正対方向に交わる方向に移動することで前記係合が解除されるよう形成されている低周波治療器用の本体部である。
【0026】
この構成によれば、本体部のホルダに対する取り付けはワンタッチでできる。一方、取り外しは正対方向に交わる方向に移動することで係合解除されるため、使用中に使用者が動いてホルダから本体部が不意に外れることを抑制できる。
【0027】
また、本発明は、使用者の身体に取り付けられるパッドであり、使用者に低周波パルス電流を供給するパッドを保持し、前記パッドに低周波パルス電流を供給する本体部に対して取り付けられる低周波治療器用のホルダにおいて、前記本体部を重ねて取り付けた状態では係合し、取り外した状態では当該係合が解除するよう構成された誘導係合部を備え、前記誘導係合部は、前記取り付けの際には、前記ホルダと前記本体部とが正対方向に移動して係合に至り、前記取り外しの際には、前記取り付けの際の移動方向と逆方向への移動は抑制されており、前記ホルダに対して前記本体部が前記正対方向に交わる方向に移動することで前記係合が解除されるよう形成されている低周波治療器用のホルダである。
【0028】
この構成によれば、ホルダに対する本体部の取り付けはワンタッチでできる。一方、取り外しは正対方向に交わる方向に移動することで係合解除されるため、使用中に使用者が動いてホルダから本体部が不意に外れることを抑制できる。
【0029】
また、本発明は、使用者の身体に取り付けられて使用者に低周波パルス電流を供給するパッドと、前記パッドを保持するホルダとからなる、低周波治療器用のパッドとホルダの組み合わせにおいて、前記ホルダは、前記パッドに低周波パルス電流を供給する本体部を重ねて取り付けた状態では係合し、取り外した状態では当該係合が解除するよう構成された誘導係合部を備え、前記誘導係合部は、前記取り付けの際には、前記ホルダと前記本体部とが正対方向に移動して係合に至り、前記取り外しの際には、前記取り付けの際の移動方向と逆方向への移動は抑制されており、前記ホルダに対して前記本体部が前記正対方向に交わる方向に移動することで前記係合が解除されるよう形成されている低周波治療器用のパッドとホルダの組み合わせである。
【0030】
この構成によれば、ホルダに対する本体部の取り付けはワンタッチでできる。一方、取り外しは正対方向に交わる方向に移動することで係合解除されるため、使用中に使用者が動いてホルダから本体部が不意に外れることを抑制できる。
【0031】
そして、前記ホルダが不導体からなるものとできる。
【0032】
この構成によれば、パッドを使用者の背中において背骨を跨ぐように配置した場合、背骨に不導体であるホルダを一致させるように配置できる。これにより、使用者の背骨及び脊髄に低周波パルス電流が流れることを抑制できる。よって、背骨及び脊髄が電流により損傷を受けることを抑制できるため、低周波治療器を安全に使用できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、取り付けはワンタッチででき、取り外しは正対方向に交わる方向に移動することで係合解除されるため、使用中に使用者が動いてホルダから本体部が不意に外れることを抑制できる。よって、本体部からパッドへの通電を安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係る低周波治療器を示す斜視図である。
図2】同低周波治療器におけるホルダ及びパッドと本体部とを分離した状態を示す分解斜視図である。
図3】(A)は図2のA−A矢視の一部(パッド図示省略)で、同低周波治療器におけるホルダの縦溝部及び横溝部を示す要部縦断面図であり、(B)は図2のB−B矢視のうち一部で、同低周波治療器における本体部(内部構造図示省略)の本体部側突起を示す要部縦断面図である。
図4】同低周波治療器におけるホルダの縦溝部及び横溝部を示す横断面斜視図である。
図5】同低周波治療器におけるホルダと本体部との係合状態を示す要部縦断面図である。
図6】(A)は同低周波治療器におけるホルダに本体部が取り付けられた状態を示す平面図であり、(B)は同低周波治療器におけるホルダから本体部を取り外す途中の状態を示す平面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る低周波治療器におけるホルダ(パッド省略)及び本体部の概略構造を示す、底面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明につき、一実施形態を取り上げて説明を行う。なお、以下説明での上下方向は図1に示した状態の低周波治療器1における上下方向である。本実施形態の低周波治療器1はコードレスタイプであり、使用時に一体とされるパッド2、ホルダ3、本体部4を備え、これら各部を組み合わせて治療を行うことができる。
【0036】
パッド2は、使用者の身体に取り付けられる部分である。このパッド2は、使用者に低周波パルス電流を供給する導電層2aを備える。パッド2の身体側を向いた身体側部21の表面(下面)にこの導電層2aが露出している。使用者の身体へのパッド2の取り付けは、身体側部21を、導電性のゲル(図示しない)を介して使用者の皮膚に貼り付けることで行う。
【0037】
パッド2は軟質合成樹脂製の基材(図示しない)の表面に、例えば、印刷により導体であるカーボン層を積層したものであり、このカーボン層が導電層2aとなる。導電層2aは、通電時の極性(+極、−極)別に設けられている。なお、パッド2には極性を交互に転換させて通電することもあるので、+極専用の導電層2aと−極専用の導電層2aが固定的に存在するのではなく、極性は可変的である。
【0038】
パッド2は、図2に示すように、ホルダ3上に取り付けられる取付部2Xと、この取付部2Xから少なくとも一方に延び導電層2aが露出した治療部2Yとを備える。本実施形態の治療部2Yは、取付部2Xから極性別に両方に延びている。また、治療部2Yにおける底面である身体側部21のうち全表面に導電層2aが露出している。
【0039】
治療部2Yに比べて取付部2Xは絞られた形状である。つまり、取付部2Xの幅寸法は、治療部2Yの幅寸法よりも小さく形成されている。これにより、ホルダ3及び本体部4を小型にできる。また導電層2aは、パッド2の取付部2Xにおける本体部4を向いた面にも露出しており、この露出部分がパッド側電極部22となる。このパッド側電極部22は、本体部側電極部43との電気的接続のために形成されている。本実施形態では、取付部2Xにおける幅方向の一端に一方の極(例えば+極)に対応した導電層2aが露出し、他端に他方の極(例えば−極)に対応した導電層2aが露出している。よって、パッド側電極部22の導電層2aはパッド2の外周部に露出している。パッド側電極部22における導電層2aの露出は、例えば、パッド2の一部の層を剥がすこと、パッド2を表裏折り返すこと、パッド2を厚み方向に重ね合わせることで実現できる。
【0040】
ホルダ3はパッド2を保持する部分である。本実施形態では硬質樹脂製であり、両面粘着テープによりパッド2の取付部2Xを保持している。このホルダ3は、パッド2の取付部2Xを保持するパッド保持部31と、パッド保持部31の両端に位置する壁部32とを備える。なお、パッド2の保持は両面粘着テープによるものに限定されず、例えばのりや接着剤によることもできる。
【0041】
ホルダ3は硬質樹脂製であるから不導体である。このため、パッド2を使用者の背中において背骨を跨ぐように配置した場合、背骨に不導体であるホルダ3を一致させ、パッド2の治療部2Yが背骨に重ならないように配置できる。これにより、使用者の背骨及び脊髄に低周波パルス電流が流れることを抑制できる。よって、背骨及び脊髄が電流により損傷を受けることを抑制できるため、低周波治療器1を安全に使用できる。また、パッド2の取付部2Xにおいて、背骨に重なる部分を別途絶縁部材で覆う必要がないため、パッド2とホルダ3とが組み合わされたものの構成を簡素化できる。
【0042】
図3(A)に示すように、パッド保持部31は、中央寄りに位置するパッド当接部311と、壁部32寄りに位置する周縁部312とを有する。図示のように、パッド当接部311の上面よりも周縁部312の上面の方が上方にある。このため、図5に示すように、ホルダ3へ本体部4を取り付けた状態では、周縁部312に本体部4の下面42が当接する。
【0043】
図2に示すように、パッド当接部311の上面に当接するようにしてパッド2が重ねられる。パッド当接部311から上方に略コの字状の位置決め突起313が突出しており、パッド2において表裏方向に貫通した窓部23の縁部を位置決め突起313に合わせることで、ホルダ3に対するパッド2の位置決めを行うことができる。
【0044】
前述のようにパッド当接部311の上面よりも周縁部312の上面の方が上方にある。このため、ホルダ3へと本体部4を取り付けた状態では、周縁部312に本体部4の下面42が当接するので、図5に示すように、パッド当接部311上のパッド2の上面と本体部4の下面42とが密着せず、隙間を有するようにできる。このため、パッド側電極部22のカーボン層に下面42が擦れることで、本体部4が剥がれたカーボンにより汚されることを抑制できる。よって、低周波治療器1を長期にわたって美しく使用することができる。
【0045】
パッド2は消耗品であるので、交換の際等に、本体部4に対して着脱可能とされている。本実施形態では、ホルダ3がパッド2を保持することで両者が一体となっており、ホルダ3に対して本体部4を着脱するよう構成されている。パッド2の交換はホルダ3ごと行われる。
【0046】
本体部4は、ホルダ3に取り付けられることで、パッド2の導電層2aに低周波パルス電流を供給する部分である。本体部4の内部には電池等の電源部、及び、所望の低周波パルス電流を形成するための電気回路(基板)が配置され、外部にはスイッチ類や表示部が設けられている(一部を除き図示しない)。図3(B)に示すように、本体部4のホルダ3に正対する面である下面42からは本体部側電極部43がばね44により付勢された状態で突出している(本体部側電極部43の位置を図6(A)(B)にも二点鎖線で示す)。この本体部側電極部43は極性別に設けられている。
【0047】
ホルダ3及び本体部4には、ホルダ3に対して本体部4を重ねて取り付けた状態では係合し、取り外した状態では当該係合が解除するよう構成された誘導係合部5が形成されている。この誘導係合部5は、ホルダ3と本体部4の両者を係合すると共に、両者の取り付け・取り外しの際にホルダ3に対する本体部4の移動方向を規制する。具体的に、この誘導係合部5は、両者の取り付けの際には、両者が図2に矢印で示す正対方向(下方向)D1に移動して係合に至る。そして、両者の取り外しの際には、ホルダ3に対して本体部4が前記正対方向D1に交わる方向(横方向)D2(図6(A)参照)に移動することで両者の係合が解除されるよう形成されている。なお、この取り外しの際には、前記取り付けの際の移動方向と逆方向(上方向)への移動は抑制されている(本実施形態では移動が不可能とされている)。また、本実施形態では、平面視における反時計方向である方向D2とは反対の方向である時計方向に本体部4を移動させても、ホルダ3と本体部4との係合が解除される。このように、横方向の両方向に本体部4を移動させて係合解除できるように構成でき、また、横方向の一方向にのみ本体部4を移動させて係合解除できるようにも構成できる。
【0048】
このように誘導係合部5がホルダ3に対する本体部4の移動方向を規制することにより、取り付けはワンタッチ(ホルダ3への本体部4の押込みのみ)でできる。一方、取り外しは前記正対方向D1に交わる方向(横方向)D2に移動することで係合解除されるため、使用者の操作以外の外力により係合解除されにくいので、使用中に使用者が動いてホルダ3から本体部4が不意に外れることを抑制できる。特に本実施形態では、後述のストッパー突起5221が存在するため、更に係合解除されにくくなっている。
【0049】
誘導係合部5は、ホルダ3から本体部4を取り外す際には、ホルダ3に対して、例えば図6(A)に矢印で示した横方向D2に本体部4を回動させることで、ホルダ3と本体部4との係合が解除されるよう形成されている。この構成により、取り外しの際は正対方向D1に対して回動させることにより係合解除されるため、単なる平行移動による係合解除と比べて、使用中に使用者が動いてホルダ3から本体部4が不意に外れることを効果的に抑制できる。
【0050】
以下、この誘導係合部5について具体的に説明する。本実施形態における誘導係合部5は、図2に示すように、本体部4に形成された突起である本体部側突起51と、ホルダ3に形成され本体部側突起51が嵌る溝部52とを備える。この構成では、誘導係合部5を凹凸嵌合により構成できるので、構成を簡素化できる。
【0051】
ホルダ3における壁部32は、パッド保持部31の長手方向両端であり、本体部4を正対方向D1に交わる方向に挟む両側(パッド2の幅方向両端側)に位置している。この壁部32は、取り外しの際における横方向D2への本体部4の回動を許容するように内側が湾曲形状とされている。壁部32の内面には、前記溝部52として縦溝部521と横溝部522とが形成されている。縦溝部521は、ホルダ3と本体部4との正対方向D1である縦方向に形成され、上方が開口している。横溝部522は、前記縦方向に交わる横方向に形成され、横方向の少なくとも一方の端部が開口している。本実施形態では縦溝部521と横溝部522とが直交している。また、本実施形態の横溝部522は横方向の両端とも開口している。
【0052】
縦溝部521と横溝部522とが交わる部分における縦断面形状は、図3(A)に示す形状である。縦溝部521は、上部に、内方(パッド保持部31の中央方向)に延びる庇部523が位置する。庇部523の上部には導入斜面5231が形成されている。この導入斜面5231は内方に向かうにつれ下降する、緩やかに湾曲した斜面である。庇部523の下部には水平面5232が形成されている。横溝部522は、上下寸法が本体部4に形成された本体部側突起51の上下寸法よりもわずかに大きく形成されている。これにより、本体部側突起51が横溝部522の長手方向に沿って移動可能とされている。また、縦溝部521と横溝部522とが交わる部分には、横溝部522の下面から上方に突出する係合突起524が形成されている。
【0053】
そして横溝部522には、図4に示すように、ホルダ3に対して本体部4を重ねて取り付けた状態から、ホルダ3に対して、例えば横方向D2に本体部4を回動させることを制限する、制限部としてのストッパー突起5221,5221が形成されている。これらストッパー突起5221,5221は、取り付け状態において本体部側突起51を挟む横方向両側に位置している。各ストッパー突起5221に対し、移動させられようとする本体部側突起51は当接する。この当接により、本体部4の係合解除される方向への移動が制限される。本実施形態では、横方向の両方向に本体部4を移動させて係合解除できるので、ストッパー突起5221が2箇所に形成されているが、横方向の一方向にのみ本体部4を移動させて係合解除できるよう構成した場合は、ストッパー突起5221を1箇所にだけ形成すればよい。
【0054】
そして、一定の力を超えて本体部4を回動させると、本体部側突起51がストッパー突起5221を乗り越える。すると、前記移動の制限は解除されて、図6(A)に示す横方向D2に本体部4を回動させることができるようになり、その結果、図6(B)に示すようにできる。
【0055】
図4に示すように、各ストッパー突起5221の内側(本体部側突起51に面した側)には斜面5221aが形成されている。このため、本体部側突起51はこの斜面5221aに当接して移動が制限されることになるから、過大な力を要さずに本体部側突起51がストッパー突起5221を乗り越えて係合解除できる。
【0056】
以上、横溝部522にストッパー突起5221,5221が形成されたことで、各ストッパー突起5221により本体部4が横方向D2に回動することを制限できる。このため、係合状態を確実に維持できる。また、前記乗り越えの際には、「カチッ」という音及び触覚(クリック感)が使用者に伝わるため、使用者は本体部4が係合状態でなくなったことを知ることができる。これにより、もし誤って本体部4を回動させた際にも前記クリック感が使用者に伝わるため、回動させたことが誤りの場合は、本体部4を取り付け直すことを使用者に促すことができる。
【0057】
一方、本体部4は、ホルダ3の壁部32に対向する側面41に、ホルダ3の縦溝部521に沿った移動と横溝部522に沿った移動とが可能な本体部側突起51が形成されている。この構成によると、取り付ける際、基本的に不動である側であるホルダ3に縦溝部521及び横溝部522が設けられ、移動させる側である本体部4に本体部側突起51が形成されている。よって、両者の位置合わせが容易である。
【0058】
本体部側突起51の縦断面形状は、図3(B)に示す形状である。本体部側突起51の上部には水平面511が形成されており、下部には水平面512及びテーパ面513が形成されている。下部の水平面512は、ホルダ3への本体部4の取り付け時に係合突起524に当接する。またテーパ面513は、下方に向かうにつれ本体部側突起51の突出量が縮小するような平坦な斜面である。
【0059】
なお、図2に示すように、本体部側突起51は側面41の上下方向中央よりも下方に位置している。このため、本体部側突起51は上下方向において非対称の位置にある。このため、使用者がもしも本体部4の表裏を間違えてホルダ3に取り付けようとしても、ホルダ3側の縦溝部521に本体部側突起51の位置(上下方向の位置)が合わないので取り付けできない。このため、誤装着を抑制できる。
【0060】
ホルダ3への本体部4の取り付けの際には、本体部側突起51のテーパ面513と縦溝部521の庇部523とが当接する。庇部523に本体部側突起51を一致させて上方から本体部4を押えると、ホルダ3は樹脂製であるから、本体部側突起51に押えられた庇部523は弾性変形して、庇部523の下方、つまり横溝部522内に本体部側突起51が移動する。この結果、本体部側突起51の下部の水平面512が係合突起524に当接する。この状態で本体部側突起51は、庇部523の水平面5232と係合突起524とに挟まれて図5に示す係合状態となる。なお、本体部側突起51が移動した際、庇部523の前記弾性変形が復帰する。この際、「カチッ」という音及び触覚(クリック感)が使用者に伝わるため、使用者は取り付けが正しくなされたことを知ることができる。
【0061】
なお、図3(A)及び図5に示すように、庇部523は内方に向かうにつれ上下寸法が小さくなる(剛性が小さくなる)ように形成されている。このため、大きな力で本体部4を下方に押し込まなくても、本体部側突起51を横溝部522内に移動させることができる。
【0062】
この図5に示す係合状態では、本体部側突起51を上方に移動させようとしても、庇部523の水平面5232と本体部側突起51の水平面511とが当接するため、移動させることができない。これにより、ホルダ3に対して本体部4を確実に係合させることができる。
【0063】
そして、前記係合状態を解除するには、例えば図6(A)に示すように反時計回りに本体部4を回転させることで、本体部側突起51を係合突起524上から外して横溝部522の長手方向に移動させ、図6(B)に示すように横溝部522から脱出させることができる。なお、本実施形態では前記と逆方向の時計回りに回転させても本体部側突起51を横溝部522から脱出させることができる。本体部側突起51が係合突起524上から外れると、係合突起524が無くなった分、横溝部522において本体部側突起51を基準とした上下方向寸法に余裕ができるため、本体部4を軽く回転させることができる。図6(B)に示す状態では前記係合状態が解除されているので、本体部4を上方に移動させることでホルダ3から本体部4を取り外すことができる。
【0064】
ここで、本体部側電極部43は、図6(A)(B)に破線で示すように、本体部側突起51とは別の位置に備られている。一方、図2に示すように、パッド2は取付部2Xにおいて、外周縁2bがホルダ3における壁部32の内縁321に略沿うようにしてホルダ3に保持されている。本体部側電極部43は、ホルダ3に本体部4が取り付けられた状態で、ホルダ3上に位置するパッド2のパッド側電極部22に当接することで低周波パルス電流を供給する。
【0065】
このように、本体部側電極部43をパッド側電極部22に当接した状態で、誘導係合部5によりホルダ3と本体部4とを係合できる。このため、両電極部の当接を強固にできる。よって、パッド2と本体部4との導通状態を安定させられる。
【0066】
また、誘導係合部5がホルダ3と本体部4との物理的接続を担当し、本体部側電極部43がパッド2と本体部4との電気的接続を担当する。このため、例えば金属製で凹凸嵌合をなすスナップ部材を用いて嵌合と導通とを兼ねるような、両接続を兼ねた構成に比べて安定した電流の供給が可能である。更に、誘導係合部5と本体部側電極部43とが近接していることにより、誘導係合部5における係合状態が維持される限りは、本体部側電極部43とパッド側電極部22との当接状態が損なわれにくく、低周波パルス電流を確実に供給できる。
【0067】
そして、パッド2は取付部2Xにおいて、外周縁2bに、ホルダ3における壁部32の湾曲に略一致した湾曲部24を備える。このように、取り外しの際の回動方向に沿った湾曲形状の外縁を有するパッド2のため、取り外しの際にパッド2が本体部側突起51等の誘導係合部5に引っ掛かってめくれる事態を抑制でき、快適に使用できる。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0069】
例えば、パッド2は極性別に分離して形成されていてもよい。また、前記実施形態では、本体部側電極部43との電気的接続のために形成されている導電層2aの露出部分が、取付部2Xにおける幅方向の両端に位置していたが、これに限定されず、取り付け時の本体部4と重なる限り、幅方向中央等の他の位置であってもよい。また、前記実施形態とは逆に、ホルダ3に突起が形成され、本体部4に溝部が形成されていてもよい。
【0070】
また、前記実施形態の誘導係合部5は、ホルダ3におけるパッド保持部31の長手方向両端に位置する壁部32(溝部52)と、本体部4においてホルダ3の壁部32に対向する側面41(本体部側突起51)とに亘って形成されていた。しかし、誘導係合部5はこれに限定されず、他の位置に形成されていてもよい。
【0071】
例えば、図7に示すように、ホルダ3におけるパッド保持部31の長手方向中央と、本体部4における長手方向中央とに亘って誘導係合部5を形成することもできる。図7に示す誘導係合部5は、本体部4の下面42の中央に形成された突起本体531及びこの突起本体531に対して出没可能な爪部からなる本体部側突起53と、ホルダ3の中央に形成され本体部側突起53が嵌る凹部54とを備える。
【0072】
前記実施形態と同様に、この誘導係合部5も、ホルダ3と本体部4の両者を係合すると共に、両者の取り付け・取り外しの際にホルダ3に対する本体部4の移動方向を規制する。つまり、この誘導係合部5でも、両者の取り付けの際には、両者が正対方向(下方向)に移動して係合に至る。そして、両者の取り外しの際には、ホルダ3に対して本体部4が前記正対方向に交わる方向(横方向)に移動することで両者の係合が解除されるよう形成されている。そして、この取り外しの際には、前記取り付けの際の移動方向と逆方向(上方向)への移動は抑制されている。
【0073】
なお、図7に示した誘導係合部5は、前記実施形態以外の形態の例を概略的に示したに過ぎない。誘導係合部5はその他種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 低周波治療器
2 パッド
2X 取付部
2Y 治療部
2a 導電層
2b パッドの外周縁
22 パッド側電極部
24 湾曲部
3 ホルダ
32 壁部
321 壁部の内縁
4 本体部
41 側面
43 本体部側電極部
5 誘導係合部
51 突起、本体部側突起
52 溝部
521 縦溝部
522 横溝部
5221 制限部、ストッパー突起
D1 正対方向
D2 正対方向に交わる方向、横方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7