(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フック軸の位置と前記フック部材が前記ロープ把持レバーを保持する位置との距離、及び、前記フック軸の位置と前記摺動部材が前記支持部材に接触している位置との距離が、水平面に対して射影した距離である、請求項1又は2記載のエレベータ用調速機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、機械的スイッチが記載されているが、どのような構成で機械的スイッチがシーブの回転を停止させるか記載されていない。
【0006】
また、
図8及び
図9に示すように、従来は、フライウェイト10が公転すると、遠心力によりフライウェイト10は軸の半径方向外側に移動する。そして、可動部材20がガバナシーブ30の方向(x軸負方向)に移動する。
【0007】
可動部材20がガバナシーブ30側の方向(x軸負方向)に移動すると、リンク部材A41はそれに連動してガバナシーブ30側の方向(x軸負方向)に移動する。
【0008】
リンク部材A41の一端は可動部材20に取付けられており、リンク部材A41の他端はリンク部材B42の一端に取付けられている。
【0009】
リンク部材B42は、一端がリンク部材A41にxz平面において回動可能に取り付けられており、他端は掴受け部材50に固定されている。リンク部材B42は、その中央部近傍で軸43により回動可能に取り付けられている。
【0010】
リンク部材A41がx軸負方向に移動すると、リンク部材B42は軸43を中心に回動する。つまり、リンク部材B42のリンク部材A41側の端は、x軸負方向に移動する。一方、リンク部材B42のロープ掴受け部材50側の端は、x軸正方向に移動する。
【0011】
ロープ掴受け部材50は、リンク部材B42の先端に固定されている。したがって、リンク部材B42のロープ掴受け部材50側の端が、x軸正方向に移動した場合、ロープ掴受け部材50は、リンク部材B42の回動に連動して、x軸正方向に移動する。
【0012】
ロープ掴受け部材50は、ロープ把持部材70に固定されているベアリング部材60と摺動可能に接触している。ロープ掴受け部材50は、ベアリング部材60を介してロープ把持レバー(トリップレバー)70を支えている。
【0013】
ガバナシーブ30が所定の回転数を超えた場合、ロープ掴受け部材50は、x軸正方向に移動し、ベアリング部材60から外れる。
【0014】
そして、ロープ把持レバー70は、自重により下方向に軸71を中心に回動する。そして、ロープ把持レバー70は、ガバナシーブ30に取付けられているガバナロープ90を、ロープ把持部材80との間で挟み込むことによって把持する。
【0015】
その結果、ガバナロープ90の走行は停止し、連動して非常停止装置が作動し、かごは停止する。
【0016】
ベアリング部材60がロープ掴受け部材50に接触している場合、ロープ把持レバー70及びベアリング部材60の重量に対する反力は、軸43の方向に向いている。
【0017】
しかし、ベアリング部材60がロープ掴受け部材50から離れた瞬間、ロープ把持レバー70及びベアリング部材60の重量に対する反力の向きは、軸43の方向に向いている向きから急激に変化する。
【0018】
そして、当該反力の向きが急激に変化することにより、ロープ掴み受け部材50からロープ把持レバー70が離れるまでの動作が安定しない。また、ロープ把持レバー70がガバナロープ90を把持するまでの速度が安定しない。そのため、エレベータの速度検出の精度に問題があった。
【0019】
一方、ロープ把持レバー70及びベアリング部材60の重量に比例して、その反力も大きくなることから、ロープ把持レバー70及びベアリング部材60の重量に対する反力の向きが急激に変化すると、リンク部材A41、リンク部材B42又は軸43等の調速機の部品への負荷が大きくなる。そして、リンク部材B42又は軸43等の調速機の部品が破損等するおそれがある。
【0020】
本発明の主な目的は、エレベータの速度検出の精度を高めることである。
【0021】
また、本発明の他の目的は、エレベータ用調速機の部品等にかかる負荷を減少させることである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係るエレベータ用調速機は、かごの昇降に伴って走行するガバナロープが掛けられるガバナシーブの自転に基づいて、エレベータの速度を検出する調速機であって、
前記ガバナシーブの自転に連動して、前記ガバナシーブの回転軸であるシャフトを回転軸として公転する錘部と、
前記錘部の公転により前記錘部が前記シャフトを中心とした半径方向に移動することに連動して、前記シャフト方向に移動する可動部材と、
前記可動部材の移動に連動して移動する、前記可動部材に直接的又は間接的に接続される支持部材と、
前記支持部材により
上方から支持され、当該支持が外れることが可能であ
る、前記支持部材と摺動する摺動部材と、
前記摺動部材と接続され、
前記支持部材の回転軸より下方に配置されるフック軸を中心に回動可能であるフック部材と、
前記フック部材によって保持され、前記フック部材の回動によって前記保持が外れるロープ把持レバーと、
前記ガバナロープを前記ロープ把持レバーとで把持するロープ把持部材と、
前記ロープ把持レバーと前記ロープ把持部材とで前記ガバナロープを把持する把持機構を備え、
前記フック軸の位置と前記フック部材が前記ロープ把持レバーを保持する位置との距離より、前記フック軸の位置と前記摺動部材が前記支持部材に接触している位置との距離のほうが長
く、
前記支持部材が移動することにより、前記摺動部材が前記支持部材の下面を移動し、前記支持部材の支持が外れ、前記フック部材が回動する、ものである。
【0023】
フック軸の位置とフック部材がロープ把持レバーを保持する位置との距離より、フック軸の位置と摺動部材が支持部材に接触している位置との距離のほうが長いため、てこの原理により摺動部材及び支持部材にかかる負荷が小さくなる。
【0024】
したがって、ロープ把持レバー等の重量に対する反力の向きが急激に変化しても、当該反力が小さくなるので、ロープ把持レバーの動作に対する当該反力の影響が小さくなる。
【0025】
そのため、フック部材等の動作が安定し易くなり、ガバナロープが把持されるまでの速度が安定し易くなる。
【0026】
また、当該反力が小さくなることから、調速機の部品等に対する負荷が小さくなる。
【0027】
なお、摺動部材は、支持部材又は摺動部材の少なくとも一方が滑るだけでなく、一方の部材が転がるような構成であってもよい。また、ロープ把持レバーは、レバーに限定されない。
【0028】
本発明に係るエレベータ用調速機は、前記ロープ把持レバーは、レバー軸と、前記ガバナロープに接触可能な頭部とを含み、前記把持機構は、前記支持部材による前記摺動部材の支持が外れた場合、前記フック部材が前記フック軸を中心に回動し、前記フック部材による前記ロープ把持レバーの保持が外れ、前記ロープ把持レバーが前記レバー軸を中心に回動し、前記頭部が前記ガバナロープに接触し、前記ロープ把持レバーと前記ロープ把持部材とで前記ガバナロープを把持するものである。
【0029】
このようなものであれば、ガバナロープが確実に把持される。
【0030】
前記フック軸の位置と前記フック部材が前記ロープ把持レバーを保持する位置との距離、及び、前記フック軸の位置と前記摺動部材が前記支持部材に接触している位置との距離が、水平面に対して射影した距離であるものであってもよい。力のかかる方向が上下方向の場合、水平面に対して射影した距離によって力のモーメントが決定されるからである。
【0031】
つまり、前記フック軸の位置と前記フック部材が前記ロープ把持レバーを保持する位置との距離であって水平面に対して射影した距離より、前記フック軸の位置と前記摺動部材が前記支持部材に接触している位置との距離であって水平面に対して射影した距離のほうが長いものであってもよい。このようなものであっても、摺動部材及び支持部材にかかる負荷が小さくなる。
【0032】
そのため、フック部材等の動作が安定し易くなり、ガバナロープが把持されるまでの速度が安定し易くなる。また、当該反力が小さくなることから、調速機の部品等に対する負荷が小さくなる。
【0033】
なお、フック部材が屈曲部を有するようなものであってもよい。また、上記のような調速機を備えるエレベータが好ましい。
【0034】
また、前記エレベータ用調速機を用いた速度検出方法は、前記ガバナシーブの自転に連動して、前記ガバナシーブの回転軸であるシャフトを回転軸として前記錘部が公転する公転工程と、前記公転工程により、前記錘部が前記シャフトを中心とした半径方向に移動することに連動して、前記シャフト方向に前記可動部材が移動する可動部材移動工程と、前記可動部材移動工程に連動して、前記摺動部材に対して前記支持部材が移動し、前記支持部材が前記摺動部材から外れることが可能な支持部材移動工程と、前記支持部材移動工程で前記支持部材が前記摺動部材から外れた場合、前記フック部材が前記フック軸を中心に回動し、前記フック部材が前記ロープ把持レバーから外れるフック部材回動工程と、前記フック部材回動工程により、前記ロープ把持レバーがレバー軸を中心に回動し、前記ロープ把持部材とで前記ガバナロープを把持する把持工程と、を含む、方法である。
【0035】
このような方法であれば、摺動部材及び支持部材にかかる負荷が小さくなる。そのため、上記と同様の効果を有する。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係るエレベータ用調速機であれば、エレベータの速度検出の精度を高めることができる。また、本発明に係るエレベータ用調速機であれば、エレベータ用調速機の部品等にかかる負荷を減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係るエレベータ用調速機(以下、「調速機」という。)の実施形態に関して図面を参照しながら説明する。
【0039】
(エレベータ100)
図1及び
図2に示すように、エレベータ100において、昇降路最上部の機械室には巻上機200が設置されている。巻上機200の駆動シーブ210に巻き掛けられた主ロープ220の一端部にはかご230が、他端部には釣合錘240が連結されている。
【0040】
巻上機200のモータ211によって駆動シーブ210が回転駆動されると、これに伴って主ロープ220が走行し、主ロープ220で吊り下げられたかご230が、ガイドレール300に案内されて昇降路内を昇降する。
【0041】
エレベータ100には、かご230の昇降速度が所定速度を超過したことを機械的に検知する調速機400が設けられている。調速機400のガバナシーブ410とガバナシーブ410の下方に位置するテンションシーブ500との間には、無端状のガバナロープ600が巻き掛けられている。
【0042】
テンションシーブ500には錘700が吊設されており、ガバナロープ600は、これらの自重によって主ロープ220と平行に緊張した状態で張架されている。このガバナロープ600の一部は、かご230側に備えた非常止め装置231を作動させる非常止めレバー250に固定されている。
【0043】
このため、ガバナロープ600は、かご230の昇降に同期してかご230と同速度で走行する。このとき、ガバナロープ600の走行速度と同速度で回転させられるガバナシーブ410の回転速度を調速機400が検出することで、昇降中のかご230の速度超過が検知される。
【0044】
(調速機400)
調速機400は、ガバナロープ600の走行速度(かご230の昇降速度)と同速度で回転するガバナシーブ410の回転速度を検出する。
【0045】
図3及び
図4に示すように、調速機400は、ベース420の上に立設された支柱430と、支柱430に取付けられた回転軸431と、回転軸431に取付けられた固定部材411と、固定部材411に取付けられるガバナシーブ410と、固定部材411のx軸正方向側に設けられる弾性部材であるバネ450と、バネ450のx軸正方向側に設けられる可動部材460と、可動部材460に取付けられる接続部材440と、ガバナシーブ410と接続部材440とに取付けられているフライウェイト部470と、を備える。
【0046】
ベース420には、ガバナロープ600の走行路を確保するための開口部(図示しない。)が開設されている。ベース420の下面には、脚部421が配置されている。
【0047】
支柱430には、シャフトである回転軸431及び固定部材411を介してガバナシーブ410が回転自在に取り付けられている。
【0048】
なお、本実施形態では、回転軸431は回転しないが、回転軸431が自転するような構成であってもよい。また、本実施形態では、固定部材411は回転軸431に固定されており回転しないが、回転軸431を軸に回転するような構成であってもよい。
【0049】
ガバナシーブ410の円周部には、溝(図示しない)が設けられている。ガバナシーブ410の溝(図示しない)には、ガバナロープ600が掛けられている。そして、ガバナロープ600が走行すると、ガバナシーブ410が回転する。
【0050】
ガバナシーブ410の回転軸431は、略水平の軸であり、支柱430とは反対方向側(x軸正方向)に延伸している。回転軸431には、固定部材411が取り付けられている。そして、固定部材411には、ベアリング(図示しない)を介してガバナシーブ410が取り付けられている。
【0051】
固定部材411のx軸正方向側には、バネ450を介して可動部材460が配置されている。可動部材460は、回転軸431に対してx軸方向に摺動可能である。また、本実施形態では、可動部材460は、回転軸431に対して回転しないように取付けられている。
【0052】
接続部材440は、可動部材460に対して、ベアリング(図示しない)を介して取り付けられており、回転軸431を軸として回転可能である。
【0053】
固定部材411と可動部材460との間には、弾性部材であるバネ450が配置されている。そして、可動部材460は、回転軸431に摺動固定されている。つまり、可動部材460は、回転軸431上を往復運動することが可能である。
【0054】
なお、本実施形態では、可動部材460は、回転軸431に対して回転しないように固定されているが、回転するように固定される構成であってもよい。
【0055】
フライウェイト部470は、バー471と錘部472とから構成される。バー471は、バーA471aとバーB471bとがある。バーA471aは、一端はガバナシーブ410に取付けられ、他端は錘部472に取付けられている。バーB471bは、一端は接続部材440に取付けられ、他端は錘部472に取付けられている。
【0056】
バー471は、錘部472とxz平面において回動可能に取り付けられている。バーB471bは、略中央部でxz平面において回動可能となっている。錘部472がyz平面において回転軸431を中心とした半径方向外側に移動した場合、接続部材440及び可動部材460は、回転軸431に沿ってx軸負方向側に移動する。
【0057】
なお、本実施形態では、フライウェイト部470は、2箇所設けられているが、3箇所以上設けられてもよい。
【0058】
ガバナシーブ410が回転軸431を中心に回転すると、フライウェイト部470も連動して回転軸431を中心に回転する。そして、フライウェイト部470が回転軸431を中心に回転すると、接続部材440が連動して回転軸431を中心に回転する。
【0059】
錘部472は回転軸431を中心に公転する。錘部472には公転により遠心力が加わり、yz平面で回転軸431を中心とした半径方向外側に錘部472が移動しようとする。
【0060】
錘部472がyz平面で半径方向外側に移動すると、バーB471bの一端が接続部材440に固定されていることから、接続部材440は、ガバナシーブ410側(x軸負方向側)に移動する。
【0061】
接続部材440のx軸負方向側では、可動部材460が回転軸431を中心とした半径方向外側に突起していることから、接続部材440と共に可動部材460がガバナシーブ410側(x軸負方向側)に移動する。
【0062】
固定部材411と可動部材460との間にはバネ450が配置されていることから、可動部材460がx軸負方向に移動しようとする力が、バネ450の弾性力より大きい場合に、可動部材460は、x軸負方向に移動する。具体的には、可動部材460及び接続部材440がx軸負方向に移動する。
【0063】
接続部材440がx軸負方向に移動しようとする力が生じた場合、可動部材460がx軸負方向に移動する。逆に接続部材440がx軸正方向に移動した場合、バネ450の付勢力により、可動部材460が接続部材440と連動してx軸正方向に移動する。
【0064】
可動部材460には、リンク部材480が接続されている。リンク部材480は、可動部材460と支持部材485とを接続する。
【0065】
本実施形態では、リンク部材480は、リンク部材A481とリンク部材B482とリンク部材C483とから構成される。リンク部材A481とリンク部材B482とリンク部材C483とは、xz平面において回動可能に接続されている。なお、本実施形態ではリンク部材480を用いているが、リンク部材480を用いず、可動部材460に直接的に支持部材485が接続されていてもよい。
【0066】
リンク部材A481は、可動部材460とリンク部材B482とを接続する。リンク部材A481と可動部材460とは、xz平面において回動可能に接続されている。また、リンク部材A481とリンク部材B482とは、xz平面において回動可能に接続されている。
【0067】
リンク部材B482は、リンク部材A481とリンク部材C483とを接続する。リンク部材B482とリンク部材A481とは、xz平面において回動可能に接続されている。また、リンク部材B482とリンク部材C483とは、xz平面において回動可能に接続されている。
【0068】
リンク部材C483は、リンク部材B482と支持部材485とを接続する。リンク部材C483とリンク部材B482とは、回動可能に接続されている。リンク部材C483と支持部材485とは、固定されている。当該固定は、ボルト及びナット、溶接等どのような方法であってもよい。なお、リンク部材C483と支持部材485とは、別部材であるが一つの部材であってもよい。
【0069】
リンク部材C483は、軸484aにより、リンク支持部材484と回動可能に取り付けられている。リンク支持部材484の上端は、回転軸431に接続されている。なお、リンク支持部材484は、回転軸431に固定されている。
【0070】
このような構造により、接続部材440及び可動部材460が回転軸431上をx軸負方向に移動した場合、リンク部材A481及びリンク部材B482がx軸負方向に移動する。そして、リンク部材C483の上部をリンク部材B482がx軸負方向に引っ張り、リンク部材C483は、軸484aを中心に回動する。そして、リンク部材C483の下部は、x軸正方向に移動する。
【0071】
リンク部材C483の下部がx軸正方向に移動すると、それに連動して支持部材485もx軸正方向に移動する。正確には、支持部材485は、軸484aを中心にx軸正方向に回動する。つまり、支持部材485は、y軸正方向視で、軸484aを中心に反時計回りに回動する。
【0072】
接続部材440及び可動部材460が回転軸431上をx軸正方向に移動した場合、リンク部材A481及びリンク部材B482がx軸正方向に移動する。そして、リンク部材C483の上部をリンク部材B482がx軸正方向に押し、リンク部材C483は、軸484aを中心に回動する。そして、リンク部材C483の下部は、x軸負方向に移動する。
【0073】
リンク部材C483の下部がx軸負方向に移動すると、それに連動して支持部材485もx軸負方向に移動する。正確には、支持部材485は、軸484aを中心にx軸負方向に回動する。つまり、支持部材485は、y軸正方向視で、軸484aを中心に時計回りに回動する。
【0074】
支持部材485の下面は、摺動部材486と接触している。摺動部材486の先端は、支持部材485の下面を滑るように接触している。本実施形態では、摺動部材486の先端486aはベアリングとなっている。摺動部材486は、摺動でなく回動するようなものであってもよい。
【0075】
摺動部材486は、フック部材487に固定されている。具体的には、フック部材487は、yz平面視略L字状であり、xy平面視略L字状である。フック部材487は、固定部487aと、屈曲部487bと、ロープ把持レバー490を引っ掛けるフック部487cとから構成される。
【0076】
摺動部材486は、フック部材487の固定部487aに固定されている。フック部材487のフック部487cは、一部が切欠き状になっている。なお、フック部材487は、屈曲部487bを備えない構成であってもよい。
【0077】
フック部材487は、フック軸489aにより、フック支持部材489の上部に対して回動可能に取り付けられている。フック支持部材489の下部は、ベース420に固定されている。フック軸489aは、フック部材487の屈曲部487bに取付けられている。
【0078】
フック軸489aの位置から摺動部材486の先端486aまでの距離は長いほうが好ましい。フック軸489aの位置が支点となり、摺動部材486の先端486aが力点となるため、支点から力点までの距離が長くなれば、力点に係る力を小さくすることができる。
【0079】
また、フック軸489aの位置からフック部487cの切欠き部分の位置までの距離は短いほうが好ましい。フック軸489aの位置が支点となり、ロープ把持レバー490が支えられている位置(突起部491aの位置)がフック部487cの切欠き部分の位置となるため、当該位置が作用点となる。そのため、支点から作用点までの距離が短くなれば、力点に係る力を小さくすることができる。
【0080】
図5は、本実施形態のフック部材487の形状と異なる形状のフック部材900である。フック軸489aの位置と摺動部材930の先端931との距離L1は、フック軸489aの位置とフック部920の切欠き部分の位置(突起部491aの位置)との距離L2より長いことが好ましい。
【0081】
また、
図6は、本実施形態のように屈曲したフック部材950である。フック軸489aの位置と摺動部材980の先端981との距離L1は、フック軸489aの位置とフック部970の切欠き部分の位置(突起部491aの位置)との距離L2より長いことが好ましい。ここで、L1及びL2は、
図6に示すように、y軸上の距離のことである。
【0082】
このようなものであれば、摺動部材486(930,980)及び支持部材485等にかかる負担を小さくすることができる。この結果、フック部材487(900,950)及び摺動部材486(930,980)のフック軸489aの位置を中心とした回動動作が不安定になりにくい。
【0083】
ロープ把持レバー490は、頭部491と、軸部492と、弾性部493とから構成される。
【0084】
頭部491には、突起部491aが設けられている。突起部491aは、フック部材487のフック部487cを引っ掛けることが可能である。軸部492には、レバー軸494を通す貫通孔492aが設けられている。
【0085】
貫通孔492aには、レバー軸494が挿入されている。ロープ把持レバー490は、レバー軸494により、レバー支持部材495に回動可能に取り付けられている。レバー支持部材495の下部は、ベース420に固定されている。そして、弾性部493は、頭部491と軸部492との間に配置されている。
【0086】
このような構成により、支持部材485がx軸正方向に所定距離移動した場合、支持部材485は、摺動部材486との接触限界を超え、摺動部材486から外れる。
【0087】
支持部材485が摺動部材486から外れた場合、フック部材487は、フック軸489aの位置を中心に回動する。つまり、フック部材487の固定部487aは上方に移動し、フック部487cはy軸正方向に移動する。
【0088】
言い換えると、x軸負方向視でフック部487cは、フック軸489aを中心に反時計回りに回動する。
【0089】
そして、ロープ把持レバー490の頭部491に設けられている突起部491aからフック部487cが外れる。その結果、ロープ把持レバー490が、その自重によりレバー軸494を中心に回動し、頭部491が下方に移動する。
【0090】
フック部材487によるフックが外れたロープ把持レバー490は、頭部491が下方に移動し、その頭部491と、ガバナロープ600のy軸負方向側に配置されているロープ把持部材496とが、ガバナロープ600を挟む。つまり、ロープ把持レバー490とロープ把持部材496とでガバナロープ600が把持される。この結果、ガバナロープ600の走行は停止する。
【0091】
ガバナロープ600は、ロープ把持レバー490とロープ把持部材496とで把持されるところでは下方に走行しているので、ロープ把持レバー490の頭部491は、ガバナロープ600との摩擦力によりさらに下方に移動する。この場合、ロープ把持レバー490の弾性部493は縮まる。
【0092】
そのため、ロープ把持レバー490がガバナロープ600を押圧する力がさらに強まる。つまり、ロープ把持レバー490とロープ把持部材496とでガバナロープ600を把持する力がさらに強まる。これにより、ガバナロープ600の走行がいっそう停止しやすくなる。
【0093】
つまり、かご230の昇降速度が定格速度(所定速度)の大きさを超える第1の速度(日本の法令では、定格速度の130%以内)になると、主ロープ220の巻上機200を構成するモータ211にブレーキがかけられる。
【0094】
しかし、主ロープ220が破断した場合等には、モータ211を止めてもかご230の降下は止まらない。そのため、かご230の降下速度(ガバナシーブ410の回転速度)が、第1の速度よりもさらに大きい第2の速度(日本の法令では、定格速度の140%)を超えた場合、支持部材485による支持が外れて、それに連動してロープ把持レバー490がその自重により下方へ移動する。
【0095】
これにより、ロープ把持レバー490とロープ把持部材496との間隔が徐々に狭まっていく。そして、ロープ把持レバー490がその間を下方に走行するガバナロープ600と接触した後は、ガバナロープ600との間に生じる摩擦力も加わり、ロープ把持レバー490は、さらに下方に移動する。
【0096】
そして、ガバナロープ600がロープ把持レバー490とロープ把持部材496との間に挟まれて、ガバナロープ600の走行は停止する。
【0097】
そして、かご230は降下し続けているにもかかわらず、ガバナロープ600の走行が停止した場合、ガバナロープ600に固定されている非常止めレバー250がガバナロープ600に引っ張られる。その結果、非常止め装置231が作動し、かご230は停止する。
【0098】
このような構成により、調速機400は、所定のガバナシーブ410の回転速度を検出する。言い換えると、調速機400は、ガバナロープ600の走行速度を検出することになる。つまり、調速機400は、かご230の速度を検出する。
【0099】
(かご230の速度検出方法)
図7を用いてかご230の速度検出方法について説明する。まず、ガバナシーブ410の自転に連動して接続部材440が回転軸431を中心に自転する(自転工程、ステップS11)。回転軸431には、固定部材411、バネ450、可動部材460、リンク支持部材484が取り付けられている。
【0100】
固定部材411にガバナシーブ410が取り付けられている。可動部材460に接続部材440が取り付けられている。そして、ガバナシーブ410と接続部材440にフライウェイト部470が取り付けられている。
【0101】
回転軸431を中心として、フライウェイト部470の錘部472が公転する(公転工程、ステップS12)。
【0102】
錘部472は、zy平面において、回転軸431を中心として公転する。錘部472は遠心力により、回転軸431を中心とした半径方向外側に移動する。
【0103】
つまり、ガバナシーブ410の単位時間当たりの回転数が増加した場合、錘部472は、遠心力により、回転軸431を中心とした半径方向外側に移動する。逆に、ガバナシーブ410の単位時間当たりの回転数が減少した場合、錘部472は、回転軸431を中心とした半径方向内側に移動する。
【0104】
次に、錘部472が回転軸431を中心とした半径方向に移動することに連動して、回転軸431方向に可動部材460が移動する(可動部材移動工程、ステップS13)。
【0105】
具体的には、錘部472が回転軸431を中心として半径方向外側に移動した場合、接続部材440と錘部472とは、バー471によって接続されているので、接続部材440には、回転軸431方向のガバナシーブ410側(x軸負方向)に移動しようとする力が加わる。
【0106】
次に、接続部材440の移動しようとする力により、可動部材460が移動し、リンク部材480が回動する(リンク部材駆動工程、ステップS14)。
【0107】
具体的には、例えば接続部材440が回転軸431方向のガバナシーブ410側(x軸負方向)に移動しようとする力が生じた場合、可動部材460がx軸負方向に移動する。そして、リンク部材A481は、接続部材440と同じx軸負方向に移動する。そして、それに連動して、リンク部材B482がx軸負方向に移動する。
【0108】
そして、それに連動して、リンク部材B482に接続されているリンク部材C483の上端が、x軸負方向に移動する。リンク部材C483は、軸484aを中心に回動し、下端がx軸正方向に移動する。
【0109】
リンク部材480の移動に連動して、支持部材485が回動する(支持部材移動工程、ステップS15)。
【0110】
具体的には、リンク部材C483の下端には支持部材485が接続されているため、リンク部材C483の下端がx軸正方向に移動した場合、支持部材485がx軸正方向に移動する。正確には、支持部材485は、リンク部材C483の軸484aを中心に回動する。
【0111】
次に、支持部材485が摺動部材486に対して摺動移動する(支持部材移動工程、ステップS16)。
【0112】
ガバナシーブ410の単位時間当たりの回転数が、所定の回転数以上となった場合、支持部材485は、摺動部材486との接触限界を超え、摺動部材486から外れる。
【0113】
支持部材485が摺動部材486から外れた場合、摺動部材486及びフック部材487がフック軸489aを中心に回動する(フック部材回動工程、ステップS17)。
【0114】
具体的には、支持部材485が摺動部材486と接触する部分の長さは限られているため、支持部材485が摺動部材486に対して所定の距離以上に摺動した場合、支持部材485は摺動部材486から外れる。
【0115】
支持部材485が摺動部材486から外れた場合、フック部材487のフック部487cには、ロープ把持レバー490の突起部491aが挿入されていることから、頭部491の重量によって、フック部487cが降下する方向に、フック部材487が回動する。
【0116】
そして、突起部491aがフック部487cから外れ、ロープ把持レバー490が、レバー軸494を中心に回動し、頭部491が降下する(ロープ把持レバー駆動工程、ステップS18)。
【0117】
具体的には、フック部材487のフック部487cがロープ把持レバー490の突起部491aを支えているが、フック部材487が回動することにより、切欠き状のフック部487cから突起部491aが外れる。そして、ロープ把持レバー490の頭部491が降下する。
【0118】
次に、ロープ把持レバー490とロープ把持部材496とでガバナロープ600が把持される(把持工程、ステップS19)。
【0119】
ロープ把持レバー490とロープ把持部材496とでガバナロープ600を把持することにより、ガバナロープ600の走行が停止する。そして、ガバナロープ600の走行が停止することに連動して、非常止め装置231が作動し、かご230の走行が停止する。
【0120】
本発明に係る調速機400は、終端階強制減速装置としても用いることができる。
【0121】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。