【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に関わるガラスフリットを金属微粒子の集まりで覆い、該金属微粒子の金属結合で前記ガラスフリット同士が結合された
該ガラスフリットの集まりを製造する製造方法は、熱分解で金属を析出する第一の性質と、熱分解温度がガラスフリットの軟化点より低い第二の性質を兼備する金属化合物を、アルコールに分散し、該金属化合物が前記アルコー
ルに均一に分散したアルコール分散液を作成する第一の工程と、前記アルコールに溶解ないしは混和する第一の性質と、前記アルコールより粘度が高い第二の性質と、沸点が前記アルコールの沸点より高く、かつ、前記金属化合物の熱分解温度より低い第三の性質を兼備する有機化合物を、前記アルコール分散液に混合
し、該有機化合物が前記アルコールに溶解ないしは混和
することで、前記金属化合物と前記有機化合物とが
前記アルコールに均一に混ざり合った混合液を作成する第二の工程と、ガラスフリットの集まりを前記混合液に浸漬
し、該ガラスフリットの表面に前記混合液の粘度に応じた厚みで該混合液
を均一に付着
させ、この後、該ガラスフリットの集まりを前記混合液から取り出す第三の工程と、該ガラスフリットの集まりを
前記金属化合物が熱分解する温度に昇温し、最初に
前記アルコール
を気化
させ、次に
前記有機化合物
を気化
させ、前記ガラスフリットの表面に、前記金属化合物の微細結晶の集まり
を析出
させる、さらに、前記金属化合物
が熱分解
し、前記ガラスフリットの軟化点より低い温度で、該金属化合物の熱分解が完了し、前記ガラスフリットの表面に、前記金属化合物の微細結晶の大きさに応じた粒状の金属微粒子
の集まりが析出し、該金属微粒子同士が互いに接触する部位で金属結合し、該金属結合した金属微粒子の集まりが前記ガラスフリットを覆うとともに、該ガラスフリットを覆った
前記金属微粒子が金属結合
し、該金属微粒子の金属結合によって、前記ガラスフリット同士が結合した
該ガラスフリットの集まりが製造される第四の工程と、該ガラスフリットの集まりを、該ガラスフリットの徐冷点に15分以上放置した後に室温まで徐冷する第五の工程からなり、これら5つの工程を連続して実施する方法が、ガラスフリットが金属微粒子の集まりで覆われ、該金属微粒子の金属結合で前記ガラスフリット同士が結合された
該ガラスフリットの集まりを製造する製造方法である。
【0008】
つまり、本製造方法によれば、次の5つの簡単な工程を連続して実施するだけで、ガラスフリットが金属微粒子の集まりで覆われ、金属微粒子の金属結合で前記ガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが、安価な製造費用で大量に製造できる。
第一の工程は、金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合するだけの処理である。第三の工程は、ガラスフリットの集まりを混合液に浸漬し、このガラスフリットの集まりを取り出すだけの処理である。第四の工程は、ガラスフリットの集まりを、ガラスフリットの軟化点より低い温度で熱処理するだけの処理である。第五の工程は、ガラスフリットの集まりを、ガラスフリットの徐冷点に15分以上放置した後に室温まで徐冷するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、金属微粒子の集まりで覆われ、かつ、熱処理に伴う残留歪が解除されたガラスフリットの集まりが、安価な製造費用で大量に製造できる。
また、熱分解で金属を析出する金属化合物とアルコールと有機化合物とは、いずれも汎用的な工業用薬品であり、ガラスフリットは汎用的な工業用素材である。さらに、熱分解で金属を析出する金属化合物は、様々な金属元素からなる金属を析出する。従って、安価な工業用薬品を原料として用い、極めて簡単な処理を実施するだけで、金属微粒子で覆われた新たな構造を持つガラスフリットの集まりが安価な製作費用で大量に製造できる。このため、本製造方法に依れば、6段落で説明した第一と第二との課題を同時に解決して、ガラスフリットの集まりが製造される。
つまり、本製造方法に依れば、第一に、アルコール分散液中に金属化合物が均一に分散する。第二に、有機化合物がアルコールに溶解ないしは混和する性質を持つため、混合液中に金属化合物が均一に分散する。第三に、有機化合物がアルコールより粘度が高いため、混合液は有機化合物の混合割合に応じた粘度を持ち、この混合液にガラスフリットの集まりを浸漬すると、ガラスフリットに粘度に応じた厚みで混合液が付着する。この結果、ガラスフリットに、熱分解で金属を析出する金属化合物が均一に付着する。
この後、ガラスフリットの集まりを熱処理する。最初にアルコールが気化し、次に有機化合物が気化する。これによって、ガラスフリットの表面に金属化合物の微細結晶の集まりが析出する。さらに昇温すると、微細結晶をなす金属化合物の熱分解が始まり、ガラスフリットの軟化点より低い温度で、金属化合物の熱分解が完了し、ガラスフリットに微細結晶の大きさに応じた粒状の金属微粒子が集まりをなして析出する。この際、金属化合物の熱分解で析出した金属は、不純物を持たない活性状態にあるため、金属微粒子は互いに接触する部位で金属結合し、金属結合した金属微粒子の集まりがガラスフリットを覆い、ガラスフリットを覆った金属微粒子の金属結合で、ガラスフリット同士が結合され、ガラスフリットの集まりが製造される。
なお、軟化点はガラスフリットの熱間加工の下限温度を意味する。従って、ガラスフリットの軟化点より低い温度でガラスフリットが処理されるため、ガラスフリットには熱間加工がなされず、ガラスフリットの徐冷点に15分以上放置して歪を解除し、その後室温まで徐冷すれば、ガラスフリットは処理以前の状態に戻る。このため、処理後のガラスフリットは経時変化せず、必要な時に成形体の原料として用いることができる。
つまり、金属微粒子の原料である金属化合物を、アルコールに分散することで金属化合物が液相化され、これによって、アルコール分散液と有機化合物との混合液がガラスフリットに付着する。このようなガラスフリットの集まりを昇温して、アルコールと有機化合物とを気化すれば、金属化合物の微細結晶の集まりが、ガラスフリットの表面に析出してガラスフリットを覆う。さらに昇温して微細結晶の集まりからなる金属化合物を熱分解すれば、微細結晶の大きさに応じた金属微粒子が、集まりをなしてガラスフリットの表面を覆う。この際、金属微粒子が接触部位で互いに金属結合するため、ガラスフリットを覆った金属微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合され、ガラスフリットの集まりが製造される。このように、本製造方法は、第一に、金属微粒子の原料である金属化合物を液相化し、液相化された金属化合物をガラスフリットに付着させ、第二に、金属化合物の微細結晶を析出させ、この微細結晶を熱分解して金属微粒子を析出させる特徴を有する。これによって、ガラスフリットを覆った金属微粒子の金属結合で、ガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが製造される、作用効果がもたらされる。
また、熱分解で金属を析出する金属化合物とアルコールと有機化合物とは、いずれも汎用的な工業用薬品である。このような工業用薬品を混合するだけで混合液ができる。また、混合液に浸漬したガラスフリットの集まりを、ガラスフリットの軟化点より低い温度に昇温するだけで金属化合物が熱分解し、ガラスフリットを覆った金属微粒子の金属結合で、ガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが大量に製造できる。従って、安価な工業用薬品を原料として用い、極めて簡単な処理を実施するだけで、ガラスフリットの集まりが安価な製作費用で大量に製造できる。このため、本製造方法に依れば、6段落で説明した第一と第二との課題を同時に解決して、ガラスフリットの集まりが製造される。
【0009】
7段落に記載した金属微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合された
該ガラスフリットの集まりを製造する製造方法は、
7段落に記載した金属化合物が、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、前記カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴を兼備するカルボン酸金属化合物であり、
7段落に記載した有機化合物が、カルボン酸エステル類、グリコール類ないしはグリコールエーテル類
のいずれかに属するいずれか一種類の有機化合物であり、
7段落に記載したガラスフリットが、前記カルボン酸金属化合物が熱分解する温度より軟化点が高いガラスフリットであり、前記カルボン酸金属化合物と前記一種類の有機化合物と前記ガラスフリットとを用い、
7段落に記載した5つの工程を連続して実施する製造方法に従って金属微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合した
該ガラスフリットの集まりを製造する、
7段落に記載した金属微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合された
該ガラスフリットの集まりを製造する製造方法
である。
【0010】
つまり、二つの特徴を持つカルボン酸金属化合物は、大気雰囲気の290−430℃の温度で熱分解が完了し金属を析出する。従って、カルボン酸金属化合物の熱分解温度より軟化点が高いガラスフリットの表面に、40−60nmの大きさの粒状の金属微粒子の集まりが析出する。この際、析出した金属微粒子は不純物を持たない活性状態にあるため、粒状の金属微粒子は互いに接触する部位で金属結合し、ガラスフリットを覆った金属微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが製造される。この後、ガラスフリットの徐冷点に15分以上放置した後に室温まで徐冷すれば、熱処理に伴ってガラスフリットに残留した歪が解除する。
なお、金属微粒子は、金属微粒子が析出した温度より高い温度に昇温されると、隣接する金属微粒子を取り込んで成長して粗大化し、昇温される温度が高くなるほど、より大きな金属微粒子に粗大化する。従って、成形体を製造する際に、ガラスフリットは軟化点を超える温度に昇温されるため、金属微粒子は粗大化する。金属微粒子が過度に粗大化すると、軟化したガラスフリットが粗大化した金属微粒子の外側にはみ出て、軟化したガラスフリット同士が直接接合し、金属微粒子の集まりが成形体に連続した経路を形成せず、成形体が金属の性質を示さない場合がある。いっぽう、より多くの金属微粒子の集まりでガラスフリットを覆えばこのような事態は避けられるが、ガラスの特長である軽量化が失われる。従って、カルボン酸金属化合物の熱分解温度である290−430℃より高く、この熱分解温度に近い軟化点を持つガラスフリットを使用するのが望ましい。
すなわち、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とを兼備するカルボン酸金属化合物を構成するイオンの中で、金属イオンが最も大きい。従って、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの距離が、他のイオン同士の距離より長い。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、カルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの結合部が最初に分断され、カルボン酸と金属とに分離する。さらに、カルボン酸が飽和脂肪酸から構成される場合は、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の分子量に応じて、カルボン酸の気化が進み、気化が完了すると金属が析出する。こうしたカルボン酸金属化合物として、オクチル酸金属化合物、ラウリン酸金属化合物、ステアリン酸金属化合物などがある。オクチル酸の沸点は228℃であり、ラウリン酸の沸点は296℃であり、ステアリン酸の沸点は361℃である。従って、これらのカルボン酸金属化合物は、290−430℃の大気雰囲気で熱分解が完了する。
なお、不飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物は、飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物に比べて、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、熱分解によって金属酸化物、例えば、オレイン酸銅の場合は、酸化第一銅Cu
2Oと酸化第二銅CuOとが同時に析出し、酸化第一銅Cu
2Oと酸化第二銅CuOを銅に還元する処理費用を要する。特に、酸化第一銅Cu
2Oは、大気雰囲気より酸素がリッチな雰囲気で一度酸化第二銅CuOに酸化させ、さらに、還元雰囲気で銅に還元させる必要があるため、処理費用がかさむ。
さらに、前記したカルボン酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、最も汎用的な有機酸であるカルボン酸を、強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成され、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、様々な金属からなるカルボン酸金属化合物が合成される。従って、カルボン酸金属化合物は最も安価な有機金属化合物である。
また、カルボン酸エステル類、グリコール類ないしはグリコールエーテル類の中に、アルコールに溶解ないしは混和する第一の性質と、アルコールより粘度が高い第二の性質と、沸点がアルコールの沸点より高く、カルボン酸金属化合物の熱分解温度より低い第三の性質とを兼備する有機化合物がある。このような有機化合物は汎用的な工業用薬品である。
なお、ガラスフリットの中で最も焼成温度が低い低温封着用の粉末ガラスであっても、軟化点は300℃を超える。従って、多くのガラスフリットは、カルボン酸金属化合物の熱分解温度より軟化点が高い。
従って、カルボン酸金属化合物のアルコール分散液に有機化合物を混合すると、カルボン酸金属化合物と有機化合物とが分子状態で均一に混ざり合う。この混合液にガラスフリットの集まりを浸漬すると、ガラスフリットの表面に粘度に応じた厚みで混合液が付着する。この後、ガラスフリットの集まりを大気雰囲気で熱処理する。最初にアルコールが気化し、次いで有機化合物が気化し、ガラスフリットの表面に、カルボン酸金属化合物の微細結晶の集まりが析出する。さらに昇温すると、微細結晶をなすカルボン酸金属化合物の熱分解が始まり、ガラスフリットの軟化点より低い290−430℃の温度でカルボン酸金属化合物の熱分解が完了し、微細結晶の大きさに応じた40−60nmの粒状の金属微粒子が集まりをなしてガラスフリットの表面に析出する。この際、熱分解で析出した金属は不純物を持たない活性状態にあるため、粒状の金属微粒子は互いに接触する部位で金属結合し、金属結合した金属微粒子の集まりがガラスフリットを覆い、金属微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが製造される。
以上に説明したように、安価な工業用薬品であるカルボン酸金属化合物と、汎用的な工業用薬品である有機化合物と、汎用的な工業用素材であるガラスフリットとを原料として用い、ガラスフリットにカルボン酸金属化合物と有機化合物との混合液を付着させ、ガラスフリットの集まりを大気雰囲気の290−430℃の温度で熱処理するだけで、ガラスフリットを覆った金属微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが大量に製造される。このため、本製造方法は、6段落で説明した第一と第二との課題を同時に解決して、前記した金属微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合するガラスフリットの集まりを製造する原料になる。
【0011】
7段落に記載した製造方法に従って製造した金属微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合された該ガラスフリットの集まりを用い、金属の性質を持つガラスフリットからなる成形体
を製造する製造方法は、
7段落に記載した5つの工程を連続して実施する製造方法に従って金属微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合した
該ガラスフリットの集まりを製造し、該ガラスフリットの集まりを成形機ないしは金型に充填し、該成形機ないしは該金型によって、前記ガラスフリット軟化させるとともに応力を加えて変形させ、該変形したガラスフリットを覆う金属微粒子同士が金属結合することで、該変形したガラスフリット同士が結合され、前記成形機内ないしは前記金型内に、前記変形したガラスフリットの集まりからなる成形体が成形され、該成形体を前記ガラスフリットの徐冷点に15分以上放置した後に室温まで徐冷することによって、金属の性質を持つガラスフリットからなる成形体を製造する製造方法である。
【0012】
つまり、本製造方法に依れば、ガラスフリットの集まりに対し、7段落に記載した5つの処理を連続して行ない、このガラスフリットの集まりを成形機ないしは金型に充填し、ガラスフリットを軟化させて成形体を製造する際に、軟化したガラスフリット同士が金属微粒子の金属結合で結合され、また、金属結合した金属微粒子が成形体に連続した経路を形成するため、金属の性質を持つ成形体が製造される。従って、様々な金属の性質を持ち、軽量で腐食しない様々な形状のガラスの成形体が、従来の成形体を成形する製法で製造され、金属の部品をガラスの部品に置き換えられる。
つまり、ガラスフリットの大きさはミクロンサイズで、金属微粒子より2桁大きいため、ガラスフリットの全体を覆った金属結合した金属微粒子の集まりは、軟化したガラスフリットが成形機ないしは金型から応力を受けて変形する際に、金属結合した金属微粒子の集まりも追従して同様に変形し、変形したガラスフリットを依然として覆う。また、金属微粒子の金属結合で、変形したガラスフリット同士が結合される。このため、従来の成形体を製造する製法によって、金属の性質を持つ成形体が安価に製造される。
すなわち、ガラスフリットの集まりに対し、7段落に記載した5つの処理をすると、ガラスフリットを覆った金属微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが製造される。このガラスフリットの集まりを成形機ないしは金型に充填し、軟化させたガラスフリットを金属微粒子の金属結合で結合させて成形体を成形する。この際、ガラスフリットを覆った金属微粒子は、ガラスフリットの軟化点より低い温度で生成されたため、軟化点を超える温度に昇温されると、金属微粒子は隣接する金属微粒子を取り込んで成長して粗大化する。粗大化した金属微粒子は不純物を持たない活性状態にあるため、金属微粒子同士が接触部位で互いに金属結合する。このため、粗大化した金属微粒子の集まりは、依然として軟化したガラスフリットの全体を覆う。さらに、軟化したガラスフリットが成形機ないしは金型から応力を受けて変形する際に、金属結合した金属微粒子の集まりもガラスフリットの変形に追従して変形し、変形したガラスフリットを依然として覆う。また、金属微粒子同士が互いに金属結合することで、変形したガラスフリット同士が結合され、金属結合した金属微粒子の集まりが成形体に連続した経路を形成する。この後、ガラスフリットの徐冷点に15分以上放置した後に室温まで徐冷し、成形の際の熱処理でガラスフリットに残留した歪を解除させ、ガラスフリットからなる成形体が成形される。また、様々な金属元素で金属微粒子を構成すれば、成形体は様々な金属の性質を持ち、軽量で腐食しない成形体は、金属の部品をガラスの部品に置き換える。
以上に説明したように、本製造方法は、6段落で説明した第三の課題を解決し、7段落に記載したガラスフリットの集まりを用いて金属の性質を持つ成形体が製造される。
【0013】
本発明に関わるガラスフリットを合金微粒子の集まりで覆い、該合金微粒子の金属結合で前記ガラスフリット同士が結合された
該ガラスフリットの集まりを製造する製造方法は、同一の温度で熱分解して異なる金属を同時に析出する第一の性質と、熱分解温度がガラスフリットの軟化点より低い第二の性質を兼備する複数種類の金属化合物を、アルコールに分散し、該複数種類の金属化合物が前記アルコーに均一に分散したアルコール分散液を作成する第一の工程と、前記アルコールに溶解ないしは混和する第一の性質と、前記アルコールより粘度が高い第二の性質と、沸点が前記アルコールの沸点より高く、かつ、前記複数種類の金属化合物が同時に熱分解する温度より低い第三の性質を兼備する有機化合物を、前記アルコール分散液に混合
し、該有機化合物が前記アルコールに溶解ないしは混和
することで、前記複数種類の金属化合物と前記有機化合物とが
前記アルコールに均一に混ざり合った混合液を作成する第二の工程と、ガラスフリットの集まりを前記混合液に浸漬
し、該ガラスフリットの表面に前記混合液の粘度に応じた厚みで該混合液
を均一に付着
させ、この後、該ガラスフリットの集まりを前記混合液から取り出す第三の工程と、該ガラスフリットの集まりを
前記複数種類の金属化合物が同時に熱分解する温度に昇温し、最初に
前記アルコール
を気化
させ、次に
前記有機化合物
を気化
させ、前記ガラスフリットの表面に、前記複数種類の金属化合物の微細結晶の集まり
を析出
させる、さらに、前記複数種類の金属化合物
が同時に熱分解
し、前記ガラスフリットの軟化点より低い温度で、該複数種類の金属化合物の熱分解が同時に完了し、前記ガラスフリットの表面に、前記複数種類の金属化合物の微細結晶の大きさに応じた粒状の合金微粒子
の集まりが析出し、該合金微粒子同士が互いに接触する部位で金属結合し、該金属結合した合金微粒子の集まりが前記ガラスフリットを覆うとともに、該ガラスフリットを覆った
前記合金微粒子が金属結合
し、該合金微粒子の金属結合によって、前記ガラスフリット同士が結合した
該ガラスフリットの集まりが製造される第四の工程と、該ガラスフリットの集まりを該ガラスフリットの徐冷点に15分以上放置した後に室温まで徐冷する第五の工程からなり、これら5つの工程を連続して実施する方法が、ガラスフリットが合金微粒子の集まりで覆われ、該合金微粒子の金属結合で前記ガラスフリット同士が結合された
該ガラスフリットの集まりを製造する製造方法である。
【0014】
つまり、本製造方法に依れば、第一に、アルコール分散液中に複数種類の金属化合物が均一に分散する。第二に、有機化合物がアルコールに溶解ないしは混和する性質を持つため、混合液中に複数種類の金属化合物が均一に分散する。第三に、有機化合物がアルコールより粘度が高いため、混合液は有機化合物の混合割合に応じた粘度を持ち、この混合液にガラスフリットの集まりを浸漬すると、ガラスフリットの表面に粘度に応じた厚みで混合液が付着する。この結果、ガラスフリットの表面に、同一の温度で熱分解し、異なる金属を同時に析出する複数種類の金属化合物が均一に付着する。
この後、ガラスフリットを熱処理する。最初にアルコールが気化し、次に有機化合物が気化する。これによって、ガラスフリットの表面に、複数種類の金属化合物の微細結晶の集まりが析出する。さらに昇温すると、微細結晶をなす複数種類の金属化合物の熱分解が始まり、ガラスフリットの軟化点より低い温度で、複数種類の金属化合物の熱分解が同時に完了し、微細結晶の大きさに応じた粒状の合金微粒子が、集まりをなしてガラスフリットの表面に析出する。つまり、微細結晶をなす複数種類の金属化合物が同時に熱分解すると、複数種類の金属が同時に析出し、複数種類の金属は不純物を持たない活性状態にあるため、複数種類の金属化合物のモル数に応じた組成からなる合金が、微細結晶の大きさに応じた粒状微粒子として析出する。また、合金微粒子は不純物を持たず、互いに接触する部位で金属結合し、金属結合した合金微粒子の集まりがガラスフリットを覆うとともに、合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが製造される。
なお、軟化点はガラスフリットの熱間加工の下限温度を意味する。従って、ガラスフリットの軟化点より低い温度でガラスフリットが処理されるため、ガラスフリットには熱間加工がなされず、ガラスフリットの徐冷点に15分以上放置して歪を解除し、その後室温まで徐冷すれば、ガラスフリットは処理以前の状態に戻る。このため、処理後のガラスフリットは経時変化せず、必要な時に成形体の原料として用いることができる。
つまり、合金微粒子の原料である複数種類の金属化合物を、アルコールに分散することで複数種類の金属化合物が液相化され、これによって、アルコール分散液と有機化合物との混合液がガラスフリットに付着する。このようなガラスフリットの集まりを昇温してアルコールと有機化合物とを気化すれば、複数種類の金属化合物の微細結晶の集まりがガラスフリットの表面に析出してガラスフリットを覆う。さらに昇温して、微細結晶からなる複数種類の金属化合物を熱分解すれば、微細結晶の大きさに応じた粒状の合金微粒子が集まりをなしてガラスフリットの表面を覆う。この際、粒状の合金微粒子が接触部位で互いに金属結合するため、ガラスフリットを覆った合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが製造される。このように、本製造方法は、第一に、合金微粒子の原料である複数種類の金属化合物を液相化し、液相化された複数種類の金属化合物をガラスフリットに付着させ、第二に、複数種類の金属化合物の微細結晶の集まりを析出させ、この微細結晶を熱分解して合金微粒子を析出させる特徴を持つ。これによって、ガラスフリットを覆った合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが製造される作用効果がもたらされる。
また、熱分解で金属を析出する金属化合物とアルコールと有機化合物とは、いずれも汎用的な工業用薬品であり、ガラスフリットは汎用的な工業用素材である。このような汎用的な工業用薬品と工業用素材とを混合するだけで混合液ができる。また、混合液に浸漬したガラスフリットを、ガラスフリットの軟化点より低い温度に昇温するだけで、複数種類の金属化合物が同時に熱分解し、金属結合した合金微粒子の集まりがガラスフリットを覆うとともに、合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが製造される。従って、安価な工業用薬品と工業用素材とを原料として用い、極めて簡単な処理を実施するだけで、ガラスフリットの集まりが安価な製作費用で大量に製造できる。さらに、複数種類の金属化合物における金属の組み合わせを変える、また、複数種類の金属化合物のモル数の比率を変えると、様々な組成からなる合金微粒子の集まりが、ガラスフリットの表面を覆うとともに、合金微粒子の金属結合でガラスフリットが結合したガラスフリットの集まりが、ガラスフリットの軟化点より低い温度で製造される。
以上に説明したように、安価な工業用薬品と工業用素材とを原料として用い、極めて簡単な処理を実施するだけで、ガラスフリットの集まりが安価な製作費用で大量に製造できる。このため、本製造方法に依れば、6段落で説明した第一と第二との課題を同時に解決して、ガラスフリットの集まりが製造される。
【0015】
13段落に記載した合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合された
該ガラスフリットの集まりを製造する製造方法は、
13段落に記載した複数種類の金属化合物が、同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、互いに異なる金属イオンに共有結合した複数種類のカルボン酸金属化合物であり、
13段落に記載した有機化合物が、カルボン酸エステル類、グリコール類ないしはグリコールエーテル類
のいずれに属するいずれか一種類の有機化合物であり、
13段落に記載したガラスフリットが、前記複数種類のカルボン酸金属化合物が同時に熱分解する温度より軟化点が高いガラスフリットであり、前記複数種類のカルボン酸金属化合物と前記一種類の有機化合物と前記ガラスフリットとを用い、
13段落に記載した5つの工程を連続して実施する製造方法に従って合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合した
該ガラスフリットの集まりを製造する、
13段落に記載した合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合された
該ガラスフリットの集まりを製造する製造方法である。
【0016】
つまり、複数種類のカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、カルボン酸金属化合物が10段落で説明したカルボン酸金属化合物で構成されるため、290−430℃で同時に熱分解する。この結果、カルボン酸金属化合物の熱分解温度より軟化点が高いガラスフリットの表面に、40−60nmの大きさの粒状微粒子が、複数種類の金属化合物のモル数の比率に応じた組成からなる合金の粒状微粒子の集まりとして析出する。この際、析出した粒状の合金微粒子は不純物を持たない活性状態にあるため、粒状微粒子は互いに接触する部位で金属結合し、ガラスフリットを覆った合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが製造される。この後、ガラスフリットの徐冷点に15分以上放置した後に室温まで徐冷すれば、熱処理に伴ってガラスフリットに残留した歪が解除する。
すなわち、同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、互いに異なる金属イオンに共有結合する複数種類のカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、飽和脂肪酸の沸点を超える温度で、同一の飽和脂肪酸と異なる金属とに同時に分解し、さらに昇温すると、飽和脂肪酸の分子量に応じて飽和脂肪酸の気化が進み、気化が完了した後に複数種類の金属が同時に析出し、これらの金属はいずれも不純物を持たない活性状態にあるため合金が生成される。
また、カルボン酸エステル類、グリコール類ないしはグリコールエーテル類の中に、アルコールに溶解ないしは混和する第一の性質と、アルコールより粘度が高い第二の性質と、沸点がアルコールの沸点より高く、かつ、複数種類のカルボン酸金属化合物が同時に熱分解する温度より低い第三の性質とを兼備する有機化合物がある。このような有機化合物は、いずれも汎用的な工業用薬品である。
なお、ガラスフリットの中で最も焼成温度が低い低温封着用の粉末ガラスであっても、軟化点は300℃を超える。従って、多くのガラスフリットは、カルボン酸金属化合物の熱分解温度より軟化点が高い。
従って、複数種類のカルボン酸金属化合物のアルコール分散液に、有機化合物を混合すると、複数種類のカルボン酸金属化合物と有機化合物とが分子状態で均一に混ざり合う。この混合液にガラスフリットの集まりを浸漬すると、ガラスフリットの表面に粘度に応じた厚みで混合液が付着する。この後、ガラスフリットの集まりを大気雰囲気で熱処理する。最初にアルコールが気化し、次いで有機化合物が気化し、ガラスフリットの表面に、複数種類のカルボン酸金属化合物の微細結晶の集まりが析出する。さらに昇温すると、微細結晶をなす複数種類のカルボン酸金属化合物の熱分解が始まり、ガラスフリットの軟化点より低い290−430℃の温度で複数種類のカルボン酸金属化合物の熱分解が同時に完了し、微細結晶の大きさに応じた40−60nmの大きさの粒状の合金微粒子が集まりをなしてガラスフリットの表面に析出する。つまり、複数種類のカルボン酸金属化合物の微細結晶が同時に熱分解すると、複数種類の金属が同時に析出し、複数種類の金属は不純物を持たない活性状態にあるため、複数種類のカルボン酸金属化合物のモル数に応じた組成からなる合金が、微細結晶の大きさに応じた40−60nmの大きさの粒状微粒子として析出する。また、合金微粒子は不純物を持たないため、互いに接触する部位で金属結合し、金属結合した合金微粒子の集まりがガラスフリットを覆い、合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが製造される。従って、複数種類のカルボン酸金属化合物と有機化合物とは、第四特徴手段に記載したガラスフリットの集まりを製造する原料になる。さらに、複数種類のカルボン酸金属化合物における金属の組み合わせを変える、あるいは、複数種類のカルボン酸金属化合物のモル数の比率を変えると、様々な組成からなる合金微粒子の集まりが、ガラスフリットの表面を覆うとともに、合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合される。
以上に説明したように、安価な工業用薬品である複数種類のカルボン酸金属化合物と、汎用的な工業用薬品である有機化合物と、汎用的な工業用素材であるガラスフリットとを原料として用い、ガラスフリットにカルボン酸金属化合物と有機化合物との混合液を付着させ、ガラスフリットの集まりを大気雰囲気の290−430℃の温度で熱処理するだけで、ガラスフリットを覆った合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが製造される。このため、本製造方法は、6段落で説明した第一と第二との課題を同時に解決して、13段落で記載した合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりを製造する原料になる。
【0017】
13段落に記載した製造方法に従って製造した合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合された該ガラスフリットの集まりを用い、合金の性質を持つガラスフリットからなる成形体
を製造する製造方法は、
13段落に記載した5つの工程を連続して実施する製造方法に従って合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合した
該ガラスフリットの集まりを製造し、該ガラスフリットの集まりを成形機ないしは金型に充填し、該成形機ないしは該金型によって、前記ガラスフリットを軟化させるとともに応力を加えて変形させ、該変形したガラスフリットを覆う合金微粒子同士が金属結合することで、該変形したガラスフリット同士が結合され、前記成形機内ないしは前記金型内に、前記変形したガラスフリットの集まりからなる成形体が成形され、該成形体を前記ガラスフリットの徐冷点に15分以上放置した後に室温まで徐冷することによって、合金の性質を持つガラスフリットからなる成形体を製造する製造方法である。
【0018】
つまり、本特徴手段に依れば、ガラスフリットの集まりに対し、13段落に記載した5つの処理を連続して行ない、このガラスフリットの集まりを、成形機ないしは金型に充填し、ガラスフリットを軟化させて成形体を製造する際に、軟化したガラスフリット同士が合金微粒子の金属結合で結合され、金属結合した合金微粒子が成形体に連続した経路を形成するため、合金の性質を持つ成形体が製造される。また、複数種類の金属化合物における金属の組み合わせを変える、あるいは、複数種類の金属化合物のモル数の比率を変えると、成形体は様々合金の性質を持ち、軽量で腐食しない成形体が、従来の成形体を成形する製法で製造され、合金の部品がガラスの部品に置き換えられる。
つまり、ガラスフリットの大きさはミクロンサイズで、合金微粒子より2桁大きいため、ガラスフリットの全体を覆った金属結合した合金微粒子の集まりは、軟化したガラスフリットが成形機ないしは金型から応力を受けて変形する際に、金属結合した合金微粒子の集まりも追従して同様に変形し、変形したガラスフリットを依然として覆う。また、合金微粒子の金属結合で、変形したガラスフリット同士が結合される。このため、従来の成形体を成形する製法で、合金の性質を持つ成形体が安価に製造される。
すなわち、ガラスフリットの集まりに対し、13段落に記載した処理をすると、ガラスフリットが金属結合した合金微粒子の集まりで覆われ、ガラスフリットを覆った合金微粒子の金属結合でガラスフリット同士が結合されたガラスフリットの集まりが製造される。このガラスフリットの集まりを成形機ないしは金型に充填し、軟化させたガラスフリット同士を合金微粒子の金属結合で結合させて成形体を成形する。この際、ガラスフリットを覆った合金微粒子は、ガラスフリットの軟化点より低い温度で生成されたため、軟化点を超える温度に昇温されると、合金微粒子は隣接する合金微粒子を取り込んで成長して粗大化する。粗大化した合金微粒子は不純物を持たない活性状態にあるため、合金微粒子同士が接触部位で互いに金属結合する。このため、粗大化した合金微粒子の集まりは、依然として軟化したガラスフリットの全体を覆う。次に、軟化したガラスフリットが成形機ないしは金型から応力を受けて変形する際に、金属結合した合金微粒子の集まりもガラスフリットの変形に追従して変形し、変形したガラスフリットを依然として覆う。また、合金微粒子同士が互いに金属結合することで、変形したガラスフリット同士が結合され、この金属結合した合金微粒子が成形体に連続した経路を形成し、成形体は合金微粒子を構成する合金の性質を持つ。この後、ガラスフリットの徐冷点に15分以上放置した後に室温まで徐冷し、成形体を成形する熱処理でガラスフリットに残留した歪が解除されたガラスフリットからなる成形体が成形される。このため、従来の成形体を成形する製法によって、合金の性質を持つ成形体が安価に製造できる。また、様々な組成の合金で合金微粒子を構成すれば、成形体は様々な合金の性質を持ち、軽量で腐食しない成形体は、合金の部品をガラスの部品に置き換えることができる。
以上に説明したように、本製造方法に依れば、6段落で説明した第三の課題を解決して、合金の性質を持つ成形体が製造される。
【0019】
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【0020】
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【0021】
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【0022】
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