特許第6646907号(P6646907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6646907-船舶用の液化ガス燃料供給機構 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646907
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】船舶用の液化ガス燃料供給機構
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20200203BHJP
   F17C 9/00 20060101ALI20200203BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20200203BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20200203BHJP
   B63B 11/04 20060101ALI20200203BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   F17C13/00 302A
   F17C9/00 A
   B63H21/38 B
   B63B25/16 D
   B63B11/04 B
   B63B25/16 101Z
   F02M21/02 M
   F02M21/02 301B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-205962(P2015-205962)
(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公開番号】特開2017-78448(P2017-78448A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年6月4日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年8月31日、京浜ドック株式会社追浜工場内。平成27年8月31日、http://www.wingmsc.co.jp/。
(73)【特許権者】
【識別番号】502450631
【氏名又は名称】エア・ウォーター・プラントエンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000232818
【氏名又は名称】日本郵船株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592007519
【氏名又は名称】京浜ドック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕夫
(72)【発明者】
【氏名】今井 久司
(72)【発明者】
【氏名】富士 竜太
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】中村 大
(72)【発明者】
【氏名】城山 久夫
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04406129(US,A)
【文献】 特開昭49−061707(JP,A)
【文献】 特開2003−148695(JP,A)
【文献】 特開2004−076825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/12
B63B 1/00−69/00
B63J 1/00−99/00
B63H 1/00−25/52
F02B 43/00−45/10
F02M 21/00−21/12
B65D 88/00−90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガス燃料を貯留する貯留容器と、
上記貯留容器から上記液化ガス燃料のボイルオフガスを導出するボイルオフガス導出管と、
上記貯留容器から上記液化ガス燃料を導出する液化ガス燃料導出管と、
上記液化ガス燃料導出管に対して上記ボイルオフガス導出管を合流させる合流点とを備え、
上記合流点は、
上記液化ガス燃料導出管に形成された逆U字状に立ち上がる隆起配管部の頂部に対して上記ボイルオフガス導出管の下流端が接続されることにより、上記液化ガス燃料導出管で導出された上記液化ガス燃料に対して上記ボイルオフガス導出管で導出した上記ボイルオフガスを、上記貯留容器に貯留された上記液化ガス燃料の液面以上の位置で合流させるように構成されている
ことを特徴とする船舶用の液化ガス燃料供給機構。
【請求項2】
上記合流点は、上記液化ガス燃料導出管と上記ボイルオフガス導出管が、上記貯留容器の外部において配管された部分に設けられている
請求項1記載の船舶用の液化ガス燃料供給機構。
【請求項3】
上記ボイルオフガス導出管は、上記ボイルオフガスの圧力があらかじめ設定した圧力まで下がったときに閉じる第1の圧力調節弁を備えている
請求項1または2記載の船舶用の液化ガス燃料供給機構。
【請求項4】
上記貯留容器は、上記貯留容器から取り出した上記液化ガス燃料を気化させて、気化したガス燃料を上記貯留容器内に戻すことにより、上記貯留容器内を加圧する加圧機構を備えている
請求項1〜3のいずれか一項に記載の船舶用の液化ガス燃料供給機構。
【請求項5】
上記加圧機構は、上記気化したガス燃料の圧力があらかじめ設定した圧力まで上がったときに閉じる第2の圧力調節弁を備えている
請求項4記載の船舶用の液化ガス燃料供給機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガス燃料を動力源とする船舶において、エンジンなどの機関に上記液化ガス燃料を供給する船舶用の液化ガス燃料供給機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から燃料として使用されてきた石油は埋蔵量の限界が見えてきている。それに変わるエネルギー源として、相当の埋蔵量が期待される液化天然ガス(LNG)の利用が検討されており、さまざまな産業分野で積極的な展開を見せている。
【0003】
船舶の分野においても、LNGを燃料として用いることが推進されている。
【0004】
たとえば、下記の特許文献1には、LNGを運搬するタンカーで発生するボイルオフガス(BOG)を、エンジン等の駆動燃料として用いる技術が提案されている。下記の特許文献2には、LNG燃料を船舶用のエンジンに供給するシステムが提案されている。
【0005】
〔特許文献1〕
特許文献1は、船舶用ガス供給装置に関するものである。特許文献1は、航行用の推進力を得る船舶推進設備、発電設備稼働用の駆動力を得るエンジン等のガス消費設備に、BOGを用いる際に、一部を再液化して効率よく用いる技術を開示する。
【0006】
特許文献1には、つぎの記載がある。
[0002]LNG(液化天然ガス)を運搬するLNGタンカーなどの海洋船舶では、一般に積荷であるカーゴタンク内のLNG(その気化成分であるボイルオフガス)を燃料として、航行用の推進力を得る船舶推進設備、発電設備稼働用の駆動力を得るエンジン等のガス消費設備が設けられている。
[要約]
[課題]カーゴタンク内のLNGの一部をガス消費設備の燃料等として供給する装置において、ガス消費設備に供給されるガスの重質成分量を低下させる船舶用ガス供給装置を提供する。
[解決手段]LNGを貯蔵するカーゴタンク1と、このカーゴタンク内のLNGの一部が燃料として供給される燃料タンク3と、この燃料タンク内のLNGを蒸発気化させた上でガス消費設備に供給するガス供給ラインL2とを備えてなる船舶用ガス供給装置であって、上記カーゴタンク内の自然蒸発ガスを吸入して再液化する再液化装置5と、この再液化装置で再液化された再液化ガスを所定量貯留するレシーバタンク7とを設け、上記再液化装置で再液化された再液化ガスを、上記カーゴタンクに戻すと共に上記レシーバタンクに貯留し、同レシーバタンク内に貯留した再液化ガスを上記燃料タンクに供給するようにした。
【0007】
〔特許文献2〕
特許文献2は、LNG燃料供給システムに関するものである。エンジンが駆動するために必要なLNGの温度および圧力は、タンクに貯蔵されているLNGの状態とは異なる。このため、特許文献2は、LNGの温度や圧力を制御するため、加熱されたグリコールウォーターを利用して、エンジンの要求温度までLNGを加熱し、効率を向上させる方法を開示する。
【0008】
特許文献2には、つぎの記載がある。
[0004]しかし、最近は、液化天然ガスLiquefied Natural Gasを運搬するLNG運搬船からLNGを燃料として使用してエンジンを駆動するLNG燃料供給方式が使用されており、このようにエンジンの燃料としてLNGを使用する方式は、LNG運搬船以外の船舶にも適用されている。
[0006]しかし、エンジンが駆動するために必要な温度および圧力などは、タンクに貯蔵されているLNGの状態とは異なる場合がある。したがって、最近は、液体状態で 貯蔵されているLNGの温度や圧力などを制御してエンジンに供給するような技術について、継続的な研究開発が行われている。
[要約]
[課題]グリコールウォーターを蒸気で加熱し、加熱されたグリコールウォーターを利用してLNGをエンジンの要求温度まで加熱する方式を使用することで、加熱効率を向上させることができるLNG燃料供給システムを提供する。
[解決手段]ポンプ30から供給されるLNGをグリコールウォーターと熱交換させてエンジン20に供給する熱交換器50と、グリコールウォーターを貯蔵するグリコールタンク61と、グリコールタンク61から排出されるグリコールウォーターを加熱した後、熱交換器50に供給するグリコールヒーター63と、熱交換器50からグリコールタンク61に漏れるLNGを感知するLNG流入感知センサー65と、グリコールタンク61に連結され、LNG流入感知センサー65によりLNGの流入が感知されると、グリコールタンク61に流入されたLNGを外部に排出させるLNG除去バルブ66と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015−63288号公報
【特許文献2】特開2014−172661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般に、LNG燃料を動力源とする船舶では、液(LNG)を蒸発器でガス化し、エンジン燃料として利用している。
【0011】
一方、LNGは真空二重殻容器で保存される。外気温と液温に180℃程度の温度差がある。このため、わずかながら外気から容器内への熱侵入がある。この熱侵入により、容器内の液の一部がガス化し、容器内圧が上昇する。
【0012】
このとき、燃料を消費することによる容器の内圧の下降と、熱侵入による容器の内圧の上昇とがバランスしていれば、容器の内圧に変動はないはずである。
【0013】
しかしながら、燃料消費の情況により、容器の内圧に変動が生じるケースがある。
【0014】
(1)容器の内圧が低下するケース
LNG燃料の消費が多く、LNG燃料の消費による降圧が熱侵入による昇圧を上回る場合、容器の内圧は低下する。
この場合、容器の内圧を上げるため、つぎの策がとられる。容器の底部に接続した加圧ラインから取り出した液を加圧蒸発器でガス化し、そのガスを容器内に戻すことにより、容器の内圧を上げる。
【0015】
(2)容器の内圧が上昇するケース
LNG燃料の消費が少なく、LNG燃料の消費による降圧が熱侵入による昇圧を下回るときは、容器の内圧は上昇する。LNG燃料を消費せずに待機状態にある場合も同様に、容器の内圧が上昇する。
この場合、容器内圧を下げるため、つぎの策がとられる。一般には、容器内のガスを、専用燃焼装置(GCU)で燃焼することにより容器の内圧を下げることが行われる。ボイラーを設備している大型船舶では、容器内のガスをボイラー燃料として消費することにより、容器の内圧を下げることもできる。また、緊急時に限っては、ガス放出ラインより大気放散する場合もありうる。
【0016】
これらの操作により、燃料消費量に変動があっても、容器の内圧を一定の範囲内に収めるように制御する。このような圧力制御では、容器の内圧を下げる際に、容器内のガスを主として燃焼によって消費する。
【0017】
このように従来は、タンカーなどで運搬中のLNGに発生するBOGを消費することにより、容器の圧力を制御して安全を確保していた。このようなBOGの消費は、その全てが船舶の推進力として用いられるわけではない。過剰なBOGは、専用の燃焼装置やボイラーなどで燃やしてしまうことが多い。
【0018】
つまり、容器の内圧が上昇する時に、ボイルオフガスを大気放散したり、専用の燃焼装置で燃焼しており、その分だけ燃料を無駄に消費している。また、容器の内圧が上昇するのを放置していると、安全弁を作動させてボイルオフガスを大気放散しなければならず、可燃性ガスの安全な取り扱いとして問題がある。
【0019】
特許文献1に開示されたようなLNG燃料の再液化技術は、タンカーのような大規模な船舶にとってはメリットがある。ところが、タグボートのように小規模な船舶には、メリットが見出せない。再液化システムの装備を採用して運用することにかえって余分なコストが生じるからである。
【0020】
しかしながら現在、小規模の船舶にもLNG燃料を駆動源とすることが求められ、それに適応した船舶の開発が望まれている。そこで、たとえばタグボートのような小規模な船舶においても、BOGによる容器内圧の変動を制御しながら、LNG燃料の無駄な消費を防止する燃料供給機構が求められている。
【0021】
〔目的〕
本発明は、上記の課題を解決するためつぎの目的をもってなされたものである。
ボイルオフガスによる貯留容器の内圧の変動を制御しながら、液化ガス燃料の無駄な消費を防止することができる船舶用の液化ガス燃料供給機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1記載の船舶用の液化ガス燃料供給機構は、上記目的を達成するため、つぎの構成を採用した。
液化ガス燃料を貯留する貯留容器と、
上記貯留容器から上記液化ガス燃料のボイルオフガスを導出するボイルオフガス導出管と、
上記貯留容器から上記液化ガス燃料を導出する液化ガス燃料導出管と、
上記液化ガス燃料導出管に対して上記ボイルオフガス導出管を合流させる合流点とを備え、
上記合流点は、
上記液化ガス燃料導出管に形成された逆U字状に立ち上がる隆起配管部の頂部に対して上記ボイルオフガス導出管の下流端が接続されることにより、上記液化ガス燃料導出管で導出された上記液化ガス燃料に対して上記ボイルオフガス導出管で導出した上記ボイルオフガスを、上記貯留容器に貯留された上記液化ガス燃料の液面以上の位置で合流させるように構成されている。
【0023】
請求項2記載の船舶用の液化ガス燃料供給機構は、請求項1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記合流点は、上記液化ガス燃料導出管と上記ボイルオフガス導出管が、上記貯留容器の外部において配管された部分に設けられている。
【0024】
請求項3記載の船舶用の液化ガス燃料供給機構は、請求項1または2記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記ボイルオフガス導出管は、上記ボイルオフガスの圧力があらかじめ設定した圧力まで下がったときに閉じる第1の圧力調節弁を備えている。
【0025】
請求項4記載の船舶用の液化ガス燃料供給機構は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記貯留容器は、上記貯留容器から取り出した上記液化ガス燃料を気化させて、気化したガス燃料を上記貯留容器内に戻すことにより、上記貯留容器内を加圧する加圧機構を備えている。
【0026】
請求項5記載の船舶用の液化ガス燃料供給機構は、請求項4記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記加圧機構は、上記気化したガス燃料の圧力があらかじめ設定した圧力まで上がったときに閉じる第2の圧力調節弁を備えている。
【発明の効果】
【0027】
請求項1記載の発明は、上記液化ガス燃料導出管に対する上記ボイルオフガス導出管の合流点が、上記液化ガス燃料に対して上記ボイルオフガスを、上記貯留容器における上記液化ガス燃料の液面以上の位置で合流させる。
上記合流点は、上記液化ガス燃料導出管に形成された逆U字状に立ち上がる隆起配管部の頂部に対して上記ボイルオフガス導出管の下流端が接続されている。これにより、上記合流点は、上記貯留容器の液面以上の位置であり、上記液化ガス燃料導出管に対する上記ボイルオフガスの流入が常に液面の上で行われることになる。したがって、上記合流点では、上記液化ガス燃料導出管を流れる上記液化ガス燃料に遮られて上記ボイルオフガスが上記液化ガス燃料導出管に流入しなくなるという事態が起こらない。つまり、上記合流点では、上記液化ガス燃料導出管に対して上記ボイルオフガスが常に優先して流入することになる。
このため、上記貯留容器のボイルオフガスの圧力が高くなったときは、ボイルオフガスが上記液化ガス燃料導出管に流入し、上記液化ガス燃料導出管で導出された上記液化ガス燃料に混じって利用される。反対に、上記貯留容器のボイルオフガスの圧力が低くなったときは、上記液化ガス燃料導出管に流れる上記液化ガス燃料がそのまま利用される。
このように、ボイルオフガスによる貯留容器の内圧の変動を制御しながら、液化ガス燃料の無駄な消費を防止することができる。たとえばタグボートのような小規模の船舶において、特許文献1のような再液化機構を有しなくとも液化ガス燃料を有効に使用することができるようになる。
【0028】
請求項2記載の発明は、上記液化ガス燃料導出管と上記ボイルオフガス導出管が上記貯留容器の外部に配管され、この外部に配管された部分に上記合流点が設けられる。
外部の配管によって上述した合流点を構成することにより、つぎのような効果が得られる。上記合流点などの配管を、真空二重殻容器の狭い真空断熱層内に施工するのに比べ、配管の口径に制限がなくなり、大口径の配管を使用できる。狭い真空断熱層内での施工にくらべて組み立て作業に熟練を要しない。真空断熱層に配管を施工することによる断熱性能の低下が起こらない。真空断熱層内の配管に比べて外部配管は修理などのメンテナンス性が格段に優れる。たとえば縦型や横型などの各種の二重殻容器を貯留容器として適用することが可能で、設計の自由度が広がる。合流点の場所が自由に設定でき、狭い船内に配置するときの自由度が大きい。
【0029】
請求項3記載の発明は、上記ボイルオフガス導出管において上記ボイルオフガスの圧力があらかじめ設定した圧力まで下がったときに、上記第1の圧力調節弁が閉じる。それ以降は、上記液化ガス燃料導出管から液化ガス燃料が導出されて利用される。
ボイルオフガスによる貯留容器の内圧が、安全面において十分に下がったときに、上記第1の圧力調節弁を閉じることができる。これにより、貯留容器の内圧がそれ以上低下して、上記液化ガス燃料導出管から液化ガス燃料が導出されなくなる事態になるのを防止する。
【0030】
請求項4記載の発明は、上記貯留容器において上記加圧機構は、上記貯留容器から取り出した上記液化ガス燃料を気化させ、気化したガス燃料を上記貯留容器内に戻すことにより上記貯留容器内を加圧する。
貯留容器内のボイルオフガスが上記ボイルオフガス導出管から導出され、上記液化ガス燃料導出管の液化ガス燃料に合流させて利用することにより、貯留容器の内圧は下がる。貯留容器の内圧が下がりすぎると、上記貯留容器の液化ガス燃料が液化ガス燃料導出管から導出されにくくなる。このとき、上記加圧機構によって上記貯留容器内を加圧し、上記貯留容器の液化ガス燃料が液化ガス燃料導出管からスムーズに導出されるようにするのである。
【0031】
請求項5記載の発明は、上記加圧機構において上記気化したガス燃料の圧力があらかじめ設定した圧力まで上がったときに、上記第2の圧力調節弁が閉じる。貯留容器の内圧がそれ以上に上昇するのを防止する。
貯留容器の内圧が、上記液化ガス燃料導出管から液化ガス燃料を導出するのに十分な程度上がったときに、上記第2の圧力調節弁を閉じることができる。これにより、貯留容器の内圧がそれ以上に上昇するのを防止し、安全を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施形態の船舶用の液化ガス燃料供給機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
つぎに、本発明を実施するための形態を説明する。
【0034】
図1は、本発明が適用された船舶用の液化ガス燃料供給機構を示す第1実施形態である。
【0035】
この船舶用の液化ガス燃料供給機構は、エンジンの燃料として液化ガス燃料を用いる船舶において、上記エンジンに液化ガス燃料を供給するものである。
【0036】
〔液化ガス燃料〕
上記液化ガス燃料としては、具体的には液化天然ガス(以下「LNG」という)を用いることができる。ただし、本発明における液化ガス燃料は、LNGに限定するものではない。本発明における液化ガス燃料として、たとえば各種の液化炭化水素ガスを用いることができる。上記液化炭化水素ガスとして具体的には、液化石油ガス、液化メタン、液化プロパン、液化ブタンなどをあげることができる。
【0037】
〔船舶〕
本発明における船舶は、上記液化ガス燃料によってエンジンを駆動して推進するものであれば、各種の船舶を対象とすることができる。たとえばタンカーのような大規模船舶からタグボートのような小規模船舶まで、各種の規模の船舶が対象となる。
【0038】
〔貯留容器〕
本実施形態の船舶用の液化ガス燃料供給機構は、上記液化ガス燃料を貯留する貯留容器1を備えている。
【0039】
上記貯留容器1は、真空二重殻構造の低温液化ガス貯蔵用容器を用いることができる。上記真空二重殻構造とは、内殻1aと外殻1bの二重構造で、内殻1aと外殻1bの間に真空断熱層1cが形成された構造である。上記内殻1aの内部が、液化ガス燃料を貯留するための貯留空間1dである。上記貯留空間1dにおける充填量は、法令の定める充填限界を守って運用される。たとえば高圧ガス保安法であれば全容量の90%以下であり、船舶安全法鋼船規則において積載制限値が規定されている。上記貯留空間1dにおける液面より上の上部空間には、上記液化ガス燃料が気化したボイルオフガスが存在する。図において符号9は、貯留空間1dに対してタンクローリーなどからLNGを充填するときに用いる充填路である。
【0040】
上記貯留空間1dに貯留されるLNG(液体)はおよそ−162℃である。外部との温度差は180℃程度になる。したがって、外部からわずかずつ熱が侵入することにより、LNGが気化し、ボイルオフガスとして上部空間に溜まる。熱の侵入が続いてLNGの気化が進行すると、貯留容器1の内部圧力がしだいに高くなる。
【0041】
〔ボイルオフガス導出管〕
本実施形態は、上記貯留容器1から液化ガス燃料であるLNGのボイルオフガスを導出するボイルオフガス導出管2を備えている。
【0042】
上記ボイルオフガス導出管2は、内殻1aの上壁部に接続され、貯留空間1dの上部空間からボイルオフガスを外部に取り出す。これにより、貯留容器1の内部への熱の侵入によりLNGの気化が進行し、ボイルオフガスによって貯留容器1の内部圧力が高くなったときには、ボイルオフガス導出管2からボイルオフガスを導出して貯留容器1の内部圧力を低下させる。これにより、貯留容器1の内部圧力の異常上昇を防止し、安全を確保している。
【0043】
ボイルオフガス導出管2から導出したボイルオフガスは、後述するようにエンジン等のLNG利用設備で利用される。
【0044】
一方、上記貯留容器1は、大気放出弁3aを有する大気放出路3を備え、貯留空間1dの上部空間からボイルオフガスを大気に放出できるようになっている。
【0045】
〔液化ガス燃料導出管〕
本実施形態は、上記貯留容器1から液化ガス燃料であるLNGを導出する液化ガス燃料導出管4を備えている。
【0046】
上記液化ガス燃料導出管4は、内殻1aの底部に接続され、貯留空間1dの底部近傍からLNG(液体)を外部に取り出す。上記液化ガス燃料導出管4には、第1の蒸発器5とバッファタンク6が設けられている。上記第1の蒸発器5は、貯留容器1から取り出したLNGを気化し、ガス燃料である天然ガスとする。上記バッファタンク6は、上記第1の蒸発器5でガス化された天然ガスを一時的に貯留する。そして、上記バッファタンク6から取り出した天然ガスを、当該船舶を推進するためのエンジン等のガス燃料利用設備に送るようになっている。
【0047】
〔合流点〕
本実施形態は、上記液化ガス燃料導出管4に対して上記ボイルオフガス導出管2を合流させる合流点7を備えている。
【0048】
上記合流点7は、上記液化ガス燃料導出管4で導出された上記液化ガス燃料に対して上記ボイルオフガス導出管2で導出した上記ボイルオフガスを、上記貯留容器1に貯留された上記液化ガス燃料の液面以上の位置で合流させるように構成されている。
【0049】
より詳しく説明すると、上記ボイルオフガス導出管2は、上流側の端部が貯留容器1の内殻1aの上壁部に接続され、下流側が上記貯留容器1の外部に配管されている。また、上記液化ガス燃料導出管4は、上流の端部が貯留容器1の内殻1aの底部に接続され、下流側が上記貯留容器1の外部に配管されている。
【0050】
上記液化ガス燃料導出管4は、上記貯留容器1の外部に配管された部分に、逆U字状に立ち上がる隆起配管部4aが形成されている。そして、上記隆起配管部4aの頂部に上記ボイルオフガス導出管2の下流端が接続され、この部分に上記合流点7が形成されている。
【0051】
このように、上記合流点7は、上記液化ガス燃料導出管4と上記ボイルオフガス導出管2が、上記貯留容器1の外部において配管された部分に設けられている。
【0052】
上記隆起配管部4aは、上記貯留容器1に貯留された上記液化ガス燃料の液面以上の位置に頂部が配置されるように形成される。ここで、上記貯留空間1dにおける充填量は、法令の定める充填限界を守って運用される。したがって、上記充填限界における液面の高さよりも高い位置に、上記隆起配管部4aの頂部が配置される。これにより、貯留容器1にLNGを充填限界まで充填したときの上記LNGの液面の高さ(図において一点鎖線Lで示す)よりも高い位置に、上記合流点7が配置される。
【0053】
このような構造により、ガス燃料利用設備で天然ガスが消費されると、液化ガス燃料導出管4からLNGが導出される。そのLNGが第1の蒸発器5で気化して天然ガスとなり、バッファタンク6を介してガス燃料利用設備に供給される。
【0054】
一方、貯留容器1に対する外部からの熱侵入により、貯留容器1内でLNGが気化すると、発生したボイルオフガスが内殻1aの上部空間に溜まり、貯留容器1の内部圧力を上昇させる。このようにして貯留容器1の内部圧力を上昇させるボイルオフガスを、ボイルオフガス導出管2から導出する。これにより、貯留容器1の内部圧力を下げ、安全を確保する。
【0055】
ボイルオフガス導出管2から導出したボイルオフガスは、上記合流点7において、液化ガス燃料導出管4を流れるLNGに合流され、第1の蒸発器5およびバッファタンク6を経てガス燃料利用設備に供給される。
【0056】
〔圧力制御〕
【0057】
上述したように、貯留容器1に対する外部からの熱侵入により発生したボイルオフガスを、ボイルオフガス導出管2から導出する。これにより、ボイルオフガスによって上昇した貯留容器1の内部圧力を下げる。
【0058】
このとき、ボイルオフガス導出管2からボイルオフガスが導出されて貯留容器1の内部圧力が下がり過ぎると、液化ガス燃料導出管4からLNGが導出されにくくなってしまう。これを避けるために本実施形態では、つぎの構成を採用している。
【0059】
上記ボイルオフガス導出管2は、上記ボイルオフガスの圧力があらかじめ設定した圧力まで下がったときに閉じる第1の圧力調節弁8を備えている。
【0060】
このため、ボイルオフガス導出管2からボイルオフガスが導出され、貯留容器1から導出されるボイルオフガスの圧力があらかじめ設定した設定圧力まで下がると、第1の圧力調節弁8が閉じ、ボイルオフガスの導出が停止してそれ以上に圧力は下がらなくなる。つまり、上記第1の圧力調節弁8は、ボイルオフガスによる貯留容器1の内圧が、上記液化ガス燃料を燃料として使用するために導出するのに適正な内圧まで下がったときに閉じるように設定されている。上記第1の圧力調節弁8は、貯留容器1から導出されるボイルオフガスの圧力が上述した設定圧力まで上昇すると、再び開弁する。
【0061】
本実施形態では、上記貯留容器1は、上記貯留容器1から取り出した上記液化ガス燃料を気化させて、気化したガス燃料を上記貯留容器1内に戻すことにより、上記貯留容器1内を加圧する加圧機構10を備えている。
【0062】
上記加圧機構10は、取出路10aと、第2の蒸発器11と、還流路10bとを含んで構成される。上記取出路10aは、貯留容器1の内殻1aの底部に接続され、LNGを取り出す。上記第2の蒸発器11は、上記取出路10aで取り出されたLNGを気化する。上記還流路10bは、貯留容器1の内殻1aの上壁部に接続され、上記第2の蒸発器11で気化したガスを貯留空間1d内に還流させることにより、貯留容器1の内部圧力を上げる。
【0063】
ガス燃料利用設備における天然ガスの消費が激しく、貯留容器1からLNGが大量に導出され、貯留容器1の内圧が下がりすぎると、液化ガス燃料導出管4からLNGが導出されにくくなってしまう。このようなときに、上記加圧機構10の働きによって貯留容器1の内部圧力を上げ、液化ガス燃料導出管4からLNGがスムーズに導出されるようにする。
【0064】
このとき、上記加圧機構10の働きで貯留容器1の内部圧力が上がりすぎると、安全面で好ましくない。これを避けるために本実施形態では、つぎの構成を採用している。
【0065】
上記加圧機構10は、上記気化したガス燃料の圧力があらかじめ設定した圧力まで上がったときに閉じる第2の圧力調節弁12を備えている。
【0066】
このため、上記加圧機構10の働きで貯留容器1の内部圧力が上がり、上記気化したガス燃料の圧力があらかじめ設定した設定圧力まで上がると、第2の圧力調節弁12が閉じ、加圧機構10の働きが停止して貯留容器1の内部圧力はそれ以上に上がらなくなる。つまり、上記第2の圧力調節弁12は、貯留容器1の内圧が、上記液化ガス燃料導出管4から液化ガス燃料を導出するのに十分な程度まで上がったときに閉じるように設定されている。上記第2の圧力調節弁12は、貯留容器1の内圧が上述した設定圧力まで下がると、再び開弁する。
【0067】
〔まとめ〕
以上のように、本実施形態では、貯留容器1から第1の蒸発器5に至る外部に設けた液化ガス燃料導出管4の一部に、逆U字状の隆起配管部4aを形成する。この逆U字状の頂部に、ボイルオフガス導出管2の下流端を接続する。この接続点が本発明の合流点7である。この合流点7を、貯留容器1に充填されるLNGの最高液面L以上に配置する。これにより、液化ガス燃料導出管4に対し、常に優先してボイルオフガスを合流させることができるようになる。合流点7よりも上流のボイルオフガス導出路2に第1の圧力調節弁8を設置して開閉することにより、貯留容器1の内圧を設定圧力値以下にコントロールすることが可能になる。LNGの無駄な消費がなくなり、合理的な燃料供給が可能となる。
【0068】
上記貯留容器1内の一般的な圧力は0.6MPa程度である。
【0069】
本実施形態では、LNGを燃料とする船舶において、圧力制御のために、無駄にガスを燃焼させたり、大気放出することなく、貯留容器1の内圧を希望値に維持しながら運転することが可能になる。
【0070】
また、陸上のタンクローリーから船舶側へLNGを受け入れて充填する際に、圧力制御の面で有利である。たとえば、タグボートの様な小型の船舶では、燃料を陸上のタンクローリーからLNGを受け入れる際に、タンクローリーからLNGを受け入れやすい圧力まで貯留容器1の内圧を低下させる必要がある。このような情況において、本実施形態では、エンジンの燃料として優先的にボイルオフガス等の貯留容器1内のガスを消費できる。このため、希望の内圧まで無理矢理ガス燃焼させたり、大気放出したりする必要がない。
【0071】
〔実施形態の効果〕
本実施形態は、つぎの効果を奏する。
【0072】
本実施形態は、上記液化ガス燃料導出管4に対する上記ボイルオフガス導出管2の合流点7が、上記液化ガス燃料に対して上記ボイルオフガスを、上記貯留容器1における上記液化ガス燃料の液面以上の位置で合流させる。
上記合流点7は、上記液化ガス燃料導出管4に形成された逆U字状に立ち上がる隆起配管部の頂部に対して上記ボイルオフガス導出管2の下流端が接続されている。これにより、上記合流点7は、上記貯留容器1の液面以上の位置であり、上記液化ガス燃料導出管4に対する上記ボイルオフガスの流入が常に液面の上で行われることになる。したがって、上記合流点7では、上記液化ガス燃料導出管4を流れる上記液化ガス燃料に遮られて上記ボイルオフガスが上記液化ガス燃料導出管4に流入しなくなるという事態が起こらない。つまり、上記合流点7では、上記液化ガス燃料導出管4に対して上記ボイルオフガスが常に優先して流入することになる。
このため、上記貯留容器1のボイルオフガスの圧力が高くなったときは、ボイルオフガスが上記液化ガス燃料導出管4に流入し、上記液化ガス燃料導出管4で導出された上記液化ガス燃料に混じって利用される。反対に、上記貯留容器1のボイルオフガスの圧力が低くなったときは、上記液化ガス燃料導出管4に流れる上記液化ガス燃料がそのまま利用される。
このように、ボイルオフガスによる貯留容器1の内圧の変動を制御しながら、液化ガス燃料の無駄な消費を防止することができる。たとえばタグボートのような小規模の船舶において、特許文献1のような再液化機構を有しなくとも液化ガス燃料を有効に使用することができるようになる。
【0073】
本実施形態は、上記液化ガス燃料導出管4と上記ボイルオフガス導出管2が上記貯留容器1の外部に配管され、この外部に配管された部分に上記合流点7が設けられる。
外部の配管によって上述した合流点7を構成することにより、つぎのような効果が得られる。上記合流点7などの配管を、真空二重殻容器の狭い真空断熱層1c内に施工するのに比べ、配管の口径に制限がなくなり、大口径の配管を使用できる。狭い真空断熱層1c内での施工にくらべて組み立て作業に熟練を要しない。真空断熱層1cに配管を施工することによる断熱性能の低下が起こらない。真空断熱層1c内の配管に比べて外部配管は修理などのメンテナンス性が格段に優れる。たとえば縦型や横型などの各種の二重殻容器を貯留容器として適用することが可能で、設計の自由度が広がる。合流点7の場所が自由に設定でき、狭い船内に配置するときの自由度が大きい。
【0074】
本実施形態は、上記ボイルオフガス導出管2において上記ボイルオフガスの圧力があらかじめ設定した圧力まで下がったときに、上記第1の圧力調節弁8が閉じる。それ以降は、上記液化ガス燃料導出管4から液化ガス燃料が導出されて利用される。
ボイルオフガスによる貯留容器1の内圧が、安全面において十分に下がったときに、上記第1の圧力調節弁8を閉じることができる。これにより、貯留容器1の内圧がそれ以上低下して、上記液化ガス燃料導出管4から液化ガス燃料が導出されなくなる事態になるのを防止する。
【0075】
本実施形態は、上記貯留容器1において上記加圧機構10は、上記貯留容器1から取り出した上記液化ガス燃料を気化させ、気化したガス燃料を上記貯留容器1内に戻すことにより上記貯留容器1内を加圧する。
貯留容器1内のボイルオフガスが上記ボイルオフガス導出管2から導出され、上記液化ガス燃料導出管4の液化ガス燃料に合流させて利用することにより、貯留容器1の内圧は下がる。貯留容器1の内圧が下がりすぎると、上記貯留容器1の液化ガス燃料が液化ガス燃料導出管4から導出されにくくなる。このとき、上記加圧機構10によって上記貯留容器1内を加圧し、上記貯留容器1の液化ガス燃料が液化ガス燃料導出管4からスムーズに導出されるようにするのである。
【0076】
本実施形態は、上記加圧機構10において上記気化したガス燃料の圧力があらかじめ設定した圧力まで上がったときに、上記第2の圧力調節弁12が閉じる。貯留容器1の内圧がそれ以上に上昇するのを防止する。
貯留容器1の内圧が、上記液化ガス燃料導出管4から液化ガス燃料を導出するのに十分な程度上がったときに、上記第2の圧力調節弁12を閉じることができる。これにより、貯留容器1の内圧がそれ以上に上昇するのを防止し、安全を確保する。
【0077】
〔変形例〕
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではなく、各種の態様に変形して実施することができ、本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。
【符号の説明】
【0078】
1:貯留容器
1a:内殻
1b:外殻
1c:真空断熱層
1d:貯留空間
2:ボイルオフガス導出管
3:大気放出路
3a:大気放出弁
4:液化ガス燃料導出管
4a:隆起配管部
5:第1の蒸発器
6:バッファタンク
7:合流点
8:第1の圧力調節弁
9:充填路
10:加圧機構
10a:取出路
10b:還流路
11:第2の蒸発器
12:第の圧力調節弁
図1