特許第6646921号(P6646921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6646921計算機式断層写真法(CT)方法及びCTシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646921
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】計算機式断層写真法(CT)方法及びCTシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   A61B6/03 350A
   A61B6/03 360M
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-13860(P2014-13860)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-147741(P2014-147741A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2017年1月26日
【審判番号】不服2018-15486(P2018-15486/J1)
【審判請求日】2018年11月22日
(31)【優先権主張番号】201310038053.8
(32)【優先日】2013年1月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100115462
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】シューリ・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ツェンファ・シュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンリン・キュ
(72)【発明者】
【氏名】シーミャオ・カオ
【合議体】
【審判長】 三崎 仁
【審判官】 ▲高▼見 重雄
【審判官】 渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−21702(JP,A)
【文献】 特開2004−65706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源から撮像されるべき被検体へ向けて表示視野(DFOV)の範囲内にビームを投影するステップと、
検出器において、投影データを収集するために、前記投影されたビームを受光するステップと、
前記投影において前記被検体が前記DFOVを超えるトランケーションが生じているか否かを決定するステップであって、
前記DFOVのマージンに対応するチャネルにおいてビーム測定Vmarginを得るステップと、
marginをk*Vairと比較し(Vairは前記被検体により減弱されていないビームの測定であり、kは0<k≦1と定義される)、Vmarginがk*Vairよりも小さい場合にはトランケーションの発生を示すステップと、
を有するステップと、
前記投影において示されたトランケーションの位置を記録するステップと、
前記投影データに基づいて画像を再構成するステップと、
前記再構成画像に前記トランケートされた位置をマークするステップと
を備え
前記トランケートされた位置は、ファン形状投射範囲の境界線と走査FOVとの接点として記録される、計算機式断層写真法(CT)方法。
【請求項2】
トランケーションが示されている場合、オフ・センタ再構成に用いられる投影データが前記トランケーションの影響を受けているか否かを決定するステップと、
オフ・センタ再構成に用いられる投影データが前記トランケーションの影響を受けている場合、前記オフ・センタ再構成のために影響を受けた点を記録するステップと
を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一連の角度において投影するように前記放射線源及び前記検出器を回転させるステップと、
各々の角度において、オフ・センタ再構成に用いられる前記投影データが前記トランケーションの影響を受けているか否かを決定するステップと、
オフ・センタ再構成に用いられる投影データが前記トランケーションの影響を受けている場合、前記オフ・センタ再構成のために前記影響を受けた点を記録するステップと
をさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
撮像されるべき被検体へ向けて表示視野(DFOV)の範囲内にビームを投影する放射線源と、
投影データを収集するために、前記投影されたビームを受光する検出器と、
前記放射線源及び前記検出器に結合されたプロセッサであって、
前記DFOVのマージンに対応するチャネルにおいてビーム測定Vmarginを得ること、
marginをk*Vairと比較すること(Vairは前記被検体により減弱されていないビームの測定であり、kは0<k≦1と定義される)、
marginがk*Vairよりも小さい場合には前記投影においてトランケーションの発生を示すこと、
前記投影において示されたトランケーションの位置を記録すること、
を実行するように構成されているプロセッサと
を備え、
前記プロセッサは、
前記投影データに基づいて画像を再構成し、
前記再構成画像に前記トランケートされた位置をマークするように構成されており、
前記プロセッサは、更に、前記トランケートされた位置を、ファン形状投射範囲の境界線と走査FOVとの接点として記録するように構成されている、計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項5】
前記放射線源および前記検出器が一連の角度において投影するように前記被検体の周りを回転し、
前記プロセッサは、
前記一連の角度の各々の角度において、前記投影がトランケートされているか否かを決定すること、および
前記トランケーションが生じた場合、前記トランケートされた位置を記録すること、
を実行するように構成されている、請求項に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項6】
前記放射線源及び前記検出器は、一連の角度において投影するように前記被検体を中心として回転し、
前記プロセッサは、
一定の範囲内の各角度において、前記投影がトランケートされているか否かを決定すること、
トランケーションが生じた場合に、前記トランケートされた位置を記録することを実行するように構成されている、請求項に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
トランケーションが示されている場合、オフ・センタ再構成に用いられる投影データが前記トランケーションによる影響を受けているか否かを決定し、
オフ・センタ再構成に用いられる前記投影データが前記トランケーションによる影響を受けている場合、前記オフ・センタ再構成の影響を受けた点を記録する
ように構成されている、請求項に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項8】
前記放射線源及び前記検出器は、一連の角度において投影するように前記被検体を中心として回転し、前記プロセッサは、前記一連の角度の各々の角度において、オフ・センタ再構成に用いられる前記投影データが前記トランケーションによる影響を受けているか否かを決定し、オフ・センタ再構成に用いられる前記投影データが前記トランケーションによる影響を受けている場合、前記オフ・センタ再構成の前記影響を受けた点を記録するように構成されている、請求項に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項9】
前記放射線源及び前記検出器は、一連の角度において投影するように前記被検体を中心として回転し、前記プロセッサは、一定の角度範囲内の各々の角度において、オフ・センタ再構成に用いられる前記投影データが前記トランケーションによる影響を受けているか否かを決定し、オフ・センタ再構成に用いられる前記投影データが前記トランケーションによる影響を受けている場合、前記オフ・センタ再構成の前記影響を受けた点を記録するように構成されている、請求項に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記トランケーションによる影響を受ける影響範囲を算出し、
オフ・センタ再構成のためのDFOV範囲(DFOVoff)を算出し、
オフ・センタ再構成に用いられる前記投影データが前記トランケーションによる影響を受けているか否かを決定するために、前記DFOVoffと前記算出された影響範囲とが重なっているか否かを決定する
ように構成されている、請求項に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計算機式断層写真法(CT)方法及びCTシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野で周知のように、CTは、取得された情報及び画像を十分に活用して疾患を診断する方法であり、1回の検査を通じて一定の視野(FOV)を保つ。しかしながら、撮像されている被検体がFOVを超える可能性があり、このことを一般に当技術分野でトランケーション(truncation)と呼ぶ。図1は、通常の走査シナリオと、三つのトランケーション・シナリオとを示しており、後者がそれぞれ図1(B)、図1(C)、及び図1(D)に示されている。
【0003】
トランケーションが生ずると、図2(A)に示すように、約20のピクセル幅を有する明るい外環が再構成画像に現われる場合がある。図2(A)は胸部の放射線写真からの画像を示しており、同図では、画像構築のフィルタ補正時にトランケートされた領域の原データにゼロ充填を施すことにより明るい外環が生じている。この明るい環はトランケートされた領域のヒントを与えるが、真のエッジの画像情報を失い、従って画質を劣化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
典型的には、従来のCTシステムは、トランケートされた投影データを補外して、画像不連続性アーティファクトを減少させている。一般的には、二つのアプローチが当技術分野で広く用いられている。一つは、図2(B)に示すように、画像構築のフィルタ補正時にトランケートされた領域の投影データに最近接充填を施すものである。もう一つのアプローチは鏡映充填であって、図2(C)に示すように、画像構築のフィルタ補正時にトランケートされた領域に前の投影データを鏡映させるものである。しかしながら、人体の構造は複雑なので、実地ではトランケートされた領域のデータ傾向を正確に予測することは難しい。結果的に、これら二つのアプローチの何れかを用いて処理された画像でも、トランケートされた領域の提示に関しては真ではない。しかしながら、画像の提示特性、例えばピクセル輝度は、実地では常に医師によって診断に用いられる。残念ながら、提示が真でないため、上述の二つのアプローチによって得られるトランケートされた領域は、診断目的に用いることができない。従って、医師は、トランケートされた領域が利用されて誤診を招くことのないように、画像の何れの領域がトランケートされているかを知る必要がある。上述の二つのアプローチは、トランケートされた領域の周囲の画質を高めるが、明るい環も失う。明るい環が存在しなければ、医師は、画像を検討しているときに何れの領域がトランケートされているかを決定することができなくなる。医師の殆どは、最近接充填シナリオ、鏡映充填シナリオ、及びオフ・センタ再構成には疑いを抱いている、というのは、これらのシナリオは、画像の何れの領域又は位置がトランケーションによって破壊されているかを知る術がないからである。加えて、従来のCT方法の殆どは、トランケーションを補正することを目指している。例えば、米国特許第7254259号、標題「Method and Apparatus for compensating truncation」(この特許を本明細書に援用する)は単に、如何にしてトランケーションを補償するかを教示するに留まっている。以上に鑑みて、医師は、画像を検討しているときに何れの領域がトランケートされているかを知ることができないままでいる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の目的は、上述の諸問題に対処することにある。
【0006】
上述の諸問題に対処するために、本開示は計算機式断層写真法(CT)方法を提案し、この方法は、放射線源から撮像されるべき被検体へ向けて表示視野(DFOV)の範囲内でビームを投射するステップと、検出器において、投影データを収集するために、投射されたビームを受光するステップと、投影において、被検体がDFOVを超えているようなトランケーションが生じているか否かを決定するステップと、トランケーションが生じている場合に、投影のトランケートされた位置を記録するステップとを含んでいる。
【0007】
一実施形態によれば、本開示の方法はさらに、一連の角度において投射を放出するように被検体を中心として放射線源及び検出器を回転させるステップと、投影が、角度の各々において、トランケートされているか否かを決定するステップと、トランケーションが生じている場合に、トランケートされた位置を記録するステップとを含んでいる。
【0008】
一実施形態によれば、本開示の方法はさらに、一連の角度において投射を放出するように被検体を中心として放射線源及び検出器を回転させるステップと、投影が、一定の角度範囲内の各々の角度において、トランケートされているか否かを決定するステップと、トランケーションが生じている場合に、トランケートされた位置を記録するステップとを含んでいる。
【0009】
一実施形態によれば、本開示の方法はさらに、投影データに基づいて画像を再構成するステップと、再構成画像にトランケートされた位置をマークするステップとを含んでいる。
【0010】
一実施形態によれば、再構成画像は、トランケートされた位置が視覚表現によってマークされている状態でユーザ・インタフェイス(UI)に表示される。
【0011】
一実施形態によれば、トランケートされた位置は、ファン形状投射範囲の境界線と走査FOVとの接点として記録される。
【0012】
一実施形態によれば、本開示の方法はさらに、トランケーションが生じていた場合に、オフ・センタ再構成に用いられる投影データがトランケーションによって影響されているか否かを決定するステップと、影響されている場合に、オフ・センタ再構成のために影響された点を記録するステップとを含んでいる。
【0013】
一実施形態によれば、本開示の方法はさらに、一連の角度において投射を放出するように放射線源及び検出器を回転させるステップと、各々の角度において、オフ・センタ再構成に用いられる投影データがトランケーションによって影響されているか否かを決定するステップと、影響されている場合に、オフ・センタ再構成のために影響された点を記録するステップとを含んでいる。
【0014】
一実施形態によれば、本開示の方法はさらに、一連の角度において投射を放出するように放射線源及び検出器を回転させるステップと、一定の角度範囲の各々の角度において、オフ・センタ再構成に用いられる投影データがトランケーションによって影響されているか否かを決定するステップと、影響されている場合に、オフ・センタ再構成のために影響された点を記録するステップとを含んでいる。
【0015】
一実施形態によれば、オフ・センタ再構成に用いられる投影データがトランケーションによって影響されているか否かを決定する上述のステップは、トランケーションによって影響された影響範囲を算出し、オフ・センタ再構成のためのDFOV範囲DFOVoffを算出し、DFOVoffと算出された影響範囲とが重なっているか否かを決定することを含んでいる。
【0016】
一実施形態によれば、算出される影響範囲は、対応する検出器チャネルの数によって表わされる。
【0017】
一実施形態によれば、影響範囲は、ヘリカル・スキャン・モードでは、データ補間を考慮することにより算出される。
【0018】
一実施形態によれば、算出されるDFOVoffは、対応する検出器チャネルの数によって表わされる。
【0019】
一実施形態によれば、影響された点は、オフ・センタ再構成DFOVと、対応するファン形状投射範囲の境界線との接点として記録される。
【0020】
一実施形態によれば、本開示の方法はさらに、オフ・センタ再構成を実行するステップと、オフ・センタ再構成画像の影響された点にマークを提供するステップとを含んでいる。
【0021】
一実施形態によれば、オフ・センタ再構成画像は、影響された点が視覚表現によってマークされている状態でユーザ・インタフェイスに表示される。
【0022】
また、本開示には計算機式断層写真法(CT)システムが開示され、このシステムは、撮像されるべき被検体へ向けて表示視野(DFOV)の範囲内でビームを投射する放射線源と、投影データを収集するために、投射されたビームを受光する検出器と、放射線源及び検出器に結合されており、投影において、被検体がDFOVを超えているようなトランケーションが生じているか否かを決定し、トランケーションが生じている場合に、投影のトランケートされた位置を記録するように構成されているコンピュータとを含んでいる。
【0023】
一実施形態によれば、放射線源及び検出器は、一連の角度において投射を放出するように被検体を中心として回転させられる。コンピュータはさらに、投影が、角度の各々において、トランケートされているか否かを決定し、トランケーションが生じている場合に、トランケートされた位置を記録するように構成されている。
【0024】
一実施形態によれば、放射線源及び検出器は、一連の角度において投射を放出するように被検体を中心として回転させられる。コンピュータはさらに、投影が、一定の角度範囲内の各々の角度において、トランケートされているか否かを決定し、トランケーションが生じている場合に、トランケートされた位置を記録するように構成されている。
【0025】
一実施形態によれば、コンピュータはさらに、投影データに基づいて画像を再構成し、再構成画像にトランケートされた位置をマークするように構成されている。
【0026】
一実施形態によれば、CTシステムはさらに、トランケートされた位置が視覚表現によってマークされている状態で再構成画像を表示するように構成されているユーザ・インタフェイス(UI)を含んでいる。
【0027】
一実施形態によれば、コンピュータは、トランケートされた位置を、ファン形状投射範囲の境界線と走査FOVとの接点として記録するように構成されている。
【0028】
一実施形態によれば、コンピュータはさらに、トランケーションが生じていた場合に、オフ・センタ再構成に用いられる投影データがトランケーションによって影響されているか否かを決定し、影響されている場合に、オフ・センタ再構成のために影響された点を記録するように構成されている。
【0029】
一実施形態によれば、放射線源及び検出器は、一連の角度において投射を放出するように被検体を中心として回転させられ、コンピュータはさらに、各々の角度において、オフ・センタ再構成に用いられる投影データがトランケーションによって影響されているか否かを決定し、影響されている場合に、オフ・センタ再構成のために影響された点を記録するように構成されている。
【0030】
一実施形態によれば、放射線源及び検出器は、一連の角度において投射を放出するように被検体を中心として回転させられ、コンピュータはさらに、一定の角度範囲内の各々の角度において、オフ・センタ再構成に用いられる投影データがトランケーションによって影響されているか否かを決定し、影響されている場合に、オフ・センタ再構成のために影響された点を記録するように構成されている。
【0031】
一実施形態によれば、コンピュータはさらに、オフ・センタ再構成に用いられる投影データがトランケーションによって影響されているか否かを決定するために、トランケーションによって影響された影響範囲を算出し、オフ・センタ再構成のためのDFOV範囲DFOVoffを算出し、DFOVoffと算出された影響範囲とが重なっているか否かを決定するように構成されている。
【0032】
一実施形態によれば、算出されるDFOVoffは、対応する検出器チャネルの数によって表わされる。
【0033】
一実施形態によれば、コンピュータはさらに、影響された点を、オフ・センタ再構成DFOVと、対応するファン形状投射範囲の境界線との接点として記録するように構成されている。
【0034】
一実施形態によれば、コンピュータはさらに、オフ・センタ再構成を実行し、オフ・センタ再構成画像の影響された点にマークを提供するように構成されている。
【0035】
一実施形態によれば、CTシステムはさらに、影響された点が視覚表現によってマークされている状態でオフ・センタ再構成画像を表示するユーザ・インタフェイス(UI)を含んでいる。
【0036】
従来の技術と比較すると、本開示において提案されるCT方法は、CT投影のトランケーションの発生を検出し、トランケートされた位置を記録して、利用者がトランケートされた位置の知見を有し、画像のトランケートされた領域を診断のために適用することを回避するようにして、これにより診断の精度を高める。
【0037】
加えて、本開示のCT方法は、トランケートされた位置の視覚化された手がかりをユーザ・インタフェイスに提供し、何れの領域(1又は複数)がトランケートされており、従って診断に用いることができないかを利用者が決定することを容易にする。従って、このCT方法は利用者にとってさらに満足度が高い。
【0038】
さらに、投影データを得るためにCT投影を行なっている間に、本開示の方法は、トランケーションの発生を自動的に検出し、トランケートされた位置を記録して、利用者がトランケートされた位置の指標を直接且つ簡便に得ることを可能にする。
【0039】
さらに、CT投影を行なっている間にトランケートされた位置の自動記録を行なうため、本開示のCT方法は、利用者が付加的な手動計算又は操作を行なう必要がないようにトランケーションの指標をさらに簡便に提供して、全ワークフローをさらにパーソナライズする。
【0040】
上述の利益を提供しつつ、本開示のCT方法は画像アーティファクトを全く生じない。
【0041】
トランケートされた位置が記録されるので、利用者は、トランケートされた位置をユーザ・インタフェイスに表示させるか否かを選択することができ、さらに満足度の高い方式を提供する。
【0042】
本開示のさらに他の利点及び利益は、以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1(A)】CTシステムによって被検体を臨床的に走査している間に遭遇され得るシナリオを示し、走査される被検体がFOVの範囲内で中心に位置する通常のシナリオを示す図である。
図1(B)】CTシステムによって被検体を臨床的に走査している間に遭遇され得るシナリオを示し、走査される被検体の両側がFOVを超えているトランケーション・シナリオを示す図である。
図1(C)】CTシステムによって被検体を臨床的に走査している間に遭遇され得るシナリオを示し、走査される被検体の片側がFOVを超えているもう一つのトランケーション・シナリオを示す図である。
図1(D)】CTシステムによって被検体を臨床的に走査している間に遭遇され得るシナリオを示し、図1(C)に示すようなシナリオに基づくオフ・センタ再構成を示す図である。
図2(A)】従来のCTシステムにおいてトランケートされた領域を伴う処理によって得られる画像を示し、トランケートされた領域にゼロ充填を施すことにより得られる画像を示す図である。
図2(B)】従来のCTシステムにおいてトランケートされた領域を伴う処理によって得られる画像を示し、トランケートされた領域に最近接充填を施すことにより得られる画像を示す図である。
図2(C)】従来のCTシステムにおいてトランケートされた領域を伴う処理によって得られる画像を示し、トランケートされた領域に鏡映充填を施すことにより得られる画像を示す図である。
図3】本開示の一実施形態による方法でのオフ・センタ再構成の概略図である。
図4(A)】トランケートされた領域に鏡映充填を施すことにより得られる画像と本開示の一実施形態による方法によって得られる画像との比較を示し、鏡映充填を施すことにより得られる画像を示す図である。
図4(B)】トランケートされた領域に鏡映充填を施すことにより得られる画像と本開示の一実施形態による方法によって得られる画像との比較を示し、本開示の一実施形態による方法によって得られる画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本開示に用いられる各実施形態について、当業者が本開示を実施することを可能にするように図面を参照することにより十分に詳細に説明する。尚、他の実施形態を利用し得ること、並びに本開示の真意から逸脱することなく論理的観点、機械的観点、及び電気的観点等に改変を施し得ることを認められたい。従って、以下の各実施形態は、本開示の範囲を限定する意味で解釈されるべきでない。
【0045】
トランケーションは、従来のCTシステムによる応用では常に生ずる。誤診を回避するために、又は技術的制限のため、幾つかのCTシステムは、例えば最近接充填又は鏡映充填を施すことによるトランケーションの較正を行なわない。言うまでもなく、トランケーションは近傍の投影データを破壊するため、このように較正を行なわなければ画質は不可避的に低下する。一方、他の幾つかのCTシステムは、画像構築のフィルタ補正時にトランケートされた領域に関する較正を行なうが、トランケーションはあらゆる複雑な人体領域に起こり得るため画像構築のフィルタ補正時にデータ傾向を予測することは依然として困難である。較正は画像を真でないものとし得るため、トランケートされた領域は、較正されていても、診断には依然として望ましくない。利用者例えば医師は、較正された画像からはトランケートされた領域を決定することができなくなる。
【0046】
本開示によるCT方法は、トランケートされたCT投影を自動的に検出してトランケートされた位置を記録することが可能であり、利用者がトランケートされた位置を容易に得て、これにより再構成画像においてトランケートされた領域、又はトランケーションによって影響され若しくは破壊された領域を識別することを可能にする。
【0047】
以下では、本開示の特定の実施形態を詳細に説明し、本開示はこれらの実施形態に限定されないことを認められたい。
【0048】
CTシステムでは、放射線源及び検出器が、走査される被検体例えば患者を中心として回転する回転ガントリに全体的に配設されており、放射線源及び検出器が、走査される被検体を中心として撮像平面内を回転するようにしている。走査される被検体は、ガントリを通過して移動する又は並進するテーブルに配設される。放射線源は被検体へ向けてファン形状のビームを投射し、このビームは撮像されるべき被検体を通過して減弱する。次いで、減弱したビームが放射線検出器のアレイに入射する。アレイの内部のあらゆる検出器素子が、当該検出器素子におけるビーム減弱の測定となる別個の電気信号を発生する。各々の検出器素子がチャネルに対応しており、全ての検出器素子からの減弱測定(すなわち投影データ)が別個に取得されてCT画像を再構成する。
【0049】
加えて、放射線源及び検出器アレイは、放射線ビームが被検体と交差する角度(すなわち視角)が定常的に変化するように、撮像平面の内部で撮像されるべき被検体の周りをガントリと共に回転し得る。各々の視角において、検出器アレイからの一群の放射線減弱測定すなわち投影データが一つの「ビュー」に対応する。被検体の「走査」は、放射線源及び検出器の一回転の間に一連の視角において得られる一組のビュー又は投影データ集合を含んでいる。かかる投影データ集合を用いて、走査される被検体のCT画像を構築することができる。
【0050】
以下、様々な臨床シナリオに関連して本開示に開示される方法を説明する。
【0051】
実際の臨床応用では、サイズの大きい被検体は表示視野(DFOV)を超える可能性が高く、すなわちトランケーションが起こる可能性が高い。
【0052】
一般的には、二つの走査モードが臨床で適用される。一つは最大DFOVによる走査であり、もう一つは走査される被検体の詳細な部分を観測するためにDFOVを小さくするオフ・センタ再構成である。以下では、トランケーションが生じ得る上述の各走査モードに関連して本開示による方法を説明する。
《実施形態1》
以下では、図1(B)及び図1(C)に示すような最大DFOV走査モードに関連して本開示による方法を説明する。
【0053】
一般的には、CTシステムの動作中には、図1(B)及び図1(C)に示すような一つのビュー又は一つの視角において、頂点が放射線源を表わし、放射線源は、影で表わされている撮像されるべき被検体へ向けて最大DFOV(又は走査FOV)の範囲内でファン形状ビームを放出する。下方の検出器(不図示)が投射されたビームを受光して、投影データを得る。
【0054】
続いて、着目投影がトランケートされているか否かを決定するステップIが着目投影について実行される。
【0055】
投影がトランケートされているか否かについては、DFOVのマージンにおいて検出器によって受光されるビームに基づいて決定され得る。具体的には、DFOVのマージンにおいて受光されるビームが被検体によって減弱していることが判明したら、投影にトランケーションが起こっていると決定される。他の場合には、トランケーションはない。
【0056】
例えば、測定VmarginがDFOVのマージンの検出器素子チャネルにおいて受光されるビームについて得られ、次いで、被検体によって減弱されずに同じ検出器チャネルにおいて受光される(すなわち空気のみを横断した後に受光される)ビームの測定Vairと比較される。VmarginがVairよりも小さい場合には、DFOVのマージンにおけるビームは空気以外に被検体例えば走査される被検体によって減弱していることを意味する。換言すると、走査される被検体はDFOVのマージンを超えており、すなわち投影はトランケートされている。他の場合には、VmarginがVairに等しい場合には、投影はトランケートされていないことを意味する。
【0057】
明らかに、本書に開示されるVairは一定であり、CTシステムが製造されるときに将来利用のためにCT製造者によってCTシステムに予め記憶され得る。
【0058】
marginは、上述と異なる方法で得られてもよい。好ましくは、Vmarginは、エッジ・チャネルNでの測定ともう一つのチャネルでの測定との平均であってよい。例えば、Vmarginは、エッジ・チャネルNでの測定と隣接するチャネルN−1での測定との平均であってよい。
【0059】
以上に開示されているのは、VmarginがVairと等しいときにはトランケーションは起こっていないと決定される理想的なシナリオである。しかしながら、実地では、トランケーションが起こっていなかったとしても、CTシステムの製造及び長期利用のためVmarginはVairと等しくならない。Vmarginはk*Vair(0<k<1、例えば0.97)と等しい場合がある。言うまでもなく、kは経験又は実験によって製造者によって経験的に決定されることを認められたい。
【0060】
以上に鑑みて、トランケーションの発生を決定するための規準は下記のように表現され得る。
【0061】
margin<k*Vairの場合には、
TruncateLabel=1
他の場合には、
TruncateLabel=0
式中、論理値「1」はトランケーションの発生を意味し、論理「0」はトランケーションがないことを意味する。
【0062】
ステップIにおいてトランケーションが生じていると決定された場合には、トランケートされた投影のトランケートされた位置を記録するステップIIが実行される。
【0063】
具体的には、ステップIが、投影がトランケートされていると決定した場合には、トランケートされた点が記録される。
【0064】
例えば、図1(C)に示すように、ファン形状投射範囲の右境界と走査FOVとの接点が、記録されるべきトランケートされた点となる。走査FOVに対応する円は図示されていないが、走査FOVはCT画像再構成の技術分野では周知の用語であり、本書では立ち入って紹介しない。当業者は、特定の視角について、接点は既知であるか、又は既知のアルゴリズムによって得ることができることを認められよう。
【0065】
トランケートされた点は、投影データの一部としてコンピュータに記憶されることができ、利用者への提示のために将来の画像再構成において用いることができる。
【0066】
一例によれば、放射線源及び検出器は一連の視角を通じて回転する。これらの視角の各々について、放射線源及び検出器がそれぞれの投影データを得るように動作させられるときにステップI及びステップIIがそれぞれの投影について実行される。
【0067】
もう一つの例によれば、利用者例えば医師が一定の角度範囲を選択することができ、この角度範囲の各々の視角について、放射線源及び検出器が対応する投影データを得るように動作させられるときにステップI及びステップIIが実行される。
【0068】
この後に、利用者は必要に応じて、画像を再構成して、再構成されたCT画像に記録されたトランケートされた点をマークするステップIIIを実行することを選択することができる。
【0069】
具体的には、一連の視角から被検体を走査した後に、図4(B)に示すように利用者にトランケートされた領域を表示するように、トランケートされた点についてのマークがユーザ・インタフェイスにおいて再構成されたCT画像に表示される。
【0070】
実地では、利用者は、再構成画像にトランケートされた位置を表示するか否かを、好み又は状況に従って選択し得ることが認められよう。
【0071】
本実施形態において開示される方法を従来のCTシステムと組み合わせて用いてもよい。例えば、本実施形態において開示される方法を、トランケーションを補正し、補償し、また較正する従来の方法と組み合わせて用いて、利用者がトランケートされた位置についてのマークを簡便に得ることを可能にしてもよい。
《実施形態2》
ここで、図1(D)及び図3を参照して、DFOVを小さくしたオフ・センタ再構成と関連して本開示の方法を説明する。
【0072】
実際の臨床応用では、利用者例えば医師は常に、図1(D)に示すように被検体のさらに詳細な部分の画像を確定するように、かかる詳細な部分を再構成のために選択する。かかる再構成をオフ・センタ再構成と呼ぶ。
【0073】
上で実施形態Iにおいて記載されているステップI、II、及びIIIは、実施形態2にも適用可能である。
【0074】
先ず、オフ・センタ再構成が必要であるか否かの決定を行なう。必要である場合には、放射線源は、一定の視角において、被検体へ向けてファン形状ビームを投射し、次いで、投射されたビームは検出器によって受光される。
【0075】
続いて、着目投影がトランケートされているか否かを決定するステップIが着目投影について実行される。トランケートされている場合には、トランケーションがオフ・センタ再構成投影データに影響しているか否かを決定するステップSが実行される。換言すると、詳細部分がトランケーションによって影響されている又は破壊されているか否かが決定される。具体的なステップは以下の通りである(ステップS1からステップS3)。
【0076】
ステップS1:トランケーションによって影響されている影響範囲が算出される。影響範囲は、トランケーションの周りの領域であって、投影データがトランケーションのため画像再構成のフィルタ補正時に破壊されているような領域を意味する。
【0077】
一般的には、以下で定義されるパラメータ、及び算出される影響範囲は、対応する検出器チャネルの数によって表わされ得る。
【0078】
画像再構成に用いられるフィルタ・カーネルのサイズをNkernelと定義し(対応する検出器チャネルの数によって識別される)、中央検出器チャネル番号をchcenterと定義し、DFOVに対応する検出器チャネルの2分の1をNdfovと定義すると、下記の式が得られる。
【0079】
dfov=[Arcsin{(maxDFOV/2)/Dsource-center
*Dsource-detector]/DetectorModuleSize (1)
式中、Dsource-detectorは放射線源と検出器との間の距離を表わし、maxDFOV/2は最大DFOV(すなわち走査FOV)に対応する円の半径を表わし、Dsource-centerは放射線源とアイソセンタ(すなわちガントリの幾何中心)との間の距離を表わし、DetectorModuleSizeは単一の検出器素子のサイズを表わす。上述の式(1)はNdfovを与える。
【0080】
トランケーションが検出器の低側端部、例えば図1(B)の左側において起こっている場合には、影響範囲は次式に従って算出され得る。
【0081】
[chcenter−Ndfov,chcenter−Ndfov+Nkernel/2]
トランケーションが検出器の高側端部、例えば図1(B)に示すような右側又は図1(C)に示すようなシナリオにおいて起こっている場合には、影響範囲は次式に従って算出され得る。
【0082】
[chcenter+Ndfov−Nkernel/2,chcenter+Ndfov
当業者は、本書で参照される「高側端部(higher end)」及び「低側端部(lower end)」は説明を分かり易くするためのみのものであって、制限を意図しないことを認められよう。従って、異なる製造者が状況に従って異なる定義を選択し得る。例えば、図1(B)の右側を低側端部と表現し、左側を高側端部と表現してもよい。
【0083】
上述の記載は一般の走査モードに適していることが理解されよう。
【0084】
言うまでもなく、当業者は、ヘリカル・スキャン・モードの場合には、データ補間を考慮することにより影響範囲を算出し得ることを理解されよう。具体的には、ヘリカル・スキャン・モードの場合に、再構成される平面の投影データは、二つの関係する標本視角、例えば360°の差の視角のデータを補間するか、又は180°の差の共役する隣接した標本視角のデータを補間することにより取得され得る。従って、関係する標本の対応するパラメータを補間することによりヘリカル・スキャン・モードでの影響範囲を得ることができることが認められよう。
【0085】
ステップS2:DFOVoffと表わされるオフ・センタ再構成DFOVの範囲が算出される(対応する検出器チャネルの数によって識別される)。
【0086】
ここで図3を参照する。影付きの小さい円はDFOVoffに対応する円を表わす。中心のオフセットはCoffcenterと定義され、DFOVoffの範囲すなわち対応するファン形状投射範囲は、図3に示すようなビーム射線MとNとの間の範囲を指す。図3に示すような下方の曲線は検出器アレイを表わす。
【0087】
さらに特定化するために、LR方向(図3の左右方向)に沿ったCoffcenterの成分、及びAP方向(図3の上下方向)に沿ったCoffcenterの成分がそれぞれCLRoff及びCAPoffと定義され、それぞれDFOVoff円の中心についてLR方向に沿ったオフセット、及び同じ中心についてAP方向に沿ったオフセットを表わす。P方向のオフセットが負となる。
【0088】
検出器中心はOと定義され、放射線源はSと定義されるので、OSとSMとの間の角度Aが下記のように算出される。
【0089】
A=arctan
[{CLRoff−(DFOVoff/2)}
/(Dsource-center−CAPoff)]
式中、DFOVoff/2はDFOVoff円の半径を表わし、Dsource-detectorは放射線源と検出器との間の距離を表わし、Dsource-centerは放射線源とアイソセンタとの間の距離を表わす。曲線OMの弧の長さはA*Dsource-detectorと決定される。
【0090】
従って、DFOVoffの低側マージン(例えば図3に示すようなM)は次式に従って算出される(対応する検出器チャネルの数によって識別される)。
【0091】
lowerMargin=chcenter
+[arctan
{(CLRoff−DFOVoff/2)/(Dsource-center−CAPoff)}
×Dsource-detector]/DetectorModuleSize
同様に、DFOVoffの高側マージン(例えば図3に示すような点N)は下記のように算出される(対応する検出器チャネルの数によって識別される)。
【0092】
higherMargin=chcenter
+[arctan{CLRoff/(Dsource-center−CAPoff)}
×Dsource-detector]/DetectorModuleSize
×2
ステップS3:ステップS2において決定されたDFOVoffと、ステップS1において決定された影響範囲とが重なっているか否かの決定が行なわれる。
【0093】
具体的には、重なっている場合には、オフ・センタ再構成データがトランケーションによって影響されていることを意味する。
【0094】
ステップIがトランケーションの発生を検出した場合には、ステップIIを実行して、投影のトランケートされた位置すなわち第一のトランケートされた点を記録する。
【0095】
第一のトランケートされた点に加えて、ステップS3がオフ・センタ再構成のための投影データが影響されていると決定した場合には、影響された点が第二のトランケートされた点として記録される。具体的には、第二のトランケートされた点が、DFOVoffと、対応するファン形状投射範囲の境界(図3の線ONに対応する)との接点として記録される。
【0096】
一例によれば、放射線源及び検出器は一連の視角を通じて回転する。これらの視角の各々において、放射線源及び検出器が対応する投影データを得るように動作させられるときにステップS1からステップS3を含めて上述のステップI及びIIが実行される。
【0097】
もう一つの例によれば、利用者例えば医師が一定の角度範囲を選択することができ、この範囲の各々の視角についてステップS1からステップS3を含めてステップI及びIIが実行される。
【0098】
続いて、必要に応じてステップIIIを実行して、画像を再構成し、再構成されるCT画像に第一のトランケートされた点をマークする。具体的には、一連の視角又は一定範囲の視角を通じて被検体を走査した後に、走査される被検体についてCT画像が再構成されて、トランケートされた位置が画像にマークされる。
【0099】
次いで必要に応じて、オフ・センタ再構成を行なって、詳細部分のオフ・センタ再構成CT画像に第二のトランケートされた点のマークを提供するステップIVを実行してもよい。
【0100】
一例では、医師がさらに詳細な部分の画像のみを必要とする場合もある。この場合には、医師はステップIIIを飛ばしてステップIVを直接実行することができる。
【0101】
本実施形態の方法は、従来のCTシステムと組み合わせて適用されて、詳細部分のオフ・センタ再構成画像におけるトランケーションを自動的に検出して、トランケートされた位置を記録することができる。あらゆるトランケーションのマークを利用者に提供するために、本書に開示される方法を、トランケーションを補正し、補償し、また較正する従来の方法と組み合わせて用いてもよいことが認められよう。
《実施形態3》
本実施形態では、撮像されるべき被検体へ向けてDFOVの範囲内でビームを投射する放射線源と、投影データを収集するために、投射されたビームを受光する検出器と、コンピュータ放射線源及び検出器に結合されており、上述の各実施形態の任意のものの方法を実行するように構成されているコンピュータとを含むCTシステムが開示される。
【0102】
一実施形態によれば、放射線源及び検出器は、被検体例えば患者を中心として回転するガントリに配設されている。CTシステムはさらに、CTが動作している間に一連の視角を通じて放射線源及び検出器を回転させるように制御する制御機構を含み得る。例えば、制御機構は放射線源に電力信号及びタイミング信号を供給し、またガントリのモータ制御器に回転速度信号及び位置信号を供給して、ガントリに配設された放射線源及び検出器の回転速度及び位置を制御することができる。
【0103】
本書で用いられるコンピュータとは、集積回路に限らず、様々なコンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラム可能型論理コントローラ、特定型集積回路、及び他のプログラム可能型電気回路を広範に指す。
【0104】
一例では、コンピュータは、上述の各実施形態の任意のものの方法を実行するために、CTシステムのデータ収集システム及び画像再構成器の少なくとも一方の内部に集積回路として一体化され得る。
【0105】
言うまでもなく、本開示の各実施形態は、本書で上に開示されている任意の方法を実行するように構成されている単一のコンピュータにのみ言及しているが、本開示はこれにより限定されない。
【0106】
一例では、コンピュータは、本書で上に開示されている方法を実行するために複数のモジュールに分割されていてもよい。これらのモジュールは、状況に従って計算機式断層写真法(CT)システムの様々なユニット、例えばデータ収集システム、画像再構成器及びユーザ・インタフェイスに一体化されていてもよい。
【0107】
一例によれば、CTシステムはさらに、オフ・センタ再構成画像を表示するように構成されているユーザ・インタフェイスを含んでいる。影響された点は、ユーザ・インタフェイスにおいて視覚表現例えばアイコン及び強調表示によってマークされ得る。
【0108】
一例では、CTシステムはさらに、再構成画像及びトランケートされた位置に関係する情報を入力として記憶する大容量記憶装置を含み得る。
【0109】
一例によれば、利用者はユーザ・インタフェイスから、再構成画像を観察して、再構成画像にトランケートされた位置を表示することを選択することができる。
【0110】
言うまでもなく、本開示に開示されている方法は、医用以外のイメージング・システム、例えば工業用及び輸送用、例えば手荷物走査用CTシステムにも適用され得ることが認められよう。
【0111】
本開示の上述の各実施形態は例示するのみであって、本開示の範囲を制限するものと解釈すべきではないことを特記しておく。当業者は、特許請求の範囲によって画定されるべき本開示の範囲から逸脱することなく、多くの代替的な実施形態を設計することができる。本書で用いられる「含む」、「包含する」のような用語は、特許請求の範囲又は記載以外の要素及び/又はステップを排除するものではない。単数不定冠詞を冠した要素又はステップは、関連する要素又はステップを複数備える可能性を排除しない。参照のために特許請求の範囲に用いられている括弧付きのあらゆる数値又は符号は、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0112】
本開示は、上述の各実施形態に一切限定されない。当業者は、特許請求の範囲によって画定されるべき本開示の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態を改変することが可能であり明らかであることを認められよう。
図1(A)】
図1(B)】
図1(C)】
図1(D)】
図2(A)】
図2(B)】
図2(C)】
図3
図4(A)】
図4(B)】