(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
各種船舶や発電機並びに大型建機、さらには各種自動車等の動力源としてディーゼルエンジンが広範囲に採用されているが、このディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれるPM(粒状物質)は、周知の通り大気汚染をきたすのみならず、人体に極めて有害な物質であるため、その排気ガスの浄化は極めて重要である。このため、ディーゼルエンジンの燃焼方式の改善や各種排気ガスフィルタの採用、コロナ放電を利用して電気的に処理する方法等、既に数多くの提案がなされ、その一部は実用に供されている。
【0003】
その中で、コロナ放電を利用して電気的に処理する技術としては、例えば特許文献1に記載された装置が提案されている。
特許文献1に記載されている、重油以下の低質燃料を使用するディーゼルエンジン排ガス処理装置は、
図10にその構成例を示すように、放電電極及び集塵電極よりなる管状捕集部91に、軸方向に短寸で径の異なる管状捕集モジュールを複数組合わせて構成した多段方式を例示したもので、具体的には、管状捕集モジュールを管状捕集部の上流部側より小径捕集部91−1A、中径捕集部91−1B、大径捕集部91−1Cの3段式となしたものである。
即ち、この管状捕集部が多段方式となしたディーゼルエンジン排ガス処理装置は、最上流側の第1段目の小径の管状捕集モジュールとして、捕集管91−1に固定された小径捕集管91−1A−1の内部に保持した放射状の第1段放電電極91−1A−2を共通の主電極91−2aに固定して内蔵した小径捕集部91−1Aと、第2段目の中径の管状捕集モジュールとして、中径捕集管91−1B−1の内部に保持した放射状の第2段放電電極91−1B−2を共通の主電極91−2aに固定して内蔵した中径捕集部91−1Bと、最下流側の第3段目の最大径の管状捕集モジュールとして、捕集管91−1と共通の大径捕集管91−1C−1の内部に保持した放射状の第3段放電電極91−1C−2を共通の主電極91−2aに固定して内蔵した大径捕集部91−1Cとしたものである。この3段式の管状捕集モジュールを有するディーゼルエンジン排ガス処理装置における小径捕集部91−1A、中径捕集部91−1B、大径捕集部91−1Cの各放電電極91−1A−2、91−1B−2、91−1C−2は、
図11A、
図11B、
図12に拡大して示すように、集塵電極を構成する捕集管91−1の軸心付近をほぼ全長にわたって延びる主電極(電極棒)91−2aと、該主電極91−2aの長手方向に所望の間隔S´で配設された放射状に突出する電極針91−2bの群とによって構成されている。この放電電極91−2は、具体的には
図12に示すように、例えば鋸刃状の放電板部(山部)91−2eが主電極91−2aの軸方向に延びる基板部91−2fを介して主電極91−2aと一体に設けられた鋸刃状放電電極板91−2dを、前記基板部91−2fを介して主電極91−2aに突設して構成されたものが採用されている。このように構成された放電電極91−2は、捕集管91−1の排ガス導入口91−1a側に設けたシールエアー導入管部91−1cと、低濃度排ガス導出管92の入口部位に設けたシールエアー導入管部91−1cに垂設した支持体93を介して主電極91−2aの両端部が支持されている。
【0004】
なお、前記管状捕集部91の下流側と上流側間に設けられたサイクロン方式の分別捕集手段94は、サイクロン捕集部94−1と、サイクロン捕集部94−1からの還流配管94−2とで構成されている。このサイクロン捕集部94−1は、管状捕集部91の捕集管91−1の下流側の内周面付近に設けた高濃度排ガス導出部91−1bに設けた高濃度排ガス配管95に還流配管94−2を介して接続された接線式サイクロン94−3で構成され、さらに接線式サイクロン94−3と排ガス導入管91−1aとの間に、接線式サイクロン94−3通過後の浄化ガスを排ガス導入管91−1a内を流れる排ガスに合流させるための還流配管94−2を配設している。96はブロアー、97は流量制御ダンパーである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コロナ放電等を利用して電気的に排気ガス中のPMを処理する上記した従来のディーゼルエンジン排ガス浄化装置(多段式)における前記放電電極91−2には、以下に記載する課題がある。
即ち、例えば
図11A、
図11B、
図12に示す放電電極91−2の場合、鋸刃状の放電板部(山部)91−2eが主電極91−2aの軸方向に延びる基板部91−2fを介して主電極91−2aと一体に設けられた鋸刃状放電電極板91−2dを、前記基板部91−2fを介して主電極91−2aに突設して構成されているため、管状捕集部91の捕集管91−1の外径が大きくなると、電極針91−2b(鋸刃状放電電極板91−2d)の先端と捕集壁面91−1kの間隔W´を所望の寸法に保つために、対応する電極針91−2bの径方向長さH´が長くなって剛性が低下し剛性を確保すると重量的にも重いものとなるのみならず、通常、電極針は厚さ0.5mm程度の極薄板で製作されるため大型化するとその形状維持も困難となり、特に高温にさらされると熱変形を起こす等の問題が生ずる。又、この集塵部において電界の弱いデッドスポットを無くして所定の放電電流密度を維持するためには電極針91−2b先端の周方向間隔L´を所望寸法にほぼ一定に保つ必要があり、その結果管状捕集部91の捕集管91−1の外径が大きくなると、電極針91−2bの個数(枚数)を増やさざるを得ない。しかし、必要な電極針91−2bの個数(枚数)が多くなると、電極針1個(1枚)当たりの主電極91−2aへの取付け面積が必然的に小さくなり、主電極91−2aへの強度を確保しての取付けが困難となってしまう。
さらに、前記した従来の長尺(長針)の電極針91−2b(鋸刃状放電電極板91−2d)の場合、電極針先端部分の電界は強いが捕集壁表面における電界が弱くPM捕集空間(電極針先端と捕集壁間の空間)全体の電界が弱いことからデッドスポットもでき易く、PMに作用するクーロン力が弱く、捕集率を向上できないのみならず、捕集壁から剥離したPMの捕集壁面でのジャンピング現象(PMが堆積・剥離を繰返す現象)が発現しにくいという欠点がある。
【0007】
本発明は、上記した従来技術の課題を克服するためになされたもので、特に放電電極及び集塵電極よりなる管状捕集部を軸方向に短寸とすると共に径を異ならせた管状捕集モジュールを軸方向に複数組合わせて構成した多段方式のディーゼルエンジン排ガス処理装置において、PM捕集空間の電界・クーロン力が高められてPM捕集率の向上がはかられ、又、管状捕集部の捕集管の外径が大きくなっても、主電極に対する電極針の配置を所定の密度で適切に設定できるとともに、電極針の剛性を維持し軽量化と形状維持もはかられ、さらに高温対策にも有効な放電電極を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極は、重油を使用するディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる粒状物質に帯電させる放電電極、及び帯電された前記粒状物質を捕集する集塵電極を構成す
る管状捕集部を有し、かつ前記放電電極は管状捕集部内に管軸方向に配設された主電極と該主電極に配設された放射状に突出する電極とによって構成された電気集塵手段を備え、前記放電電極及び集塵電極である単一
径の主捕集管よりなる管状捕集部に、軸方向
に径の異なる管状捕集モジュールを複数段に配置したディーゼルエンジン排ガス処理装置の放電電極であって、前記複数段に配置した管状捕集モジュールの少なくとも一つの管状捕集モジュールの放電電極が主電極の外周にステーを介して取着された同主電極と同心円筒状の放電電極支持筒と、該放電電極支持筒の表面に周方向及び管軸方向
に間隔を隔てて放射状に配置され
た放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板とで構成され、かつ前
記放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板の径方向長さが10〜30mm、当該放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板の先端と
管状捕集部の内周面との間隔が30〜70mmとなし、前記管状捕集部の最上流の管状捕集モジュールの前記放電電極支持筒の上流
側端部が閉塞されていることを特徴とするものである。
【0009】
又、本発明に係る他のディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極は、重油を使用するディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる粒状物質に帯電させる放電電極、及び帯電された前記粒状物質を捕集する集塵電極を構成す
る管状捕集部を有し、かつ前記放電電極は管状捕集部内に管軸方向に配設された主電極と該主電極に配設された放射状に突出する電極とによって構成された電気集塵手段を備え、前記放電電極及び集塵電極である単一
径の主捕集管よりなる管状捕集部に、軸方向
に径の異なる管状捕集モジュールを当該管状捕集部の上流部側より小径捕集部、中径捕集部、大径捕集部と3段に配置したディーゼルエンジン排ガス処理装置の放電電極であって、前記3段に配置した管状捕集モジュールの少なくとも一つの管状捕集モジュールの放電電極が主電極の外周にステーを介して取着された同主電極と同心円筒状の放電電極支持筒と、該放電電極支持筒の表面に周方向及び管軸方向
に間隔を隔てて放射状に配置され
た放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板とで構成され、かつ前
記放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板の径方向長さが10〜30mm、当該放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板の先端と
管状捕集部の内周面との間隔が30〜70mmとなし、前記管状捕集部の最上流の管状捕集モジュールの前記放電電極支持筒の上流
側端部が閉塞されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、放電電極支持筒の外周に放射状に設け
る放電電
極は、コーンエッジリングあるいは筒形エッジリングで構成され
、前記コーンエッジリングは排気ガスの流れ方向に徐々に拡径し先端にリング状エッジ部を有するリング、又は、前記リング状エッジ部の周壁部に排気ガスの流過抵抗を小さくするためのリーク孔を有するリングからなり、前記筒形エッジリングは筒体部の上流側端部に排気ガスの流れ方向に徐々に拡径し先端にリング状エッジ部を有する筒体からなることを好ましい態様とするものである。
さらに、前記放電電極支持筒の外周に放射状に設け
る放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板は、頂角が20度程度で形状が略二等辺三角形を呈する放電電極針あるいは鋸刃状の放電電極板
であり、隣接する放電電極針あるいは鋸刃状の放電電極板の先端の間隔としては、10〜50mmが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るディーゼルエンジンの排ガス処理用電気集塵装置の放電電極は、放電電極及び集塵電極よりなる管状捕集部を軸方向に短寸とすると共に径を異ならせた管状捕集モジュールを軸方向に複数組合せて構成した多段型集塵壁構造を有する電気集塵装置の少なくとも一つの管状捕集モジュールの放電電極を、主電極の外周に装着した当該主電極と同心円筒状の放電電極支持筒
に放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板を取着して構成すると共に、放電電極針あるいは鋸刃状放電電極板の長さを適正化、即ち、従来の長尺から短尺とすることにより、電極針あるいは電極板の先端と
管状捕集部の内周面間の電界が増大し放電電極先端より起こるコロナ電子の放出量が増加してデッドスポットも減少しクーロン力が強くなり捕集率が向上するのみならず、
管状捕集部の内周面から剥離したPMの
管状捕集部の内周面でのジャンピング現象が起こり、PMの粗大化により分岐流路経由でサイクロン捕集が可能となる。
又、こ
の放電電極針あるいは鋸刃状放電電極板の場合は、管状捕集部の捕集管が大径となってもその径に対応する適切な大きさの放電電極支持筒を用いることにより、放電電極針あるいは放電電極板の軸方向長さを大きくすることなく、放電電極針あるいは放電電極板の先端と
管状捕集部の内
周面との間隔
を適正な寸法に設定することができ、電極針の剛性を維持し軽量化がはかられるのみならず、電極針あるいは電極板が高温にさらされても大きな熱変形を生じることがないため形状維持もはかられる。さらに、主電極に対する電極針や電極板の配置を所定の密度で適切に設定できるとともに主電極に対する電極針や電極板の取付けも容易となる。又、放電電極支持筒は貫通孔を有さなければ当該筒体の外側と内側を流れるガス流の往来を遮断するため、集塵に好ましくない渦流や乱流を防止する作用もあり捕集率の向上にも寄与する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1、
図2に示す本発明の管状捕集モジュールの放電電極1は、主電極(電極棒)2と、該主電極2に、外周に周方向及び管軸方向
に間隔を隔てて放射状に配置し
た放電電極針6を有する放電電極支持筒3とからなり、前記放電電極支持筒3は複数のステー5を介して当該主電極2と同心に取着して構成されている。ここで、放電電極支持筒3の大きさ(直径)としては、主電極(電極棒)2の直径、あるいは捕集管7の内径に応じて放電電極針6の長さや放電電極針6の先端と
管状捕集部の内周面までの距離Wを考慮して適当なサイズに設定することになる。なお、主電極2に対する放電電極支持筒3の取着手段としては、直接主電極2に放射状に設けた複数のステー5を介して取付ける方式に限らず、例えば主電極2に嵌合する支持リング(図面省略)とステー5を用いて取付ける方式を採用してもよく、又、ステー5としては板状のものあるいは棒状のものを用いることができ、板状のステーを用いる場合は主電極2の外周面に間隔を置いて管軸方向に取着し、棒状のものを用いる場合は主電極2の周方向及び管軸方向
に間隔を隔てて取着する。
【0014】
放電電極支持筒3の外周に放射状に突設す
る放電電極針6としては、例えば頂角が20度程度で、形状が略二等辺三角形を呈する板状部材を用いることができる。この放電電極針6の長さ(放電電極支持筒3の外周面からの突出長さ)Hは10〜30mmとする。その理由は、10mm未満では放電電極針6先端のコロナ放電の為のピーク電界が弱くクーロン力が高められず
管状捕集部の内周面への付着を増大させにくく、他方、30mmを超えると放電電極針6先端のピーク電界は高まるが平均電界が低下してクーロン力を高めて
管状捕集部の内周面への付着を増大させにくくなるためである。
こ
の放電電極針6は、主電極2の軸心方向
に先端間隔Sでかつ周方向
に間隔Lで放電電極支持筒3の外周に放射状に突設する。又、隣接する放電電極針6の先端の軸心方向間隔Sとしては、特に限定するものではないが通常10〜50mmが好ましい。その理由としては、10mm未満では、電界が低くなりクーロン力が高められず
管状捕集部の内周面への付着を増大させにくく、他方、50mmを超えると、電界の弱いデッドポイントが多くなり平均電界が低下してクーロン力を高めて管状捕集
部の内周面への付着を増大させにくくなるためである。
又、放電電極針6の先端と捕集管7
の管状捕集部の内周面までの距離Wは、30〜70mmとする。その理由は、30mm未満では組付け時に放電電極針6の先端が捕集管7の
管状捕集部の内周面との接触や干渉が危惧され、運転中は船体の揺れやエンジンの振動により放電電極針6の先端が捕集管7の
管状捕集部の内周面との接触や干渉がし易く、他方、70mmを超えると放電間隔が広いために高い電界を維持して大きなクーロン力を得るには高電圧・高出力電源が必要となり且つ高電圧であるが故に各部に高い絶縁性が必要となって装置が高価となると共に維持・管理にも多大な工数が必要となるためである。
なお、上記放電電極支持筒3の半径R、放電電極針6の長さH、放電電極針6の周方向間隔L、放電電極針6の先端と捕集管7の
管状捕集部の内周面までの距離Wは、ディーゼルエンジン排ガス処理装置の規模及び管状捕集モジュールの配置位置、集塵電極を構成する捕集管7の大きさ(直径)等に応じて適宜定めることとする。特に、放電電極針6の長さHは、捕集管7の
管状捕集部の内周面電界との関係を考慮して設定する。
【0015】
又、本発明における放電電極としては、前記
図1、2に示す放電電極針6に替えて、例えば
図3、
図4、
図5に示す
排気ガスの流れ方向に徐々に拡径し先端にリング状エッジ部を有するコーンエッジリング形放電電極16、26、36や、
図6に示す
筒体部の上流側端部に排気ガスの流れ方向に徐々に拡径し先端にリング状エッジ部を有する筒形エッジリング形放電電
極46を用いることができる。
図3に示すコーンエッジリング形放電電極16は、
排気ガスの流れ方向に徐々に拡径し先端の外周にコーン状のリング状エッジ部16−1を有するリングからなり、
図4に示すコーンエッジリング形放電電極26は、コーン状のリング状エッジ部26−1の周壁部に当該エッジ部の排気ガスの流過抵抗を小さくするためのリーク孔26−2を有するリングからなり、該リーク孔26−2の周方向位置の位相を異ならせて複数個組合せ、
図5に示すコーンエッジリング形放電電極36は、コーン状のリング状エッジ部36−1の周壁部に前記リーク孔26−2より大きいリーク孔36−2を有するリングからなり、コーンエッジリング形放電電極16やコーンエッジリング形放電電極26と組合せる。そして、これらのコーンエッジリング形放電電極16、26、36をそれぞれ放電電極支持筒3
に間隔を隔てて所望数を必要に応じ組合せて外嵌固定することにより放電電極支持筒3の外周にコーン状のリング状エッジ部16−1、26−1、36−1を放射状に突設することができる。なお、このコーンエッジリング放電電極16、26、36の場合は、放電電極支持筒3のコーンエッジ部16−1、26−1、36−1の長さが前記
図1、
図2に示す放電電極針6の長さHと、隣接するコーンエッジリング放電電極16、26、36のエッジ部16−1、26−1、36−1の間隔が放電電極針6の先端の間隔Sとにそれぞれ相当し同じ長さとなる。
【0016】
又、
図6に示す筒形エッジリング形放電電極46は、筒体部46−1の一端
である当該筒体
の排気ガス上流側端部を好ましくは
排気ガスの流れ方向に徐々に拡径して軸心に対し鋭角に折曲げてコーン状のエッジリング部46−2を周方向に形成しその周縁をリング状エッジ部46−3としたもので、厚さ0.5mm程度の薄板若しくは管材から製作することができる。この筒形エッジリング形放電電極46の場合は、筒体部46−1を放電電極支持筒3に互いに当接するごとく外嵌固定することにより放電電極支持筒3の外周にエッジリング部46−2を放射状に突設する。この筒形エッジリング形放電電極46の場合は、エッジリング部46−2の長さが前記
図1、
図2に示す放電電極針6の長さHと、隣接する筒形エッジリング形放電電極46のエッジリング部46−2の間隔が放電電極針6の先端の間隔Sとにそれぞれ相当し同じ長さとなる。なお、ここでは、単体の筒形電極板を複数組合わせて形成した筒形エッジリング形放電電極を示したが、エッジリング部46−2を有する帯状板を放電電極支持筒3にスパイラル状に巻付けて形成した筒形エッジリング形放電電極(図面省略)としてもよい。
【0017】
上記構成の本発明の放電電極の場合は、主電極2の外周に装着した当該主電極2と同心円筒状の放電電極支持筒3
に放電電極針6、あるいはコーンエッジリング形放電電極16、26、36や筒形エッジリング放電電極46で構成されているため、管状捕集モジュールの捕集管7のサイズ(径)が大きくなってもそのサイズに対応する大きさの放電電極支持筒3を用いることにより、当該電極針や電極板の剛性が著しく高くなって振動等に対する耐変形強度が大きくなり耐久性が確保されるのみならず、電極針あるいは電極板が高温にさらされても大きな熱変形を生じることがなく形状維持もはかられ、リング状のエッジ部が周方向に連続しているので電界の弱いデッドポイントが発生し難く放電電流の大電流化が可能となって実効電界強度も大きくなり、粒子は確実に帯電されてクーロン力を得て捕集される。又
、放電電極針6あるいはコーンエッジリング形放電電極16、26、36、筒形エッジリング形放電電極46の先端と捕集管7内
周面との間隔W
を適正な寸法に設定することができるので、放電電極針あるいは放電電極板の高い剛性が維持され且つ軽量化がはかられる。さらに、主電極2に対する電極針6やコーンエッジリング放電電極16、26、36、筒形エッジリング形放電電極46の配置、即
ち放電電極針6、コーンエッジリング形放電電極16、26、36、あるいは筒形エッジリング形放電電極46の長さH、放電電極針6、コーンエッジリング放電電極16、26、36、あるいは筒形エッジリング放電電極46の先端の軸心方向間隔S及び周方向間隔Lを所定の密度で適切に設定できて電界の弱いデッドポイントの発生が防止できるとともに、主電極2に対す
る放電電極針6やコーンエッジリング放電電極16、26、36、あるいは筒形エッジリング放電電極46の取付けも容易となる。又、放電電極支持筒3は貫通孔を有さなければ当該筒体の外側と内側を流れるガス流の往来を遮断するため、集塵に好ましくない渦流や乱流を防止する作用もあり捕集率の向上にも寄与する。
【0018】
次に、本発明の放電電極を多段方式の集塵
管内周面を有するディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置に適用した放電電極を
図7〜
図9に基づいて説明する。
【0019】
図7に第1実施例(多段型集塵壁構造)として示すディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置は、主捕集管51内に配置する管状捕集モジュールを管状捕集部の上流部側より小径捕集部51−1、中径捕集部51−2、大径捕集部51−3の3段式となしたディーゼルエンジン排ガス処理装置において、小径捕集部51−1を除く中径捕集部51−2及び大径捕集部51−3に、前記と同様の放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板とで構成された放電電極51−2A−1、51−3A−1を配置して構成したものである。
【0020】
中径捕集部51−2の中径捕集管51−2A内に配置される放電電極51−2A−1は、主電極(電極棒)52の外周に周方向及び管軸方向
に間隔を隔てて放射状に配置した長さHが10〜30mm
の放電電極針51−2A−1cを有する半径Rが300mmの放電電極支持筒51−2A−1dとからなり、該放電電極支持筒51−2A−1dは複数のステー51−2A−1eを介して当該主電極52と同心に取着して構成されている。放電電極針51−2A−1cの先端と中径捕集管51−2Aの
管状捕集部の内周面までの距離Wは、30〜70mmである。
【0021】
又、大径捕集部51−3の主捕集管51と共通の大径捕集管部51−3Aに配置される放電電極51−3A−1は、前記中径捕集部51−2に配置された放電電極51−2A−1の放電電極支持筒51−2A−1dと同様に、主電極(電極棒)52の外周に周方向及び管軸方向
に間隔を隔てて放射状に配置した長さHが10〜30mm
の放電電極針51−3A−1cを有する半径Rが400mmの放電電極支持筒51−3A−1dとからなり、この放電電極支持筒51−3A−1dも複数のステー51−3A−1eを介して当該主電極52と同心に取着して構成されている。放電電極針51−3A−1cの先端と主捕集管51と共通の大径捕集管部51−3Aの
管状捕集部の内周面までの距離Wは、前記と同様に30〜70mmである。
【0022】
なお、小径捕集部51−1の小径捕集管51−1A内に配置される放電電極51−1A−1は、主電極(電極棒)52の外周
に間隔を隔てて放射状に配置し
た放電電極針51−1A−1cとから構成されている。
【0023】
図中、51−4は主電極支持体、51−5は低濃度排ガス導出管、51−6は高濃度排ガス導出部である。
【0024】
図8に第2実施例(多段型集塵壁構造)として示すディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置は、主捕集管61内に配置する管状捕集モジュールを管状捕集部の上流部側より小径捕集部61−1、中径捕集部61−2、大径捕集部61−3の3段式となしたディーゼルエンジン排ガス処理装置において、小径捕集部61−1、中径捕集部61−2及び大径捕集部61−3に、前記と同様の放電電極針あるいは鋸刃状放電電極板とで構成された放電電極61−1A−1、61−2A−1、61−3A−1を配置して構成したものである。ここで、小径捕集部61−1の小径捕集管61−1A内に配置される放電電極61−1A−1は、前記と同様の構成を有する放電電極と同様、主電極(電極棒)62の外周に周方向及び管軸方向に間隔を隔てて放射状に配置した長さHが10〜30mmの放電電極針61−1A−1cを有する半径Rが200mmの放電電極支持筒61−1A−1dとからなり、かつ該放電電極支持筒61−1A−1dは上流側端部に、当該放電電極支持筒内への排ガスの流入を阻止するための円錐状蓋部61−1A−1d´を形成して当該端部を閉塞し、複数のステー61−1A−1eを介して当該主電極62と同心に取着して構成されている。放電電極針
61−1A−1cの先端と小径捕集管61−1Aの管状捕集部の内周面までの距離Wは、30〜70mmである。なお、前記閉塞部を円錐状蓋部で構成したのは、捕集管61内の排ガスの流れを抵抗なくスムーズにするためである。
【0025】
又、中径捕集部61−2の中径捕集管61−2A内に配置される放電電極61−2A−1は、主電極(電極棒)62の外周に周方向及び管軸方向
に間隔を隔てて放射状に配置し
た放電電極針61−2A−1cを有する放電電極支持筒61−2A−1dとからなり、前記放電電極支持筒61−2A−1dは上流側端部に截頭円錐状部を61−2A−1d´を有し、複数のステー61−2A−1eを介して当該主電極62と同心に取着して構成されている。
【0026】
さらに、大径捕集部61−3の大径捕集管部61−3A内に配置される放電電極61−3A−1は、前記中径捕集部61−2に配置された放電電極61−2A−1の放電電極支持筒61−2A−1dと同様に、主電極(電極棒)62の外周に周方向及び管軸方向
に間隔を隔てて放射状に配置し
た放電電極針61−3A−1cを有する放電電極支持筒61−3A−1dとからなり、この放電電極支持筒61−3A−1dも前記中径捕集部61−2の放電電極支持筒61−2A−1dと同様に上流側端部に截頭円錐状部を61−3A−1d´を有し、複数のステー61−3A−1eを介して当該主電極62と同心に取着して構成されている。
【0027】
図中、61−4は主電極支持体、61−5は低濃度排ガス導出管、61−6は高濃度排ガス導出部である。
【0028】
図9に第3実施例(多段型集塵壁構造)として示すディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置は、前記
図8に示す第2実施例のディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の小径捕集部61−1
の位置に、さらに小径捕集管71−1Aと主捕集管71の
大径捕集管部71−1Fとの間に、内外両面
に放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板からなる放電電極71−4A−1を有する放電電極支持筒71−4A−1dを設けた以外は、前記第2実施例と同様の構成を有するディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置である。
即ち、この装置は、主捕集管71内に配置する管状捕集モジュールを管状捕集部の上流部側より小径捕集部71−1、中径捕集部71−2、大径捕集部71−3の3段式となしたディーゼルエンジン排ガス処理装置において、小径捕集部71−1、中径捕集部71−2及び大径捕集部71−3に、前記と同様
の放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板とで構成された放電電極71−1A−1、71−2A−1、71−3A−1を配置して構成したものである。ここで、小径捕集部71−1の小径捕集管71−1A内に配置される放電電極71−1A−1は、前記と同様の構成を有する放電電極と同様、主電極(電極棒)72の外周に周方向及び管軸方向
に間隔を隔てて放射状に配置した長さHが10〜30mm
の放電電極針71−1A−1cを有する半径Rが200mmの放電電極支持筒71−1A−1dとからなり、かつ該放電電極支持筒71−1A−1dは上流
側端部に、当該放電電極支持筒内への排ガスの流入を阻止するための円錐状蓋部71−1A−1d´を形成して当該端部を閉塞し、複数のステー71−1A−1eを介して当該主電極72と同心に取着して構成されている。放電電極針71−1A−1cの先端と小径捕集管71−1Aの
管状捕集部の内
周壁面までの距離Wは、30〜70mmである。そして、本装置はさらに、小径捕集管71−1Aと主捕集管71の
大径捕集管部71−1Fとの間に、内外両面
に放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板からなる放電電極71−4A−1を有する放電電極支持筒71−4A−1dをステー71−4A−1eを介して当該主電極72と同心に取着している。なお、小径捕集管71−1Aと
大径捕集管部71−1Fの間にこの放電電極支持筒71−4A−1dを設けるのは、小径捕集管71−1Aより外方の排ガス流に小径捕集部71−1と中径捕集部71−2及び又は大径捕集部71−3との少なくとも合計2回(小径捕集管71−1Aと放電電極支持筒71−4A−1dの間を通り且つ中径捕集管71−2A内を通る排気ガスは3回)の帯電・捕集を繰り返させてPMの塊状化・濃縮・分離を
さらに促進するためである。
【0029】
又、中径捕集部71−2の中径捕集管71−2A内に配置される放電電極71−2A−1は、主電極(電極棒)72の外周に周方向及び管軸方向
に間隔を隔てて放射状に配置した長さHが10〜30mm
の放電電極針71−2A−1cを有する半径Rが300mmの放電電極支持筒71−2A−1dとからなり、前記放電電極支持筒71−2A−1dは上流側端部に截頭円錐状部を71−2A−1d´を有し、複数のステー71−2A−1eを介して当該主電極72と同心に取着して構成されている。
【0030】
さらに、大径捕集部71−3の大径捕集管部71−3A内に配置される放電電極71−3A−1は、前記中径捕集部71−2に配置された放電電極71−2A−1の放電電極支持筒71−2A−1dと同様に、主電極(電極棒)72の外周に周方向及び管軸方向
に間隔を隔てて放射状に配置した長さHが10〜30mm
の放電電極針71−3A−1cを有する半径Rが400mmの放電電極支持筒71−3A−1dとからなり、この放電電極支持筒71−3A−1dも前記中径捕集部71−2の放電電極支持筒71−2A−1dと同様に上流側端部に截頭円錐状部を71−3A−1d´を有し、複数のステー71−3A−1eを介して当該主電極72と同心に取着して構成されている。
【0031】
図中、71−4は主電極支持体、71−5は低濃度排ガス導出管、71−6は高濃度排ガス導出部である。
【0032】
なお、上記した本発明の、管軸方向
に径の異なる管状捕集モジュールが複数段に配置された多段方式ディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極、即ち、主電極の外周にステーを介して取着された円筒状の放電電極支持筒と、該放電電極支持筒の表面に周方向及び管軸方向
に間隔を隔てて放射状に配置され
た放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板とで構成される放電電極は、当該ディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の規模、あるいは主捕集管の大きさ(管径等)、主電極の断面形状や直径等に応じて、その放電電極支持筒、放電電極針あるい
は鋸刃状放電電極板の断面形状や大きさ等を選択して製作することはいうまでもない。
【符号の説明】
【0033】
1、51−1A−1、51−2A−1、51−3A−1、61−1A−1、61−2A−1、61−3A−1、71−1A−1、71−2A−1、71−3A−1、71−4A−1 放電電極
2、52、62、72 主電極(電極棒)
3、51−2A−1d、51−3A−1d、61−1A−1d、61−2A−1d、61−3A−1d、71−1A−1d、71−2A−1d、71−3A−1d、71−4A−1d 円筒状の放電電極支持筒
5、51−2A−1e、51−3A−1e、61−1A−1e、61−2A−1e、61−3A−1e、71−2A−1e、71−3A−1e、71−4A−1e ステー
6、51−1A−1c、51−2A−1c、51−3A−1c、61−1A−1c、61−2A−1c、61−3A−1c、71−1A−1c、71−2A−1c、71−3A−1c 放電電極針
7 捕集管
16 コーンエッジリング放電電極
16−1 リング状エッジ部
26 コーンエッジリング放電電極
26−1 リング状エッジ部
26−2 リーク孔
36 コーンエッジリング放電電極
36−1 リング状エッジ部
36−2 リーク孔
46 筒形エッジリング形放電電極
46−1 筒体部
46−2 エッジリング部
46−3 リング状エッジ部
51、61、71 主捕集管
51−1、61−1、71−1 小径捕集部
51−1A、61−1A、71−1A 小径捕集管
51−2、61−2、71−2 中径捕集部
51−2A、61−2A、71−2A 中径捕集管
51−3、61−3、71−3 大径捕集部
51−3A、61−3A、71−3A
、71−1F 大径捕集管部
51−4、61−4、71−4 主電極支持体
51−5、61−5、71−5 低濃度排ガス導出管
51−6、61−6、71−6 高濃度排ガス導出部
61−1A−1d´、71−1A−1d´ 円錐状蓋部
61−2A−1d´、61−3A−1d´、71−2A−1d´、71−3A−1d´ 截頭円錐状部
S 放電電極針先端の軸心方向間隔
L 放電電極針先端の周方向間隔
H 放電電極針の長さ
W 放電電極針先端と管状捕集
部の内周面までの距離
R 放電電極支持筒の半径