(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646963
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】冷凍餃子用油脂組成物、冷凍連結餃子の製造方法、冷凍連結餃子、及び焼き餃子の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20200203BHJP
A23D 7/00 20060101ALI20200203BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20200203BHJP
【FI】
A23D9/00 518
A23D7/00 504
A23L35/00
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-147970(P2015-147970)
(22)【出願日】2015年7月27日
(65)【公開番号】特開2017-23103(P2017-23103A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165284
【氏名又は名称】月島食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(72)【発明者】
【氏名】加登 博文
【審査官】
宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−178989(JP,A)
【文献】
特開2013−226129(JP,A)
【文献】
特開2007−330204(JP,A)
【文献】
特開平10−271978(JP,A)
【文献】
特開2005−137296(JP,A)
【文献】
特開2003−000204(JP,A)
【文献】
特開2006−296428(JP,A)
【文献】
日本油化学協会,油脂化学便覧,丸善株式会社,1958年,p.6
【文献】
加藤 秋男,パーム油・パーム核油の利用,株式会社 幸書房,1990年,p.47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00−9/06
A23L 7/00−7/25
A23L 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CiNii
日経テレコン
FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃で液状をなす液状油71.0〜99.0質量%と、20℃で溶融しない、油脂及び/又は乳化剤からなる硬化剤0.5〜4.0質量%と、焼き付きを抑制するための離型剤0.5〜5.0質量%とを含有し、20℃での固体脂含量が5%以下であり、−18℃に16時間保管した後の固体脂含量が43%以上であり、水分が20質量%以下であり、連続相が油相であることを特徴とする餃子を連結させて冷凍固化するための冷凍連結餃子用油脂組成物。
【請求項2】
前記硬化剤として、パームステアリン、極度硬化油、グリセリン脂肪酸エステル、ワックスから選ばれた少なくとも1種を含有し、前記離型剤として、レシチン、酵素処理レシチン、酢酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種を含有する請求項1記載の冷凍連結餃子用油脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の冷凍連結餃子用油脂組成物をトレイの底部に溜まるように充填すると共に、複数の餃子を、焼き面が下を向くように、かつ、前記冷凍連結餃子用油脂組成物に接触するように、前記トレイ上に並べて配置し、その状態で冷凍することを特徴とする冷凍連結餃子の製造方法。
【請求項4】
複数の冷凍餃子が焼き面を同じ方向に向けて並べられた状態で、請求項1又は2に記載の冷凍餃子用油脂組成物の冷凍固化物によって連結されていることを特徴とする冷凍連結餃子。
【請求項5】
複数の冷凍餃子が焼き面を同じ方向に向けて並べられた状態で、請求項1又は2に記載の冷凍連結餃子用油脂組成物の冷凍固化物によって連結された冷凍連結餃子を、それらの焼き面が下を向くように加熱板上に載せて焼成することを特徴とする焼き餃子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍した際に複数の餃子を連結することができる冷凍餃子用油脂組成物、該組成物を用いた冷凍連結餃子の製造方法、該方法により得られる冷凍連結餃子、及び該冷凍連結餃子を用いる焼き餃子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、焼き餃子は、生もしくは蒸した餃子、場合によりそれらを冷凍したものを、一面に油をしいた鉄板鍋等の加熱板上に並べ、蒸焼きにして製造されている。
【0003】
このような焼き餃子として、下記特許文献1には、水:油:乳化剤:でんぷん:タンパク質=50〜80%:5〜30%:0.6〜8%:6〜10%:0.1〜0.7%となるように配合した、穀物粉を有しないバッターを乳化させ、トレー中に乳化状態のバッターと2個以上の餃子を、餃子の焼き面がバッター側であり、かつ、2個以上の餃子がバッターにより連結され固定されるように配置されていることを特徴とする、バッター付き冷凍又は冷蔵の連結餃子が開示されている。これによって、一度に短時間で大量の調理を簡単に行うことができ、餃子の周りにバリを立たせて見栄えを良くし、良好な食感が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−137296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示されるようなバッターをトレー中に入れて、複数の餃子がバッターに付着するように配置させて冷凍させる場合、バッターが水分やでんぷんやタンパク質を含むものであるため、作業工程中にバッターに付着した微生物が増殖しやすく、微生物汚染がしやすくなるという懸念があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、冷凍した際に複数の餃子を連結することができる、微生物汚染がしにくい冷凍餃子用油脂組成物、該組成物を用いた冷凍連結餃子の製造方法、該方法により得られる冷凍連結餃子、及び該冷凍連結餃子を用いる焼き餃子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、冷凍することにより固化する油脂組成物を用いて餃子を連結することができること、連続相が油相である油脂組成物は微生物汚染しにくいことに着眼し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の冷凍餃子用油脂組成物は、20℃での固体脂含量が5%以下であり、−18℃に16時間保管した後の固体脂含量が43%以上であり、水を20%以下含有し、連続相が油相であることを特徴とする。
【0009】
本発明の冷凍餃子用油脂組成物によれば、常温では液状をなすので、2個以上の餃子をトレイに並べて冷凍する際、この油脂組成物をトレイの底部に容易に流し込むことができる。そして、その状態で冷凍すると、油脂組成物の固体脂含量が増大して固化し、冷凍された複数の餃子を油脂組成物が連結するので、複数の餃子を連結された状態でトレイから取り出して、そのままフライパン等の加熱板に載せて焼くことができる。また、油脂組成物が溶けて餃子の焼き付きを防止するので、フライパン等に別途油脂を付与する必要がなく、調理作業を効率良く行うことができる。そして、連続相が油相である油脂組成物は、微生物が増殖しにくい環境であるため、作業工程中に微生物汚染しにくくなる。
【0010】
本発明の冷凍餃子用油脂組成物においては、20℃で液状をなす液状油と、20℃で溶融しない、油脂及び/又は乳化剤からなる硬化剤と、焼き付きを抑制するための離型剤とを含有することが好ましい。
【0011】
上記態様によれば、20℃で溶融しない、油脂及び/又は乳化剤からなる硬化剤は、冷凍処理中に種結晶となって液状油の結晶化を促進し、冷凍保存状態での固体脂含量を高める作用を有する。また、離型剤を含有することにより、餃子をフライパン等の加熱板上で焼くときに、餃子と加熱板とがくっついて剥がれにくくなることを抑制できる。
【0012】
また、本発明の冷凍餃子用油脂組成物においては、前記硬化剤として、パームステアリン、極度硬化油、グリセリン脂肪酸エステル、ワックスから選ばれた少なくとも1種を含有し、前記離型剤として、レシチン、酵素処理レシチン、酢酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0013】
上記態様によれば、固体脂含量を本発明で規定する範囲に調整しやすくなると共に、餃子の焼き付き防止効果を高めることができる。
更に、本発明の冷凍餃子用油脂組成物においては、前記液状油を71.0〜99.0質量%、前記硬化剤を0.5〜4.0質量%、前記離型剤を0.5〜5.0質量%含有することが好ましい。
【0014】
上記態様によれば、固体脂含量を本発明で規定する範囲に更に調整しやすくなると共に、餃子の焼き付き防止効果を更に高めることができる。
【0015】
本発明の冷凍餃子用油脂組成物においては、水を含有させることができ、その際に、連続相が油相になる、すなわちW/O型になるようにするため、乳化剤を含有することが好ましい。このような乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、酢酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルの他、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルから選ばれた少なくとも1種が挙げられる。水の添加量は、20%以下とすることが好ましい。水を含有させることで、水に溶解または分散可能な糖類、蛋白質、穀物粉、澱粉、塩類、調味料、酒精、乳化剤等を必要に応じて添加することが可能となる。
【0016】
本発明の冷凍連結餃子の製造方法は、上記冷凍餃子用油脂組成物をトレイの底部に溜まるように充填すると共に、複数の餃子を、焼き面が下を向くように、かつ、前記冷凍餃子用油脂組成物に接触するように、前記トレイ上に並べて配置し、その状態で冷凍することを特徴とする。
【0017】
本発明の冷凍連結餃子の製造方法によれば、上記冷凍餃子用油脂組成物を固化させることによって、冷凍餃子を連結するようにしたので、水を含有する液体を凍結させて連結する場合に比べて、微生物汚染等の問題が生じにくくなる。また、上記冷凍餃子用油脂組成物を用いることにより、常温では液状をなすので取り扱いが容易となり、冷凍すると固体脂含量が増大して迅速に固化するので、餃子どうしをしっかりと連結することができる。
【0018】
本発明の冷凍連結餃子は、複数の冷凍餃子が焼き面を同じ方向に向けて並べられた状態で、上記冷凍餃子用油脂組成物の冷凍固化物によって連結されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の冷凍連結餃子によれば、複数の餃子が上記冷凍餃子用油脂組成物によって連結されているので、連結された餃子をそのままフライパン等の加熱板に載せて焼くことができる。その際、上記冷凍餃子用油脂組成物が溶融して、餃子の焦げ付きを防止すると共に、焼き上がった餃子が加熱板から剥がし易くすることができる。
【0020】
本発明の焼き餃子の製造方法は、複数の冷凍餃子が焼き面を同じ方向に向けて並べられた状態で、上記冷凍餃子用油脂組成物の冷凍固化物によって連結された冷凍連結餃子を、それらの焼き面が下を向くように加熱板上に載せて焼成することを特徴とする。
【0021】
本発明の焼き餃子の製造方法によれば、複数の餃子が上記冷凍餃子用油脂組成物によって連結された冷凍連結餃子を用いることにより、連結された複数の餃子をそのままフライパン等の加熱板に載せて焼くことができるので、作業性を良好にすることができる。また、焼成時に冷凍餃子用油脂組成物が溶融するので、餃子の焦げ付きを防止すると共に、焼き上がった餃子が加熱板から剥がし易くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、常温では液状をなし、冷凍すると固体脂含量が増大する冷凍餃子用油脂組成物を用いることにより、冷凍餃子用油脂組成物をトレイに流し込む際の取り扱いが容易になると共に、冷凍すると固体脂含量が増大して迅速に固化するので、餃子どうしをしっかりと連結することができ、水を含有する液体を凍結させて連結する場合に比べて、微生物汚染等の問題が生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施例及び比較例において、餃子を冷凍した状態での冷凍餃子用油脂組成物の固化状態を評価した基準を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、本発明の冷凍餃子用油脂組成物について説明すると、本発明の冷凍餃子用油脂組成物は、20℃での固体脂含量が5%以下であり、−18℃に16時間保管した後の固体脂含量が43%以上であることを特徴とする。
【0025】
ここで、固体脂含量は、油脂2gずつを専用の試験管に入れ、20℃あるいは−18℃・16時間で調温した後、核磁気共鳴(NMR)装置によって測定することができる。
【0026】
本発明の冷凍餃子用油脂組成物は、20℃で液状をなす液状油と、20℃で溶融しない、好ましくは40℃で溶融しない、さらに好ましくは50℃で溶融しない、油脂及び/又は乳化剤からなる硬化剤と、焼き付きを抑制するための離型剤とを含有することが好ましい。
【0027】
上記液状油としては、例えば、菜種油、大豆油、米油、トウモロコシ油、紅花油、ヒマワリ油、綿実油、パームオレイン、ごま油、オリーブ油、ココナッツ油等の植物性油脂やなどから選ばれた1種又は2種以上が好ましく用いられる。特に好ましくは、菜種油、オレイック紅花油、オレイックヒマワリ油が用いられる。
【0028】
また、上記硬化剤としては、例えば、パームステアリン、極度硬化油、グリセリン脂肪酸エステル、ワックスの他、融点50℃以上の硬化油または分別油などから選ばれた1種又は2種以上が好ましく用いられる。
【0029】
更に、上記離型剤としては、レシチン、酵素処理レシチン、酢酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどから選ばれた1種又は2種以上が好ましく用いられる。
【0030】
本発明の冷凍餃子用油脂組成物は、上記液状油を、好ましくは71.0〜99.0質量%、より好ましくは85.0〜99.0%、さらに好ましくは93.0〜98.5質量%、上記硬化剤を、好ましくは0.5〜4.0質量%、上記離型剤を、好ましくは0.5〜5.0質量%、より好ましくは1.0〜3.0質量%含有することが好ましい。
【0031】
本発明において、20℃での固体脂含量の調整は、20℃で固化しない油脂を選定することによって行うことができる。また、−18℃に16時間保管した後の固体脂含量の調整は、硬化剤の種類と添加量を調整することによって行うことができる。
【0032】
本発明の冷凍餃子用油脂組成物において、20℃での固体脂含量は、5.0%以下であることがより好ましく、−18℃に16時間保管した後の固体脂含量は、60%以上であることがより好ましい。
【0033】
本発明の冷凍餃子用油脂組成物は、上記原料の他に、例えば、水分、酒精、糖類、蛋白質、穀物粉、澱粉、塩類、調味料、着色料、香料、酸化防止剤等を含有することができる。
【0034】
本発明の冷凍餃子用油脂組成物は、上記原料を加熱混合し、必要に応じて加熱殺菌を行った後、急冷練り合わせすることによって製造することができる。
【0035】
なお、本発明の冷凍餃子用油脂組成物は、W/O型乳化油脂組成物とすることができ、水分が20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。水分が20質量%を越えると、W/O型乳化が不安定となり、液分離しやすくなり、作業工程中の微生物汚染が生じやすくなる。
【0036】
次に、本発明の冷凍連結餃子の製造方法について説明すると、本発明の対象とする餃子は、特に限定されないが、餃子用の皮で、肉、野菜等の具材を包んだ生餃子や、この生餃子に蒸す等の加熱調理を施した餃子などが、好ましく例示される。
【0037】
餃子用の皮としては、特に限定されないが、小麦粉を主成分とする生地を混捏し、圧延してシート状にし、所定形状に打ち抜き又は切断したものが好ましく使用される。
【0038】
具材としては、例えば豚肉、牛肉、鶏肉、エビ等の肉類や魚介類、キャベツ、にら、生姜、にんにく、ネギ等の野菜類が好ましく使用される。これらの具材は適宜の大きさに細断化されて使用される。
【0039】
具材には、その他、塩、砂糖、醤油、酒、みりん等の調味料や、こしょう、唐辛子等の香辛料や、澱粉等のつなぎ材などを添加してもよい。
【0040】
本発明の冷凍連結餃子の製造方法は、上記冷凍餃子用油脂組成物をトレイの底部に溜まるように充填すると共に、複数の餃子を、焼き面が下を向くように、かつ、上記冷凍餃子用油脂組成物に接触するように、トレイ上に並べて配置し、その状態で冷凍することを特徴とする。
【0041】
トレイとしては、例えばプラスチック製のものや、アルミやステンレス製のものなどが用いられる。トレイの形状は、特に限定されないが、所定個数の餃子を並べて配列が乱れない程度にフィットした状態で配置できる収容部を有し、収容部の周囲がトレイの周壁及び/又は仕切壁で囲まれるように形成されたものが好ましい。
【0042】
このトレイの上記収容部に上記冷凍餃子用油脂組成物を所定量ずつ流し込み、その上から所定個数の餃子を並べて配置する。このとき、各餃子の焼き面を下に向けて、焼き面が冷凍餃子用油脂組成物に接触するようにする。本発明の冷凍餃子用油脂組成物は、20℃での固体脂含量が5%以下であるため、常温では充分な流動性を有し、トレイへの流し込み作業を効率良く行うことができる。
【0043】
冷凍餃子用油脂組成物の添加量は、トレイの収容部の底部に、上記油脂組成物が切れ目なく広がる程度の量とすることが好ましい。具体的には、餃子100質量部に対して、冷凍餃子用油脂組成物の添加量を5.0〜10.0質量部とすることが好ましく、6.5〜8.5質量部とすることがより好ましい。
【0044】
なお、上記油脂組成物をトレイに添加してから、餃子をトレイに載置することが好ましいが、餃子をトレイに載置してから、上記油脂組成物を添加してもよい。
【0045】
このような作業工程中、トレイに入れられた餃子や冷凍餃子用油脂組成物には、外気から微生物が混入する可能性があるが、本発明の冷凍餃子用油脂組成物は、基本的に油脂からなっており、水分が少ないので、微生物が増殖しにくく、冷凍に至るまでの作業中における微生物汚染を防ぐことができる。
【0046】
こうしてトレイに餃子と冷凍餃子用油脂組成物とを載せた後、トレイを冷凍庫に入れて餃子を冷凍する。なお、餃子の冷凍手段としては、コンタクトフリーザ、液化窒素などの急速凍結手段を採用してもよい。冷凍温度は、−25℃以下とすることが好ましく、
−40℃以下とすることがより好ましい。
【0047】
こうして餃子を冷凍すると、冷凍餃子用油脂組成物中の固型脂含量が増大し、同油脂組成物が固化して、複数個の餃子が固化した同油脂組成物を介して連結された状態となり、本発明の冷凍連結餃子が得られる。このとき、本発明の冷凍餃子用油脂組成物は、−18℃に16時間保管した後の固体脂含量が43%以上であるので、冷凍すると固体脂含量が増大して迅速に固化し、餃子どうしをしっかりと連結することができる。
【0048】
次に、本発明の焼き餃子の製造方法について説明すると、上記のように製造された本発明の冷凍連結餃子を、トレイから取り出し、焼き面が下を向くように加熱板上に載せて焼成する。
【0049】
ここで、加熱板とは、例えば、鉄板鍋、餃子焼き器、多目的焼き物器、ホットプレート等の餃子を載せて焼くための調理器具を意味する。
【0050】
加熱板上における餃子の焼成は、常法に従って行えばよい。例えば、加熱板を構成する鉄板鍋等の調理器具に載せて、好ましくは蓋をして、ガス、電気、誘導加熱等の加熱手段によって加熱板を加熱しつつ、好ましくは1〜10分、より好ましくは3〜8分程度焼成すればよい。
【0051】
このとき、加熱板上には、焼き付き防止用の油脂を塗布しておいてもよいが、本発明の冷凍連結餃子には、それらの焼き面に上記冷凍餃子用油脂組成物が固化状態で付着しているので、加熱板上で焼成することにより、上記冷凍餃子用油脂組成物が溶融して餃子の焼き付きを抑制する。冷凍餃子用油脂組成物が、前記離型剤を含有する場合には、上記焼き付き防止効果をより高めることができる。
【0052】
このように、本発明の焼き餃子の製造方法によれば、複数の餃子が固化した冷凍餃子用油脂組成物を介して連結された状態でトレイから取り出し、そのまま加熱板上に載せて焼成することができるので、焼成作業を効率良く行うことができる。
【実施例】
【0053】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0054】
<実施例1〜18、比較例1〜6>
下記表1、2に示す配合で、液状油、硬化油剤及び離型剤を加熱混合し、急冷練り合わせして、実施例1〜15の冷凍餃子用油脂組成物を製造した。
下記表3に示す配合で、液状油、硬化剤及び離型剤を加熱混合し、所定の水分を乳化させた後に急冷練り合わせして、実施例16〜18の冷凍餃子用油脂組成物を製造した。
【0055】
また、下記表4に示す配合で、液状油、硬化剤及び離型剤を加熱混合し、急冷練り合わせして、比較例1〜6の冷凍餃子用油脂組成物を製造した。
【0056】
これらの冷凍餃子用油脂組成物について、20℃での固体脂含量(SFC)及び−18℃に16時間保管した後の固体脂含量(SFC)を測定した。固体脂含量(SFC)の測定方法は、前記核磁気共鳴(NMR)装置による測定の方法に従った。
【0057】
また、各冷凍餃子用油脂組成物について、20℃での保管状態を観察し、下記基準で評価を行った。
○…流動性があり、全体が均一。
×…流動性があるが、結晶が析出し均一でない。
【0058】
次いで、上記各冷凍餃子用油脂組成物を用いて、冷凍連結餃子を作成した。すなわち、餃子用の皮で、豚のひき肉、キャベツ、にら、ネギの野菜の細断物からなる具材を混合して包み、生餃子(1個約20g)を製造した。
【0059】
次いで、トレイの1つの収容部に上記各冷凍餃子用油脂組成物を9gずつ流し込み、上記餃子を6個ずつ、それらの焼き面を下に向けて並べて、トレイの各収容部に載置した。
【0060】
こうして餃子を載せたトレイを冷凍庫に入れて、−25℃にて6分30秒間冷却して冷凍餃子を製造し、更に−18℃で16時間保管した。こうして得られた冷凍餃子について、冷凍餃子用油脂組成物の固化状態、言い換えると、冷凍餃子の連結状態を観察し、下記基準で評価を行った。
○…完全に油固化し、餃子はしっかり連結されている。
△…油固化しているが、餃子の連結がややもろい。
×…油固化が不十分で、餃子は連結せず。
上記評価基準をより具体的に示す写真を
図1に示す。
【0061】
そして、以上の評価結果を表1〜4の下欄にそれぞれ示した。なお、各表中の配合の数字は、質量部を表している。また、表中の「エマルジーMS」は理研ビタミン社製のグリセリン脂肪酸エステルである。また、「B−100D」は三菱化学フーズ社製のグリセリン脂肪酸エステルである。また、「レシマールEL」は理研ビタミン社製のリゾレシチンである。また、「マイバセット9−45K」はKERRY社製の酢酸モノグリセリン脂肪酸エステルである。また、「ポエムDO−100V」は理研ビタミン社製のジグリセリン脂肪酸エステルである。また、「DKエステルF−10」は第一工業製薬社製のショ糖脂肪酸エステルである。また、パームオレイン(IV57)は月島食品工業社製の精製油である。また、パームオレイン(IV68)は不二製油社製の精製油である。更に、「ハイエルシン菜種極度硬化油」は横関油脂工業社製の加工油脂である。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
表1〜3に示すように、20℃での固体脂含量が5%以下であり、−18℃に16時間保管した後の固体脂含量が43%以上である実施例1〜18の冷凍餃子用油脂組成物は、20℃での保管状態が良好であり、冷凍餃子用油脂組成物の固化状態も、餃子を連結することが可能な状態であった。特に、−18℃に16時間保管した後の固体脂含量が60%以上の実施例1,2,5〜18の冷凍餃子用油脂組成物は、餃子をしっかりと連結した状態に固化することができた。
【0067】
これに対して、表4に示すように、−18℃に16時間保管した後の固体脂含量が43%未満である比較例1〜4,6の冷凍餃子用油脂組成物は、いずれも油固化が不十分で、餃子を連結することができなかった。
【0068】
また、20℃での固体脂含量が5%を超える比較例5の冷凍餃子用油脂組成物は、20℃での保管時に結晶が析出して均一ではなくなった。
【0069】
<実施例1〜18>
上記実施例1〜18で得られた冷凍連結餃子を、その焼き面を下に向けて、餃子焼成機の鉄板に載せて、水を180g注水して蓋をし、200℃で5分間焼成した。
【0070】
こうして得られた焼き餃子は、加熱時に溶融した冷凍餃子用油脂組成物によって、餃子焼成機の鉄板に焦げ付くことが抑制され、きれいなきつね色に焼くことができた。