特許第6646968号(P6646968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646968
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】ダイアフラムカップリング
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/50 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   F16D3/50 G
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-153301(P2015-153301)
(22)【出願日】2015年8月3日
(65)【公開番号】特開2017-32081(P2017-32081A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【弁理士】
【氏名又は名称】桐山 大
(72)【発明者】
【氏名】古川 泰成
【審査官】 渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0058475(KR,A)
【文献】 実開昭63−18629(JP,U)
【文献】 実開平1−118228(JP,U)
【文献】 特公昭45−17087(JP,B1)
【文献】 実開昭56−2429(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第1433970(EP,A1)
【文献】 特開平6−307435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/00− 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに軸方向に対向する一対のフランジ間にダイアフラムを介してセンターチューブを同軸的に連結してなるダイアフラムカップリングにおいて、
前記ダイアフラムを貫通させることなく、前記ダイアフラムの表面に、同一円周上でこの円周方向に対して傾斜する同一の形状で均等間隔に配列された凸部または/および凹部よりなる立体形状を設けた
ことを特徴とするダイアフラムカップリング。
【請求項2】
請求項1記載のダイアフラムカップリングにおいて、
前記ダイアフラムは、内周取付部、外周取付部および前記両取付部間の膜部を一体に有し、前記膜部を均一の厚さとし、前記均一の厚さとした膜部の表面に前記立体形状を設けた
ことを特徴とするダイアフラムカップリング。
【請求項3】
請求項1又は2記載のダイアフラムカップリングにおいて、
個々の前記立体形状は、同一円周上を横切る直線形状を有している、
ことを特徴とするダイアフラムカップリング。
【請求項4】
請求項1又は2記載のダイアフラムカップリングにおいて、
個々の前記立体形状は、同一円周上を横切る曲線形状を有している、
ことを特徴とするダイアフラムカップリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸間に介装されて回転トルクを伝達するとともに二軸間における芯ズレ、角変位または軸方向変位などのミスアライメントを吸収するダイアフラムカップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から図8に示すように、互いに軸方向に対向する一対のフランジ52間にダイアフラム53を介してセンターチューブ54を同軸的に連結してなるダイアフラムカップリング51が知られている。一対のフランジ52は、その一方52Aが駆動軸側に連結されるとともに他方52Bが従動軸側に連結され、よって上記したように回転トルクを伝達するとともに金属薄板よりなるダイアフラム53が変形することでミスアライメントを吸収する。
【0003】
図9に示すようにダイアフラム53は、比較的厚肉の内周取付部53aおよび外周取付部53bの間に比較的薄肉の膜部53cを一体成形したものであって、膜部53cはその厚み寸法がその内周側端部53caから外周側端部53cbへかけて漸次薄くなるように形成されている(内周側端部53caの厚みをt、外周側端部53cbの厚みをtとして、t>t)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−321号公報
【特許文献2】実開平1−118228号公報
【特許文献3】実開昭63−40630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では上記したようにダイアフラム53の膜部53cがその内周側端部53caから外周側端部53cbへかけて漸次薄くなるように形成されているのみで、膜部53cの表面(厚み方向両面)は平坦面のままとされている。
【0006】
したがって、ダイアフラム53に設定される仕様がもっぱら膜部53cの厚み寸法によって定められることになり、これに対し、厚み寸法以外の要素によってダイアフラム53の仕様を変更することができれば、設計の自由度を拡大することができる。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みて、ダイアフラムの設計の自由度を拡大することができるダイアフラムカップリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、互いに軸方向に対向する一対のフランジ間にダイアフラムを介してセンターチューブを同軸的に連結してなるダイアフラムカップリングにおいて、前記ダイアフラムを貫通させることなく、前記ダイアフラムの表面に、同一円周上でこの円周方向に対して傾斜する同一の形状で均等間隔に配列された凸部または/および凹部よりなる立体形状を設けた。
【0009】
ダイアフラムの表面に凸部または/および凹部よりなる立体形状を設けると、この凸部や凹部の形状、角度、位置、数などを変更することにより、用途に適したダイアフラムを設計することが可能とされる。
【0010】
ダイアフラムの表面に立体形状を設けるに際しては、以下のように様々な態様が考えられる。
a.ダイアフラム厚み方向一方の面に凸部を設け、他方の面は平坦面のままとする。
b.ダイアフラム厚み方向一方の面に凹部を設け、他方の面は平坦面のままとする。
c.ダイアフラム厚み方向一方の面に凸部および凹部を双方設け、他方の面は平坦面のままとする。
d.ダイアフラム厚み方向一方の面に凸部を設け、他方の面にも凸部を設ける。
e.ダイアフラム厚み方向一方の面に凹部を設け、他方の面にも凹部を設ける。
f.ダイアフラム厚み方向一方の面に凸部を設け、他方の面に凹部を設ける。
g.ダイアフラム厚み方向一方の面に凸部および凹部を双方設け、他方の面にも凸部および凹部を双方設ける。
h.ダイアフラム厚み方向一方の面に凸部および凹部を双方設け、他方の面に凸部を設ける。
i.ダイアフラム厚み方向一方の面に凸部および凹部を双方設け、他方の面に凹部を設ける。
j.上記d〜iにおいて、ダイアフラム厚み方向一方の面と同じ配置・形状などで他方の面に凸部または/および凹部を設ける。
k.上記d〜iにおいて、ダイアフラム厚み方向一方の面と異なる配置・形状などで他方の面に凸部または/および凹部を設ける。
l.ダイアフラムを複数枚が並列した状態で装着されるものとし、各ダイアフラムの表面に表面上一部の凸部または/および凹部よりなる立体形状を設ける。
【0011】
ダイアフラムの表面に立体形状を設ける手法としては、3Dプリンターのような積層式によるもの、鋳造のような型によるもの、鍛造やプレスのような加工によるもの等、様々な手法が考えられる。
【0012】
また、これらの手法によってダイアフラムの表面に立体形状を設けるに際しては、ダイアフラム膜部をその内周側端部から外周側端部へかけて漸次薄くなるように形成するのではなく、膜部を均一の厚さに設定し、そのうえでこの均一の厚さとした膜部の表面に立体形状を設けるようにしても良く、このようにすれば、ダイアフラム膜部を漸次薄肉に形成するための特殊加工機を用いる必要がないため、ダイアフラムの製造を容易化することが可能とされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ダイアフラムの設計の自由度を拡大することができ、膜部を均一の厚さとしたうえで立体形状を設けることにより、ダイアフラムの製造を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係るダイアフラムカップリングの一部切欠した正面図
図2】同ダイアフラムカップリングに備えられるダイアフラムの一部斜視図
図3】同ダイアフラムの一部側面図
図4】立体形状の他の例を示すダイアフラムの一部斜視図
図5】同ダイアフラムの一部側面図
図6】(A)は本発明の実施例に係るダイアフラムカップリングに備えられるダイアフラムの半裁断面図、(B)および(C)はそれぞれ立体形状の他の例を示すダイアフラムの半裁断面図
図7】(A)(B)および(C)ともダイアフラムの他の例を示す半裁断面図
図8】従来例に係るダイアフラムカップリングの一部切欠した正面図
図9】同ダイアフラムカップリングに備えられるダイアフラムの半裁断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例に係るダイアフラムカップリング11の一部切欠した正面を示している。このダイアフラムカップリング11は、互いに軸方向に対向する一対のフランジ13間にダイアフラム14を介してセンターチューブ15を同軸的に連結した基本構成を備え、更に、ダイアフラム14が以下のように構成されている。尚、フランジ13は、軸(図示せず)に装着されるハブ12にその一部として設けられている。
【0017】
すなわち図2図3および図6(A)に拡大して示すように、ダイアフラム14はその表面に、表面上一部の凸部または/および凹部よりなる立体形状21が当該ダイアフラム14の中心軸線0を中心とする点対称構造で設けられている。
【0018】
また、ダイアフラム14は、所定の金属材料をもって平板環状に成形され、比較的厚肉の内周取付部14aおよび外周取付部14bの間に比較的薄肉の膜部14cを一体成形したものであって、膜部14cはその厚み寸法がその内周側端部14caから外周側端部14cbへかけて漸次薄くなるように形成され(内周側端部14caの厚みをt、外周側端部14cbの厚みをtとして、t>t)、この膜部14cの厚み方向一方の面に上記立体形状21が設けられている。
【0019】
立体形状21としては具体的には、複数(多数)の凸部22が円周上一定間隔で等配状に設けられており、凸部22はそれぞれ長さ方向を備える直線的な凸条とされ、長さ方向一方の端部22aおよび他方の端部22bは円周方向に変位していて、これにより凸部22はネジ状(スパイラル状)とされている。ネジ状の凸部22は、回転時に空気流(動圧)を発生させることにより、自己冷却機能を発揮することができるものである。
【0020】
ネジ状の凸部22は、直線状でなく、曲線状であっても良い。図4および図5に示す例では、複数(多数)の凸部22が円周上一定間隔で等配状に設けられており、凸部22はそれぞれ長さ方向を備える曲線的な凸条とされ、長さ方向一方の端部22aおよび他方の端部22bは円周方向に変位していて、これにより凸部22はネジ状(スパイラル状)とされている。流体の流れを含めて考慮すると直線よりも曲線のほうが、効率が高く、範囲を広く採ることができる。
【0021】
上記構成によれば、凸部22の形状、角度、位置、数などを変更することによって、用途に適したダイアフラム14を設計することが可能とされる。したがってダイアフラム14についての設計の自由度を拡大することができる。また、複数の凸部22よりなる立体形状21が当該ダイアフラム14の中心軸線0を中心とする点対称構造で設けられているため、立体形状21を設けてもダイアフラム14の回転バランスが偏ることがない。
【0022】
立体形状21の他の例としては、以下のようなものであっても良い。
【0023】
第2例・・・・
図6(B)に示すように、膜部14cの厚み方向一方の面に表面上一部の凹部23を設けることにより立体形状21とする。凹部23は、複数(多数)が円周上一定間隔で等配状に設けられており、凹部23はそれぞれ長さ方向を備える直線的または曲線的な凹条とされ、長さ方向一方の端部および他方の端部は円周方向に変位していて、凹部23はネジ状(スパイラル状)とされている。ネジ状の凹部23は、回転時に空気流(動圧)を発生させることにより、自己冷却機能を発揮することができる。
【0024】
第3例・・・・
図6(C)に示すように、膜部14cの厚み方向一方の面に表面上一部の凸部22を設けるとともに他方の面に表面上一部の凹部23を設けることにより立体形状21とする。凸部22および凹部23はそれぞれ、複数(多数)が円周上一定間隔で等配状に設けられており、長さ方向を備える直線的または曲線的な凸条または凹条とされ、長さ方向一方の端部および他方の端部は円周方向に変位していて、凸部22および凹部23はそれぞれネジ状(スパイラル状)とされている。ネジ状の凸部22および凹部23は、回転時に空気流(動圧)を発生させることにより、自己冷却機能を発揮することができる。
【0025】
また、ダイアフラム14の膜部14cを均一の厚さに設定し、そのうえでこの均一の厚さとした膜部14cの表面に立体形状21を設けるようにしても良い。
【0026】
図7(A)に示す例では、膜部14cの厚み寸法が全面に亙って一定とされ(内周側端部14caの厚みをt、外周側端部14cbの厚みをtとして、t=t)、そのうえで、この厚み一定とした膜部14cの表面に、上記実施例(図6(A))と同様な複数(多数)の凸部22よりなる立体形状21が設けられている。
【0027】
図7(B)に示す例では、膜部14cの厚み寸法が全面に亙って一定とされ(内周側端部14caの厚みをt、外周側端部14cbの厚みをtとして、t=t)、そのうえで、この厚み一定とした膜部14cの表面に、上記第2例(図6(B))と同様な複数(多数)の凹部23よりなる立体形状21が設けられている。
【0028】
また、図7(C)に示す例では、膜部14cの厚み寸法が全面に亙って一定とされ(内周側端部14caの厚みをt、外周側端部14cbの厚みをtとして、t=t)、そのうえで、この厚み一定とした膜部14cの表面に、上記第3例(図6(C))と同様な複数(多数)の凸部22および凹部23よりなる立体形状21が設けられている。
【0029】
そして、これらの構成によれば、膜部14cを漸次薄肉に形成するための特殊加工機を用いる必要がないために、ダイアフラム14の製造を容易化することができる。
【符号の説明】
【0030】
11 ダイアフラムカップリング
12 ハブ
13 フランジ
14 ダイアフラム
14a 内周取付部
14b 外周取付部
14c 膜部
14ca 内周側端部
14cb 外周側端部
21 立体形状
22 凸部
22a,22b 長さ方向端部
23 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9