(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646986
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】昇降柵
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20200203BHJP
E04G 5/14 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
E04G21/32 C
E04G5/14 301C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-179952(P2015-179952)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2017-53194(P2017-53194A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】596133119
【氏名又は名称】中電プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100138955
【弁理士】
【氏名又は名称】末次 渉
(72)【発明者】
【氏名】加藤 芳宏
(72)【発明者】
【氏名】曽田 直秀
(72)【発明者】
【氏名】井上 毅
(72)【発明者】
【氏名】細田 晋
(72)【発明者】
【氏名】中川 進
【審査官】
前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】
特許第2974128(JP,B2)
【文献】
特開2000−073315(JP,A)
【文献】
実開昭60−172827(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3128947(JP,U)
【文献】
実開昭54−097021(JP,U)
【文献】
特開平11−229416(JP,A)
【文献】
実開昭59−171194(JP,U)
【文献】
実開昭48−098918(JP,U)
【文献】
特開2009−074238(JP,A)
【文献】
実開昭59−051193(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0367195(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/14
E04G 21/32
E04H 17/00−17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空に浮くように設置された歩廊に取り付けられる固定部材と、
前記固定部材に固定された2つの支持部材と、
前記支持部材にそれぞれ挿入された昇降可能な第1の支柱、及び、それぞれの前記第1の支柱の側面から突出する係止部材を有する柵と、を備え、
それぞれの前記第1の支柱同士が平行に配置されるとともに、横材を介して連結しており、
それぞれの前記支持部材には前記係止部材が通る案内溝が対称に形成されており、
前記案内溝は、折り返し部を有するとともに、一端が開口し他端が閉口しており、
前記柵の上昇に付随し、前記係止部材が前記案内溝の開口箇所から進入して、前記折り返し部で折り返した後、前記案内溝の閉口箇所で係止され、前記柵が前記支持部材から上方に突出した状態で固定される、
ことを特徴とする昇降柵。
【請求項2】
中空に浮くように設置された歩廊に取り付けられる固定部材と、
前記固定部材に固定された支持部材と、
前記支持部材に挿入された昇降可能な第1の支柱、及び、前記第1の支柱の側面から突出する係止部材を有する柵と、を備え、
前記柵は、前記第1の支柱に隣接して並行に延びる第2の支柱を備え、前記第1の支柱と前記第2の支柱とが前記係止部材で連結されており、
前記支持部材には前記係止部材が通る案内溝が形成されており、
前記案内溝は、折り返し部を有するとともに、一端が開口し他端が閉口しており、
前記柵の上昇に付随し、前記係止部材が前記案内溝の開口箇所から進入して、前記折り返し部で折り返した後、前記案内溝の閉口箇所で係止され、前記柵が前記支持部材から上方に突出した状態で固定される、
ことを特徴とする昇降柵。
【請求項3】
前記柵は、前記第1の支柱と前記第2の支柱の上部をつなぐ上横材を備え、
前記柵が下降した際に、前記上横材が前記支持部材の上端に当接し、前記柵の下降を規制する、
ことを特徴とする請求項2に記載の昇降柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降柵に関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社では、緊急用発電設備としてエンクロージャー式等の発電装置を用意している。この発電装置は、長尺な筺状のケーシング内部に発電機器が備えられている。ケーシングには、内部の発電装置の点検等のために複数の扉が設置されている。扉は地上から高い箇所に位置していることから、ケーシングに沿って点検用の歩廊が中空に浮くように配置される。
【0003】
ケーシング内部には発電装置が詰まっており、人が入れるほどの隙間がないため、作業者はケーシングの中に入って発電装置の点検を行うことは難しい。このため、歩廊を足場にし、扉を開けた状態で、ケーシング内部の発電装置の点検を行うことになる。歩廊には柵が設置されていないこと、そして、歩廊の幅が狭いことから、点検中の作業者には転落の危険性が伴う。このため、作業者が転落しないよう、歩廊に設置する柵が望まれている。
【0004】
しかしながら、扉が開き戸で、扉の幅が歩廊の幅よりも大きい場合、柵を歩廊に固定してしまうと、扉が柵に干渉して開閉できない。その結果、筺体内部の発電装置の点検ができなくなってしまう。このため、扉の開閉の際に扉に干渉しない可動式の柵が望まれている。可動式の柵として、例えば、特許文献1、2等の柵がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−200512号公報
【特許文献2】特開昭62−295768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2等の可動式の柵は、構造が複雑であることから、中空に浮かぶように設置された歩廊に設置することが困難であるとともに、コストが高くなってしまう。
【0007】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成で中空に浮くように設置された歩廊にも設置可能な昇降柵を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明
の第1の観点に係る昇降柵は、
中空に浮くように設置された歩廊に取り付けられる固定部材と、
前記固定部材に固定された
2つの支持部材と、
前記支持部材に
それぞれ挿入された昇降可能な第1の支柱、及び、
それぞれの前記第1の支柱の側面から突出する係止部材を有する柵と、を備え、
それぞれの前記第1の支柱同士が平行に配置されるとともに、横材を介して連結しており、
それぞれの前記支持部材には前記係止部材が通る案内溝が
対称に形成されており、
前記案内溝は、折り返し部を有するとともに、一端が開口し他端が閉口しており、
前記柵の上昇に付随し、前記係止部材が前記案内溝の開口箇所から進入して、前記折り返し部で折り返した後、前記案内溝の閉口箇所で係止され、前記柵が前記支持部材から上方に突出した状態で固定される、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の観点に係る昇降柵は、
中空に浮くように設置された歩廊に取り付けられる固定部材と、
前記固定部材に固定された支持部材と、
前記支持部材に挿入された昇降可能な第1の支柱、及び、前記第1の支柱の側面から突出する係止部材を有する柵と、を備え、
前記柵は、前記第1の支柱に隣接して並行に延びる第2の支柱を備え
、前記第1の支柱と前記第2の支柱とが前記係止部材で連結されて
おり、
前記支持部材には前記係止部材が通る案内溝が形成されており、
前記案内溝は、折り返し部を有するとともに、一端が開口し他端が閉口しており、
前記柵の上昇に付随し、前記係止部材が前記案内溝の開口箇所から進入して、前記折り返し部で折り返した後、前記案内溝の閉口箇所で係止され、前記柵が前記支持部材から上方に突出した状態で固定される、
ことを特徴とする。
【0010】
また、前記柵は、前記第1の支柱と前記第2の支柱の上部をつなぐ上横材を備え、
前記柵が下降した際に、前記上横材が前記支持部材の上端に当接し、前記柵の下降を規制することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る昇降柵は、簡易な構成で中空に浮くように設置された歩廊にも設置可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1(A)は昇降柵の正面図、
図1(B)は昇降柵の側面図である。
【
図2】昇降柵の可動を説明する図であり、柵が下降した状態を示す正面図(
図2(A))、側面図(
図2(B))である。
【
図3】昇降柵の可動を説明する図であり、柵が上昇している状態を示す正面図(
図3(A))、側面図(
図3(B))である。
【
図4】昇降柵の可動を説明する図であり、柵が上死点まで上昇し、係止部材が折り返している状態を示す正面図(
図4(A))、側面図(
図4(B))である。
【
図5】昇降柵の可動を説明する図であり、柵が固定された状態を示す正面図(
図5(A))、側面図(
図5(B))である。
【
図6】歩廊に昇降柵が設置された状態を示す平面図である。
【
図7】歩廊に昇降柵が設置された状態を示す側面図である。
【
図9】
図9(A)、(B)は他の形態に係る昇降柵の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図を参照しつつ、本実施の形態に係る昇降柵について説明する。昇降柵1は、
図1(A)、
図1(B)に示すように、柵10と支持部材20と固定部材30とを備える。
【0014】
柵10は、第1の支柱11、第2の支柱12、縦材13、上横材14a、下横材14b、係止部材15を備えている。
【0015】
第1の支柱11は、昇降自在に支持部材20に差し込まれる部材である。第1の支柱11と第2の支柱12とは、隣接して並行に配置されている。第1の支柱11の側面から第2の支柱12に向けて、棒状の係止部材15が突出しており、第1の支柱11と第2の支柱12とは下部で係止部材15により連結されている。また、係止部材15は、第1の支柱11から第2の支柱12の逆方向にも突出している。
【0016】
第1の支柱11、第2の支柱12及び係止部材15は、両側に対称に2組配置されている。
【0017】
第2の支柱12同士の間には、縦材13が2本配置されており、上下に配置された上横材14a、下横材14bで連結されており、柵10は一体的に形成されている。なお、縦材13はより多くあっても少なくてもよい。また、第2の支柱12同士の間に、更に横材が配置されていてもよい。
【0018】
支持部材20は、第1の支柱11が昇降可能に挿入される筒状の部材である。支持部材20の奥行き(
図1(B)のD1)は、例えば、柵10の第1の支柱11の径(
図1(B)のD2)の2倍程度である。また、支持部材20には、案内溝21が形成されている。案内溝21は、
図1(B)に示すように、逆J字状であり、支持部材20の下部が開口し、そこから支持部材20の長手方向に略垂直に延びて折り返した後、閉じられた溝である。案内溝21は、柵10の上昇、下降において、柵10の係止部材15が進入するとともに、係止部材15を係止する役割を有する。案内溝21は、支持部材20の第1の支柱11と第2の支柱12で挟まれる側面及び反対側の側面に対称に形成されており、第1の支柱11の両側から突出する係止部材15の双方がそれぞれの案内溝21に進入する。
【0019】
固定部材30は、中空に浮くように設定されたグレーチング等の歩廊に取り付けられ、支持部材20を支持する部材である。固定部材30は、歩廊に取り付けられ、支持部材20を支持可能であれば、どのような形態であってもよい。ここでは、固定部材30は、取付部31と締結具32を有しており、歩廊を取付部31及び締結具32で狭持する形態である。
【0020】
また、固定部材30の上端と支持部材20の上端との長さ(
図1(B)のD3)は、上横材14aの径(
図1(B)のD4)よりも長く設定される。
【0021】
続いて、
図2〜
図5を参照して、昇降柵1の動作について説明する。
図2は、柵10が下降して係止している状態を示している。この状態では、柵10の上横柱14aが支持部材20の上端に当接しており、柵10はこれ以上下降しない。
【0022】
図2の状態から、柵10を引き上げていくと、
図3に示すように、係止部材15が支持部材20の案内溝21の開口箇所から進入し、通過してゆく。
【0023】
係止部材15が案内溝21の折り返し部まで達した後、
図4に示すように、柵10の上部を、
図4(B)における紙面上、左方向(固定部材30の反対方向)に力を加えることで、係止部材15が固定部材30側へ移動し、案内溝21の折り返し部22で折り返される。
【0024】
そして、案内溝21の折り返し部22で係止部材15が折り返された後、柵10を下降させると、
図5に示すように、係止部材15が案内溝21の閉口箇所で係止される。これにより、柵10が支持部材20、固定部材30から上方へ突出した状態で固定される。
【0025】
柵10を下降させる場合、上記と逆の手順で行うことで、
図2に示す元の状態(柵が下降した状態)にすることができる。
【0026】
図6、
図7に、扉DRを有するケーシングCAに沿って設置された歩廊STに、昇降柵1が設置された状態を示している。なお、ここでは、緊急用の発電装置を内部に備えるケーシングCAに沿って設置された歩廊STに昇降柵1が設置された例を示している。
【0027】
柵10が下降した状態で扉DRを開き、扉DRを開いた状態で柵10を上昇させて固定し、扉DRを開いた状態で、作業者は歩廊STに立ったまま、ケーシングCA内部の発電装置を点検する。柵10が上昇しているので、歩廊STに立って点検等を行う作業者は、柵10によって転落することを免れ、安心して点検作業を行うことができる。
【0028】
そして、昇降柵1は簡易な構成であり、柵10の昇降を容易に行い得るので、扉DRの開閉の都度、作業者は柵10を昇降させるのに手間や負担が掛からない。
【0029】
また、柵10を下降させた状態において、柵10の上横材14aが固定部材30の上方へ突出しないので、扉DRを開閉する際に、扉DRが柵10に干渉しない。
【0030】
また、ケーシングCAに複数の扉DRが隣接して配置されている場合、柵10の幅は、扉DRが開いた状態で扉DR同士の幅よりも狭く設定されている。昇降柵10同士で開いた扉DRを挟むようになることから、開いている扉DRが不意に閉じて、作業者が扉DRに挟まれることも抑えられる。
【0031】
なお、
図8に示すように、柵10には、柵10を昇降させる際に持つ取っ手16が設置されていてもよい。ここでは、上横材14aに取っ手16が設置された例を示している。
【0032】
また、
図8に示すように、係止部材15で第1の支柱11と第2の支柱12とが連結されていなくてもよい。この場合、柵10が歪まないよう、柵10は十分な機械的強度を有する素材から構成されることが好ましい。
【0033】
また、
図8に示すように、係止部材15が第1の支柱11の両側からではなく、一方向のみ突出した形態であってもよい。この場合、第1の支柱11から係止部材15が突出していない側に位置する支持部材20の側面には、案内溝21が形成されていなくてもよい。
【0034】
また、柵10を引き上げた後、柵10の上部を固定部材30側へ係止部材15が案内溝21の折り返し部22で折り返される形態について説明したが、
図9(A)に示すように、案内溝21が上記とは水平方向に逆向きに形成されており、固定部材30側に力を加え、係止部材15が固定部材30の逆方向へ移動し、案内溝21の折り返し部22で折り返される形態であってもよい。
【0035】
更には、
図9(B)に示すように、案内溝21が略T字状に形成されており、係止部材15が固定部材30の方向、及び、固定部材30の逆方向へ、どちらへも移動可能な形態であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 昇降柵
10 柵
11 第1の支柱
12 第2の支柱
13 縦材
14a 上横材
14b 下横材
15 係止部材
16 取っ手
20 支持部材
21 案内溝
22 折り返し部
30 固定部材
31 取付部
32 締結具
ST 歩廊
CA ケーシング
DR 扉