(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、リード線を支持パイプの下端から曲げて水平方向に配線した温度検出装置では、上述のように取付板および押え板にスカート部を形成して対策しているにも拘らず、煮こぼれ汁の付着によってリード線が支持パイプに固着してしまうことがあるという問題があった。
【0007】
この発明は従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、リード線を支持パイプの下端から曲げて水平方向に配線した場合に、煮こぼれ汁の付着でリード線が支持パイプに固着するのを抑制可能な温度検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の
第1の温度検出装置は次の構成を採用した。すなわち、
環状のコンロバーナーの上方に載置された調理容器の温度を検出する温度検出装置において、
前記コンロバーナーの中央の開口部に立設された略上下方向の支持パイプと、
前記支持パイプの上部に上下動が可能に取り付けられ、前記コンロバーナーの上方に載置された前記調理容器の底部に当接して押し下げられる当接部と、
前記当接部を上方に付勢する付勢部材と、
前記当接部に内蔵された温度センサーと、
前記温度センサーから延びて、前記支持パイプの内側に移動可能に挿通されるリード線と
を備え、
前記支持パイプの下端から引き出された前記リード線は、前記当接部が押し下げられていない状態で、該支持パイプの下端から湾曲して略水平方向に配線されており、
前記支持パイプの下端から、前記リード線の略水平方向に配置された水平部に至るまでの該リード線の湾曲部の上方を覆うカバーが設けられ
、
前記カバーは、前記リード線の前記水平部および前記支持パイプに直交する方向の一方から他方へ向かって下る傾斜が付けられている
ことを特徴とする。
【0009】
当接部が押し下げられていない状態でリード線を支持パイプの下端から曲げて略水平方向に配線した場合、当接部が押し下げられてリード線が下方に移動すると、リード線の水平部よりも湾曲部が下がって低くなる。この状態でリード線に煮こぼれ汁がかかると、リード線の湾曲部に煮こぼれ汁が溜まり易い。その後、当接部が押し上げられるのに伴って、リード線の煮こぼれ汁が付着した部分が引き上げられた際に、支持パイプの下端とリード線との間に煮こぼれ汁が入り込むことにより、支持パイプに対するリード線の固着が生じる。そこで、本発明の温度検出装置では、リード線の湾曲部の上方にカバーを設けている。このカバーで煮こぼれ汁を受けてリード線に煮こぼれ汁がかからないようにすることにより、リード線が支持パイプに固着してしまうことを抑制することができる。
【0013】
そして、カバーの上に溜まった煮こぼれ汁は、傾斜を下ってリード線の配線方向に直交する方向に流れるので、カバーから流れ落ちた煮こぼれ汁がリード線にかかることを抑制することができる。
【0014】
また、
前述した課題を解決するために、本発明の第2の温度検出装置は次の構成を採用した。すなわち、
環状のコンロバーナーの上方に載置された調理容器の温度を検出する温度検出装置において、
前記コンロバーナーの中央の開口部に立設された略上下方向の支持パイプと、
前記支持パイプの上部に上下動が可能に取り付けられ、前記コンロバーナーの上方に載置された前記調理容器の底部に当接して押し下げられる当接部と、
前記当接部を上方に付勢する付勢部材と、
前記当接部に内蔵された温度センサーと、
前記温度センサーから延びて、前記支持パイプの内側に移動可能に挿通されるリード線と
を備え、
前記支持パイプの下端から引き出された前記リード線は、前記当接部が押し下げられていない状態で、該支持パイプの下端から湾曲して略水平方向に配線されており、
前記支持パイプの下端から、前記リード線の略水平方向に配置された水平部に至るまでの該リード線の湾曲部の上方を覆うカバーが設けられ、
前記カバーには、前記コンロバーナーでの燃焼に必要な二次空気を前記開口部に通す通気孔が設けられており、
前記通気孔の周縁のうち少なくとも前記支持パイプ側には、前記カバーから上方に向けて隔壁が立設されている
ことを特徴とする。
【0015】
このような本発明の第2の温度検出装置では、カバーを備えていても、通気孔によってコンロバーナーの開口部への通気を確保しつつ、通気孔の周縁のうち支持パイプ側に立設した隔壁により、支持パイプにかかった煮こぼれ汁がカバーを伝って通気孔から流れ落ちることを抑制することができる。
【0016】
また、こうした本発明の温度検出装置のカバーには、水平部側の縁部から下方に向けて垂下部を一体に形成しておくこととして、その垂下部にリード線を通す挿通孔を設けておいてもよい。
【0017】
こうして挿通孔にリード線を通しておくことにより、当接部が押し下げられるのに伴うリード線の下方への移動を規制することができる。特に、支持パイプの下方に汁受け皿が近接している場合には、汁受け皿にリード線が接しないように挿通孔でリード線の移動を規制することができるので、リード線が汁受け皿に固着してしまうことを防ぐことが可能となる。そして、このような挿通孔がカバーと一体になっているので、リード線の移動を規制する部材を別に設ける場合に比べて、温度検出装置の設置作業を簡易化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本実施例の温度検出装置100が搭載されたガスコンロ1の外観を示した斜視図である。このガスコンロ1は、図示しないシステムキッチンのカウンタートップに開口する収容空間に嵌め込んで設置されるビルトインタイプである。ガスコンロ1は、システムキッチンの収容空間に収容されるコンロ本体5や、コンロ本体5の上面を覆って設置された天板2や、コンロ本体5の内部に設置されて上部を天板2から突出させたコンロバーナー10や、コンロバーナー10の上方に鍋などの調理容器を置くために天板2の上面に設置された五徳4などを備えている。詳しくは後述するが、本実施例の温度検出装置100は、五徳4上に載置された調理容器の温度を検出する。
【0020】
ガスコンロ1の前面には、グリル扉6が設けられており、コンロ本体5に内蔵されたグリルの前方を開閉可能となっている。また、グリル扉6の右方にはコンロバーナー10およびグリルの各々に対応して、点火時や火力調節時などに操作する操作ツマミ7が設けられている。尚、図示したガスコンロ1では、2つのコンロバーナー10を搭載しながら横幅のコンパクト化を図るために、2つのコンロバーナー10が左右ではなく対角線上に配置されるとともに、一方のコンロバーナー10がグリルの上方に設置されている。
【0021】
図2は、グリルの上方に設置されたコンロバーナー10を垂直な平面でガスコンロ1の手前側から奥側に切断した断面図である。図示されるように天板2には、コンロバーナー10の上部を突出させるための貫通孔3が設けられている。また、五徳4は、貫通孔3を囲むように配置されている。尚、
図2には、五徳4上に調理容器が置かれていない状態が示されている。
【0022】
コンロバーナー10は、円環形状の混合室11aが内部に形成されたバーナーボディー11と、混合室11aと連通してバーナーボディー11から延設された混合管12と、混合室11aの上部開口を覆うようにバーナーボディー11に載置された円環形状のバーナーヘッド13と、図示しない取付金具でバーナーヘッド13の上方に取り付けられた円環形状のバーナーカバー14などを備えている。このコンロバーナー10は、コンロ本体5内の梁部材20にバーナーボディー11を載置してビス止めなどで固定されている。
【0023】
バーナーボディー11から延設された混合管12の上流側開口12aに向けて燃料ガスが噴射されると、燃焼用の一次空気を吸い込みながら混合管12に流入する。そして、混合管12を通過する燃料ガスと一次空気とが混合されて、混合室11aに混合ガスが供給される。
【0024】
バーナーヘッド13の外周壁の下面(バーナーボディー11に載置される面)には、複数の溝(炎口溝)がバーナーヘッド13の中央に対して放射状に形成されており、バーナーヘッド13をバーナーボディー11に載置すると、複数の炎口溝とバーナーボディー11の上面とによって、混合室11aに連通する複数の炎口13aが形成される。混合室11aに供給された混合ガスは、複数の炎口13aから噴出し、図示しない点火プラグで火花を飛ばすと混合ガスの燃焼が開始される。また、バーナーヘッド13の中央には、混合ガスの燃焼に必要な二次空気の供給通路13hが形成されている。尚、本実施例の供給通路13hは、本発明の「開口部」に相当している。
【0025】
バーナーカバー14は、五徳4上に置かれた調理容器から煮こぼれた場合に、煮こぼれ汁がバーナーヘッド13にかかるのを抑制する役割を果たしている。また、コンロバーナー10と下方のグリル(
図2では図示省略)との間には、コンロ本体5内に浸入した煮こぼれ汁を受ける汁受け皿30が設けられている。
【0026】
バーナーヘッド13の供給通路13h内には、温度検出装置100が挿通されている。温度検出装置100の構造については後ほど別図を用いて詳述するが、温度センサーを内蔵した当接部110がバーナーカバー14の中央開口14aから上方に突出しており、五徳4上に調理容器が置かれると、調理容器の底面に当接部110が当接して押し下げられる。この当接部110は、供給通路13h内に上下方向に配置される支持パイプ130の上部に取り付けられて、上下方向に移動可能に支持されている。支持パイプ130の内側には、温度センサーから延びるリード線120が挿通されており、このリード線120を介して温度センサーが制御部(図示省略)と電気的に接続されている。
【0027】
本実施例の支持パイプ130は、コンロ本体5内の梁部材20に固定される取付板140と、取付板140にビス止めで固定される押え板150との間に挟持して取り付けられている。また、グリルの上方に設置されたコンロバーナー10では、下方に空間的な余裕がないことから、支持パイプ130は汁受け皿30の上方に近接して設置されており、支持パイプ130の下端から引き出されたリード線120は、そのまま水平方向に曲げて配線されている。そして、詳しくは後述するが、本実施例の温度検出装置100では、リード線120に煮こぼれ汁がかかるのを防ぐためにカバー160が設けられている。
【0028】
図3は、当接部110の内部構造を示した断面図である。当接部110は、略円筒形状のホルダー111と、ホルダー111の上端に取り付けられた略円板形状の集熱板112と、集熱板112の下面から垂設された筒形状のセンサー収容部113と、センサー収容部113の内側に収容された温度センサー115などを備えている。温度センサー115は、センサー収容部113と温度センサー115との隙間に充填される熱伝導性の充填剤によって固定されている。また、本実施例の温度センサー115には、温度の変化によって電気抵抗が変わるサーミスターが用いられており、調理容器の底部に当接した集熱板112の下面に伝わる温度を温度センサー115によって検出することが可能である。
【0029】
前述したように当接部110は、支持パイプ130の上部に取り付けられており、支持パイプ130の上端には、ホルダー111よりも小径である円環形状の座金131が図示しないカシメ止めで接合されている。この支持パイプ130がホルダー111の内側に挿入されており、ホルダー111の下端側には座金131よりも小径に縮径された細径部111aが形成されているため、ホルダー111が支持パイプ130の軸方向(図中の上下方向)に移動しても、ホルダー111から座金131が抜けることはない。また、細径部111aの外周にはホルダー111よりも大径に広がった拡径部材117が取り付けられている。当接部110にかかった煮こぼれ汁は拡径部材117の外面を伝って流れ落ちるので、ホルダー111の下端(細径部111a)と支持パイプ130との間に煮こぼれ汁が入り込んで当接部110が支持パイプ130に固着してしまうことを抑制している。
【0030】
また、ホルダー111の内部には、集熱板112と座金131との間にコイルバネ114が圧縮された状態で収容されており、このコイルバネ114が当接部110を上方に付勢している。そして、調理容器が五徳4上に置かれると、コイルバネ114の付勢力に抗して当接部110が押し下げられる。尚、本実施例のコイルバネ114は、本発明の「付勢部材」に相当している。
【0031】
さらに、温度センサー115の2本の端子116に溶接されたリード線120が、コイルバネ114の内側および支持パイプ130の内側に挿通されており、当接部110の上下動に連動してリード線120が支持パイプ130内を移動するようになっている。
【0032】
図4は、本実施例の温度検出装置100における支持パイプ130の取付構造を示した斜視図である。まず、
図4(a)には、支持パイプ130の取付構造を分解した状態が示されている。前述したように支持パイプ130は、取付板140と押え板150とで挟持して取り付けられる。取付板140は、コンロ本体5内の梁部材20に固定ビス149でビス止めされる水平板145と一体に形成され、水平板145に対して垂直に上方へ折り曲げられている。水平板145には、固定ビス149を挿通する通し孔146や、バーナーヘッド13の供給通路13h(
図2参照)に二次空気を通す通気孔147が形成されている。取付板140は、中央が高く両側に低くなる山型になっており、その中央には支持パイプ130の外径と略同径の半円状に窪んだ挟持溝140aが上下方向に形成されている。この挟持溝140aの両側には、ビス穴141が形成されており、挟持溝140aの下側には、挟持溝140aよりも大径に広がったスカート部140bが形成されている。
【0033】
押え板150は、取付板140と同様に山型になっており、斜辺には取付板140側に折り曲げてフランジ部153が形成されている。押え板150の中央には支持パイプ130の外径と略同径の半円状に窪んだ挟持溝150aが上下方向に形成されており、挟持溝150aの両側には通し孔151が形成されている。また、挟持溝150aの下側には、挟持溝150aよりも大径に広がったスカート部150bが形成されており、このスカート部150bは、押え板150の厚み方向よりも幅方向に長い楕円の半円状になっている。さらに、スカート部150bの下端は中央よりも両側に低くなるアーチ状になっている。
【0034】
支持パイプ130を取り付ける際には、取付板140の挟持溝140aと押え板150の挟持溝150aとの間に支持パイプ130を挟み込み、支持パイプ130の周面に突設された環状突起132を、挟持溝140aに形成されたスリット142、および挟持溝150aに形成されたスリット152に係合させることで、支持パイプ130の上下方向の位置決めを行う。その状態で、固定ビス155を通し孔151に挿通してビス穴141に締め込むことで、支持パイプ130を固定する。
【0035】
また、本実施例の温度検出装置100では、支持パイプ130を取り付ける際に、カバー160も取り付けるようになっている。カバー160は、水平板145に重ねて固定ビス149でビス止めされる固定板161と一対の連結部163を介して一体に形成され、固定板161に対して傾斜が付けられた平板状になっている。固定板161には、固定ビス149を挿通する通し孔162が形成されており、この固定板161とカバー160との間に、支持パイプ130を挟持した取付板140および押え板150が挿入される。
【0036】
カバー160には、固定板161側の縁部を上方に折り曲げて、押え板150のスカート部150bの外周に対応する形状に湾曲した外接部164が形成されており、外接部164の両側には切欠き部165が設けられている。また、カバー160には、固定板161とは反対側の縁部から下方に折り曲げて垂下部168が一体に形成されており、この垂下部168を貫通して挿通孔169が設けられている。さらに、カバー160には、バーナーヘッド13の供給通路13hに二次空気を通す通気孔166が形成されており、この通気孔166の周縁のうち外接部164側には、上方に折り曲げて隔壁167が立設されている。
【0037】
図4(b)には、支持パイプ130の取り付けが完了した状態が示されている。図示されるように取付板140と押え板150とで支持パイプ130を挟持した状態では、フランジ部153が取付板140と押え板150との合わせ目の上方を覆っている。これにより、取付板140と押え板150との隙間に煮こぼれ汁が浸入するのを抑制することができる。
【0038】
カバー160は、外接部164が押え板150のスカート部150bの外周に接しており、その外接部164の両側には切欠き部165によって押え板150との間に間隙が形成されている。また、支持パイプ130の下端から引き出されたリード線120は、押え板150側に曲げられて水平方向に配線され、垂下部168の挿通孔169に通されている。そして、本実施例のカバー160は、水平ではなく、挿通孔169に通されたリード線120の配線方向および支持パイプ130の設置方向(上下方向)に直交する方向
の一方から他方(図中に白抜きの矢印で示す方向)
へ向かって下る傾斜が付けられている。尚、垂下部168は、下端が汁受け皿30に当接するように高さが設定されている。これにより、垂下部168でカバー160を支えて安定させることができる。
【0039】
以上のような本実施例の温度検出装置100では、カバー160を備えることで、支持パイプ130の下端から引き出されたリード線120が煮こぼれ汁の付着によって支持パイプ130に固着してしまうことを抑制することができる。以下では、この点について説明するが、まず、カバー160を有しない従来例の温度検出装置100でリード線120の固着が生じる理由について説明する。
【0040】
図5は、従来例の温度検出装置100で煮こぼれ汁の付着によってリード線120の固着が生じる理由を示した説明図である。図では、支持パイプ130の取付構造の断面を表しており、図示した例では、取付板140の挟持溝140aと押え板150の挟持溝150aとで支持パイプ130が挟持されている。また、取付板140の下端側には支持パイプ130よりも大径に広がった半円状のスカート部140bが形成されており、同様に押え板150の下端側には支持パイプ130よりも大径に広がった半円状のスカート部150bが形成されている。
【0041】
このようにスカート部140b,150bを形成しておけば、支持パイプ130に煮こぼれ汁がかかっても、支持パイプ130から半径方向の外側に離れたスカート部140b,150bの外面を伝って煮こぼれ汁が流れ落ちる。そのため、
図5(a)に示されるように支持パイプ130の下端から引き出されたリード線120が下方に向けて配線されている場合は、当接部110に連動してリード線120が支持パイプ130の下端から出入りする範囲では煮こぼれ汁がリード線120にかかり難く、支持パイプ130の下端とリード線120との間に煮こぼれ汁が付着することを抑制することができる。尚、支持パイプ130の下端から離れた位置でリード線120に煮こぼれ汁がかかっても、そのまま下方に伝って流れてしまうことにより、リード線120が固着する原因になることはない。
【0042】
一方、前述したようにコンロバーナー10がグリルの上方に設置されているといった理由から温度検出装置100の下方に空間的な余裕がない場合には、当接部110が押し下げられていない状態で、
図5(b)に示されるようにリード線120を支持パイプ130の下端から湾曲させて水平方向に配線しなければならないことがある。
【0043】
そして、
図5(b)の状態から五徳4上に調理容器が置かれて当接部110が押し下げられると、
図5(c)に示されるようにリード線120が下方に移動し、リード線120の水平方向に配置された部分(以下、水平部)よりも湾曲部が低くなる。この状態で支持パイプ130に煮こぼれ汁がかかると、スカート部150bを形成していても、スカート部150bの外面を伝って流れ落ちた煮こぼれ汁が、支持パイプ130の下端から離れた位置で湾曲したリード線120にかかってしまう。また、取付板140と押え板150との隙間に煮こぼれ汁が浸入した場合には、その煮こぼれ汁がスカート部150bの内面や支持パイプ130を伝って流れ落ち、リード線120にかかることがある。そして、リード線120に付着した煮こぼれ汁は、低くなっている湾曲部に溜まり易いので、湾曲部で煮こぼれ汁が堆積する。
【0044】
こうしてリード線120の湾曲部に煮こぼれ汁が堆積した状態で、五徳4上から調理容器が外されると、コイルバネ114の付勢力で当接部110が押し上げられるのに伴って、リード線120の煮こぼれ汁が堆積した部分が引き上げられる。これにより、堆積していた煮こぼれ汁が、
図5(d)に示されるように支持パイプ130の下端とリード線120との間に入り込んでしまったり、押え板150の下端(スカート部150b)とリード線120との間に付着したりすることがある。そうした煮こぼれ汁が固まることで、支持パイプ130あるいは押え板150に対してリード線120の固着が発生する。そこで、本実施例の温度検出装置100では、こうしたリード線120の固着を抑制するためにカバー160を設けている。
【0045】
図6は、本実施例の温度検出装置100における支持パイプ130の取付構造を示した断面図である。図では、当接部110が押し下げられた状態を表している。図示されるようにカバー160は、支持パイプ130の下端からリード線120の水平部に至るまでのリード線120の湾曲部の上方を覆うようになっている。このため、支持パイプ130にかかった煮こぼれ汁が押え板150のスカート部150bの外面を伝うと、その煮こぼれ汁をカバー160で受けることができる。このようにカバー160でリード線120に煮こぼれ汁がかからないようにすることで、リード線120が支持パイプ130あるいは押え板150に固着してしまうことを抑制することができる。
【0046】
また、本実施例のカバー160は、水平ではなく、前述したように傾斜して設けられている(
図4(b)参照)。これにより、カバー160の上に溜まった煮こぼれ汁は、傾斜を下ってリード線120の配線方向に直交する方向に流れるので、カバー160から流れ落ちた煮こぼれ汁がリード線120にかかることを抑制することができる。
【0047】
また、本実施例のカバー160には、外接部164の両側に切欠き部165が設けられており、この切欠き部165によって押え板150との間に形成される間隙(
図4(b)参照)から煮こぼれ汁を逃がすことができる。本実施例の押え板150のスカート部150bは、押え板150の幅方向に長い楕円の半円状になっており、その両側に間隙が形成されることで、リード線120の上方を避けて、リード線120の配線方向に直交する方向の外側に離れた位置から煮こぼれ汁を逃がすことができる。加えて、スカート部150bの下端は中央よりも両側に低くなるアーチ状になっており(
図4(a)参照)、スカート部150bと外接部164との間に浸入した煮こぼれ汁は、スカート部140bの下端のうち低くなっている両側から流れ落ちるので、中央の下方に配線されるリード線120に煮こぼれ汁がかかることを抑制することができる。
【0048】
また、本実施例の押え板150にはフランジ部153が形成されており、このフランジ部153が取付板140と押え板150との合わせ目の上方を覆っているので、取付板140と押え板150との隙間から煮こぼれ汁が浸入してリード線120にかかることを抑制することができる。加えて、仮に取付板140と押え板150との隙間に煮こぼれ汁が浸入した場合でも、煮こぼれ汁がスカート部150bの内面を伝うと、スカート部140bのアーチ状の下端のうち低くなっている両側から流れ落ちるので、中央の下方に配線されるリード線120に煮こぼれ汁がかかることを抑制することができる。
【0049】
また、本実施例の温度検出装置100では、カバー160を備えつつ、そのカバー160に通気孔166が設けられているので、上方のバーナーヘッド13の供給通路13hに二次空気を通すことが可能である。こうして通気を確保しながら、通気孔166の周縁のうち支持パイプ130側に隔壁167を立設しておくことにより、支持パイプ130にかかった煮こぼれ汁がカバー160を伝って通気孔166から流れ落ちることを抑制することができる。尚、隔壁167を通気孔166の全周に設けることによって、煮こぼれ汁が通気孔166から流れ落ちないようにしてもよい。
【0050】
さらに、本実施例のカバー160には、支持パイプ130とは反対側の縁部から垂下部168が一体に形成されており、この垂下部168にリード線120を通す挿通孔169が設けられている。
図6に示されるように、挿通孔169にリード線120を通しておくことにより、当接部110が押し下げられるのに伴ってリード線120が下方に移動しても、リード線120が汁受け皿30に接しないように挿通孔169でリード線120の移動を規制することができる。その結果、リード線120が汁受け皿30に固着してしまうことを防ぐことが可能となる。そして、このような挿通孔169がカバー160と一体になっているので、リード線120の移動を規制する部材を別に設ける場合に比べて、温度検出装置100の設置作業を簡易化することができる。
【0051】
以上、本実施例の温度検出装置100について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0052】
例えば、前述した実施例では、コンロバーナー10がグリルの上方に設置されているために、温度検出装置100の下方に空間的な余裕がない場合について説明した。しかし、これに限らず、ガスコンロ1の薄型化を図る場合にも、温度検出装置100の下方に空間的な余裕がなくなることから、本発明を好適に適用することができる。
【0053】
また、前述した実施例では、カバー160が押え板150とは別体に設けられていたが、カバー160を押え板150と一体に形成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…ガスコンロ、 2…天板、 3…貫通孔、
4…五徳、 5…コンロ本体、 6…グリル扉、
7…操作ツマミ、 10…コンロバーナー、 11…バーナーボディー、
11a…混合室、 12…混合管、 13…バーナーヘッド、
13a…炎口、 13h…供給通路、 14…バーナーカバー、
20…梁部材、 30…汁受け皿、 100…温度検出装置、
110…当接部、 111…ホルダー、 112…集熱板、
113…センサー収容部、 114…コイルバネ、 115…温度センサー、
117…拡径部材、 120…リード線、 130…支持パイプ、
131…座金、 132…環状突起、 140…取付板、
140a…挟持溝、 140b…スカート部、 141…ビス穴、
142…スリット、 145…水平板、 146…通し孔、
147…通気孔、 149…固定ビス、 150…押え板、
150a…挟持溝、 150b…スカート部、 151…通し孔、
152…スリット、 153…フランジ部、 155…固定ビス、
160…カバー、 161…固定板、 162…通し孔、
163…連結部、 164…外接部、 165…切欠き部、
166…通気孔、 167…隔壁、 168…垂下部、
169…挿通孔。