(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用給湯機器の燃料としては、都市ガス(天然ガス)、LPガス、灯油等が一般的であり、改質装置によって都市ガスや灯油等の燃料に含まれる炭化水素から水素を分離して生成し、生成した水素と空気を化学反応させて発電を行う燃料電池(改質型の燃料電池システム)が知られている。
【0003】
家庭用燃料電池では、発電とともに熱を発生するため、その熱エネルギーを有効に利用してエネルギー効率を向上させた給湯ユニットを構成することができる(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載された給湯ユニットは、燃料電池の動作に伴って発生する熱を回収する熱交換器と、この熱交換器によって加熱した湯水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンクから得られる温水の温度が低い場合には、所定の温度まで加熱してから出湯する給湯器(ボイラ)と、を備えている。かかる構成により、熱交換器によって燃料電池の熱エネルギーを効率よく利用しながら、給湯器によって所定の温度まで加熱して必要な十分な湯水を台所や浴室等へ出湯することができる。
【0005】
他方、近時、都市ガス等の燃料から水素を生成するのではなく、純水素を燃料(水素燃料)として燃料電池発電を行う技術開発(改質型と区別して純水素型の燃料電池システムという。)が期待されている。純水素型の家庭用燃料電池としては、発電量が1kW未満が主流となり、発電効率を50%程度まで高めて、改質型よりも発電効率を向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された給湯ユニットは、改質型の燃料電池を使用しているため、水素を生成するための改質装置が必要となって機器構造が複雑になり大型化するという問題があった。
【0008】
また、特許文献1に記載された給湯ユニットにおいて、改質型の燃料電池に代えて純水素型の燃料電池を適用しようとすると、給湯器(ボイラ)には都市ガスや灯油等の一般燃料を使用しているため、一般燃料と純水素燃料電池用の水素燃料との二重配管が必要になり、機器構成も複雑になるという問題があった。
【0009】
純水素型の家庭用燃料電池では、発電量が1kW未満の低出力型が主流であるため、燃料電池が発電時に発生する熱のみを熱源として貯湯タンクの湯水を加熱しようとすると、給湯能力が不足する場合があるため、不足する熱量は都市ガス等の一般燃料で補わなければならないという相反する問題があった。
【0010】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、純水素を燃料とした純水素型貯湯ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、
水素と酸素を化学反応させて発電する燃料電池システムと、燃料電池システムに水素を供給する水素供給源と、燃料電池システムから発生した熱によって湯水を加温する熱交換器と、
湯水を貯留する貯湯タンクと、水素供給源から供給された水素を燃焼させて湯水を加熱する水素燃料バーナと、を備える純水素型貯湯ユニットであって、貯湯タンクの上部に設けられて、貯留された湯水を出湯する高温貯湯層と、貯湯タンクの下部に貯留された湯水からなる低温貯湯層と、低温貯湯層と高温貯湯層との間に位置して、水素燃料バーナを配設する中温貯湯層とを備え、貯湯タンクの側面であって、低温貯湯層に対応する部分に熱交換器から加温された水を供給する供給口を設けたこと、を特徴とする。
【0012】
かかる構成により、本発明に係る純水素型貯湯ユニットは、水素供給源から供給された純水素(以下、「純水素」を水素ガスの意味で使用し、特に改質型の水素と区別する必要がない場合には、単に「水素」という。)を燃料電池に供給して発電するとともに、水素燃料バーナに供給して純水素を燃焼させることで、環境に配慮した二酸化炭素を出さない純水素型貯湯ユニットを構成することができる。
【0013】
つまり、本発明に係る純水素型貯湯ユニットは、熱交換器によって前記燃料電池システムから発生した熱( 排熱) を利用して
貯湯タンクの低温貯湯層の上部に供給口から供給されて貯留される湯水を加温するとともに、排熱の熱エネルギーが不足する場合には、適宜水素燃料バーナによって貯湯タンクの湯水を加熱することができる。このため、純水素の燃料配管だけでシステムを構成することができるため、都市ガス等の配管を排除して配管や機器構成を簡素化することができる。
【0014】
このようにして、本発明に係る純水素型貯湯ユニットは、家庭用燃料電池システムのように発熱量が低い場合であっても、必要に応じて水素燃料バーナを燃焼させることで、湯水の加熱時間を短縮して、貯湯タンクの大容量化を回避しながらエネルギー効率を高めて、十分な給湯能力を確保することができる。
【0015】
本発明の請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の純水素型貯湯ユニットであって、
供給口は、水素燃料バーナより下方に設けられていること、を特徴とする。
【0016】
かかる構成により、貯湯タンクの低温貯湯層は前記熱交換器で加温し、前記低温貯湯層よりも上部に貯留され低温貯湯槽よりも温度が高い湯水は前記水素燃料バーナで加熱することで、燃料電池から発生するエネルギーを有効に利用してエネルギー効率を高めることができる。
【0017】
本発明の請求項3に係る発明は、
熱交換器へ低温貯湯層の湯水を導入する流入流路を貯湯タンクの底面に接続したこと、を特徴とする。
【0018】
かかる構成により、供給口よりも下方となるように接続された流入流路から低温貯湯層の下部に貯湯された湯水を熱交換器へ導入できる。低温貯湯層の下部に貯湯された湯水は、比較的低温であり熱交換器における熱交換効率が良好である。
【0019】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の純水素型貯湯ユニットであって、前記貯湯タンクに貯留された湯水の温度を計測する温度センサと、前記貯湯タンクから出湯された湯水、または前記供給口から当該貯湯タンクに新たに流入される湯水の流量を計測する流量計をさらに備え、前記制御装置は、前記温度センサで計測した温度、および前記流量計で計測した流量に基づいて前記貯湯タンクに貯留された湯水から流出する流出熱量を演算し、この流出熱量を補足して前記貯湯タンクに貯留された湯水が所定の温度に到達するように前記水素燃料バーナの燃焼を制御すること、を特徴とする。
【0020】
ここで、前記貯湯タンクから出湯された湯水の流量は、前記供給口から当該貯湯タンクに新たに流入される湯水の流量と同じとみなすことができる。
【0021】
請求項4に係る純水素型貯湯ユニットは、前記貯湯タンクに貯留された湯水から流出する流出熱量を演算することで、迅速に貯湯タンクの温度低下を予測して、温度低下が生じないように水素燃料バーナを燃焼させる。
【0022】
このようにして、請求項4に係る純水素型貯湯ユニットは、給湯能力の低下を抑制して、貯湯タンクの容量を効率的に使用することができるため、貯湯タンクの容量を小型化しながら、給湯能力を向上させることができる。
【0023】
本発明の請求項5に係る発明は、請求項
1から4のいずれか1項に記載の純水素型貯湯ユニットであって、前記低温貯湯層に貯留された湯水の温度を計測する低温貯湯層温度センサと、前記水素燃料バーナの燃焼空気を熱交換部に送風して前記湯水を加熱するための送風ファンと、低温貯湯層温度センサによって計測された前記低温貯湯層の湯水の温度が予め設定した所定の上限温度以上になった場合には、前記水素燃料バーナの燃焼を停止させた状態で前記送風ファンを駆動させて前記熱交換部に冷却空気を送風して前記低温貯湯層の湯水が前記所定の上限温度未満になるように冷却する上限温度制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項5に係る純水素型貯湯ユニットは、前記低温貯湯層の湯水が前記所定の上限温度未満になるように冷却する上限温度制御手段を備えたことで、燃料電池システムの稼働中(発電中)に燃料電池システムを冷却する低温貯湯層の湯水の温度が所定の上限温度以上に上昇することがないので、燃料電池システムの冷却能力を確保して、発電効率の低下を抑制することができる。
【0025】
また、前記水素燃料バーナの燃焼空気を燃焼室に送風するための送風ファンを使用して前記低温貯湯層の湯水を冷却することで、貯湯タンクの容量を過度に増やすことなく、かつ燃料電池システムを冷却するための冷却及び放熱機構を保有する冷却装置を別途設けることなく必要な燃料電池システムの冷却能力を確保することができる。このため、従来の燃料電池システムに搭載された冷却装置を削減または排除することが可能となる。
【0026】
このようにして、本発明の請求項5に係る純水素型貯湯ユニットは、貯湯タンクの大容量化を回避しながら、かつ、燃料電池システムに別途冷却装置を搭載することなく必要十分な範囲で発電能力と給湯能力とをバランスさせてエネルギー効率を高め、必要な発電能力と十分な給湯能力とを効率よく確保することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、純水素を燃料とした純水素型貯湯ユニットを提供することができる。
本発明に係る純水素型貯湯ユニットは、湯水の加熱時間を短縮して、貯湯タンクの大容量化を回避しながらエネルギー効率を高めて、十分な給湯能力を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〈第1の実施形態〉
本発明の第1の実施形態に係る純水素型貯湯ユニット1について
図1を参照しながら詳細に説明する。参照する
図1は、純水素型貯湯ユニットの構成要素を模式的に示す回路図であり、純水素や湯水の流路も簡略化して表示し、構成要素の形状や配置等を示すものではない。
【0030】
純水素型貯湯ユニット1は、
図1に示すように、湯水U(U1,U2,U3)を貯留して上部から出湯する貯湯タンク2と、水素H1と酸素を化学反応させて発電する燃料電池システム3と、燃料電池システム3に水素H1を供給する水素供給源4と、燃料電池システム3から発生した熱によって湯水U(U1,U2,U3)を加温する熱交換器31と、動作を制御する制御装置5と、水素供給源4から供給された水素H2燃焼させて湯水Uを加熱する水素燃料バーナ6と、を備えている。
【0031】
純水素型貯湯ユニット1は、水素供給源4から供給される水素H(H1,H2)を使用して、給水口21から貯湯タンク2に供給された常温の水道水W1を熱交換器31、および水素燃料バーナ6によって所定の温度に加熱して出湯する給湯システムであり、特に家庭用の燃料電池システム3に好適に適用することができる。
【0032】
貯湯タンク2は、下部に配設された給水口21と、湯水U3の温度を計測する温度センサ22と、貯湯タンク2から出湯された湯水U3の流量を計測する流量計23と、を備えている。
貯湯タンク2には、給水口21から水道水W1が供給される。貯湯タンク2に供給されて貯湯された水道水W1は、熱交換器31によって加温されるとともに、水素燃料バーナ6によって加熱されて、所定の容量の湯水U(U1,U2,U3)が貯留されるようになっている。
【0033】
貯湯タンク2に貯留された湯水U(U1,U2,U3)は、貯湯タンク2の下部に貯留された湯水U1からなる低温貯湯層U1と、貯湯タンク2の上部に貯留された湯水U3からなる高温貯湯層U3と、貯湯タンク2の中間部であり低温貯湯層U1と高温貯湯層U3の間に形成される中温貯湯層U2と、に区分される。
【0034】
高温貯湯層U3からは、高温の湯水U3が出湯される。高温の湯水U3が出湯されると、水道水W1の水圧によって出湯された流量だけ給水口21から水道水W1が流入する。このようにして、貯湯タンク2は、所定容量の湯水U(U1,U2,U3)を貯留する。
【0035】
温度センサ22は、高温貯湯層U3から出湯される高温の湯水U3の温度を計測する。
流量計23は、高温貯湯層U3から出湯された高温の湯水U3の流量を計測する。
なお、本実施形態においては、流量計23によって高温貯湯層U3から出湯される高温の湯水U3の流量を計測したが、これに限定されるものではなく、高温貯湯層U3から出湯された湯水の流量と給水口21から貯湯タンク2に流入する水道水W1の流量は同じであるから、図示しない流量計によって貯湯タンク2に新たに流入する水道水W1の流量を計測してもよい。
【0036】
貯湯タンク2から高温の湯水U3が出湯されると、制御装置5は、利用者が設定した供給温度に応じて混合弁(不図示)を介して、水道水W1と混合して温度を調整してから台所や浴室等の種々の給湯栓24へ給湯するようになっている。
貯湯タンク2の構成や動作は、特に限定されるものではないので、詳細な説明は省略する。
【0037】
低温貯湯層U1には、低温貯湯層U1の下部に水道水W1が流入される。このため、低温貯湯層U1の下部は、低温貯湯層U1の上部よりも低温の湯水(水道水W2)が貯留される。
【0038】
なお、貯湯タンク2に貯留された湯水U(U1,U2,U3)は、湯水U1,U2,U3のそれぞれの温度や量、貯湯タンク2の容量や使用状況等によって領域や境界が流動的であり、厳格に区別されるものではないが、説明の便宜上、形式的に湯水U1,U2,U3を区分するが、特に湯水U1,U2,U3を区別する必要がない場合には、総称して湯水U(U1,U2,U3)と表示する。
【0039】
燃料電池システム3は、家庭内で使用する電力を賄うための発電システムであり、水素と酸素を化学反応させて発電する燃料電池32と、燃料電池32に水素H1を供給する水素供給流路33と、を備えている。燃料電池32は、水素H1と酸素が化学反応する過程で発熱するため、化学反応を促進させるために冷却水を循環させて冷却する。
【0040】
熱交換器31は、燃料電池32から発生した熱によって加熱された冷却水(不図示)と貯湯タンク2の給水口21からの低温貯湯層U1の下部に貯留された湯水U1(水道水W2)とを熱交換して、低温貯湯層U1の湯水U1を加温する装置である。
熱交換器31は、湯水U1(水道水W2)を導入する流入流路31aと、燃料電池32を冷却して加温された冷却水と水道水W2とを熱交換して水道水W2を加温する熱交換部31bと、加温された水道水W3をポンプPによって低温貯湯層U1の上部に供給する供給流路31cと、低温貯湯層U1の上部に形成された水道水W3の供給口31dと、を備えている。
【0041】
なお、本実施形態においては、低温貯湯層U1の下部に貯留された湯水(水道水W2)を流入流路31aを通って熱交換部31bに導入したが、これに限定されるものではなく、低温貯湯層U1の下部に供給される水道水W1を低温貯湯層U1の下部に供給する流路と熱交換部31bに導入する流路に分岐してそれぞれに供給してもよい。
燃料電池システム3の構成は、特に限定されるものではないので詳細な説明は省略する。
【0042】
水素供給源4は、燃料電池32や水素燃料バーナ6に水素H(H1,H2)を供給する手段であり、特に限定されるものではなく、水素H(H1,H2)を貯留する水素タンクや水素ステーションに連結されたパイプライン等に連結して適用することができる。
【0043】
制御装置5は、温度センサ22で計測した湯水U3の温度および流量計23で計測した流量に基づいて貯湯タンク2に貯留された湯水U(U1,U2,U3)から流出する流出熱量を演算して、貯湯タンク2に貯留されたU(U1,U2,U3)が所定の温度に到達するように水素燃料バーナ6の燃焼を制御する。
【0044】
つまり、純水素型貯湯ユニット1は、制御装置5によって、貯湯タンク2に貯留された湯水U(U1,U2,U3)から流出する流出熱量を演算することで、迅速に貯湯タンク2に貯留された湯水U(U1,U2,U3)の温度低下を予測する。そして、温度低下が生じないように水素燃料バーナ6を燃焼させることで、流出熱量に相当する熱量を補足して給湯能力の低下を抑制することができる。
【0045】
このようにして、純水素型貯湯ユニット1は、貯湯タンク2の容量を効率的に使用することができるため、貯湯タンク2の容量を小型化しながら、給湯能力を向上させることができる。
【0046】
水素燃料バーナ6は、水素供給源4から水素H2を導入する水素導入口61と、水素H2と酸素とを混合して火炎62aを噴射するバーナ部62と、噴射された火炎62aを拡散させる燃焼室63と、火炎62aの熱エネルギーによって貯湯タンク2に貯留された湯水U(U1,U2,U3)を加熱する熱交換部63aと、を備えている。
【0047】
水素燃料バーナ6は、バーナ部62や燃焼室63が低温貯湯層U1と高温貯湯層U3の間の中温貯湯層U2に位置するように、供給流路31cの供給口よりも上方に配設されている。水素燃料バーナ6の熱交換部63aは、高温貯湯層U3に位置するように配設されている。かかる構成により、燃焼室63で拡散された火炎62aによる燃焼ガスが熱交換部63aを上昇して効率的かつ迅速に高温貯湯層U3の湯水U3を加熱することができる。
【0048】
以上のように構成された本発明の実施形態に係る純水素型貯湯ユニット1の動作について
図1を参照しながら説明する。
純水素型貯湯ユニット1は、水素供給源4から供給された水素H1を燃料電池32に供給して発電し、熱交換器31によって燃料電池32から発生した熱(排熱)を利用して貯湯タンク2に貯留される湯水U(U1)を加温する。
【0049】
また、水素供給源4から供給された水素H2を水素燃料バーナ6に供給して水素H2を燃焼させることで、排熱の熱エネルギーが不足する場合には、適宜水素燃料バーナ6によって貯湯タンク2の湯水U(U1,U2,U3)を加熱することができる。
【0050】
このようにして、本発明の実施形態に係る純水素型貯湯ユニット1は、家庭用の燃料電池システム3のように発熱量が低い場合であっても、必要に応じて水素燃料バーナ6を燃焼させることで、湯水U(U1,U2,U3)の加熱時間を短縮して、貯湯タンク2の大容量化を回避しながらエネルギー効率を高めて、十分な給湯能力を確保することができる。
また、純水素の燃料配管だけでシステムを構成することができるため、都市ガス等の配管を排除して配管や機器構成を簡素化することができる。
【0051】
〈第2の実施形態〉
続いて、本発明の第2の実施形態に係る純水素型貯湯ユニット1Aについて、
図2を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、本発明の第2の実施形態に係る純水素型貯湯ユニット1Aは、主として低温貯湯層温度センサ25と上限温度制御手段51とを備えた点で前記した第1の実施形態に係る純水素型貯湯ユニット1(
図1参照)と相違するため、以下の説明においては、純水素型貯湯ユニット1共通する構成については同じ符号を付して重複する詳細な説明は省略する。
【0052】
本発明の第2の実施形態に係る純水素型貯湯ユニット1Aは、低温貯湯層に貯留された湯水U1の温度を計測する低温貯湯層温度センサ25と、水素燃料バーナ6の燃焼空気を熱交換部である燃焼室63および熱交換部63aに送風するための送風ファン6aと、低温貯湯層の湯水U1の上限温度を管理する上限温度制御手段51と、を備えている。
【0053】
低温貯湯層温度センサ25は、貯湯タンク2の低温貯湯層U1に配設されているが、低温貯湯層に貯留された湯水U1の温度を計測することができれば、これに限定されるものではなく低温貯湯層U1から流入量路31aに流れ込んだ湯水(水道水W2)の温度を計測してもよい。
【0054】
送風ファン6aは、水素燃料バーナ6に設けられ、バーナ部62から噴射された火炎の熱エネルギー(燃焼空気)を燃焼室63および熱交換部63aに送り込むための送風装置であり、水素供給源4から水素導入口61を通って水素H2がバーナ部62へ供給され火炎が生成されている場合には、バーナ部62で生成された火炎の熱エネルギー(燃焼空気)を燃焼室63および熱交換部63aに送り込んで低温貯湯層の湯水U1を加温する機能を奏する。
【0055】
他方、水素燃料バーナ6におけるバーナ部62の燃焼を停止させた状態では、バーナ部62で火炎が生成されていないため、常温の冷却空気を燃焼室63および熱交換部63aに送り込むことで、低温貯湯層の湯水U1を冷却する送風冷却装置としての機能を奏する。
具体的には、送風冷却装置として機能させた場合には、バーナ部62への水素H2の供給を停止してバーナ部62の燃焼を停止した状態で送風ファン6aを駆動することで、低温貯湯層の湯水U1よりも低温の冷却空気を熱交換器として機能する燃焼室63および熱交換部63aに送り込むことができるため、低温貯湯層の湯水U1を冷却することができる。
【0056】
つまり、燃焼室63および熱交換部63aは、熱交換器として機能するため、送風ファン6aによって、低温の冷却空気を燃焼室63および熱交換部63aに送り込むことで、中温貯湯層U2ないし高温貯湯層U3が冷却される。このようにして、冷却された中温貯湯層の湯水U2および高温貯湯層の湯水U3が循環して低温貯湯層U1まで降下するので、低温貯湯層の湯水U1が冷却される。
【0057】
上限温度制御手段51は、低温貯湯層温度センサ25によって計測された低温貯湯層の湯水U1の温度が予め設定した所定の上限温度以上になった場合には、水素燃料バーナ6の燃焼を停止させた状態で送風ファン6aを駆動させて燃焼室63に冷却空気を送風して低温貯湯層の湯水U1が所定の上限温度未満になるように冷却して低温貯湯層の湯水U1の上限温度を管理する。
【0058】
所定の上限温度は、燃料電池システム3を効率よく冷却して必要な発電能力を確保することができるように燃料電池システム3の発電能力等を考慮して予め設定される。所定の上限温度は、例えば、60℃とすることができる。
【0059】
以上のように構成された本発明の第2の実施形態に係る純水素型貯湯ユニット1Aは、以下のような作用効果を奏する。
本発明の第2の実施形態に係る純水素型貯湯ユニット1Aは、低温貯湯層の湯水U1が所定の上限温度未満になるように冷却する上限温度制御手段51を備えたことで、燃料電池システム3の稼働中(発電中)に燃料電池システム3を冷却する低温貯湯層の湯水U1の温度が所定の上限温度以上に上昇することがないので、燃料電池システム3の冷却能力を確保して、発電効率の低下を抑制することができる。
【0060】
また、水素燃料バーナ6の燃焼空気を燃焼室63に送風するための送風ファン6aを使用して低温貯湯層の湯水U1を冷却することで、貯湯タンク2の容量を過度に増やすことなく、かつ燃料電池システムを冷却するための冷却及び放熱機構を保有する冷却装置を別途設けることなく燃料電池システム3の冷却能力を確保することができる。このため、構成を簡素化させ、かつ必要な発電能力と十分な給湯能力とを効率よく確保することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されず、適宜変形して実施することが可能である。例えば、前記した実施形態においては、貯湯タンク2に貯留された湯水Uを熱交換器31や水素燃料バーナ6によって加熱したが、これに限定されるものではなく、さらに太陽熱温水器や太陽光発電器等を組み合わせて適用することもできる。
【0062】
また、前記した実施形態においては、熱交換器31によって低温貯湯層U1の湯水U1を加温し、水素燃料バーナ6によって高温貯湯層U3の湯水U3を加熱したが、これに限定されるものではなく、燃料電池システム3の出力等を考慮して適宜、熱交換器31によって中温貯湯層U2や高温貯湯層U3を加温するとともに、水素燃料バーナ6によって高温貯湯層U3の湯水U3を加熱できるようにしてもよい。
【0063】
この場合には、水道水W3の供給口31dを低温貯湯層U1よりも上部の中温貯湯層U2や高温貯湯層U3に配設して、熱交換器31によって加温された水道水W3をポンプPによって中温貯湯層U2や高温貯湯層U3に供給する。