特許第6647054号(P6647054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647054
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20200203BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20200203BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20200203BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   B41J2/47 101M
   B41J2/47 101D
   G03G15/01 112A
   G03G15/04 111
   G03G21/00 370
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-12472(P2016-12472)
(22)【出願日】2016年1月26日
(65)【公開番号】特開2017-132084(P2017-132084A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(72)【発明者】
【氏名】濱中 隆宏
【審査官】 村石 桂一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−309336(JP,A)
【文献】 特開2015−161891(JP,A)
【文献】 特開2007−286357(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0270363(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
G03G 15/01
G03G 15/04
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が射出するレーザ光を各色(x:例えばy、m、c)の光路に向けて主走査方向に偏向する偏向器と、
前記各光路にあり、レーザ光に露光されて形成される静電潜像が現像されることにより各色の画像が形成される感光体と、
前記各光路にあり、レーザ光を前記各感光体に向けて反射するミラーと、
前記各ミラーに設けられ、各色(x)の画像間の傾きずれを補正するために前記ミラーの前記主走査方向における走査終了側の端部を走査開始側の端部を中心として前記感光体に対して変位させる変位機構と、
色(x)毎に、前記感光体において主走査方向にレーザを走査する主走査領域を分割した複数のセグメント(N)の画像クロックを補正することで、各色(x)の画像における前記主走査方向の倍率を補正する制御部と、を備え
前記制御部は、
セグメント(N)毎の画像クロックの補正量(M(N))を第1補正量(Mox)に第2補正量(ΔM(N))を加算することで設定し、
各色(x)の前記第1補正量(Mox)を、各色(x)の画像の主走査方向の倍率ずれ量に基づいて設定し、
各色(x)の前記第2補正量(ΔM(N))を各色(x)の画像の傾き補正量および当該セグメント(N)に基づいてセグメント(N)毎に設定し、
中央のセグメント(N)の前記第2補正量(ΔM(N))を0に設定し、前記第2補正量(ΔM(N))において、前記中央のセグメント(N)を中心に前記主走査方向の走査開始側および走査終了側のうち一方を正に設定し他方を負に設定し、
前記走査開始側の各セグメント(N)の前記第2補正量(ΔM(N))と、前記走査終了側の各セグメント(N)の前記第2補正量(ΔM(N))とを、前記中央のセグメント(N)を挟んで絶対値では対称となるように設定する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記制御部は、前記第2補正量(ΔM(N))を
【数1】
・・・(1)
βx= δx×Sx (xは例えばy、m、c) ・・・(2)

式(1)(2)により設定し、αは補正係数であり(0<α<1)、Pは前記主走査領域を複数のセグメント(N)に分割したピッチの長さであり、δxは補正係数、Sxは前記傾き補正量である画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の装置において、
前記制御部は、同一の前記傾き補正量に対し、各色の画像における前記主走査方向の倍率の補正量が異なる画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の装置において、
前記ミラーにおいて、入射光と反射光との間の角度が鋭角である画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に記載の実施形態は、各色の画像間のずれに対する補正技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンデム方式の画像形成装置では、形成される画像の位置が各色間でずれてしまうことがあるため、位置合わせの制御を行なっていた。
【0003】
しかしながら、位置合わせの制御を行うことに伴い、主走査方向に対して各色で画像が伸び縮みすることがあり、結果として重なるべき各色の画像にずれが生じることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−282763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、各色の画像間のずれを抑制できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、画像形成装置は、偏向器と、感光体と、ミラーと、変位機構と、制御部と、を備える。偏向器は、光源が射出するレーザ光を各色の光路に向けて主走査方向に偏向する。感光体は、各光路にあり、レーザ光に露光されて形成される静電潜像が現像されることにより各色の画像が形成される。ミラーは、各光路にあり、レーザ光を各感光体に向けて反射する。変位機構は、各ミラーに設けられ、各色の画像間の傾きずれを補正するためにミラーを変位させる。制御部は、各色の画像の傾き補正量に応じて、各色の画像における主走査方向の倍率を補正する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成装置を示す図である。
図2】レーザ光学系の構成を示す図である。
図3】Y用の反射ミラーに設けられる変位機構を示す斜視図である。
図4】反射ミラーを変位させた際の光路長の変動を示す図である。
図5】位置合わせ用のテストパターンを示す図である。
図6】各セグメントNの補正量ΔM(N)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、画像形成装置200を示す図である。
画像形成装置200の制御部801は、CPU(Central Processing Unit)であり、メモリ803が格納するプログラムを実行し、画像形成装置200の各種処理を行う。HDD804は、画像読取部Rにて読み取った画像データを保存する。表示部800は、画像形成装置200の設定情報や動作ステータス、ログ情報、ユーザへの通知を表示する。入力部802は、ユーザの入力を受け付ける。
【0009】
以下、制御部801によるコピー処理を説明する。
制御部801は、自動原稿搬送装置9により原稿トレイRt上の原稿を走査光学系10によって読み取る。制御部801は、ピックアップローラ51〜54によりカセットからシートをピックアップし、シートを複数の搬送ローラによって二次転写位置Uへ搬送する。制御部801は、画像読取部Rが読み取る原稿の画像データに基づき、レーザ光学系30によって感光体ドラム2Y〜2K上に静電潜像を形成する。なお、2Y〜2Kは、2Y,2M,2C,2Kを指す。以下、他の符号においても同様である。トナーカートリッジ1Y〜1Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを現像器3Y〜3Kに供給する。制御部801は、現像器3Y〜3Kを駆動し、Y〜Kのトナーにより感光体ドラム2Y〜2K上の静電潜像を現像し、感光体ドラム2Y〜2K上にY〜Kのトナー画像を形成する。
【0010】
制御部801は、感光体ドラム2Y〜2K上のY〜Kのトナー画像を転写ベルト60上にY,M,C,Kの順に重ねて転写し、転写ベルト60上に1枚のカラー画像を形成する。制御部801は、転写ベルト60を回転させ、転写ベルト60上の画像を二次転写位置Uにてシートに転写する。制御部801は、シートを定着器20にて加熱し、画像をシートに定着させた後、シートを排出トレイ8上に排出する。
【0011】
転写ベルト60の外周面の回転方向(図1において反時計方向)における感光体ドラム2Kと二次転写位置Uとの間の領域と対向する位置にセンサ40がある。センサ40は、フォトダイオード等を備え、図1の紙面垂直方向に並んで一対ある。後述するが、センサ40は、画像を位置合わせするためのテストパターンを撮像する。
【0012】
図2は、レーザ光学系30の構成を示す図である。
レーザ光学系30は、光源31、ポリゴンミラー32(偏向器)、fθレンズ33,34、反射ミラー35、変位機構36を備える。光源31は、半導体レーザ素子であり、Y〜K毎にある。ポリゴンミラー32は、各光源31が射出するレーザ光をY〜Kの光路LY〜LKに向けて主走査方向に偏向する。主走査方向とは、レーザ光が感光体ドラム2Y〜2Kに照射される際に、感光体ドラム2Y〜2Kの軸方向に沿う方向である。
【0013】
fθレンズ33,34は、ポリゴンミラー32が反射するレーザ光を、感光体ドラム2Y〜2K上に等速で走査させるとともに、レーザ光を感光体ドラム2Y〜2Kに対して垂直に入射させるためのものである。
【0014】
反射ミラー35は、各光路LY〜LKにあり、レーザ光を各感光体ドラム2Y〜2Kに向けて反射する。反射ミラー35は、光路LYには1枚あり、光路LM〜LKには3枚ある。以下、K以外のY〜Cの反射ミラー35において、感光体ドラム2Y〜2Cの前段にあるものを反射ミラー351と記載する。
【0015】
変位機構36は、Y〜Cの反射ミラー351に設けられる。本実施形態では、画像形成装置200は、Kを基準色として画像の位置合わせを行うため、変位機構36はY〜Cの反射ミラー351にのみ設けられ、Kの反射ミラー35には設けられない。なお、画像の位置合わせを行う際の基準色はY〜Kのいずれであってもよい。
【0016】
図3は、Yの反射ミラー351に設けられる変位機構36を示す斜視図である。M,Cの変位機構36も図3の変位機構36と同様の構成である。
Y〜Cの変位機構36は、感光体ドラム2Y〜2Kに形成されるY〜Kの画像間の傾きずれを補正するためにY〜Cの反射ミラー351をそれぞれ変位させる。変位機構36は、反射ミラー351の主走査方向における走査終了側の端部を、走査開始側の端部を中心として感光体ドラム2Y〜2Cに対して変位させる。変位機構36は、モータを一方向に回転させることにより反射ミラー351を感光体ドラム2Y〜2Cに近づけ、モータを他方向に回転させることにより反射ミラー351を感光体ドラム2Y〜2Cから離す。
【0017】
図4は、反射ミラー351を変位させた際の光路長の変動を示す図である。
Y〜Cの反射ミラー351において、入射光と反射光との間の角度θは鋭角となる。該角度θが鋭角の場合、変位機構36により反射ミラー351を変位させると、光源31から感光体ドラム2Y〜2Cに至る光路長LY〜LCが変動する。そして、感光体ドラム2Y〜2C上において、主走査方向における画素(ビームスポット)の位置が理想位置に対してずれ、画素間距離が理想距離に対してずれる、すなわち、主走査方向における倍率ずれが生じる。
【0018】
例えば、変位機構36が反射ミラー351を図4の(1)位置から(2)の位置へと感光体ドラム2Yに近づけると、光源31から感光体ドラム2Yに至る光路長LYが短くなる。すると、画素間距離が理想距離に対して小さくなり、主走査方向における倍率が理想倍率に対して小さくなる。
【0019】
Y〜Kの画像間の傾きずれを補正する際に、Y〜Cの反射ミラー351を変位させると、主走査方向における倍率ずれがY〜Cで生じる。Y〜Cの画像における主走査方向の倍率ずれの大きさは、Y〜Cの反射ミラー351の変位量が異なるために互いに異なる。また、反射ミラー351の走査終了側の端部を走査開始側の端部を中心に変位させるため、反射ミラー351の走査終了側ほど変位量が大きくなる。そのため、主走査方向における画素の位置ずれの生じ方も、主走査方向の領域毎に異なることとなる。以上の結果、本発明者は、Y〜Kの画像間の傾きずれの補正に起因し、Y〜Kの画像間に主走査方向における倍率ずれが生じることを見出した。
【0020】
そこで、制御部801は、Y〜Kの画像間の傾きずれを補正するためのY〜Cの反射ミラー351の変位量に応じて、Y〜Cの画像における主走査方向の倍率を補正する。以下、制御部801による画像間のずれ補正処理について説明する。
【0021】
制御部801は、以下のずれ補正処理を、ウォーミングアップ時、コピーの規定枚数到達時、ジョブを受け付けるReadyモードの累積時間が規定時間に到達した時に行う。制御部801は、ずれ補正処理の実行条件が満たされると、転写ベルト60に、図5に示すように、楔形のテストパターン72Y〜72Kを副走査方向に沿って形成する。テストパターン72Y〜72Kは、Y,M,C,Kの4色のものが1セットとなる。制御部801は、テストパターン72Y〜72Kを主走査方向に2セット形成する。
【0022】
制御部801は、センサ40によりテストパターン72Y〜72Kを撮像する。
制御部801は、テストパターン72Y〜72Kのずれ量に基づき、本実施形態では、基準色をKとして、Y〜Cの画像の位置ずれを補正する。
【0023】
制御部801は、撮像結果からテストパターン72Y〜72Kの副走査方向の平行度のずれ量〔Pk−c〕、〔Pc−m〕、〔Pm−y〕を算出し、該ずれ量に基づいて副走査方向におけるレーザ光の書き出し位置を補正する。
【0024】
制御部801は、撮像結果からテストパターン72Y〜72Kの主走査方向の平行度のずれ量〔Wx−r〕―〔Wk−r〕(x=y、m、c)を算出し、該ずれ量に基づいて主走査方向におけるレーザ光の書き出し位置を補正する。
【0025】
制御部801は、撮像結果からテストパターン72Y〜72Kの傾きずれ量Tx(x=y、m、c)を算出し、該ずれ量に基づいてY〜Cの反射ミラー351の変位量Gx(x=y、m、c)を算出する。制御部801は、Y〜Cの反射ミラー351を変位量Gx(x=y、m、c)だけ変位させる。
【0026】
制御部801は、Y〜Cの反射ミラー351を変位させることによるY〜Cの画像の傾き補正量Sx(x=y、m、c)を、傾きずれ量Tx(x=y、m、c)に基づき算出する。
【0027】
制御部801は、撮像結果からテストパターン72Y〜72Kの主走査方向の倍率ずれ量(〔Wx−r〕+〔Wx−f〕)―(〔Wk−r〕+〔Wk−f〕)(x=y、m、c)を算出し、該ずれ量に基づいて画像クロックの第1補正量Mox(x=y、m、c)を算出する。第1補正量MoxはY〜C毎に算出される。第1補正量Moxは、後述するが、主走査方向の各領域に亘って同一の値が用いられる。
【0028】
前述したように、Y〜Kの画像間の傾きずれを補正するために、Y〜Cの反射ミラー351を変位させると、Y〜Cの画像に主走査方向における倍率ずれが生じる。そこで、制御部801は、Y〜Cの画像の傾き補正量Sx(x=y、m、c)に応じて画像クロックの周波数を補正し、これによりY〜Cの画像における主走査方向の倍率を補正する。
【0029】
また、本実施形態では、反射ミラー351の走査終了側の端部を変位させるので、反射ミラー351の走査終了側程、光路長の変位量が大きくなる。そのため、主走査方向における画素の位置ずれの生じ方も、主走査方向の領域毎に異なることとなる。そこで、制御部801は、主走査方向における各領域の画像の傾き補正量Sx(x=y、m、c)に応じて、主走査方向の各領域に対応する画像クロックの周波数を補正する。
【0030】
なお、画像の傾き補正量Sx(x=y、m、c)は、反射ミラー351の変位量Gx(x=y、m、c)と対応関係にあり、反射ミラー351の変位量Gx(x=y、m、c)に比例する。従って、「Y〜Cの画像の傾き補正量Sx(x=y、m、c)に応じて画像クロックの周波数を補正する」とは、画像クロックの周波数を、反射ミラー351の変位量Gx(x=y、m、c)あるいはテストパターン72Y〜72Kの傾きずれ量Tx(x=y、m、c)に応じて補正する態様を含む。
【0031】
本実施形態では、感光体ドラム2Y〜2Cにおいて主走査方向にレーザを走査する領域を、Pmmピッチで32セグメントに分割して考える。走査開始側から各セグメントの番号を1、2、・・31、32と割り付ける。主走査方向における中央の領域はセグメント16となる。
【0032】
制御部801は、各セグメントN(N=1〜32)における画像の傾き補正量Sx(x=y、m、c)に対応する画像クロックの第2補正量ΔM(N)を、以下の式(1)(2)により算出する。そして、制御部801は、以下の式(3)に示すように、テストパターン72Y〜72Kの主走査方向の倍率ずれ量に基づいて算出する画像クロックの第1補正量Moxに、主走査方向の各セグメントNの第2補正量ΔM(N)を加算する。制御部801は、これにより、主走査方向の各セグメントNに対応する画像クロックの補正量M(N)を算出する。
【0033】

・・・(1)

βx= δx×Sx (x=y、m、c) ・・・(2)

M(N)=Mox+ΔM(N) (x=y、m、c) ・・・(3)

式(1)中のαは、補正係数(0<α<1)であり、Pは、主走査領域を32セグメントに分割するピッチ(mm)である。βxは、傾き補正(反射ミラー351の変位)に伴う倍率シフト量に相当する。式(2)は、βxを示す式であり、式(2)中のδxは、補正係数(-1×10-6)である。傾き補正量Sx(x=y、m、c)は、感光体ドラム2Y〜2Cに近づける方向を正とする。式(3)の補正量M(N)は、画像クロックの周波数変調量(%)に相等する。Y〜C毎に第1補正量Moxや補正係数δxの大きさが異なるため、Y〜Cの補正量M(N)は、傾き補正量Sx(x=y、m、c)を同一としても異なることとなる。
【0034】
Yに関し、δy=−2×10−6、α=2/3、P=10(mm)とすると、制御部801は、画像クロックの第2補正量ΔM(N)を各セグメントNについて以下のように算出する。なお、セグメント1については第2補正量ΔM(N)を0とする。
N=1:ΔM(1)=0
N=2:ΔM(2)=(2/3)×{(2−16)/10×(−2×10−6)×Sy}
N=3:ΔM(3)=(2/3)×{(3−16)/10×(−2×10−6)×Sy}

N=16:ΔM(16)=(2/3)×{(16−16)/10×(−2×10−6)×Sy}

N=32:ΔM(32)=(2/3)×{(32−16)/10×(−2×10−6)×Sy}
【0035】
図6は、Yの画像の傾き補正量Syが200(μm)である場合における各セグメントNの第2補正量ΔM(N)を示す図である。
画素クロックの周波数を小さくすると、主走査方向における画素間の間隔が拡大し、主走査倍率が大きくなる。反対に、画素クロックの周波数を大きくすると、主走査方向における画素間の間隔が縮小し、主走査倍率が小さくなる。
【0036】
反射ミラー351において、走査終了側(セグメント32に対応する側)程、傾き補正により感光体ドラム2Yへ近づくように変位させる場合、走査終了側のレーザ光の光路LY程、光路長が短くなる。そのため、感光体ドラム2Y上に形成される画像は、走査終了側程、主走査倍率が小さくなる。
【0037】
そこで、制御部801は、図6に示すように、主走査方向において走査終了側程、画素クロックの周波数が小さくなるように画素クロックを補正する。画素クロックの周波数を小さくすると主走査倍率は大きくなるので、これより、主走査方向における走査終了側程、主走査倍率を大きくできる。従って、傾き補正によって主走査方向における走査終了側程、主走査倍率が小さくなる影響を、該画素クロックに対する補正により打ち消すことができ、結果、Y〜K間の画像の主走査倍率ずれを解消できる。
【0038】
以上のように、本実施形態では、主走査方向における各セグメントNに対して画像クロックの周波数の補正量M(N)を設定することで、画像クロックの周波数を部分的に変調でき、傾き補正量を考慮した主走査倍率を設定できる。本実施形態では、このような構成をとることにより、傾き補正の影響による部分的な色ずれを解消できる。
【符号の説明】
【0039】
2Y〜2K…感光体ドラム(感光体)、31…光源、32…ポリゴンミラー(偏向器)、36…変位機構、200…画像形成装置、351…反射ミラー(ミラー)、801…制御部、LY〜LK…各色の光路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6