(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
給湯を開始したときに、または給湯負荷が増加したときに、給湯運転を実行していないタンク式給湯器のうち、タンクの蓄熱量が所定熱量を超えるものがなければ、給湯運転を実行していないタンク式給湯器およびタンクレス給湯器のうちで燃焼給湯運転の積算作動時間が最小の給湯器で燃焼給湯運転を実行する、請求項1の給湯システム。
給湯を開始したときに、または給湯負荷が増加したときに、給湯運転を実行していないタンク式給湯器のうち、タンクの蓄熱量が所定熱量を超えるものが複数ある場合に、そのうちの蓄熱量が最大のもので非燃焼給湯運転を実行する、請求項1または2の給湯システム。
給湯を開始したときに、または給湯負荷が増加したときに、給湯運転を実行していないタンク式給湯器のうち、タンクの蓄熱量が所定熱量を超えるものが複数ある場合に、そのうちの積算作動時間が最小のもので非燃焼給湯運転を実行する、請求項1または2の給湯システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給水管と給湯管の間で並列に接続する給湯器として、上記のようなタンクレス給湯器だけでなく、高温の水を貯えるタンクと、水を加熱する燃焼器を備えており、燃焼器で水を加熱することなくタンクからの水を用いて給湯する非燃焼給湯運転と、燃焼器で水を加熱して給湯する燃焼給湯運転を実行可能なタンク式給湯器を使用する場合がある。タンク式給湯器のタンクには、例えば燃焼器よりもCOPの高いヒートポンプによって加熱された水が貯えられている場合もあるし、発電装置の排熱や太陽熱によって加熱された水が貯えられている場合もある。タンク式給湯器とタンクレス給湯器が混在した給湯システムにおいては、多くの場合、燃焼器での加熱によって給湯するよりも、タンクの蓄熱を利用して給湯する方が、省エネルギーを実現できる。タンク式給湯器とタンクレス給湯器が混在した給湯システムにおいて、省エネルギーを実現するように給湯に使用する給湯器を選択することが可能な技術が期待されている。
【0005】
本明細書は上記課題を解決する技術を提供する。本明細書は、タンク式給湯器とタンクレス給湯器が混在した給湯システムにおいて、省エネルギーを実現するように給湯に使用する給湯器を選択することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、給水管と給湯管の間で並列に接続された複数の給湯器を備える給湯システムを開示する。複数の給湯器は、
水を加熱するヒートポンプと、ヒートポンプによって加熱された高温の水を貯えるタンクと、
タンクよりも下流側に配置されており、水を加熱する燃焼器を備えており、燃焼器で水を加熱することなくタンクからの水を用いて給湯する非燃焼給湯運転と、燃焼器で水を加熱して給湯する燃焼給湯運転を実行可能な、1つまたは複数のタンク式給湯器と、水を加熱する燃焼器を備えており、燃焼器で水を加熱して給湯する燃焼給湯運転を実行可能な、1つまたは複数のタンクレス給湯器を備えている。給湯システムは、給湯を開始したとき、または給湯負荷が増加したときに、給湯運転を実行していないタンク式給湯器のうち、タンクの蓄熱量が所定熱量を超えるものがあれば、当該タンクの蓄熱量が所定熱量を超えるタンク式給湯器で非燃焼給湯運転を実行する。
【0007】
上記の給湯システムは、給湯管への給湯を開始する場合(すなわち、給湯負荷がゼロから増加した場合)や、幾つかの給湯器を使用して給湯管への給湯を行っている間に給湯負荷が増加して給湯器の能力が不足する場合に、給湯運転を実行していないタンク式給湯器のうち、タンクの蓄熱量が所定熱量を超えるものがあれば、当該タンクの蓄熱量が所定熱量を超えるタンク式給湯器で非燃焼給湯運転を実行する。このような構成とすることによって、給湯負荷の増加に対して、タンクの蓄熱を利用して給湯可能なタンク式給湯器を他の給湯器よりも優先的に選択することができ、省エネルギーを実現することができる。
【0008】
上記の給湯システムは、給湯を開始したとき、または給湯負荷が増加したときに、給湯運転を実行していないタンク式給湯器のうち、タンクの蓄熱量が所定熱量を超えるものがなければ、給湯運転を実行していないタンク式給湯器およびタンクレス給湯器のうちで燃焼給湯運転の積算作動時間が最小の給湯器で燃焼給湯運転を実行するように構成することができる。
【0009】
給湯器の燃焼器は、積算作動時間が長くなるほど、スケールやすすが付着して、劣化が進んでいく。上記の給湯システムでは、給湯を開始したとき、または給湯負荷が増加したときに、タンク式給湯器のタンクの蓄熱を利用して対応することができない場合に、燃焼器の積算作動時間が少ない給湯器を優先的に選択する。このような構成とすることによって、特定の給湯器の燃焼器のみを使用し続けて、その給湯器が故障してしまうことを抑制することができる。
【0010】
上記の給湯システムは、給湯を開始したときに、または給湯負荷が増加したときに、給湯運転を実行していないタンク式給湯器のうち、タンクの蓄熱量が所定熱量を超えるものが複数ある場合に、そのうちの蓄熱量が最大のもので非燃焼給湯運転を実行するように構成することができる。
【0011】
タンク式給湯器においては、非燃焼給湯運転を実行中に、タンクの蓄熱を使い切った後は、その給湯器の燃焼器を利用した燃焼給湯運転を実行することになる。このため、省エネルギーを実現する上では、給湯を開始したときに、または給湯負荷が増加したときに、新たに動作させる給湯器として、可能な限りタンクの蓄熱量が多いタンク式給湯器を選択することが好ましい。上記の給湯システムでは、給湯を開始したときに、または給湯負荷が増加したときに、タンクの蓄熱量が最大のタンク式給湯器を選択するので、省エネルギーを実現することができる。
【0012】
上記の給湯システムは、給湯を開始したときに、または給湯負荷が増加したときに、給湯運転を実行していないタンク式給湯器のうち、タンクの蓄熱量が所定熱量を超えるものが複数ある場合に、そのうちの積算作動時間が最小のもので非燃焼給湯運転を実行するように構成することができる。
【0013】
タンク式給湯器の各構成要素は、積算作動時間が大きくなるほど、劣化が進んでいく。上記の給湯システムでは、給湯を開始したときに、または給湯負荷が増加したときに、新たに動作させる給湯器として選択可能なタンク式給湯器が複数ある場合に、積算作動時間が小さいものを優先的に選択する。このような構成とすることによって、特定のタンク式給湯器のみを使用し続けて、そのタンク式給湯器が故障してしまうことを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例1)
図1に示す本実施例に係る給湯システム2は、1つのタンク式給湯器4と、2つのタンクレス給湯器6,8と、制御装置80を備えている。タンク式給湯器4と、タンクレス給湯器6,8は、給湯システム2に給水する給水管10と、給湯システム2から給湯する給湯管12の間で、互いに並列に接続されている。給湯システム2は、給湯設定温度に調温された水を給湯管12に供給する。
【0016】
タンク式給湯器4は、ヒートポンプ14と、タンク16と、混合器18と、燃焼器20と、バイパス弁22を備えている。
【0017】
ヒートポンプ14は、図示しない圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器を備えており、冷媒の循環によって、外気から吸熱して水を加熱する。タンク16は、密閉型であって、水を満水まで貯えている。ヒートポンプ14は、図示しない循環ポンプを備えており、タンク16の下部から水を吸い出して加熱し、高温となった水をタンク16の上部に戻す。タンク16の内部には、低温の水の層の上に高温の水の層が積み重なった温度成層が形成される。すなわち、タンク16には、ヒートポンプ14により加熱されて高温となった水が貯えられる。タンク16には図示しない複数のサーミスタが所定の水位ごとに設けられている。タンク16の蓄熱量は、タンク16のサーミスタの検出値に基づいて算出することができる。タンク式給湯器4は、タンク16の蓄熱量が所定値以下となると、ヒートポンプ14によるタンク16の水の沸き上げを実行する。タンク16の下部には、給水管10から分岐した個別給水管24を介して、給水管10からの水が供給される。
【0018】
混合器18は、タンク16の上部から供給される高温の水と、個別給水管24から供給される低温の水を混合して、所望の温度に調温する。混合器18で混合された水は、混合水管26に送り出される。
【0019】
燃焼器20は、開閉弁28と、バーナ30と、熱交換器32と、バーナバイパス路34と、バイパスサーボ36を備えている。開閉弁28は、混合水管26から燃焼器20への水の流入を許容または禁止する。バーナ30は、燃料ガスを燃焼させる。熱交換器32は、内部を通過する水をバーナ30の燃焼熱によって加熱する。バーナバイパス路34は、熱交換器32の上流側と下流側を接続している。バイパスサーボ36は、熱交換器32に流れる水の流量と、バーナバイパス路34を流れる水の流量の比率を調整する。燃焼器20を通過した水は、個別給湯管40を介して、給湯管12へ送られる。
【0020】
燃焼器20の上流側と下流側は、バイパス管38によって接続されている。バイパス管38には、バイパス弁22が介装されている。開閉弁28が閉じられており、かつバイパス弁22が閉じられている場合、タンク式給湯器4には給水管10から給水されず、タンク式給湯器4から給湯管12には給湯されない。開閉弁28が閉じられており、かつバイパス弁22が開かれている場合、混合水管26を流れる水は、全てバイパス管38を通過し、個別給湯管40を介して給湯管12へ送られる。開閉弁28が開かれており、かつバイパス弁22が閉じられている場合、混合水管26を流れる水は、全て燃焼器20を通過し、個別給湯管40を介して給湯管12へ送られる。開閉弁28が開かれており、かつバイパス弁22が開かれている場合、混合水管26を流れる水は、大部分がバイパス管38を通過し、一部が燃焼器20を通過し、合流した後、個別給湯管40を介して給湯管12へ送られる。
【0021】
タンク式給湯器4は、燃焼器20で水を加熱することなく、タンク16からの水を用いて給湯する非燃焼給湯運転と、燃焼器20で水を加熱して給湯する燃焼給湯運転を実行可能である。タンク式給湯器4は、給湯を行なう際に、タンク16の蓄熱量が所定熱量を超えていれば、非燃焼給湯運転を実行する。また、タンク式給湯器4は、給湯を行なう際に、タンク16の蓄熱量が所定熱量以下の場合や、非燃焼給湯運転を行っている間に、タンク16の蓄熱量が低下して所定熱量以下となった場合に、燃焼給湯運転を実行する。
【0022】
タンクレス給湯器6は、燃焼器42を備えている。燃焼器42の構成は、タンク式給湯器4の燃焼器20と同様である。すなわち、燃焼器42は、開閉弁44と、バーナ46と、熱交換器48と、バーナバイパス路50と、バイパスサーボ52を備えている。開閉弁44は、給水管10から分岐した個別給水管54から燃焼器42への水の流入を許容または禁止する。バーナ46は、燃料ガスを燃焼させる。熱交換器48は、内部を通過する水をバーナ46の燃焼熱によって加熱する。バーナバイパス路50は、熱交換器48の上流側と下流側を接続している。バイパスサーボ52は、熱交換器48に流れる水の流量と、バーナバイパス路50を流れる水の流量の比率を調整する。燃焼器42を通過した水は、個別給湯管56を介して、給湯管12へ送られる。
【0023】
タンクレス給湯器8は、燃焼器58を備えている。燃焼器58の構成は、タンク式給湯器4の燃焼器20や、タンクレス給湯器6の燃焼器42と同様である。すなわち、燃焼器58は、開閉弁60と、バーナ62と、熱交換器64と、バーナバイパス路66と、バイパスサーボ68を備えている。開閉弁60は、給水管10から分岐した個別給水管70から燃焼器58への水の流入を許容または禁止する。バーナ62は、燃料ガスを燃焼させる。熱交換器64は、内部を通過する水をバーナ62の燃焼熱によって加熱する。バーナバイパス路66は、熱交換器64の上流側と下流側を接続している。バイパスサーボ68は、熱交換器64に流れる水の流量と、バーナバイパス路66を流れる水の流量の比率を調整する。燃焼器58を通過した水は、個別給湯管72を介して、給湯管12へ送られる。
【0024】
タンクレス給湯器6,8は、燃焼器42,58で水を加熱して給湯する燃焼給湯運転を実行可能である。
【0025】
なお、タンク式給湯器4およびタンクレス給湯器6,8の各配管には、図示しないサーミスタおよび流量計が介装されている。これらのサーミスタおよび流量計の検出値から、各配管を流れる水の温度および流量を検出することができる。
【0026】
制御装置80は、CPU、ROM、RAM等を備えている。ROMには各種の運転プログラムが格納されている。RAMには、タンク式給湯器4およびタンクレス給湯器6,8の各構成要素から制御装置80に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが一時的に記憶される。制御装置80は、CPUがROMやRAMに記憶された情報に基づいて処理を実行することで、タンク式給湯器4およびタンクレス給湯器6,8の各構成要素の動作を制御する。
【0027】
給湯システム2では、給湯管12への給湯が開始される場合(すなわち、給湯負荷がゼロから増加した場合)には、タンク式給湯器4およびタンクレス給湯器6,8の中から、給湯に使用する給湯器を選択して、給湯管12への給湯を行なう。また、給湯システム2では、タンク式給湯器4およびタンクレス給湯器6,8のうちの何れかを使用して給湯管12への給湯を行っているときに、給湯負荷が増加して給湯器の能力が不足するようになると、タンク式給湯器4およびタンクレス給湯器6,8のうち給湯に使用していないものの中から、追加的に給湯に使用する給湯器を選択して、給湯管12への給湯を行なう。以下では、
図2を参照しながら、給湯を開始したときに、または給湯負荷が増加したときに、制御装置80が行なう給湯器の選択処理について説明する。
【0028】
ステップS2では、制御装置80は、給湯管12を流れる水量(以下では給湯水量ともいう)が、所定の給湯開始水量以上となるか否かを判断する。給湯水量が給湯開始水量に満たない場合(NOの場合)、制御装置80は給湯が開始されていないと判断して、処理はステップS2を繰り返す。給湯水量が給湯開始水量以上となると(YESとなると)、制御装置80は給湯が開始されたと判断して、処理はステップS4へ進む。
【0029】
ステップS4では、制御装置80は、タンク式給湯器4のタンク16の蓄熱量が所定熱量を超えているか否かを判断する。蓄熱量が所定熱量を超えている場合(ステップS4でYESの場合)、処理はステップS6へ進む。ステップS6では、制御装置80は、給湯に使用する給湯器としてタンク式給湯器4を選択する。ステップS6の後、処理はステップS10へ進む。
【0030】
ステップS4でタンク式給湯器4のタンク16の蓄熱量が所定熱量以下の場合(ステップS4でNOの場合)、処理はステップS8へ進む。ステップS8では、制御装置80は、タンク式給湯器4およびタンクレス給湯器6,8の中から、積算作動時間が最小のものを、給湯に使用する給湯器として選択する。この際に、制御装置80は、タンク式給湯器4の積算作動時間としては、燃焼給湯運転の積算作動時間を用いて、ステップS8の判断を実行する。ステップS8の後、処理はステップS10へ進む。
【0031】
ステップS10では、制御装置80は、給湯能力が不足するか否かを判断する。具体的には、制御装置80は、給湯負荷が増加して、現在使用している給湯器の給湯能力以上となる場合に、給湯能力が不足するものと判断する。給湯負荷は、給湯水量と、給湯設定温度に基づいて算出することができる。給湯負荷が増加して、給湯能力が不足することになる場合(ステップS10でYESの場合)、処理はステップS12へ進む。
【0032】
ステップS12では、制御装置80は、タンク式給湯器4を給湯に使用しているか否かを判断する。タンク式給湯器4を給湯に使用していない場合(NOの場合)、処理はステップS14に進む。ステップS14では、制御装置80は、タンク式給湯器4のタンク16の蓄熱量が所定熱量を超えているか否かを判断する。蓄熱量が所定熱量を超えている場合(ステップS14でYESの場合)、処理はステップS16へ進む。ステップS16では、制御装置80は、追加的に給湯に使用する給湯器としてタンク式給湯器4を選択する。ステップS16の後、処理はステップS20へ進む。
【0033】
ステップS14でタンク式給湯器4のタンク16の蓄熱量が所定熱量以下の場合(NOの場合)、処理はステップS18へ進む。ステップS18では、制御装置80は、給湯に使用していない給湯器の中から、積算作動時間が最小のものを、追加的に給湯に使用する給湯器として選択する。この際に、制御装置80は、タンク式給湯器4の積算作動時間としては、燃焼給湯運転の積算作動時間を用いて、ステップS18の判断を実行する。ステップS18の後、処理はステップS20へ進む。
【0034】
ステップS12でタンク式給湯器4を給湯に使用している場合(YESの場合)も、処理はステップS18に進む。ステップS18では、制御装置80は、給湯に使用していない給湯器の中から、積算作動時間が最小のものを、追加的に給湯に使用する給湯器として選択する。ステップS18の後、処理はステップS20へ進む。
【0035】
ステップS10で給湯能力が不足していない場合(NOの場合)、処理はステップS20へ進む。
【0036】
ステップS20では、制御装置80は、給湯水量が、所定の給湯終了水量以下となるか否かを判断する。給湯水量が給湯終了水量を超えている場合(NOの場合)、制御装置80は給湯が終了していないと判断して、処理はステップS10へ戻る。ステップS20で給湯水量が給湯終了水量以下となると(YESとなると)、制御装置80は給湯が終了したと判断して、
図2の処理を終了する。
【0037】
図3は、給湯管12への給湯が開始されるときに、タンク式給湯器4の蓄熱量が所定熱量を超えており、従って給湯に使用する給湯器としてタンク式給湯器4が選択された場合の、給湯の様子を示している。この場合、タンク式給湯器4の非燃焼給湯運転によって、給湯管12への給湯が行われる。
【0038】
図4は、タンク式給湯器4の非燃焼給湯運転によって給湯管12への給湯を行っている間に、タンク16の蓄熱量が低下して所定熱量以下となった場合の給湯の様子を示している。この場合、タンク式給湯器4は非燃焼給湯運転から燃焼給湯運転に切り替わって、給湯管12への給湯を継続する。また、タンク式給湯器4は、ヒートポンプ14を用いたタンク16の水の沸き上げを並行して実行する。
【0039】
図5は、タンク式給湯器4の非燃焼給湯運転によって給湯管12への給湯を行っている間に、給湯管12への給湯負荷が増加して、給湯能力が不足した場合の給湯の様子を示している。この場合、タンク式給湯器4以外の給湯器、すなわちタンクレス給湯器6,8のうち、積算作動時間が最小のものが、追加的に動作させる給湯器として選択される。
図5の例では、給湯に使用する給湯器としてタンクレス給湯器6が選択されて、タンク式給湯器4の非燃焼給湯運転と、タンクレス給湯器6の燃焼給湯運転によって、給湯管12への給湯が行われる。
【0040】
図6は、給湯管12への給湯が開始されるときに、タンク式給湯器4の蓄熱量が所定熱量以下であり、従って給湯に使用する給湯器として積算作動時間が最小のものが選択された場合の、給湯の様子を示している。
図6の例では、給湯に使用する給湯器としてタンクレス給湯器6が選択されて、タンクレス給湯器6の燃焼給湯運転によって、給湯管12への給湯が行われる。なお、
図6に示すように、この場合には、タンク式給湯器4において、ヒートポンプ14を用いたタンク16の水の沸き上げが並行して実行されてもよい。
【0041】
以上のように、本実施例の給湯システム2では、給湯を開始したときに、または給湯負荷が増加したときに、タンク式給湯器4の蓄熱量が所定熱量を超える場合に、給湯に使用する給湯器としてタンク式給湯器4を優先して選択して、給湯管12への給湯を行なう。これによって、タンク式給湯器4のタンク16の蓄熱が優先して使用されて、省エネルギーを実現することができる。
【0042】
また、本実施例の給湯システム2では、タンク式給湯器4の蓄熱量が所定熱量以下の場合に、給湯に使用する給湯器として、燃焼給湯運転の積算作動時間が最小のものを選択して、給湯管12への給湯を行なう。これによって、タンク式給湯器4およびタンクレス給湯器6,8のそれぞれの燃焼器20,42,58の使用実績に応じて、給湯に使用する給湯器を適切に選択することができる。
【0043】
(実施例2)
図7に示す本実施例の給湯システム102は、2つのタンク式給湯器104,106と、2つのタンクレス給湯器108,110と、制御装置112を備えている。タンク式給湯器104,106と、2つのタンクレス給湯器108,110は、給湯システム102に給水する給水管114と、給湯システム102から給湯する給湯管116の間で、互いに並列に接続されている。
【0044】
タンク式給湯器104,106はそれぞれ、ヒートポンプ118,120と、タンク122,124と、混合器126,128と、燃焼器130,132と、バイパス弁134,136を備えている。タンク式給湯器104,106はそれぞれ、個別給水管138,140を介して給水管114と接続しており、個別給湯管142,144を介して給湯管116と接続している。タンク式給湯器104,106の構成については、実施例1のタンク式給湯器4の構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
タンクレス給湯器108、110はそれぞれ、燃焼器146,148を備えている。タンクレス給湯器108,110はそれぞれ、個別給水管150,152を介して給水管114と接続しており、個別給湯管154,156を介して給湯管116と接続している。タンクレス給湯器108,110の構成については、実施例1のタンクレス給湯器6,8の構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0046】
制御装置112は、CPU、ROM、RAM等を備えている。ROMには各種の運転プログラムが格納されている。RAMには、タンク式給湯器104,106およびタンクレス給湯器108,110の各構成要素から制御装置112に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが一時的に記憶される。制御装置112は、CPUがROMやRAMに記憶された情報に基づいて処理を実行することで、タンク式給湯器104,106およびタンクレス給湯器108,110の各構成要素の動作を制御する。
【0047】
給湯システム102では、給湯管116への給湯が開始される場合(すなわち、給湯負荷がゼロから増加した場合)には、タンク式給湯器104,106およびタンクレス給湯器108,110の中から、給湯に使用する給湯器を選択して、給湯管116への給湯を行なう。また、給湯システム102では、タンク式給湯器104,106およびタンクレス給湯器108,110のうちの何れかを使用して給湯管116への給湯を行っているときに、給湯負荷が増加して給湯器の能力が不足するようになると、タンク式給湯器104,106およびタンクレス給湯器108,110のうち給湯に使用していないものの中から、追加的に給湯に使用する給湯器を選択して、給湯管116への給湯を行なう。以下では、
図8および
図9を参照しながら、給湯を開始したとき、または給湯負荷が増加したときに、制御装置112が行なう給湯器の選択処理について説明する。
【0048】
図8のステップS22では、制御装置112は、給湯管116を流れる水量(以下では給湯水量ともいう)が、所定の給湯開始水量以上となるか否かを判断する。給湯水量が給湯開始水量に満たない場合(NOの場合)、制御装置112は給湯が開始されていないと判断して、処理はステップS22を繰り返す。給湯水量が給湯開始水量以上となると(YESとなると)、制御装置112は給湯が開始されたと判断して、処理はステップS24へ進む。
【0049】
ステップS24では、制御装置112は、
図9に示す給湯器選択処理を実行して、給湯に使用する給湯器を選択する。給湯器選択処理については後述する。ステップS24の後、処理はステップS26へ進む。
【0050】
ステップS26では、制御装置112は、給湯能力が不足するか否かを判断する。具体的には、制御装置112は、給湯負荷が増加して、現在使用している給湯器の給湯能力以上となる場合に、給湯能力が不足するものと判断する。給湯負荷は、給湯水量と、給湯設定温度に基づいて算出することができる。給湯負荷が増加して、給湯能力が不足することになる場合(ステップS26でYESの場合)、処理はステップS28へ進む。
【0051】
ステップS28では、制御装置112は、
図9に示す給湯器選択処理を実行して、追加的に給湯に使用する給湯器を選択する。ステップS28の後、処理はステップS30へ進む。
【0052】
ステップS26で給湯能力が不足していない場合(NOの場合)、処理はステップS30へ進む。
【0053】
ステップS30では、制御装置112は、給湯水量が、所定の給湯終了水量以下となるか否かを判断する。給湯水量が給湯終了水量を超えている場合(NOの場合)、制御装置112は給湯が終了していないと判断して、処理はステップS26へ戻る。ステップS30で給湯水量が給湯終了水量以下となると(YESとなると)、制御装置112は給湯が終了したと判断して、
図8の処理を終了する。
【0054】
以下では、
図8のステップS24、ステップS28で行なう給湯器選択処理について、
図9を参照しながら説明する。
【0055】
ステップS32では、制御装置112は、タンク式給湯器104,106のうち、給湯に使用していないものの中から、蓄熱量が所定熱量を超えるものを選別する。
【0056】
ステップS34では、制御装置112は、タンク式給湯器104,106のうち、給湯に使用していないものの中に、蓄熱量が所定熱量を超えるものがあるか否かを判断する。タンク式給湯器104,106のうち、給湯に使用していないものの中に、蓄熱量が所定熱量を超えるものがある場合(ステップS34でYESの場合)、処理はステップS36へ進む。
【0057】
ステップS36では、制御装置112は、タンク式給湯器104,106のうち、給湯に使用していないものの中に、蓄熱量が所定熱量を超えるものが複数あるか否かを判断する。タンク式給湯器104,106のうち、給湯に使用していないものの中に、蓄熱量が所定熱量を超えるものが複数ある場合(ステップS36でYESの場合)、処理はステップS38へ進む。
【0058】
ステップS38では、制御装置112は、タンク式給湯器104,106のうち給湯に使用しておらず、かつ蓄熱量が所定熱量を超えるものについて、蓄熱量の差が所定熱量差を超えるか否かを判断する。蓄熱量の差が所定熱量差を超える場合(ステップS38でYESの場合)、処理はステップS40へ進む。ステップS40では、制御装置112は、タンク式給湯器104,106のうち、給湯に使用していないものの中で、蓄熱量が最大のものを、給湯に使用する給湯器として選択する。ステップS40の後、制御装置112は、
図9の処理を終了する。
【0059】
ステップS38で、蓄熱量の差が所定熱量差以下の場合(NOの場合)、処理はステップS42へ進む。ステップS42では、制御装置112は、タンク式給湯器104,106のうち、給湯に使用していないものの中で、積算作動時間が最小のものを、給湯に使用する給湯器として選択する。なお、ステップS42の判断の際には、タンク式給湯器104,106の積算作動時間としては、燃焼給湯運転の積算作動時間と非燃焼給湯運転の積算作動時間を合算したものが用いられる。ステップS42の後、制御装置112は、
図9の処理を終了する。
【0060】
ステップS36で、タンク式給湯器104,106のうち、給湯に使用していないものの中に、蓄熱量が所定熱量を超えるものが1つしかない場合(NOの場合)、処理はステップS44へ進む。ステップS44では、制御装置112は、タンク式給湯器104,106のうち、給湯に使用していないものの中の、蓄熱量が所定熱量を超えるものを、給湯に使用する給湯器として選択する。ステップS44の後、制御装置112は、
図9の処理を終了する。
【0061】
ステップS34で、タンク式給湯器104,106のうち、給湯に使用していないものの中に、蓄熱量が所定熱量を超えるものが1つもない場合(NOの場合)、処理はステップS46へ進む。ステップS46では、制御装置112は、タンク式給湯器104,106およびタンクレス給湯器108,110のうち、給湯に使用していないものの中から、積算作動時間が最小のものを、給湯に使用する給湯器として選択する。この際に、制御装置112は、タンク式給湯器104,106の積算作動時間としては、それぞれの燃焼給湯運転の積算作動時間を用いて、ステップS46の判断を実行する。ステップS46の処理の後、制御装置112は、
図9の処理を終了する。
【0062】
本実施例の給湯システム102では、給湯を開始したとき、または給湯負荷が増加したときに、給湯運転を実行していないタンク式給湯器104,106のうち、タンク122,124の蓄熱量が所定熱量を超えるものが複数ある場合には、そのうちの蓄熱量が最大のもので非燃焼給湯運転を実行する。このような構成とすることによって、タンク122,124の蓄熱を可能な限り利用して給湯管116への給湯を行なうことができ、省エネルギーを実現することができる。
【0063】
また、本実施例の給湯システム102では、給湯を開始したとき、または給湯負荷が増加したときに、給湯運転を実行していないタンク式給湯器104,106のうち、タンク122,124の蓄熱量が所定熱量を超えるものが複数あり、かつタンク122,124の蓄熱量にそれほど差がない場合には、そのうちの積算作動時間が最小のもので非燃焼給湯運転を実行する。このような構成とすることによって、タンク式給湯器104,106の使用実績に応じて、給湯に使用する給湯器を適切に選択することができる。
【0064】
上記の実施例1,2では、タンク式給湯器4,104,106として、ヒートポンプ14,118,120によって加熱された水をタンク16,122,124に貯えるものを例として説明した。これとは異なり、タンク式給湯器4,104,106は、発電装置の排熱や太陽熱によって加熱された水をタンク16,122,124に貯えるものであってもよい。
【0065】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。