(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施例に係る充電装置について説明する。
【0019】
[構成]
図1に、本発明の実施例に係る充電装置10を示す。同図に示すように、充電装置10は、複数の充電口(第1充電口12A,第2充電口12B,第3充電口12C)と、これらに充電電流を出力する電力変換回路等からなる充電部11と、タッチパネルディスプレイ等のユーザインタフェース装置からなる入力部13と、ランダムアクセスメモリ等の揮発性メモリおよび/またはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリからなる選択結果記憶部14および履歴情報記憶部15と、充電部11を制御するマイクロプロセッサ(MPU,Micro-processing unit)等からなる制御部16と、時計部17とを備えている。
【0020】
充電装置10は、予め用意された複数の充電パターンの中から使用者Uが選択した一の充電パターンに従って、3つの充電口12A,12B,12Cに接続された1台以上の電動車(
図1では、第1充電口12Aに接続された電動車EVA、および第2充電口12Bに接続されたEVB)を充電することができる。なお、使用者Uには、充電装置10を管理する管理者と、充電装置10を利用して自分の電動車を充電する利用者とが含まれる。
【0021】
3つの充電口12A,12B,12Cは、規格により定められた形状のコネクタからなる。充電口(例えば、第1充電口12A。以下同様)と電動車(例えば、電動車EVA。以下同様)とが接続されると、充電部11から電動車EVAへの充電電流の出力経路、および電動車EVAから充電部11への各種情報の送信経路が確立される。各種情報には、電動車EVAの固有識別情報と、電動車EVAの充電率(「SOC(state of charge)」ともいう)に関する充電率情報とが含まれる。
【0022】
充電部11は、制御部16の制御下で、3つの充電口12A,12B,12Cに充電電流を出力する。充電部11は、予め定められた出力可能電力の範囲内で充電電流を出力することができる。例えば、出力可能電力が50kWであり、かつ電動車EVA等に出力すべき電圧が400Vである場合、充電部11は、最大で125A(=50k/400)の充電電流を出力することができる。充電部11は、1台の電動車にこの125Aの全部を出力することもできるし、複数台の電動車に適当な比率で充電電流を出力することもできる。
【0023】
入力部13は、使用者Uとしての管理者または利用者による各種入力を受け付ける。具体的には、入力部13は、管理者が呼び出した設定画面において当該管理者に複数の充電パターンを提示し、一の充電パターンを選択させる。一の充電パターンが選択されると、入力部13は、その結果を選択結果記憶部14に記憶させる。また、入力部13は、第1充電口12Aに電動車EVAが接続されたときに、充電開始ボタンを含む充電開始画面を表示する。利用者が充電開始ボタンをタッチすると、入力部13は、その旨を制御部16に通知する。これをきっかけとして、充電部11は、第1充電口12Aに充電電力を出力し始める。
【0024】
制御部16は、第1充電口12Aに電動車EVAが接続されると、電動車EVAの固有識別情報および充電率情報を取得するとともに、時計部17を参照することにより現在時刻(すなわち、接続時刻)を特定し、特定した接続時刻に関する接続時刻情報、固有識別情報および充電率情報を互いに関連付けて履歴情報記憶部15に記憶させる。また、制御部16は、第1充電口12Aと電動車EVAとの接続が解除されると、時計部17を参照することにより現在時刻(すなわち、接続解除時刻)を特定し、特定した接続解除時刻に関する接続解除時刻情報を接続時に記憶させた固有識別情報等に関連付けて履歴情報記憶部15に記憶させる。これにより、履歴情報記憶部15に、充電装置10によって充電されたことがある電動車の充電履歴に関する充電履歴情報が蓄積されていく。
【0025】
充電履歴情報に含まれる各情報は、過去数回分の充電履歴の平均値であることが好ましい。例えば、電動車EVAの前々回の接続時刻が17:00であり、前回の接続時刻が17:30であり、今回の接続時刻が17:12である場合、履歴情報記憶部15は、これらの平均値である17:14を接続時刻情報として記憶することが好ましい。接続解除時刻情報および充電率情報についても同様である。これにより、後述する第2充電パターンに従った充電における判定および予測の精度が向上する。
【0026】
また、制御部16は、充電すべき電動車の数が1台である場合、当該電動車のための充電電流を最大充電電流(例えば、125A。以下同様)とする。一方、制御部16は、充電すべき電動車の数が2台以上である場合、選択結果記憶部14を参照し、管理者が選択した一の充電パターンに従って各電動車のための充電電流を決定する。制御部16は、充電中の電動車EVAの充電率を略リアルタイムに取得することもできる。
【0027】
本実施例では、第1充電パターンおよび第2充電パターンが予め用意されている。第1充電パターンは、駐車時間が30分未満であると見込まれるコンビニエンスストア等の駐車場に設置された充電装置10に好適な充電パターンである。また、第2充電パターンは、駐車時間が30分以上であると見込まれるレストラン、大型ショッピングセンター等の駐車場に設置された充電装置10に好適な充電パターンである。以下、これらの充電パターンについてさらに詳しく説明する。
【0028】
(第1充電パターン)
第1充電パターンに従って2台以上の電動車のための充電電流を決定する場合、制御部16は、各電動車の充電率を取得する。そして、取得した充電率に基づいて、2台以上の電動車を例えば、第1グループ〜第4グループに分類する。具体的には、制御部16は、充電率が25%未満である電動車を第1グループに分類し、充電率が25%以上50%未満である電動車を第2グループに分類し、充電率が50%以上80%未満である電動車を第3グループに分類し、充電率が80%以上である電動車を第4グループに分類する。
【0029】
次いで、制御部16は、上記分類の結果と、各グループに予め設定された重み付け係数(本実施例では、第1グループの重み付け係数が8、第2グループの重み付け係数が5、第3グループの重み付け係数が3、第4グループの重み付け係数が2である)とに基づいて、各電動車のための充電電流を決定する。具体的には、制御部16は、第1グループに属する電動車の数が2台であり、かつ第2グループに含まれる電動車の数が1台である場合は、式“最大充電電流×8/(8×2+5×1)”により第1グループに属する電動車のための充電電流を決定するとともに、式“最大充電電流×5/(8×2+5×1)”により第2グループに属する電動車のための充電電流を決定する。この結果、充電部11は、第1グループに属する電動車に比較的多くの充電電流を出力する。
【0030】
また、制御部16は、2台以上の電動車が隣接しないグループに分類された場合、充電率が高い方のグループに含まれる電動車の充電電流を0Aにし、充電率が低い方のグループに含まれる電動車の充電を優先させる。具体的には、制御部16は、第1グループに属する電動車の数が1台であり、かつ第3グループに属する電動車の数が1台である場合は、第3グループに属する電動車のための充電電流を0Aにするとともに、第1グループに属する電動車のための充電電流を最大充電電流にする。そして、第1グループに属する電動車の充電だけが進行し、その充電率が25%以上になると、第2グループに属することになった電動車の充電電流を式“最大充電電流×5/(5×1+3×1)”で計算される電流に変化させるとともに、第3グループに属する電動車の充電電流を式“最大充電電流×3/(5×1+3×1)”で計算される電流に変化させる。
【0031】
制御部16は、充電中の各電動車の刻一刻と変化する充電率に基づいて、各電動車を第1グループ〜第4グループに再分類し、再分類の結果に応じて各電動車のための充電電流を変化させていく。そして、制御部16は、接続時の充電率(以下、「接続時充電率」という)が50%未満である電動車については、充電率が80%に到達するまで充電を継続し、接続時充電率が50%以上である電動車については、充電率が100%に到達するまで充電を継続する。
【0032】
このように、第1充電パターンに従った充電では、履歴情報記憶部15に記憶された充電履歴情報は参照されない。このため、第1充電パターンは、充電履歴非依存型の充電パターンであるといえる。
【0033】
(第2充電パターン)
一方、第2充電パターンに従って2台以上の電動車のための充電電流を決定する場合、制御部16は、まず、充電すべき各電動車の固有識別情報を取得する。そして、制御部16は、取得した固有識別情報に関連付けられて履歴情報記憶部15に記憶されている充電履歴情報に基づいて各電動車の充電の優先度を決定し、その決定に従って各電動車の充電電流を決定する。このため、第2充電パターンは、充電履歴依存型の充電パターンであるといえる。
【0034】
各電動車の充電の優先度は、
(i)履歴情報記憶部15に記憶された過去の接続時刻の平均値に対する今回の接続時刻の誤差が予め定められた範囲内(例えば、±20分以内)であるか否か、
(ii)履歴情報記憶部15に記憶された過去の接続時充電率の平均値に対する今回の接続時充電率の誤差が予め定められた範囲内(例えば、±10%以内)であるか否か、
(iii)現在時刻から履歴情報記憶部15に記憶された過去の接続解除時刻の平均値までの時間に余裕があると見込まれるか否か、
に基づいて決定される。制御部16は、これら3つの条件を全て満たす電動車の充電の優先度を下げ、他の電動車の充電を優先的に行う。
【0035】
制御部16は、例えば、以下の手順により、上記(iii)の判定を行う。
【0036】
(iii−1)判定対象となっている電動車の余裕時間を次式により算出する。
余裕時間[h]=蓄電池容量[kWh]×30[%]/出力可能電力[kW]
(iii−2)他の電動車の充電が終了した後に、充電率が予め定められた充電率(例えば、80%。以下同様)に到達するまで最大充電電流で判定対象となっている電動車の充電を行った場合の充電時間である必要充電時間を算出する。
(iii−3)過去の接続解除時刻の平均値から余裕時間と必要充電時間とを引いた時刻と、他の電動車の充電が終了する時刻とを比較し、前者の方が遅ければ余裕があるとの判定をし、後者の方が遅ければ余裕がないとの判定をする。
【0037】
例えば、以下の場合は、充電装置10に接続された2台の電動車EVA,EVBのうち、電動車EVAの充電の優先度が下げられ、電動車EVBの充電が優先される。
・充電装置10の出力可能電力: 50kW
・電動車EVAの蓄電池容量: 24kWh
・電動車EVAの今回の接続時刻: 12:00(現在時刻)
・電動車EVAの今回の接続時充電率: 50%
・電動車EVAの過去の接続時刻の平均値: 12:10
・電動車EVAの過去の接続時充電率の平均値: 45%
・電動車EVAの過去の接続解除時刻の平均値: 13:00
・電動車EVAの必要充電時間: 8.6分
・電動車EVBの必要充電時間: 20分
・履歴情報記憶部15に電動車EVBの充電履歴情報は記憶されていない
電動車EVAに関して、履歴情報記憶部15に記憶された過去の接続時刻の平均値に対する今回の接続時刻の誤差が予め定められた範囲内(±20分以内)であり(条件(i)を満たし)、履歴情報記憶部15に記憶された過去の接続時充電率の平均値に対する今回の接続時充電率の誤差が予め定められた範囲内(±10%以内)であり(条件(ii)を満たし)、かつ、電動車EVAの過去の接続解除時刻の平均値(13:00)から電動車EVAの余裕時間(24kWh×30%/50kW=8.6分)と必要充電時間(8.6分)を引いた時刻(12:43)が電動車EVBの充電が終了する時刻(12:00+0:20=12:20)よりも遅く、電動車EVBの充電を優先させても、その後、13:00までに余裕をもって電動車EVAの充電を完了させることができると見込まれる(条件(iii)を満たす)からである。
【0038】
この場合、充電部11は、最大充電電流である125Aで充電率が80%になるまで電動車EVBの充電を行った後、同じく125Aで充電率が80%になるまで電動車EVAの充電を行う。
【0039】
また、上記の例において、電動車EVAの過去の接続解除時刻の平均値が12:30である場合は、電動車EVAの充電の優先度は下げられない。電動車EVAの過去の接続解除時刻の平均値(12:30)から電動車EVAの余裕時間(8.6分)と必要充電時間(8.6分)を引いた時刻(12:13)が電動車EVBの充電が終了する時刻(12:20)よりも早く、電動車EVBの充電を優先させると、電動車EVAの80%までの充電が12:30までに終わらないか、または余裕をもって終えることができないと見込まれるからである。
【0040】
この場合、充電部11は、最大充電電流である125Aを均等割りした充電電流(62.5A)を電動車EVA,EVBの双方に出力する。そして、一方の電動車の充電率が先に80%に到達すると、他方の電動車の充電電流を最大充電電流である125Aに変化させる。
【0041】
なお、上記(i),(ii)の判定の結果に基づいて優先度を決定することにしたのは、判定対象となっている電動車の行動パターンが普段通りであるか否かを調べるためである。上記(i),(ii)の判定条件を満たす場合、当該電動車の行動パターンは普段通りであると考えられるので、当該電動車は履歴情報記憶部15に記憶された過去の接続解除時刻の平均値に近い時刻に接続が解除されると予想される。一方、上記(i),(ii)の判定条件を満たさない場合、当該電動車の行動パターンは普段通りではないと考えられる。この場合は、履歴情報記憶部15に記憶された過去の接続解除時刻の平均値に基づいて当該電動車の接続解除時刻を予想することはできないので、過去の接続解除時刻の平均値に基づいて優先度を決定することもできない。
【0042】
[動作例]
続いて、実施例に係る充電装置10の具体的な動作例について説明する。なお、動作例1〜3は、使用者U(管理者)によって第1充電パターンが予め選択されている場合の動作例であり、動作例4〜7は、使用者U(管理者)によって第2充電パターンが予め選択されている場合の動作例である。
【0043】
(動作例1:第1充電パターン)
本動作例では、時刻12:00に充電口12Aに電動車EVAが接続され、時刻12:05に充電口12Bに電動車EVBが接続される。電動車EVA,EVBの電池容量はいずれも24kWhであり、充電部11の出力可能電力は40kW(最大充電電流は100A)である。また、電動車EVAの接続時充電率は10%(第1グループ)であり、電動車EVBの接続時充電率は50%(第3グループ)である。
【0044】
本動作例における電動車EVA,EVBの充電率および充電電流の時間変化を表1に示す。なお、充電率のかっこ内の数値は、第1グループ〜第4グループのうちのどのグループに属しているかを示している。また、表1に示す各電動車EVA,EVBの時間経過後の充電率は、充電電圧の変化、損失、効率等を考慮した数値であり、記載した条件(電動車EVA,EVBの電池容量、充電部11の出力可能電力、充電開始からの経過時間)に基づいて単純計算された値とは異なる。以降に示す動作例2〜7(表2〜7)についても同様である。
【表1】
【0045】
時刻12:00に接続された電動車EVA(充電率:10%)は、第1グループに分類される。この時点では、他の電動車はまだ接続されていない。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAに最大充電電流である100Aを出力する。
【0046】
時刻12:05に接続された電動車EVB(充電率:50%)は、第3グループに分類される。電動車EVA(充電率:21%)が属する第1グループと電動車EVBが属する第3グループとは隣接しない。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVBの充電電流を0Aにするとともに、電動車EVAに引き続き最大充電電流である100Aを出力する。これにより、充電率が低い方のグループ(第1グループ)に属する電動車EVAの充電が優先される。
【0047】
電動車EVAの充電が進行し、時刻12:07に電動車EVAの充電率が25%に到達すると、電動車EVAが属するグループ(第2グループ)と電動車EVBが属するグループ(第3グループ)が隣接する。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAの充電電流を62.5A(=100×5/(5+3))に変化させるとともに、電動車EVBの充電電流を37.5A(=100×3/(5+3))に変化させる。これにより、電動車EVAの充電が僅かに優先される。
【0048】
電動車EVA,EVBの充電が進行し、時刻12:27に電動車EVAの充電率が50%に到達すると、電動車EVAが属するグループ(第3グループ)と電動車EVB(充電率:66%)が属するグループ(第3グループ)が同一となる。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVA,EVBの充電電流を50.0A(=100×3/(3+3))に変化させる。これにより、電動車EVA,EVBの充電が均等に行われる。
【0049】
電動車EVA,EVBの充電が進行し、時刻12:40に電動車EVBの充電率が目標の80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVBの充電電流を0Aに変化させることにより電動車EVBの充電を終了させるとともに、電動車EVAの充電電流を最大充電電流である100Aに変化させる。
【0050】
その後、電動車EVAの充電が進行し、時刻12:47に電動車EVAの充電率が80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAの充電も終了させる。
【0051】
(動作例2:第1充電パターン)
本動作例では、時刻12:00に充電口12Bに電動車EVBが接続され、時刻12:05に充電口12Aに電動車EVAが接続される。電動車EVA,EVBの電池容量はいずれも24kWhであり、充電部11の出力可能電力は40kW(最大充電電流は100A)である。また、電動車EVBの接続時充電率は50%(第3グループ)であり、電動車EVAの接続時充電率は10%(第1グループ)である。
【0052】
本動作例における電動車EVA,EVBの充電率および充電電流の時間変化を表2に示す。なお、表1と同様、充電率のかっこ内の数値は、第1グループ〜第4グループのうちのどのグループに属しているかを示している。
【表2】
【0053】
時刻12:00に接続された電動車EVB(充電率:50%)は、第3グループに分類される。この時点では、他の電動車はまだ接続されていない。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVBに最大充電電流である100Aを出力する。
【0054】
時刻12:05に接続された電動車EVA(充電率:10%)は、第1グループに分類される。電動車EVAが属する第1グループと電動車EVB(充電率:61%)が属する第3グループとは隣接しない。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVBの充電電流を0Aに変化させるとともに、電動車EVAに最大充電電流である100Aを出力する。
【0055】
電動車EVAの充電が進行し、時刻12:12に電動車EVAの充電率が25%に到達すると、電動車EVAが属するグループ(第2グループ)と電動車EVBが属するグループ(第3グループ)が隣接する。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAの充電電流を62.5A(=100×5/(5+3))に変化させるとともに、電動車EVBの充電電流を37.5A(=100×3/(5+3))に変化させる。
【0056】
電動車EVA,EVBの充電が進行し、時刻12:31に電動車EVAの充電率が50%に到達すると、電動車EVAが属するグループ(第3グループ)と電動車EVB(充電率:76%)が属するグループ(第3グループ)が同一となる。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVA,EVBの充電電流を50.0A(=100×3/(3+3))に変化させる。
【0057】
電動車EVA,EVBの充電が進行し、時刻12:35に電動車EVBの充電率が目標の80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVBの充電電流を0Aに変化させることにより電動車EVBの充電を終了させるとともに、電動車EVAの充電電流を最大充電電流である100Aに変化させる。
【0058】
その後、電動車EVAの充電が進行し、時刻12:47に電動車EVAの充電率が80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAの充電も終了させる。
【0059】
(動作例3:第1充電パターン)
本動作例では、時刻12:00に充電口12Aに電動車EVAが接続され、時刻12:05に充電口12Bに電動車EVBが接続され、時刻12:10に充電口12Cに電動車EVCが接続される。電動車EVA,EVB,EVCの電池容量はいずれも24kWhであり、充電部11の出力可能電力は50kW(最大充電電流は125A)である。また、電動車EVAの接続時充電率は10%(第1グループ)であり、電動車EVBの接続時充電率は50%(第3グループ)であり、電動車EVCの接続時充電率は20%(第1グループ)である。
【0060】
本動作例における電動車EVA,EVB,EVCの充電率および充電電流の時間変化を表
3に示す。なお、表1,表2と同様、充電率のかっこ内の数値は、第1グループ〜第4グループのうちのどのグループに属しているかを示している。
【表3】
【0061】
時刻12:00に接続された電動車EVA(充電率:10%)は、第1グループに分類される。この時点では、他の電動車はまだ接続されていない。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAに最大充電電流である125Aを出力する。
【0062】
時刻12:05に接続された電動車EVB(充電率:50%)は、第3グループに分類される。電動車EVA(充電率:23%)が属する第1グループと電動車EVBが属する第3グループとは隣接しない。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVBの充電電流を0Aにするとともに、電動車EVAに引き続き最大充電電流である125Aを出力する。
【0063】
電動車EVAの充電が進行し、時刻12:06に電動車EVAの充電率が25%に到達すると、電動車EVAが属するグループ(第2グループ)と電動車EVBが属するグループ(第3グループ)が隣接する。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAの充電電流を78.1A(=125×5/(5+3))に変化させるとともに、電動車EVBの充電電流を46.9A(=125×3/(5+3))に変化させる。
【0064】
時刻12:10に接続された電動車EVC(充電率:20%)は、第1グループに分類される。電動車EVCが属する第1グループと電動車EVB(充電率:55%)が属する第3グループとは隣接しない。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVBの充電電流を0Aに変化させる。一方、電動車EVCが属する第1グループと電動車EVA(充電率:32%)が属する第2グループとは隣接する。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVCに76.9A(=125×8/(8+5))の充電電流を出力するとともに、電動車EVAの充電電流を48.1A(=125×5/(8+5))に変化させる。
【0065】
電動車EVA,EVCの充電が進行し、時刻12:13に電動車EVCの充電率が25%に到達すると、電動車EVCが属するグループ(第2グループ)と電動車EVB(充電率:55%)が属するグループ(第3グループ)が隣接するとともに、電動車EVCが属するグループと電動車EVA(充電率:35%)が属するグループ(第2グループ)が同一となる。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVA,EVCの充電電流を48.1A(=125×5/(5×2+3))に変化させるとともに、電動車EVBの充電電流を28.8A(=125×3/(5×2+3))に変化させる。
【0066】
電動車EVA,EVB,EVCの充電が進行し、時刻12:27に電動車EVAの充電率が50%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVA,EVBの充電電流を34.1A(=125×3/(5+3×2))に変化させるとともに、電動車EVCの充電電流を56.8A(=125×5/(5+3×2))に変化させる。
【0067】
これ以降も、電動車EVA,EVB,EVCの充電が進行し、各電動車が属するグループが変化したり、各電動車の充電率が目標の80%に到達したりすると、制御部16に制御された充電部11は、各電動車に出力する充電電流の比率を変化させていく。
【0068】
(動作例4:第2充電パターン)
本動作例では、時刻12:00に充電口12Aに電動車EVAが接続され、時刻12:15に充電口12Bに電動車EVBが接続され、時刻12:25に充電口12Cに電動車EVCが接続される。電動車EVA,EVCの電池容量はいずれも24kWhであり、電動車EVBの電池容量は12kWhであり、充電部11の出力可能電力は50kW(最大充電電流は125A)である。電動車EVAの接続時充電率は10%であり、電動車EVBの接続時充電率は15%であり、電動車EVCの接続時充電率は25%である。また、電動車EVA,EVB,EVCは、いずれも上記(i),(ii)の判定条件を満たさない。
【0069】
本動作例における電動車EVA,EVB,EVCの充電率、充電電流および予想充電終了時刻の時間変化を表4に示す。
【表4】
【0070】
電動車EVA(充電率:10%)が接続された時刻12:00の時点では、他の電動車はまだ接続されていない。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAに最大充電電流である125Aを出力する。充電すべき電動車の数が1台なので、制御部16は優先度に関する決定を行わない。
【0071】
時刻12:15に電動車EVB(充電率:15%)が接続されると、充電すべき電動車の数は2台となる。このため、制御部16は、上記(i)〜(iii)に基づいて電動車EVA,EVBの充電の優先度を決定する。上記の通り、本動作例では、電動車EVA,EVBはいずれも上記(i),(ii)の判定条件を満たさない。したがって、制御部16は、電動車EVA,EVBの充電の優先度を下げないことを決定し、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVA,EVBのそれぞれに62.5A(=125/2)を出力する。
【0072】
時刻12:25に電動車EVC(充電率:25%)が接続されると、充電すべき電動車の数は3台となる。制御部16は、この電動車EVCについても優先度を決定する。上記の通り、本動作例では、電動車EVCも上記(i),(ii)の判定条件を満たさない。したがって、制御部16は、電動車EVCの充電の優先度を下げないことを決定し、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVA,EVB,EVCのそれぞれに41.7A(=125/3)を出力する。
【0073】
時刻12:44に電動車EVAの充電率が目標の80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAの充電電流を0Aに変化させることにより電動車EVAの充電を終了させるとともに、電動車EVB,EVCの充電電流を62.5A(=125/2)に変化させる。
【0074】
時刻12:46に電動車EVBの充電率が目標の80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVBの充電電流を0Aに変化させることにより電動車EVBの充電を終了させるとともに、電動車EVCの充電電流を最大充電電流である125Aに変化させる。
【0075】
その後、電動車EVCの充電が進行し、時刻12:59に電動車EVCの充電率が80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVCの充電も終了させる。
【0076】
(動作例5:第2充電パターン)
本動作例では、時刻12:00に充電口12Aに電動車EVAが接続され、時刻12:05に充電口12Bに電動車EVBが接続される。電動車EVA,EVBの電池容量はいずれも24kWhであり、充電部11の出力可能電力は50kW(最大充電電流は125A)である。電動車EVAの接続時充電率は30%であり、電動車EVBの接続時充電率は45%である。また、電動車EVA,EVBの過去の接続解除時刻の平均値はいずれも12:50であり、電動車EVA,EVBはいずれも上記(i),(ii)の判定条件を満たす。
【0077】
本動作例における電動車EVA,EVBの充電率、充電電流および予想充電終了時刻の時間変化を表5に示す。
【表5】
【0078】
電動車EVA(充電率:30%)が接続された時刻12:00の時点では、他の電動車はまだ接続されていない。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAに最大充電電流である125Aを出力する。充電すべき電動車の数が1台なので、制御部16は優先度に関する決定を行わない。
【0079】
時刻12:05に電動車EVB(充電率:45%)が接続されると、充電すべき電動車の数は2台となる。このため、制御部16は、上記(i)〜(iii)に基づいて電動車EVA,EVBの充電の優先度を決定する。電動車EVAの過去の接続解除時刻の平均値(12:50)から電動車EVAの余裕時間(24kWh×30%/50kW=8.6分)と必要充電時間(12:19−12:05=14分)を引いた時刻(12:27)は電動車EVBの充電が終了する時刻(12:18)よりも遅いため、電動車EVAは上記(iii)の判定条件を満たす。また、電動車EVBの過去の接続解除時刻の平均値(12:50)から電動車EVBの余裕時間(24kWh×30%/50kW=8.6分)と必要充電時間((12:18−12:05)=13分)を引いた時刻(12:28)は電動車EVAの充電が終了する時刻(12:19)よりも遅いため、電動車EVBは上記(iii)の判定条件を満たす。さらに、電動車EVA,EVBは上記(i),(ii)の判定条件も満たす。したがって、電動車EVA,EVBは、いずれも上記(i)〜(iii)の判定条件を全て満たすが、充電すべき全ての電動車の充電の優先度を同時に下げることはできないので、結局、制御部16は、電動車EVA,EVBの優先度を下げないことを決定する。そして、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVA,EVBのそれぞれに62.5A(=125/2)を出力する。なお、表5に記載された電動車EVBの時刻12:05における予想充電終了時刻「12:31」は、電動車EVA,EVBに均等に充電を行うことが決定された後に再計算された値である。
【0080】
電動車EVA,EVBの充電が進行し、時刻12:31に電動車EVBの充電率が目標の80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVBの充電電流を0Aに変化させることにより電動車EVBの充電を終了させるとともに、電動車EVAの充電電流を最大充電電流である125Aに変化させる。
【0081】
その後、電動車EVAの充電が進行し、時刻12:32に電動車EVAの充電率が80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAの充電も終了させる。
【0082】
(動作例6:第2充電パターン)
本動作例では、時刻12:00に充電口12Aに電動車EVAが接続され、時刻12:15に充電口12Bに電動車EVBが接続される。電動車EVA,EVBの電池容量はいずれも24kWhであり、充電部11の出力可能電力は50kW(最大充電電流は125A)である。電動車EVAの接続時充電率は10%であり、電動車EVBの接続時充電率は20%である。また、電動車EVAの過去の接続解除時刻の平均値は13:30であり、電動車EVAは上記(i),(ii)の判定条件を満たすが、電動車EVBは上記(i),(ii)の判定条件を満たさない。
【0083】
本動作例における電動車EVA,EVBの充電率、充電電流および予想充電終了時刻の時間変化を表6に示す。
【表6】
【0084】
電動車EVA(充電率:10%)が接続された時刻12:00の時点では、他の電動車はまだ接続されていない。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAに最大充電電流である125Aを出力する。充電すべき電動車の数が1台なので、制御部16は優先度に関する決定を行わない。
【0085】
時刻12:15に電動車EVB(充電率:20%)が接続されると、充電すべき電動車の数は2台となる。このため、制御部16は、上記(i)〜(iii)に基づいて電動車EVA,EVBの充電の優先度を決定する。電動車EVAの過去の接続解除時刻の平均値(13:30)から電動車EVAの余裕時間(24kWh×30%/50kW=8.6分)と必要充電時間(12:49−12:38=11分)を引いた時刻(13:10)は電動車EVBの充電が終了する時刻(12:38)よりも遅いため、電動車EVAは上記(iii)の判定条件を満たす。また、電動車EVAは上記(i),(ii)の判定条件も満たす。一方、電動車EVBは少なくとも上記(i),(ii)の判定条件を満たさない。したがって、制御部16は、電動車EVAの充電の優先度を下げることを決定する。そして、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAの充電電流を0Aに変化させることにより電動車EVAの充電を休止させるとともに、電動車EVBに最大充電電流である125Aを出力する。これにより、電動車EVBの充電が優先される。
【0086】
電動車EVBの充電が進行し、時刻12:38に電動車EVBの充電率が目標の80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVBの充電電流を0Aに変化させることにより電動車EVBの充電を終了させるとともに、電動車EVAの充電電流を最大充電電流である125Aに変化させる。
【0087】
その後、電動車EVAの充電が進行し、時刻12:49に電動車EVAの充電率が80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAの充電も終了させる。
【0088】
(動作例7:第2充電パターン)
本動作例では、時刻12:00に充電口12Aに電動車EVAが接続され、時刻12:15に充電口12Bに電動車EVBが接続される。電動車EVA,EVBの電池容量はいずれも24kWhであり、充電部11の出力可能電力は50kW(最大充電電流は125A)である。電動車EVAの接続時充電率は10%であり、電動車EVBの接続時充電率は20%である。また、電動車EVBの過去の接続解除時刻の平均値は13:30であり、電動車EVBは上記(i),(ii)の判定条件を満たすが、電動車EVAは上記(i),(ii)の判定条件を満たさない。
【0089】
本動作例における電動車EVA,EVBの充電率、充電電流および予想充電終了時刻の時間変化を表7に示す。
【表7】
【0090】
電動車EVA(充電率:10%)が接続された時刻12:00の時点では、他の電動車はまだ接続されていない。このため、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAに最大充電電流である125Aを出力する。充電すべき電動車の数が1台なので、制御部16は優先度に関する決定を行わない。
【0091】
時刻12:15に電動車EVB(充電率:20%)が接続されると、充電すべき電動車の数は2台となる。このため、制御部16は、上記(i)〜(iii)に基づいて電動車EVA,EVBの充電の優先度を決定する。電動車EVBの過去の接続解除時刻の平均値(13:30)から電動車EVBの余裕時間(24kWh×30%/50kW=8.6分)と必要充電時間(12:49−12:26=23分)を引いた時刻(12:58)は電動車EVAの充電が終了する時刻(12:26)よりも遅いため、電動車EVBは上記(iii)の判定条件を満たす。また、電動車EVBは上記(i),(ii)の判定条件も満たす。一方、電動車EVAは少なくとも上記(i),(ii)の判定条件を満たさない。したがって、制御部16は、電動車EVBの充電の優先度を下げることを決定する。そして、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVBの充電電流を0Aにして電動車EVBの充電を休止させるとともに、電動車EVAに引き続き最大充電電流である125Aを出力する。これにより、電動車EVAの充電が優先される。
【0092】
電動車EVAの充電が進行し、時刻12:26に電動車EVAの充電率が目標の80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVAの充電電流を0Aに変化させることにより電動車EVAの充電を終了させるとともに、電動車EVBの充電電流を最大充電電流である125Aに変化させる。
【0093】
その後、電動車EVBの充電が進行し、時刻12:49に電動車EVBの充電率が80%に到達すると、制御部16に制御された充電部11は、電動車EVBの充電も終了させる。
【0094】
[変形例]
以上、本発明に係る充電装置の実施例について説明してきたが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0095】
例えば、本発明に係る充電装置は、第2充電パターンとは別の充電履歴依存型の充電パターン(第3充電パターン)がさらに用意されていてもよい。第3充電パターンは、駐車時間が数時間以上であると見込まれる施設の駐車場に設置された充電装置に好適な充電パターンである。第3充電パターンに従った充電では、接続時充電率の多寡によらず、充電率が100%になるまで充電が継続される。第3充電パターンは、充電履歴から予想される接続解除時刻までの時間にかなり余裕がある場合、充電率が80%を超えた時点で充電を一時休止することにより、予想される接続解除時刻の少し前に充電率が100%に到達するよう構成されていることが好ましい。
【0096】
また、本発明に係る充電装置は、第4,第5・・・の充電パターンがさらに用意されていてもよい。この場合、第4,第5・・・の充電パターンは、充電履歴依存型の充電パターンであってもよいし、充電履歴非依存型の充電パターンであってもよい。
【0097】
また、用意された複数の充電パターンのうちの幾つかは、電気自動車の充電をプラグインハイブリッド車の充電よりも優先させるように構成されていてもよい。この場合は、固有識別情報に基づいて、充電すべき電動車が電気自動車なのかプラグインハイブリッド車なのかを特定する必要がある。なお、電気自動車の充電を優先させるのは、ガソリンエンジンによる走行も可能なプラグインハイブリッド車は、電気自動車に比べて充電の必要性が低いからである。
【0098】
また、第1充電パターンを4分類以外の分類としても良く、分類のしきい値、重み付け係数は利用状況に応じて適宜変更されてもよい。
【0099】
また、第2充電パターンに従った充電における優先度の判定条件(i)〜(iii)のうち、特に(i),(ii)は、充電すべき電動車の行動パターンが普段通りであるか否かを判定できる別の条件に適宜変更されてもよい。
【0100】
また、本発明では、第2充電パターンに従った充電において使用する「予想充電終了時刻」および「充電時間」を、既知の充電装置で用いられている種々の算出手法、またはその改良手法により算出することができる。