(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647095
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】真空冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25D 7/00 20060101AFI20200203BHJP
A23L 3/36 20060101ALN20200203BHJP
【FI】
F25D7/00 A
!A23L3/36 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-53381(P2016-53381)
(22)【出願日】2016年3月17日
(65)【公開番号】特開2017-166766(P2017-166766A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2019年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】明尾 伸基
(72)【発明者】
【氏名】前田 康晶
(72)【発明者】
【氏名】西山 将人
【審査官】
田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−025623(JP,A)
【文献】
特開2004−069289(JP,A)
【文献】
特開平03−025276(JP,A)
【文献】
特開2010−181042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 7/00
A23L 3/36
F26B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却物を収容する処理槽、処理槽と真空経路によって接続しており処理槽内の気体を吸引する真空ポンプ、処理槽と真空ポンプを繋ぐ真空経路を流れる吸引気体の温度を検出する真空ポンプ吸気温度センサ、前記真空経路内への外気導入を制御する真空ポンプ空気導入弁、前記の真空ポンプや真空ポンプ空気導入弁の作動を制御する運転制御装置を持ち、処理槽内を真空化することで被冷却物の冷却を行うようにしている真空冷却装置において、前記運転制御装置は、前記真空ポンプ吸気温度センサで検出した吸引空気温度が常温よりも高い温度に定めた所定温度より高いことを検出した場合、前記真空ポンプ空気導入弁を通じて真空経路内へ外気を導入し、常温の空気を混合することで前記吸引空気の温度を低下させるように真空ポンプ空気導入弁の動作を制御するものであることを特徴とする真空冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は処理槽内を真空化し、処理槽内の被冷却物から水分を蒸発させた際に発生する気化熱を利用して被冷却物を冷却する真空冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
処理槽内に加熱調理した食品などの被冷却物を収容しておき、処理槽内を減圧することで被冷却物を冷却する真空冷却装置がある。被冷却物を収容している処理槽内を減圧すると、処理槽内での飽和蒸気温度が低下し、飽和蒸気温度を被冷却物の温度よりも低下させると、被冷却物中の水分が蒸発する。その際に被冷却物から気化熱を奪うため、被冷却物を短時間で冷却することができる。真空冷却装置に使用する真空発生装置としては、水又は蒸気によるエジェクタや水封式又はドライ式の真空ポンプが使用されている。ドライ式の真空ポンプを使用した場合、蒸気の供給や水の循環が必要ないために装置の構成としては単純なものとすることができる。
【0003】
真空ポンプにて処理槽内の気体を吸引する場合、気体と同時に被冷却物から発生した蒸気も吸引することになる。しかし、水は液体から気体に変わると体積が大幅に増大するため、蒸気をそのまま真空発生装置に吸引させたのでは、真空発生装置で排出しなければならない気体量が多くなる。そしてその場合には、処理槽内の減圧に要する時間が長くなるため、冷却工程時間が長くなってしまう。そのため、特開2014−159931号公報に記載があるように、処理槽内の気体を真空発生装置へ送る真空経路の途中に、真空発生装置が吸引している気体を冷却する熱交換器を設け、真空経路の途中で気体を冷却することを行っている。熱交換器によって気体の冷却を行うと、気体の体積が縮小し、特に蒸気を冷却することで液体に戻すと体積は大幅に小さくなるため、真空発生装置が吸引しなければならない気体の体積が小さくなり、真空冷却の効率を高めることができる。
【0004】
特開2014−159931号公報に記載の発明では、蒸気の冷却によって発生した凝縮水は熱交換器の下方に設置しているドレンタンクにためておき、ドレンとして排出するようにしている。真空ポンプは、内部の羽根車を回転させることでポンプ内部の空気を搬送し、ポンプ外へ押し出すことで内部の圧力を低下させ、圧力の低下によって処理槽内の空気が真空ポンプ内へ流れ込むということで処理槽内を減圧化する。加熱調理された食材からの水蒸気は冷却・分離し、真空ポンプに入るところではほぼ低温のドライ空気となって吸引されるが、処理量が過剰に供されると冷却運転初期の段階では真空ポンプ入口部分の吸気温度が一時的に高くなることがある。真空ポンプでは吸気温度の適正範囲が定まっており、温度が高い水蒸気を含む空気が入ってくると、適正な能力を発揮できないため真空冷却に要する時間が長くなってしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−159931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、真空ポンプを用いている真空冷却装置において、真空ポンプが安定的に能力を発揮することができるようにし、安定的な冷却運転を行うことのできる真空冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
被冷却物を収容する処理槽、処理槽と真空経路によって接続しており処理槽内の気体を吸引する真空ポンプ、処理槽と真空ポンプを繋ぐ真空経路を流れる吸引気体の温度を検出する真空ポンプ吸気温度センサ、前記真空経路内への外気導入を制御する真空ポンプ空気導入弁、前記の真空ポンプや真空ポンプ空気導入弁の作動を制御する運転制御装置を持ち、処理槽内を真空化することで被冷却物の冷却を行うようにしている真空冷却装置において、前記運転制御装置は、前記真空ポンプ吸気温度センサで検出した吸引空気温度が
常温よりも高い温度に定めた所定温度より高いことを検出した場合、前記真空ポンプ空気導入弁を通じて真空経路内へ外気を導入
し、常温の空気を混合することで前記吸引空気の温度を低下させるように真空ポンプ空気導入弁の動作を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明を実施した場合、真空ポンプの能力を高く保つことができ、安定的な真空冷却運転を行うことができるようになる。さらに真空ポンプの温度上昇を防止できるため、真空ポンプに使用しているオイルやシール材などの熱に比較的弱い部材で劣化が抑えられるなどにより、構成部材を長寿命化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例における真空冷却装置のフロー図
【
図2】本発明の一実施例における真空冷却運転時のタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例における真空冷却装置のフロー図、
図2は本発明の一実施例における真空冷却運転時のタイムチャートである。真空冷却装置は、処理槽2、真空ポンプ1、熱交換器4、冷水ユニット3、ドレンタンク6、運転制御装置5などからなっている。真空冷却装置は、処理槽2の内部を減圧することによって、処理槽2に収容した被冷却物から水分を蒸発させ、その際に発生する気化熱の作用によって冷却を行う。
【0011】
処理槽2と真空ポンプ1の間は、真空経路9によって接続しておき、真空ポンプ1を作動することによって処理槽2内の気体を排出する。このとき、処理槽2内の気体とともに被冷却物から発生した蒸気も真空ポンプ1で吸引するようにしていると、真空ポンプ1が吸引しなければならない気体の体積が大きくなり、処理槽2内の減圧に時間が掛かることになるため、冷却時間が長くなる。そのため真空経路9には途中に熱交換器4を設けておき、真空ポンプ1が吸引している気体や蒸気を熱交換器4によって冷却することで、吸引しなければならない気体の体積を縮小している。
【0012】
熱交換器4は冷水ユニット3と接続しておき、冷水ユニット3で発生させた冷水を熱交換器4が持つタンクにためるようにしている。熱交換器4では、冷水をためているタンクを貫通するようにした複数の伝熱管を設置し、伝熱管内に処理槽2から吸引してきた気体を分散して流すことによって、吸引気体の冷却を行う。熱交換器4の下部には、吸引気体を冷却することで発生した凝縮水をドレンとして集合させるためのドレン集合室12を設ける。ドレンはドレン集合室12に集合させた後に熱交換器4の下方に接続しているドレンタンク6にドレン排出経路を通して送るようにしており、ドレン排出経路にあるドレンタンク6内にためられる。
【0013】
処理槽2は、内部に被冷却物を収容して密閉することができるようにしており、処理槽2には内部の圧力を検出する槽内圧力検出装置7と、処理槽2内に収容した被冷却物の温度を検出する品温検出装置8を設けている。そして処理槽2内にも真空冷却の終了後に処理槽2内へ大気導入するための処理槽真空解除弁10を設置している。処理槽真空解除弁10での大気導入は、真空冷却で処理槽内を減圧した状態では、処理槽の扉を開くことはできず、処理槽内から被冷却物を取り出すことができないため、真空冷却の処理が終了すると処理槽真空解除弁10を通して処理槽内に大気を導入し、その後に冷却の終わった被冷却物を取り出すようにしている。
【0014】
真空経路9の熱交換器4と真空ポンプ1の間には真空弁11を設置し、真空弁11より真空経路9下流側に真空ポン1プ吸気温度センサ15と真空配管圧力センサ13を設置する。また、真空経路9の真空弁11と真空配管圧力センサ13及び真空ポンプ吸気温度センサ15の間に大気を導入するために真空ポンプ用空気導入手段を設け、真空ポンプ用空気導入手段に設けた真空ポンプ空気導入弁14を開くことで真空ポンプ1の吸引側へ外気が供給されるようにしておく。それぞれの検出装置や操作弁などは、各部の作動を制御する運転制御装置5と接続しておく。運転制御装置5は運転制御のプログラムと、センサ類で検出している各計測値に基づいて真空冷却装置の各機器の作動を制御する。
【0015】
実施例での真空冷却運転動作を説明する。
図2に記載しているように、運転制御装置5で行う真空冷却の工程は、冷却の準備を行う冷却準備工程、処理槽2内を減圧する真空冷却工程、冷却工程終了後に処理槽2内を復圧させる真空解除工程からなる。真空冷却のバッチ運転を連続して行う場合には、真空解除工程後に次バッチ分の冷却準備工程を開始する。冷却準備の工程では、処理槽2内に被冷却物を収容し、処理槽2の扉を閉じることで処理槽2を密閉する。また冷水ユニット3を作動して熱交換器4の冷却用水タンクに冷却用水をためておく。冷却工程では、真空弁11は開いており、処理槽真空解除弁10と真空ポンプ空気導入弁14は閉じている。
【0016】
真空ポンプ1の作動を行うと、真空ポンプ1は真空経路9を通して処理槽2内の気体を吸引して排出するため、処理槽2内の圧力が低下していく。処理槽2内の圧力が低下し、処理槽2内の飽和蒸気温度が被冷却物温度よりも低くなると、処理槽2内に収容している被冷却物から水分が蒸発する。水分が蒸発する際には周囲から気化熱を奪うため、被冷却物の温度は急激に低下していく。処理槽2内の被冷却物が持っていた熱は、真空ポンプ1が吸引している空気とともに真空経路9内を送られ、真空ポンプ1を通した後に系外へ排出される。そしてその際、真空ポンプ1内を流れる気体が熱を持っているものであると、その熱は真空ポンプ1を加熱し、真空ポンプ1の温度を上昇させることになる。
【0017】
運転制御装置5では、真空ポンプ吸気温度センサ15で検出している真空ポンプ1の吸引空気温度が適切な値となるように、真空経路9内を流れてくる吸引空気の温度を調節する。運転制御装置5は、真空ポンプ吸気温度センサ15で吸気空気温度を監視しておき、吸気空気温度が設定温度を超えると、真空ポンプ空気導入弁14を開くことで真空ポンプ1に外気を吸引させる。真空ポンプ空気導入弁14を開くと、真空経路9は減圧されているために外気が真空経路9内に入り、導入された外気は真空ポンプ1内に入る。真空ポンプ空気導入弁14を通して送られてきた空気は、処理槽2内から吸引してきた空気よりも温度の低いものであり、真空ポンプ1が吸引する空気は、処理槽2からの空気と、真空ポンプ空気導入弁14を通して送られてきた外気を混合したものとなる。真空冷却の初期であって温度の上昇していた吸引空気の温度は、外気を混合することで低くなる。この時の真空ポンプ空気導入弁14の開は、1秒から5秒程度の短時間開くことで行い、また1秒間開とし、次の1秒間は閉とすることを繰り返すように間欠的に行うものであってもよい。
【0018】
真空ポンプには運転に適した吸気温度範囲があり、吸気温度がその適正範囲から外れると真空ポンプ1では十分な能力を発揮できないことがある。温度の高い食品を急激に冷却する真空冷却装置の場合、真空冷却の開始直後は高温の食材から発せられる熱を吸引するものであるため、真空ポンプ1には食品からの熱が送られ、真空ポンプでは温度の上昇が発生するということがあった。真空ポンプの温度が上昇すると、真空ポンプの能力低下を招くことになる。
【0019】
そのため、真空ポンプ吸気温度センサ15で検出している吸引空気の温度が所定温度(例えば50℃)を超えた場合には、真空ポンプ1の作動は継続した状態で真空ポンプ空気導入弁14を開く制御を行う。真空冷却の初期であって、真空ポンプ1では高温の被冷却物から発生している熱を多く取り込んだ高温の空気を吸引しているために吸引空気温度が上昇している時、真空ポンプ空気導入弁14を開くことで外気を導入するようにすると、真空ポンプが吸引している空気は真空ポンプ空気導入弁14を通して取り込んだ外気と混合されることになる。常温の空気を混合することで真空ポンプ1が吸引している空気は冷却されるため、真空ポンプを冷却することができる。真空ポンプの冷却には、真空ポンプ空気導入弁14を1〜5秒程度開くことで行える。また、真空ポンプ空気導入弁14を1秒間開、1秒間閉のように、短時間の開と閉を繰り返すことにしてもよい。
【0020】
高温になっていた吸引空気に外気を混合させることで、吸引空気の温度は低下し、水蒸気濃度も低下するため、真空ポンプでは安定した減圧を行うことができ、装置の冷却性能も安定化できる。
【0021】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【0022】
1 真空ポンプ
2 処理槽
3 冷水ユニット
4 熱交換器
5 運転制御装置
6 ドレンタンク
7 槽内圧力検出装置
8 品温検出装置
9 真空経路
10 処理槽真空解除弁
11 真空弁
12 ドレン集合室
13 真空配管圧力センサ
14 真空ポンプ空気導入弁
15 真空ポンプ吸気温度センサ