特許第6647119号(P6647119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボッシュ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6647119-燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法 図000002
  • 特許6647119-燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法 図000003
  • 特許6647119-燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法 図000004
  • 特許6647119-燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法 図000005
  • 特許6647119-燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法 図000006
  • 特許6647119-燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法 図000007
  • 特許6647119-燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法 図000008
  • 特許6647119-燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法 図000009
  • 特許6647119-燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法 図000010
  • 特許6647119-燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法 図000011
  • 特許6647119-燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法 図000012
  • 特許6647119-燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647119
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】燃料噴射弁、及び燃料噴射弁の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 51/06 20060101AFI20200203BHJP
   F02M 61/10 20060101ALI20200203BHJP
   F02M 61/16 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   F02M51/06 M
   F02M61/10 W
   F02M61/16 J
   F02M61/16 W
   F02M51/06 S
   F02M51/06 U
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-74129(P2016-74129)
(22)【出願日】2016年4月1日
(65)【公開番号】特開2017-186917(P2017-186917A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年2月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】魚住 保文
(72)【発明者】
【氏名】藤井 将太
【審査官】 小笠原 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−121291(JP,A)
【文献】 米国特許第05820099(US,A)
【文献】 特開2010−203411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 51/06
F02M 61/10
F02M 61/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータへの通電によって燃料噴射孔が開閉される燃料噴射弁であって、
前記アクチュエータに接続された配線が通る配線通路が形成された本体と、
前記配線通路へ挿入され前記配線通路を塞ぐ閉塞部材と、
を備え、
前記配線通路は、
一端が前記本体の側面に開口し、他端が前記開口よりも前記燃料噴射孔側に配置された前記アクチュエータと連通し、
前記配線通路の内壁の前記閉塞部材との界面に、周方向に延びる溝が形成され、
前記溝の端部が前記開口と繋がり、
前記配線通路は、
前記本体の側面側に形成された大径部と、
前記アクチュエータ側に形成され、前記大径部よりも開口面積が小さい小径部と、
前記大径部と前記小径部と境目である段差面と、を有し、
前記溝は、
前記段差面と前記大径部との接続部に沿って形成された
ことを特徴とする燃料噴射弁。
【請求項2】
前記段差面は、
前記本体の中央側から側面へ向かって前記燃料噴射孔側に傾斜し、
前記燃料噴射孔側の縁部が前記開口と繋がる
ことを特徴とする請求項に記載の燃料噴射弁。
【請求項3】
アクチュエータへの通電によって燃料噴射孔が開閉される燃料噴射弁であって、
前記アクチュエータに接続された配線が通る配線通路が形成された本体と、
前記配線通路へ挿入され前記配線通路を塞ぐ閉塞部材と、
を備え、
前記配線通路は、
一端が前記本体の側面に開口し、他端が前記開口よりも前記燃料噴射孔側に配置された前記アクチュエータと連通し、
前記配線通路の内壁の前記閉塞部材との界面に、周方向に延びる溝が形成され、
前記溝の端部が前記開口と繋がり、
前記溝は、
前記開口と繋がる端部が、最も前記燃料噴射孔に近い位置に形成された
ことを特徴とする燃料噴射弁。
【請求項4】
前記閉塞部材は、
前記配線を保持する接合部材と、
前記配線通路の前記開口を覆うモールド材とにより構成された
ことを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の燃料噴射弁。
【請求項5】
前記閉塞部材は、樹脂で形成され、
前記本体は、金属で形成されている
ことを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の燃料噴射弁。
【請求項6】
アクチュエータへの通電によって燃料噴射孔が開閉される燃料噴射弁の製造方法であって、
一端が本体の側面に開口し、他端が前記開口よりも前記燃料噴射孔側に配置された前記アクチュエータと連通し、前記アクチュエータに接続された配線が通る配線通路であって、前記本体の側面側に設けられる大径部と、前記アクチュエータ側に設けられ前記大径部よりも開口面積が小さい小径部と、前記大径部と前記小径部と境目である段差面と、を有する配線通路を形成する工程と、
前記配線通路の内壁に、周方向に延び、端部が前記開口と繋がる溝であって、前記段差面と前記大径部との接続部に沿うように設けられる溝を形成する工程と、
前記配線通路を塞ぐ閉塞部材を、少なくとも前記配線通路の前記溝まで挿入する工程と、
を有することを特徴とする燃料噴射弁の製造方法。
【請求項7】
アクチュエータへの通電によって燃料噴射孔が開閉される燃料噴射弁の製造方法であって、
一端が本体の側面に開口し、他端が前記開口よりも前記燃料噴射孔側に配置された前記アクチュエータと連通し、前記アクチュエータに接続された配線が通る配線通路を形成する工程と、
前記配線通路の内壁に、周方向に延び、端部が前記開口と繋がる溝であって、前記開口と繋がる端部が最も噴射孔に近い位置となるように設けられる溝を形成する工程と、
前記配線通路を塞ぐ閉塞部材を、少なくとも前記配線通路の前記溝まで挿入する工程と、
を有することを特徴とする燃料噴射弁の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射弁(インジェクタ)、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料噴射弁においては、噴孔を開閉させるためのピエゾアクチュエータ等を収容するボディーと、このボディーと回路部品との間に介在するよう配置されたモールド樹脂とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この燃料噴射弁においては、ボディーの外周面とモールド樹脂の内周面との間がOリングによって環状にシールされ、水の侵入を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−114970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ピエゾアクチュエータ等のアクチュエータに接続された配線が通る本体の開口は、例えば樹脂により形成されたモールド材などにより覆われ、本体内部への水分の浸入が抑制されている。また、本体内の開口からアクチュエータへ至る経路にはシリコンシーリングなどが施されて、アクチュエータへの水分の侵入が抑制されている。このような構成によれば、耐水性に関する規格(例えば、日本工業規格:水に対する保護等級)を満たし、通常想定される使用環境において耐水性を十分に確保することができる。
しかしながら、例えばエンジンルームが水で頻繁に洗浄される場合など、燃料噴射弁が想定以上の水分に曝される場合がある。このため、更なる耐水性の向上が望まれている。
【0005】
上記特許文献1に記載の燃料噴射弁は、ボディーの外周面とモールド樹脂の内周面との間にOリングを設けている。即ち、ボディーとモールド樹脂との界面にOリングを配置するので構成が複雑となる課題がある。また、モールド樹脂を覆うコネクタハウジングとボディーとの間にはOリングが配置されていないため、モールド樹脂とコネクタハウジングとの界面から水分が侵入する課題がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を背景になされたもので、簡易な構成により耐水性を向上することができる燃料噴射弁及び燃料噴射弁の製造方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る燃料噴射弁は、アクチュエータへの通電によって燃料噴射孔が開閉される燃料噴射弁であって、前記アクチュエータに接続された配線が通る配線通路が形成された本体と、前記配線通路へ挿入され前記配線通路を塞ぐ閉塞部材と、を備え、前記配線通路は、一端が前記本体の側面に開口し、他端が前記開口よりも前記燃料噴射孔側に配置された前記アクチュエータと連通し、前記配線通路の内壁の前記閉塞部材との界面に、周方向に延びる溝が形成され、前記溝の端部が前記開口と繋がるものである。
【0008】
本発明に係る燃料噴射弁の製造方法は、アクチュエータへの通電によって燃料噴射孔が開閉される燃料噴射弁の製造方法であって、一端が本体の側面に開口し、他端が前記開口よりも前記燃料噴射孔側に配置された前記アクチュエータと連通し、前記アクチュエータに接続された配線が通る配線通路を形成する工程と、前記配線通路の内壁に、周方向に延び、端部が前記開口と繋がる溝を形成する工程と、前記配線通路を塞ぐ閉塞部材を、少なくとも前記配線通路の前記溝まで挿入する工程と、を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、配線通路の内壁の閉塞部材との界面に、周方向に延びる溝が形成され、溝の端部が本体の側面の開口と繋がる。このため、配線通路の内壁の閉塞部材との界面に侵入した水分が溝に溜まり、溝の端部から本体の外へ排出される。よって、簡易な構成により耐水性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る燃料噴射弁の概略構成を示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る燃料噴射弁の概略構成を示す要部断面図である。
図3図2のA部拡大図である。
図4】実施の形態1に係る燃料噴射弁の本体の要部外形図である。
図5図4のB部拡大図である。
図6】アクチュエータへの水分の侵入経路を説明する図である。
図7】配線通路への水分の侵入経路と排水経路とを説明する燃料噴射弁の要部断面図である。
図8図7のA部拡大図において、配線通路と接合部材との界面に隙間が発生した状態を示す図である。
図9】配線通路への水分の侵入経路と排水経路とを説明する本体の要部外形図である。
図10図9のB部拡大図である。
図11】実施の形態2に係る燃料噴射弁の概略構成を示す要部断面図である。
図12】実施の形態2に係る燃料噴射弁の本体の要部外形図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の燃料噴射弁に関する実施の形態について具体的に説明する。ただし、この実施の形態は本発明の一態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
なお、以下の各実施の形態においては、燃料噴射孔が形成された側の端部を燃料噴射弁の下端とし、燃料噴射孔側の端部とは反対側の端部を燃料噴射弁の上端として、燃料噴射弁を説明していく。
【0012】
実施の形態1.
(構成)
図1は、実施の形態1に係る燃料噴射弁の概略構成を示す斜視図である。図2は、実施の形態1に係る燃料噴射弁の概略構成を示す要部断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施の形態1に係る燃料噴射弁1は、下端に燃料噴射孔120が形成された本体100を備えている。本体100は、例えば外周が円形状に形成されている。また本体100は、例えば金属で形成されている。本体100の上端側には、燃料噴射孔120に燃料を供給する燃料供給用接続口150と、燃料噴射孔120から噴射されなかった余剰燃料を外部に排出するための燃料排出用接続口140が設けられている。
【0013】
本体100の内部には、通電によって燃料噴射孔120を開閉するアクチュエータが収納されている。アクチュエータとしては、ピエゾスタックの伸縮に伴う変位を利用してニードルを駆動するピエゾアクチュエータを用いることができる。本体100には、アクチュエータに接続された配線210が通る配線通路10が形成されている。
【0014】
配線通路10は、一端が本体100の側面に開口し、他端が開口よりも下端側に配置されたアクチュエータと連通する。また、配線通路10は、本体100の側面側に形成された大径部102と、アクチュエータ側に形成され、大径部102よりも開口面積が小さい小径部101と、大径部102と小径部101と境目である段差面103とを有している。配線通路10は、本体100の側面から中央へ向かって下端側へ傾斜し、アクチュエータへ至る。
【0015】
配線210は、一端がアクチュエータと電気的に接続され、他端がコネクタ130の端子と電気的に接続されている。また、配線210は、本体100の配線通路10に挿入された接合部材200に保持されている。この接合部材200は、配線通路10における本体100の側面からアクチュエータへ至る経路の一部に設けられ、配線210を配線通路10の中央部に保持する。また、接合部材200は、配線通路10における段差面103と接するように設けられている。
【0016】
配線通路10における大径部102を含む本体100の側面の開口は、モールド材110によって覆われている。例えば、モールド材110は、本体100の開口を含む本体100の側面を囲むように形成されている。モールド材110は、例えば樹脂で形成されている。なお、モールド材110と、コネクタ130とを例えば一体形成しても良い。なお、モールド材110及び接合部材200は、本発明における「閉塞部材」に相当する。
【0017】
配線通路10の内壁とモールド材110との界面には、配線通路10の周方向に延びる溝20が形成されている。詳細を図3図5を用いて説明する。
【0018】
図3は、図2のA部拡大図である。図4は、実施の形態1に係る燃料噴射弁の本体の要部外形図である。図5は、図4のB部拡大図である。なお、図4においては、本体100の配線通路10が開口する側面の外形を示す。
図3図5に示すように、段差面103は、本体100の中央側から側面へ向かって下端側に傾斜し、下端側の縁部が本体100の側面の開口と繋がる。溝20は、段差面103と大径部102との接続部に沿って形成され、溝20の端部が本体100の側面の開口と繋がる。即ち、溝20は、本体100の側面の開口と繋がる端部が、最も下端に近い位置に形成されている。
【0019】
なお、本実施の形態1においては、溝20は、段差面103と大径部102との接続部に沿って形成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、小径部101と大径部102との間の段差面103に溝20を形成しても良い。また、溝20の端部の少なくとも一方が、本体100の側面の開口と繋がる構成でも良い。また、溝20の断面形状は、例えば図3図5に示すように、段差面103に対して断面半円状に凹んだ形状に限らず任意の形状で良い。即ち、溝20は、配線通路10の内壁において、本体100の下端側から上端側へ向かう方向の壁面経路が形成される構成であれば良い。
また、本実施の形態1においては、接合部材200は、配線通路10の大径部102と接していないが、本発明はこれに限定されない。例えば、接合部材200を、配線通路10の大径部102及び段差面103と接するように設けても良い。この場合、溝20を、配線通路10の内壁と接合部材200との界面に設けても良い。
【0020】
(製造方法)
次に、本実施の形態1における燃料噴射弁1の製造方法を説明する。
まず、本体100に、小径部101と大径部102と段差面103とを有する配線通路10を形成する。次に、配線通路10の段差面103と大径部102との接続部に沿って、端部が本体100の側面の開口と繋がる溝20を形成する。次に、配線210を保持する接合部材200を、配線通路10における段差面103と接するよう挿入する。その後、配線通路10における大径部102を含む本体100の側面の開口を、モールド材110によって覆う。これにより、配線通路10の内壁とモールド材110との界面に溝20が位置する。
【0021】
なお、本体100に配線通路10を形成する工程と、接合部材200を配線通路10に挿入する工程と、本体100の側面の開口をモールド材110によって覆う工程とは、溝20を形成していない燃料噴射弁1と同様の製造方法を適用することができる。即ち、既設の製造工程に対して溝20を形成する工程を追加するのみで、本実施の形態1に係る燃料噴射弁1を製造することが可能である。
【0022】
なお、溝20を形成していない燃料噴射弁1においても、モールド材110によって本体100内部への水分の浸入が抑制されている。例えば、耐水性に関する規格(例えば、日本工業規格:水に対する保護等級)などを満たす耐水性が確保されている。
【0023】
(作用)
ここで、本体100の配線通路10に溝20を形成していない構成における水の侵入経路について説明する。
【0024】
図6は、アクチュエータへの水分の侵入経路を説明する図である。
燃料噴射弁1を構成する各部の材料は、エンジンの駆動に伴う熱により膨張し、エンジンの停止に伴い冷却され収縮する。燃料噴射弁1の本体100は例えば金属で形成され、モールド材110及び接合部材200は例えば樹脂で形成された場合、線膨張係数の違いにより、本体100とモールド材110及び接合部材200との界面に隙間が発生する場合がある。図6に示すように、本体100とモールド材110との界面の端部(位置X)に水分が残留していると、本体100の配線通路10とモールド材110との界面に発生した隙間および配線通路10と接合部材200との界面に発生した隙間を伝って、本体100の側面の開口からアクチュエータへ至る経路に水分(水及び水蒸気)が侵入する場合がある。
【0025】
一方、本実施の形態1の燃料噴射弁1は、配線通路10の内壁に溝20を形成しているため、アクチュエータへの水分の侵入を抑制することができる。詳細を図7図10を用いて説明する。
【0026】
図7は、配線通路への水分の侵入経路と排水経路とを説明する燃料噴射弁の要部断面図である。図8は、図7のA部拡大図において、配線通路と接合部材との界面に隙間が発生した状態を示す図である。図9は、配線通路への水分の侵入経路と排水経路とを説明する本体の要部外形図である。図10は、図9のB部拡大図である。なお、図8においては、本体100の配線通路10が開口する側面の外形を示す。
図7図10において、本体100とモールド材110との界面の端部(位置X)から侵入した水分は、配線通路10の大径部102とモールド材110との界面に発生した隙間を伝って、大径部102と段差面103との接続部に到達する。配線通路10の大径部102と段差面103との接続部に到達した水分は、大径部102と段差面103との接続に沿って形成された溝20に溜まる。これにより、配線通路10に侵入した水分の小径部101への侵入が抑制される。
【0027】
溝20に溜まった水分は、溝20を本体100の側面側へ向かって進み、溝20の端部から本体100の側面とモールド材110との界面の隙間に伝わる。そして、本体100の側面とモールド材110との界面の隙間に伝わった水分は、本体100とモールド材110との界面の端部(位置Y)から外部へと排出される。これにより、配線通路10に侵入した水分が、小径部101への侵入することなく外部へ排出される。なお、大径部102に侵入した水分及び溝20に溜まった水分の少なくとも一部は、エンジンの駆動に伴う熱により蒸発し、配線通路10の上端側へ向かって進み、本体100とモールド材110との界面の端部(位置X)から排出される場合もある。
【0028】
以上のように本実施の形態1の燃料噴射弁1においては、配線通路10の内壁のモールド材110との界面に、周方向に延びる溝20が形成され、溝20の端部が本体100の開口と繋がる。このため、本体100とモールド材110及び接合部材200との界面に隙間が発生した場合であっても、アクチュエータへの水分の侵入を抑制することができ、耐水性を向上することができる。また、配線通路10の内壁に形成した溝20によって水分の侵入を抑制するため、簡易な構成により耐水性を向上することができる。また、既設の製造工程に対して溝20を形成する工程を追加するのみで、本実施の形態1に係る燃料噴射弁1を製造することができるため、簡易な構成により耐水性を向上することができる。
【0029】
実施の形態2.
以下、実施の形態2に係る燃料噴射弁1を上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0030】
図11は、実施の形態2に係る燃料噴射弁の概略構成を示す要部断面図である。図12は、実施の形態2に係る燃料噴射弁の本体の要部外形図である。なお、図12においては、本体100の配線通路10が開口する側面の外形を示す。
図11及び図12に示すように、本実施の形態2における溝21は、配線通路10の大径部102に形成されている。即ち、溝21は、配線通路10の大径部102の内壁とモールド材110との界面に、大径部102の周方向に延びるように形成され、端部が本体100の側面の開口と繋がる。また、溝21の端部は、段差面103の下端側の縁部と本体100の側面の開口との接続部に位置する。即ち、溝21は、本体100の側面の開口と繋がる端部が、最も下端に近い位置に形成されている。
【0031】
このような構成により、本体100とモールド材110との界面に隙間が発生した場合であっても、アクチュエータへの水分の侵入を抑制することができ、耐水性を向上することができる。また、配線通路10の内壁に形成した溝21によって水分の侵入を抑制するため、簡易な構成により耐水性を向上することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 燃料噴射弁、10 配線通路、20 溝、21 溝、100 本体、101 小径部、102 大径部、103 段差面、110 モールド材、120 燃料噴射孔、130 コネクタ、140 燃料排出用接続口、150 燃料供給用接続口、200 接合部材、210 配線。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12