(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまでも一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0015】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。以下の説明は、入力検出装置として、タッチ検出機能付き液晶表示装置を例として述べるが、これに限定されるものではない。例えば、入力検出装置は、タッチ検出機能付きOLED表示装置でもよいし、表示機能を有していないタッチパネル等であってもよい。
【0016】
(実施の形態1)
実施の形態1では、ペンによるタッチと指によるタッチの両方を検出することが可能なタッチ検出機能付き液晶表示装置(以下、表示装置とも称する)が提供される。先ず、表示装置の基本的な構成を説明し、次に、この基本的な構成を基にして、ペンによるタッチを検出する磁界検出(以下、磁界タッチ検出とも称する)および指によるタッチを検出する電界検出(以下、電界タッチ検出とも称する)の原理を説明する。
【0017】
<表示装置の基本的な構成>
図1は、表示装置の構成を模式的に示す図である。
図1において、1は、表示装置を示しており、
図1(A)は、表示装置1の平面を示す平面図であり、
図1(B)は、表示装置1の断面を示す断面図である。表示装置1は、TFT(Thin Film Transistor)ガラス基板(以下、絶縁性第1基板または単に第1基板とも称する)TGBと、第1基板TGBに積層されたレイヤ(層)、カラーフィルタCFT、CF(Color Filter)ガラス基板(以下、絶縁性第2基板または単に第2基板とも称する)CGBおよび第2基板CGBに積層されたレイヤ(層)を備えている。
【0018】
図1(A)において、TL(0)〜TL(p)は、第1基板TGBの第1主面TSF1に形成されたレイヤによって構成された駆動電極を示している。また、RL(0)〜RL(p)は、第2基板CGBの第1主面CSF1に形成されたレイヤによって構成された検出電極を示している。理解を容易にするために、
図1(A)では、第1基板TGBと第2基板CGBとが分離して、描かれているが、実際には、
図1(B)に示すように、液晶層を挟んで、第1基板TGBの第1主面TSF1と第2基板CGBの第2主面CSF2とが対向するように配置されている。
【0019】
第1基板TGBの第1主面TSF1と、第2基板CGBの第2主面CSF2との間には、複数のレイヤと、液晶層等が挟まれているが、
図1(B)では、第1主面TSF1と第2主面CSF2との間に挟まれた駆動電極TL(0)〜TL(n+2)、液晶層およびカラーフィルタCFTのみが示されている。また、第2基板CGBの第1主面CSF1には、
図1(A)に示すように複数の検出電極RL(0)〜RL(p)と偏光板が配置されている。また、
図1(B)において、13は検出電極RL(n)に接続された単位検出回路を示している。
【0020】
本明細書では、表示装置1を、
図1(B)に示すように、第2基板CGBおよび第1基板TGBの第1主面CSF1、TSF1側から見たときの状態を、平面視として説明する。第1主面CSF1およびTSF1側から、平面視で見たとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、第1基板TGBの第1主面TSF1において、
図1(A)に示すように、行方向(横方向)に延在し、列方向(縦方向)に平行に配置されている。また、検出電極RL(0)〜RL(p)は、第2基板CGBの第1主面CSF1において、
図1(A)に示すように、列方向(縦方向)に延在し、行方向(横方向)に平行に配置されている。
【0021】
駆動電極TL(0)〜TL(p)と検出電極RL(0)〜RL(p)の間には、第2基板CGB、液晶層等が介在している。そのため、駆動電極TL(0)〜TL(p)と検出電極RL(0)〜RL(p)は、平面視で見たときには、交差しているが、互いに電気的に分離されている。駆動電極と検出電極との間には、容量が存在するため、
図1(B)では、この容量が容量素子として破線で示されている。
【0022】
駆動電極TL(0)〜TL(p)と検出電極RL(0)〜RL(p)とは、平面視で見たとき、直交していることが望ましいが、平面視で見たときに、駆動電極と検出電極とは傾きを持って交差していてもよい。そのため、以下の説明で用いる「直交」は「交差」も含むものと理解されるべきである。
【0023】
<磁界検出の原理>
図2は、磁界検出の原理を示す説明図である。磁界検出の期間は、磁界を発生する磁界発生期間と磁界を検出する磁界検出期間とによって構成される。
図2(A)および(C)は、磁界発生期間のときの動作を示しており、
図2(B)は、磁界検出期間のときの動作を示している。説明の都合上、
図2(A)〜(C)は、
図1(A)を90度回転させた状態が示されている。
【0024】
磁界発生期間においては、駆動電極TL(0)〜TL(p)のうち、所定の駆動電極間の端部が、電気的に接続され、端部が接続された駆動電極に、所定の電圧(例えば接地電圧Vs)と磁界駆動信号が供給される。例えば、
図1に示した駆動電極TL(0)およびTL(2)のそれぞれの端部のうち、他方の端部が、
図1の右側において電気的に接続される。これにより、互いに平行に配置されている駆動電極TL(0)およびTL(2)が、直列的に接続される。駆動電極TL(0)の一方の端部に、
図1の左側において、接地電圧Vsを供給し、駆動電極TL(2)の一方の端部に、
図1の左側において、磁界駆動信号を供給する。ここで、磁界駆動信号は、その電圧が周期的に変化する信号である。駆動電極TL(0)およびTL(2)により、この駆動電極により挟まれた領域(形成された領域)を内側とした磁界発生コイルが構成され、この磁界発生コイルは、磁界駆動信号の電圧の変化に応じた磁界を、その内側で発生する。
【0025】
図2(A)において、GX(n−1)は、駆動電極TL(0)、TL(2)によって構成された磁界発生コイルを示し、GX(n)〜GX(n+4)のそれぞれは、磁界発生コイルGX(n−1)と同様に、駆動電極TL(1)、TL(3)〜TL(p)によって構成された磁界発生コイルを示している。
【0026】
図2(A)において、CおよびL1は、ペンPenに内蔵されている容量素子およびコイルを示している。容量素子CとコイルL1は、共振回路を構成するように、並列接続されている。磁界発生期間において、磁界発生コイルGX(n−1)〜GX(n+3)のそれぞれの一方の端部には、接地電圧Vsが供給される。磁界駆動信号CLKが、磁界発生コイルGX(n)の他方の端部に供給される。これにより、磁界発生コイルGX(n)が、磁界駆動信号CLKの電圧変化に応じた磁界φ1を発生する。ペンPenが、磁界発生コイルGX(n)に近接していれば、磁界発生コイルGX(n)とコイルL1との間は電磁結合され、磁界φ1によってコイルL1に相互誘導による誘起電圧が発生し、容量素子Cが充電される。
【0027】
次に、
図2(B)に示す磁界検出期間に移行する。磁界検出期間においては、検出電極RL(0)〜RL(p)を用いて、磁界の検出が行われる。検出電極RL(0)〜RL(p)は一対の端部を有している。検出電極RL(0)〜RL(p)のうち、所定の検出電極間の他方の端部が、互いに電気的に接続される。例えば、
図1に示した検出電極RL(0)とRL(3)のそれぞれの他方の端部が、
図1の上側において電気的に接続される。これにより、平行に配置された検出電極RL(0)、RL(3)が直列的に接続される。磁界検出期間においては、検出電極RL(3)の一方の端部に所定の電圧Vsが供給され、検出電極RL(0)の一方の端部が、単位検出回路に接続される。これにより、検出電極RL(0)とRL(3)とによって挟まれた領域(形成された領域)を内側とした磁界検出コイルが形成され、この磁界検出コイルによって、ペンPenからの磁界の検出が行われる。
【0028】
図2(B)において、DY(n−2)は、検出電極RL(0)、RL(3)によって構成された磁界検出コイルを示しており、DY(n−1)〜DY(n+1)は、同様に検出電極RL(2)〜RL(p)によって構成された磁界検出コイルを示している。磁界検出期間のとき、磁界検出コイルDY(n−1)〜DY(n+1)のそれぞれの一方の端部に、所定の電圧Vsが供給され、それぞれの他方の端部における信号Rx(n−2)〜Rx(n+1)が、単位検出回路に供給される。
【0029】
磁界発生期間において、容量素子Cに充電が行われていれば、磁界検出期間のとき、コイルL1は、容量素子Cに充電されている電荷に従って、共振回路の共振周波数に応じて変化する磁界φ2を発生する。
図2(B)では、磁界検出コイルDY(n)の内側に、コイルL1の中心(一点鎖線)が存在している。そのため、磁界検出コイルDY(n)とコイルL1との間で電磁結合が発生し、相互誘導によって、磁界検出コイルDY(n)に誘起電圧が発生する。その結果、磁界検出コイルDY(n)の他方の端部における信号Rx(n)は、容量素子Cに充電されている電荷量に応じて変化することになる。磁界検出コイルDY(n)に接続された単位検出回路は、この信号Rx(n)の変化を検出信号として出力する。これにより、ペンPenが近接(タッチ)しているか否か、および座標を抽出することが可能となる。また、電荷量に応じて検出信号が変化するため、ペンPenとの距離を求めることが可能となる。
【0030】
図2(C)は、
図2(B)に続いて移行した磁界発生期間を示している。
図2(A)と異なるのは、磁界発生コイルGX(n+1)に磁界駆動信号CLKが供給されていることである。ペンPenの位置は変化していないため、
図2(C)に示した磁界発生期間においては、コイルL1に誘起電圧が発生せず、容量素子Cは充電されない。これにより、
図2(C)に続いて移行する磁界検出期間においては、ペンPenが近接していないと検出される。以降、同様にして、ペンPenの検出が行われる。
【0031】
<電界検出の原理>
図3は、電界検出の原理を示す説明図である。
図3(A)において、12−0〜12−pのそれぞれは、電界駆動信号を出力する単位駆動回路を示し、13−0〜13−pのそれぞれは、単位検出回路を示している。また、
図3(A)において、実線の○で囲んだパルス信号は、駆動電極TL(2)へ供給される電界駆動信号Tx(2)の波形を示している。外部物体として、指がFGとして示されている。
【0032】
駆動電極TL(2)に、電界駆動信号Tx(2)が供給されると、
図3(B)に示すように、駆動電極TL(2)と、この駆動電極TL(2)と直交する検出電極RL(n)との間で電界が発生する。このとき、指FGが、駆動電極TL(2)の近傍をタッチしていると、指FGと駆動電極TL(2)との間でも電界が発生し、駆動電極TL(2)と検出電極RL(n)との間で発生している電界が減少する。これにより、駆動電極TL(2)と検出電極RL(n)との間の電荷量が減少する。その結果、
図3(C)に示すように、駆動信号Tx(2)の供給に応答して生じる電荷量は、指FGがタッチしているときは、タッチしていないときに比べてΔQだけ減少する。電荷量の差は、電圧の差として表れ、単位検出回路13−nに供給され、検出信号として出力される。
【0033】
他の駆動電極についても、同様にして、電界駆動信号を供給することにより、指FGがタッチしているが否かに応じた信号の電圧変化が、検出電極RL(0)〜RL(p)に生じ、検出信号として出力されることになる。これにより、指FGがタッチしているか否か、および座標を抽出することが可能となる。
【0034】
上記したように、磁界検出の際には、駆動電極TL(0)〜TL(p)のうち、選択された駆動電極に磁界駆動信号が供給され、電界検出の際には、選択された駆動電極に電界駆動信号が供給される。一方、表示の際には、駆動電極TL(0)〜TL(p)に、表示駆動信号が供給される。表示駆動信号によって、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれは、同じ電圧とされるため、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、1個の共通電極と見なすことができる。
【0035】
<表示装置の全体構成>
図4は、実施の形態1に係わる表示装置1の構成を示すブロック図である。
図4において、表示装置1は、表示パネル(液晶パネル)、制御装置3、ゲートドライバ4およびタッチ制御装置5を備えている。また、表示装置1は、選択回路SELL、SELR、駆動回路DRVL、DRVRおよび検出回路DETを備えている。表示パネルは、表示を行う表示領域(表示部)と周辺領域(周辺部)とを備えている。表示と言う観点で見た場合、表示領域はアクティブ領域であり、表示領域を包囲する周辺領域は非アクティブ領域である。
図4では、2が、表示領域を示している。
【0036】
表示領域2は、複数の画素が行列状に配置された画素配列を有している。画素配列には、複数の信号線、複数の駆動電極、複数の走査線および複数の検出電極が配置されている。
図4を参照して述べると、画素配列において、信号線SL(0)〜SL(p)は、縦方向(列方向)に延在し、横方向(行方向)に平行に配置されている。また、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置されている。さらに、走査線は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置され、検出電極は、縦方向に延在し、横方向に平行に配置されている。この場合、画素は、かかる複数の信号線と複数の走査線とが交差することにより形成される空間に配置されている。表示の期間(表示期間)においては、信号線と走査線により、画素が選択され、選択された画素には、そのときの信号線の電圧と、駆動電極の電圧が印加され、信号線と駆動電極との間の電圧差に従った表示が行われる。
【0037】
制御装置3は、外部端子Ttに供給されるタイミング信号と入力端子Tiに供給される画像情報とを受け、表示期間のとき、画像情報に従った画像信号を形成し、複数の信号線SL(0)〜SL(p)に供給する。また、制御装置3は、外部端子Ttに供給されるタイミング信号とタッチ制御装置5からの制御信号SWとを受け、種々の信号を形成する。
図4には、制御装置3により形成される信号のうち、説明に必要な信号のみが、代表として描かれている。すなわち、制御装置3は、同期信号TSHDおよび制御信号CNTL、CNTRを形成する。また、特に制限されないが、制御装置3は、駆動信号TPL、TSVを形成する駆動信号回路6を備える。
【0038】
同期信号TSHDは、表示領域2において表示を行う表示期間とタッチ検出(磁界タッチ検出および電界タッチ検出)を行うタッチ検出期間とを識別する同期信号である。制御装置3は、この同期信号TSHDによって、タッチ制御装置5が、タッチ検出期間の際に動作するように制御する。
【0039】
ゲートドライバ4は、表示のとき、制御装置3からのタイミング信号に従って走査線信号Vs0〜Vspを形成し、表示領域2内の走査線に供給する。表示期間においては、ハイレベルの走査線信号が供給されている走査線に接続されている画素が選択され、選択された画素は、そのとき信号線SL(0)〜SL(p)に供給されている画像信号に従った表示を行う。
【0040】
検出回路DETは、磁界タッチ検出および電界タッチ検出の際に、検出電極RL(0)〜RL(p)における信号の変化を検出し、検出信号Rx(0)〜Rx(p)として出力する。
【0041】
タッチ制御装置5は、検出信号Rx(0)〜Rx(p)を受け、タッチされた位置の座標を抽出し、外部端子Toから出力する。また、タッチ制御装置5は、制御信号SWを出力するとともに、同期信号TSHDを受け、表示制御装置3に同期して動作する。
【0042】
表示領域2は、画素配列の行に平行した辺2−U、2−Dと、画素配列の列に平行した辺2−R、2−Lを有している。ここで、辺2−Uと辺2−Dは、互いに対向した辺であり、この2辺の間に、画素配列における複数の駆動電極と複数の走査線が配置されている。また、辺2−Rと辺2−Lも、互いに対向した辺であり、この2辺の間に、画素配列における複数の信号線と複数の検出電極が配置されている。
【0043】
選択回路SELL、SELRは、制御信号CNTL、CNTRに基づいて、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)から、駆動電極を選択する選択信号を形成する。
【0044】
図4において、TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRのそれぞれは、信号配線を示している。信号配線TPLLおよびTSVLは、表示領域2の辺2−Lに沿って延在しており、駆動回路DRVLを貫通している。同様に、信号配線TPLRおよびTSVRは、表示領域2の辺2−Rに沿って延在しており、駆動電極DRVRを貫通している。駆動回路DRVLは、選択回路SELLに対応しており、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のとき、選択回路SELLからの選択信号によって指定された駆動電極を、信号配線TPLLまたはTSVLに接続する。同様に、駆動回路DRVRは、選択回路SELRに対応しており、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のとき、選択回路SELRからの選択信号によって指定された駆動電極を、信号配線TPLRまたはTSVRに接続する。
【0045】
制御装置3に備えられた駆動信号回路6によって形成された駆動信号TPLおよびTSVが、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRのそれぞれの端部に供給される。後で詳しく説明するが、磁界タッチ検出のときには、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRを伝搬している駆動信号TPLおよびTSVが、駆動回路DRVL、DRVRを介して、選択された駆動電極に供給され、磁界が発生する。また、電界タッチ検出の際には、信号配線TSVL、TSVRを伝搬している駆動信号TSVが、駆動回路DRVL、DRVRを介して、選択された駆動電極に供給され、電界が発生する。また、信号配線TPLLおよびTPLRは第1信号配線、信号配線TSVRおよびTSVLは第2信号配線とも称する。さらに、信号配線TPLLとTPLRを区別する場合には、信号配線TPLLは第1信号配線と称し、信号配線TPLRは第4信号配線と称する場合がある。同様に、信号配線TSVRとTSVLを区別する場合には、信号配線TSVRは第2信号配線と称し、信号配線TSVLは、第3信号配線と称する場合がある。
【0046】
<表示装置1のモジュール構成>
図5は、表示装置1を実装したモジュール500の全体構成を示す模式的な平面図である。模式的ではあるが、
図5は、実際の配置に合わせて描かれている。同図において、501は、
図1で示した第1基板TGBの領域を示し、502は、第1基板TGBと第2基板CGBとが積層された領域を示している。モジュール500において、第1基板TGBは、領域501と502において一体となっている。また、領域502では、第1基板TGBの第1主面TSF1と第2基板CGBの第2主面CSF2とが対向するように、第1基板TGBに第2基板CGBが搭載されている。
図5において、500−U、500−Dは、モジュール500の短辺を示しており、500−L、500−Rは、モジュール500の長辺を示している。
【0047】
領域502であって、表示領域2の辺2−Lとモジュール500の長辺500−Lとの間の領域には、
図4で示したゲートドライバ4、選択回路SELLおよび駆動回路DRVLが配置されている。表示領域2の辺2−Rとモジュール500の長辺500−Rとの間の領域には、
図4で示した選択回路SELRおよび駆動回路DRVRが配置されている。表示領域2の辺2−Dとモジュール500の短辺500−Dとの間の領域には、
図4で示した検出回路DETおよび制御装置3が配置されている。検出回路DETは、領域501の第1基板TGBの第1主面TSF1に形成された配線および部品により構成されている。平面視で見たとき、検出回路DETを覆うように、制御装置3が、第1基板TGBに実装されている。また、選択回路SELL、SELRおよび駆動回路DRVL、DRBRを構成する配線および部品も、領域502における第1基板TGBの第1主面TSF1に形成されている。
【0048】
図4において説明した検出信号Rx(0)〜Rx(p)は、フレキシブルケーブルFB1内の配線を介して、タッチ制御装置5に供給される。領域501には、フレキシブルケーブルFB2が接続されており、このフレキシブルケーブルFB2に設けられたコネクタCNを介して、タッチ制御装置5と制御装置3との間で信号の送受信が行われる。
【0049】
表示領域2には、既に述べたように、複数の画素が行列状に配列された画素配列を有しており、画素配列の行に沿って配置された複数の駆動電極TL(0)〜TL(p)および走査線と、画素配列の列に沿って配置された複数の信号線SL(0)〜SL(p)と複数の検出電極RL(0)〜RL(p)とを備えている。
図5には、例として、2個の駆動電極TL(n)、TL(m)と2個の信号線SL(k)、SL(n)と3個の検出電極RL(n−2)〜RL(n)が示されている。
図5では、横方向が、画素配列の行方向であり、縦方向が、画素配列の列方向である。そのため、例示した駆動電極TL(n),TL(m)は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置されている。また、例示した信号線SL(k)、SL(n)は、縦方向に延在し、横方向に平行に配置され、例示した検出電極RL(n−2)〜RL(n)のそれぞれは、縦方向に延在し、横方向に平行に配置されている。なお、
図5では走査線は、省略されているが、走査線は、例示した駆動電極TL(n)、TL(m)と平行して、延在している。
【0050】
また、
図5には、画素配列が、破線PDMとして示されており、画素配列PDMに配置されている複数の画素のうち、表示領域2の4個の角に配置されている画素と、例示した駆動電極および信号線との交差部に配置された画素が、Pixとして示されている。
【0051】
図4に示した信号配線TPLLおよびTSVLのそれぞれは、モジュール500の長辺500−Lと表示領域2の辺2−Lとの間の領域において、縦方向(画素配列の列方向)に延在している。同様に、信号配線TPLRおよびTSVRのそれぞれは、モジュール500の長辺500−Rと表示領域2の辺2−Rとの間の領域において、縦方向(画素配列の方向:第1方向)に延在している。駆動電極TL(0)〜TL(p)の延在方向、すなわち、横方向を第2方向として見た場合、この第2方向と直交(交差を含む)する第1方向に、信号線SL(0)〜SL(p)、検出電極RL(0)〜RL(p)および信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRが延在することになる。このとき、省略されている走査線は、第2方向に沿って延在していることになる。
【0052】
図4では、制御装置3が、駆動信号TPLおよびTSVを形成する例を示したが、これに限定されず、他の回路ブロック等によって形成してもよい。他の回路ブロックで形成する場合、例えば、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRは、第1基板TGBの第1主面TSF1において、フレキシブルケーブルFB2内の配線に接続され、他の回路ブロックに接続される。
図5において、制御装置3に示した破線は、他の回路ブロックによって、駆動信号TPL、TSVを形成する場合を示している。すなわち、他の回路ブロック(駆動信号回路)によって形成された駆動信号を伝達する信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRにおいて、制御装置3により覆われている部分が、破線として示されている。
【0053】
<磁界発生期間の概要>
駆動電極を用いて磁界検出を行う場合の原理を、
図2で説明した。理解を容易にするために、
図2では、駆動電極間を電気的に接続することにより、磁界発生コイルを構成する例を示した。本発明者らは、駆動電極間を電気的に接続せずに、磁界を発生する構成を考え、表示装置1に適用している。表示装置1のより具体的な説明をする前に、本発明者らが考えた磁界発生を、説明しておく。
【0054】
図6は、磁界発生期間の動作を説明するための平面図である。
図6において、TL(n−4)〜TL(n+5)は、駆動電極を示している。駆動電極TL(n−4)〜TL(n+5)は、平面視で見たとき、互いに平行に配置されており、それぞれの駆動電極が、一対の端部n1、n2を備えている。ここで、駆動電極TL(n−4)〜TL(n+5)は、それぞれの一方の端部n1が、表示領域2の辺2−Lに沿い、それぞれの他方の端部n2が、表示領域2の辺2−Rに沿うように配置されている。
【0055】
ここでは、駆動電極TL(n)の領域において、ペンPen(
図2)がタッチしているか否かを検出する磁界タッチ検出の期間(以下、磁界タッチ検出期間とも称する)を例にして説明する。この磁界タッチ検出期間において、磁界発生期間のとき、
図6(A)に示す駆動状態と
図6(B)に示す駆動状態が、1回を含む複数回路発生するように、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)およびTL(n+1)〜TL(n+3)が駆動される。
【0056】
磁界発生期間のとき、磁界を発生する駆動電極TL(n)の領域を、その間に挟むように配置された一対の駆動電極が選択され、選択された一対の駆動電極において流れる電流の方向が反対になるように、駆動電極が駆動される。
図6においては、隣り合った(隣接した)3個の駆動電極が、束とされ、束の駆動電極(以下、束駆動電極とも称する)が、対を構成する駆動電極として用いられる。すなわち、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)が束とされ、束駆動電極が構成され、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)が束とされ、束駆動電極が構成されている。
【0057】
図6(A)では、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)の一方の端部n1に、接地電圧のような第1電圧Vsが供給され、その他方の端部n2に、第1電圧Vsよりも電圧値の絶対値の大きな第2電圧Vdが供給される。この実施の形態1においては、第1電圧Vsおよび第2電圧Vdは、電圧値が時間に対して変化しない直流電圧である。これにより、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)のそれぞれにおいて、他方の端部n2から一方の端部n1へ向かう方向の電流I1が流れることになる。その結果、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)によって構成された束駆動電極は、
図6(A)に破線で示す方向の磁界φ11を発生することになる。このとき、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)では、その一方の端部n1に、第2電圧Vdが供給され、その他方の端部2に、第1電圧Vsが供給される。これにより、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)のそれぞれにおいて、一方の端部n1から他方の端部n2へ向かう方向の電流I2が流れることになる。その結果、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)によって構成された束駆動電極は、
図6(A)に破線で示す方向の磁界φ12を発生することになる。
【0058】
それぞれの束駆動電極が発生した磁界φ11、φ12の方向は、電流I1と電流I2の方向が反対のため、反対となり、駆動電極TL(n)の領域においては重畳されることになるため、この駆動電極TL(n)の領域において、強い磁界を発生することが可能となる。
【0059】
図6(B)では、束駆動電極に供給される電圧が、
図6(A)とは反対となるようにする。すなわち、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)の一方の端部n1に第2電圧Vdが供給され、その他方の端部n2に第1電圧Vsが供給される。このとき、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)の一方の端部n1に第1電圧Vsが供給され、その他方の端部n2に第2電圧Vdが供給される。これにより、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)を流れる電流の方向が、
図6(A)のときの電流の方向とは反転し、電流I2となる。これにより、発生する磁界の方向も反転し、破線で示す方向の磁界φ12が発生する。同様に、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)を流れる電流の方向が反転し、磁界の方向も反転して、破線で示す磁界φ11となる。その結果、駆動電極TL(n)の領域において、磁界φ11とφ12とが重畳され、強い磁界が発生することになる。
【0060】
これにより、駆動電極間を電気的に接続しなくても、所望の駆動電極の領域において、強い磁界を発生することが可能となる。なお、
図6では、第1電圧Vsは、0で示され、第2電圧Vdは、+で示されている。
【0061】
磁界発生期間において発生した磁界によって、ペンPenの容量素子に電荷が蓄積され、磁界検出期間において、ペンPenが発生する磁界を、磁界検出コイルで検出するのは、先に
図2を用いて説明したのと同様である。
【0062】
<駆動回路DRVL、DRVRの構成>
磁界発生期間のとき、
図6で説明したように、選択された駆動電極の端部n1、n2に、第1電圧Vsと第2電圧Vdを、交互に供給するよう、
図4に示した駆動回路DRVL、DRVRは、選択回路SELL、SELRによって制御される。このとき、制御装置3は、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLを、信号配線TPLLおよびTPLRのそれぞれの端部に供給し、第2電圧Vdを有する駆動信号TSVを、信号配線TSVL、TSVRのそれぞれの端部に供給する。
【0063】
駆動回路DRVLは、それぞれの駆動電極の一方の端部n1と信号配線TPLLとの間に接続された複数の第1スイッチと、それぞれの駆動電極の一方の端部n1と信号配線TSVLとの間に接続された複数の第2スイッチによって構成することができる。この場合、対応する選択回路SELLからの選択信号によって、第1スイッチまたは第2スイッチがオン状態(導通状態)となる。これにより、選択された駆動電極の一方の端部n1に、第1電圧Vsまたは第2電圧Vdを供給することができる。同様に、駆動回路DRVRも、それぞれの駆動電極の他方の端部n2と信号配線TPLRとの間に接続された複数の第1スイッチと、それぞれの駆動電極の他方の端部n2と信号配線TSVRとの間に接続された複数の第2スイッチによって構成することができる。駆動回路DRVRを構成する複数の第1スイッチと第2スイッチを、対応する選択回路SELRからの選択信号によってスイッチング制御することにより、選択された駆動電極の他方の端部n2に第2電圧Vdまたは第1電圧Vsを供給する。
【0064】
本発明者らは、先ず、上記した第1スイッチおよび第2スイッチを同じサイズにすることを考えた。
【0065】
図7は、上記した複数の第1スイッチと第2スイッチを同じサイズにした場合の駆動回路DRVL、DRVRと駆動電極の構成を示す平面図である。図面が複雑になるのを避けるために、表示領域2において、辺2−Uと辺2−Dとの間に、縦方向に平行に配置された複数の駆動電極TL(0)〜TL(p)が、
図7(A)と
図7(B)に分けて描かれている。ここでは、辺2−U側に近接した駆動電極TL(0)〜TL(n)が、
図7(A)に示されており、辺2−D側に近接した駆動電極TL(n+1)〜TL(p)が、
図7(B)に示されている。
図7(A)を
図7(B)の上側に配置することにより、駆動電極TL(0)〜TL(p)の平面図が完成する。
【0066】
図7(A)および(B)において、信号配線TPLLと駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの一方の端部n1との間に接続されたスイッチが、駆動回路DRVLを構成する第1スイッチS10Lに該当する。また、信号配線TSVLと駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの一方の端部n1との間に接続されたスイッチが、駆動回路DRVLを構成する第2スイッチS11Lに該当する。同様に、
図7(A)および(B)において、信号配線TPLRと駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの他方の端部n2との間に接続されたスイッチが、駆動回路DRVRを構成する第1スイッチS10Rに該当する。また、信号配線TSVRと駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの他方の端部n2との間に接続されたスイッチが、駆動回路DRVRを構成する第2スイッチS11Rに該当する。なお、
図7では、一部の第1スイッチおよび第2スイッチに対してのみ、符合S10L、S11L、S10R、S11Rが付されている。
【0067】
また、本明細書において、信号配線TSVLを第3信号配線と称し、信号配線TPLRを第4信号配線と称する場合、信号配線TSVLに接続された第2スイッチS11Lを第3スイッチと称し、信号配線TPLRに接続された第1スイッチS10Rを第4スイッチと称する場合がある。
図7(A)および(B)に示すように、信号配線TSVL、TPLLは、駆動電極TL(0)〜TL(p)の一方(または他方)の端部n1の配列方向、すなわち表示領域2の辺2−Lに沿って延在しており、信号配線TSVR、TPLRは、駆動電極TL(0)〜TL(p)の他方(または一方)の端部n2の配列方向、すなわち表示領域2の辺2−Rに沿って延在している。
【0068】
図7(A)および(B)において、nVL、nVRは、信号配線TSVL、TSVRの駆動信号回路6に接続されている方の端部を示しており、nLL、nLRは、信号配線TPLL、TPLRの駆動信号回路6に接続されている方の端部を示している。すなわちこれらの端部の先は
図4で示した駆動信号回路6に接続されている。磁界発生期間において、制御装置3は、駆動信号回路6から信号配線TSVLの端部nVLおよび信号配線TSVRの端部nVRに、第2電圧Vdを有する駆動信号TSVを供給し、信号配線TPLLの端部nLLおよび信号配線TPLRの端部nLRに、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLを供給する。
【0069】
図7(A)には、辺2−U側に近接した駆動電極TL(4)の領域において磁界を発生する場合の第1スイッチS10L、S10Rおよび第2スイッチS11L、S11Rの状態が示されている。これに対して、
図7(B)には、辺2−D側に近接した駆動電極TL(p−4)の領域において磁界を発生する場合の第1スイッチS10L、S10Rおよび第2スイッチS11L、S11Rの状態が示されている。
【0070】
図7において、信号配線TSVL、TSVR、TPLL、TPLR上に示されているRは、それぞれの信号配線に付随する抵抗成分を、分布定数の抵抗として示している。図面が複雑になるのを避けるために、符合Rも、一部の抵抗についてのみ、付されている。
【0071】
図7(A)に示すように、駆動電極TL(4)の領域において磁界を発生するとき、駆動電極TL(1)〜TL(3)の端部n1、n2に接続された第1スイッチS10L、第2スイッチS11Rがオン状態となり、駆動電極TL(5)〜TL(7)の端部n1、n2に接続された第2スイッチS11L、第1スイッチS10Rがオン状態となる。これにより、駆動電極TL(1)〜TL(3)には、駆動電極TL(2)に例示しているような方向の電流I1Fが流れ、駆動電極TL(5)〜TL(7)には、駆動電極TL(6)に例示しているような方向の電流I2Fが流れることになり、駆動電極TL(4)の領域を中心に磁界が発生することになる。このとき、駆動電極TL(4)は、信号配線TSVL、TSVR、TPLL、TPLRとは接続されておらず、フローテイング状態となっている。
【0072】
同様に、
図7(B)に示すように、駆動電極TL(p−4)の領域において磁界を発生するとき、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)の端部n1、n2に接続された第1スイッチS10L、第2スイッチS11Rがオン状態となり、駆動電極TL(p−3)〜TL(p−1)の端部n1、n2に接続された第2スイッチS11L、第1スイッチS10Rがオン状態となる。これにより、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)には、駆動電極TL(p−6)に例示しているような方向の電流I1Nが流れ、駆動電極TL(p−3)〜TL(p−1)には、駆動電極TL(p−2)に例示しているような方向の電流I2Nが流れることになり、駆動電極TL(p−4)の領域を中心に磁界が発生することになる。このとき、駆動電極TL(p−4)も、信号配線TSVL、TSVR、TPLL、TPLRとは接続されておらず、フローテイング状態となっている。
【0073】
駆動電極TL(p−4)の領域において、磁界を発生する場合、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)およびTL(p−3)〜TL(p−1)は、駆動信号TPL、TSVが供給される信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの駆動信号回路6に接続される端部nLL、nLR、nVL、nVRに、平面視において近接しているため、これらの駆動電極の端部n1、n2と信号配線の端部との間に接続される抵抗Rは少なくなる。そのため、磁界発生期間において、端部nLL、nLR、nVL、nVRを流れる電流I1NL、I1NR、I2NL、I2Rとほぼ同じ値の電流が、電流I1N、I2Nとして、これらの駆動電極を流れることになる。これに対して、駆動電極TL(4)の領域において、磁界を発生する場合、駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)は、駆動信号回路6に接続された信号配線の端部nLL、nLR、nVL、nVRから、平面視において離れているため、これらの駆動電極の端部n1、n2と信号配線の端部との間に接続される抵抗Rが多くなる。そのため、磁界発生期間において、端部nLL、nLR、nVL、nVRを流れる電流I1NL、I1NR、I2NL、I2Rに比べて小さな値の電流が、電流I1F、I2Fとして、これらの駆動電極を流れることになる。
【0074】
駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)を流れる電流の値が、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)およびTL(p−3)〜TL(p−1)を流れる電流の値に比べ、小さくなるため、駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)によって発生する磁界が、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)およびTL(p−3)〜TL(p−1)によって発生する磁界に比べて弱くなる。その結果として、駆動電極TL(4)の領域において発生する磁界が、駆動電極TL(p−4)の領域において発生する磁界よりも弱くなる。すなわち、駆動信号回路6に接続された端部nLL、nLR、nVL、nVRから平面視において離れた位置に配置されている駆動電極によって発生する磁界は、端部nLL、nLR、nVL、nVRの近傍の位置に配置されている駆動電極によって発生する磁界よりも弱くなる。
【0075】
図8は、磁界発生期間において、駆動電極を流れる電流の値を示す特性図である。
図8は、本発明者らが測定して、作成した特性図である。
図8において、横軸は、駆動電極の位置を示しており、近端は、駆動信号TPL、TSVが供給される端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接して配置された駆動電極TL(p)を示しており、遠端は、端部nLL、nLR、nVL、nVRから離れて配置された駆動電極TL(0)を示している。駆動電極TL(p)からTL(0)の順に、信号配線の端部から離れて配置されている。
図8の縦軸は、駆動電極を流れている電流の値を示している。
図8から理解されるように、磁界発生期間においては、近端から遠端に向かって、駆動電極を流れる電流の値が小さくなっている。また、本発明者らが測定した結果では、近端の駆動電極を流れる電流の値は、遠端の駆動電極を流れる電流に対して、約3倍の値を有している。
【0076】
駆動電極を流れる電流の値が、近端から遠端に向かって小さくなると、発生する磁界も、近端から遠端に向かって弱くなる。そのため、磁界発生期間において、ペンPenの容量素子に蓄積される電荷量も、タッチしている位置によって異なることになる。その結果、磁界検出期間において、磁界検出コイルにより検出される変化量も変わることになり、検出感度が位置に依存してばらつくことになる。例えば、
図4に示したタッチ制御装置5において、受信した検出信号Rx(0)〜Rx(p)を調整することにより、検出感度のバラツキを低減し、位置に対して一定にすることが考えられるが、
図8に示すように、駆動電極を流れる電流が3倍も異なると、発生する磁界の変化が大きく、検出感度が一定となるように、調整するのは容易ではない。
【0077】
図9は、実施の形態1に係わる駆動回路DRVL、DRVRと駆動電極の構成を示す平面図である。図面が複雑になるのを避けるために、
図7と同様に、駆動信号TPL、TSVが供給される信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRから平面視において離れて配置された駆動電極TL(0)〜TL(n)および対応する駆動回路が、
図9(A)に示されている。また、平面視において、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接して配置された駆動電極TL(n+1)〜TL(p)および対応する駆動回路が、
図9(B)に示されている。
図9(A)を
図9(B)の上側に配置することにより、表示領域2の辺2−Uと辺2−Dの間に、縦方向に平行に配置された駆動電極TL(0)〜TL(p)と、それに対応する駆動回路DRVL、DRVRの平面図が完成する。なお、完成した平面図は、実際の配置に合わせて描かれている。
【0078】
図9(A)には、
図7(A)と同様に、駆動電極TL(4)の領域で磁界が発生するように、駆動電極TL(1)〜TL(3)に接続された第1スイッチS10Lおよび第2スイッチS11Rがオン状態にされ、駆動電極TL(5)〜TL(7)に接続された第2スイッチS11Lおよび第1スイッチS10Rがオン状態にされたときの状態が示されている。また、
図9(B)には、
図7(B)と同様に、駆動電極TL(p−4)の領域で磁界が発生するように、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)に接続された第1スイッチS10Lおよび第2スイッチS11Rがオン状態にされ、駆動電極TL(p−3)〜TL(p−1)に接続された第2スイッチS11Lおよび第1スイッチS10Rがオン状態にされたときの状態が示されている。
【0079】
この実施の形態1においては、駆動回路DRVLを構成する第1スイッチS10Lおよび第2スイッチS11Lと、駆動回路DRVRを構成する第1スイッチS10Rおよび第2スイッチS11Rのサイズが、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRに接続されている位置に応じて異なっている。駆動回路DRVLを構成する第1スイッチS10Lを例にして説明すると、平面視において、信号配線TPLLの端部nLLから離れた位置に接続されている第1スイッチから、端部nLLに近接した位置に接続されている第1スイッチに向けて、そのサイズが小さくされている。同様に、駆動回路DRVLを構成する第2スイッチS11L、駆動回路DRVRを構成する第1スイッチS10Rおよび第2スイッチS11Rも、それぞれが接続される信号配線TSVL、TPLRおよびTSVRにおいて、端部nVL、nLRおよびnVRから離れた位置に接続されているスイッチから、端部に近接した位置で接続しているスイッチに向けて、サイズが小さくされている。
【0080】
なお、
図9(A)および(B)では、第1スイッチおよび第2スイッチのサイズを、スイッチを示す記号において、○印間の距離で概念的に表している。すなわち、スイッチのサイズが大きくなるほど、スイッチ記号の○印間の距離が大きくなるように表している。これにより、平面視において、端部nLL、nVL、nLRおよびnVRから離れて接続されている第1スイッチおよび第2スイッチから、これらの端部に近接して接続されている第1スイッチおよび第2スイッチに向けて、スイッチのサイズが、次第に小さくなっていることが、スイッチを示す記号の○印間の距離によって、
図9では明示されている。
【0081】
第1スイッチS10L、S10Rおよび第2スイッチS11L、S11Rは、この実施の形態1においては、特に制限されないが、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(以下、トランジスタとも称する)によって構成されている。
図10は、トランジスタの構成を示す模式図である。
図10(A)は、トランジスタの平面図であり、
図10(B)は、トランジスタの断面図である。
【0082】
トランジスタは、
図10(B)に示すように、第1基板TGBに形成されたP型の半導体層PSBに形成されたN型半導体領域SE、DEと、ゲート絶縁膜GSOを介してP型の半導体層PSB上に形成されたゲート電極GEを備えている。N型半導体領域SEは、トランジスタのソースとして機能し、N型半導体領域DEは、トランジスタのドレインとして機能する。トランジスタのゲート電極GEに、上記した選択回路SELL(またはSELR)からの選択信号が供給され、ソースSE(またはドレインDE)が、信号配線(例えばTPLL)に接続され、ドレインDE(またはソースSE)が、駆動電極の端部n1(またはn2)に接続される。
【0083】
図10(A)において、A−A’の部分の断面が、先に説明した
図10(B)に示した断面を有している。
図10(A)において、Lは、ソース領域SEとドレイン領域DEとの間の長さを示すチャンネル長を表し、Wは、ソース領域SEおよびドレイン領域DEの幅を示すチャンネル幅を表している。この実施の形態1においては、チャンネル幅Wを変更することにより、トランジスタのサイズが変更される。すなわち、トランジスタのチャンネル幅Wを大きく(広く)することにより、トランジスタのサイズを大きくし、チャンネル幅Wを小さく(狭く)することにより、トランジスタのサイズを小さくする。
【0084】
この実施の形態1においては、第1スイッチS10L、S10Rおよび第2スイッチS11L、S11Rのサイズは、トランジスタのサイズを意味している。そのため、平面視において、信号線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRから離れて接続されているトランジスタから、これらの端部に近接して接続されているトランジスタに向けて、トランジスタのチャンネル幅が、小さくなっている。
【0085】
例えば、大きな(広い)チャンネル幅Wを有するトランジスタが、
図9(A)に示した駆動電極TL(1)の一方の端部n1と信号配線TPLLとの間に接続された第1スイッチS10Lを構成し、小さな(狭い)チャンネル幅Wを有するトランジスタが、
図9(B)に示した駆動電極TL(p−1)の一方の端部n1と信号配線TPLLとの間に接続された第1スイッチS10Lを構成する。また、駆動電極TL(p−1)に接続された第1スイッチS10Lを構成するトランジスタのチャンネル幅Wと、駆動電極TL(1)に接続された第1スイッチS10Lを構成するトランジスタのチャンネル幅Wとの間の大きさのチャンネル幅Wを有するトランジスタが、例えば、
図9(A)の示した駆動電極TL(n)の一方の端部n1と信号配線TPLLとの間に接続された第1スイッチS10Lを構成する。
【0086】
トランジスタは、そのゲート電極に供給される選択信号によってオン状態にされたとき、オン抵抗が、チャンネル幅Wの大きさによって変化する。すなわち、チャンネル幅Wを小さく(狭く)すると、オン抵抗が大きくなり、チャンネル幅Wを大きく(広く)すると、オン抵抗が小さくなる。
【0087】
磁界発生期間において、
図9(A)に示すように、駆動電極TL(1)〜TL(3)に接続された第1スイッチS10Lおよび第2スイッチS11Rがオン状態にされると、これらの第1スイッチおよび第2スイッチは、信号配線TPLL、TSVRの端部nLL、nVRから離れた位置に接続されているため、これらの第1スイッチおよび第2スイッチはサイズが大きく、オン抵抗が小さい。その結果、駆動電極TL(1)〜TL(3)の一方の端部n1と信号配線TPLLの端部nLLとの間の合成抵抗は小さくなり、これらの駆動電極の他方の端部n2と信号配線TSVRの端部nVRとの間の合成抵抗も小さくなる。
【0088】
同様に、駆動電極TL(5)〜TL(7)に接続された第1スイッチS10Rおよび第2スイッチS11Lがオン状態にされると、これらの第1スイッチおよび第2スイッチは、信号配線TPLR、TSVLの端部nLR、nVLから離れた位置に接続されているため、これらの第1スイッチおよび第2スイッチはサイズが大きく、オン抵抗が小さい。その結果、駆動電極TL(5)〜TL(7)の一方の端部n1と信号配線TPLRの端部nLRとの間の合成抵抗は小さくなり、これらの駆動電極の他方の端部n2と信号配線TSVLの端部nVLとの間の合成抵抗も小さくなる。
【0089】
これにより、駆動電極TL(1)〜TL(3)を流れる電流I1Fおよび駆動電極TL(5)〜TL(7)を流れる電流I2Fを大きくすることが可能となる。
【0090】
これに対して、磁界発生期間において、
図9(B)に示すように、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)に接続された第1スイッチS10Lおよび第2スイッチS11Rがオン状態にされると、これらの第1スイッチおよび第2スイッチは、信号配線TPLL、TSVRの端部nLL、nVRに近接して接続されているため、これらの第1スイッチおよび第2スイッチはサイズが小さく、オン抵抗が大きい。その結果、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)の一方の端部n1と信号配線TPLLの端部nLLとの間の合成抵抗は大きくなり、これらの駆動電極の他方の端部n2と信号配線TSVRの端部nVRとの間の合成抵抗も大きくなる。
【0091】
同様に、駆動電極TL(p−3)〜TL(p−1)に接続された第1スイッチS10Rおよび第2スイッチS11Lがオン状態にされると、これらの第1スイッチおよび第2スイッチは、信号配線TPLR、TSVLの端部nLR、nVLに近接した位置に接続されているため、これらの第1スイッチおよび第2スイッチのサイズは小さく、オン抵抗が大きい。その結果、駆動電極TL(p−3)〜TL(p−1)の一方の端部n1と信号配線TPLRの端部nLRとの間の合成抵抗は大きくなり、これらの駆動電極の他方の端部n2と信号配線TSVLの端部nVLとの間の合成抵抗も大きくなる。
【0092】
これにより、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)を流れる電流I1Nおよび駆動電極TL(p−3)〜TL(p−1)を流れる電流I2Nを小さくすることが可能となる。
【0093】
すなわち、信号配線に沿って接続される各スイッチのうち、駆動信号回路6に近く抵抗が少ない場所に接続されるスイッチのオン抵抗は大きく、駆動信号回路6から離れて抵抗が大きい場所に接続されるスイッチのオン抵抗は小さくなるようにスイッチのサイズを調節する。
【0094】
この結果、いずれの場所に配置された駆動電極においても信号配線から供給される電流の量が均一となるから平面視において、端部nLL、nLR、nVL、nVRから離れて配置されている駆動電極TL(4)において発生する磁界と、端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接して配置されている駆動電極TL(p−4)において発生する磁界の強度の差が低減される。これにより、磁界発生期間において、検出感度が、表示領域内の駆動電極の位置に依存して変化するのを低減することが可能となる。
【0095】
スイッチのオン抵抗はスイッチを構成するトランジスタのチャンネル長によって調節することもできる。トランジスタのチャンネル長Lが長いとスイッチのオン抵抗は大きくなるので、例えばチャンネル幅Wが同じ場合はチャンネル長Lが長い、すなわちW/L値が小さいトランジスタを信号配線の抵抗が小さい駆動信号回路6の近端に配置し、W/L値の大きなトランジスタを信号配線の抵抗が大きい駆動信号回路6の遠端に配置してもよい。この場合W/L値がスイッチのサイズに相当する。駆動信号回路に近接する信号配線に接続されるスイッチが、遠端に接続されるスイッチのサイズよりも小さければいいので、この時チャンネル幅Wは必ずしも一定でなくともよく、チャンネル長とともに適宜任意の値とすることができる。
【0096】
<磁界発生期間における合成抵抗内訳>
次に、磁界発生期間において、選択された駆動電極およびスイッチを含む合成抵抗の内訳を説明する。
図11は、実施の形態1に係わる駆動回路DRVL、DRVRと駆動電極の構成を示す平面図である。
図11は、
図9に類似しているが、
図11では、
図9(A)および(B)に示した駆動電極TL(n)〜TL(p−1)が省略されている。また、
図11は、
図5に示した表示モジュール500の配置に合わせて描かれている。
【0097】
図11では、信号配線TPLL、TPLR、TSVLおよびTSVRの端部nLL、nLR、nVLおよびnVRは、フレキシブルケーブルFB2の領域として示されている。すなわち、
図11は、制御装置3ではなく、
図5で述べた他の回路ブロックによって、駆動信号TPL、TSVが形成される場合を示している。そのため、
図5において説明したように、制御装置3によって覆われた部分(
図5の破線部)にも、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRが形成され、これらの信号配線は、フレキシブルケーブルFB2に接続されている。
【0098】
図11では、駆動信号TPL、TSVを形成する駆動信号回路6として電源回路7が用いられている。すなわち、
図11に示した信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRに、電源回路により形成された第1電圧Vsおよび第2電圧Vdが、駆動信号TPL、TSVとして供給される。この電源回路7は、特に制限されないが、フレキシブルケーブルFB2に搭載されている。
【0099】
図11においても、
図9と同様に、信号配線TPLLと駆動電極TL(0)〜TL(p)との間に第1スイッチが接続されている。
図11では、この第1スイッチの符合が、第1スイッチを示す符合と、接続している駆動電極の番号の組合せによって表されている。例えば、駆動電極TL(0)と信号配線TPLLとの間に接続された第1スイッチは、駆動電極の番号(0)と第1スイッチを示す符合S10Lとを組み合わせて、S10L(0)として表されている。他の第1スイッチおよび第2スイッチについても、同様である。また、第1スイッチおよび第2スイッチのサイズは、
図9と同様に、スイッチの記号において、○印間の距離によって表されている。平面視において、フレキシブルケーブルFB2から離れて接続されている第1スイッチS10L(0)、S10R(0)および第2スイッチS11L(0)、S11R(0)から、フレキシブルケーブルFB2に近接して接続されている第1スイッチS10L(p)、S10R(p)および第2スイッチS11L(p)、S11R(p)に向けて、第1スイッチおよび第2スイッチのサイズは、次第に小さくなっている。
【0100】
図11では、選択回路SELL、SELRによって、第1スイッチS10L(1)〜S10L(3)、S10R(5)〜S10R(7)および第2スイッチS11R(1)〜S11R(3)、S11L(5)〜S11L(7)が、オン状態にされ、
図9(A)と同様に、駆動電極TL(4)の領域で磁界を発生している。
【0101】
上記したように、第1スイッチおよび第2スイッチがオン状態となることにより、駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)のそれぞれを含む、複数の電流経路が形成される。
図11では、代表として、駆動電極TL(2)を含む電流経路が一点鎖線RC(2)で示され、駆動電極TL(6)を含む電流経路が二点鎖線RC(6)で示されている。磁界発生期間に形成される電流経路を、1周分流れる電流が、位置に依存せずに、等しくなるように、フレキシブルケーブルFB2に近接した第1スイッチおよび第2スイッチほど、サイズが小さくされている。言い換えるならば、それぞれの電流経路の合成抵抗が、互いに等しくなるように、第1スイッチおよび第2スイッチのオン抵抗が調整されている。例えば、
図11に示した電流経路RC(2)の1周分の合成抵抗と、電流経路RC(6)の1周分の合成抵抗が等しくなるように、駆動電極TL(2)に接続された第1スイッチS10L(2)および第2スイッチS11R(2)と、駆動電極TL(6)に接続された第1スイッチS10R(6)および第2スイッチS11L(6)のサイズが調整されている。
【0102】
電流経路RC(2)の合成抵抗に含まれる抵抗成分は、
図11に示す抵抗成分R、RTR、RT(2)、RDおよびRPとなる。同様に、電流経路RC(6)の合成抵抗に含まれる抵抗成分は、抵抗成分R、RTR、RT(6)、RDおよびRPとなる。ここで、破線で示した抵抗成分RT(2)、RT(6)は、駆動電極TL(2)、TL(6)の抵抗を示している。すなわち、駆動電極の端部n1、n2間の抵抗を示している。また、破線で示した抵抗成分RTRは、オン状態となっている第1スイッチまたは第2スイッチのオン抵抗を示している。
【0103】
抵抗成分Rと、破線で示した抵抗成分RD、RPについては、
図5を参照にして説明する。先ず、抵抗成分Rは、
図5に示した表示領域2の辺と表示モジュール500の長辺との間の領域を、縦方向に直線状に延在している信号配線の部分における抵抗成分を、分布定数的に表した抵抗成分である。例えば表示領域2の辺2−Lと表示モジュール500の長辺500−Lとの間の領域を、縦方向に直線状に延在している信号配線TPLLの部分の抵抗を、分布定数的に表した抵抗成分が、抵抗成分Rに相当する。他の信号配線TPLR、TSVLおよびTSVRのそれぞれの上に示した抵抗成分Rについても、同様である。
【0104】
抵抗成分RDは、表示領域2の辺と表示モジュール500の長辺との間の領域を、直線状に延在している信号配線の部分と、フレキシブルケーブルFB2との間を接続する信号配線に付随する抵抗成分を示している。ここでも、信号配線TPLLを例にして述べると、表示領域2の辺2−Lと表示モジュール500の長辺500−Lとの間の領域を、直線状に延在している信号配線TPLLの部分と、フレキシブルケーブルFB2とを接続する信号配線TPLLの引き出し部分の抵抗を示している。他の信号配線TPLR、TSVLおよびTSVRのそれぞれの上に示した抵抗成分RDについても、同様である。
【0105】
抵抗成分RPは、フレキシブルケーブルFB2を、第1基板TGBに実装するときの実装抵抗および電源回路の出力インピーダンスを示している。すなわち、抵抗成分RPは、電源回路によって形成される第1電圧の電源インピーダンスと第2電圧Vdの電源インピーダンスとを含んでいる。
【0106】
図12は、電流経路含まれる合成抵抗の内訳を示す図である。同図には、遠端に形成される電流経路と、近端に形成される電流経路の合成抵抗の内訳が示されている。ここで、近端に形成される電流経路は、フレキシブルケーブルFB2に近接して接続された第1スイッチおよび第2スイッチによって、駆動信号(第1電圧Vs、第2電圧Vd)が供給される駆動電極を含む電流経路を示している。近端に形成される電流経路としては、近端と調整後近端の2種類が、
図12に示されている。
図12において、近端として示した電流経路は、
図7で述べたように、第1スイッチおよび第2スイッチのそれぞれのサイズを同じにした場合を示しており、調整後近端として示した電流経路は、
図9、
図11に示したように、第1スイッチおよび第2スイッチのサイズを、遠端から近端に向けて、小さくした場合の電流経路を示している。
【0107】
図12では、遠端に形成される電流経路の合成抵抗を1として、抵抗成分の内訳を、棒の長さで表している。
図12に示した棒において、右上がりの斜線で埋めた部分は、抵抗成分Rの合成値を示し、右下がりの斜線で埋めた部分は、駆動電極の抵抗成分(
図12では、TL抵抗)を示している。また、棒において、ドットで埋めた部分は、第1スイッチまたは第2スイッチのオン抵抗RTR(
図12では、スイッチオン抵抗)を示し、菱形で埋められた部分は、引き出し部分の抵抗成分RDを示し、横線で埋められた部分は、実装抵抗および電源インピーダンスの抵抗成分RPを示している。
【0108】
図12に示すように、近端に形成される電流経路と遠端に形成される電流経路との間を見比べた場合、駆動電極の抵抗成分(TL抵抗)、第1スイッチまたは第2スイッチのオン抵抗(スイッチオン抵抗)、引き出し部分の抵抗成分RD(菱形で埋めた部分)および実装抵抗・電源インピーダンスの抵抗成分RP(横線で埋めた部分)の占有比は、ほぼ同じである。これに対して、表示領域2の辺2−L、2−Rに沿って配置されている部分の抵抗成分Rは、遠端に比べ、近端に形成される電流経路では、占有比が小さくなっている。実施の形態1においては、近端に形成される電流経路に含まれる第1スイッチおよび第2スイッチのサイズが小さくされ、そのオン抵抗が大きくされる。これにより、調整後近端として示すように、第1スイッチおよび第2スイッチのオン抵抗(ドットで埋めた部分)が大きくなり、第1スイッチおよび第2スイッチのオン抵抗の占有比が大きくなっている。その結果、近端に形成される電流経路と、遠端に形成される電流経路との間で、合成抵抗を、実質的に同じにすることが可能となる。
【0109】
磁界発生期間において、近端に形成される電流経路と、遠端に形成される電流経路との間で、実質的に合成抵抗を同じにすることにより、同じ値の電流が流れるようにすることが可能となる。その結果、検出感度が位置に依存して変化するのを低減ことが可能となる。また、
図11を例として述べると、磁界発生期間のとき、電流経路RT(2)およびRT(6)のそれぞれを流れる電流を、実質的に同じにすることが可能となる。その結果、駆動電極TL(1)〜TL(3)によって構成される束駆動電極が発生する磁界の強さと、駆動電極TL(5)〜TL(7)によって構成される束駆動電極が発生する磁界の強さとを、実質的に同じにすることが可能となる。
【0110】
(実施の形態2)
この実施の形態2においては、磁界タッチ検出および電界タッチ検出の両方に適した構成が提供される。
【0111】
本発明に係る表示装置は、表示領域に配置した駆動電極を磁界発生用の電極または電界発生用の電極として使用し、磁界タッチ検出と電界タッチ検出とを時分割で行うことができる。しかし、上述したように磁界と電界では発生原理が異なり、表示装置における駆動方法も異なる為、磁界タッチ検出と電界タッチ検出の双方に適したスイッチサイズの設計が求められる。
【0112】
この課題について
図13示した電界タッチ検出時の液晶モジュールの簡略図により説明する。
【0113】
電界タッチ検出のときには、信号配線TSVL、TSVRに沿って配置された複数の第2スイッチS11LおよびS11Rのうち、選択する駆動電極の一方の端部及び他方の端部に接続された第2スイッチS11LおよびS11Rをオン状態にする。このとき、信号配線TSVL、TSVRに、周期的に電圧が変化する駆動信号TSVを供給する。これにより、電界タッチ検出のときには、第2スイッチを介して、選択する駆動電極の両端部に、信号配線TSVLおよびTSVRから駆動信号TSVが電界駆動信号として供給されることになる。
【0114】
図13には、一番上側に配置された第2スイッチについてのみ、符合S11L、S11Rが付されており、他の第2スイッチについては符合が省略されている。また、
図13では、1個の駆動電極に接続されている第2スイッチS11L、S11Rの個数によって、それぞれのスイッチのサイズが示されている。すなわち、接続されているスイッチの数が多いほど、第2スイッチS11L、S11Rのサイズが大きいことを示している。また、
図13において、Rは、信号配線TSVL、STVRの抵抗を分布定数的に示す抵抗成分であり、Cp1は、信号配線TSVL,TSVRの容量を分布定数的に示す容量成分である。さらに、RT1は、駆動電極TL(0)〜TL(p)の抵抗を分布定数的に示す抵抗成分であり、Cp2は、駆動電極TL(0)〜TL(p)の容量を分布定数的に示す容量成分である。なお、
図13では、駆動電極TL(0)〜TL(2)およびTL(p−1)〜TL(p)に接続された第2スイッチが、全てオン状態になっているように示されているが、電界タッチ検出のときには、1個の駆動電極が、信号配線TSVL、TSVRに接続され、電界を発生する。
【0115】
図13では、実施の形態1で示したように、駆動信号回路6に接続された信号配線の端部に近い駆動電極に接続される第2スイッチのサイズは小さく、駆動信号回路6に接続された信号配線の端部に遠い駆動電極に接続される第2スイッチのサイズは大きくなっている。電界タッチ検出のとき、信号配線の端部に近接して配置された駆動電極には、端部から離れて配置された駆動電極に比べて、大きなオン抵抗を有する第2スイッチを介して、電界駆動信号TSVが供給されることになる。また、第2スイッチを構成するトランジスタのサイズ(例えば、
図10に示したチャンネル長L)は、駆動電極の長さに比べて十分に短いため、第2スイッチのオン抵抗は、駆動電極の容量(分布定数で表した容量成分Cp2の合成値)に対して集中定数の抵抗成分として作用する。そのため、信号配線の端部に近接して配置された駆動電極における信号変化は、端部から離れて配置された駆動電極における信号変化に比べると、遅くなり、劣化することになる。
【0116】
図9および
図11で示したように、磁界タッチ検出においては、磁界発生期間に発生する磁界の強度を上げる為に複数の駆動電極が束にして同時に駆動する。電界タッチ検出においても、複数の駆動電極を束として駆動することができるが、磁界タッチ検出時と同一の本数で束とするとは限らず、磁界タッチ検出時よりも多い本数または少ない本数で駆動することが考えられる。また、タッチ検出の解像度の観点から、駆動電極を束ねずに一本ずつ駆動することが考えられる。
【0117】
例えば
図9および
図11で示した磁界タッチ検出の時、1個の駆動電極(例えばTL(4))の領域で磁界を発生させるときと同一のタッチの解像度は電界タッチ検出では一本の駆動電極を駆動した時と同等になる。
【0118】
しかし、複数本の駆動電極を束ねる、すなわち隣接する第2スイッチ同士を同時に接続すると、その数に応じて第2スイッチのオン抵抗は下がることになるので、磁界タッチ検出の束ね本数に合わせて駆動信号回路6に接続された信号配線の端部に近接した第2スイッチのサイズを小さくした場合、電界タッチ検出において端部に近接した駆動電極を磁界タッチ検出よりも少ない本数で駆動する時の抵抗が高くなりタッチ検出性能が低下する場合がある。また表示領域内において電界タッチ検出の検出感度が不均一となる場合がある。
【0119】
<<磁界タッチ検出および電界タッチ検出における合成抵抗内訳>>
図14は、磁界タッチ検出の磁界発生期間において形成される電流経路の合成抵抗の内訳と、電界タッチ検出において形成される経路の合成抵抗の内訳を示す図である。
図14は、
図12と同様に、棒の長さによって、合成抵抗の内訳が示されている。
図14において、横軸に示した遠端TPと近端TPは、それぞれ磁界発生期間において、電源回路の出力端部から見たときの信号配線TSVL、TSVRの遠端と近端に形成された電流経路の合成抵抗を示しており、これは
図12と同一の値である。また、
図14の横軸において、遠端TCは、電界タッチ検出のときに、信号配線TSVL、TSVRの端部(電源回路の出力端部)から離れて接続された第2スイッチS11L、S11Rがオン状態となることによって形成される経路の合成抵抗を示している。また、近端TCは、電界タッチ検出のときに、信号配線TSVL、TSVRの端部に近接して接続された第2スイッチS11L、S11Rがオン状態となることによって形成される経路の合成抵抗を示している。
【0120】
遠端TCは、例えば
図13に示した駆動電極TL(0)と信号配線TSVL、TSVRとの間に接続された第2スイッチS11L、S11Rがオン状態にされたときに形成される経路の合成抵抗を示している。この場合の経路は、
図13に示した信号配線TSVL、第2スイッチS11L、駆動電極TL(0)、第2スイッチS11Rおよび信号配線TSVRが直列的に接続された経路を含むことになる。また、近端TCは、例えば
図13に示した駆動電極TL(p)と信号配線TSVL、TSVRとの間に接続された第2スイッチS11L、S11Rがオン状態にされたときに形成される経路の合成抵抗を示している。この場合の経路は、
図13に示した信号配線TSVL、第2スイッチS11L、駆動電極TL(p)、第2スイッチS11Rおよび信号配線TSVRが直列的に接続された経路を含むことになる。
【0121】
図14において、遠端TPと遠端TCを比べると、遠端TCにおいては、TL抵抗とスイッチオン抵抗の占有比が大きくなっているため、遠端TCの方が、遠端TPに比べて合成抵抗が、大きくなっている。遠端TPにおいては、磁界発生期間のとき、複数の駆動電極が束として、信号配線に接続されるのに対して、遠端TCでは、1個の駆動電極が、信号配線に接続されるため、
図14に示すような差が生じている。同様の理由で、近端TPと近端TCを比べた場合にも、近端TCにおいては、TL抵抗とスイッチオン抵抗の占有比が大きくなっているため、近端TCの方が、近端TPに比べて合成抵抗が、大きくなっている。
【0122】
遠端TCと近端TCを比べた場合、第2スイッチS11L、S11Rのサイズが、実施の形態1で述べたように、フレキシブルケーブルFB2から離れた接続位置から近接した接続位置に向けて小さくされ、第2スイッチS11L、S11Rのオン抵抗が大きくなるように調整されている。そのため、スイッチオン抵抗の占有比が大きくなり、近端TCの合成抵抗が、遠端TCの合成抵抗よりも大きくなっている。また、電界タッチ検出においては、駆動電極は束にされないため、遠端TPに比べて3倍に近い抵抗値を有している。
【0123】
このように、磁界タッチ検出の検出感度に合わせて第1スイッチおよび第2スイッチを、フレキシブルケーブルFB2(または信号配線の端部)から離れた接続位置から、近接した接続位置に向かって、オン抵抗が大きくなるように、そのサイズを調整すると、電界タッチ検出の検出感度が表示領域内の駆動電極の場所によって不均一となる。
【0124】
<駆動回路DRVL、DRVRの構成>
図15は、実施の形態2に係わる駆動回路DRVL、DRVRと駆動電極の構成を示す平面図である。
図15(A)は、
図9(A)と同様に、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRから離れて配置された駆動電極および対応する駆動回路の平面図を示しており、
図15(B)は、端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接して配置された駆動電極および対応する駆動回路の平面図を示している。
【0125】
この実施の形態2においても、
図4に示した制御装置3は、磁界タッチ検出のときには、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLを信号配線TPLL、TPLRの端部nLL、nLRへ供給し、高い第2電圧を有する駆動信号TSVを信号配線TSVL、TSVRの端部nVL、nVRに供給する。
【0126】
一方、電界タッチ検出のとき、制御装置3は、周期的に電圧が変化する駆動信号TSVを形成して、信号配線TSVL、TSVRの端部nVL、nVRに供給する。このときの駆動信号TSVの電圧は、特に制限されないが、第1電圧Vsと第2電圧Vdとの間で変化する。また、制御装置3は、電界タッチ検出のときには、特に制限されないが、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLを形成して、信号配線TPLL、TPLRの端部nLL、nLRに供給する。
【0127】
実施の形態2においては、それぞれの駆動電極に接続可能な第1スイッチS10L、S10Rのサイズが信号配線の遠端と近端とで異なり、第2スイッチS11L、S11Rのサイズは、それぞれの駆動電極に対して等しくなるようにする。すなわち、電界タッチ検出のときに駆動信号(電界駆動信号)TSVが供給される信号配線TSVL、TSVRに接続される第2スイッチS11L、S11Rのサイズのみを信号配線TSVL、TSVRの端部nVL、nVRからの距離にかかわらず同一にする。
【0128】
これにより、第1スイッチS10L、S10Rのサイズを信号配線の端部nLL、nLRからの距離に応じて大きくしているので磁界タッチ検出における検出感度のばらつきが改善されるとともに、第2スイッチS11L、S11Rのサイズは同一なので電界タッチ検出時においても検出感度のばらつきが起こりにくい。すなわち磁界タッチ検出と電界タッチ検出の双方の動作において、駆動電極の配置場所による検出感度のばらつきを抑制できる。
【0129】
<磁界タッチ検出および電界タッチ検出の動作>
次に、実施の形態2に係わる表示装置における磁界タッチ検出および電界タッチ検出の動作を説明する。ここでは、
図15に示した駆動電極のうち、代表として駆動電極TL(0)〜TL(8)を用いて説明する。
【0130】
図16は、実施の形態2に係わる駆動回路と駆動電極の構成を示す平面図である。
図16では、
図11と同様に第1スイッチのサイズがフレキシブルケーブルFB2から離れた第1スイッチS10L(0)、S10R(0)から、近接した第1スイッチS10L(p)、S10R(p)に向けて徐々に小さくなっている。また、
図11と異なり第2スイッチS11L(0)〜S11(p)、S11R(0)〜S11(p)のサイズが、平面視で見たとき、フレキシブルケーブルFB2からの距離とは無関係に、等しくなっている。
【0131】
図16においても、
図11と同様に、電源回路7が、駆動信号TPLおよびTSVを形成し、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRに供給する。電源回路7は、フレキシブルケーブルFB2に実装されており、電源回路7の出力部が、
図15に示した信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRに相当する。
【0132】
図16において、第1選択信号SS10L(0)〜SS10L(8)およびSS10L(p)、第2選択信号SS11L(0)〜SS11L(8)およびSS11L(p)が、
図4に示した選択回路SELLから出力される。同様に、第1選択信号SS10R(0)〜SS10R(8)およびSS10R(p)、第2選択信号SS11R(0)〜SS11R(8)およびSS11R(p)が、
図4に示した選択回路SELRから出力される。
【0133】
選択回路SELLから出力される第1選択信号SS10L(0)〜SS10L(8)、SS10L(p)および第2選択信号SS11L(0)〜SS11L(8)、SS11L(p)は、表示領域の辺2−Lに沿って配置された信号配線TPLL、TSVLと接続される第1スイッチS10L(0)〜SS10L(8)、S10L(p)および第2スイッチS11L(0)〜S11L(8)、S11(p)を制御し、対応する駆動電極に接続する。同様に、選択回路SELRから出力される第1選択信号SS10R(0)〜SS10R(8)、SS10R(p)および第2選択信号SS11R(0)〜SS11R(8)、SS11R(p)は、表示領域の辺2−Rに沿って配置された信号配線TPLR、TSVRと接続される第1スイッチS10R(0)〜S10R(8)、S10R(p)および第2スイッチS11R(0)〜S11R(8)、S11(p)を制御し、対応する駆動電極に接続する。特に制限されないが、第1スイッチおよび第2スイッチは、対応する第1選択信号および第2選択信号が、ハイレベルのとき、オン状態となり、ロウレベルのとき、オフ状態となる。駆動電極TL(0)を例にして説明したが、残りの駆動電極のそれぞれについても同様である。
【0134】
<<磁界タッチ検出の動作>>
図17は、実施の形態2に係わる磁界タッチ検出の動作を説明するための波形図である。
図17には、表示と磁界タッチ検出が、交互に行われる場合が示されている。
図17において、DPは、表示期間を示し、TP(4)およびTP(5)は、磁界タッチ検出期間を示している。磁界タッチ検出期間TP(4)は、駆動電極TL(4)の領域を中心に磁界を発生し、ペンPen(
図2)によるタッチを検出する期間を示している。磁界タッチ検出期間TP(4)の後に配置される表示期間DPにおいて、表示領域2に画像表示が行われる。表示期間Dに続いて、駆動電極TL(4)と隣り合った駆動電極TL(5)の領域を中心に磁界を発生し、ペンPenによるタッチを検出する磁界タッチ検出期間TP(5)が配置される。
【0135】
この実施の形態2においては、表示期間および磁界タッチ検出期間のとき、信号配線TPLL、TPLRに供給される駆動信号TPLは、第1電圧Vsに維持され、信号配線TSVL、TSVRに供給される駆動信号TSVは、第2電圧Vdに維持される。この時駆動電極TL(0)〜TL(p)を表示用の共通電極として使用し第1電圧Vsを共通電位とすることができる。
【0136】
図17において、時刻t0から時刻t1の間は、表示期間DPであり、表示が行われる。時刻t1に到達すると、制御装置3は、磁界タッチ検出期間TP(4)を開始する。磁界タッチ検出期間TP(4)は、
図2で説明したように、磁界発生期間TGDと磁界検出期間TDDとを備えている。
【0137】
タッチ検出期間TP(4)の磁界発生期間TGDにおいて、制御装置3は、駆動電極TL(4)の領域を中心に磁界を発生するように、制御信号CNTL、CNTR(
図4)によって選択回路SELL、SELRを制御する。この制御により、選択回路SELL、SELRは、駆動電極TL(4)を挟むように配置されている駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)を選択する第1選択信号および第2選択信号を出力する。
【0138】
図17では、図面が複雑になるのを避けるために、駆動電極TL(2)、TL(4)およびTL(6)に対応する第1選択信号および第2選択信号のみが示されている。タッチ検出期間TP(4)においては、駆動電極TL(1)およびTL(3)は、駆動電極TL(2)と同様に選択され、駆動電極TL(5)およびTL(7)は、駆動電極TL(6)と同様に選択されるため、ここでは、駆動電極TL(2)およびTL(4)を代表として、説明する。
【0139】
選択回路SELLおよびSELRは、選択する駆動電極に対応した第1選択信号および第2選択信号の電圧を、磁界発生期間TGDの間、2回以上の複数回変化させる。この場合、選択回路SELLは、第1選択信号と第2選択信号とが、互いに相補的になるように、変化させる。すなわち、第1選択信号をハイレベル(またはロウレベル)にするときには、第2選択信号をロウレベル(またはハイレベル)にする。選択回路SELRも、同様に、第1選択信号と第2選択信号が、互いに相補的になるように、変化させる。さらに、選択回路SELLが、第1選択信号(または第2選択信号)をハイレベルにするとき、選択回路SELRは、第2選択信号(または第1選択信号)をハイレベルにするように、変化させる。
【0140】
図17では、時刻t2から時刻t3の間、選択回路SELLは、第2選択信号SS11L(2)および第1選択信号SS10L(6)をハイレベルにし、第1選択信号SS10L(2)および第2選択信号SS11L(6)をロウレベルにする。また、この期間、選択回路SELRは、第1選択信号SS10R(2)および第2選択信号SS11R(6)をハイレベルにし、第1選択信号SS10R(6)および第2選択信号SS11R(2)をロウレベルにする。これにより、
図16に示した駆動電極TL(2)の一方の端部n1は、第2スイッチS11L(2)を介して信号配線TSVLに接続され、他方の端部n2は、第1スイッチS10R(2)を介して信号配線TPLRに接続されることになる。このとき、駆動電極TL(6)の一方の端部n1は、第1スイッチS10L(6)を介して信号配線TPLLに接続され、他方の端部n2は、第2スイッチL11R(6)を介して信号配線TSVRに接続されることになる。
【0141】
信号配線TSVL、TSVRには、第2電圧Vdが供給され、信号配線TPLL、TPLRには、第1電圧Vsが供給されているため、駆動電極TL(2)の一方の端部n1および駆動電極TL(6)の他方の端部n2には、第2電圧Vdが供給され、駆動電極TL(2)の他方の端部n2および駆動電極TL(6)の一方の端部n1には、第1電圧Vsが供給された状態となる。駆動電極TL(1)、TL(3)は、駆動電極TL(2)と同じ状態となり、駆動電極TL(5)、TL(7)は、駆動電極TL(6)と同じ状態になる。そのため、駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)は、
図6(B)に示した状態となり、駆動電極TL(4)の領域において、磁界が発生することになる。
【0142】
次に、時刻t3〜t4の間では、
図17に示すように、選択回路SELL、SELRは、第1選択信号SS10L(2)、SS10R(6)および第2選択信号SS11R(2)、SS11L(6)をハイレベルにし、第1選択信号SS10R(2)、SS10L(6)および第2選択信号SS11L(2)、SS11R(6)をロウレベルにする。これにより、駆動電極TL(2)およびTL(6)に接続された第1スイッチS10L(2)、S10R(6)および第2スイッチS11R(2)、S11L(6)が、
図16に示すようにオン状態となる。駆動電極TL(1)、TL(3)は、駆動電極TL(2)と同じ状態になり、駆動電極TL(5)、TL(7)は、駆動電極TL(6)と同じ状態になる。そのため、駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)は、
図6(A)に示した状態になり、駆動電極TL(4)において磁界が発生することになる。
【0143】
以降、磁界発生期間TGDにおいては、上記した動作が繰り返され、その都度、駆動電極TL(4)の領域で磁界が発生することになる。
図17では、第1選択信号および第2選択信号を4回変化させる例を示したが、これに限定されるものではなく、1回でもよいし、2回以上変化させるようにしてもよい。
【0144】
時刻t7から時刻t8は、磁界検出期間TDDに割り当てられており、この磁界検出期間TDDにおいて、
図2(B)で示したように、検出電極を用いて、ペンPenからの磁界が検出される。
【0145】
なお、磁界タッチ検出期間TP(4)のとき、選択する駆動電極を除いた駆動電極、例えば駆動電極TL(4)に接続された第1スイッチS10L、S10Rおよび第2スイッチS11L、S11Rには、ロウレベルの第1選択信号SS10L(4)、SS10R(4)およびロウレベルの第2選択信号SS11L(4)、SS11R(4)が供給され、第1スイッチおよび第2スイッチはオフ状態となっている。これにより、選択した駆動電極の電圧が変化する際に、充放電する容量を低減することが可能となる。
【0146】
磁界タッチ検出期間TP(5)に移ると、制御装置3は、駆動電極TL(5)の領域で磁界を発生するように、この駆動電極TL(5)を挟むように配置された駆動電極TL(2)〜TL(4)およびTL(6)〜TL(8)を選択するような第1選択信号および第2選択信号を形成するように、選択回路SELL、SELRを制御する。これにより、磁界発生期間TGDにおいて、駆動電極(2)〜TL(4)およびTL(6)〜TL(8)に対応する第1選択信号および第2選択信号を、上記したのと同様に、複数回変化させて、磁界を発生させる。その後、磁界検出期間TDDにおいて、ペンPenからの磁界を検出する。以降、上記した動作を繰り返すことにより、ペンPenのタッチを検出し、タッチした座標の抽出が行われる。
【0147】
<<電界タッチ検出の動作>>
次に、電界タッチ検出の動作を説明する。
図18は、実施の形態2に係わる電界タッチ検出の動作を示す波形図である。ここでも、表示と電界タッチ検出が交互に行われる場合を説明する。
図18では、駆動電極TL(4)の領域において指のタッチを検出する電界タッチ検出期間TC(4)と駆動電極TL(5)の領域において指のタッチを検出する電界タッチ検出期間TC(5)の波形が示されている。なお、DPは、
図17と同様に、表示期間を示している。また、
図18には、
図17と同様に、駆動電極に対応した第1選択信号および第2選択信号のうち、駆動電極TL(2)、TL(4)およびTL(6)に対応した第1選択信号および第2選択信号のみが示されている。なお、
図18において、第2選択信号に記載されているLは、ロウレベルを意味している。
【0148】
電界タッチ検出のとき、電界タッチ検出期間において、電源回路から出力される駆動信号TSVが、周期的に変化するように、制御装置3が電源回路を制御する。また、電源回路は、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLを出力する。勿論、制御装置3が、電界タッチ検出期間において、周期的に変化する駆動信号TSVと、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLを形成するようにしてもよい。
【0149】
時刻t0から時刻t1の間において、表示が行われ、時刻t1において、電界タッチ検出期間TC(4)に移行すると、制御装置3は、選択する駆動電極に対応する第2選択信号をハイレベルにし、非選択の駆動電極に対応する第1選択信号をハイレベルするように、制御信号CNTL、CNTRによって、選択回路SELL、SELRを制御する(
図4)。この制御により、選択回路SELLおよびSELRは、時刻t2において、選択する駆動電極TL(4)に対応する第2選択信号SS11L(4)およびSS11R(4)をハイレベルにし、第1選択信号SS10L(4)およびSS10R(4)をロウレベルにする。
【0150】
また、選択回路SELLおよびSELRは、時刻t2において、非選択の駆動電極TL(2)に対応する第1選択信号SS10L(2)およびSS10R(2)をハイレベルにし、第2選択信号SS11L(2)およびSS11R(2)をロウレベルにする。同様に、時刻t2において、非選択の駆動電極TL(6)に対応する第1選択信号SS10L(6)およびSS10R(6)をハイレベルにし、第2選択信号SS11L(6)およびSS11R(6)をロウレベルにする。
【0151】
駆動電極TL(4)に対応する第2選択信号SS11L(4)、SS11R(4)がハイレベルとなることにより、駆動電極TL(4)の一方の端部n1は、第2スイッチS11L(4)を介して信号配線TSVLに接続され、他方の端部n2は、第2スイッチS11R(4)を介して信号配線TSVRに接続される。この信号配線TSVL、TSVRには、周期的に電圧が変化する駆動信号(電界駆動信号)TSVが供給されているため、選択された駆動電極TL(4)の両端部n1、n2には、第2スイッチS11L(4)、S11R(4)を介して、周期的に変化する駆動信号が供給されることになるため、この駆動信号変化に従って変化する電界を発生することになる。
【0152】
電界タッチ検出期間TC(4)においては、指によって電界が変化しているか否かが、
図3で説明したように検出される。これにより、指のタッチを検出することが可能となる。
【0153】
また、特に限定されるものではないが、電界タッチ検出期間TC(4)において、非選択の駆動電極(例えば、TL(2))は、その両端部n1、n2と信号配線TPLL、TPLRとの間に接続された第1スイッチ(例えばS10L(2)、S10R(2))がオン状態となり駆動信号TPLが供給される。その結果、ノイズが発生することを抑制することが可能となる。また、この実施の形態2において、制御装置3は、電界タッチ検出期間のとき、信号線SL(0)〜SL(p)を所定の電圧に固定してもよい。これにより、さらにノイズの発生が低減される。
【0154】
時刻t3において、選択回路SELL、SELRは、第1選択信号および第2選択信号をロウレベルにし、時刻t4において、電界タッチ検出期間TC(4)が終わる。その後、表示期間DPおよび電界タッチ検出期間を経過して、時刻t5に到達すると、電界タッチ検出期間TC(6)に移行する。電界タッチ検出期間TC(6)においては、駆動電極TL(6)が選択され、この選択された駆動電極に対応する第2選択信号がハイレベルにされ、残りの駆動電極に対応した第1選択信号がハイレベルにされる。これにより、電界タッチ検出期間TC(4)のときと同様に、選択された駆動電極TL(6)において電界が発生し、指のタッチが検出される。以降、同様にして、電界タッチ検出が行われることになる。
【0155】
なお、
図16に示した駆動電極TL(1)〜TL(3)は、第1の駆動電極と見なし、駆動電極TL(5)〜TL(7)は、第2の駆動電極と見なし、駆動電極TL(4)は、第3の駆動電極と見なすことができる。磁界発生期間のとき、第3の駆動電極の領域を中心にして、第1の駆動電極および第3の駆動電極によって発生した磁界が重畳することになる。
図18では、駆動電極TL(4)およびTL(5)を用いて、電界タッチ検出を説明したが、勿論、駆動電極TL(1)〜TL(3)等においても、同様にして、電界タッチ検出が行われる。実施の形態においては、磁界タッチ検出のとき、隣接した3個の駆動電極が第1の駆動電極(第2の駆動電極)として用いられる。これに対して、電界タッチ検出のときには、1個の駆動電極が用いられる。すなわち、同時に駆動信号が供給される駆動電極の本数が、電界タッチ検出のときに比べて、磁界タッチ検出のときは、多くなっている。
【0156】
実施の形態1および2においては、
図5で説明したように、表示領域2の辺2−Lと表示モジュール500の長辺500−Lとの間に、第1スイッチおよび第2スイッチを有する駆動回路DRVLが配置され、表示領域2の辺2−Rと表示モジュール500の長辺500−Rとの間に、第1スイッチおよび第2スイッチを有する駆動回路DRVRが配置される。長辺側に額縁に、部品および/または配線を追加しなくても、駆動回路DRVL、DRVRを構成するスイッチのサイズを調整するだけで、位置に依存した検出感度の変化を低減することが可能である。そのため、長辺側の額縁が大きくなるのを防ぐことが可能となる。
【0157】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例及び修正例に想到し得るものであり、それら変形例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0158】
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0159】
例えば、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRは、縦方向に延在し、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置されている場合を説明したが、縦方向および横方向は、見る視点により変化する。見る視点を変えて、信号配線および駆動電極の延在方向が変わっても、本発明の範囲に含まれるものである。また、本明細書で用いている「平行」とは、互いに一端から他端に亘るまで交わることなく延在することを意味する。そのため、一方の線(あるいは電極)の一部又は全部が他方の線(あるいは電極)に対して傾いた状態で設けられていたとしても、これらの線が一端から他端まで交わるものでなければ、本明細書においては、この状態も「平行」であるとする。