特許第6647306号(P6647306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647306
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】表面を処理するための装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/47 20060101AFI20200203BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   G01N21/47 Z
   G01N21/27 B
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-536250(P2017-536250)
(86)(22)【出願日】2016年1月11日
(65)【公表番号】特表2018-509595(P2018-509595A)
(43)【公表日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】EP2016050337
(87)【国際公開番号】WO2016116309
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2018年11月16日
(31)【優先権主張番号】102015100977.3
(32)【優先日】2015年1月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592022394
【氏名又は名称】フォルヴェルク・ウント・ツェーオー、インターホールディング・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】VORWERK & COMPAGNIE INTERHOLDING GESELLSHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100146950
【弁理士】
【氏名又は名称】南 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】ビンドルフェル、ハラルド
【審査官】 中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−030042(JP,A)
【文献】 特開平07−163493(JP,A)
【文献】 特開平07−051207(JP,A)
【文献】 特開2014−113488(JP,A)
【文献】 米国特許第05864394(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
21/17−21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面(2)を処理するための掃除ロボット(1)であって、
前記掃除ロボット(1)が、前記表面(2)の種類を決定するための光学測定装置(3)を備え、
前記光学測定装置(3)が、光源(4)と少なくとも第1の光センサ(5)および第2の光センサ(6)とを有し、
前記光源(4)によって放たれた光が入射角(α)で前記表面(2)の反射点(7)に当たり、それから対応する反射角(β)で前記第1の光センサ(5)に反射されるように、前記光源(4)と前記第1の光センサ(5)とが配置されており、
前記光源(4)と前記反射点(7)と前記第1の光センサ(5)とが、入射平面(8)に位置し、
前記反射点(7)と交差し、前記第2の光センサ(6)を持つ第2の平面(9)が、前記表面(2)に対して直角に位置し、前記入射平面(8)に対して80°と100°の間の角度(δ)をなし、
前記反射点(7)と前記第2の光センサ(6)を結ぶ直線が、前記表面(2)に対して、前記入射角(α)または前記反射角(β)と基本的に同じ大きさである角度(γ)をなす、
ことを特徴とする掃除ロボット(1)。
【請求項2】
前記入射角(α)と前記反射角(β)と前記角度(γ)とが、それぞれ30°と45°の間であることを特徴とする請求項1に記載の掃除ロボット(1)。
【請求項3】
前記角度(δ)が、90°であることを特徴とする請求項1または2に記載の掃除ロボット(1)。
【請求項4】
前記光源(4)が、多色光源、特に白色光源であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の掃除ロボット(1)。
【請求項5】
前記光センサ(5,6)が、波長選択的であるように設計され、特にRGBセンサであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の掃除ロボット(1)。
【請求項6】
掃除ロボット(1)によって表面(2)を掃除する方法であって、
前記掃除ロボット(1)が、光学測定装置(3)を用いて前記表面(2)の種類を決定し、前記掃除ロボット(1)の機能として処理する種類を調節し、
光が、入射平面(8)の内側で、光源(4)から前記表面(2)の反射点(7)へ入射角(α)で放射され、当該反射点(7)から第1の光センサ(5)へ対応する反射角(β)で反射され、
第2の光センサ(6)が第2の平面(9)内に配置され、当該第2の平面(9)が前記表面(2)に対して直角に位置し、前記反射点(7)と交差し、前記入射平面(8)に対して80°と100°の間の角度(δ)をなし、前記反射点(7)と前記第2の光センサ(6)を結ぶ直線が前記表面(2)に対して前記入射角(α)または前記反射角(β)と基本的に同じ大きさである角度(γ)をなす、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記表面(2)の種類を決定するための請求項6に記載の方法であって、
前記光源(4)を消灯し、前記第1の光センサ(5)と前記第2の光センサ(6)とを用いて光強度を測定するステップと、
前記光源(4)を点灯し、前記第1の光センサ(5)を用いて光強度を測定するステッ
プと、
前記光源(4)を点灯し、前記第2の光センサ(6)を用いて光強度を測定するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記光センサ(5,6)によって測定された光強度が、既知の表面(2)に対する対応する参照強度と比較されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記光源(4)が、多色光を放つことを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
前記表面(2)から前記光センサ(5,6)に到達する光が、スペクトルでフィルタリングされることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を処理するための装置、特に掃除ロボットに関する。その装置は表面の種類を決定するための光学測定装置を有する。
【背景技術】
【0002】
この種類の装置は、先行技術においてよく知られている。ここで、例えば、真空掃除ロボットまたは拭き掃除ロボットが含まれる。それらは、掃除対象である表面を自動的に横切り、従って真空掃除、拭き掃除などのような掃除タスクを実行することができる。表面のそれぞれの種類に応じて処理の種類を調節するために、光学測定装置が提供され、それは処理作業に先立ってまず表面の種類を決定する。結果として、例えば、部屋の特定のエリアの表面がその目的に適合しないので、そのエリアは処理から除外される。例えば、カーペットをウエットクリーニングから除外する拭き掃除ロボットが提供されることができる。更に、例えば、真空掃除ロボットにおいてファンのパワーとブラッシングパワーがそれぞれの表面に対して調節されることができる。同様に、シールリップまたはサポートローラーがそれぞれの表面の関数として調節されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先行技術において、表面の種類を決定するために様々な光学測定装置が知られている。しばしば映像測定装置が使われる。それらは、表面の映像を記録するためにカメラシステムを使用し、それを参照映像または参照特徴と比較する。カメラシステムおよび映像を評価する映像処理のための技術的費用は相応に高い。また、表面の光沢を測定する光沢計が知られている。ここで、そのデメリットは、測定されるべき表面が周辺光から完全に遮蔽されているならば、これらの測定装置が信頼できる測定結果を与えるということである。この点において、そのような測定装置は、より高額の装備費用を必要とする。
【0004】
従って、本発明の目的は、技術的費用が低く、信頼できるように表面の種類を決定することができる、表面の種類を決定するための光学測定装置を備えた表面処理装置を作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
解決策として、本発明は、表面を処理するための装置を提案する。その装置において、光学測定装置が光源と少なくとも2つの光センサとを有する。その光源によって放たれた光がある入射角で表面の反射点に当たり、それから対応する反射角で第1の光センサに反射されるように、光源と第1の光センサとが配置されている。光源と反射点と第1の光センサとは、入射平面に位置する。そして、反射点と交差し、第2の光センサを持つ第2の平面が、表面に対して直角に位置し、入射平面に対して80°と100°の間の角度をなす。反射点と第2の光センサを結ぶ直線は、表面に対して入射角または反射角と基本的に同じ大きさである角度をなす。
【0006】
本発明によれば、今では第1の光センサと第2の光センサは様々な光の強度を測定するために使用される。第1の光センサは光源によって放たれて反射点によって反射される光の成分を測定し、第2の光センサは拡散して散乱する光成分を測定する。ここで、散乱される光成分は、(特に、表面が滑らかでないならば)反射点で光源によって放射される光の成分と、周辺光(例えば、室内の天井灯)の成分との両方であることができる。この方法で構成される光学測定装置は、全体ではいわゆるフォンの照明モデルに従う測定方法を実行するために適している。フォンの照明モデルは異なる状態の下で複数の光センサによって測定された強度を評価する。フォンの照明モデルは、物体の照明を計算するために3次元コンピュータグラフィックスに対して使用される照明モデルである。フォンのモデルは、滑らかな表面の照明を計算するために知られている。驚いたことに、本発明の枠組みの中で、このモデルはまた滑らかな表面と滑らかでない表面の間で識別するために適することが発見された。この照明モデルは、基本的に物理的原理に基づかない、実験に基づいたモデルを含む。それにもかかわらず、それは表面の種類を確実に識別するために適する。
【0007】
本発明によれば、光学測定装置は、フォンの照明モデルに基づいて考慮される光成分が測定されることができるようにここに構成される。一方では、これは反射点で反射された、放射された光の光成分を含む。光源と反射点と第1の光センサとは入射平面に位置するが、第2の光センサと反射点とは入射平面に垂直であって、また表面に垂直に位置する第2の平面内に配置される。第2の平面と入射平面とは80°と100°の間の角度に及ぶ。第1の光センサまたは第2の光センサによって測定された光成分がそれらの強度に関してお互いに比較できるように、第1の光センサと第2の光センサが表面に対して同じ角度で配置されることが気付かれるべきである。特に、第1の光センサと第2の光センサとが反射点に対して同じ距離を持つことが推奨される。結果として、測定精度を更に高めることができる。特に、第1の光センサと第2の光センサは表面に平行である共通の平面内に配置されることができる。また、測定の設定を特に容易にかつ素早く調節することができるように、光センサは有利に同じ平面内にある。特に、これは、光学測定装置、および従って処理装置の早くてコスト効率の良い製造を促進する。
【0008】
入射角と反射角と表面に対する第2の光センサの角度とが各々30°と45°の間であることが推奨される。周辺光は通常表面に対してより高い入射角を持つので、このようにして、光測定装置の光源によって放たれた光は周辺光、例えば室内の天井灯から区別されることができる。
【0009】
入射平面と第2の平面の間の角度は、90°であることが推奨される。ここでまた、この角度は、測定結果に大きな影響を及ぼすことなしに数度のほんのわずかな逸脱を持つことができる。けれども、+/−3°の精度が目標である。入射平面と第2の平面とのお互いに対して直角をなす並べ方は、反射点によって反射される光と基本的に全ての方向に散乱される散乱光とを識別することを可能にする。
【0010】
表面によって反射または散乱される光成分の強度は、有利に2つの光センサで測定される。例えば、光センサは光ダイオード、カメラチップまたは同様のものであることができる。それらのセンサは光を当てられる表面に対して同じ角度で配置される。第1の光センサは反射点に対して正確に光源の反対側に配置される。それで、なめらかな表面を仮定すると、”入射角は反射角に等しい”という条件の下で、光は直接第1の光センサの方に反射される。第2の光センサは、表面に対して同様に大きな角度で反射点に向けられているが、入射平面に関して約90°まで回転した第2の平面に配置されている。
【0011】
フォンの照明モデルによって表面の種類を決定する観点から、その装置は全体として光センサを使って一連の測定ステップで様々な光成分を測定できるように設計される。測定された光強度は、次ぎの数学的方程式に従って本発明に係る装置の評価器で有利に評価される。ここで、測定と評価は、光強度が全体として周辺光、広がって散乱された光、および反射光から成っているという仮定に基づく。
【0012】
Iambient + Idiffuse + Ireflected = Itotal
【0013】
ここで、その装置の測定サイクルは次の3つの測定ステップを含む。:
1. 光源を消灯し、第1の光センサと第2の光センサとを用いてIambientを測定するステップ。
2.光源を点灯し、第1の光センサを用いてIambient + Idiffuse + Ireflectedを測定するステップ。
3.光源を点灯し、第2の光センサを用いてIambient + Idiffuseを測定するステッップ。
【0014】
測定された光強度から進んで、その装置の評価器は既知の表面に対する対応する参照強度との比較から現在測定中の表面の種類を推測することができる。
【0015】
更に、光源が多色光源、特に白色光源であることが提案される。多色光源はさまざまな波長の光成分を放射する。それらはお互いに独立に評価されることができる。従って、例えば、第1の評価を第1の波長に関して実行し、第2の評価を第2の波長に関して実行することができる。測定されるべき表面は潜在的にさまざまな反射率でさまざまな波長の光を反射するので、このような方法で決定されるべき表面について追加の情報を得ることができる。
【0016】
これに関連して、光センサが波長選択的であるように設計されることが推奨される。特に、光センサはRGBセンサまたは非波長選択的なセンサ、例えば光ダイオードであることができる。それらの非波長選択的なセンサは、さまざまな波長の光成分がお互いから別々に検出されることができるように対応するフィルタとともに装備される。
【0017】
これに関連して、さまざまな可能性がある測定装置がある。例えば、第1の可能な装置において、白色光源が光を放つことができる。その光は、表面の反射点に反射され、RGBセンサによって赤、緑および青の波長成分に分割される。あるいは、数個の非波長選択的な光ダイオードがお互いに隣接して配置されることができ、スペクトルフィルタが各光ダイオードに割り当てられ、そのスペクトルフィルタは他の光ダイオードのものと異なる。他の装置において、光源は、また、パルス状のRGB光源であることができる。それは、経時的に一連の時間間隔で異なる波長の光を放射する。最初の時間間隔の間に、例えば、赤色光成分が放射され、それが光センサに入る。続いて、2番目の時間間隔に緑色光成分が放射され、3番目の時間間隔に青色光成分が放射される。その後、この測定シーケンスが繰り返されることができる。この装置の評価器は、それぞれの時間間隔で放射された波長について測定された強度に対応する情報を割り当てることができる。測定サイクルが繰り返される頻度は、使用される光源と光センサの種類に依存する。例えば、測定サイクルは数ミリ秒のみであることができる。
【0018】
表面を処理するための上述した装置に加えて、本発明は、さらに、装置によって表面を処理する、特に掃除する方法を提案する。その装置は、光学測定装置を用いて表面の種類を決定し、その機能として処理の種類を調節する。特に、その方法は、上記で提案した装置を使って実行されることができる。本発明によれば、入射平面の内側で、光が光源から表面の反射点へある入射角で放射されて当該反射点から第1の光センサへ対応する反射角で反射され、第2の光センサが第2の平面内に配置され、当該第2の平面が表面に対して直角に位置し、反射点と交差し、入射平面に対して80°と100°の間の角度をなし、反射点と第2の光センサを結ぶ直線が表面に対して入射角または反射角と基本的に同じ大きさである角度をなす。
【0019】
表面の種類を決定するために、次の測定ステップを望ましいいずれかの順番で実行することが提案される。:光源を消灯して第1の光センサと第2の光センサとを用いて光強度を測定するステップ、光源を点灯して第1の光センサを用いて光強度を測定するステップ、および光源を点灯して第2の光センサを用いて光強度を測定するステップ。このようにして、1つの測定サイクル内で3つの異なる強度の全てが測定される。示された第1のステップにおいて、光源は消灯され、周辺光に基づいて拡散して散乱する光が測定される。これは、以下を生じる。:
【0020】
Iambient = I1 = I2
【0021】
他の測定ステップの間に、光源は点灯される。そして、第1の光センサが、環境の散乱光と光源の散乱光と光源の反射光成分とから全てを含めた強度を測定する。これは、以下を生じる。:
【0022】
I3 = Itotal = Iambient + Idiffuse + Ireflected
【0023】
他の測定ステップの間に、光源が点灯され、第2の光センサが周辺光と光源の散乱光とを測定する。これは、以下を生じる。:
【0024】
I4 = Iambient + Idiffuse
【0025】
結果として得られる式を次の通り解くことができる。:
【0026】
Idiffuse = I4 - I1
Ireflected = I3 - I4
【0027】
結果として、3つのステップは、決定されるべき表面において散乱光と反射光の現在の光強度を測定することを可能にする。これらは、表面の種類についての情報を提供する。
【0028】
光源によって測定された光強度を既知の表面の対応する参照強度と比較することが提案される。ここで、本発明によれば、参照強度は装置のメモリに有利に記憶されている。それで、測定された光強度との比較のために参照強度を評価器で利用可能である。測定された光強度が記憶されている参照強度に一致するならば、表面の種類が推測されることができる。参照強度は、同じ光学測定装置または少なくとも類似の測定装置を用いて有利に測定されたものである。それで、参照強度は現在測定される光強度と比較されることができる。装置、例えば掃除ロボットは、さまざまな表面における参照強度を記録するために家の内側に有利に置かれることができる。そこで、測定サイクルが実行され、測定された表面の種類についての情報が手作業でその装置のメモリに記憶される。例えば、部屋のカーペットで覆われたエリアで測定が行われるならば、掃除ロボットのユーザーは記憶される光強度、すなわち散乱された光の強度および反射された光の強度に、測定された表面はカーペットであるという情報を割り当てることができる。それから、同じ事が、タイル、寄木張りの床、コルク、積層板、PVCまたは他の床材を持つ部屋の他のエリアでされることができる。
【0029】
更に、光源が白色光、従って上述したようにお互いに独立したさまざまな光の波長に対する強度値に帰着する光を放つことが提案される。その光は次々に測定された表面の種類をもっと正確に決定することを可能にする。
【0030】
最後に、表面から光センサに到達する光をスペクトルでフィルタリングすることが提供されることができる。ここで、異なる手続きの並びが本発明に係る装置に関して記載された測定の設定から生じる。例えば、白色発光光源が色選択的なフィルタと結びつけられたり、パルス状のRGB光源がさまざまな時間間隔で相応にさまざまな波長を持つ光を受ける単色のレシーバと結びつけられたりする。
【0031】
処理されるべき表面の種類を決定するための光学測定装置の上述した使用から離れて、光学測定装置は同様に階段または同様のものを検出するために使用されることができる。検出されるべき表面と光学測定装置との間の距離が増加するとき、光源によって放たれる光の反射点は光センサの受光エリアの外に移動する。結果として、評価器兼制御器は、その装置が階下へ進む階段の前に位置しているということを推論することができる。
【0032】
本発明は、実施形態に基づいて以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1の種類の表面の上にある真空掃除ロボットである。
図2】第2の種類の表面の上にある真空掃除ロボットである。
図3】光学測定装置の概略側面図(略図)である。
図4】光学測定装置の3次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明に係る装置1を示す。ここで、装置1は拭き掃除ロボットとして設計される。装置1は、概略的に示される表面2の上に位置している。ここで、表面2はカーペットである。表面2の種類を検出するために、装置1は光学測定装置3を有する。光学測定装置3は、光源4と第1の光センサ5と第2の光センサ6とを含む。光学測定装置3の上記部品は、光源4によって放たれた光が表面2の反射点7で反射され、それから第1の光センサ5に入るようにお互いに対して配置される。第2の光センサ6は、第1の光センサ5と光源4と反射点7とによって定まる入射平面8に配置されるのではなくて、入射平面8と表面2とに垂直な第2の平面9に配置される。
【0035】
また、装置1は評価器兼制御器10を有する。評価器兼制御器10は、一方では光源4と光センサ5,6の機能を制御し、他方では既知の表面に対する反射強度を持つメモリにアクセスする。概略的に描かれるように、メモリは、カーペット、板張りの床、タイルなどの反射強度を記憶している。光センサ5,6で測定された光強度に基づいて、評価器兼制御器10は、表面2がカーペットであることを検出する。
【0036】
図2は、他の表面2の上の装置1を示す。ここで、他の表面2は特にタイルの床である。上述したように、評価器兼制御器10は、第1の光センサ5と第2の光センサ6が光強度を測定するように光学測定装置3を制御する。それからそれらの光強度は反射強度と比較される。比較の後で、評価器兼制御器10は、表面2がタイルの床であるという結論に到達する。
【0037】
図3の概略側面図は、第1の光センサ5と第2の光センサ6と光源4とを有する光学測定装置3を示す。光源4および第1の光センサ5は次の原理に従って配置される。
【0038】
”入射角α=反射角β”
【0039】
それで、光源4によって放たれた光は、表面2の反射点7で反射され、直接光センサ5に入る。通り過ぎる光のための対応する開口11が装置1のハウジングに形成されている。装置1の底面がここに示される。反射される光成分とは別に、更に拡散して散乱する光成分が存在し、その強度は表面2の構成に依存する。例えば、荒い非反射性の表面2が含まれるならば、散乱した光成分は滑らかな反射性の表面2の場合よりも多い。この散乱した光成分を測定するための第2の光センサ6は、入射平面8に配置されるのではなくて、むしろ入射平面8と表面2とに垂直に位置する第2の平面9に配置される。必要ならば、また、第2の光センサ6は例えば部屋の天井灯から生じる周辺光の成分を測定する。図示されるように、第1の光センサ5と第2の光センサ6は表面2に平行である共通の平面内に有利に配置される。
【0040】
図4は、光学測定装置3の3次元図を示す。光源4、反射点7および第1の光センサ5が配置された入射平面8が描かれている。第2の平面9は入射平面8と垂直に位置している。第2の平面9は第2の光センサ6および反射点7と交差する。更に、光源4、第1の光センサ5および第2の光センサ6は表面2に平行である共通の平面内に配置される。表面2の上に光源によって放たれる光の入射角α、反射角βおよび反射点7と第2の光センサ6を結ぶ直線と表面2との間の角度γは等しい。明らかなように、入射平面8と第2の平面9とはお互いに90度の角度δで配置される。
【0041】
表面2の種類を決定するために、光学測定装置3は3つの異なる測定ステップから成る測定サイクルで運転される。第1の操作ステップにおいて、光源4は消灯され、それで、第1の光センサ5と第2の光センサ6は周辺光だけを検出する。第2の測定ステップにおいて、光源4は点灯され、もっぱら第1の光センサ5で光強度が測定される。第3の測定ステップにおいて、また、光源4が点灯される。けれども、今では第2の光センサでのみ光強度が測定される。ここで、測定ステップが1,2および3とマークを付けられても、これは特定の順序を含まない。
【0042】
むしろ、光源4または光センサ5,6のアクティビティに関して指定された条件が満足される限り、3つの測定ステップのいずれが最初に実行されるかは重要でない。
【0043】
上述した第1の測定ステップにおいて、第1の光センサ5と第2の光センサ6とはいずれかの周辺光の光強度を測定するために使用される:
【0044】
Iambient = I1 = I2
【0045】
議論された第2の測定ステップにおいて、周辺光の強度および反射点7によって反射された拡散散乱と放射とが測定される:
【0046】
I3 = Itotal = Iambient + Idiffuse + Ireflected
【0047】
最後に第3の測定ステップにおいて、周辺光の強度および拡散散乱の強度が測定される。
【0048】
I4 = Iambient + Idiffuse
【0049】
拡散散乱の光強度は次の式の解として得られる:
【0050】
Idiffuse = I4 - I1
【0051】
反射された放射の光強度として同様に:
【0052】
Ireflected = I3 - I4
【0053】
これらの強度は、既知の表面2に対する参照強度と比較されることができる。
【0054】
例えば、装置1のメモリに記憶されている反射強度は、カーペット、寄木張りの床、積層板、タイルなどでの対応する測定の間に測定された光強度である。装置1の評価器兼制御器10は、これらの反射強度を光センサ5,6によって測定された現在の強度と比較し、強度の値の訂正を考慮して装置1の下にある現在の表面2の種類を推測することができる。例えばここで、装置1は、決定されるべき表面2がタイルの床であるという結論に到達する。
【0055】
上記説明に加えて、実際にはいわゆる反射点7が特異な点を含むのではなくて、むしろ有限の広がりを持つ面であることが注目される。これは、光源4によって放たれた光が光のビームであり、有限の断面を持ち、潜在的には伝播方向に延びるという事実からのみ生じる。その上、表面2の種類を決定するために使用されるフォンの照明モデルは、正確な強度計算を含むのではなくて、むしろ光学測定装置3の内側で物理的環境を正しくは反映しない経験的に導き出されたモデルであることが示される。けれども、このモデルに従って表面2の種類を決定することは、信頼できる結果に導くことが実証された。
【符号の説明】
【0056】
1…装置
2…表面
3…光学測定装置
4…光源
5…第1の光センサ
6…第2の光センサ
7…反射点
8…入射平面
9…第2の平面
10…評価器兼制御器
11…開口
α…入射角
β…反射角
γ…角度
δ…角度
図1
図2
図3
図4