【課題を解決するための手段】
【0005】
解決策として、本発明は、表面を処理するための装置を提案する。その装置において、光学測定装置が光源と少なくとも2つの光センサとを有する。その光源によって放たれた光がある入射角で表面の反射点に当たり、それから対応する反射角で第1の光センサに反射されるように、光源と第1の光センサとが配置されている。光源と反射点と第1の光センサとは、入射平面に位置する。そして、反射点と交差し、第2の光センサを持つ第2の平面が、表面に対して直角に位置し、入射平面に対して80°と100°の間の角度をなす。反射点と第2の光センサを結ぶ直線は、表面に対して入射角または反射角と基本的に同じ大きさである角度をなす。
【0006】
本発明によれば、今では第1の光センサと第2の光センサは様々な光の強度を測定するために使用される。第1の光センサは光源によって放たれて反射点によって反射される光の成分を測定し、第2の光センサは拡散して散乱する光成分を測定する。ここで、散乱される光成分は、(特に、表面が滑らかでないならば)反射点で光源によって放射される光の成分と、周辺光(例えば、室内の天井灯)の成分との両方であることができる。この方法で構成される光学測定装置は、全体ではいわゆるフォンの照明モデルに従う測定方法を実行するために適している。フォンの照明モデルは異なる状態の下で複数の光センサによって測定された強度を評価する。フォンの照明モデルは、物体の照明を計算するために3次元コンピュータグラフィックスに対して使用される照明モデルである。フォンのモデルは、滑らかな表面の照明を計算するために知られている。驚いたことに、本発明の枠組みの中で、このモデルはまた滑らかな表面と滑らかでない表面の間で識別するために適することが発見された。この照明モデルは、基本的に物理的原理に基づかない、実験に基づいたモデルを含む。それにもかかわらず、それは表面の種類を確実に識別するために適する。
【0007】
本発明によれば、光学測定装置は、フォンの照明モデルに基づいて考慮される光成分が測定されることができるようにここに構成される。一方では、これは反射点で反射された、放射された光の光成分を含む。光源と反射点と第1の光センサとは入射平面に位置するが、第2の光センサと反射点とは入射平面に垂直であって、また表面に垂直に位置する第2の平面内に配置される。第2の平面と入射平面とは80°と100°の間の角度に及ぶ。第1の光センサまたは第2の光センサによって測定された光成分がそれらの強度に関してお互いに比較できるように、第1の光センサと第2の光センサが表面に対して同じ角度で配置されることが気付かれるべきである。特に、第1の光センサと第2の光センサとが反射点に対して同じ距離を持つことが推奨される。結果として、測定精度を更に高めることができる。特に、第1の光センサと第2の光センサは表面に平行である共通の平面内に配置されることができる。また、測定の設定を特に容易にかつ素早く調節することができるように、光センサは有利に同じ平面内にある。特に、これは、光学測定装置、および従って処理装置の早くてコスト効率の良い製造を促進する。
【0008】
入射角と反射角と表面に対する第2の光センサの角度とが各々30°と45°の間であることが推奨される。周辺光は通常表面に対してより高い入射角を持つので、このようにして、光測定装置の光源によって放たれた光は周辺光、例えば室内の天井灯から区別されることができる。
【0009】
入射平面と第2の平面の間の角度は、90°であることが推奨される。ここでまた、この角度は、測定結果に大きな影響を及ぼすことなしに数度のほんのわずかな逸脱を持つことができる。けれども、+/−3°の精度が目標である。入射平面と第2の平面とのお互いに対して直角をなす並べ方は、反射点によって反射される光と基本的に全ての方向に散乱される散乱光とを識別することを可能にする。
【0010】
表面によって反射または散乱される光成分の強度は、有利に2つの光センサで測定される。例えば、光センサは光ダイオード、カメラチップまたは同様のものであることができる。それらのセンサは光を当てられる表面に対して同じ角度で配置される。第1の光センサは反射点に対して正確に光源の反対側に配置される。それで、なめらかな表面を仮定すると、”入射角は反射角に等しい”という条件の下で、光は直接第1の光センサの方に反射される。第2の光センサは、表面に対して同様に大きな角度で反射点に向けられているが、入射平面に関して約90°まで回転した第2の平面に配置されている。
【0011】
フォンの照明モデルによって表面の種類を決定する観点から、その装置は全体として光センサを使って一連の測定ステップで様々な光成分を測定できるように設計される。測定された光強度は、次ぎの数学的方程式に従って本発明に係る装置の評価器で有利に評価される。ここで、測定と評価は、光強度が全体として周辺光、広がって散乱された光、および反射光から成っているという仮定に基づく。
【0012】
I
ambient + I
diffuse + I
reflected = I
total
【0013】
ここで、その装置の測定サイクルは次の3つの測定ステップを含む。:
1. 光源を消灯し、第1の光センサと第2の光センサとを用いてI
ambientを測定するステップ。
2.光源を点灯し、第1の光センサを用いてI
ambient + I
diffuse + I
reflectedを測定するステップ。
3.光源を点灯し、第2の光センサを用いてI
ambient + I
diffuseを測定するステッップ。
【0014】
測定された光強度から進んで、その装置の評価器は既知の表面に対する対応する参照強度との比較から現在測定中の表面の種類を推測することができる。
【0015】
更に、光源が多色光源、特に白色光源であることが提案される。多色光源はさまざまな波長の光成分を放射する。それらはお互いに独立に評価されることができる。従って、例えば、第1の評価を第1の波長に関して実行し、第2の評価を第2の波長に関して実行することができる。測定されるべき表面は潜在的にさまざまな反射率でさまざまな波長の光を反射するので、このような方法で決定されるべき表面について追加の情報を得ることができる。
【0016】
これに関連して、光センサが波長選択的であるように設計されることが推奨される。特に、光センサはRGBセンサまたは非波長選択的なセンサ、例えば光ダイオードであることができる。それらの非波長選択的なセンサは、さまざまな波長の光成分がお互いから別々に検出されることができるように対応するフィルタとともに装備される。
【0017】
これに関連して、さまざまな可能性がある測定装置がある。例えば、第1の可能な装置において、白色光源が光を放つことができる。その光は、表面の反射点に反射され、RGBセンサによって赤、緑および青の波長成分に分割される。あるいは、数個の非波長選択的な光ダイオードがお互いに隣接して配置されることができ、スペクトルフィルタが各光ダイオードに割り当てられ、そのスペクトルフィルタは他の光ダイオードのものと異なる。他の装置において、光源は、また、パルス状のRGB光源であることができる。それは、経時的に一連の時間間隔で異なる波長の光を放射する。最初の時間間隔の間に、例えば、赤色光成分が放射され、それが光センサに入る。続いて、2番目の時間間隔に緑色光成分が放射され、3番目の時間間隔に青色光成分が放射される。その後、この測定シーケンスが繰り返されることができる。この装置の評価器は、それぞれの時間間隔で放射された波長について測定された強度に対応する情報を割り当てることができる。測定サイクルが繰り返される頻度は、使用される光源と光センサの種類に依存する。例えば、測定サイクルは数ミリ秒のみであることができる。
【0018】
表面を処理するための上述した装置に加えて、本発明は、さらに、装置によって表面を処理する、特に掃除する方法を提案する。その装置は、光学測定装置を用いて表面の種類を決定し、その機能として処理の種類を調節する。特に、その方法は、上記で提案した装置を使って実行されることができる。本発明によれば、入射平面の内側で、光が光源から表面の反射点へある入射角で放射されて当該反射点から第1の光センサへ対応する反射角で反射され、第2の光センサが第2の平面内に配置され、当該第2の平面が表面に対して直角に位置し、反射点と交差し、入射平面に対して80°と100°の間の角度をなし、反射点と第2の光センサを結ぶ直線が表面に対して入射角または反射角と基本的に同じ大きさである角度をなす。
【0019】
表面の種類を決定するために、次の測定ステップを望ましいいずれかの順番で実行することが提案される。:光源を消灯して第1の光センサと第2の光センサとを用いて光強度を測定するステップ、光源を点灯して第1の光センサを用いて光強度を測定するステップ、および光源を点灯して第2の光センサを用いて光強度を測定するステップ。このようにして、1つの測定サイクル内で3つの異なる強度の全てが測定される。示された第1のステップにおいて、光源は消灯され、周辺光に基づいて拡散して散乱する光が測定される。これは、以下を生じる。:
【0020】
I
ambient = I
1 = I
2
【0021】
他の測定ステップの間に、光源は点灯される。そして、第1の光センサが、環境の散乱光と光源の散乱光と光源の反射光成分とから全てを含めた強度を測定する。これは、以下を生じる。:
【0022】
I
3 = I
total = I
ambient + I
diffuse + I
reflected
【0023】
他の測定ステップの間に、光源が点灯され、第2の光センサが周辺光と光源の散乱光とを測定する。これは、以下を生じる。:
【0024】
I
4 = I
ambient + I
diffuse
【0025】
結果として得られる式を次の通り解くことができる。:
【0026】
I
diffuse = I
4 - I
1
I
reflected = I
3 - I
4
【0027】
結果として、3つのステップは、決定されるべき表面において散乱光と反射光の現在の光強度を測定することを可能にする。これらは、表面の種類についての情報を提供する。
【0028】
光源によって測定された光強度を既知の表面の対応する参照強度と比較することが提案される。ここで、本発明によれば、参照強度は装置のメモリに有利に記憶されている。それで、測定された光強度との比較のために参照強度を評価器で利用可能である。測定された光強度が記憶されている参照強度に一致するならば、表面の種類が推測されることができる。参照強度は、同じ光学測定装置または少なくとも類似の測定装置を用いて有利に測定されたものである。それで、参照強度は現在測定される光強度と比較されることができる。装置、例えば掃除ロボットは、さまざまな表面における参照強度を記録するために家の内側に有利に置かれることができる。そこで、測定サイクルが実行され、測定された表面の種類についての情報が手作業でその装置のメモリに記憶される。例えば、部屋のカーペットで覆われたエリアで測定が行われるならば、掃除ロボットのユーザーは記憶される光強度、すなわち散乱された光の強度および反射された光の強度に、測定された表面はカーペットであるという情報を割り当てることができる。それから、同じ事が、タイル、寄木張りの床、コルク、積層板、PVCまたは他の床材を持つ部屋の他のエリアでされることができる。
【0029】
更に、光源が白色光、従って上述したようにお互いに独立したさまざまな光の波長に対する強度値に帰着する光を放つことが提案される。その光は次々に測定された表面の種類をもっと正確に決定することを可能にする。
【0030】
最後に、表面から光センサに到達する光をスペクトルでフィルタリングすることが提供されることができる。ここで、異なる手続きの並びが本発明に係る装置に関して記載された測定の設定から生じる。例えば、白色発光光源が色選択的なフィルタと結びつけられたり、パルス状のRGB光源がさまざまな時間間隔で相応にさまざまな波長を持つ光を受ける単色のレシーバと結びつけられたりする。
【0031】
処理されるべき表面の種類を決定するための光学測定装置の上述した使用から離れて、光学測定装置は同様に階段または同様のものを検出するために使用されることができる。検出されるべき表面と光学測定装置との間の距離が増加するとき、光源によって放たれる光の反射点は光センサの受光エリアの外に移動する。結果として、評価器兼制御器は、その装置が階下へ進む階段の前に位置しているということを推論することができる。
【0032】
本発明は、実施形態に基づいて以下により詳細に記載される。