(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647321
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】ディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
G03H 1/22 20060101AFI20200203BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
G03H1/22
G02B27/01
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-566647(P2017-566647)
(86)(22)【出願日】2017年3月3日
(65)【公表番号】特表2018-525660(P2018-525660A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】GB2017050586
(87)【国際公開番号】WO2017149329
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2018年2月16日
(31)【優先権主張番号】1603697.2
(32)【優先日】2016年3月3日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517080957
【氏名又は名称】デュアリタス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(72)【発明者】
【氏名】クリスマス、ジェイミーソン
(72)【発明者】
【氏名】コリングス、ニール
【審査官】
池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−072279(JP,A)
【文献】
特表2014−512569(JP,A)
【文献】
特表2013−540278(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0239428(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2018/0188684(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03H 1/00−5/00
G02B 5/32
G02B 5/18
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィックデータを提供するように構成されたデータ提供部と、
前記ホログラフィックデータを受信するように構成された空間光変調器と、
物理的円柱レンズと、を備え、
前記ホログラフィックデータは、第1の方向に光学パワーを持つ円柱レンズに相当する1次元レンズ効果を提供する第1のデータと、ホログラフィック再構成のための画像に相当する第2のデータと、を含み、
前記空間光変調器は、前記ホログラフィックデータに従って受信光を空間的に変調するように構成され、
前記物理的円柱レンズは、空間的に変調された光を前記空間光変調器から受信し、前記受信光の1次元のフーリエ変換を前記第1の方向と直交する第2の方向で実行するように構成される、
ことを特徴とするディスプレイシステム。
【請求項2】
前記空間光変調器は複数のピクセルを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項3】
前記ホログラフィックデータは、前記第1のデータと前記第2のデータとのベクトル和を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のディスプレイシステム。
【請求項4】
前記第1のデータと前記物理的円柱レンズは、画像の2次元のホログラフィック再構成を再生平面に形成するように調整されたものである、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【請求項5】
前記データ提供部は、前記ホログラフィックデータを計算するように構成された計算手段である、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
【請求項6】
前記データ提供部は、前記ホログラフィックデータを記憶するように構成されたメモリである、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
【請求項7】
前記データ提供部は、前記第1のデータによる前記1次元レンズ効果の光学パワーを決定するユーザ入力を受け入れるようにさらに構成される、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
【請求項8】
前記ホログラフィックデータは、前記第2の方向に光学パワーを持つ円柱レンズに相当する1次元レンズ効果を提供する第3のデータをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
【請求項9】
前記データ提供部は、前記第3のデータによる前記1次元レンズ効果の光学パワーを決定するユーザ入力を受け入れるようにさらに構成される、
ことを特徴とする請求項8に記載のディスプレイシステム。
【請求項10】
前記ホログラフィックデータは、前記物理的円柱レンズにおける収差を補償するように構成された第4のデータ成分をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
【請求項11】
ゼロオーダ光を前記空間光変調器から遮断するように構成された空間フィルタをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
【請求項12】
前記空間フィルタは前記物理的円柱レンズの焦点距離の位置に置かれる、
ことを特徴とする請求項11に記載のディスプレイシステム。
【請求項13】
前記ホログラフィックデータは、位相限定情報を備える、
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
【請求項14】
前記第2のデータは、画像のフレネル変換の位相限定表現である、
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
【請求項15】
前記第2のデータは、画像のフーリエ変換の位相限定表現である、
ことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
【請求項16】
前記空間光変調器は、シリコン上液晶空間光変調器である、
ことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
【請求項17】
ホログラフィック再構成の各々は、連続する2Dビデオフレームのフレームの1つである、
ことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
【請求項18】
前記ピクセルの各々は15μmより小さい直径を持つ、
ことを特徴とする請求項2に記載のディスプレイシステム。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載のディスプレイシステムを備える、
接眼装置またはヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスプレイ装置、より具体的には、画像のホログラフィック再構成を生成するように構成されたディスプレイシステムに関する。いくつかの実施形態は、位相限定ホログラフィックディスプレイシステム、および0オーダ光を効果的に扱う方法に関する。いくつかの実施形態は、ホログラフィック画像ディスプレイシステムおよび方法に関し、別の実施形態は、ヘッドアップディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
物体から散乱される光は、強度と位相の情報を含む。これらの情報は、周知の干渉技術、すなわち干渉縞を持つホログラフィック記録(「ホログラム」)を生成する干渉技術を用いて、例えば感光性プレート上に取り込むことができる。「ホログラム」は適切な光で照射することにより再生することができ、これにより、元の物体を表現するホログラフィック再構成、すなわち再生画像が生成される。
【0003】
許容できる品質のホログラフィック再構成は、元の物体に関する位相情報のみを含む「ホログラム」から生成されることが知られている。このようなホログラフィック記録は、位相限定型ホログラム(phase―only holograms)と呼ぶことができる。コンピュータで生成されたホログラフィは、例えばフーリエ技術を用いて干渉プロセスを数値的にシミュレートすることができ、これによりコンピュータ生成位相限定型ホログラムが生成される。コンピュータ生成位相限定型ホログラムは、物体を表現するホログラフィック再構成を生成するために利用することができる。
【0004】
このように「ホログラム」という用語は、物体に関する情報を含む記録であって、物体を表す再生画像を生成するために利用可能な記録に関する。ホログラムは、物体に関する周波数領域、すなわちフーリエ領域における情報を含んでもよい。
【0005】
コンピュータ生成位相限定型ホログラムは、「ピクセル化」されてもよい。すなわち位相限定型ホログラムは、分離した位相素子のアレイの上に表されてもよい。分離した素子の各々は「ピクセル」と呼ぶことができる。ピクセルの各々は、位相変調素子のような光変調素子として動作してもよい。従ってコンピュータ生成位相限定型ホログラムは、液晶空間光変調器(SLM)のような位相変調素子のアレイの上に表されてもよい。SLMは、変調光が該SLMで反射し出力される、反射手段であってもよい。
【0006】
各位相変調素子、すなわちピクセルは、該位相変調素子への光入射に対して制御可能な位相遅延を与えるために、状態が変化してもよい。従って、シリコン上液晶(LCOS)SLMのような位相変調素子のアレイは、コンピュータによって決定された位相遅延分布を表して(すなわち「表示」して)もよい。位相変調素子アレイへの光入射がコヒーレントだった場合、その光は、ホログラフィック情報、すなわちホログラムを有して変調されるだろう。このホログラフィック情報は、周波数領域、すなわちフーリエ領域にあってもよい。
【0007】
代替的に、位相遅延分布はキノフォーム上に記録されてもよい。一般に「キノフォーム」という用語は、位相限定型ホログラフィック記録、すなわちホログラムの意味で使うことができる。
【0008】
位相遅延は量子化されてもよい。すなわちピクセルの各々は、位相レベルを表す離散的な数の1つに設定されてもよい。
【0009】
位相遅延分布は、(例えばLCOS SLMを照射することにより)入射光波に適用され、再生されてもよい。ホログラフィック再構成、すなわち「画像」を空間領域に生成するために、空間的な再生位置が光学的フーリエ変換レンズを用いて制御されてもよい。代替的に、再生が遠方領域に形成される場合は、フーリエ変換レンズは必須でない。
【0010】
コンピュータ生成ホログラムは、Gerchberg―Saxtonアルゴリズムの利用を含む複数の方法で計算されてもよい。Gerchberg―Saxtonアルゴリズムは、(2D画像のような)空間領域における強度情報から、フーリエ領域における位相情報を導出するために使われてもよい。換言すれば物体に関する位相情報は、強度または大きさ、すなわち空間領域のみに関する情報から「回復」されてもよい。このようにして、フーリエ領域における物体の位相限定型ホログラフィック表現を計算することができる。
【0011】
ホログラフィック再構成は、フーリエ領域ホログラムを照射し、フーリエ変換レンズなどを用いて光学的フーリエ変換を実行することにより生成されてもよく、これにより、スクリーンのような再生領域に画像(ホログラフィック再構成)が生成される。
【0012】
図1に、本開示に従い、LCOS−SLMのような反射型SLMを使用して、再生領域にホログラフィック再構成を生成する一例を示す。
【0013】
例えばレーザやレーザダイオードなどの光源110が、コリメートレンズ111を介してSLM140を照射するように配置される。コリメートレンズにより、ほぼ平面状の光波面がSLM上に入射する。波面の方向は、法線方向から若干ずれている(例えば、透明層平面に対する真の垂直方向から、2度または3度外れている)。光源からの光が、SLMのミラー状の背面で反射し、位相変調層と相互作用して出射波面112を形成するように配置がされる。出射波面112は、フーリエ変換レンズ120を含む光学素子に適用され、スクリーン125に焦点を結ぶ。
【0014】
フーリエ変換レンズ120は、SLMから出射された位相変調光のビームを受光し、周波数−空間変換を実行して、空間領域でスクリーン125上にホログラフィック再構成を生成する。
【0015】
この過程において、光源からの光(画像投影システムの場合は可視光)は、SLM140と位相変調層(すなわち位相変調素子のアレイ)全体に配光される。位相変調層から出射した光は、再生領域全体にわたって配光されてもよい。ホログラムの各ピクセルは、画像再生に全体的に寄与する。すなわち、再生画像上の特定の一点と特定の位相変調素子との間に1対1の相関関係は存在しない。
【0016】
光ビームの平面AおよびBそれぞれにおける強度断面I
A(x,y)およびI
B(x,y)が既知であり、I
A(x,y)とI
B(x,y)とが単一のフーリエ変換で関係付けられているとき、Gerchberg Saxtonアルゴリズムは、位相回復問題を考察する。強度断面が与えられたとき、平面AおよびBそれぞれにおける位相分布φ
A(x,y)およびφ
B(x,y)の近似法が得られる。Gerchberg Saxtonアルゴリズムは、反復的プロセスに従うことによりこの問題の解を求める。
【0017】
Gerchberg Saxtonアルゴリズムは、I
A(x,y)とI
B(x,y)を表すデータセット(強度と位相)を、空間領域とフーリエ(スペクトル)領域との間で繰り返し変換しながら、空間およびスペクトルの拘束条件を反復的に適用する。空間およびスペクトルの拘束条件は、それぞれI
A(x,y)とI
B(x,y)である。空間またはスペクトル領域における拘束条件は、データセットの強度に組み入れられる。相当する位相情報が、一連の反復を通して回復される。
【0018】
このような技術を用いて、ホログラフィックプロジェクタが与えられてよい。このようなプロジェクタは、例えば車両のヘッドアップディスプレイや接眼装置などに応用されてきた。
【0019】
キノフォームを通過し、動的キノフォームをシミュレートする空間光変調器を通過する光を用いた画像投影は、多くの理由から関心の対象になっている。キノフォームの照射のために利用される光の多くが被投影画像に到達することから、当該技術は非常に効率的であり、こうした画像化の利点の一つでもある。
【0020】
プロジェクタを形成するために、ピクセルが所望の画像の位相限定型表現を集合的に生成するための位相変調素子のアレイを形成するように、空間光変調器(SLM)が構成されてよい。位相限定型表現はホログラムと呼ばれてもよい。投影された画像はホログラフィック再構成であるといってもよい。SLMの個々の変調素子はピクセルと呼ばれてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、ピクセル化された位相限定型空間光変調器には、周知の0オーダ光またはDCオーダ光問題を引き起こす点で困難さがある。こうした0オーダ光は「ノイズ」と考えてよく、例えば鏡面反射光や、空間光変調器上のパターンで回折されない他の光を含む。
【0022】
既知の距離で正常にホログラフィック再構成を形成できるように、フーリエレンズ(すなわち、既知の経路上で光学的フーリエ変換を行う機能を持つレンズ)が空間光変調器の後に挿入される(
図2に示されるように)。
【0023】
フーリエレンズは、位相変調光に対してのみならず、すべての非回折光に対しても作用する。これにより、これらの非回折光が画面の中心に焦点を結ぶ。この光の輝点は、0オーダまたはDCオーダとして知られる。すべての非変調光がこうした小領域に蓄積されることは、観察者の潜在的な危険となる可能性があり、また、光路上での光の後方散乱が原因で画像のコントラストが損なわれる可能性もある。従って、このDCオーダは問題となる。
【0024】
図2は、ホログラムを「ディスプレイ」するように構成された、シリコン上液晶(「LCOS」)空間光変調器201を示す。LCOS SLMからの空間変調光は、フーリエレンズ203によって受光され、フーリエレンズ203の焦点距離の位置に集中したDCスポット207を含むホログラフィック再構成領域205を形成する。
【0025】
国際公開第2007/131649号には、このDCオーダを画像からフィルタリングすることにより、高品質のホログラフィック再構成を実現する方法が開示されている。開示された方法は効果的ではあるものの、効果を得るためにはフィルタリング開口を非常に小さくする必要がある。これは極めて正確な機械的アラインメントを必要とするため、コストとプロジェクタ設計における複雑さとが増加する。
【0026】
0オーダ光/DCオーダ光を扱う代替的な方法として、物理的なフーリエレンズを使用せず、位相限定レンズと、空間光変調器上のホログラフィックデータの分散とを結びつけるものがある。コリメートされた照射光源の特性により、非常に小さいスポットでのDCオーダの形成が回避される。DCオーダのエネルギー総量は不変だが、これがより広い領域に分散されるため、問題が緩和される。この望ましくない光をブロックすることで、DCオーダのサイズは正常に空間光変調器のサイズと同じものとなり、高品質の画像を得ることができる(
図3参照)。
【0027】
図3は、フーリエ変換を実行するように構成された位相限定レンズのデータを含むホログラムを「ディスプレイ」するように構成された、LCOS SLM301を示す。従って物理的なフーリエレンズは不要となる。本例におけるDCスポット307は、再生領域305上におけるホログラフィックのLCOS SLM301の反射である。
【0028】
この場合空間光変調器の占める面積が大きくなるとともに、ホログラフィック再構成領域の大部分が使用できなくなることが理解できるだろう。
【0029】
ホログラフィック再構成のサイズIは以下で与えられる。
【数1】
ここで、
f 位相限定レンズにより定義されるフーリエ経路長
λ 光の波長
p SLM上のピクセルのサイズ
である。
【0030】
例えば以下の特性を持つホログラフィックプロジェクタでは、
f=300mm
緑(λg)=532nm
p[x、y]=8μm
ホログラフィック再構成は、19.96mm×19.96mmとなる。
【0031】
空間光変調器が1920×1080個のピクセルを持つ場合、ゼロオーダのサイズは以下となる。
[ゼロオーダ]_x=1920・p=15.36mm
[ゼロオーダ]_y=1080・p=8.64mm
【0032】
図4に、本例におけるホログラフィック再構成の使用可能領域が示される。
【0033】
図4は、本例におけるホログラフィック再構成領域400を示し、ディスプレイに利用可能な領域403は、巨大なDCオーダ/ゼロオーダ401により限定される。
【0034】
5.66mmの2つのディスプレイ領域は、明らかに効率的なディスプレイ領域の利用とはいえない。ホログラフィック再構成領域のうちゼロオーダが占める割合は、フーリエ経路長の増加とともに減少することも理解できるだろう。
図5は、1920×1080個の8μmピクセルを備え、緑の光(532nm)で照射される空間光変調器に関し、ゼロオーダが占める領域のパーセンテージを、経路長の関数として示す。
【0035】
より具体的には
図5は、フーリエレンズの焦点距離(x−軸)が、ホログラフィック再構成領域のうちゼロオーダが占める割合(y−軸)に与える影響を示す。
【0036】
このゼロオーダフィルタリングの方法を利用したプロジェクタを形成することは可能だが、十分大きなホログラフィック再構成領域を利用可能とするためには長いフーリエ経路長が必要となる。多くのプロジェクションシステムにおいて、これを実現するのは困難である。
【0037】
本開示は、少なくともこれらの課題を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
発明の諸態様は、添付の独立請求項において定義される。
【0039】
1次元の光学的フーリエ変換を実行する円柱レンズと、これに直交するように構成された位相限定円柱レンズと、を備えるホログラフィックディスプレイシステムが与えられる。この位相限定円柱レンズは、ホログラムデータと合成され、空間光変調器に適用されたとき、結合して2Dホログラフィック再構成を生成する。
【0040】
物理的円柱レンズと同軸の位相限定円柱レンズデータが、該物理的円柱レンズと直交する位相限定円柱レンズデータに合成されることにより、ゼロオーダと異なる距離の位置にホログフィック再生を生成してよい。
【0041】
0オーダの遮断は、円柱レンズの焦点距離の所に位置してよい。
【0042】
空間光変調器は、反射型LCOS空間光変調器であってよい。
【0043】
空間光変調器は、物理的円柱レンズの収差を補償してよい。
【0044】
位相限定型レンズの光学パワーは、ユーザが制御可能であってよい。
【0045】
ディスプレイシステムは、接眼装置を備えてよい。
【0046】
ディスプレイは、HUDの一部であってよい。
【0047】
表示領域は、観察者から空間的に離れていてよい。
【0048】
本ディスプレイシステムは、2Dホログラフィック再構成の少なくとも1つの次数の回折を選択的に遮断するように構成された空間フィルタをさらに備えてよく、選択的にこの次数は0次であってよい。
【0049】
バーチャル画像は、2Dビデオの連続フレームであってよい。
【0050】
ピクセル化されたアレイは、15μmより小さい直径を持つピクセルから構成されてよい。
【0051】
本開示に係る改良された装置は、複数の顕著な利点を持つ。
・DCオーダ(0オーダ)のレーザ光は、一軸方向の領域に最小化された。これにより、高強度のスポットが生成されず、ホログラフィック再構成に利用可能な最大領域が得られる。
・国際公開第2007/131649号に記載された0オーダ除去システムは依然として利用可能であるが、位相限定レンズを利用することにより、一軸方向の機械的アラインメントの許容度が緩和された。
・異なる位相限定レンズパワーを用いることができ、これにより、DCオーダ線から一定の距離離れた所にホログラフィック再構成を生成することができる。特に、物理的円柱レンズと同じ軸方向の負の位相限定レンズパワーを、これと直交する軸方向の位相限定レンズパワーに合成することができる。
・円柱レンズはより単純なデザインとなりがちなため、通常のレンズと比べて収差性能が悪いことが、光学設計の専門家には理解できるだろう。こうした収差を、ホログラムデータに付加される位相限定レンズデータによって補償することができる。
【0052】
概観として本開示は、空間光変調器上に表されたホログラムの2Dフーリエ変換を実行するための改良された方法であって、より良好にゼロオーダを扱うものに関する。本明細書には、空間光変調器上のホログラフィックデータを用いて第1の1Dフーリエ変換を行い、物理的光学部品を用いて第1の1Dフーリエ変換と直交する方向に第2の1Dフーリエ変換を行うことにより、2Dフーリエ変換を実行するように構成された装置が記載される。この点において、ソフトウェアと物理的光学部品との組み合わせを用いて、ホログラフィック投影に必要な2Dフーリエ変換を実行するハイブリッドシステムが記載される。
【0053】
本開示に係るハイブリッドシステムと、ゼロオーダ光を2次元に拡散するために2つの物理的光学部品(すなわち円柱レンズ)を使うものとの相違を説明する。特に2つの物理的円柱レンズを使用した場合、空間光変調器からの0オーダの回折光は2つの直交する方向に拡散されるだろう。こうしたアプローチはホログラフィック再構成領域により深く侵入するため、画像投影に適さない。しかしながら、本実施形態の第1の1Dフーリエ変換は、ゼロオーダ光には影響しない。なぜならこのフーリエ変換は空間光変調器のピクセルで実行され、ゼロオーダ光はピクセルによる変調の対象でない光に相当するからである。特にゼロオーダは、ピクセル間の構造とは別の光の反射に起因する。従って本開示に係るハイブリッド装置では、ゼロオーダに影響するのは物理的円柱レンズのみである。従ってこのゼロオーダは、扱いがはるかに容易な線を形成する。こうして本開示は、ホログラフィック再構成に必要な2Dフーリエ変換を実行するための方法であって、より良好にゼロオーダ光を扱うものを提供する。
【0054】
いくつかの実施形態では、ホログラムは、英国特許第2、498、170号明細書や2,501、112号明細書に記載のGerchberg―Saxtonアルゴリズムに基づくアルゴリズムを用いて計算される。これらの明細書は、その全体が参考文献として本明細書に組み込まれる。しかしながらいくつかの実施形態は、例としてのみフーリエホログラフィやGerchberg―Saxtonタイプのアルゴリズムに関係する。本開示は、ポイントクラウド法に基づくような他の技術により計算されるフレネルホログラフィやホログラムにも同等に適合する。
【0055】
「ホログラム」という用語は、物体に関する強度および/または位相の情報を含む記録を意味するものとして使用される。「ホログラフィック再構成」という用語は、ホログラムを照射することにより生成された、物体の光学的再生を意味するものとして使用される。「再生領域」という用語は、ホログラフィック再構成が生成される空間内の平面を意味するものとして使用される。「画像」および「画像領域」という用語は、ホログラフィック再構成を生成する光によって照射された再生領域の部分を指す。いくつかの実施形態では、「画像」は、「画像ピクセル」とも呼ばれる不連続な点を備えてもよい。
【0056】
「符号化」、「書き込み」または「アドレシング」という用語は、SLMの複数のピクセルに対し、各ピクセルの変調レベルを個別に決定するための複数の制御値をそれぞれ与えるプロセスを示すために使用される。SLMのピクセルは、複数の制御値を受信したことに応答して、光変調分布を「表示する」ように構成されるということができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、空間光変調器は位相限定型空間光変調器である。こうした実施形態は、変調強度によって光学エネルギーが損失しない点で有利である。これにより、効率的なホログラフィック投影システムが与えられる。しかしながら本開示は、強度限定型空間光変調器、強度位相変調器に対しても同等に適用できる。この場合ホログラムはそれぞれ、位相限定型、強度限定型、完全複合型であると理解されてよい。
【0058】
本明細書では、「光」という用語は最も広い意味で使用される。いくつかの実施形態は、可視光、赤外光、および紫外光、ならびにこれらの任意の組み合わせに対しても同等に適用できる。
【0059】
ここで、第1のデータおよび第2のデータを備えるホログラフィックデータについて説明する。この説明は、ホログラフィックデータが、受信光にレンズ効果を集合的に提供する第1のホログラフィックデータと、画像に相当する第2のホログラフィックデータとの合成(例えばベクトル和)からなることを示すことを目的とする。本明細書で説明されるいくつかの実施形態では、各データは、データ値の2Dアレイである。第1のデータは、その受信光に対する効果が物理的レンズと同様であることから、受信光にレンズ効果を集合的に提供するということができる。その実例は、これを実現する方法についての詳細な説明で与えられる。第1のデータは、任意のレンズ効果または機能、例えば正の光学パワー、負の光学パワー、または収差補正を与えるために、コンピュータによって決定されて(または「ソフトウェア定義」されて)よい。本明細書で説明されるいくつかの実施形態では、第1のデータは、1Dフーリエ変換レンズとして機能する。すなわち第1のデータは、物理的円柱レンズのような適切に位置決めされた1Dフーリエ変換光学素子と同じ方法で受信光をコントロールする。いくつかの実施形態では、第1のデータは、第2のデータの光学的フーリエ変換を実行する。第2のデータは、画像を生成する(例えば再生成する、または再生する)のに十分な情報を含むことから、画像に相当するということができる。本明細書で開示されるいくつかの実施形態では、第2のデータは、画像の周波数(またはフーリエ)領域表現であることから、画像に相当するということができる。この点において、ホログラフィックデータは、第1の光学的機能(すなわち、フーリエ変換)を与える第1の成分と、第2の光学的機能(すなわち、画像に相当するデータを持つ光の変調)を与える第2の成分と、を備えると理解されてよい。
【0060】
「ソフトウェア定義」(または「ソフトウェア制御可能」)という用語は、データが、コンピュータ上のソフトウェア実行を用いて可変または変更可能(リアルタイムの変化または変動を含む)な計算データ、またはソフトウェアデータであることを反映するために使用される。この点でデータは、動的可変(または、簡単に「動的」)であると考えてよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、例のみにより1Dおよび2Dホログラフィック再構成を説明する。他の実施形態では、ホログラフィック再構成は3Dホログラフィック再構成である。すなわちいくつかの実施形態では、各コンピュータ生成ホログラムは、3Dホログラフィック再構成を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
前述の技術を基に、特定の実施形態が例のみにより説明される。本明細書で与えられる特定の詳細を変更するために、ありふれた変形が可能であることが理解されるだろう。以下の図面に従って、いくつかの例が説明される。
【
図1】表示領域にホログラフィック再構成を生成するように構成された、LCOSなどの反射型SLMを示す概観図である。
【
図2】本開示に従い、フーリエ変換レンズを用いてホログラフィック再構成を与えるシステムを示す図である。
【
図3】フーリエ変換レンズが、SLMによって与えられる位相限定レンズであるシステムを示す図である。
【
図4】
図3に示されるシステムにおける問題を示す図である。
【
図5】フーリエレンズの焦点距離(x−軸)が、ホログラフィック再構成領域のうちゼロオーダが占める割合(y−軸)に与える影響を示す図である。
【
図6】物理的円柱フーリエレンズの使用を示す図である。
【
図8】第2の実施形態を示す図である。 図面において、同一の部品には同一の符号が付される。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明は以下の実施形態に限定されず、添付の請求項の全範囲に及ぶ。すなわち本発明は異なる形態で実現可能であり、説明を目的に詳述される実施形態の説明に限定されると解釈されるべきではない。
【0064】
特に断りのないかぎり、単数形で書かれた用語は複数形を含んでよい。
【0065】
他の構造の上部/下部、または上/下に形成されると説明される構造は、これらの構造同士が互いに接触する、さらには第3の構造がこれらの構造の間に配置される場合も含むと解釈されるべきである。
【0066】
時間関係が説明される場合、例えば事象の時間的順序が「の後に」「その後」「次に」「の前に」などと説明される場合、特に断りのない限り本開示は、連続的および不連続的事象の両方を含むと解釈されるべきである。例えば「ちょうど」「直ちに」または「直接」といった文言がない限り、当該説明は連続的でない場合も含むと解釈されるべきである。
【0067】
本明細書では「第1の」「第2の」といった用語が種々の要素を説明するために使用されるが、これらの要素は該用語に限定されない。こうした用語は、ある要素を他の要素と区別するためだけに使われる。例えば、添付の請求項の範囲を逸脱することなく、第1の要素が第2の要素と呼ばれてもよいし、同様に第2の要素が第1の要素と呼ばれてもよい。
【0068】
異なる形態の特徴は、部分的または全体的に、相互に結合されまたは組み合わされてよく、様々な形で互いに連動されてよい。いくつかの実施形態は、他と独立に実行されてもよく、相互関係をもって実行されてもよい。
【0069】
光は、SLMの位相限定層(すなわち位相変調素子のアレイ)を通って入射される。位相変調層から出射する変調光は、再生領域に配光される。特にここで開示されるタイプのホログラフィでは、ホログラムの各ピクセルは再生全体に寄与する。すなわち、再生領域上の特定の点と特定の位相変調素子との間に1対1の相関関係は存在しない。
【0070】
空間内のホログラフィック再構成の位置は、単数または複数のフーリエ変換レンズの、屈折(焦点)パワーによって決定される。いくつかの実施形態では、1Dフーリエ変換は、物理的レンズによって実行される。すなわちこのレンズは、1Dフーリエ変換を光学的に実行するように構成された光学的1Dフーリエ変換レンズである。いかなるレンズもフーリエ変換レンズとして機能し得るが、実行されるフーリエ変換の精度はレンズの性能により制限されるだろう。当業者は、レンズを選択する用法、およびそのレンズを用いて1Dまたは2Dのフーリエ変換を実行する方法を理解する。いくつかの実施形態では、1Dフーリエ変換はまた、1Dレンズデータをホログラフィックデータ内に包含させることにより、計算的に実行される。すなわちホログラムは、物体を表すデータとともにレンズを表すデータを含む。コンピュータ生成ホログラムの分野では、レンズを表すホログラフィックデータの計算方法が知られている。レンズを表すホログラフィックデータは、ソフトウェア定義されたレンズまたはソフトウェアレンズと呼ばれてもよい。例えば位相限定型ホログラフィックレンズの形成は、光路長の空間的変化と屈折率分布とが原因でレンズの各点で発生する位相遅延を計算することにより行われてよい。例えば凸レンズの中心における光路長は、該レンズの端部における光路長より長い。強度限定型ホログラフィックレンズは、フレネルゾーンプレートで形成されてよい。コンピュータ生成ホログラムの技術ではまた、物理的フーリエレンズを使用することなくフーリエ変換を実行できるように、レンズを表すホログラフィックデータを、物体を表すホログラフィックデータと合成する方法が知られている。いくつかの実施形態では、レンズデータは単純なベクトル和によってホログラフィックデータと合成される。いくつかの実施形態では、物理的レンズが、フーリエ変換を実行するソフトウェアレンズとともに使用される。さらなる実施形態では、ホログラムは、回折格子データ(すなわち、ビーム操作のような回折格子の機能を果たすように構成されたデータ)を含んでよい。再びコンピュータ生成ホログラムの分野では、このようなホログラフィックデータを計算する方法、および該データを、物体を表すホログラフィックデータと合成する方法が知られている。例えば、位相限定型ホログラフィック回折格子は、ブレーズド回折格子の表面上の各点で発生する位相遅延をモデル化することにより形成されてよい。強度限定型ホログラムの角度操作を実現するために、強度限定型ホログラフィック回折格子が、物体を表す強度限定型ホログラムに単純に重ね合わされてよい。
【0071】
本発明者らは、DCオーダを扱うために、物理的円柱フーリエレンズと位相限定レンズのハイブリッドシステムを利用すると有利であることに気が付いた。特に、物理的円柱レンズ、すなわち一軸方向のみに光学パワーを持つレンズを利用することにより、ゼロオーダを線としてフォーカスさせることができる。DCオーダ線は一軸方向に極めて小さいサイズを持ち、別の方向の空間光変調と同じサイズとなるだろう。光エネルギーがこのように拡散することにより、前述の問題と潜在的なコントラスト問題が低減される。本開示は、位相変調、強度変調および完全複合変調に同等に適合する。
【0072】
物理的光学パワーが存在する方向の軸は、1次元のホログラフィック再構成を形成すだろう。しかしながらこれは、
図6に示されるような線全体を形成するには不十分である。
【0073】
図6は、物理的円柱レンズのみを備える例を示す。ここでは、円柱フーリエレンズ650を用いてホログラフィック再構成領域605上で1次元方向にのみ拡散されたDCスポット607を形成するように照射されたLCOS SLM601が描かれる。DCオーダ607は、1次元であるといってよい。ホログラフィック再構成領域は、1次元方向にのみ回折されているといってよい。すなわち、完全な2次元のホログラフィック再構成は生成されない。DCスポット607は、フーリエレンズの幅である。
【0074】
しかしながら本発明者らは、物理的レンズに対して直交する位相限定円柱レンズパワーをホログラムデータに追加することにより、
図7に示されるように、画像全体が正しく生成され得るだろうことに気が付いた。この点において、本発明者らが、改善されたゼロオーダ除去のためのハイブリッドシステムを提供したことを理解できるだろう。
【0075】
図7は、物理的円柱レンズと、位相限定フーリエレンズと、を備える実施形態を示す。ここでは、円柱フーリエレンズ750を用いてホログラフィック再構成領域705上で1次元方向にのみ拡散されたDCスポット707を形成するように照射されたLCOS SLM701が描かれる。DCスポット707は、1次元であるといってよい。DCスポット707は、フーリエレンズの幅である。方向760に機能する物理的レンズ750と、方向770に機能する位相限定レンズとの組み合わせの効果により、2次元のフーリエ変換が実現する。いくつかの実施形態では、ホログラフィック再構成領域705は、スクリーンや拡散板などの受光面上に形成される。
【0076】
こうしてディスプレイシステムが与えられる。このディスプレイシステムは、ホログラフィックデータを提供するように構成されたデータ提供部と、ホログラフィックデータを受信するように構成された空間光変調器と、第2の円柱レンズと、を備える。ホログラフィックデータは、第1の方向に光学パワーを持つ第1の円柱レンズに相当する第1のデータを備える。空間光変調器は、ホログラフィックデータに従って受信光を空間的に変調するように構成される。第2の円柱レンズは、空間的に変調された光を空間光変調器から受信し、受信光の1次元のフーリエ変換を第1の方向と直交する第2の方向で実行するように構成される。
【0077】
第1の1次元レンズが空間光変調器上のホログラムとして計算的に与えられ、第2の1次元レンズが物理的光学素子として与えられ、これらのレンズはそれぞれ互いに直交するフーリエ変換を実行するように構成されることが理解されるだろう。当業者は、前述の2つの互いに直交する1Dフーリエ変換を実行するために、2つの円柱レンズの向き付けをする方法を理解するだろう。いくつかの実施形態では、2つの円柱レンズは互いに直交する。いくつかの実施形態では、第1の1Dレンズは、第1の方向にのみ光学パワーを持つ。そして第2の1Dレンズは、第2の方向にのみ光学パワーを持つ。ここで第1および第2の方向は直交している。本ディスプレイシステムは、空間光変調器上に与えられるホログラムの再構成を形成するために用いられてよい。再構成のための画像に相当するホログラフィック情報は、第1の1次元レンズを与えるホログラムと合成される。従っていくつかの実施形態では、ホログラフィックデータは、ホログラフィック再構成のための画像に相当する第2のデータをさらに備えることが理解されてよい。
【0078】
ホログラフィックデータは、2つの成分、すなわち、ホログラフィック再構成のための画像を表す第1の成分と、1次元のレンズ作用を与えるように構成された第2の成分と、を備えるといってよい。2つの成分は、ベクトル和により合成されてよい。従って、ホログラフィックデータが2つの成分から形成されたことは直ちに明らかではないかもしれないが、レンズ作用を与えるために、レンズデータが画像コンテンツデータに合成されたことは理解できるだろう。ホログラフィックデータの第1のデータは、第1の円柱レンズ効果を与えるといってよい。いくつかの実施形態では、ホログラフィックデータは、第1のデータと第2のデータとのベクトル和を備える。
【0079】
いくつかの実施形態では、第2の円柱レンズは、画像の2次元のホログラフィック再構成を再生平面に形成するように構成される。
【0080】
いくつかの実施形態では、SLMは、反射型LCOS SLMなどのシリコン上液晶空間光変調器である。別の実施形態では、SLMは透過型であるか、またはSLMsに基づくMEMsである。いくつかの実施形態では、SLMは位相変調限定型である(すなわち強度変調型ではない)。いくつかの実施形態では、空間光変調器は複数のピクセルを備える。ピクセルの各々は、該ピクセル上の光入射に位相遅延を与えるために、個別にアドレス付けられてよい。ピクセルの各々は、位相遅延素子であるとして記述されてよい。空間光変調器は、個別にアドレス付け可能な位相遅延素子のアレイを備えるといってよい。いくつかの実施形態では、ピクセルの各々は15μmより小さい直径を持つ。
【0081】
有利な実施形態では、第2の円柱レンズは物理的光学素子である。
【0082】
データ提供部は、ホログラフィックデータを計算するように構成された計算手段、またはホログラフィックデータを記憶するように構成されたメモリであってよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、データ提供部は、第1の円柱レンズの光学パワーを決定するユーザ入力を受け入れるようにさらに構成される。すなわち、第1の円柱レンズの光学パワーは、ユーザ制御されてもよく、あるいはソフトウェア制御されてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、ホログラフィックデータは、第2の方向に光学パワーを持つ第3の円柱レンズに相当する第3のデータ成分をさらに備える。これにより、ゼロオーダに対して異なる距離の位置にホログラフィック再構成を生成するため、この実施形態は有利である。これは
図8に示される。
【0085】
図8は、物理的円柱レンズと位相限定フーリエレンズとを備える、さらなる有利な実施形態を示す。ここでは、円柱フーリエレンズ850を用いてホログラフィック再構成領域805上で1次元方向にのみ拡散されたDCスポット807を形成するように照射されたLCOS SLM801が描かれる。DCスポット807は、1次元であるといってよい。DCスポット807は、フーリエレンズの幅である。第1の方向860の1次元のフーリエ変換は、物理的レンズおよび位相限定レンズによって与えられる。第1の方向と直交する第2の方向870の1次元のフーリエ変換は、位相限定レンズによって与えられる。DCスポット807は、ホログラフィック再構成領域805から離れた所に形成されることが見られるだろう。DCスポット(またはゼロオーダ)が再生平面から空間的に分離されているため、さらに容易にこれをシステムから除去することができる。いくつかの実施形態では、これは、ゼロオーダ光が変位することなく変調光が変位するように(これにより、ゼロオーダは再生平面から変位する)、ホログラムのソフトウェアレンズに光学パワーを付加することにより実現される。いくつかの実施形態では、ホログラフィック再構成領域805は、スクリーンや拡散板のような受光面上に形成される。
【0086】
データ提供部は、第3の円柱レンズの光学パワーを決定するユーザ入力を受け入れるようにさらに構成される。すなわち、第3の円柱レンズの光学パワーは、ユーザ制御されてもよく、あるいはソフトウェア制御されてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、ホログラフィックデータは、第2の円柱レンズにおける収差を補償するように構成された第4のデータ成分をさらに備える。
【0088】
従って、ゼロオーダ光が空間変調光から容易に除去されることのできる、改良されたディスプレイシステムが与えられる。従って、いくつかの実施形態は、ゼロオーダ光を空間光変調器から遮断するように構成された空間フィルタを備える。空間フィルタは、ゼロオーダ遮断であるとして記述されてよい。ゼロオーダ遮断は、種々の異なる物理的形態を取ってよいことを、当業者は理解するだろう。ゼロオーダ遮断は、例えばエッジや反射開口や光ダンプであってよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、ゼロオーダ光をシステムから容易に除去するために、空間フィルタは第2の円柱レンズの焦点距離の位置に置かれる。
【0090】
いくつかの実施形態は、位相限定ホログラフィおよび位相限定空間光変調に関する。いくつかの実施形態では、ホログラフィックデータは、位相限定情報を備える。ホログラフィックデータは、位相限定分布または周波数領域におけるホログラフィックデータを表すといってよい。しかしながら本開示は、位相限定ホログラフィに限定されず、別の実施形態では代替的又は追加的に、強度変調を実行する。
【0091】
いくつかの実施形態では、第1のデータ成分は、画像のフレネル変換の位相限定表現である。いくつかの実施形態では、第1のデータ成分は、周波数領域における画像の表現である。しかしながら本開示はこの点に限られない。いくつかの実施形態では、第1のデータ成分は、画像のフーリエ変換の位相限定表現である。
【0092】
本開示は、静止画像、またはリアルタイムビデオ画像のようなビデオ画像を生成するために使われてもよい。いくつかの実施形態では、ホログラフィック再構成の各々は、連続する2Dビデオフレームのフレームの1つである。
【0093】
有利には、再生平面は、ホログラフィック再構成の観察者から空間的に離れた所に構成されてもよい。従って例えば、本開示に係るディスプレイシステムを備える接眼装置またはヘッドアップディスプレイが与えられてよい。本開示は、モノクロまたはカラーディスプレイを形成するために利用されてよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、本ディスプレイシステムは、ピクセルを照射するように構成された光源をさらに備える。いくつかの実施形態では、光源はレーザのような(空間的な)コヒーレント光源である。いくつかの実施形態では、本ディスプレイシステムは、合成カラーホログラフィック再構成を与えるように構成された複数の光源を備える。
【0095】
いくつかの実施形態では、本開示のホログフィック投影システムは、改良型のヘッドアップディスプレイ(HUD)、またはヘッドマウントディスプレイ、または接眼装置を与えるために使用される。いくつかの実施形態では、乗り物内にHUDを与えるために具現化されたホログフィック投影システムを備える乗り物が与えられる。この乗り物は、自動車、トラック、ヴァン、大型トラック、オートバイ、列車、航空機、ボート、船舶などといった自動化された乗り物であってよい。
【0096】
前述の方法およびプロセスは、コンピュータ読み取り可能媒体上で実施されてもよい。「コンピュータ読み取り可能媒体」という用語は、データを一時的または永久に記憶する媒体、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、バッファメモリ、フラッシュメモリ、およびキャッシュメモリなどを含む。「コンピュータ読み取り可能媒体」という用語はまた、機械による実行命令を記憶可能な任意の媒体または複数の媒体の組み合わせを含むと理解されてよい。ここで、この命令が1つ以上のプロセッサで実行されると、前述の任意の1つ以上の方法が、全体的または部分的に機械により実行される。
【0097】
「コンピュータ読み取り可能媒体」という用語はまた、クラウドベースのストレージシステムを包含する。「コンピュータ読み取り可能媒体」という用語は、例えば固体メモリチップ、光ディスク、磁気ディスク、その他それらの好適な組み合わせといった形態の1つ以上の具体的かつ非一過性のデータ記憶場所(すなわちデータボリューム)を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態例では、実行命令は搬送媒体を用いて通信されてもよい。このような搬送媒体の例は、一時的媒体(例えば、命令を通信する伝送信号)を含む。
【0098】
本発明は上記の実施形態に限定されず、添付の請求項の全範囲に及ぶ。