【課題を解決するための手段】
【0016】
メチルナルトレキソンの製剤の腸溶性スフェロイドを含有するカプセルを、オピオイド誘発性便秘を患う患者において試験した。本研究における患者は、非悪性疼痛のためにオピオイドの投与を受けていた。(該患者は、慢性メタドン維持療法患者ではなかった。) '591特許において有効であると報告された範囲内の用量である300 mgまたは450 mgの腸溶性メチルナルトレキソンカプセル(それぞれおよそ4 mg/kgおよび6 mg/kg)を患者に投与した。300 mg用量によって生じたメチルナルトレキソンの平均ピーク血漿レベルは10 ng/mLであり、450 mg用量によって生じたメチルナルトレキソンの平均ピーク血漿レベルは20 ng/mL未満であった。予期せぬことに、これらの調製物はオピオイド誘発性便秘を治療するのに有効ではなかった。該調製物は便通を誘導せず、患者において対照と比較してより頻繁な排便をもたらさなかった。このことは、当技術分野における教示を考えると驚くべきことであった。
【0017】
腸溶性メチルナルトレキソンカプセルの結果に基づくと、便通の達成が該薬物のピーク血漿レベルに依存するのか、該薬物の血漿レベルを達成するタイミングに依存するのか、または局所効果などの他の要因に依存するのかは不明であった。さらなる実験を行い、結果として、本発明者らは、腸溶コーティングしていないメチルナルトレキソンを含有する経口製剤を開発することに着眼した。
【0018】
腸溶コーティングしていないメチルナルトレキソンの製剤のスフェロイドを含有するカプセルを、非悪性疼痛のためにオピオイドの投与を受けている患者において試験した。150 mg、300 mg、450 mg、および600 mgの用量を試験した。これらの用量により、約15〜40 ng/mlの平均ピーク血漿レベルが生じた。腸溶コーティングしていないこれらのカプセルは便通を誘導せず、この患者集団において対照と比較してより頻繁な排便をもたらさなかった。
【0019】
腸溶コーティングしていないメチルナルトレキソンの製剤のスフェロイドを含有する錠剤を、非悪性疼痛のためにオピオイドの投与を受けている患者において試験した。150 mg、300 mg、450 mg、および600 mgの用量を試験した。これらの用量により、非コーティングカプセルで達成されたピーク血漿レベルと類似の、約7〜40 ng/mlの平均ピーク血漿レベルが生じた。腸溶コーティングしていないこれらの錠剤は、1つの用量では統計的有意性を有して活性を示したが、全用量にわたって一貫して便通を誘導するわけではなかった。錠剤では活性があり、カプセルでは活性がないということは、先行技術で入手可能な情報に基づくと、当業者にとって驚くべきことであった。
【0020】
先行技術は、非悪性疼痛のためにオピオイドの投与を受けている患者においてオピオイド誘発性便秘を治療するのに有効な経口メチルナルトレキソンを作製するのに何が必要であるのかを明らかにしなかった。第一に、先行技術は、便通の達成が該薬物の全体の血漿レベルに依存するのか、該薬物のピーク血漿レベルに依存するのか、または該薬物の血漿レベルを達成するタイミングに依存するのかを明らかにしなかった。第二に、たとえ便通を達成するための薬物動態が確立されたとしても、先行技術は、用量変更およびコーティングによる以外の、経口メチルナルトレキソンの薬物動態を予測通りに制御するための製剤化方法論を明らかにしなかった。非腸溶性錠剤の性能をさらに向上させることを所望して、さらなる製剤開発研究を行った。
【0021】
メチルナルトレキソンは親水性であり、水溶液によく溶ける。第4級アミンの正電荷のために、メチルナルトレキソンは胃腸管において吸収されにくい。一般に、経口送達した場合、メチルナルトレキソンの約5%未満しか血流中に吸収されない。
【0022】
経口投与薬の吸収を高めるためには、多くの考えられ得る一般的アプローチが存在する。しかしながら、どのアプローチが経口メチルナルトレキソンの有効性の向上をもたらすのかは不明であった。本発明者らは、錠剤製剤、カプセル製剤、液体製剤、ギャップ結合開口薬、Pgp阻害剤、能動輸送剤、油懸濁液、迅速放出のための発泡溶液等を試験した。試みたアプローチの大部分は、使用した実験モデルにおいて吸収を向上させなかった。実際に、ある種のイヌモデルで試験した場合、アプローチのいくつかは予測した効果と反対の効果を有し、すなわち試験したパラメータの1つまたは複数において吸収は阻害された。
【0023】
分子上の見かけのイオン電荷を減少させるために、イオン対形成が調べられてきた。親水性荷電分子と両親媒性対イオンの間の相互作用により、親水性分子は十分に親油性となって、非水溶媒中での該分子の溶解性が可能になり得る(または増加し得る)。イオン対形成によって有機相への分子の分配が増加するため、この分野の研究の多くは、イオン性分子の有機溶媒中への抽出、クロマトグラフィーによる分子の分離、有機溶媒中での親水性分子の反応等に向けられてきた。薬物吸収に関して、研究の大部分は、皮膚、眼、鼻腔、または腟腔への薬物の送達に限定されていた(例えば、J. Hadgraft, 「Skin Deep,」 European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 58, 291-299, 2004;Quintanar-Guerrero et al., Application of the Ion-Pair Concept to Hydrophilic Substances with Special Emphasis on Peptides,」 Pharmaceutical Research 14, 119-127, 1997を参照されたい)。イオン対を用いて経口投与薬の生物学的利用能を向上させることに関して、先行技術では限られた研究しか報告されていない。
【0024】
臭化メチルナルトレキソンよりも疎水性の高い「対」を形成し、それによって胃内でのメチルナルトレキソンの吸収を高めるため、本発明者らにより、正荷電メチルナルトレキソンと負荷電部分とのイオン対が仮定された。メチルナルトレキソンと陰イオンを用いて、様々なイオン類が形成された。メチルナルトレキソンとドデシル(ラウリル)硫酸との間で、1つのそのようなイオン対が形成された。
【0025】
予期せぬことに、即効性崩壊剤(例えば、二酸化炭素発生崩壊剤)を伴う固体剤形中の、メチルナルトレキソンと、溶液中に溶解した場合にメチルナルトレキソンとイオン対または塩を形成する両親媒性の薬学的に許容される賦形剤が、便通を誘導するのに効果的であることが発見された。
【0026】
本発明の任意の特定の理論によって縛られることは望まないが、本発明の製剤および調製物を用いた場合、局所的な胃への効果および全身的な効果が存在し、それらが組み合わさって便通を達成すると考えられる。そのような二重効果により、皮下注射に有効であることが示されたピーク血漿レベルよりも低いピーク血漿レベルで、本発明の経口製剤を用いて便通が達成され得ることが示唆され得る。
【0027】
本発明は、メチルナルトレキソンと両親媒性の薬学的に許容される賦形剤のイオン対、そのようなイオン対を形成する方法、そのようなイオン対を選択する方法、そのようなイオン対の使用、そのようなイオン対を含む組成物、即効性崩壊剤(例えば、発泡性または二酸化炭素発生崩壊剤)を含有する製剤を含む、メチルナルトレキソンおよび両親媒性の薬学的に許容される賦形剤の固体経口製剤、ならびにそのような組成物およびその製剤を使用する方法に関する。
【0028】
1つの局面において、本発明は以下の式のメチルナルトレキソンの塩を提供する:
【化1】
式中、メチルナルトレキソンは塩の陽イオンであり、A
-は両親媒性の薬学的に許容される賦形剤の陰イオンである。特定の態様において、メチルナルトレキソンは、上記の式に示されるように(R)-N-メチルナルトレキソンである。両親媒性の薬学的に許容される賦形剤は酸性である。特定の態様において、両親媒性の薬学的に許容される賦形剤は、約3以下のpK
aを有する。例えば、両親媒性の薬学的に許容される賦形剤は、硫酸、スルホン酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、またはホスホン酸部分を含み得る。1つの態様において、薬学的に許容される賦形剤は(-OSO
3-)基を含む。特定の理論によって縛られることは望まないが、約3以下のpK
a値を有するそのような化学官能基により、イオン対は、胃で見出される酸性pHにおいて共に結合したままであることが可能になる。これは、賦形剤の共役塩基が脱プロトン化され、負に荷電したままであり、かつメチルナルトレキソンが正に荷電した4級アミンであるためである。薬学的に許容される賦形剤はまた、疎水性部分を含む。いくつかの態様において、疎水性部分は、分岐または非分岐で、飽和型または不飽和型で、環式または非環式のC
4-30脂肪族鎖であり、これは任意に置換されてよい。いくつかの態様において、薬学的に許容される賦形剤は、例えば、置換されていてもよい、飽和型または不飽和型で、分岐または非分岐で、環式または非環式のC
4-30脂肪族基である。いくつかの態様において、これは飽和型で、非分岐で、非環式で、非置換型のC
4-30アルキル基である。いくつかの態様において、これは飽和型で、非分岐で、非環式で、非置換型のC
7-15アルキル基である。いくつかの態様において、これはC
12 n-アルキル基である。いくつかの態様において、これはドデシル(ラウリル)硫酸である。任意の理論によって縛られることは望まないが、脂肪族鎖によって賦形剤が両親媒性になり、事実上表面が活性化し、これがGI管の内表面を裏打ちしている非撹拌拡散層を通したイオン対の輸送を助け、よって受容体部位への局所的効果ならびに/または例えば胃および十二指腸上部といったGI管の裏打ちなどの親油性障壁を通した吸収に関して、GI膜へのメチルナルトレキソンの利用能が増加すると考えられる。特定の態様において、メチルナルトレキソンイオン対は、室温で固体である塩である。
【0029】
本発明の別の局面に従って、組成物を提供する。組成物は上記の塩またはイオン対である。塩またはイオン対は、組成物中のメチルナルトレキソンの少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの態様において、組成物は薬学的組成物である。
【0030】
本発明の別の局面において、経口投与用の組成物を提供する。組成物は、メチルナルトレキソン、および溶液中に溶解した場合にメチルナルトレキソンとイオン対または塩を形成し、それによってメチルナルトレキソンのオクタノール/水分配係数を増加させる両親媒性の薬学的に許容される賦形剤を含む。組成物を水溶液中に溶解した場合、酸性条件においておよびいくつかの態様ではpH 1〜4において、メチルナルトレキソンの見かけのオクタノール/水分配係数は少なくとも0.25である。pH 1〜4は、胃の生理的状態をシミュレートするために用いられる。特定の態様において、メチルナルトレキソンの見かけのオクタノール/水分配係数は、pH 1〜4において少なくとも0.5、1.0、5.0、10、20、または30である。典型的には、両親媒性の薬学的に許容される賦形剤の共役塩基が脱プロトン化されたままであり、胃で見出される生理的条件(すなわち、酸性pHの溶液)下で陽イオン性メチルナルトレキソンに非共有結合できるように、薬学的に許容される賦形剤は約3以下のpKaを有する。
【0031】
組成物はまた即効性崩壊剤を含んでもよく、この場合、組成物は胃内で約15分以内に溶解する。少なくとも1つの態様において、組成物中のメチルナルトレキソンの少なくとも50%が15分以内に溶解する。他の態様において、組成物中のメチルナルトレキソンの少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、またはさらには99%が15分で溶解する。前述の態様のいずれかにおいて、組成物中のメチルナルトレキソンは、10分以内またはさらには5分以内に溶解し得る。胃内での組成物の溶解は、37℃の900 ml 0.1 N HCl中、100 rpmのパドルを備えた溶解装置においてインビトロ研究によってシミュレートすることができる。特定の態様において、崩壊剤は即効性崩壊剤である。特定の態様において、組成物は、
図2に示した溶解プロファイルと実質的に類似している溶解プロファイルを有する。いくつかの態様において、崩壊剤は発泡性崩壊剤(すなわち、気体を発生する崩壊剤)である。組成物内で気泡を発生させることにより、組成物はより容易に分解し、それによってメチルナルトレキソンが放出される。発泡性崩壊剤は、メチルナルトレキソンおよびドデシル硫酸を含有する溶解錠剤を助けるのに特に有用であることが判明した。特定の態様において、崩壊剤は、組成物を水性媒体と接触させた場合に二酸化炭素を発生し得る発泡性崩壊剤である。態様のいずれかにおいて、発泡性崩壊剤は、炭酸水素塩または炭酸塩であってよい。態様のいずれかにおいて、発泡性崩壊剤は炭酸水素ナトリウムであってよい。
【0032】
本発明の別の局面に従って、メチルナルトレキソン製剤を調製する方法を提供する。本方法は、臭化またはヨウ化メチルナルトレキソンなどの、メチルナルトレキソンの固体の薬学的に許容される塩(メチルナルトレキソンと両親媒性の薬学的に許容される賦形剤のイオン対ではない)を、両親媒性賦形剤の固体の薬学的に許容される塩(メチルナルトレキソンと両親媒性の薬学的に許容される賦形剤のイオン対ではない)と混合して、混合物を形成する段階を含む。混合物は湿式造粒され得る。特定の態様においては、メチルナルトレキソンまたはその薬学的に許容される塩、両親媒性の薬学的に許容される賦形剤、少なくとも1種の崩壊剤、少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも1種の湿潤剤、および任意で少なくとも1種の充填剤の湿式顆粒を調製し、固体剤形に形成する。特定の態様においては、メチルナルトレキソンまたはその薬学的に許容される塩、結合剤、両親媒性の薬学的に許容される賦形剤、および任意で崩壊剤を乾式混合し;乾式混合物をキレート剤および/または湿潤剤の溶液と共に造粒して、湿式顆粒を形成することにより、湿式顆粒を形成する。湿式顆粒を乾燥および粉砕してもよく、固体剤形を調製する前に、粉砕乾燥顆粒を追加の崩壊剤(例えば、炭酸水素ナトリウム)ならびに任意に潤滑剤および/または流動促進剤と混合してもよい。
【0033】
いくつかの局面において、本発明は、陽イオン性メチルナルトレキソンと両親媒性の薬学的に許容される賦形剤の陰イオン(例えば、ドデシル硫酸)の塩を含む、経口投与用の組成物を提供する。いくつかの態様において、経口投与用の組成物は錠剤製剤である。いくつかの態様において、経口投与用の製剤はカプセル製剤である。
【0034】
一般に、経口投与用の製剤は、メチルナルトレキソン、上記のような両親媒性の薬学的に許容される賦形剤、および崩壊剤を含み、さらに任意で、例えば結合剤、担体、キレート剤、抗酸化剤、充填剤、潤滑剤、湿潤剤、またはそれらの組み合わせなどの1種または複数種の他の成分を含む。前述の態様のいずれかにおいて、経口製剤は錠剤製剤である。いくつかの態様において、本発明は、本明細書に記載の製剤または組成物を含む単位剤形を提供する。
【0035】
本発明はまた、そのような投与が望ましい任意の状況における、メチルナルトレキソンの経口投与の方法を提供する。例えば、製剤は、腸運動の阻害または胃腸障害(例えば、便秘、GI括約筋収縮)、悪心、嘔吐、および掻痒を含む、オピオイドの投与によって生じる副作用の重症度を予防、治療、または軽減するのに有用である。組成物および製剤は、急性オピオイド治療を受けている患者(例えば、術後イレウス、または急性オピオイド投与による胃腸障害に罹患している患者)への投与に有用である。そのような製剤はまた、慢性オピオイド投与を受けている対象(例えば、オピオイド療法を受けている末期症状患者(例えば、エイズ患者、癌患者、および心血管疾患患者);疼痛管理のために慢性オピオイド療法を受けている対象;オピオイド離脱の維持のためにオピオイド療法を受けている対象)への投与にも有用である。いくつかの態様において、対象は、慢性疼痛管理のためにオピオイド療法を受けている。他の態様において、対象は、急性疼痛管理のためにオピオイド療法を受けている。特定の態様において、疼痛は非悪性疼痛(例えば、背部痛、神経障害性疼痛、線維筋痛症、変形性関節症等に伴う疼痛)である。特定の態様において、疼痛は慢性非悪性疼痛である。特定の態様において、疼痛は悪性疼痛である。特定の態様において、本発明は、本明細書に記載の通りに、提供される錠剤製剤を対象に投与する段階を含む、オピオイド治療を受けている対象におけるオピオイド療法の1つまたは複数の副作用を軽減する段階を含む方法を提供する。他の態様において、本発明は、対象に製剤を投与する段階を含む、対象における内因性オピオイド活性の複数の影響のうちの1つ(例えば、産後イレウス)を軽減する方法を提供する。いくつかの態様において、対象はメタドン維持療法患者ではない。前述の態様のいずれかにおいて、対象は絶食しても、または摂食してもよい。1つの重要な態様において、対象は一晩絶食する。
【0036】
より具体的には、本発明は以下を提供する:
[1] 式(I)の塩:
【化2】
式中、A
-は両親媒性の薬学的に許容される賦形剤の陰イオンである;
[2] 薬学的に許容される賦形剤が3以下のpK
aを有する、[1]の塩;
[3] 薬学的に許容される賦形剤がスルフェート(-OSO
3-)基を含む、[1]の塩;
[4] 薬学的に許容される賦形剤が、置換されていてもよい、飽和型または不飽和型で、分岐または非分岐で、環式または非環式のC
4-30脂肪族基を含む、[1]〜[3]の塩;
[5] 薬学的に許容される賦形剤が、飽和型で、非分岐で、非環式で、非置換型のC
4-30アルキル基を含む、[1]〜[3]の塩;
[6] 薬学的に許容される賦形剤が、飽和型で、非分岐で、非環式で、非置換型のC
7-15アルキル基を含む、[1]〜[3]の塩;
[7] 薬学的に許容される賦形剤がC
12 n-アルキル基を含む、[1]〜[3]の塩;
[8] A
-がドデシル硫酸である、[1]の塩;
[9] [1]〜[8]の塩を含む、経口投与用の薬学的組成物;
[10] 固体投薬量のメチルナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩および両親媒性の薬学的に許容される賦形剤を含む、経口投与用の薬学的組成物;
[11] メチルナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩および両親媒性の薬学的に許容される賦形剤が、溶液中に溶解した場合にイオン対を形成する、[10]の薬学的組成物;
[12] メチルナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩および両親媒性の薬学的に許容される賦形剤を、pHが約1を上回りかつ約4未満である溶液中に溶解した場合に、イオン対が形成される、[11]の薬学的組成物;
[13] 崩壊剤をさらに含む、[12]の薬学的組成物;
[14] 前記組成物の少なくとも50%が、100 rpmのパドルを備えた溶解装置において37℃の900 mL 0.1 N HCl中で約15分以内に溶解する、[10]〜[13]の薬学的組成物;
[15] 前記組成物の少なくとも75%が、100 rpmのパドルを備えた溶解装置において37℃の900 mL 0.1 N HCl中で約15分以内に溶解する、[14]の組成物;
[16] 前記組成物の少なくとも90%が、100 rpmのパドルを備えた溶解装置において37℃の900 mL 0.1 N HCl中で約10分以内に溶解する、[15]の組成物;
[17] 溶液中の前記組成物におけるメチルナルトレキソンの見かけのオクタノール/水分配係数がpH 1〜4において少なくとも0.25である、[10]〜[16]の組成物;
[18] 見かけの分配係数が少なくとも1である、[17]の組成物;
[19] 見かけの分配係数が少なくとも10である、[18]の組成物;
[20] 見かけの分配係数が少なくとも20である、[19]の組成物;
[21] 見かけの分配係数が少なくとも30である、[20]の組成物;
[22] 薬学的に許容される賦形剤が3以下のpKaを有する、[10]〜[21]の組成物;
[23] 薬学的に許容される賦形剤がスルフェート(-OSO
3-)基を含む、[10]〜[22]の組成物;
[24] 薬学的に許容される賦形剤が、置換されていてもよい、飽和型または不飽和型で、分岐または非分岐で、環式または非環式のC
4-30脂肪族基を含む、[10]〜[22]の組成物;
[25] 薬学的に許容される賦形剤が、飽和型で、非分岐で、非環式で、非置換型のC
4-30アルキル基を含む、[10]〜[22]の組成物;
[26] 薬学的に許容される賦形剤が、飽和型で、非分岐で、非環式で、非置換型のC
7-15アルキル基を含む、[10]〜[22]の組成物;
[27] 薬学的に許容される賦形剤がC
12 n-アルキル基を含む、[10]〜[22]の組成物;
[28] 薬学的に許容される賦形剤が陰イオン界面活性剤である、[10]〜[22]の組成物;
[29] 薬学的に許容される賦形剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、[10]〜[22]の組成物;
[30] 式(I)の化合物を含む、[10]〜[29]の組成物:
【化3】
式中、A
-は両親媒性の薬学的に許容される賦形剤の陰イオンである;
[31] 崩壊剤が発泡性崩壊剤である、[10]〜[30]の組成物;
[32] 崩壊剤が炭酸水素塩である、[10]〜[30]の組成物;
[33] 崩壊剤が炭酸水素ナトリウムである、[10]〜[30]の組成物;
[34] 前記組成物の全重量に基づいて約5%〜約80%の薬学的に許容される賦形剤を含む、[9]〜[33]の組成物;
[35]
前記組成物の全重量に基づいて約7%〜約75%のメチルナルトレキソンを含有する、[9]〜[33]の組成物;
[36] 錠剤である、[9]〜[33]の組成物;
[37] 結合剤、キレート剤、湿潤剤、潤滑剤、非機能性コーティング、または抗酸化剤、およびそれらの組み合わせの少なくとも1つまたは複数を含む錠剤である、[9]〜[36]の組成物;
[38] キレート剤を含む、[37]の組成物;
[39] キレート剤がEDTAの塩である、[38]の組成物;
[40] キレート剤がEDTAカルシウム二ナトリウムである、[38]の組成物;
[41] 潤滑剤を含む、[37]の組成物;
[42] 潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、[41]の組成物;
[43] 抗酸化剤を含む、[37]の組成物;
[44] 抗酸化剤がアスコルビン酸である、[43]の組成物;
[45] 以下を含む、[37]の組成物:
(a) 該組成物の全重量に基づいて約7%〜約75%の臭化メチルナルトレキソン;
(b) 該組成物の全重量に基づいて約5%〜約80%の両親媒性の薬学的に許容される賦形剤;
(c) 該組成物の全重量に基づいて約0.01%〜約5%のキレート剤;
(d) 該組成物の全重量に基づいて約1%〜約25%の湿潤剤;
(e) 該組成物の全重量に基づいて約5%〜約90%の結合剤;
(f) 該組成物の全重量に基づいて約1%〜約25%の崩壊剤;
(g) 該組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約7%の潤滑剤;および任意で
(h) 該組成物の全重量に基づいて約0.01%〜約5%の抗酸化剤;
[46] 結合剤が微結晶性セルロースおよびケイ化微結晶性セルロースである、[45]の組成物;
[47] 崩壊剤がクロスポビドンである、[45]の組成物;
[48] キレート剤がカルシウムEDTAである、[45]の組成物;
[49] 湿潤剤がポリソルベート80である、[45]の組成物;
[50] 潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、[45]の組成物;
[51] 抗酸化剤がアスコルビン酸である、[45]の組成物;
[52] オピオイド治療を受けている対象におけるオピオイド療法の1つまたは複数の副作用を軽減する方法であって、[9]〜[51]の組成物を該対象に投与する段階を含む、方法;
[53] オピオイド受容体活性によって副作用が生じる、仲介される、または悪化する、[52]の方法;
[54] 治療の影響を受ける副作用が、腸運動の阻害、胃腸障害、便秘、腸の運動性低下、宿便(impaction)、胃の運動性低下、GI括約筋収縮、括約筋緊張の増加、胃腸運動の阻害、胃内容排出の阻害、胃内容排出の遅延、残便(incomplete evacuation)、悪心、嘔吐、皮膚の紅潮、鼓脹、腹部膨満、発汗、不快、掻痒、および尿閉より選択される少なくとも1つの作用を含む、[52]の方法;
[55] 対象が、オピオイド投与を少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも3カ月間、少なくとも6カ月間、少なくとも12カ月間、またはそれ以上受けている患者である、[52]の方法;
[56] 患者が慢性非悪性疼痛を有する、[55]の方法;
[57] 投与の約24時間以内に便通を達成するのに十分な組成物の量を対象に投与する、[53]〜[56]の方法;
[58] 投与の約4時間以内に便通を達成するのに十分な組成物の量を対象に投与する、[57]の方法;
[59] 対象が投与時に絶食状態にある、[57]および[
58]の方法;
[60] 対象が少なくとも10時間絶食している、[57]および[58]の方法;
[61] 対象が一晩絶食している、[57]および[58]の方法;
[62] 対象が絶食していない、[57]および[58]の方法;
[63] 組成物を対象に経口投与する、[52]〜[62]の方法;
[64] オピオイド治療を受けている対象を選択する段階をさらに含む、[52]〜[63]の方法;
[65] 対象が、少なくとも14日間にわたり、一日量>50 mgの経口モルヒネ等価物の投与を受けている、[64]の方法;
[66] 以下の段階を含む、メチルナルトレキソン製剤を調製する方法:
メチルナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩、両親媒性の薬学的に許容される賦形剤、少なくとも1種の崩壊剤、少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも1種の湿潤剤、および任意で少なくとも1種の充填剤を含む、湿式顆粒を調製する段階;ならびに
固体投薬量単位を形成する段階;
[67] メチルナルトレキソン、結合剤、両親媒性の薬学的に許容される賦形剤、および任意で崩壊剤を乾燥混合すること;ならびに該乾燥混合物をキレート剤および/または湿潤剤の溶液と共に造粒して湿式顆粒を形成することによって、湿式顆粒が形成される、[66]の方法;
[68] 薬学的に許容される賦形剤がドデシル硫酸ナトリウムである、[66]の方法;
[69] 薬学的に許容される賦形剤が3以下のpK
aを有する、[66]の方法;
[70] 薬学的に許容される賦形剤がスルフェート(-OSO
3-)基を含む、[66]の方法;
[71] 薬学的に許容される賦形剤が、置換されていてもよい、飽和型または不飽和型で、分岐または非分岐で、環式または非環式のC
4-30脂肪族基を含む、[66]の方法;
[72] 薬学的に許容される賦形剤が、飽和型で、非分岐で、非環式で、非置換型のC
4-30アルキル基を含む、[66]の方法;
[73] 薬学的に許容される賦形剤が、飽和型で、非分岐で、非環式で、非置換型のC
7-15アルキル基を含む、[66]の方法;
[74] 薬学的に許容される賦形剤がC
12 n-アルキル基を含む、[66]の方法;
[75] 崩壊剤が炭酸水素ナトリウムである、[66]の方法;
[76] 崩壊剤がクロスポビドンである、[66]の方法;
[77] 結合剤が微結晶性セルロースである、[66]の方法;
[78] キレート剤がカルシウムEDTAである、[66]の方法;
[79] 湿潤剤がポリソルベート80である、[66]の方法;
[80] 湿式顆粒を乾燥させる段階;
乾燥顆粒を粉砕する段階;
1種または複数種の追加の崩壊剤を該乾燥顆粒と混合する段階;および
形成段階の前に、任意で、潤滑剤、流動促進剤、またはそれらの組み合わせを該乾燥顆粒に添加する段階
をさらに含み、少なくとも1種の該崩壊剤が発泡性崩壊剤である、[66]の方法;
[81] 発泡性崩壊剤が、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、[80]の方法;
[82] 発泡性崩壊剤が炭酸水素ナトリウムである、[80]の方法;
[83] 崩壊剤がクロスポビドンである、[80]の方法;
[84] 追加の崩壊剤がクロスポビドンである、[80]の方法;
[85] 潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、[80]の方法;
[86] 流動促進剤が、タルク、二酸化ケイ素、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、[85]の方法;
[87] 結合剤がケイ化微結晶性セルロースである、[80]の方法;
[88] 溶液中のメチルナルトレキソンの見かけのオクタノール/水分配係数がpH 1〜4において少なくとも0.25であるメチルナルトレキソン製剤を提供する、[66]〜[87]の方法;
[89] 溶液中のメチルナルトレキソンの見かけのオクタノール/水分配係数がpH 1〜4において少なくとも10であるメチルナルトレキソン製剤を提供する、[66]〜[87]の方法;
[90] 溶液中のメチルナルトレキソンの見かけのオクタノール/水分配係数がpH 1〜4において少なくとも20であるメチルナルトレキソン製剤を提供する、[66]〜[87]の方法;
[91] 37℃の900 ml 0.1 N HCl中で、実質的に
図1に示すような溶解プロファイルを有するメチルナルトレキソン製剤を提供する、[66]〜[87]の方法;
[92] 固体投薬量単位が錠剤である、[66]〜[91]の方法;
[93] [66]〜[92]の方法によって製造される製品;
[94] [9]〜[47]の複数の単位投薬組成物を含む複数日パック;
[95] 7日、14日、または30日パックである、[94]のパック;および
[96] 処方情報をさらに含む、[94]のパック。