(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1固定部は、軸端が前記シャフトの前記第1孔に嵌め込まれた前記ネジ軸と前記シャフトとの間の隙間に挿入されることで前記ネジ軸を前記シャフトに固定するシュパリングを有する請求項1または2に記載のロボット。
前記第2固定部は、前記シャフトと一体的に形成されて、軸端が前記シャフトの前記第2孔に嵌め込まれた前記出力軸を割締めにより前記シャフトに固定する割締め機構を有する請求項1ないし3のいずれか一項に記載のロボット。
ボールネジのネジ軸の軸端の形状に応じた形状を有し、スラスト方向の一方側へ開口する第1孔と、モーターの出力軸の軸端の形状に応じた形状を有し、スラスト方向の前記一方側と逆の他方側へ開口する第2孔とがスラスト方向に形成され、前記第1孔に嵌め込まれた前記ネジ軸の軸端と前記第2孔に嵌め込まれた前記出力軸の軸端とをラジアル方向に位置決めするシャフトと、
軸端が前記第1孔に嵌め込まれた前記ネジ軸を前記シャフトに固定する第1固定部と、
軸端が前記第2孔に嵌め込まれた前記出力軸を前記シャフトに固定する第2固定部と、
前記シャフトを収容するハウジングと、
前記ハウジングに固定されるベースと、
ハウジング軌道盤と軸軌道盤とを有し、前記ハウジング軌道盤が前記ベースに固定されるスラストベアリングと
をさらに備え、
前記シャフトの外周は、前記軸軌道盤の内周に応じた形状を有し、
前記シャフトの外周に嵌められた前記軸軌道盤が前記シャフトに固定されるカップリングユニット。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明に係る単軸ロボットの一例の外観構成を示す斜視図である。
図2は
図1の単軸ロボットの内部構成を示す部分断面図である。単軸ロボット1は、X方向に長尺な矩形状のハウジング11と、ハウジング11に沿ってX方向に往復移動するスライダー13とを備える。さらに、単軸ロボット1は、ハウジング11のX方向の端に取り付けられたモーター2を備え、モーター2がスライダー13を移動させるための駆動力を発生する。
【0013】
つまり、
図2に示すように、単軸ロボット1は、ボールネジ3と、このボールネジ3をモーター2に結合するカップリングユニット4とをハウジング11の内部に備える。ボールネジ3は、X方向に平行に配置されて回転可能なネジ軸31と、ネジ軸31に螺合するナット32とを有し、スライダー13がナット32に取り付けられている。また、モーター2はX方向に平行に配置された回転可能な出力軸21を有する。そして、ボールネジ3のネジ軸31がモーター2の出力軸21にカップリングユニット4により結合されている。したがって、モーター2がその出力軸21を回転させると、ボールネジ3のネジ軸31が出力軸21に伴って回転し、ナット32がスライダー13を伴ってX方向に移動する。
【0014】
図3および
図4はカップリングユニットの周辺を拡大して示す部分断面図である。
図5はカップリングユニットの前方斜視図であり、
図6はカップリングユニットの後方斜視図である。なお、
図3では、モーター2の出力軸21とボールネジ3のネジ軸31とがカップリングユニット4により結合された状態が示され、
図4では、モーター2、ボールネジ3およびカップリングユニット4の構成をX方向、すなわち出力軸21およびネジ軸31のスラスト方向Tに分解した状態が示されている。また、
図3および
図4ではモーター2の内部構成が破線で示されるとともに、
図3では部分的に示されているハウジング11が
図4では省略されている。
【0015】
モーター2は、出力軸21をラジアル方向Rから支持する2個のラジアルベアリング22と、出力軸21を回転させるための電気回路(図示省略)やこれらラジアルベアリング22等を収容するハウジング23とを有する。出力軸21の軸端21a(出力軸端21a)は、ハウジング22からスラスト方向Tの一方側Ta(すなわち、ネジ軸31側)へ突出している。この出力軸21の軸端21aは円筒形状を有し、出力軸21の軸端21aの外周面はスラスト方向Tに平行に滑らかに形成されており段差を有さない。なお、軸端21aの角には面取りが施されている。
【0016】
ボールネジ3のネジ軸31は、ネジ山310が設けられてナット32が螺合するネジ部31aと、ネジ部31aに隣接して設けられた軸端31b(ネジ軸端31b)とを有し、ネジ部31aからスラスト方向Tの他方側Tb(すなわち、出力軸21側であるとともに一方側Taの逆側)へ軸端31bが延設されている。この軸端31bは円筒形状を有し、ネジ軸31の軸端31bの外周面は、スラスト方向Tに平行に滑らかに形成されており段差を有さない。なお、軸端31bの角には面取りが施されている。
【0017】
そして、スラスト方向Tに並んで互いに対向する出力軸21の軸端21aとネジ軸31の軸端31bとを、カップリングユニット4が結合する。このカップリングユニット4は、スラスト方向Tに延設されたシャフト41を有する。シャフト41は、金属等で作成された剛性体であり、スラスト方向Tに平行な対称軸に対して回転対称な形状を有する。このシャフト41は、スラスト方向Tの一方側Taの端部に形成されたフランジ411と、スラスト方向Tの他方側Tbの端部に形成されたネジ部412とを有する。また、シャフト41には、スラスト方向Tに貫通する中空部42が形成されており、中空部42は、スラスト方向Tの一方側Taへ開口する第1嵌入孔421と、スラスト方向Tの他方側Tbへ開口する第2嵌入孔422とを有する。第1嵌入孔421と第2嵌入孔422とは、それぞれスラスト方向Tに延設された同心の円筒形状を有し、第1嵌入孔421と第2嵌入孔422との間は、シャフト41の中空部42の内壁から内側に突出する環状突起423が形成されている。
【0018】
第1嵌入孔421はネジ軸31の軸端31b(第1軸端)の形状に応じた形状を有し、ここの例では、第1嵌入孔421は、ネジ軸31の軸端31bが有する円筒形状の径と等しい径の円筒形状を有する。つまり、第1嵌入孔421の内径は、ネジ軸31の軸端31bの外径に等しい。したがって、ネジ軸31の軸端31bはシャフト41の第1嵌入孔421にスラスト方向Tの一方側Taから遊びが無い状態で嵌入可能であり、シャフト41は第1嵌入孔421に嵌め込まれたネジ軸31の軸端31bをラジアル方向Rに拘束する。
【0019】
第2嵌入孔422は出力軸21の軸端21a(第2軸端)の形状に応じた形状を有し、ここの例では、第2嵌入孔422は、出力軸21の軸端21aが有する円筒形状の径と等しい径の円筒形状を有する。つまり、第2嵌入孔422の内径は、出力軸21の軸端21aの外径に等しい。したがって、出力軸21の軸端21aはシャフト41の第2嵌入孔422にスラスト方向Tの他方側Tbから遊びが無い状態で嵌入可能であり、シャフト41は第2嵌入孔422に嵌め込まれた出力軸21の軸端21aをラジアル方向Rに拘束する。
【0020】
つまり、その軸端31bが第1嵌入孔421に嵌め込まれたネジ軸31と、その軸端21aが第2嵌入孔422に嵌め込まれた出力軸21とは、いずれもシャフト41によってラジアル方向Rへ拘束される。このように、シャフト41は、ネジ軸31の軸端31bと出力軸21の軸端21aとをそれぞれの中心線を一致させた状態でラジアル方向Rに互いに位置決めする。
【0021】
また、シャフト41の中空部42は、第1嵌入孔421からスラスト方向Tの一方側Taに延設されたテーパー孔424を有する。テーパー孔424は、スラスト方向Tの一方側Taに向かうに連れて径が増大する円錐台形状を有し、第1嵌入孔421に嵌め込まれたネジ軸31の軸端31bと、テーパー孔424を規定するシャフト41の内壁との間には隙間425が形成される。
【0022】
そして、カップリングユニット4は、この隙間425に挿入されるシュパリング43を有する。シュパリング43は、スラスト方向Tに平行な対称軸に対して回転対称な形状を有する。このシュパリング43には、スラスト方向Tに貫通する中空部431が形成されている。中空部431は、ネジ軸31の軸端31bの円筒形状の径と等しい径の円筒形状を有し、シュパリング43の中空部431にネジ軸31の軸端31bが嵌入する。一方、シュパリング43の他方側Tbの端部は、スラスト方向Tの他方側Tbに向かうに連れて径が減少する円錐台形状の外形を有する。つまり、シュパリング43の他方側Tbの端部の周縁部は楔形を有し、隙間425に対して挿脱可能な挿入部432(楔)として機能する。また、シュパリング43は、フランジ433を一方側Taの端部に有する。
【0023】
このシュパリング43の挿入部432は、ネジ軸31とシャフト41との間の隙間425に挿入されると、シャフト41のテーパー孔424の内壁とネジ軸31の軸端31bの外周とのそれぞれに押圧される。これによって、第1嵌入孔421に嵌め込まれたネジ軸31の軸端31bがシャフト41に締結される。さらに、シュパリング43のフランジ433がネジ434によってシャフト41のフランジ411に締結される。こうしてシュパリング43によってネジ軸31をシャフト41にしっかりと固定することが可能となっている。
【0024】
ちなみに、シャフト41の第1嵌入孔421の内部には、ゴムで形成されたOリング44が配置されており、ネジ軸31の軸端31bは、Oリング44を介してシャフト41の環状突起423に突き当てられる。したがって、シュパリング43の挿入に伴ってネジ軸31の軸端31bが第1嵌入孔421に引き込まれるのに応じて、Oリング44が弾性変形する。このようにOリング44を介することで、ネジ軸31の軸端31bの移動が妨げられないように構成されており、ネジ軸31の軸端31bとシャフト41との締結強度の向上が図られている。
【0025】
また、カップリングユニット4は、シャフト41の他方側Tbに設けられた割締め機構45を有する。この割締め機構45は、シャフト41と一体的に形成されることで、シャフト41の他方側Tbの端部に設けられている。割締め機構45は、
図5に示すように、2個の半円部材451と、2個の半円部材451を相互に締結するネジ452と、2個の半円部材451を相互に取り付けるピン453とを有する。これら2個の半円部材451は円を構成するように配置され、それらの間に中空部454を形成する。割締め機構45の中空部454は、スラスト方向Tに貫通する略円筒形状を有し、シャフト41の第2嵌入孔422とスラスト方向Tに並ぶ。そして、出力軸21の軸端21aが割締め機構45の中空部454を介して第2嵌入孔422に嵌め込まれた状態でネジ452をねじ込むと、各半円部材451の内周が出力軸21の軸端21aの外周に押圧される(割締め)。こうして2個の半円部材451が出力軸21の軸端21aを挟み込むことで、出力軸21の軸端21aがシャフト41に締結される。これによって、割締め機構45によって出力軸21をシャフト41にしっかりと固定することが可能となっている。
【0026】
このように、シャフト41によってラジアル方向Rに位置決めされたボールネジ3のネジ軸31とモーター2の出力軸21とがそれぞれシュパリング43と割締め機構45によりシャフト41に固定される。これによって、ボールネジ3のネジ軸31とモーター2の出力軸21とが結合される。
【0027】
さらに、カップリングユニット4は、シャフト41をスラスト方向Tに支持する2個のスラストベアリング46と、スラストベアリング46を支持するベース47を有する。スラストベアリング46は、ベース47に固定されるハウジング軌道盤461と、シャフト41を支持する軸軌道盤462とを有する。また、ベース47は、ネジ470によって単軸ロボット1のハウジング11に固定されており、スラストベアリング46を介してシャフト41をハウジング11に対して支持する機能を果たす。
【0028】
具体的には、ベース47には、スラスト方向Tに貫通するシャフト孔471が形成されている。シャフト孔471の径は、シャフト41の外周41a(フランジ411とネジ部412との間の円筒部41bの外周)の径より若干大きく、シャフト41はベース47のシャフト孔471に嵌まる。また、シャフト41の円筒部41bの外周41aは、各スラストベアリング46の軸軌道盤462の内周に応じた形状を有する。すなわち、シュパリング43の円筒部41bの外周41aは、各スラストベアリング46の軸軌道盤462の内周の径と等しい径を有するように形成されており、シャフト41は各スラストベアリング46の内側に嵌る。なお、各スラストベアリング46のハウジング軌道盤461の径は、シュパリング43の円筒部41bの外周41aの径と比較して等しいか若干大きい。2個のスラストベアリング46は、ベース47のシャフト孔471の周縁部472をスラスト方向Tから挟むように配置されている。そして、2個のスラストベアリング46のうち、他方側Tbのスラストベアリング46との間に座金482(菊座)を挟んで、ナット481がシャフト41のネジ部412に取り付けられる。
【0029】
このように、スラスト方向Tに並ぶ座金482、スラストベアリング46(他方側スラストベアリング46b)、ベース47の周縁部472およびスラストベアリング46(一方側スラストベアリング46a)が、フランジ411とナット481とにより挟まれる。したがって、ナット481をシャフト41のネジ部412にねじ込むと、各スラストベアリング46のハウジング軌道盤461がベース47の周縁部472に押圧され、一方側Taのスラストベアリング46の軸軌道盤462がシャフト41のフランジ411に押圧され、他方側Tbのスラストベアリング46の軸軌道盤462がシャフト41に螺合するナット481に座金482を介して押圧される。これによって、各スラストベアリング46のハウジング軌道盤461がベース47に固定されるとともに、スラストベアリング46の軸軌道盤462がシャフト41に固定される。
【0030】
かかる構成では、カップリングユニット4により結合されたネジ軸31および出力軸21のスラスト方向Tの支持は、主としてスラストベアリング46によって実現される。また、これらネジ軸31および出力軸21のラジアル方向Rの支持は、主としてモーター2のラジアルベアリング22によって実現される。
【0031】
以上に説明した実施形態では、スラスト方向Tの一方側Taに開口する第1嵌入孔421と、スラスト方向Tの他方側Tbに開口する第2嵌入孔422とが設けられたシャフト41が具備されている。第1嵌入孔421は、ボールネジ3のネジ軸31の軸端31bの形状に応じた形状を有し、第2嵌入孔422は、モーター2の出力軸21の軸端21aの形状に応じた形状を有する。かかるシャフト41は、第1嵌入孔421に嵌め込まれたネジ軸31の軸端31bと、第2嵌入孔422に嵌め込まれた出力軸21の軸端21aとを、ラジアル方向Rに互いに位置決めする。そして、第1嵌入孔421に嵌め込まれたネジ軸31の軸端31bをシュパリング43によりシャフト41に固定するとともに、第2嵌入孔422に嵌め込まれた出力軸21の軸端21aを割締め機構45によりシャフト41に固定することで、ボールネジ3のネジ軸31とモーター2の出力軸21とをラジアル方向Rに互いに位置決めした状態で結合できる。こうして、ボールネジ3のネジ軸31とモーター2の出力軸21とを結合させることが可能となっている。
【0032】
また、板バネカップリング等を介在させずに、カップリングユニット4によってネジ軸31と出力軸21とを直結しているため、単軸ロボット1をスラスト方向Tに短尺化することも可能となっている。
【0033】
また、ハウジング11に固定されたベース47にそのハウジング軌道盤461が固定されたスラストベアリング46が設けられ、シャフト41の外周に嵌められたスラストベアリング46の軸軌道盤462がシャフト41に固定される。このようにしてスラストベアリング46によってシャフト41をハウジング11に対して支持することで、シャフト41をスラスト方向Tへしっかりと支持しつつ、シャフト41を円滑に回転させることができる。
【0034】
しかも、ネジ軸31の軸端31bを支持するシャフト41の円筒部41bの外周41aが、各スラストベアリング46の軸軌道盤462の内周に応じた形状を有し、シャフト41の外周にスラストベアリング46の軸軌道盤462が配置される。したがって、ネジ軸31をスラストベアリング46により支持するために、ネジ軸31の軸端31bの形状をスラストベアリング46の軸軌道盤462の内周の形状合わせる軸端加工を行う必要が無い。
【0035】
具体的には、ベース47にはスラスト方向Tに貫通するシャフト孔471が設けられる。また、シャフト41がシシャフト孔471に嵌められ、2個のスラストベアリング46がベース47のシャフト孔471の周縁部472を挟むようにスラスト方向Tに並んで配置される。さらに、シャフト41は一方側Taの端部に設けられたフランジ411と他方側Tbの端部に設けられたネジ部412とを有する。そして、ネジ部412に締め込まれたナット481とフランジ411とによって2個のスラストベアリング46とベース47の周縁部472とを挟み込むことで、2個のスラストベアリング46のハウジング軌道盤461をベース47に固定するとともに、2個のスラストベアリング46の軸軌道盤462をシャフト41に固定する。かかる構成では、ハウジング軌道盤461のベース47への固定と、軸軌道盤462のシャフト41への固定とを、シャフト41のネジ部412にナット481をねじ込むことで簡単に実現できる。
【0036】
また、シャフト41には、第1嵌入孔421に隣接して環状突起423が設けられ、第1嵌入孔421に嵌め込まれたネジ軸31の軸端31bは、Oリング44を介して環状突起423に突き当てられる。かかる構成では、ネジ軸31の軸端31bの端面が若干傾いていても、Oリング44の弾性変形によってこれを吸収できるため、その軸端31bが第1嵌入孔421に嵌め込まれたネジ軸31が傾くのを抑制できる。
【0037】
ところで、上記実施形態では、ボールネジ3のネジ軸31の軸端31bの径と同一の径を有する第1嵌入孔421と、モーター2の出力軸21の軸端21aの径と同一の径を有する第2嵌入孔422とがシャフト41に形成されている。したがって、ボールネジ3のネジ軸31とモーター2の出力軸21との結合作業を行う作業者は、ネジ軸31の軸端31bの径を第1嵌入孔421の径に合わせるために軸端31bの外周を削る軸端加工や、出力軸21の軸端21aの径を第2嵌入孔422の径に合わせるために軸端21aの外周を削る軸端加工を特に行う必要が無く、作業者に求められる作業としては、軸端31bや軸端21aの長さを調整するためにこれらをカットする作業程度である。そのため、作業者による軸端加工の精度に起因して、シャフト41に嵌め込まれたボールネジ3のネジ軸31やモーター2の出力軸21が傾くのを抑制できる。その結果、ボールネジ3のネジ軸31とモーター2の出力軸21との芯出しを高精度に行うことも可能となっている。
【0038】
つまり、ネジ軸31の軸端31bは円筒形状を有し、シャフト41の第1嵌入孔421もこれと同径の円筒形状を有する。このように、ネジ軸31の軸端31bがネジ軸31のメーカーにおいて比較的高精度に形成できる形状(円筒形状)を有し、ネジ軸31の軸端31bの形状と同一の形状をシャフト41の第1嵌入孔421も有している。したがって、作業者は、高い形状精度を有するネジ軸31の軸端31bを、軸端加工を行うことなくそのままシャフト41の第1嵌入孔421に嵌め込めれば良く、シャフト41に固定されるネジ軸31の傾きをより確実に抑えることが可能となっている。
【0039】
同様に、出力軸21の軸端21aは円筒形状を有し、シャフト41の第2嵌入孔422もこれと同径の円筒形状を有する。このように、出力軸21の軸端21aが出力軸21のメーカーにおいて比較的高精度に形成できる形状(円筒形状)を有し、出力軸21の軸端21aの形状と同一の形状をシャフト41の第2嵌入孔422も有している。したがって、作業者は、高い形状精度を有する出力軸21の軸端21aを、軸端加工を行うことなくそのままシャフト41の第2嵌入孔422に嵌め込めれば良く、シャフト41に固定される出力軸21の傾きをより確実に抑えることが可能となっている。
【0040】
この際、シャフト41の第1嵌入孔421の径が、ネジ軸31の構成を規定する規格に定められた軸端31bの径に等しくなるように、カップリングユニット4を構成しても良い。あるいは、シャフト41の第2嵌入孔422の径が、出力軸21の構成を規定する規格に定められた軸端21aの径に等しくなるように、カップリングユニット4を構成しても良い。
【0041】
このように上記の実施形態では、単軸ロボット1が本発明の「ロボット」の一例に相当し、カップリングユニット4とモーター2とで構成されるモーターユニットMUが本発明の「モーターユニット」の一例に相当し、カップリングユニット4が本発明の「カップリングユニット」の一例に相当し、ボールネジ3が本発明の「ボールネジ」に相当し、ネジ軸31が本発明の「ネジ軸」の一例に相当し、軸端31bが本発明の「ネジ軸の軸端」の一例に相当し、ネジ部31aが本発明の「ネジ軸のネジ部」の一例に相当し、ナット32およびスライダー13が協働して本発明の「移動体」として機能し、モーター2が本発明の「モーター」の一例に相当し、出力軸21が本発明の「出力軸」の一例に相当し、軸端21aが本発明の「出力軸の軸端」の一例に相当し、シャフト41が本発明の「シャフト」の一例に相当し、第1嵌入孔421が本発明の「第1孔」の一例に相当し、第2嵌入孔422が本発明の「第2孔」の一例に相当し、フランジ411が本発明の「フランジ」の一例に相当し、ネジ部412が本発明の「シャフトのネジ部」の一例に相当し、環状突起423が本発明の「突き当て部」の一例に相当し、Oリング44が本発明の「弾性部材」の一例に相当し、シュパリング43が本発明の「第1固定部」および「シュパリング」の一例に相当し、割締め機構45が本発明の「第2固定部」および「割締め機構」の一例に相当し、ハウジング11が本発明の「ハウジング」の一例に相当し、ベース47が本発明の「ベース」の一例に相当し、シャフト孔471が本発明の「シャフト孔」の一例に相当し、周縁部472が本発明の「周縁部」の一例に相当し、スラストベアリング46が本発明の「スラストベアリング」の一例に相当し、スラストベアリング46aが本発明の「一方側スラストベアリング」の一例に相当し、スラストベアリング46bが本発明の「他方側スラストベアリング」の一例に相当し、ハウジング軌道盤461が本発明の「ハウジング軌道盤」の一例に相当し、軸軌道盤462が本発明の「軸軌道盤」の一例に相当し、ナット481が本発明の「ナット」の一例に相当し、スラスト方向Tが本発明の「スラスト方向」の一例に相当し、一方側Taが本発明の「一方側」の一例に相当し、他方側Tbが本発明の「他方側」の一例に相当し、ラジアル方向Rが本発明の「ラジアル方向」の一例に相当する。
【0042】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記のカップリングユニット4は、単軸ロボット1以外の多軸のロボットにおいて、ボールネジ3のネジ軸31とモーター2の出力軸21とを結合するのに用いても良い。
【0043】
また、モーター2が出力軸21およびネジ軸31をスラスト方向にも支持できる場合には、スラストベアリング46を省略しても良い。
【0044】
また、ネジ軸31をシャフト41に固定する具体的機構は、シュパリング43に限られず、割締め機構等の他の機構であっても良い。
【0045】
また、出力軸21をシャフト41に固定する具体的機構は、割締め機構45に限られず、シュパリング等の他の機構であっても良い。
【0046】
また、ネジ軸31の軸端31bと環状突起423との間に設けられる弾性部材はOリング44に限られず、ネジ軸31の軸端31bからの力に応じて弾性変形できる部材であれば良い。あるいは、Oリング44を省略しても構わない。
【0047】
また、ネジ軸31の軸端31bおよび出力軸21の軸端21aのそれぞれは、外周面に段差の無い円筒形状を有する。しかしながら、軸端31bおよび軸端21aの形状はこれに限られず、例えばキー溝を有しても良い。この際、シャフト41の第1嵌入孔421あるいは第2嵌入孔422にキーを適宜設ければ良い。
【0048】
具体例を示して上述したように、本発明に対しては例えば下記に示す種々の変形を適宜加えることができる。
【0049】
つまり、シャフトを収容するハウジングと、ハウジングに固定されるベースと、ハウジング軌道盤と
軸軌道盤とを有し、ハウジング軌道盤がベースに固定されるスラストベアリングとをさらに備え、シャフトの外周は、軸軌道盤の内周に応じた形状を有し、シャフトの外周に嵌められた軸軌道盤がシャフトに固定されるように、ロボットを構成しても良い。このようにスラストベアリングによってシャフトをハウジングに対して支持することで、シャフトをスラスト方向へしっかりと支持しつつ、シャフトを円滑に回転させることができる。
【0050】
また、ナットをさらに備え、ベースにはスラスト方向に貫通するシャフト孔が設けられ、シャフトはシャフト孔に嵌められ、スラストベアリングは、一方側スラストベアリングと他方側スラストベアリングとからなり、一方側スラストベアリングと他方側スラストベアリングとがベースのシャフト孔の周縁部をスラスト方向に挟むように配置され、シャフトは一方側の端部に設けられたフランジと他方側の端部に設けられたネジ部とを有し、フランジとネジ部に締め込まれたナットとによって一方側スラストベアリング、ベースの周縁部および他方側スラストベアリングを挟み込むことで、一方側スラストベアリングおよび他方側スラストベアリングのハウジング軌道盤をベースに固定するとともに、一方側スラストベアリングおよび他方側スラストベアリングの軸軌道盤をシャフトに固定するように、ロボットを構成しても良い。かかる構成では、ハウジング軌道盤のベースへの固定と、軸軌道盤のシャフトへの固定とを、シャフトのネジ部にナットをねじ込むことで簡単に実現できる。
【0051】
また、第1固定部は、軸端がシャフトの第1孔に嵌め込まれたネジ軸とシャフトとの間の隙間に挿入されることでネジ軸をシャフトに固定するシュパリングを有するように、ロボットを構成しても良い。かかる構成では、シュパリングによってネジ軸をシャフトにしっかりと固定できる。
【0052】
また、第2固定部は、シャフトと一体的に形成されて、軸端がシャフトの第2孔に嵌め込まれた出力軸を割締めによりシャフトに固定する割締め機構を有するように、ロボットを構成しても良い。かかる構成では、割締め機構によって出力軸をシャフトにしっかりと固定できる。
【0053】
また、シャフトの第1孔には突き当て部が設けられ、第1孔に嵌め込まれたネジ軸の軸端と、突き当て部との間に弾性部材を配設するように、ロボットを構成しても良い。かかる構成では、ネジ軸の軸端の端面が若干傾いていても、弾性部材の変形によってこれを吸収できるため、その軸端が第1孔に嵌め込まれたネジ軸が傾くのを抑制できる。
【0054】
ところで、本発明では、ボールネジのネジ軸の軸端の形状に応じた形状を有する第1孔と、モーターの出力軸の軸端の形状に応じた形状を有する第2孔とがシャフトに形成されている。したがって、ボールネジのネジ軸とモーターの出力軸との結合作業を行う作業者は、ボールネジのネジ軸の軸端形状を第1孔の形状に合わせるための軸端加工や、モーターの出力軸の軸端形状を第2孔の形状に合わせるための軸端加工を特に行う必要が無い。そのため、作業者による軸端加工の精度に起因して、シャフトに嵌め込まれたボールネジのネジ軸やモーターの出力軸が傾くのを抑制できる。その結果、ボールネジのネジ軸とモーターの出力軸との芯出しを高精度に行うことも可能となる。
【0055】
そこで、ネジ軸の軸端は、ネジ軸のネジ部が形成された範囲に隣接して設けられ、円筒状に形成され、シャフトの第1孔に嵌入されるように、ロボットを構成しても良い。かかる構成では、ネジ軸の軸端がネジ軸のメーカーにおいて比較的高精度に形成できる形状(円筒形状)を有している。したがって、高い形状精度を有するネジ軸の軸端を、軸端加工を行うことなくそのままシャフトの第1孔に嵌め込むことで、シャフトに固定されるネジ軸の傾きをより確実に抑えることが可能となる。
【0056】
また、出力軸の軸端は、円筒状に形成され、シャフトの第2孔に嵌入されるように、ロボットを構成しても良い。かかる構成では、出力軸の軸端が出力軸のメーカーにおいて比較的高精度に形成できる形状(円筒形状)を有している。したがって、高い形状精度を有する出力軸の軸端を、軸端加工を行うことなくそのままシャフトの第2孔に嵌め込むことで、シャフトに固定される出力軸の傾きをより確実に抑えることが可能となる。