【実施例】
【0011】
図1は、幼児に数字の概念や算数を教育するための算数教育用器具の斜視図である。幼児とは、2歳半から6歳の子供を対象とする。算数教育用器具100は、複数の球10、容器20、カバー30から構成される。
【0012】
図2は、算数教育用器具100の容器20の斜視図である。容器20は、上部が開口した箱状の部材である。容器20は、横方向に3つの領域に仕切るための隔壁21a、21bが設けられている。隔壁21の一端は、容器の横方向の一方の壁(第1の側壁)27aに当接する。隔壁21は容器20の横方向に直角に設けられ、容器20を3つの領域に仕切る壁を形成する。
【0013】
隔壁21によって形成される各領域23には、複数の球10が収容される。各領域23には、横方向に2つの球10が入るよう隔壁21によって仕切られる。隔壁21aと容器の縦方向の壁(第3の側壁)27cによって領域23aを、隔壁21aと隔壁21bによって領域23bを、隔壁21bと容器の縦方向のもう一方の壁(第4の側壁)27dによって領域23cが形成される。尚、隔壁21aと隔壁21bによって形成される各領域には、球10が10個程度入るよう、隔壁21は縦方向の長さを有する。
【0014】
隔壁21の他端は、容器の壁(第2の側壁)27bから離れた位置で終端する。隔壁21aは、容器20の壁との間に、球10が領域間を移動するための連絡通路24aを形成し、隔壁21bは、容器20の壁との間に連絡通路24bを形成する。連絡通路24は、球10が二つ同時に移動できるように形成される。
【0015】
領域23aは、第1の側壁27a、隔壁21a、第3の側壁27cによって形成され、領域23bは、第1の側壁27a、隔壁21a、隔壁21bによって形成され、領域23cは、第1の側壁27a、側壁21b、第4の側壁27dによって形成されているということもできる。
【0016】
尚、容器の第1の側壁27aには、領域23aと領域23bの境界に対応した溝26aと、領域23bと領域23cの境界に対応した溝26bが設けられている。また、容器の第2の側壁27bには、領域23aと領域23bの境界に対応した溝25aと、領域23bと領域23cの境界に対応した溝25bが設けられている。これら溝によって、可動式仕切り板22が着脱可能に嵌合して、容器20に装着される。
【0017】
算数教育器具は読み運びにしやすい大きさが好ましいため、容器20のサイズは、例えば、外寸が縦166×横166×高さ32mm、内寸が縦150×横150×高さ26mmとする。また、隔壁21の内寸は、縦112×横8×高さ25mmとする。
【0018】
球10は、視認性を上げ、幼児の興味を引く赤色に着色されていることが望ましく、そのサイズは直径20mmとする。球10には、幼児が誤飲した場合にも気道を確保するため、直径2−3mmの貫通穴を設けるようにしても良い。
【0019】
また、溝のサイズは、例えば、縦4×横4×高さ26mmとする。また、各領域のサイズは、例えば、縦110×横42×高さ26mmとする。ここで、サイズを示す縦、横は、
図2の縦方向、横方向の寸法に該当し、高さは、
図2の奥行方向の寸法を表す。
【0020】
容器20と隔壁21の厚さは、同じサイズ、例えば同じ8mmで、可動式仕切り板22の厚さは、容器の厚さとは異なるサイズ、例えば3mmである。容器20を球10が移動する際の耐久性の他に、発生する音色を、容器20と隔壁21とで同じようにするためである。また、可動式仕切り板22は、球が激しく当たることがないため、着脱性も考慮して容器や隔壁に比較してその厚さを薄くしている。
【0021】
また、幼児の興味を引く音を出すと共に、耐久性を考慮して、球10と容器20、隔壁21、可動式仕切り板22は木材を使用する。カバー30は、紙や樹脂を使用する。
【0022】
図3は、容器20に可動式仕切り板22が嵌め合わされた状態を示す図である。
可動式仕切り板22aは、隔壁21aの右側に隔壁21aと平行して設けられ、好ましくは隔壁21aに当接する。可動式仕切り板23bは、隔壁21bの右側に隔壁21bと平行して設けられ、好ましくは隔壁21bに当接する。
【0023】
可動式仕切り板22a、22bは、容器20に対して独立して着脱自在に、容器に設けられた溝と嵌合する。可動式仕切り板22aは容器の溝と嵌合して装着されると、領域23aと領域23bは分断され、球10は領域23aと領域23b間を移動することができない。
可動式仕切り板22bは容器の溝と嵌合して装着されるとすると、領域23bと領域23cは分断され、球10は領域23bと領域23c間を移動することができない。
【0024】
このように、可動式仕切り板22は、容器に対して着脱自在に装着されると、各領域を分断し、球10の移動を制限する。
【0025】
領域23a、領域23b、領域23cの横方向の長さは42mmであり、この領域23aの横方向の長さは容器の第3の側壁27cと隔壁21aとの距離に相当し、領域23bの横方向の長さは隔壁21aと隔壁21bとの距離に相当し、領域23cの横方向の長さは隔壁21bと容器の第4の側壁27dとの距離に相当する。各領域23において球10を横方向に最大2つ並べるようにするためである。数字の概念の身についていない幼児の認識能力、特に、飽きを生じることなく数を認識することができる数の限度が2つであるため、2つセットを一括りに認識させるようにするためである。この2個という数字を用いて後述する訓練や数字遊びにより、幼児は足し算、引き算、掛け算、割り算からなる四則計算を理解し、その能力を身につけることができる。
また、上述したサイズとすることで、算数教育用器具100を運ぶ際に、球10により必要以上の大きな音を出さないようにすることができる。
【0026】
図3では、可動式仕切り板22aと可動式仕切り板22bは、それぞれ隔壁21a、隔壁21bの右側に設けるよう構成されているが、可動式仕切り板22aと可動式仕切り板22bを隔壁21aと隔壁21bの左側に設けても良い。この場合、各領域23の横方向の長さは、球10が二つ分入る大きさとし、例えば、球の直径が20mmの時、42mm程度とする。
【0027】
また、可動式仕切り板22のサイズは、例えば、縦156×横3×25mmとする。
【0028】
図4は、算数教育用器具のカバーを示した図である。カバー30は、横方向の両端面31が開口しており、左右両方から容器20を収容できる。このカバー30は、容器20に対して左右(横方向)に摺動することで、容器20の領域23の一部あるいは全部を隠すことができる。
【0029】
次に、算数教育用器具を用いた数字の概念を教育の一例を以下に示す。
以下の例では、本実施例の算数教育用器具の構成により、幼児が球の数を数えることによって、複数の段階で四則演算を効率よく教育できることを説明したものである。
【0030】
<第1段階:1つの領域を用いて球1個−10個の数当て>
図5は、算数教育用器具を用いた第1段階の教育を示した図である。
図5のように、カバー30により、容器20の領域23b、23cを隠し、領域23aのみを幼児に見せるようにしている。また、可動式仕切り板22aを容器20に装着し、領域23aから球が移動できない状態とし、領域23aに球を入れ、幼児に入れた球の数を答えさせる。可動式仕切り板22aにより、領域23aの球の数を固定できる。幼児は、2個までなら球を容易に認識できるので、球10が横に2個だけ並ぶ領域23aの球10の数を容易に認識することができ、数字の概念を身につけることができる。
【0031】
尚、第1段階で見せる領域は、23cであっても構わない。
第1段階で使用しない球は、領域23bや領域23cに収容するように、可動式仕切り板22を装着しておくようにすれば、使用しない球の紛失を防止することができる。
【0032】
<第2段階:2つの領域による足し算(球の合計20個まで)>
図6は、算数教育用器具を用いた第2段階の教育を示した図である。
図6のように、カバー30により、領域23cを隠し、2つの領域23a、23bを幼児に見せるようにしている。幼児は、2つの領域23a、23bに収容される球10の数を数えることにより、2つの領域の球の足し算を学習することができる。変形例として、領域23aの2つの球を見せておき、カバー30を移動させて領域23bの3つの球を見せ、全部でいくつになるかを答えさせることで、2つの領域にある球の数、即ち、2+3=5という2つの数を足し合わせることについて学ぶことができる。
【0033】
可動式仕切り板22aを取り除き、5個の球を用いて、連絡通路24aを通して2つの領域23a、23b間で球を移動させることで、いろいろな組み合わせの足し算を学習することができる。
【0034】
尚、領域23aと領域23bに収容される球の合計数が合計5個までを第2段階の初期として、合計6個から20個までを第2段階後期とする。徐々に球の数を増やすことで、幼児の興味を維持させることができる。また、第2段階で見せる領域は、23b、23cであっても構わない。
【0035】
第2段階で使用しない球は、領域23cに収容するように、可動式仕切り板22bを装着しておくようにすれば、使用しない球の紛失を防止することができる。
尚、第2段階で使用する領域は、領域23bと領域23cであっても良い。
【0036】
<第3段階:2つの領域による引き算(球の合計20個まで)>
図7は、算数教育用器具を用いた第3段階の教育を示した図である。
図7のように、カバー30により、領域23cを隠し、2つの領域23a、23bを幼児に見せるようにしている。最初領域23aに球10を5個だけ入れた状態から、2つの球を領域23bに移動させると、領域23aに残る球が何個となるかを幼児に答えさせる。これにより、5−2=3といった引き算の概念を理解させる。この際、可動式仕切り板22bは、容器20に装着しておくと、球10が領域23cに入ることを防止できるので、幼児を混乱させることなく、引き算の概念を教育することができる。
【0037】
また、変形例として、領域23bに全ての球(5個)を入れたのち、カバー30を移動して領域23aのみ見える状態にする。この状態で、球を2個だけ領域23aに移動させて、領域23bに残る球を幼児に答えさせ、引き算の概念を教育することもできる。この場合も可動式仕切り板22bは、容器20に装着され、領域23cに球が移動することがないようにできる。
【0038】
第3段階では、球の数が5個までを第3段階初期、6個から20個までを第3段階後期とする。
尚、第3段階で使用しない球は、領域23cに収容するように、可動式仕切り板22bを装着しておくようにすれば、使用しない球の紛失を防止することができる。
【0039】
<第4段階:3つの領域による足し算>
図8に、算数教育用器具を用いた第4段階の教育を示した図である。
図8のように、カバー30を取り外し、全ての領域が幼児に見えるようにしている。
【0040】
可動式仕切り板は容器20から取り外され、領域間で球10が移動できるようにする。
図8に示す状態で領域23a、領域23b、領域23cの球を全て数えることにより、2+3+2=7個という3つの足し算を学習させることができる。合計10個までを第4段階初期、合計11個から20個までを第4段階後期とし、幼児の興味を維持する。
【0041】
<第5段階:3つの領域による足し算と引き算>
まず、可動式仕切り板を容器からの取り除き、領域間を球が移動できる状態とする。この状態で、一つの領域、例えば領域23aに7個の球を入れておき、その後、球10を各領域に分散させる。分散させた状態が
図8とする。
【0042】
この状態でカバー30により領域23cを隠し、領域23aと領域23bのみを幼児に見せ、見えない領域23cの球の数を答えさせる。幼児は、7−(2+3)=2といった足し算と引き算を同時に行って答えを導く、つまり、足し算と引き算を同時に行なえるようになる。このように、着脱可能な可動式仕切り板22を取り外することで、領域間の球の移動を自由させ、カバー30を摺動させて領域の一部を隠すことができるので、足し算と引き算を同時に行わなければ答えが出ない状況を容易に作り出すことができる。
尚、球の数が10個までを第5段階初期、11個から20個まで第5段階後期とし、幼児の興味を維持する。
【0043】
<第6段階:2つの領域による掛け算>
第5段階まで進むと、幼児は、足し算と引き算を理解できるので、その先の掛け算の考え方を理解させるのが第6段階である。
例えば、領域23aと領域23bの両方に球10を2個ずつ入れておく。カバー30で領域23aのみ幼児に見せ、これと同じ数の球が23bにあると、全部でいくつかと質問する。カバー30を移動させて、領域23aと領域23bを見せ、球の数を数えさせる。
【0044】
このように、同じ数の球が2つの領域に入っている場合、2×2=4となることを、幼児に容易に理解させ、掛け算の概念を教育することができる。特に、2の段を教育することができる。第6段階では、可動式仕切り板22bで領域23cには球が移動してしないようにしておくとよい。
【0045】
<第7段階:3つの領域による掛け算>
第6段階では、2つの領域を用いた掛け算の訓練であったが、第7段階では、3つの領域を用いて、同じ数だけ球を入れ、例えば、2個ずつ入れ、2×3=6となることを、幼児に容易に理解させ、掛け算の概念を教育することができる。特に、簡単な3の段を教育することができる。
【0046】
<第8段階;2つの領域による割り算>
第8段階では、2つの領域を使って割り算の概念を教育する。一つの領域、例えば、領域23aに球を6つ入れておき、これを二つの領域23a、23bに同じだけ入るように分けると一つの領域には何個の球になるかを答えさせる。つまり、6÷2=3の割り算を教育する。実際に、領域23aの球を3つ領域23bに移動し、各領域の球の数を3個となることを確認できるので、幼児は割り算の概念を学ぶことができる。
可動式仕切り板22bで領域23cには球が移動してしないようにしておくとよい。
第8段階で使用しない球は、領域23cに収容するように、可動式仕切り板22bを装着しておくようにすれば、使用しない球の紛失を防止することができる。
【0047】
<第9段階:3つの領域の割り算>
第9段階では、3つの領域を使って割り算の概念を教育する。一つの領域、例えば、領域23aに球を9つ入れて置き、これを二つの領域23a、23b、23cに同じだけ入るように分けると一つの領域には何個の球になるかを答えさせる。つまり、9÷3=3の割り算を教育する。実際に、領域23aから3つ球を領域23bに移動し、3つの球を領域23cに移動する。各領域の球の数を3個となることを確認できるので、幼児は割り算の概念を学ぶことができる。
【0048】
以上の通り、本発明の算数教育用器具によると、幼児の認識率の高い数といわれる“2”を基礎として足し算、引き算、掛け算、引き算の四則演算の概念を、幼児に興味を持たせたまま効率的に教育することができる。
【0049】
また、隔壁に加え、領域間を球が移動しないように可動式仕切り板を設けることで、教育に使用する領域間のみで球を移動させることができる。また、可動式仕切り板とカバーにより教育に使用しない領域に、使用しない球を収容させておくことができ、球の紛失防止が可能となる。
【0050】
また、3つの領域を用いて、3つの数の足し算、引き算、或いは、足し算と引き算の組合せを効率よく教育することができる。
【0051】
また、2つの領域と3つの領域を使うことにより、掛け算、割り算の概念を効率よく教育することができる。