(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0016】
(実施の形態1)
<食品の向き変更装置の構成>
実施の形態1に係る食品の向き変更装置10について、
図1〜
図8を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、食品の向き変更装置10において
図1の一点鎖線で示す矢印の方向(搬送方向)の上流側を後側とし、搬送方向の下流側を前側とする。また、この後側から食品の向き変更装置10を見て左右方向を定義している。左右方向は、前後方向(搬送方向)及び、この搬送方向に直交する上下方向(直交方向)に対して直交する方向である。
【0017】
食品の向き変更装置10は、食品の向きを変更する装置である。この食品として、以下の説明でサンドイッチSを例示するが、サンドイッチS以外のケーキ等の食品にも適応可能である。
【0018】
食品の向き変更装置10は、サンドイッチSを搬送する搬送部20、サンドイッチSを把持する把持部30、把持部30を転回する転回部50、把持部30を移動する移動部60及び、これらを制御する制御部11を備えている。さらに、食品の向き変更装置10は、筐体70、供給コンベヤ80及び送出コンベヤ90を備えていてもよい。
【0019】
筐体70は、前後方向に直交する一対の側壁を有している。一対の側壁のうちの後側壁71には供給口72が開口し、前側壁73には送出口74が開口している。供給口72及び送出口74は互いに対向するように配置されている。
【0020】
搬送部20は、一対のコンベヤ(第1コンベヤ21a及び第2コンベヤ21b)を有しており、これらは筐体70内に配置されている。第1コンベヤ21a及び第2コンベヤ21bは、左右方向において互いに隣接して配置されている。
【0021】
第1コンベヤ21a及び第2コンベヤ21bは、搬送駆動ローラ22、搬送従動ローラ23及び搬送ベルト24をそれぞれ有している。第1コンベヤ21aの搬送駆動ローラ22は第1搬送電動モータ25aにより駆動され、第2コンベヤ21bの搬送駆動ローラ22は第2搬送電動モータ25bにより駆動される。
【0022】
搬送従動ローラ23は、例えば、搬送駆動ローラ22より後側に設けられている。搬送駆動ローラ22及び搬送従動ローラ23は、各軸心が左右方向に延び、また、各上端部分が同一水平面に位置するように配置されている。
【0023】
搬送ベルト24は、シート状の無限循環帯であって、複数の搬送従動ローラ23及び搬送駆動ローラ22のそれぞれに掛けられている。搬送駆動ローラ22と搬送従動ローラ23との間を直接的に結ぶ搬送ベルト24の部分の上面(第1コンベヤ21aの第1載置面26a、第2コンベヤ21bの第2載置面26b)は水平で前後方向に延びている。この第1載置面26a及び第2載置面26bには、サンドイッチSが載置されて搬送される。搬送ベルト24は樹脂等により形成されており、載置面26a、26bの摩擦力を考慮して搬送ベルト24の素材や表面の形状が適宜定められる。
【0024】
第1載置面26a及び第2載置面26bは、互いに等しい高さで同一水平面に位置し、互いに搬送方向(例えば、前後方向)に延びるように配置されている。第1載置面26aと第2載置面26bとの間は空いていてもよい。ただし、この隙間が広すぎると、サンドイッチSの搬送及び向き変更が安定して行えない。このため、第1載置面26aと第2載置面26bとの隙間は狭い方が好ましい。なお、この隙間を左右に二等分するセンターラインに位置するように、サンドイッチSの搬送基準線Lが設定される。
【0025】
例えば、第1コンベヤ21a及び第2コンベヤ21bの上流端又はその近傍にセンサ12が配置されている。センサ12は、赤外線センサ等により構成されており、第1コンベヤ21a及び第2コンベヤ21bに搬入されるサンドイッチSを検知すると、この検知信号を制御部11に出力する。
【0026】
供給コンベヤ80は、サンドイッチSを製造する作業コンベヤ(図示せず)等から第1コンベヤ21a及び第2コンベヤ21bへサンドイッチSを搬入するコンベヤである。供給コンベヤ80は第1コンベヤ21a及び第2コンベヤ21bより後側に配置されている。供給コンベヤ80の前側の部分は筐体70内に設けられ、供給コンベヤ80の後側の部分は供給口72から筐体70の外側に突出して設けられている。
【0027】
供給コンベヤ80は、供給駆動ローラ81、供給従動ローラ82及び供給ベルト83を有している。供給駆動ローラ81は、搬送従動ローラ23に近接し、各軸心が互いに平行であって、左右方向に延びるように配置されている。
【0028】
供給ベルト83の上面(供給搬送面)は、第1載置面26a及び第2載置面26bと同じ高さに設けられる。供給搬送面を左右に二等分するセンターラインは、サンドイッチSの搬送基準線L上に延びる。なお、供給駆動ローラ81は搬送駆動ローラ22と同様であり、供給従動ローラ82は搬送従動ローラ23と同様であり、供給ベルト83は搬送ベルト24と同様であるため、これらの説明を省略する。
【0029】
送出コンベヤ90は、第1コンベヤ21a及び第2コンベヤ21bから切断装置(図示せず)などへサンドイッチSを搬出するコンベヤである。送出コンベヤ90は第1コンベヤ21a及び第2コンベヤ21bより前側に配置されている。送出コンベヤ90の後側の部分は筐体70内に設けられ、送出コンベヤ90の前側の部分は送出口74から筐体70の外側に突出して設けられている。
【0030】
送出コンベヤ90は、送出駆動ローラ91、送出従動ローラ92及び送出ベルト93を有している。送出従動ローラ92は、搬送駆動ローラ22に近接し、各軸心が互いに平行になり、左右方向に延びるように配置されている。
【0031】
送出ベルト93の上面(送出搬送面)は、第1載置面26a及び第2載置面26bと同じ高さに設けられる。送出搬送面を左右に二等分するセンターラインは、サンドイッチSの搬送基準線L上に延びている。なお、送出駆動ローラ91は搬送駆動ローラ22と同様であり、送出従動ローラ92は搬送従動ローラ23と同様であり、送出ベルト93は搬送ベルト24と同様であるため、これらの説明を省略する。
【0032】
把持部30は、サンドイッチSを把持する機構であって、筐体70の内部において、第1載置面26a及び第2載置面26b上に配置されている。例えば、把持部30は、一対の挟持部分(第1挟持部分31a、第2挟持部分31b)、固定部分及び、伸縮部分40を有している。
【0033】
挟持部分31a、31bは、一対の板状部材(第1板状部材32a及び第2板状部材32b)を有している。例えば、板状部材32a、32bは矩形状の平板であって、第1板状部材32a及び第2板状部材32bは互いに同じ形状を有している。上下方向において板状部材32a、32bの寸法はサンドイッチSの寸法よりも大きく、上下方向に直交する方向において板状部材32a、32bの寸法はサンドイッチSの寸法よりも小さい。
板状部材32a、32bには、例えば、一対の主面(当接面33a、33b、取付面34a、34b)、及び、2つの第1丸穴が設けられている。
【0034】
固定部分は、支持部材36、接続部材37及び第1装着部材38を有している。支持部材36は、例えば、平板形状であって、上面、下面、複数の側面、及び、凹部36cを有している。側面は、上面と下面との間に設けれ、これらを接続している。複数の側面は、固定側面36s、固定側面36sの反対側の側面(反対側面36p)、及び、一対の縁側面36eを有している。例えば、固定側面36sとこの反対側面36pとは、互いに平行に設けられている。固定側面36sには固定孔36fが設けられ、例えば、固定孔36fの内周面に螺旋状溝が形成されている。
【0035】
凹部36cは、三角形状であって、反対側面36pから固定側面36sに向かって窪んでいる。この凹部36cにより、支持部材36に一対の縁側面36eが形成される。この縁側面36eは、互いに直交し、L字状に配置されている。例えば、一対の縁側面36eの一方の縁側面36eと固定側面36sとのなす角は、他方の縁側面36eと固定側面36sとのなす角と等しく、45°である。
【0036】
一対の縁側面36eの間には、切欠き36nが設けられている。切欠き36nは、例えば、上下方向に直交する断面が略円形の柱形状である。切欠き36nは、凹部36cよりも固定側面36s側に窪んで形成されている。
【0037】
支持部材36には、2組の対の第2丸穴36hが設けられている。一対の第2丸穴36hは、縁側面36eに沿って間隔を空けて配置されている。第2丸穴36hは、上面と下面との間において支持部材36を貫通している。
【0038】
接続部材37は、例えば、L字型金具であって、一対の面部(第1面部37a及び第2面部37b)を有している。第1面部37a及び第2面部37bは、互いに直交し、L字状に屈曲するように配置されている。
【0039】
第1面部37aは、平板形状であって、一対の第1長穴37h1を有している。一対の第1長穴37h1は、第1面部37aと第2面部37bとの間の屈曲部の延伸方向において互いに間隔を空けて配置されている。第1長穴37h1は、屈曲部から第1面部37aが延びる方向(例えば、上下方向)であって、第2面部37bに直交する方向に長く延びている。
【0040】
第2面部37bは、平板形状であって、一対の第2長穴37h2を有している。一対の第2長穴37h2は、屈曲部の延伸方向において互いに間隔を空けて配置されている。第2長穴37h2は、屈曲部から第2面部37bが延びる方向であって、第1面部37aに直交する方向に長く延びている。このため、第1長穴37h1の延伸方向と第2長穴37h2の延伸方向とは、互いに直交している。
【0041】
第1長穴37h1及び第1丸穴にボルト35aが挿入され、ボルト35aがナットにより締結されている。これにより、第1面部37aは、板状部材32a、32bの取付面34a、34bに当接して固定される。また、第2長穴37h2及び第2丸穴36hにボルト35bが挿入され、ボルト35bがナットにより締結されている。これにより、第2面部37bは、支持部材36の下面に当接し、支持部材36に固定される。
【0042】
このように、板状部材32a、32bは、接続部材37により支持部材36に固定される。この際、接続部材37の屈曲部の延伸方向は支持部材36の縁側面36eに平行に配置される。これにより、板状部材32a、32bは、支持部材36の凹部36cにおいて縁側面36eに沿って、上下方向に平行に設けられる。一対の板状部材32a、32bは、互いの間に切欠き36nを挟み、互いに直交して配置される。
【0043】
さらに、第1長穴37h1に対してボルト35aをスライドさせることにより、第1長穴37h1の延伸方向(例えば、上下方向)において支持部材36に対する板状部材32a、32bの位置を、サンドイッチSの形状及びサイズに応じて調整することができる。また、第2長穴37h2に対してボルト35bをスライドさせることにより、第2長穴37h2の延伸方向において一対の板状部材32a、32bの相対位置を、サンドイッチSの形状及びサイズに応じて調整することができる。これにより、サンドイッチSの形状等に応じた挟持部分31a、31bを用いる必要がなく、食品の向き変更装置10のコスト上昇を抑制することができる。
【0044】
第1装着部材38は、例えば、平板形状であって、上下方向に延びている。第1装着部材38の上部に、回転係止部38rが設けられている。第1装着部材38の下部に第1貫通孔38hが設けられている。この第1貫通孔38hにボルト35cが挿通され、ボルト35cの先端が支持部材36の固定側面36sの固定孔36fに挿入されて締結される。これにより、第1装着部材38が支持部材36に固定される。
【0045】
伸縮部分40は、例えば、一対のエアシリンダ等のリニアアクチュエータ(第1アクチュエータ41a及び第2アクチュエータ41b)を有している。第1アクチュエータ41aは第1シリンダ42a、第1ピストン及び第1ロッド43aを有し、第2アクチュエータ41bは第2シリンダ42b、第2ピストン及び第2ロッド43bを有している。各ピストンはシリンダ42a、42b内に収容され、ロッド43a、43bは各ピストンに接続され、シリンダ42a、42bから外側へ突出している。このシリンダ42a、42bに対する各ピストンの往復運動によりロッド43a、43bは、その延伸方向において伸縮する。
【0046】
第1ロッド43aの伸縮方向及び第2ロッド43bの伸縮方向が互いに平行になるように、第1アクチュエータ41aと第2アクチュエータ41bとが隣接して配置されている。この際、第1ロッド43aが伸びる方向と第2ロッド43bが伸びる方向とが互いに反対であって、第1ロッド43aが縮む向と第2ロッド43bが縮む方向とが互いに反対になるように、第1シリンダ42a及び第2シリンダ42bが配置されている。
【0047】
伸縮部分40は、第1載置面26a及び第2載置面26b上に配置されている。上側から視た場合の水平方向における伸縮部分40の中央部40cは、搬送基準線L上に配置されている。伸縮方向において、中央部40cからの第1ロッド43aの長さと第2ロッド43bの長さとが等しくなるように、第1ロッド43a及び第2ロッド43bは伸縮する。
【0048】
ロッド43a、43bの先端には、第2装着部材44が取り付けられている。第2装着部材44は、例えば、平板形状であって、ロッド43a、43bの先端から下方へ延びている。第2装着部材44の下部に第2貫通孔44hが設けられている。この第2貫通孔44hに第2装着部材44の回転係止部38rが挿入される。この回転係止部38rが回転されて、第2貫通孔44hの周囲の縁部に係止されると、第1装着部材38が第2装着部材44に取り付けられる。
【0049】
この際、第1挟持部分31aにおける第1板状部材32aと第2板状部材32bとの間の第1角部32c1、伸縮部分40の中央部40c、及び、第2挟持部分31bにおける第1板状部材32aと第2板状部材32bとの間の第2角部32c2は、この順で直線上に並ぶ。
【0050】
また、第1挟持部分31a及び第2挟持部分31bは、この中央部40cに対して点対象に配置される。これにより、第1挟持部分31aの第1板状部材32aと第2挟持部分31bの第1板状部材32aとは平行に配置され、これらの当接面33a、33bどうしが対向する。第1挟持部分31aの第1板状部材32aと中央部40cとの距離は、第2挟持部分31bの第1板状部材32aと中央部40cとの距離に等しい。
【0051】
第1挟持部分31aの第2板状部材32bと第2挟持部分31bの第2板状部材32bとは平行に配置され、これらの当接面33a、33bどうしが対向する。第1挟持部分31aの第2板状部材32bと中央部40cとの距離は、第2挟持部分31bの第2板状部材32bと中央部40cとの距離に等しい。
【0052】
一方、回転係止部38rが回転されて、第2貫通孔44hの周囲の縁部に係止されないと、第2装着部材44から第1装着部材38が取り外される。このように、挟持部分31a、31bは、脱着可能に伸縮部分40に装着される。よって、挟持部分31a、31bを伸縮部分40から容易に取り外して、洗浄等を行うことができる。
【0053】
転回部50は、把持部30の向きを変える機構であって、例えば、回転軸51、軸受52、平歯車53、ラックギア54及び第1直動型駆動装置55を有している。回転軸51は、上下方向に延び、軸受52内に挿入され、軸受52から下方へ突出する下部が伸縮部分40の中央部40cに固定されている。軸受52は、伸縮部分40よりも上方に配置されており、例えば、筐体70に固定されている。軸受52から上方へ突出する回転軸51の上部は平歯車53の中央に固定されている。平歯車53は、回転軸51の周囲を取り囲むように並べられた歯を有している。
【0054】
ラックギア54は、前後方向に並ぶ複数の歯を有し、この歯が平歯車53の歯に噛み合うように配置されている。第1直動型駆動装置55は、ラックギア54が固定されており、前後方向にラックギア54を駆動する。これにより、ラックギア54が前後方向に直線状に移動し、これに伴い平歯車53及び回転軸51が回転する。このため、把持部30が回転軸51を中心に回って、向きを変える。
【0055】
移動部60は、把持部30を前後方向に移動させる機構であって、例えば、第2直動型駆動装置を有している。移動部60は、例えば、第1直動型駆動装置55との間に転回部50を挟んで、第1直動型駆動装置55に平行に筐体70内に配置されている。
【0056】
移動部60は、把持部30及び転回部50に固定されており、これらを前後方向に往復移動させる。この移動速度は、例えば、搬送部20における載置面26a、26bの移動速度に応じて設定され、一定な第1載置面26aの移動速度と同じに設定されてもよい。
【0057】
制御部11は、プロセッサ等の演算処理装置により構成されており、例えば、筐体70の上部に配置されている。制御部11は、サンドイッチSの向きを変更するように、搬送部20、把持部30及び転回部50等をそれぞれ独立して制御している。
【0058】
<把持部、移動部、転回部、搬送部の動作>
食品の向き変更装置10では、例えば、3つの工程に沿ってサンドイッチSを搬送しながら転回する。第1工程では把持部30によるサンドイッチSの把持動作を行い、第2工程では転回部50によるサンドイッチSの転回動作を行い、第3工程では把持部30によるサンドイッチSの解放動作を行う。
【0059】
まず、各工程における把持部30の伸縮部分40についての動作について説明する。
図9(a)に示すように、第1工程の開始時では、伸縮部分40は最も伸びた拡張状態である。この拡張状態では、伸縮部分40に装着された一対の挟持部分31a、31bの間隔は最も長くなる。
【0060】
そして、
図9(b)に示すように、第1工程において伸縮部分40は縮まり、第1工程の終了時には最も縮んだ収縮状態になる。これにより、一対の挟持部分31a、31bの間隔は最も短くなり、サンドイッチSが把持される。
【0061】
続いて、
図9(c)に示すように、第2工程では、伸縮部分40は収縮状態を維持する。このため、サンドイッチSは一対の挟持部分31a、31bにより把持された状態が保持される。
【0062】
それから、
図9(d)に示すように、第3工程において伸縮部分40は延び、これにより一対の挟持部分31a、31bによって把持されたサンドイッチSが解放される。そして、第3工程の終了時には拡張状態に戻る。
【0063】
次に、転回部50の動作について説明する。なお、
図9では、転回部50の図示を省略している。
【0064】
図9(a)及び(b)に示すように、第1工程の開始時では、転回部50に装着される把持部30が傾斜配置になるように、転回部50は設定されている。この傾斜配置では、ロッド43a、43bの延伸方向が前後方向及び左右方向に対して傾斜するように、伸縮部分40は配置されている。この延伸方向と前後方向とのなす角、及び、延伸方向と左右方向とのなす角は、例えば、45度である。
【0065】
また、傾斜配置では、例えば、第1挟持部分31aは、前後方向において第2挟持部分31bよりも後方であって、左右方向において右側に配置されている。また、第1板状部材32aと第2板状部材32bとは、伸縮部分40の中央部40cに対して点対称に配置されている。
【0066】
このため、挟持部分31a、31bの第1板状部材32aは前後方向に直交し、第2板状部材32bは左右方向に直交して配置されている。これにより、第1板状部材32a及び第2板状部材32bは、上下方向に平行であって、互いに直交するように配置されている。
【0067】
第2工程では、転回部50が回転軸51を回転する。これにより、
図9(c)に示すように、回転軸51に装着される把持部30は転回する。この際、上側から視て反時計回りに回転軸51が回転する。このため、一対の挟持部分31a、31bのうちの右側(第1載置面26a側)にある第1挟持部分31aが前方へ動き、左側(第2載置面26b側)にある第2挟持部分31bが後方へ動くように、把持部30が転回する。これにより、例えば、把持部30において回転軸51よりも右側部分が前方へ動き、回転軸51よりも左側部分が後方へ動く。
【0068】
第2工程における回転軸51の回転角度は、例えば、45度である。これにより、把持部30は左右配置になる。左右配置では、伸縮部分40のロッド43a、43bの延伸方向が左右方向になり、第1挟持部分31a及び第2挟持部分31bは左右方向に並び、把持部30の第1角部32c1、中央部40c及び第2角部32c2は、左右方向に延びる直線上に配置される。
【0069】
ここで、第1挟持部分31aは、第1板状部材32aの当接面33aが左側前方を向き、第2板状部材32bの当接面33bが左側後方を向くように配置される。第2挟持部分31bは、第1板状部材32aの当接面33aが右側後方を向き、第2板状部材32bの当接面33bが右側前方を向くように配置される。
【0070】
そして、第3工程では、
図9(d)に示すように、把持部30は左右配置が維持される。
【0071】
次に、搬送部20の動作について説明する。第1載置面26aは、第1〜第3工程の全ての工程において、
図9の矢印に示すように、一定の第1所定速度で前方へ移動し、移送速度及び移動方向は変化しない。一方、第2載置面26bは、工程に応じて移動速度及び移動方向が変化する。
【0072】
第1工程では、
図9(a)及び(b)の矢印に示すように、第2載置面26bは、第1載置面26aと同じ第1所定速度で前方へ移動する。このため、第1載置面26a及び第2載置面26bは並行する。
【0073】
第2工程では、
図9(b)と(c)との間の矢印に示すように、第2載置面26bは、移動方向を後方へ変更し、後方へ第2所定速度で移動する。この後方へ移動する第2所定速度は、第1所定速度以下である。
【0074】
第3工程では、
図9(c)と(d)との間の矢印に示すように、再び移動方向を前方へ変更する。そして、
図9(d)の矢印に示すように、前方へ第1所定速度で移動する。
【0075】
次に、移動部60の動作について説明する。移動部60は、第1〜第3工程の全ての工程において、第1載置面26aと同じ第1所定速度で前方へ移動する。これにより、移動部60に装着された把持部30は第1載置面26a上を第1載置面26aと共に移動する。
【0076】
<食品の向き変更装置の動作>
食品の向き変更装置10の動作の一例として、ここでは、作業員が作業コンベヤで正姿勢のサンドイッチSを製造し、このサンドイッチSをその対角線で切断装置によって切断するために、食品の向き変更装置10において正姿勢から斜め姿勢にサンドイッチSの向きを変更する場合について説明する。
【0077】
なお、正姿勢とは、例えば、上側から見た平面視において長方形状のサンドイッチSの2組の対辺のうちの一方の対辺が搬送基準線Lに平行又はほぼ平行になっているサンドイッチSの向きである。また、斜め姿勢とは、例えば、上側から見た平面視において長方形状のサンドイッチSの2本の対角線のうちの一方の対角線が搬送基準線Lに平行又はほぼ平行になっているサンドイッチSの向きである。
【0078】
まず、作業員によって、作業コンベヤにおいてスライスパン及び具材が積層されて、正姿勢のサンドイッチSが組み立てられる。このサンドイッチSは、作業コンベヤの搬送部20から供給コンベヤ80に移り、さらに食品の向き変更装置10へ搬入される。
【0079】
続いて、サンドイッチSの前端が第1コンベヤ21a及び第2コンベヤ21bの後端に達すると、サンドイッチSがセンサ12により検出される。制御部11は、この検出を受けて、把持部30、回転部、移動部60及び搬送部20について第1工程の制御を開始する。なお、サンドイッチSは搬送基準線Lに載っているため、サンドイッチSの右側部分は第1載置面26aに載り、左側部分は第2載置面26bに載る。
【0080】
第1工程では、制御部11は、搬送駆動ローラ22及び搬送駆動ローラ22を互いに同じ所定回転速度で順方向に駆動する。これにより、載置面26a、26b上のサンドイッチSが第1所定速度で前方へ搬送される。
【0081】
第1工程の開始時には、左右方向において、第1挟持部分31aはサンドイッチSの搬送経路よりも右側に配置されている。例えば、第1挟持部分31aは、第1コンベヤ21aよりも後方の供給コンベヤ80の供給搬送面上において、第1挟持部分31aの第1板状部材32aの左端が供給搬送面の右端に至るように配置されている。
【0082】
このように、第1挟持部分31aが供給コンベヤ80の右側に設けられることにより、第1コンベヤ21aの大型化を抑制しながら、サンドイッチSの搬送経路を確保することができる。そして、サンドイッチSは、供給コンベヤ80において第1挟持部分31aaの左端よりも左側を通り、供給コンベヤ80から搬送部20へ至る。
【0083】
また、第2挟持部分31bは、伸縮部分40の中央部40cに対して第1挟持部分31aと点対称に配置されている。このため、搬送開始時には、第2挟持部分31bは、左右方向において、サンドイッチSの搬送経路よりも左側に配置されている。また、第2挟持部分31bは、第2載置面26b上において、右端が第2載置面26bの左右方向の中央線又はそれよりも左端になるように配置されている。
【0084】
第1工程では、一対の挟持部分31a、31bは、載置面26a、26bに載置されたサンドイッチSの移動と共に移動部60により前方へ移動しつつ、伸縮部分40により拡張状態から収縮状態へ変位する。この際、伸縮部分40の中央部40cが搬送基準線L上を移動しながら、各第1板状部材32a及び各第2板状部材32bが中央部40c側へ移動する。これにより、一対の第1板状部材32aの間隔及び一対の第2板状部材32bの間隔が縮まる。このため、サンドイッチSは、一対の第1板状部材32aにより左右方向から挟まれると共に、一対の第2板状部材32bにより前後方向から挟まれる。
【0085】
そして、例えば、前後方向において搬送基準線Lの中点等の所定転回位置に中央部40cが達したとき、伸縮部分40が収縮状態となり、各間隔が最も小さくなる。この際、一対の第1板状部材32a及び一対の第2板状部材32bにより取り囲まれるサイズは、サンドイッチSのサイズに等しくなる。よって、板状部材32a、32bの当接面33a、33bがサンドイッチSに当接し、サンドイッチSは、互いに対向する一対の第1板状部材32a、及び、互いに対向する一対の第2板状部材32bに挟まれる。
【0086】
このように、搬送部20によるサンドイッチSの搬送速度と同じ移動速度で一対の挟持部分31a、31bを移動させると共に、一対の挟持部分31a、31bを縮める。これにより、挟持部分31a、31bと載置面上のサンドイッチSとの相対速度は0にした状態で、サンドイッチSの変形を抑制しつつ、サンドイッチSの姿勢を調整することができる。
【0087】
例えば、サンドイッチSは、手作業により作業コンベヤに載置された後、供給コンベヤ80を介して第1コンベヤ21a及び第2コンベヤ21bへ搬送される。このため、第1コンベヤ21a及び第2コンベヤ21bにおいて、第1載置面26a及び第2載置面26b上におけるサンドイッチSの位置及び向きが所定位置及び向きからずれている場合がある。このような場合であっても、板状部材32a、32bによって前後方向及び左右方向のそれぞれからサンドイッチSが押されるため、サンドイッチSは所定の位置及び向きに調整される。
【0088】
例えば、伸縮部分40におけるエアシリンダのストロークにより、その終端においてサンドイッチSに衝撃が与えられることがある。これにより、サンドイッチSが所定の位置及び向きにより正確に調整することができる。
【0089】
第2工程では、例えば、中央部40cが所定転回位置に達すると、制御部11は、転回部50が回転軸51を中心に回転すると共に、第2コンベヤ21bの第2載置面26bの移動方向を変更する。これにより、第1載置面26aが第1所定速度で前方へ移動しながら、この第1載置面26aの上方において第1挟持部分31aが前方へ動く。また、第2載置面26bが第2所定速度で後方へ移動しながら、この第2載置面26bの上方において第2挟持部分31bが後方へ動く。
【0090】
そして、例えば、回転軸51の回転角度が45°に達すると、制御部11は転回部50の回転運動を停止する。このため、サンドイッチSは、載置面26a、26b上において板状部材32a、32bに押されて正姿勢から斜め姿勢に変更される。
【0091】
これにより、サンドイッチSは、載置面26a、26b上に載置された状態で挟持部分31a、31bにより転回する際、この転回に応じて載置面26a、26bが移動する。よって、サンドイッチSと載置面26a、26bと間における変位量の差を減少でき、転回するサンドイッチSの変形や転倒等を低減することができる。
【0092】
このように、一対の挟持部分31a、31bによる回転及び一対の載置面26a、26bによる相対的な移動によって、サンドイッチSは載置面26a、26b上に載置された状態で転回することができる。このため、一対の挟持部分31a、31bはサンドイッチSを強く挟み込む必要がなく支え、サンドイッチSの変形や転倒等を防止することができる。
【0093】
第3工程では、制御部11は、伸縮部分40を拡張状態から収縮状態へ変位させる。これにより、一対の挟持部分31a、31bにより把持されたサンドイッチSが解放される。なお、サンドイッチSの解放後、把持部30は移動部60により第1工程の開始位置に戻される。
【0094】
また、伸縮部分40の拡張と共に、制御部11は、第2載置面26bの移動方向を後方から前方へ戻し、第2載置面26bを第1載置面26aと同じ第1所定速度で移動させる。これにより、サンドイッチSは、載置面26a、26b上において左右方向に回転することなく、前側に移動する。
【0095】
そして、サンドイッチSは、その前端が送出コンベヤ90の後端に達すると、第1載置面26a及び第2載置面26bから送出コンベヤ90に移動する。この送出コンベヤ90によりサンドイッチSは前方向へ搬送されて、例えば、切断装置等に送出される。この送出コンベヤ90の移動速度が第1載置面26a及び第2載置面26bの各移動速度と切断装置の搬送部20の移動速度との間の値になるように定められる。これにより、サンドイッチSは、第1載置面26a及び第2載置面26bから送出コンベヤ90を介して切断装置の搬送部20にスムーズに搬出される。
【0096】
上記構成によれば、食品の向き変更装置10では、制御部11は、サンドイッチSの向きを変更するとき、第1載置面26aを搬送方向(前方)に移動させつつ、第2載置面26bを搬送方向の反対方向(後方)に移動させる。また、第1載置面26a側が搬送方向であって、第2載置面26b側が搬送方向の反対方向になるように、把持部30を転回する。
【0097】
これにより、サンドイッチSの変形や転倒等を防止しながら、サンドイッチSの向きを所定の向きにより確実に変更することができる。この結果、サンドイッチSの切断位置が刃の位置になるように、サンドイッチSの向きを精度良く調整できるため、サンドイッチSを均等に切断することができ、不適合品の割合を減らし、作業効率の低下を抑制することができる。
【0098】
また、食品の向き変更装置10は、把持部30を、第1載置面26aの移動速度と同じ速度(第1所定速度)で搬送方向に移動させる移動部60を備えている。これにより、サンドイッチSを把持する把持部30、及び、サンドイッチSを載置する第1載置面26aが並行するため、変形や転倒等を防止しながらサンドイッチSを搬送することができる。
【0099】
さらに、食品の向き変更装置10では、把持部30は、直交方向(上下方向)に直交する方向(左右方向、前後方向)においてサンドイッチSを挟持する一対の挟持部分31a、31bを有している。これにより、例えば、一対の挟持部分31a、31bにより左右方向及び前後方向からサンドイッチSを把持することができる。また、一対の挟持部分31a、31bは互いのサンドイッチSを挟むことにより、サンドイッチSの位置及び向きを所定の位置及び向きに整えることができる。
【0100】
食品の向き変更装置10では、挟持部分31a、31bは、直交方向(上下方向)に平行であって互いに直交する一対の板状部材32a、32bを有している。これにより、上下方向に直交する方向において、互いに直交する一対の板状部材32a、32bによりサンドイッチSの位置及び向きを所定の位置及び向きに整え易い。
【0101】
なお、上記構成では、サンドイッチSの向きを変更するとき、制御部11は、第1載置面26aを搬送方向に移動させつつ、第2載置面26bを搬送方向の反対方向に移動させた。但し、サンドイッチSの向きを変更するとき、制御部11は、第1載置面26aを搬送方向に移動させつつ、第2載置面26bを停止させてもよい。
【0102】
この場合であっても、把持部30は、第1載置面26a側が搬送方向に、第2載置面26b側が反対方向になるように転回部50によって転回する。このため、第1載置面26aと第2載置面26bとの相対的な移動方向が、把持部30の転回方向に一致する。これにより、サンドイッチSの変形を防止しながら、食品を精度良く転回することができる。よって、向き変更の精度向上を図ると共に、切断効率の低下を抑制することができる。
【解決手段】食品の向き変更装置10は、互いに隣接して配置され且つサンドイッチSが跨って載置される第1載置面26a及び第2載置面26bを移動させる搬送部20と、前記サンドイッチSを把持する把持部30と、前記第1載置面26aに直交する方向に延びる軸を中心に前記把持部30を転回する転回部50と、前記搬送部20、前記把持部30及び前記転回部50を制御する制御部11と、を備え、前記制御部11は、前記食品の向きを変更するとき、前記第1載置面26aを搬送方向に移動させつつ、前記第2載置面26bを停止させ又は前記搬送方向の反対方向に移動させ、前記第1載置面26a側が前記搬送方向であって、前記第2載置面26b側が前記反対方向になるように前記把持部30を転回する。