(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御される車両の起動状態として、前記車両のドアロックの状態、前記車両のエンジン起動状態、前記車両のイモビライザーの状態、又は、前記車両の始動用プッシュボタンの状態の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両遠隔制御システム。
前記車載器ないし通信モジュールは、少なくとも前記車両情報検出手段により検出された車両動力のオンオフ状態が変更されてからの経過時間に基づいて、車両の起動状態を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両遠隔制御システム。
前記制御される車両の起動状態として、前記車両のドアロックの状態、前記車両のエンジン起動状態、前記車両のイモビライザーの状態、又は、前記車両の始動用プッシュボタンの状態の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の車載器ないし通信モジュール。
少なくとも前記車両情報検出手段により検出された車両動力のオンオフ状態が変更されてからの経過時間に基づいて、車両の起動状態を制御することを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の車載器ないし通信モジュール。
車両の起動状態を管理するサーバから提供される車両の起動状態を制御する、少なくとも車両の起動不可状態と起動可能状態とを切り替える起動状態予約制御指令を含む、制御指令に基づき前記車両の起動状態を制御する手段と、
車両情報を検出する車両情報検出手段と、
を有し、
前記車両の起動状態を制御する手段は、前記サーバから前記制御指令が提供されると共に、車両情報検出手段により検出された少なくとも車両の位置情報を含む車両情報に基づいて、前記起動状態予約制御指令に関する所定の条件を満たした時点で、車両の起動状態を切り替えることを特徴とする車両遠隔制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、サーバと車載器との間の通信方法については、携帯電話、Wi−Fi、ビーコン等が例示されているが、サーバと車載器との間の通信が確立できなかった場合の対処については記載されていない。
【0009】
また、特許文献2では、サーバと始動更新制御器との間の通信方法については、3G、4G、インターネット等が例示されているが、サーバと始動更新制御器との間の通信が確立できなかった場合の対処については記載されていない。
【0010】
このため、特許文献1及び特許文献2のシステムでは、的確な車両遠隔制御を行うことができない。そこで、特許文献3では、サーバと車載器との間の通信が確立されている場合には、車両を起動不可状態へと切り替えるサーバからのリレー制御指令に基づき、車両情報連動制御手段による所条件を満たせば、車両を起動不可状態に切り替える。一方、サーバと車載器との間の通信が確立されていない場合には、車載器は車両を起動不可状態に切り替える制御を行わない。これにより、特許文献3では、車両がサーバと車載器との間の通信が確立できない場合に、ユーザが所定の料金を支払った時に、車両が起動可能状態に切り替えることができない事態を回避することができる。
【0011】
ところが、特許文献3の遠隔制御システムでは、通信状況の良くない地域や地下駐車場等に車両が駐車されている場合には、車両を起動不可状態に切り替えることができない。このために、ユーザは所定の料金を支払わないまま、車両を利用し続けることができてしまうという問題がある。
【0012】
本発明者は、これらの課題を鋭意検討し、車両情報連動制御や通信状況に応じて安全に車両を起動不可状態へ切り替えることができること、所定の料金を支払わないまま起動可能状態が継続される状況を防ぐこと、ユーザの利便性を確保すること等に配慮すると共に、さらに、特許文献4の起動制限の解除に関する車両起動制御システムを応用することにより、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明の目的は、サーバと車載器との間の通信が確立されていない場合でも、車両を起動不可状態へと切り替えることが可能な車両遠隔予約制御システムを提供することにある。
【0014】
また、本発明の別の目的は、サーバは車両の状態にかかわらず、いつでも起動状態制御指令を車載器に送信することができるため、サーバにおける車両管理を簡略化することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、本発明の第1の態様の車両遠隔制御システムは、
車両の起動状態を管理するサーバと、
前記サーバから提供される車両の起動状態を制御する制御指令に基づき前記車両の起動状態を制御する車載器ないし通信モジュールと、
を含む車両起動制御システムであって、
前記制御指令は、少なくとも、車両の起動不可状態と起動可能状態とを切り替える起動状態予約制御指令を含み、
前記車載器ないし通信モジュールは、前記サーバから前記制御指令が提供され
ると共に、車両情報検出手段により検出された
少なくとも車両の位置情報を含む車両情報に基づいて、前記起動状態予約制御指令に関する所定の条件を満たした
時点で、車両の起動状態を切り替えることを特徴とする。
【0016】
本発明の第2の態様の車両遠隔制御システムは、第1の態様の車両遠隔制御システムにおいて、前記起動状態予約制御指令
は、起動不可状態から起動可能状態への切り替え指令
、又は、起動可能状態から起動不可状態への切り替え指令を含み
、かつ、
前記起動状態予約制御指令は、
(2−1)起動状態を切り替える車両の位置に関する位置予約情報、又は、
(2−2)起動状態を切り替える時間に関する時間予約情報、
の少なくともいずれ1つを含む
か、あるいは、両者を含まないか、のいずれかであることを特徴とする。
【0017】
本発明の第3の態様の車両遠隔制御システムは、第1又は第2の態様の車両遠隔制御システムにおいて、前記サーバは、金融システムが有している所定のインターフェイスを介して接続されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の第4の態様の車両遠隔制御システムは、第1〜第3のいずれかの態様の車両遠隔制御システムにおいて、前記サーバは、
(4−1)前記車載器ないし通信モジュール、
(4−2)前記携帯端末、又は、
(4−3)前記ICカード
の少なくとも1つとの間で、前記車両の起動状態を制御する制御指令を通信することができ、
前記携帯端末及び/又は前記ICカードは、前記車載器ないし通信モジュールとの間で前記制御指令を通信することができること特徴とする。
【0019】
本発明の第5の態様の車両遠隔制御システムは、第1〜第4のいずれかの態様の車両遠隔制御システムにおいて、前記制御される車両の起動状態として、前記車両のドアロックの状態、前記車両のエンジン起動状態、前記車両のイモビライザーの状態、又は、前記車両の始動用プッシュボタンの状態の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の第6の態様の車両遠隔制御システムは、第1〜第5のいずれかの態様の車両遠隔制御システムにおいて、前記車載器ないし通信モジュールは、少なくとも前記車両情報検出手段により検出された車両動力のオンオフ状態が変更されてからの経過時間に基づいて、車両の起動状態を制御することを特徴とする。
【0021】
本発明の第7の態様の車両遠隔制御システムは、第1〜第6のいずれかの態様の車両遠隔制御システムにおいて、前記車載器は、外部リレーを制御することにより車両の起動状態を制御することを特徴とする。
【0022】
本発明の第8の態様の車載器ないし通信モジュールは、
車両の起動状態を管理するサーバから提供される車両の起動状態を制御する制御指令に基づき前記車両の起動状態を制御する車載器ないし通信モジュールであって、
前記制御指令は、少なくとも、車両の起動不可状態と起動可能状態とを切り替える起動状態予約制御指令を含み、
前記サーバから前記制御指令が提供され
ると共に、車両情報検出手段により検出された
少なくとも車両の位置情報を含む車両情報に基づいて、前記起動状態予約制御指令に関する所定の条件を満たした
時点で、車両の起動状態を切り替えることを特徴とする
【0023】
本発明の第9の態様の車載器ないし通信モジュールは、第8の態様の車載器ないし通信モジュールにおいて、前記起動状態予約制御指令
は、起動不可状態から起動可能状態への切り替え指令
、又は、起動可能状態から起動不可状態への切り替え指令を含み
、かつ、
前記起動状態予約制御指令は、
(9−1)起動状態を切り替える車両の位置に関する位置予約情報、又は、
(9−2)起動状態を切り替える時間に関する時間予約情報、
の少なくともいずれ1つを含む
か、あるいは、両者を含まないか、のいずれかであることを特徴とする。
【0024】
本発明の第10の態様の車載器ないし通信モジュールは、第8又は第9の態様の車載器ないし通信モジュールにおいて、前記サーバは、金融システムが有している所定のインターフェイスを介して接続されていることを特徴とする。
【0025】
本発明の第11の態様の車載器ないし通信モジュールは、第8〜第10のいずれかの態様の車載器ないし通信モジュールにおいて、前記サーバは、
(11−1)前記車載器ないし通信モジュール、
(11−2)前記携帯端末、又は、
(11−3)前記ICカード
の少なくとも1つとの間で、前記車両の起動状態を制御する制御指令を通信することができ、
前記携帯端末及び/又は前記ICカードとの間で前記制御指令を通信することができること特徴とする。
【0026】
本発明の第12の態様の車載器ないし通信モジュールは、第8〜第11のいずれかの態様の車載器ないし通信モジュールにおいて、前記制御される車両の起動状態として、前記車両のドアロックの状態、前記車両のエンジン起動状態、前記車両のイモビライザーの状態、又は、前記車両の始動用プッシュボタンの状態の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0027】
本発明の第13の態様の車載器ないし通信モジュールは、第8〜第12のいずれかの態様の車載器ないし通信モジュールにおいて、少なくとも前記車両情報検出手段により検出された車両動力のオンオフ状態が変更されてからの経過時間に基づいて、車両の起動状態を制御することを特徴とする。
【0028】
本発明の第14の態様の車載器は、第8〜第13のいずれかの態様の車載器において、外部リレーを制御することにより車両の起動状態を制御することを特徴とする。
【0029】
本発明の第15の態様の車両は、第8〜第14のいずれかの態様の車載器ないし通信モジュールを有することを特徴とする。
【0030】
本発明の第16の態様のサーバは、
車両の起動状態を制御する車載器ないし通信モジュールに対して、前記車両の起動状態を制御する制御指令を提供する、前記車両の起動状態を管理するサーバであって、
前記制御指令は、少なくとも、車両の起動不可状態と起動可能状態とを切り替える起動状態予約制御指令を含み、
前記車載器ないし通信モジュールは、前記サーバから前記制御指令が提供され
ると共に、車両情報検出手段により検出された
少なくとも車両の位置情報を含む車両情報に基づいて、前記起動状態予約制御指令に関する所定の条件を満たした
時点で、車両の起動状態を切り替えることを特徴とする。
【0031】
本発明の第17の態様の車両遠隔制御方法は、
車両の起動状態を管理するサーバから提供される車両の起動状態を制御する、少なくとも車両の起動不可状態と起動可能状態とを切り替える起動状態予約制御指令を含む、制御指令に基づき前記車両の起動状態を制御する手段と、
車両情報を検出する車両情報検出手段と、
を有し、
前記車両の起動状態を制御する手段は、前記サーバから前記制御指令が提供され
ると共に、車両情報検出手段により検出された
少なくとも車両の位置情報を含む車両情報に基づいて、前記起動状態予約制御指令に関する所定の条件を満たした
時点で、車両の起動状態を切り替えることを特徴とする。
【0032】
本発明の第18の態様の車両遠隔制御プログラムは、第17の態様の車両遠隔制御方法における各手段をコンピュータにより実行することを特徴とする。
【0033】
本発明の第19の態様の記憶媒体は、第18の態様の車両遠隔制御プログラムを記憶したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
第1の態様の車両遠隔制御システムによれば、サーバと車載器との間の通信が確立されていない場合でも、車両を起動不可状態へと切り替えることが可能な車両遠隔予約制御システムを提供することができる。また、サーバは車両の状態にかかわらず、いつでも起動状態制御指令を車載器に送信することができるため、サーバにおける車両管理を簡略化することができる。
【0035】
第2の態様の車両遠隔制御システムによれば、
前記起動状態予約制御指令は、
(2−1)起動状態を切り替える車両の位置に関する位置予約情報、又は、
(2−2)起動状態を切り替える時間に関する時間予約情報、
の少なくともいずれ1つを含む
か、あるいは、両者を含まないか、のいずれかであることにより予約制御が可能となる。例えば、車両を起動不可状態に切り替えるための車両の場所や時間を予約しておくことができる。
【0036】
第3の態様の車両遠隔制御システムによれば、金融システムとの連動により、所定の料金の支払い状態を即時に監視可能であり、ユーザが利用料を支払ってから、サーバにおいてその支払いが確認されるまでのタイムラグを短くすることができる車両起動制御システムを提供することができる。
【0037】
第4の態様の車両遠隔制御システムによれば、車両の起動状態を制御する制御指令をサーバとの間で通信する手段が複数設けられていることにより、ユーザの都合のよい手段によりドアロックの施錠・解錠、車両起動制御を行うことが可能となることにより、ユーザにとって利便性が高いシステムを提供することができ、車両の鍵の管理も容易となる。また、電波状態が悪い状況でも、あるいは、車載器がスリープ状態でも、車両の起動制限を解除できるため、ユーザによる支払いが確認されてから、車両の起動制限が解除されるまでのタイムラグを短くすることができる車両起動制御システムを提供することができる。
【0038】
第5の態様の車両遠隔制御システムによれば、少なくとも、車両のドアロックの解錠及び施錠、または、車両のエンジンの起動可能状態及び起動不可状態を制御することができる。
【0039】
第6の態様の車両に車両遠隔制御システムよれば、所定の期限内に利用料金の支払いがない場合や盗難が検出された場合においてサーバからの指示により車両を起動不可状態に変更する際、車両の安全を考慮し、車両が危険な場所又は他人の迷惑になる場所におかれた状態で起動不可状態になってしまうことを防止できる。
【0040】
第7の態様の車両に車両遠隔制御システムよれば、車載器が外部リレーを制御することにより、車両を起動不可状態と起動可能状態に切り替えることができるため、車載器の通信におけるセキュリティに対する脆弱性を解消できる。
【0041】
第8の態様の車載器ないし通信モジュールよれば、サーバと車載器との間の通信が確立されていない場合でも、車両を起動不可状態へと切り替えることが可能な車載器ないし通信モジュールを提供することができる。また、サーバは車両の状態にかかわらず、いつでも起動状態制御指令を車載器に送信することができるため、サーバにおける車両管理を簡略化することができる。
【0042】
第9の態様の車載器ないし通信モジュールによれば、
前記起動状態予約制御指令は、
(9−1)起動状態を切り替える車両の位置に関する位置予約情報、又は、
(9−2)起動状態を切り替える時間に関する時間予約情報、
の少なくともいずれ1つを含む
か、あるいは、両者を含まないか、のいずれかであること
により予約制御が可能となる。例えば、車両を起動不可状態に切り替えるための車両の場所や時間を予約しておくことができる。
【0043】
第10の態様の車載器ないし通信モジュールによれば、金融システムとの連動により、所定の料金の支払い状態を即時に監視可能であり、ユーザが利用料を支払ってから、サーバにおいてその支払いが確認されるまでのタイムラグを短くすることができる車両起動制御システムを提供することができる。
【0044】
第11の態様の車載器ないし通信モジュールによれば、車両の起動状態を制御する制御指令をサーバとの間で通信する手段が複数設けられていることにより、ユーザの都合のよい手段によりドアロックの施錠・解錠、車両起動制御を行うことが可能となることにより、ユーザにとって利便性が高いシステムを提供することができ、車両の鍵の管理も容易となる。また、電波状態が悪い状況でも、あるいは、車載器がスリープ状態でも、車両の起動制限を解除できるため、ユーザによる支払いが確認されてから、車両の起動制限が解除されるまでのタイムラグを短くすることができる車両起動制御システムを提供することができる。
【0045】
第12の態様の車載器ないし通信モジュールによれば、少なくとも、車両のドアロックの解錠及び施錠、または、車両のエンジンの起動可能状態及び起動不可状態を制御することができる。
【0046】
第13の態様の車載器ないし通信モジュールによれば、所定の期限内に利用料金の支払いがない場合や盗難が検出された場合においてサーバからの指示により車両を起動不可状態に変更する際、車両の安全を考慮し、車両が危険な場所又は他人の迷惑になる場所におかれた状態で起動不可状態になってしまうことを防止できる。
【0047】
第14の態様の車載器によれば、車載器が外部リレーを制御することにより、車両を起動不可状態と起動可能状態に切り替えることができるため、車載器の通信におけるセキュリティに対する脆弱性を解消できる。
【0048】
第15の態様の車両によれば、第8〜第14のいずれかの車載器ないし通信モジュールと同様の効果を奏する車両を提供することができる。
【0049】
第16の態様のサーバによれば、サーバと車載器との間の通信が確立されていない場合でも、車両を起動不可状態へと切り替えることが可能なサーバを提供することができる。また、サーバは車両の状態にかかわらず、いつでも起動状態制御指令を車載器に送信することができるため、サーバにおける車両管理を簡略化することができる。
【0050】
第17の態様の車両遠隔制御方法によれば、サーバと車載器との間の通信が確立されていない場合でも、車両を起動不可状態へと切り替えることが可能な車両遠隔制御方法を提供することができる。また、サーバは車両の状態にかかわらず、いつでも起動状態制御指令を車載器に送信することができるため、サーバにおける車両管理を簡略化することができる。
【0051】
第18の態様の車両遠隔制御プログラムよれば、第17の態様の車両遠隔制御方法と同様の効果を奏する車両遠隔制御プログラムを提供することができる。
【0052】
第19の態様の記憶媒体によれば、第17の態様の車両遠隔制御方法と同様の効果を奏する車両遠隔制御プログラムを記憶した記憶媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る車両遠隔制御システム、車載器ないし通信モジュール、車両、サーバ、車両遠隔制御方法、車両遠隔制御プログラム及び記憶媒体について説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するための車両遠隔制御システム、車載器ないし通信モジュール、車両、サーバ、車両遠隔制御方法、車両遠隔制御プログラム及び記憶媒体を例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0055】
[実施形態1]
図1〜
図7を参照して、本発明の実施形態1に係る車両遠隔制御システム、車載器ないし通信モジュール、車両、サーバ、車両遠隔制御方法、車両遠隔制御プログラム及び記憶媒体について説明する。
【0056】
図1は、車両遠隔制御システムを含む全体図である。本実施形態では、まず、カーリースについて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両の起動状態等を遠隔制御するものに適用可能であり、例えばカーレンタル又はカーシェアリングにも適用できる。制御される車両の起動状態には、車両のドアロックの状態、車両のエンジン起動状態、車両のイモビライザーの状態、及び、車両の始動用プッシュボタンの状態の少なくとも1つを含み、例えば、ドアロックの解錠及び施錠や車両の起動可能状態及び起動不可状態の切り替えが含まれる。本システムをカーリースに適用する場合、ユーザに車両を提供し、所定の期限内にユーザから利用料金(例えば月額料金)の支払いがない場合には、車両を遠隔で停止(起動不可状態)にすると共に、当該車両の位置を特定して回収するサービスを実現できる。車両2には車載器または通信モジュール1(本実施形態では、以下車載器1として説明する。なお、
図3では車載器1の接続、
図11では通信モジュールとしてのDCM21の接続について説明している。)が設けられており、サーバ10は車載器1と通信して各車両の施錠及び解錠を管理すると共にユーザ端末32と通信して車両の予約を管理する。なお、カーレンタル又はカーシェアリングに適用した場合には、特定の車両が事前の予約がなく使用された場合、予約に対する支払いに問題がある場合、事前の延長手続きなく前記予約の期間を超えて所定の期間以上前記特定の車両が使用されている場合、前記特定の車両を使用する地理的な範囲が予約時に設定された範囲を超えている場合、又は、特定の車両の使用の態様が予約時に設定された条件に反している場合等には、車両を遠隔で停止(起動不可状態)にすると共に、当該車両の位置を特定して回収するサービスを実現するものである。
【0057】
車載器1は、1台の車両に1個設置される。車載器1の車両2への設置場所は、車載器1が車両2を後述するような制御が可能でありさえすれば、車両2のどの場所でも構わない。車載器1が後付けの場合には、助手席のシートの下等の設置作業が容易な場所に配置することができる。また、盗難防止の観点から、車載器1を取り外しにくい場所、例えばエンジンルームの下部やインパネの内部に配置することもできる。さらには、車載器1を車両2の製造時に予め内蔵しておくこともできる。車載器1は、車両情報検出手段により収集した車両2の車両情報を、無線通信ネットワーク30を介してサーバに送信すると共に、サーバ10から無線通信ネットワーク30を介して施錠指令、解錠指令、エンジン起動リレー制御信号を受信して、車両2のドアロックアクチュエータ及びエンジン起動外部リレー50(
図3参照)を制御する。ドアロックアクチュエータ59を制御することにより、ユーザ端末からの施錠指令及び解錠指令に基づいて、サーバ10を介することにより、車両のドアロックの施錠及び解錠を遠隔から制御することができる。
【0058】
また、エンジン起動外部リレー50を制御することにより、車両の起動不可状態と起動可能状態とを切り替えることができる。なお、施錠指令、解錠指令、エンジン起動リレー制御信号には、車載器に用いられる認証情報を含ませることができ、この認証情報は車載器1における認証に用いることができ、この認証情報が適切な場合に、施錠指令、解錠指令、エンジン起動リレー制御信号が車載器1において受け付けられる。内燃機関自動車の場合、起動不可状態ではエンジンを始動することができず(起動中のエンジンを切るものではなく、エンジンの再始動を禁じるものである。)、起動可能状態ではエンジンを始動することができる。ここで、無線通信ネットワーク30としては、車載器1及びサーバ10間の通信が可能でありさえすれば任意のものでよく、例えば2G、3G、4G、5G、Wi−Fi(登録商標)、WiMAX(登録商標)、無線LAN、ビーコン、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、V2X、その他の専用回線等が挙げられる。
【0059】
サーバ10は、ユーザ情報管理部14、支払状況監視部15、遠隔制御指示部12、車両情報収集部11及び送受信部13を備えている。支払状況監視部15は、金融システム16のAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース、Application Programing Interface)17を用いてユーザの支払状況を監視する。「APIとは、あるコンピュータプログラム(ソフトウェア)の機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約のこと。(IT用語辞典e-Words)」である。外部の他のプログラムで汎用的に用いられる機能が、OSやミドルウェア等のプラットフォームの形で提供される場合に、そのプラットフォームの機能を、呼び出して利用するための手続きを定めたものがAPIであり、外部のプログラムの開発者はAPIにより各機能を呼び出して用いることにより、各機能の開発負担を軽減することが可能となる。そして、支払状況監視部15は、金融システム16のAPI17を利用することにより、ユーザによる金融システム16を介した支払状況をリアルタイムで監視することができるため、ユーザが所定の支払いを行ったことを速やかに検出することができる。ユーザ情報管理部14は、支払状況監視部15により監視されたリアルタイムでのユーザの支払状況を把握すると共に、車両情報収集部11の情報を把握することができる。
【0060】
また、ユーザ情報管理部14は、カーレンタルやカーシェアの場合にユーザ端末32との通信により車両の予約を管理し、予約状況及び支払状況に対応して、ユーザ端末32へドアロックキー情報を送信すると共に、ユーザ端末32から施錠指令及び解錠指令を受け付ける。また、遠隔制御指示部12は、車載器1に対する施錠指令、解錠指令、エンジン起動リレー制御指令を生成する。ユーザ情報管理部14がユーザ端末32へドアロックキー情報を送信すること、遠隔制御指示部12が車載器1に対して解錠指令を生成すること、及び、エンジン起動リレー制御指令によりエンジンを起動可能状態にすることは、「起動不可状態から起動可能状態に切り替えること」に相当する。車両情報収集部11は、車載器1からの車両情報を収集する。送受信部13は車載器との間でデータの送受信を行う。また、サーバ10は管理者端末31と接続されている。
【0061】
ユーザ端末32は、例えばスマートフォンや携帯電話やタブレット端末等の携帯端末が望ましく、車両のドアロックキーとしても使用するためには少なくとも携帯できる必要があり、さらに、車両2及びユーザ端末32にGPS機能を備えることが望ましい。車両2及びユーザ端末32がGPS機能を備えることにより、サーバ10は、車両2に搭載されたGPSにより車両の位置を把握できると共に、ユーザ端末32のGPSによりユーザの位置を把握することができるため、ユーザ端末32から送信される施錠指令及び解錠指令が有効であるか、無効であるかを判断することができる。すなわち、ユーザ端末32が対応する車両2から離れているときにユーザ端末32から解錠指令が送信されても、サーバ10では当該解錠指令は無効であると判断し、対応する車両2に対して解錠指令を送信しない。一方、ユーザ端末32が対応する車両2に近い位置にあるときにユーザ端末32から解錠指令が送信されると、サーバ10では当該解錠指令は有効であると判断し、対応する車両2に対して解錠指令を送信する。ここでは、車両2及びユーザ端末32に備えられたGPS機能によって、車両2及びユーザ端末32の距離を検出したが、その他の構成によって車両2及びユーザ端末32の距離を検出してもよいことは、いうまでもない。例えば、ユーザ端末32及び車載器1に、それぞれ特定の近距離無線通信の送受信装置が組み込まれている場合には、ユーザ端末32と予約車両2との距離が、ユーザ端末32から車載器1への近距離無線通信のエリア内であるか否かによって距離を検出することもできる。この近距離無線通信としては、例えばBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、赤外線通信、RFID(Radio Frequency Identifier)、NFC(Near Field Communication)等が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の種類の近距離無線通信を含むものである。
【0062】
また、自宅のPCから車両の予約を行った場合でも、ドアロックキー情報をスマートフォンで受信していれば、スマートフォンを用いて対応する車両に対して施錠指令及び解錠指令を送信することも可能である。このため、本発明ではユーザ端末32としては1つの携帯端末だけに限定されるものではなく、例えばスマートフォン及びタブレット端末といった複数の携帯端末のいずれもが特定の1つの車両に対して施錠指令及び解錠指令を送信することが可能であるとする等、多種多様な形態が含まれる。
【0063】
支払状況監視部15は、金融システム16のAPI17を用いてユーザの支払状況をリアルタイムで監視することができるが、支払状況監視部15に直接、ユーザの支払状況を把握する機能を設けてもよい。
【0064】
送受信部13は無線通信ネットワーク30を介して、複数の車載器1と無線通信を行う。
図1では、無線通信ネットワーク30による通信、及び、ユーザ情報管理部14とユーザ端末32との間の通信を別々に描いているが、無線通信ネットワーク30により、ユーザ情報管理部14とユーザ端末32との間の通信を行うようにしてもよい。すなわち、ユーザ情報管理部14とユーザ端末32との間の通信も、例えば2G、3G、4G、5G、Wi−Fi(登録商標)、WiMAX(登録商標)、無線LAN、ビーコン、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が挙げられる。
【0065】
管理者端末31は、管理者に情報を表示するためのディスプレー等の表示手段と、管理者からの情報を入力する情報入力手段を備えており、例えばPC、タブレット端末、携帯端末等からなる。情報入力手段としては、タッチパネル式ディスプレー、キーボード、マウス等を用いることができ、タッチパネル式ディスプレーの場合には別途のキーボード等を省略できる。
【0066】
サーバ10は、車載器1から定期的に受信する車両情報から車両の運行状況を把握することができる。車両情報としては、車両のドアロックの状況、車両の動力のオン・オフ情報、電源入力検知情報、エンジン起動外部リレーの状態、及び、GPSによる車両の位置情報等を含むことが望ましい。サーバ10が車両の運行状況を把握することにより、必要に応じて、所定の駐車場に車両を駐車中であるか、所定の駐車場以外の場所に車両を駐車中であるか、ユーザが車両を利用して移動中であるか、あるいは、車両が盗難された可能性があるか等を判別することができる。
【0067】
前記特定の車両が事前の予約がなく使用されたか否かの判断、予約に対する支払いに問題があるか否かの判断、事前の延長手続きなく予約の期間を超えて所定の期間以上特定の車両が使用されているか否かの判断、特定の車両を使用する地理的な範囲が予約時に設定された範囲を超えているか否かの判断、特定の車両の使用の態様が予約時に設定された条件に反しているか否かの判断、各ユーザから所定の期間内に所定の料金の支払いがあった否かの判断、対応する車両を起動不可状態へ変更するか否かの判断、後述の車両の運行状態の判断、又は、後述の盗難発生時や異常発生時のユーザへの問い合わせ及び警察への通報等を行うか否かの判断等は、サーバ10により自動的に行うようにしてもよいし、必要に応じそれらの一部又は全部を管理者がマニュアルで行うようにしてもよい。サーバ10により自動化すれば、管理者の負担を軽減することができる。一方、これらの判断の一部又は全部を管理者がマニュアルで行うようにした場合には、サーバ10において複雑な条件判断を行う必要がないため、サーバ10の構成を簡略化できる。
【0068】
次に、サーバ10により自動的に車両の運行状況を判別する方法について詳細に説明する。カーシェアリング、カーレンタルの場合、ユーザが車両の受け取り、及び、返却する駐車場は、複数箇所の営業所(有人あるいは無人の駐車場等)の中から、事前に登録されている。カーリースの場合も、ユーザは自分が主に使用する駐車場を事前に登録している。事前に登録した駐車場に相当する場所で、所定時間以上、車両の動力がオフ状態となっている場合には、所定の駐車場に車両を駐車中であると判断する。また、事前に登録された駐車場以外の場所で、所定時間以上、車両の動力がオフ状態となっている場合には、所定の駐車場以外の場所に車両を駐車中であると判別する。さらに、車両が事前に登録された駐車場以外の場所にあり、車両の動力が所定の時間以上オフ状態とはなっていない場合にはユーザが車両を利用して移動中であると判別する。
【0069】
また、車両がユーザの事前登録した範囲から所定期間以上外れていた場合には、車両が盗難された可能性があると判別する。車両が盗難された可能性があると判別された場合には、ユーザが事前に登録している連絡先にその車両運行状況を通知すると共に、盗難の有無の問い合わせを行う。所定の期間内にユーザからの回答がない場合、及び、ユーザから盗難である旨の回答があった場合には、管理者に盗難の発生を報知すると共に、車載器1に対して起動不可状態に対応するエンジン起動リレー制御指令を送信する。管理者は、サーバ10から盗難発生の報知があった場合には、ユーザに連絡を取って盗難の発生状況を確認した上で、必要に応じて警察に車両の盗難を通報する。なお、サーバ10は必ずしもこのような車両の運行状態を判断する手段を備えていなくともよく、サーバ10の機能を削減することにより、サーバ10における演算が簡略化され、また、サーバ10の構成を簡略化することができる。
【0070】
さらに、車載器1には、車載器1を車両2から抜去、又は、車載器1に接続されている配線の切断若しくは引抜の異常を検出する手段が設けられており、これらの異常を検出すると車載器1はサーバ10にこれらの異常の発生を報知する。この報知を受けるとサーバ10は速やかに管理者に通知を行う。管理者は、サーバ10からこの異常の通知があった場合には、ユーザに連絡を取って盗難の発生状況を確認した上で、必要に応じて警察に車両の盗難を通報する。
【0071】
車載器1を車両2から抜去する場合として、例えば、(1)窃盗犯による盗難の場合、(2)ユーザによる車両の悪用の場合、及び、(3)未払いユーザによるやむを得ない緊急時の車両利用の場合、が想定される。車載器1の車両2から抜去として、常に(1)及び(2)のような盗難や悪用の場合を想定する場合には、車両を起動不可状態にすることが望ましい。一方、車載器1の車両2から抜去として、(3)のような緊急時の場合、例えば急病人の搬送を想定する場合には、車両を起動可能状態とすることが望ましい。後述のように、エンジン起動外部リレー50は、その接続を切り替えることにより、配線の切断若しくは引抜時に、起動不能状態とするモードにするのか、それとも、起動可能状態とするモードにするのかを選択することができる。そこで、車載器1が前記異常の検出した場合、及び、エンジン起動外部リレー50の配線の切断若しくは引抜時に、管理者が(1)及び(2)のような盗難や悪用の場合を想定する場合にはエンジン起動外部リレー50を起動不可状態になるように予め設定し、管理者が(3)のような緊急時の場合を想定する場合にはエンジン起動外部リレー50を起動可能状態になるように予め設定しておけばよい。
【0072】
カーリースの場合のサーバ10における支払いの監視、及び、起動可能状態と可動不可状態との切替制御のフローの例について、
図2を用いて説明する。A1でフローがスタートする。A2では、車両の納車時(出荷時)には、車両の起動が可能となるように、車両のエンジン起動外部リレー50は起動可能状態に設定されている。A3では、支払状況監視部15は、金融システム16のAPI17を用いてユーザの支払状況をリアルタイムで監視して、A4では、各車両のユーザから所定の期間内に利用料金の支払いがあったか否か(滞納があるか否か)を判断する。所定の期間内に利用料金の支払いがない際(A4でYesの場合)にはA5に進む。A5では、ユーザに対して料金未納であるため、所定の期間に料金を支払わないと車両を起動不可状態に切り替える旨を警告して、A6へ進む。A4でNoの場合には、A3に戻る。
【0073】
A6では、支払状況監視部15は、金融システム16のAPI17を用いてユーザの支払状況をリアルタイムで監視して、A7では、各車両のユーザから所定の期間内に利用料金の支払いがあったか否かを判断する。A7の判断がNoの場合には、A8へ進む。A8では、車両の運行状況を確認した上で、所定の条件を満たしている場合には、対応する車両2を起動不可状態とするために、サーバ10は遠隔制御指示部12から起動不可状態に対応するエンジン起動リレー制御指令を対応する車載器1へ送信して、A9へ進む。車載器1は、起動不可状態に対応するエンジン起動リレー制御指令を受け取ると、エンジン起動外部リレー50を起動不可状態に切り替えるので、対応する車両2は起動不可状態、すなわち、内燃機関車両の場合にはエンジンの始動が不可能な状態となる。本実施形態では、A4でYesの場合(滞納を検出した場合)には、A5で一旦ユーザに車両を起動不可状態に切り替える旨の警告を行ったが、本発明はこれに限定されるものでは無く、例えば、A4でYesの場合に、直接A8に進み、車両を起動不可状態に切り替えることも可能である。このように、滞納の検出時に直接A8に進み車両を起動不可状態に切り替えるか、あるいは、一旦警告を行って車両を起動不可状態に切り替える前に所定の猶予期間を与えるかどうかは、その地域の法令や商慣行等を考慮して決定される。
【0074】
一方、A7の判断がYesの場合には、A3に戻り、支払状況監視部15は、金融システム16のAPI17を用いてユーザの支払状況をリアルタイムで監視を行う。サーバ10から車載器1へ起動不可状態に対応するエンジン起動リレー制御指令がない状態では、通常、エンジン起動外部リレー50は起動可能状態に設定されている。したがって、所定の期間内に利用料金の支払いがあった場合(A7でYesの場合)には、サーバ10から車載器1へ起動不可状態に対応するエンジン起動リレー制御指令が送信されないので、エンジン起動外部リレー50は起動可能状態の設定のままであり、対応する車両2は起動可能状態、すなわち、内燃機関車両の場合にはエンジンの始動が可能な状態となる。
【0075】
A9では、ユーザに対して料金未納のため車両が起動不可状態であることを報知すると共に、所定の期間を指定して所定の料金を支払うように促して、A10へ進む。A10では、支払状況監視部15は、金融システム16のAPI17を用いてユーザの支払状況をリアルタイムで監視して、A11では、当該車両のユーザから所定の期間内に利用料金の支払いがあったか否かを判断する。A11の判断でYesの場合(支払い有りの場合)には、サーバ10は対応する車両を再び起動可能状態とするために、遠隔制御指示部12から起動可能状態に対応するエンジン起動リレー制御指令を対応する車載器1へ送信する。車載器1が起動可能状態に対応するエンジン起動リレー制御指令を受信すると、エンジン起動外部リレー50は起動可能状態に切り替えられ、対応する車両は再び起動可能状態となる。
【0076】
利用料金が月額料金の場合には、例えば前月の25日までに所定の金額が支払われているか否かを確認する(A4に対応)。所定の支払が行われていない際には、ユーザに対して滞納であること及び1週間以内に所定の料金の支払いがない場合には車両を起動不能状態にすることのメッセージを送信する(A5に対応)。このメッセージの送信から1週間以内に所定の料金の支払いがない場合には、車両の運行状況を確認した上で、所定の条件を満たしていることを条件としてサーバ10は遠隔制御指示部12から起動不可状態に対応するエンジン起動リレー制御指令を対応する車載器1へ送信する(A8に対応)。車両を起動不可能状態にした後、所定の期間例えば1か月が経過してもユーザから所定の料金の支払いがない場合(A11の判断でNoの場合)には、管理者は車両情報収集部11で収集された特定の車両の位置情報を利用して、当該車両の回収する手配を行う(A14に対応、その後はA15でエンドとなり、処理を終了する)。
【0077】
一方、起動不可状態に対応するエンジン起動リレー制御指令を車載器1へ送信した後に、所定の期間内にユーザによる所定の金額の入金が確認された際(A11の判断でyesの場合)には、サーバ10は遠隔制御指示部12から起動可能状態に対応するエンジン起動リレー制御指令を対応する車載器1へ送信し、再び、車両を起動可能状態とする(A12に対応)。また、サーバ10から車載器1へ起動不可に対応するエンジン起動リレー制御指令がない状態では、通常、エンジン起動外部リレー50は起動可能状態に設定されているので、対応する車両は起動可能状態とされる。したがって、毎月25日までに所定の料金の支払いを済ませていれば、ユーザは車両を起動可能状態のまま利用することができる。
【0078】
A8で車両が起動不可状態に切り替えられ、A9でユーザに所定の支払を促した後、ユーザはすぐに車両を使いたければ、速やかに所定の支払を行うことになる。この場合、ユーザはすぐに車両を使いたい状況であるため、所定の支払が行われてから実際に車両が起動不可状態から起動可能状態に切り替えられるまでにタイムラグがると、すぐに車両を使いたいユーザにとっては不利益であり、問題がある。そこで、A10において金融システム16のAPI17を用いてユーザの支払状況をリアルタイムで監視しているため、A11においてはユーザから所定の支払があったことをリアルライムで把握することができ、A12において、所定の支払があってからすぐにサーバ10は遠隔制御指示部12から起動可能状態に対応するエンジン起動リレー制御指令を対応する車載器1へ送信し、再び、車両を起動可能状態とし、A13でリターンとなる。
【0079】
なお、本発明はカーリースの場合に限定されるものでは無く、例えばカーシェアリング又はカーレンタルの場合についても適用可能であり、例えばドアロックキーの施錠及び解錠の制御や、エンジン起動リレー制御指令による車両の起動可能状態と起動不可能状態との切替制御にも適用される。例えばカーシェアリング又はカーレンタルの場合には、ユーザがユーザ端末32からサーバ10のユーザ情報管理部14に対して特定の車両の予約を行う際に、インターネトバンキングやカード決済等の使用料金支払いの決済手続きが完了した後に、ユーザ情報管理部14はユーザ端末32に対して、ドアロックキー情報を送信する。ユーザはこのドアロックキー情報を用いて、サーバ10を介して車両のドアロックの解錠及び施錠を制御することができる。また、サーバ10は、ユーザの支払状況、及び、車両の状況等に応じて、車両2の起動可能状態及び起動不可能状態を切り替える制御を行うことができる。この場合にも、金融システム16のAPI17を用いてユーザの支払状況をリアルタイムで監視することにより、ユーザから所定の支払があったことをリアルライムで把握することができるので、ユーザが利用料を支払ってから、車両の起動制限が解除される(例えば、ドアロックが解錠される、あるいは、車両2が起動可能状態に切り替えられる)までのタイムラグを短くすることができる。
【0080】
次に
図3を参照して車載器1の構成と車両2への接続を説明する。
図3は車載器のブロック図であり、内燃機関車両に接続する場合の例である。なお、
図1〜
図2と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0081】
車載器1には、演算処理を行うCPU41、無線通信ネットワークを介してサーバ10の送受信部と無線通信を行う無線通信モジュール42、エンジン起動リレーの状態等を記憶するメモリ43(例えば不揮発性メモリとして構成されている)、車載器1の各種設定を行うコンソールの入出力部であるコンソール入出力44、車両2の外部バッテリ51からの電力により充電される車載器内部のバッテリである内部バッテリ45、車両2の外部バッテリ51からの電源入力を検知する電源入力検知部46、車両2の走行状態識別線(ACC線、IG線)52に接続されてエンジンのオン・オフ状態を検知するIGN入力検知部47、エンジン起動外部リレー50に接続されるエンジン起動リレー入出力48、車両2のGPS54に接続されて車両の位置情報を検出するGPS入出力部49(
図3では、GPSI/Oと記載)、ドアロックアクチュエータ制御回路56に接続され、外部リレー58を介してドアロックアクチュエータ59を制御する内部リレー55等が設けられている。図示されていないが、車載器1は、ドアロックの状況を検出するドアロック検出回路や、加速度センサを備えていてもよい。また、車載器1は車速パルスや燃料センサの情報を検出することができるようにしておいてもよい。ここで、外部バッテリ51とは、車載器1内部の内部バッテリ45と区別した用語であり、車載バッテリのことを意味する。エンジン起動外部リレー50は車両2のエンジン起動制御線(ST線)に接続されており、
図3ではエンジン起動外部リレー50は、車両2と車載器1との間に示されているが、実際には車両2のエンジンルームの内部に設けられており、外部から目視することはできない場所に配置されている。したがって、窃盗者あるいはユーザが故意にエンジン起動外部リレー50を取り外すことはできない構造となっている。エンジン起動リレー入出力48は、エンジン起動外部リレー50が起動不可状態にあるか起動可能状態にあるかを検出すると共に、エンジン起動リレー制御指令に基づいてエンジン起動外部リレー50を起動不可状態又は起動可能状態に切り替える制御を行う。
【0082】
電源入力検知部46と外部バッテリ51、IGN入力検知部47と走行状態識別線52、エンジン起動リレー入出力48とエンジン起動外部リレー50、GPS入出力部49とGPS54、内部リレー55とドアロックアクチュエータ制御回路56は、それぞれCAN等の車両LANを介することなく、それぞれ直接個別の配線で接続されている。これにより、CAN等の車両LANを用いることがないので、CAN等の車両LANによるセキュリティに対しては脆弱であるという問題が生じることはない。
【0083】
車載器1は内部バッテリ45の電力により駆動される。内部バッテリは常に車両2の外部バッテリ51の電力により充電されており、車載器1が抜去された場合、充電ラインが切断又は引抜された場合等の異常時であっても、所定の時間、車載器を駆動し続けることができ、このため、かかる異常の発生を現在地情報と共にサーバ10へ報知することができる。なお、直近の現在地情報その他の情報はメモリ43に格納されている。
【0084】
CPU41は、無線通信モジュール42、メモリ43、コンソール入出力44、内部バッテリ45、電源入力検知部46、IGN入力検知部47、エンジン起動リレー入出力48、GPS入出力部49、内部リレー55、ドアロック検出回路(図示省略)及び加速度センサ(図示省略)等に接続されている。車両情報検出手段としては、電源入力検知部46、IGN入力検知部47、GPS入出力部49、ドアロック検出回路及び加速度センサ等を備えている。エンジン起動リレー入出力48は、エンジン起動外部リレー50の状態を検出すると共に、エンジン起動外部リレー50を起動不可状態か起動可能状態かのいずれか一方に制御するものであり、エンジン起動外部リレー50の状態も車両情報として使用可能である。
【0085】
ドアロックアクチュエータ制御回路56は、ドアキースイッチ57、外部リレー58及びドアロックアクチュエータ59を含む回路である。ドアキースイッチ57は、メカキー、スマートキー等により操作され、ドアロックアクチュエータ59を制御することによりドアロックを施錠及び解錠を行うためのスイッチである。ドアロックアクチュエータ制御回路56には、ドアキースイッチ57の操作とは別に、内部リレー55の操作により外部リレー58及びドアロックアクチュエータ59を制御することによりドアロックの施錠及び解錠を行うことができる回路が備えられている。
【0086】
<車両情報の収集について>
車載器1は所定の周期、例えば30秒おきに、又は、車両動力のオン等の特定のイベント発生時に、あるいは、その両方で車両情報の収集を行い、サーバ10へその車両情報を送信する。この時の車両情報としては、電源入力検知部46で検出される外部バッテリ51からの電源入力の情報、IGN入力検知部47で検出される走行状態識別線(ACC線、IG線)の情報、例えばエンジンのオン、オフの状態を示す情報、エンジン起動リレー入出力48で検出されるエンジン起動外部リレー50の状態、GPS入出力部49で検出されるGPSからの位置情報、図示しない加速度センサから検出される加速度の情報、車速パルスの情報、燃料センサの情報、及び、車両情報を取得した時刻の情報の中の少なくとも1つを含んでいる。なお、GPSの位置情報から速度を演算することも可能である。サーバ10では、これらの車両情報を基づいて、車両の運行状況を把握する。
【0087】
<エンジン起動外部リレーの制御について>
車載器1がサーバ10からエンジン起動リレー制御指令を受信すると、その制御値をメモリ43に記憶し、その値に対応する状態になるようにエンジン起動外部リレー50を制御する。車両情報連動制御手段は、CPU41、メモリ43、IGN入力検知部47及びエンジン起動リレー入出力48を含み、エンジン起動外部リレー50を切り替える際に、車両の動力のオン、オフ切替タイミングを考慮して、エンジン起動リレー制御指令を採用する場合と、採用しない場合(エンジン起動リレー制御指令を無視する場合)とを判別する。内燃機関車両の場合には動力のオン、オフは、例えばIGN入力検知部47で検出される走行状態識別線(ACC線、IG線)52の情報、例えばエンジンのオン、オフの状態を示す情報により検出する。
【0088】
図3を参照して、エンジン起動外部リレー50をノーマルクローズ型として使用した場合と、エンジン起動外部リレー50をノーマルオープン型として使用した場合との違いを説明する。電源入力検知部46、IGN入力検知部47、エンジン起動リレー入出力48、及び、GPS入出力部49のいずれか少なくとも1つには、配線の切断又は引抜を検出する手段(図示省略)が設けられている。配線の切断又は引抜を検出する手段としては、例えば、配線の切断又は引抜に伴う配線の電圧変化を利用するという公知の手段を用いることができる。また、電源入力検知部46が外部バッテリ51からの電源入力を検知しない場合には、電源入力検知部46と外部バッテリ51との間の配線に切断又は引抜が生じたと判断することもできる。車載器の抜去についても、これらの配線の切断又は引抜に基づいて検出することができる。配線の切断又は引抜を検出した場合に、エンジン起動外部リレー50を起動不可状態(オープン)にするか、あるいは、起動可能状態(クローズ)にするかのどちらかに制御するように決めておく。
【0089】
また、配線の切断又は引抜を検出した場合には、エンジン起動外部リレー50を制御すると共に、無線通信モジュール42を介してサーバ10にその異常を報知する。サーバ10がその異常の報知を受信すると、サーバ10は速やかに管理者に報知を行う。管理者は、サーバ10からこの異常の報知があった場合には、ユーザに連絡を取って盗難の発生状況を確認した上で、必要に応じて警察に車両の盗難を通報する。一方、車載器1は、前記異常を報知すると共に、車載器1に搭載された警報器(図示省略)により警報音を鳴らす。また、車載器1に警報器を搭載する代わりに、車両の警笛、ヘッドランプ、ウインカー、ハザードランプ等を利用して警報を行うことができるように、これらの制御回路の入力端子に車載器1の警報出力の出力信号を入力するように配線することもできる。
【0090】
ここでは、異常の報知として、配線の切断又は引抜を検出した場合を例にして説明したが、車載器1にさらに故障検出手段を設け、当該故障検出手段が車載器1の故障を検出した場合に、無線通信モジュール42を介してサーバに対して車載器1の故障を報知するようにしてもよい。サーバ10が車載器1の故障の報知を受信すると、サーバ10はかかる故障の発生を管理者に通報し、かかる通報を受けた管理者は該当する車両のユーザに連絡をとって、車載器1を修理又は交換するように手配する。
【0091】
前述のように、管理者が車載器1を車両2から抜去する場合としては、(1)窃盗犯による盗難の場合、(2)ユーザによる車両の悪用の場合、及び、(3)未払いユーザによるやむを得ない緊急時の車両利用の場合、が想定されるところ、車載器1の車両2から抜去として、常に(1)及び(2)のような盗難や悪用の場合を想定する場合には、車両を起動不可状態にすることが望ましいので、エンジン起動外部リレー50としてノーマルオープン型を採用し、配線の切断又は引抜を検出した場合にもエンジン起動外部リレー50を起動不可状態(オープン)に制御するように予め決めておくとよい。一方、車載器1の車両2から抜去として、(3)のような緊急時の場合、例えば急病人の搬送を想定する場合には、このような場合に車両を使用することができるようにするため、車両を起動可能状態とすることが望ましいので、エンジン起動外部リレー50としてノーマルクローズ型を採用し、配線の切断又は引抜を検出した場合にもエンジン起動外部リレー50を起動可能状態(クローズ)に制御するように予め決めておくとよい。
【0092】
<省電力モードについて>
内燃機関車両のエンジンがオフの時には、エンジンがオフしてから所定の時間、例えば10分が経過した後には、外部バッテリ51の電力の消耗を防ぐために、車載器は省電力モードに移行し、電源管理のような最低限の機能以外を停止する。省電力モードでは、電源入力検知部46とIGN入力検知部47とエンジン起動リレー入出力48と計時回路(図示省略)は常に起動しているが、その他の回路は停止状態となっている。省電力モードの時には、車載器1はサーバ10とは通信を行っていない。省電力モードの時に、電源入力検知部46が電源入力の喪失を検出した場合、IGN入力検知部17がエンジンのオン状態(ACCオンやIGオン)を検出した場合、及び、計時回路が所定の時間を計時した場合(例えば、1時間おきに)には、省電力モードのときでも常に起動している対応する回路がCPUに割り込みをかけて車載器1を省電力モードから通常モードに切り替える。また、省電力モードの時にもエンジン起動リレー入出力には常に電力が供給されているため、エンジン起動外部リレー50の状態を常に保持することができる。
【0093】
<無線通信モジュールについて>
前述のように車載器1は通常モードにおいては所定の周期、例えば30秒おきに、又は、車両動力のオン等の特定のイベント発生時に、あるいは、その両方で車両情報の収集を行い、サーバ10へその車両情報を送信する。常に起動している対応する回路がCPUに割り込みをかけて車載器1を省電力モードから通常モードに切り替える際には、車載器1を起点としてサーバ10と通信を行い、エンジン起動リレー制御指令の受信や車両情報の送信を行う。通常モードにおいては、車載器1起点の通信に加え、サーバ10起点の通信が可能であり、車載器1はエンジン起動リレー制御指令等の情報を受信可能である。電波状況が悪い時には、通信を確立するまでに、複数回、例えば5回程度の通信を繰り返すことがある。後述のとおり、電波状況が悪く通信が確立できない場合には、車載器1は通信が可能な環境において通信により予めサーバ10から受信したエンジン起動リレー制御指令をメモリ43に記憶しているので、車載器1はスタンドアローンで動作することが可能である。また、車載器1は収集した車両情報をメモリ43に記憶しているので、通信回線が回復したときにそれらをまとめてサーバ10へ送信することができる。
【0094】
<エンジン起動リレーの監視制御について>
エンジン起動リレーの監視制御について説明する。起動不可状態・起動可能状態のリレー状態値に基づき、リレー状態が起動可能状態でなければならない状況、すなわち、初期状態又はサーバ10からの最後のリレー変更要求が起動可能状態への変更である場合には、エンジン起動外部リレー50の状態を定期的に監視し、この監視の結果、エンジン起動外部リレー50が起動可能状態以外のリレー状態になっている場合は起動可能状態に変更する。この監視制御により、本来起動可能状態であるときには、車載器のファームウェアの不具合によりメモリ43が本来の数値と異なる数値に書き換えられてしまった場合でも、常に車両が起動可能状態となるようにエンジン起動外部リレー50を制御することにより、意図せずに車両が起動不可状態になってしまい、正当な車両の利用を妨げてしまうことを防止できる。例えば、車載器のファームウェアの不具合によりメモリ43のリレー設定値が意図しない値に書き換えられてしまったような場合でも、リレー状態が起動可能状態でなければならない状況ときには、常に車両が起動可能状態となるようにエンジン起動外部リレー50を制御することにより、車両を起動可能状態に維持することができる。この監視制御は、定期的に行われ、例えば通常モードでは30秒毎、省電力モードでは1時間毎に行われる。
【0095】
<起動不可制御に切り替える制御について>
図4は、車載器1に対して起動状態予約制御指令として車両2を起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令がサーバ10から送られた場合の、
図2のA8「起動不可状態に切替」の制御フローを示す。この制御フローが車載器1で実行される例を説明する。
【0096】
B1で制御フローがスタートし、B2へ進む。B2では起動状態予約制御指令として、車両2を起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令を受信して、B3へ進む。B3では車両2を起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令をメモリ43に記憶して、B4へ進む。B4では車両2のGPS54からの位置情報を用いて、車両位置が予め車載器1に登録されている駐車位置であるかどうかを判定する。ここで、車載器1のメモリ43には、ユーザが通常利用する駐車位置情報が登録されている。この駐車位置情報の登録は、例えば、コンソール入出力44に接続されているコンソールによって、あるいは、ユーザ端末32からユーザ情報管理部14へ入力した登録駐車位置情報を車載器1のメモリ43に登録しておくことによって、行うことができる。この駐車位置情報としては、は少なくとも1箇所の駐車位置が登録されているが、1箇所に限らず、2箇所以上の駐車位置を登録しておくことも可能である。
【0097】
B4においてYesの場合には、B5へ進む。B5では、後述のようにエンジン連動制御の所定の条件を満たすか否かが判断される。B5でYesの場合には、B6へ進む。一方、B4でNoの場合、又は、B5でNoの場合には、メモリに記憶されている起動不可状態への切替指令を実行すべく、再び、B4の判断に戻る。B6では、エンジン起動外部リレー50をOFFに切り替える制御を行い、車両を起動可能状態から起動不可状態へ切り替え、B7へ進み、B7ではリターンとなる。
【0098】
次に、
図4のB5「エンジン連動制御の所定の条件を満たす」との判断について説明する。エンジン連動制御において、エンジンがオンになっている場合には、B5の判定でNoとなり、車両を起動可能状態から起動不可状態へ切り替える制御指令(エンジン起動リレー制御指令)が無視される。また、エンジン連動制御において、サーバ10からエンジン起動リレー制御指令を受信した際、過去X分(例えば2分)の間にエンジンがオンになっていた場合は、B5の判定でNoとなり、エンジン起動リレー制御指令を無視する。また、起動不可状態へのエンジン起動リレー制御指令を実行してからY秒(例えば5秒)の間にエンジンのオンを検出した場合には、エンジン起動リレーを起動可能状態に変更すると共に、B5の判定でNoとなる。一方、エンジン連動制御において、エンジンがオフになってから、X分を越えている場合には、B5の判定でYesとなり、B6へ進み、エンジン起動外部リレー50をOFFに切り替えることにより、車両2を起動不可状態に切り替える。
【0099】
このエンジン連動制御により、サーバ10からの指示により車両を起動不可状態に変更する際、車両の安全を考慮し、車両が危険な場所又は他人の迷惑になる場所におかれた状態で起動不可状態になってしまうことを防止できる。リレー変更禁止期間X分(例えば2分)を考慮することにより、車両の動力をオフにした後すぐに再度車両の動力をオンにするような場合にも、不用意に車両が起動不可状態に切り替えられてしまうことを防止することができる。また、エンジン状態再評価期間Y秒(例えば5秒)を考慮することにより、車両の動力がオンになった直後(Y秒以内)に車載器1が起動不可状態に対応するエンジン起動リレー制御指令を受け取った場合には、エンジン起動リレー制御指令を採用しない(エンジン起動リレー制御指令を無視する)ことにより、車両の動力がオン時に起動不可状態に切り替わるという不具合を防止することができる。なお、本実施例の車両2を起動不可状態に切り替える制御は、エンジン起動外部リレー50をOFFに切り替える制御に限定されるものではなく、例えばドアロックアクチュエータ制御回路56の外部リレー28を施錠側に切り替える制御等も含まれる。
【0100】
ここで、X分を例えば2分としたことの根拠を説明する。エンジン停止後10分程度で車載器1は省電力モードに切り替えられ、電力の消費を抑える。省電力モードの状態でユーザが車両に乗り込みエンジンを始動すべくキーをシリンダーに差し込み、イグニッションオン状態にすると、IGN入力検知部47は走行状態識別線(ACC線、IG線)52からエンジンがオン状態になったことを検出して、CPU41に対して割り込みをかけて、車載器1を通常モードに切り替える。車載器1が通常モードに切り替えられたことをサーバ10が認識するまでには、電波状況が良い時には1分程度、電波状況が悪く通信を5回程度繰り返す必要がある場合には1分30秒程度かかる。車両の動力がオフにされてからある程度の期間は起動不可状態への切り替えを指示するエンジン起動リレー制御指令を採用しない(無視する)ことにより、車両の動力をオフにした後すぐに再度車両の動力をオンにするような場合にも、不用意に車両が起動不可状態に切り替えられてしまうことを防止することができる。例えば、駐車場においてトランクや座席から荷物を積み下ろしするまでの間、車両を駐車スペースから少しずらした位置で一端停車させた状態で車両の動力をオフにし、荷物の積み下ろしの後、再び車両の動力をオンにして車両を駐車スペースに入れなおすような場合に、不用意に車両が起動不可状態に切り替えられてしまうことを防止することができる。逆にX分が長すぎる場合には、車両を起動不可状態に切り替えることができなくなってしまうケースが発生することから、過去2分間の間にエンジンがオンになっていた場合には、エンジン起動リレー制御指令を無視することとした。したがって、X分は、具体的なサーバ10の性能等に応じて、適宜決めることができる。
【0101】
次に、Y秒を例えば5秒としたことの根拠を説明する。車載器1は、車両の動力がオンの間にエンジン起動リレー制御指令を受け取った場合には、安全を考慮してエンジン起動リレー制御指令を受け付けない(エンジン起動リレー制御指令を無視する)。車両の動力がオンである間は、ユーザが車両で移動中であるため、例えば電波状況が悪いために車両を起動不可状態へ変更するエンジン起動リレー制御指令の受信が遅延されてしまった場合等、不用意に車両が起動不可状態となることを防止している。一方、車載器1が車両の起動を認識するまでには、実際に車両が起動をしてから3秒程度かかる。車両を起動した直後に、車載器1がエンジン起動リレー制御指令を受信した場合、車載器1は車が起動していないと判断し、エンジン起動リレー制御指令を採用してしまい、車両が起動しているにも関わらず車両が起動不可状態に切り替えられる状況が発生する。例えば、イグニッションスイッチがプッシュ式の場合、起動不可状態にする方法として、プッシュボタンを無効にする方法と、イモビライザーを発動(認証用の線をカット)する方法とがあるが、この中、プッシュボタンを無効にするものの場合、前記3秒間の間に起動不可状態に切り替えられるとエンジンを切れなくなってしまう不具合が生じる。一方、イモビライザーを発動する方法の場合、前記3秒間の間に起動不可状態に切り替えられると、プッシュボタンは効くので、エンジンをオフすることはできる状態であるが、ギアがドライブDには入らなくなるという不具合が生じる。以上のことから、Y秒として、3秒よりも余裕を持たせた5秒を採用した。したがって、Y秒は、具体的な車載器1の性能等に応じて、適宜決めることができる。
【0102】
ここで説明したB1〜B7の全ての制御フローを車載器1で実行する場合には、サーバ10における演算を簡略化することができ。すなわち、サーバ10では車両2の位置や状況を考慮する必要なく、いつでも車載器1に対して、起動状態予約制御指令として、車両を起動可能状態から起動不可状態へ切り替える制御指令を送信することができる。車載器1では、この制御指令をメモリ43に記憶し、車両2が安全な状態である場合、例えば、登録された駐車場に駐車され、エンジンがオフになってからX時間を越えている場合等には、車両を起動不可状態に切り替える。
【0103】
また、車両2が登録された駐車場が通信状態のよくない地域、地下駐車場等、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できない場所であった場合であっても、車両2がサーバ10と車載器1との間の通信が確立できる場所を走行中に、車載器1が起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え指令をサーバ10から受信していれば、登録された駐車場に安全に駐車した時(例えばB4及びB5でYESの判定となった時)に車両2は起動不可状態に切り替えられる。サーバ10は、車載器1との通信が確立できなかった場合には、サーバ10を起点とする通信を所定の間隔で、車載器1との通信が確立できるまで繰り返す。このため、車両2がサーバ10と車載器1との間の通信が確立できる場所を走行中に、サーバ10は確実に車載器1へ起動状態予約制御指令を送信することができる。これにより、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できない場所が駐車場として登録されていた場合であっても、車両2を起動可能状態から起動不可状態に切り替えることができる。なお、B4の判定及びB5の判定の順序は、入れ替えることができる。
【0104】
サーバ10から車載器1に送信された制御指令が、車両2を起動不可状態から起動可能状態へ切り替える制御指令であった場合には、車載器1は直ちに車両2を制御可能状態へ切り替える制御を行う。
図5は、サーバ10から車載器1に車両2を起動不可状態から起動可能状態へ切り替える制御指令が送信された場合の制御フローを示し、この制御フローは、
図2のA12「起動可能状態に切替」に対応する。
【0105】
図5の制御フローについて説明する。S1で制御フローがスタートし、S2に進む。S2では、車載器1が車両2を起動不可状態から起動可能状態に切り替える制御指令をサーバ10から受信し、S3へ進む。S3では、サーバ10から車載器1へ送信された車両2を起動不可状態から起動可能状態に切り替える制御指令をメモリ43に記憶し、S4へ進む。S4では、エンジン起動外部リレー50をONに切り替える制御を行い、S5へ進み、S5ではリターンとなる。このように、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できている場合には、車載器1が車両2を起動不可状態から起動可能状態に切り替える制御指令をサーバ10から受信すると、直ちに、エンジン起動外部リレー50をONに切り替える制御を行えることができる。なお、車両2を起動不可状態から起動可能状態へと切り替える制御指令にも、起動予約制御指令を含め、例えば、サーバ10と車載器1との通信が確立されていない状態においても、車両2が登録された駐車場に駐車していることを条件に、車両2を起動可能状態へと切り替える制御を実施することが可能である。
【0106】
次に、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できていない場合にも、車両2を起動不可状態から起動可能状態に切り替える方法として、変形例1及び変形例2について説明する。
【0107】
[変形例1]
図6を参照して、変形例1の係る車両遠隔制御システム、車載器ないし通信モジュール、車両、サーバ、車両遠隔制御方法、車両遠隔制御プログラム及び記憶媒体について説明する。
図6は、変形例1の係る車両遠隔制御システムの全体図である。
図1〜
図5と共通する構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0108】
図2のフロー図のA12における、一旦起動不可能状態に切り替えられた後に、再び、起動可能状態に切り替える際の制御について説明する。A9では、ユーザに対して料金未納のため車両が起動不可状態であることを報知すると共に、所定の期間を指定して所定の料金を支払うように促して、A10へ進む。A10では、支払状況監視部15は、金融システム16のAPI17を用いてユーザの支払状況をリアルタイムで監視して、A11では、当該車両のユーザから所定の期間内に利用料金の支払いがあったか否かを判断する。
【0109】
A11の判断でYesの場合(支払い有りの場合)には、A12に進み、サーバ10から車載器1に対して再び起動可能状態とするためのエンジン起動リレー制御指令が提供される。この際、本実施形態では、サーバ10から車載器1に対して再び起動可能状態とするためのエンジン起動リレー制御指令がユーザ端末32を介して提供される。すなわち、支払状況監視部15が、金融システム16のAPI17を用いてユーザの支払状況をリアルタイムで監視して、ユーザから所定の期間内に利用料金の支払いがあったことが検知されると、サーバ10のユーザ情報管理部14から対応するユーザのユーザ端末32に対して、車両を起動状態に切り替えるためのエンジン起動リレー制御指令情報が送信される。
【0110】
ユーザ端末32及び車載器1には、それぞれ特定の近距離無線通信の送受信装置が組み込まれている。この近距離無線通信としては、例えばBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、赤外線通信、RFID(Radio Frequency Identifier)、NFC(Near Field Communication)等が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の種類の近距離無線通信を含むものである。例えばNFCを用いた場合には、例えばaタイプ(廉価タイプ)、bタイプ(欧州のETCに採用されているタイプ)、fタイプ(FeliCa(登録商標))等の形式を採用することができる。ユーザがユーザ端末32を車載器1側のNFC端末にかざすことにより、ユーザ端末32から車載器1に対して、ユーザ端末32がサーバ10から受け取った車両2を起動可能状態にするエンジン起動リレー制御指令情報を送信することができる。これにより、車両2は再び起動可能状態に切り替えられる。なお、車両2のドアロックの施錠及び解錠も同様にして、ユーザ端末32を介して行うことができる。この場合には、サーバ10からユーザ端末32に対してドアロックキー情報が送信されており、ユーザ端末32を車載器1側のNFC端末にかざすことにより、ユーザ端末32から車載器1に対して、ユーザ端末32がサーバ10から受け取った車両2のドアロックキー情報を送信する。これにより、ユーザ端末32によって車両2のドアロックの施錠及び解錠を制御することができる。
【0111】
遠隔制御指示部12から無線通信ネットワーク30を介して車載器1に対して通信によりドアロックキー情報やエンジン起動リレー制御指令情報を送信する場合に比べ、ユーザ端末32にサーバ10から受信したドアロックキー情報やエンジン起動リレー制御指令情報を記憶しておく場合には、サーバ10とユーザ端末32との間の通信が確保されていれば、無線通信ネットワーク30の通信状況に依存することなく、通信状況が悪い状況でも、迅速にドアロックの施錠及び解錠や車両2を起動可能状態とすることができる。このため、車両の駐車位置等に依存することなく、迅速かつ確実に車両2を起動可能状態に切り替えることができる。また、車載器1がスリープモードの場合には、車両2を起動可能状態に切り替えるのに、長い場合では1時間程度の時間を要することがあるが、例えばユーザ端末32を車載器1のNFC端末にかざすことにより、車載器1に対して直接、車両起動指令を送信することができるため、車載器1がスリープモードの場合であっても速やかに車両2の起動状態を制御すること(例えば、車両2を起動可能状態に切り替えることや、車両2のドアロックキーを解錠すること)が可能となる。
【0112】
また、車載器1がユーザ端末32からドアロックキー情報やエンジン起動リレー制御指令を受信できるシステムにおいても、車載器1がサーバ10からドアロックキー情報やエンジン起動リレー制御指令を受信できるようにしておいてもよい。この場合、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できている状況であれば、ユーザがユーザ端末32を紛失した場合や自宅等に置き忘れた場合であっても、サーバ10に対して他の通信手段を用いてユーザの認証及び予約内容の確認が取れれば、サーバ10を介して、車載器1に対して施錠指令及び解錠指令を送信することにより、ドアロックの施錠及び解錠が可能となる。
【0113】
[変形例2]
図7を参照して、変形例1の係る車両遠隔制御システム、車載器ないし通信モジュール、車両、サーバ、車両遠隔制御方法、車両遠隔制御プログラム及び記憶媒体について説明する。
図7は、変形例2の係る車両遠隔制御システムの全体図である。
図1〜
図6と共通する構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。変形例1では、ユーザ端末32を介して車載器1に対して車両起動指令を送信していたが、変形例2では、カードライタ91により車両起動指令を書き込んだICカード90を用いて車載器1のカードリーダ92により車両起動指令を読み込む点で実施形態2と異なる。なお、
図7において、ユーザ端末32は必須の構成ではない。
【0114】
図2のフロー図のA12における、一旦起動不可能状態に切り替えられた後に、再び、起動可能状態に切り替える際の制御について説明する。A9では、ユーザに対して料金未納のため車両が起動不可状態であることを報知すると共に、所定の期間を指定して所定の料金を支払うように促して、A10へ進む。A10では、支払状況監視部15は、金融システム16のAPI17を用いてユーザの支払状況をリアルタイムで監視して、A11では、当該車両のユーザから所定の期間内に利用料金の支払いがあったか否かを判断する。
【0115】
A11の判断でYesの場合(支払い有りの場合)には、A12に進み、サーバ10から車載器1に対して再び起動可能状態とするためのエンジン起動リレー制御指令が提供される。この際、本実施形態では、サーバ10から車載器1に対して再び起動可能状態とするためのエンジン起動リレー制御指令がICカード90を介して提供される。
【0116】
支払状況監視部15が金融システム16のAPI17を用いてユーザの支払状況をリアルタイムで監視することにより、ユーザから所定の支払があったことをリアルライムで把握することができ、所定の支払があってからすぐにユーザ情報管理部14がカードライタ91によりICカード90に起動可能状態とするためのエンジン起動リレー制御指令情報の書き込みを行うことができる。車載器1にはカードリーダ92が設けられており、ユーザがICカード90をカードリーダ92にかざすことにより、起動可能状態とするためのエンジン起動リレー制御指令情報がICカード90から車載器1側に送信され、車載器1は車両2を再び起動可能状態へと切り替える。
【0117】
ICカードの形式としては、例えばRFIDやNFC等が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の種類のICカードを利用可能である。カードライタ91及びカードリーダ92には、ICカード90の形式に対応したものが用いられる。なお、例えばNFCを用いる場合には、上述のような各タイプ(aタイプ、bタイプ、fタイプ等)のものを採用することができる。
【0118】
遠隔制御指示部12から無線通信ネットワーク30を介して車載器1に対して通信によりドアロックキー情報やエンジン起動リレー制御指令情報を送信する場合に比べ、ICカード90にドアロックキー情報やエンジン起動リレー制御指令情報を書き込む場合には、無線通信ネットワーク30の通信状況に依存することなく、通信状況が悪い状況でも、迅速にドアロックの施錠及び解錠や車両2を起動可能状態とすることができる。また、車載器1がスリープモードの場合には、車両2を起動可能状態に切り替えるのに、長い場合では1時間程度の時間を要することがあるが、ICカード90をカードリーダ92にかざすことにより、車載器1に対して直接、車両起動指令を送信することができるため、車載器1がスリープモードの場合であっても速やかに車両2の起動状態を制御すること(例えば、車両2を起動可能状態に切り替えることや、車両2のドアロックキーを解錠すること)が可能となる。
【0119】
また、車載器1がICカードリーダ92を備え、ICカード90によりドアロックキー情報やエンジン起動リレー制御指令を入力できるシステムにおいても、ユーザ端末32から近距離無線手段により車載器1にドアロックキー情報やエンジン起動リレー制御指令を通信する手段、及び、サーバ10の遠隔制御指示部12を介してドアロックキー情報やエンジン起動リレー制御指令を車載器1に通信する手段を設けておくことができる。この場合、ユーザがICカード90を紛失した場合や自宅等に置き忘れた場合であっても、ユーザ端末32を用いて車載器1との間で通信することにより車両起動制御を行うことができる。さらに、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できている場合には、サーバ10に対して他の通信手段を用いてユーザの認証及び予約内容の確認が取れれば、サーバ10を介して、車載器1に対して施錠指令及び解錠指令を送信することにより、ドアロックの施錠、解錠、車両起動制御を行うことができる。このように複数の通信手段を備えることにより、ユーザの都合のよい手段によりドアロックの施錠・解錠、車両起動制御を行うことが可能となることにより、ユーザにとって利便性が高いシステムを提供することができる。
【0120】
[実施形態2]
図8を参照して、本発明の実施形態2の係る車両遠隔制御システム、車載器ないし通信モジュール、車両、サーバ、車両遠隔制御方法、車両遠隔制御プログラム及び記憶媒体について説明する。
図8は、車載器1に対して起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に、切り替え位置予約情報が、サーバから送られた場合の、
図2のA8「起動不可状態に切替」の制御フローを示し、
図1〜
図7と共通する構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。この制御フローが車載器1で実行される例を説明する。
【0121】
C1で制御フローがスタートし、C2へ進む。C2では起動状態予約制御指令として、起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に、切り替え位置予約情報を受信して、C3へ進む。C3では起動状態予約制御指令として、起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に、切り替え位置予約情報をメモリ43に記憶して、C4へ進む。C4では車両2のGPS54からの位置情報を用いて、車両位置が切り替え位置予約情報で指定された位置である否かを判断する。なお、切り替え位置予約情報として、実施形態1で説明した登録駐車位置情報として登録された位置を指定してもよく、例えば、登録駐車位置情報として複数の駐車位置が登録されている場合には、切り替え位置予約情報として、この複数の駐車位置の中から1つ、または、複数を指定することができる。
【0122】
C4においてYesの場合には、C5へ進む。C5では、実施形態1で説明したように、エンジン連動制御の所定の条件を満たすか否かが判断される。C5でYesの場合には、C6へ進む。一方、C4でNoの場合、又は、C5でNoの場合には、メモリに記憶されている切り替え位置予約情報に基づき起動不可状態への切替指令を実行すべく、再び、C4の判断に戻る。C6では、エンジン起動外部リレー50をOFFに切り替える制御を行い、切り替え位置予約情報で指定された位置において、車両2を起動可能状態から起動不可状態へ切り替え、C7へ進み、C7ではリターンとなる。なお、本実施例の車両2を起動不可状態に切り替える制御は、エンジン起動外部リレー50をOFFに切り替える制御に限定されるものではなく、例えばドアロックアクチュエータ制御回路56の外部リレー28を施錠側に切り替える制御等も含まれる。
【0123】
ここで説明したC1〜C7の全ての制御フローを車載器1で実行する場合には、サーバ10における演算を簡略化することができ。すなわち、サーバ10では車両2の位置や状況を考慮する必要なく、いつでも車載器1に対して、起動状態予約制御指令として、車両を起動可能状態から起動不可状態へ切り替える制御指令を送信することができる。車載器1では、この制御指令をメモリ43に記憶し、車両2が安全な状態である場合、例えば、登録された駐車場に駐車され、エンジンがオフになってからX時間を越えている場合等には、車両を起動不可状態に切り替える。
【0124】
また、車両2が登録された駐車場が通信状態のよくない地域、地下駐車場等、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できない場所であった場合であっても、車両2がサーバ10と車載器1との間の通信が確立できる場所を走行中に、車載器1が起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え指令をサーバ10から受信していれば、登録された駐車場に安全に駐車した時(例えばC4及びC5でYESの判定となった時)に車両2は起動不可状態に切り替えられる。サーバ10は、車載器1との通信が確立できなかった場合には、サーバ10を起点とする通信を所定の間隔で、車載器1との通信が確立できるまで繰り返す。このため、車両2がサーバ10と車載器1との間の通信が確立できる場所を走行中に、サーバ10は確実に車載器1へ起動状態予約制御指令を送信することができる。これにより、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できない場所が駐車場として登録されていた場合であっても、車両2を起動可能状態から起動不可状態に切り替えることができる。また、起動状態予約制御指令として、起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に切り替え位置予約情報が含まれている場合には、サーバ10から切り替え位置予約情報として指定した場所において、車両2を起動可能状態から起動不可状態へ切り替えることができる。なお、C4の判定及びC5の判定の順序は、入れ替えることができる。
【0125】
サーバ10から車載器1に送信された制御指令が、車両2を起動不可状態から起動可能状態へ切り替える制御指令であった場合には、車載器1は直ちに車両2を制御可能状態へ切り替える制御を行う。この時の制御フローは実施形態1の
図5の制御フローと同様である。また、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できていない場合にも、車両2を起動不可状態から起動可能状態に切り替える方法として、例えば実施形態1の変形例1及び変形例2を採用することができる。なお、車両2を起動不可状態から起動可能状態へと切り替える制御指令にも、起動予約制御指令として位置予約情報を含め、例えば、サーバ10と車載器1との通信が確立されていない状態においても、車両2が位置予約情報で設定された所定の駐車場に駐車していることを条件に、車両2を起動可能状態へと切り替える制御を実施することも可能である。
【0126】
[実施形態3]
図9を参照して、本発明の実施形態3の係る車両遠隔制御システム、車載器ないし通信モジュール、車両、サーバ、車両遠隔制御方法、車両遠隔制御プログラム及び記憶媒体について説明する。
図9は、車載器1に対して起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に、切り替え時間予約情報が、サーバ10から送られた場合の、
図2のA8「起動不可状態に切替」の制御フローを示す。
図1〜
図8と共通する構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。この制御フローが車載器1で実行される例を説明する。
【0127】
D1で制御フローがスタートし、D2へ進む。D2では起動状態予約制御指令として、起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令、と共に、切り替え時間予約情報を受信して、D3へ進む。D3では起動状態予約制御指令として、起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に、切り替え時間予約情報をメモリ43に記憶して、D4へ進む。D4では現在時刻、例えば車両2のGPS54からの時刻情報(例えばGPS入出力部49から入力したGPS54からの時刻情報)とメモリ43に記憶された切り替え時間予約情報とを比較して、現在時刻が、車両2を起動可能状態から起動不可状態へ切り替える時間予約情報で指定された時間に至ったか否かを判定する。なお、切り替え時間予約情報は、時刻に限定されるものではなく、例えば、所定の車両情報に基づく経過時間であってもよい。また、車載器1の計時手段として、GPS54の現在時刻を例示したが、これに限定されるものではなく、車載器1が備えている適宜のタイマー手段等、いかなる計時手段であってもよい。
【0128】
D4の判定でYESの時は、D5へ進む。D5では車両2のGPS54からの位置情報を用いて、車両位置が予め車載器1に登録されている駐車位置であるかどうかを判定する。ここで、車載器1のメモリ43には、ユーザが通常利用する駐車位置情報が登録されている。この駐車位置情報の登録は、例えば、コンソール入出力44に接続されているコンソールによって、あるいは、ユーザ端末32からユーザ情報管理部14へ入力した登録駐車位置情報を車載器1のメモリ43に登録しておくことによって、行うことができる。この駐車位置情報としては、は少なくとも1箇所の駐車位置が登録されているが、1箇所に限らず、2箇所以上の駐車位置を登録しておくことも可能である。
【0129】
D5においてYesの場合には、D6へ進む。D6では、実施形態1で説明したように、エンジン連動制御の所定の条件を満たすか否かが判断される。D6でYesの場合には、D7へ進む。一方、D4でNoの場合、D5でNoの場合、又は、D6でNoの場合には、メモリ43に記憶されている切り替え時間予約情報に基づき起動不可状態への切替指令を実行すべく、再び、D4の判断に戻る。D7では、エンジン起動外部リレー50をOFFに切り替える制御を行い、切り替え時間予約情報で指定された時間が経過した後に、車両2を起動可能状態から起動不可状態へ切り替え、D8へ進み、D8ではリターンとなる。なお、本実施例の車両2を起動不可状態に切り替える制御は、エンジン起動外部リレー50をOFFに切り替える制御に限定されるものではなく、例えばドアロックアクチュエータ制御回路56の外部リレー28を施錠側に切り替える制御等も含まれる。
【0130】
ここで説明したD1〜D8の全ての制御フローを車載器1で実行する場合には、サーバ10における演算を簡略化することができ。すなわち、サーバ10では車両2の位置や状況を考慮する必要なく、いつでも車載器1に対して、起動状態予約制御指令として、車両を起動可能状態から起動不可状態へ切り替える制御指令を送信することができる。車載器1では、この制御指令をメモリ43に記憶し、車両2が安全な状態である場合、例えば、登録された駐車場に駐車され、エンジンがオフになってからX時間を越えている場合等には、車両を起動不可状態に切り替える。
【0131】
また、車両2が登録された駐車場が、例えば通信状態のよくない地域、地下駐車場等、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できない場所であった場合であっても、車両2がサーバ10と車載器1との間の通信が確立できる場所を走行中に、車載器1が起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え指令をサーバ10から受信していれば、指定された時間が経過し、登録された駐車場に安全に駐車した時(例えばD4、D5及びD6でYESの判定となった時)に車両2は起動不可状態に切り替えられる。サーバ10は、車載器1との通信が確立できなかった場合には、サーバ10を起点とする通信を所定の間隔で、車載器1との通信が確立できるまで繰り返す。このため、車両2がサーバ10と車載器1との間の通信が確立できる場所を走行中に、サーバ10は確実に車載器1へ起動状態予約制御指令を送信することができる。これにより、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できない場所が駐車場として登録されていた場合であっても、車両2を起動可能状態から起動不可状態に切り替えることができる。また、起動状態予約制御指令として、起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に切り替え時間予約情報が含まれている場合には、サーバ10から切り替え時間予約情報として指定した時間が経過したときに、登録した駐車場において、車両2を起動可能状態から起動不可状態へ切り替えることができる。なお、D4の判定、D5の判定及びD6の判定の順序は、任意に入れ替えることができる。
【0132】
サーバ10から車載器1に送信された制御指令が、車両2を起動不可状態から起動可能状態へ切り替える制御指令であった場合には、車載器1は直ちに車両2を制御可能状態へ切り替える制御を行う。この時の制御フローは実施形態1の
図5の制御フローと同様である。また、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できていない場合にも、車両2を起動不可状態から起動可能状態に切り替える方法として、例えば実施形態1の変形例1及び変形例2を採用することができる。なお、車両2を起動不可状態から起動可能状態へと切り替える制御指令にも、起動予約制御指令として時間予約情報を含め、例えば、サーバ10と車載器1との通信が確立されていない状態においても、車両2が時間予約情報で設定された時間を経過していることを条件に、車両2を起動可能状態へと切り替える制御を実施することも可能である。
【0133】
[実施形態4]
図10を参照して、本発明の実施形態4の係る車両遠隔制御システム、車載器ないし通信モジュール、車両、サーバ、車両遠隔制御方法、車両遠隔制御プログラム及び記憶媒体について説明する。
図10は、車載器1に対して起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に、切り替え時間予約情報及び切り替え位置予約情報が、サーバから送られた場合の、
図2のA8「起動不可状態に切替」の制御フローを示す。
図1〜
図9と共通する構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。この制御フローが車載器1で実行される例を説明する。
【0134】
E1で制御フローがスタートし、E2へ進む。E2では起動状態予約制御指令として、起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令、と共に、切り替え時間予約情報及び切り替え位置予約情報を受信して、E3へ進む。E3では起動状態予約制御指令として、起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に、切り替え時間予約情報及び切り替え位置予約情報をメモリ43に記憶して、E4へ進む。E4では現在時刻、例えば車両2のGPS54からの時刻情報(例えばGPS入出力部49から入力したGPS54からの時刻情報)とメモリ43に記憶された切り替え時間予約情報とを比較して、現在時刻が、車両2を起動可能状態から起動不可状態へ切り替える時間予約情報で指定された時間に至ったか否かを判定する。なお、切り替え時間予約情報は、時刻に限定されるものではなく、例えば、所定の車両情報に基づく経過時間であってもよい。また、車載器1の計時手段として、GPS54の現在時刻を例示したが、これに限定されるものではなく、車載器1が備えている適宜のタイマー手段等、いかなる計時手段であってもよい。
【0135】
E4の判定でYESの時は、E5へ進む。E5では車両2のGPS54からの位置情報を用いて、車両位置が切り替え位置予約情報で指定された位置である否かを判断する。なお、切り替え位置予約情報として、実施形態1で説明した登録駐車位置情報として登録された位置を指定してもよく、例えば、登録駐車位置情報として複数の駐車位置が登録されている場合には、切り替え位置予約情報として、この複数の駐車位置の中から1つ、または、複数を指定することができる。
【0136】
E5においてYesの場合には、E6へ進む。E6では、実施形態1で説明したように、エンジン連動制御の所定の条件を満たすか否かが判断される。E6でYesの場合には、E7へ進む。一方、E4でNoの場合、E5でNoの場合、又は、E6でNoの場合には、メモリ43に記憶されている切り替え時間予約情報及び切り替え位置予約情報に基づき起動不可状態への切替指令を実行すべく、再び、E4の判断に戻る。E7では、エンジン起動外部リレー50をOFFに切り替える制御を行い、切り替え時間予約情報で指定された時間が経過した後で、かつ、切り替え位置予約情報で指定された位置において、車両2を起動可能状態から起動不可状態へ切り替え、E8へ進み、E8ではリターンとなる。なお、本実施例の車両2を起動不可状態に切り替える制御は、エンジン起動外部リレー50をOFFに切り替える制御に限定されるものではなく、例えばドアロックアクチュエータ制御回路56の外部リレー28を施錠側に切り替える制御等も含まれる。
【0137】
ここで説明したE1〜E8の全ての制御フローを車載器1で実行する場合には、サーバ10における演算を簡略化することができ。すなわち、サーバ10では車両2の位置や状況を考慮する必要なく、いつでも車載器1に対して、起動状態予約制御指令として、車両を起動可能状態から起動不可状態へ切り替える制御指令を送信することができる。車載器1では、この制御指令をメモリ43に記憶し、車両2が安全な状態である場合、例えば、切り替え時間予約情報で指定された時間が経過し、かつ、切り替え位置予約情報で指定された位置に駐車され、エンジンがオフになってからX時間を越えている場合等には、車両を起動不可状態に切り替える。
【0138】
また、車両2が登録された駐車場が、例えば通信状態のよくない地域、地下駐車場等、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できない場所であった場合であっても、車両2がサーバ10と車載器1との間の通信が確立できる場所を走行中に、車載器1が起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え指令をサーバ10から受信していれば、指定された時間が経過し、指定された位置で、安全に駐車した時(例えばE4、E5及びE6でYESの判定となった時)に車両2は起動不可状態に切り替えられる。サーバ10は、車載器1との通信が確立できなかった場合には、サーバ10を起点とする通信を所定の間隔で、車載器1との通信が確立できるまで繰り返す。このため、車両2がサーバ10と車載器1との間の通信が確立できる場所を走行中に、サーバ10は確実に車載器1へ起動状態予約制御指令を送信することができる。これにより、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できない場所が駐車場として登録されていた場合であっても、車両2を起動可能状態から起動不可状態に切り替えることができる。また、起動状態予約制御指令として、起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に切り替え時間予約情報及び切り替え位置予約情報が含まれている場合には、サーバ10から切り替え時間予約情報として指定した時間が経過したときであって、かつ、切り替え位置予約情報として指定した位置において、車両2を起動可能状態から起動不可状態へ切り替えることができる。なお、E4の判定、E5の判定及びE6の判定の順序は、任意に入れ替えることができる。
【0139】
サーバ10から車載器1に送信された制御指令が、車両2を起動不可状態から起動可能状態へ切り替える制御指令であった場合には、車載器1は直ちに車両2を制御可能状態へ切り替える制御を行う。この時の制御フローは実施形態1の
図5の制御フローと同様である。また、サーバ10と車載器1との間の通信が確立できていない場合にも、車両2を起動不可状態から起動可能状態に切り替える方法として、例えば実施形態1の変形例1及び変形例2を採用することができる。なお、車両2を起動不可状態から起動可能状態へと切り替える制御指令にも、起動予約制御指令として時間予約情報及び位置予約情報を含め、例えば、サーバ10と車載器1との通信が確立されていない状態においても、車両2が時間予約情報で設定された時間を経過しており、かつ、車両2が位置予約情報で設定された所定の駐車場に駐車していることを条件に、車両2を起動可能状態へと切り替える制御を実施することも可能である。
【0140】
[実施形態5]
図11及び
図12を参照して、本発明の実施形態5の係る車両遠隔制御システム、車載器ないし通信モジュール、車両、サーバ、車両遠隔制御方法、車両遠隔制御プログラム及び記憶媒体について説明する。
図11は、実施形態5に係る車両遠隔制御システムの全体図である。
図1〜
図10と共通する構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
図11では、車両2側に車載器1に替えてデータ通信モジュール(Data Communication Module、以下「DCM」という。)を用いている点、及び、このDCM21と車両の各ECU23、カーナビゲーションシステム24との結線等の点で、実施形態1〜4と相違している。
【0141】
図11に示されているように、実施形態5の車両遠隔制御システムは、サーバ10及び車両2に設けられている通信モジュールとしてのDCM21を含んでいる。車両2には、DCM21、車載LAN(Local Area Network)22、ECU(Electronic Control Unit)23、及び、カーナビゲーションシステム24等が設けられている。また、サーバ10と車両2のDCM21との間は実施形態1と同様に無線通信ネットワーク30によって接続されている。
【0142】
DCM21は、1台の車両2に1個、純正品として装備されている。ここでは、DCM21を純正品であるとして説明したが、これに限定されるものでは無く、例えば後付けのDCM21を車両2に設置することも可能である。また、通信モジュールの一例としてDCM21を用いる場合を説明するが、これに限定されるものではなく、サーバ10との間で通信可能な他の通信モジュールを用いることも可能であり、例えば、V2X通信(車車間通信および路車間通信)や、他の専用回線を用いた通信用の通信モジュールも含まれる。無線通信ネットワーク30としては任意のものでよく、例えば2G、3G、4G、5G、Wi−Fi(登録商標)、WiMAX(登録商標)、無線LAN、ビーコン、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、V2X、その他の専用回線等が挙げられる。
【0143】
DCM21は、車載LAN22を介してECU23及びカーナビゲーションシステム24等と接続されており、車両情報を収集することができる。なお、例えばカーナビゲーションシステム24を車両2に後付けするような場合には、例えば、カーナビゲーションシステム24をDCM21に直接接続することもできる。DCM21は、車両2の車両情報を無線通信ネットワーク30を介してサーバ10に送信すると共に、サーバ10から無線通信ネットワーク30を介して起動状態制御指令を受信して、ECU23に対して制御指令を送ることにより、車両2の動力の起動状態を、起動可能状態と起動不可状態とに切り替える。内燃機関自動車の場合、例えばDCM21は起動状態制御指令に応じてエンジンECU23に制御指令を送ることにより、起動状態を起動不可状態と起動可能可能状態とに切り替えることができる。起動不可状態ではエンジンを始動することができず(起動中のエンジンを切るものではなく、エンジンの再始動を禁じるものである。)、起動可能状態ではエンジンを始動することができる。
【0144】
車両には数十台のECU23が設けられており、これらのECU23は車載LAN22を介してDCM21に接続されている。ECU23としては、例えば、エンジンECU、ADAS(advanced driver assistance system)ECU、ドアロックECU、ブレーキECU、ステアリングECU、AT(automatic transmission)ECU、エアコンECU、イモビライザーECU、照明ECU、エアバッグECU等が含まれる。各ECUは、各種センサを備えており、例えば、ドアの開閉やロック、着座センサ、人感センサ(あるいは赤外線センサ)、車内カメラ、室外カメラ(カメラセンサ)、車線検知センサ、自動運転ないし運転支援用センサ、サイドブレーキセンサ、ギヤ位置センサ、GPS(カーナビゲーションシステム24が搭載されている場合には、カーナビゲーションシステム24に内蔵されたGPSを利用可能)、GeoFense、Gセンサ、車速センサ、タコメータ、ステアリングセンサ、ブレーキセンサ、アクセルセンサ、各種操作スイッチセンサ等の情報を収集し、DCM21に車載LAN22を介してこれらの情報を送信することができる。DCM21は、これらの車両情報を把握すると共に、サーバ10の車両情報収集部11にこれらの情報を送信することにより、サーバ10は各種車両情報を収取することができる。
【0145】
DCM21は、リアルタイムで、あるいは、特定のイベント発生時に、あるいは、定期的に、各種センサの情報をECU23から収集する。DCM21から車両情報収集部11へデータを送信するタイミングについては、リアルタイムとすることもできるし、特定のイベント発生時とすることもできるし、定期的であってもよいし、また、これらの組み合わせとすることが可能である。
【0146】
実施形態1〜4と同様に、本実施形態のDCM21は、カーリース、カーレンタル又はカーシェア等において、車両2の起動不可状態と起動可能状態とを切り替えることができる。サーバ10の遠隔制御指示部12は、送受信部13及び無線通信ネットワーク30を介してDCM21に起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に、切り替え時間予約情報及び切り替え位置予約情報を送信する。DCM21は、サーバ10から受信した起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令、切り替え時間予約情報及び切り替え位置予約情報に基づき、車両2が所定の条件の場合に、車両2を起動可能状態から起動不可状態へと切り替える制御(例えば各ECUを介してエンジン起動外部リレーをOFFにする制御、各ECUを介してドアロックアクチュエータ制御回路56の外部リレー58による施錠制御等)を行うことができる。
【0147】
DCM21が起動状態制御指令に基づいて車両2を起動可能状態から起動不可状態へと切り替えるための条件は、車両2の実施形態1で説明したエンジン連動制御の所定の条件に加えて、少なくとも(a)、(b)又は(C)のいずれか1つの条件を満たすことであり、(a)、(b)、(c)の条件はそれぞれ、
(a)車載ネットワーク22を介して収集された車両2の車載センサからの車両情報に基づく判定である、
(a−1)車両2のドアがロックされていること、
(a−2)車両2に人が乗車していないこと、
(a−3)車両2のサイドブレーキがパーキング位置にあること、
(a−4)車両2の車内カメラによって人が検知されていないこと、
(a−5)車両2の人感センサによって人が検知されていないこと、又は、
(a−6)車両2の車載センサにより所定の車線が検知されていないこと、
等の少なくとも1つであり、
(b)車両2のGPS54(あるいはカーナビゲーションシステム24に搭載のGPS)からの位置情報に基づく判定である、
(b−2)車両2の位置情報により車両2が地図上で公道に停止していないこと、
(b−2)車両2の位置情報により車両2が地図上で所定の駐車場に停止していること、又は、
(b−3)GeoFenseにより車両2が所定の駐車場に停止していること
等の少なくとも1つであり、
(c)車両2の時間予約情報に基づく判定である、
(c−1)車両を起動不可状態へ切り替える時刻が経過したこと、又は、
(c−2)車両を起動不可状態へ切り替える車両情報に基づく時間が経過したこと、
等の少なくとも1つである。
【0148】
上記(a)の条件は、車両情報に基づき、DCM21によりから判断することができる。上記(b)の条件は、切り替え位置予約情報によりサーバ10から指定することができる。また、上記(c)の条件は、切り替え時間予約情報によりサーバ10から指定することができる。また、本実施例においても、実施形態1の
図2の制御フローを採用することができる。
【0149】
図12は、DCM21に対して起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に、切り替え時間予約情報及び切り替え位置予約情報が、サーバ10から送られた場合の、
図2のA8「起動不可状態に切替」の制御フローを示す。
図1〜
図11と共通する構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。この制御フローがDCM21で実行される例を説明する。
【0150】
F1で制御フローがスタートし、F2へ進む。F2では起動状態予約制御指令として、起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令、と共に、切り替え時間予約情報及び切り替え位置予約情報を受信して、F3へ進む。F3では起動状態予約制御指令として、起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に、切り替え時間予約情報及び切り替え位置予約情報をDCM21のメモリに記憶して、F4へ進む。F4では現在時刻、例えば車両2のカーナビゲーションシステム24のGPSからの時刻情報とDCM21のメモリに記憶された切り替え時間予約情報とを比較して、現在時刻が、車両2を起動可能状態から起動不可状態へ切り替える時間予約情報で指定された時間に至ったか否かを判定する。なお、切り替え時間予約情報は、時刻に限定されるものではなく、例えば、所定の車両情報に基づく経過時間であってもよい。すなわち、F4の判定は、
(c)車両2の時間予約情報に基づく判定である、
(c−1)車両を起動不可状態へ切り替える時刻が経過したこと、又は、
(c−2)車両を起動不可状態へ切り替える車両情報に基づく時間が経過したこと、
等の少なくとも1つである。また、車載器1の計時手段として、車両2のカーナビゲーションシステム24のGPSの現在時刻を例示したが、これに限定されるものではなく、DCM21が備えている適宜のタイマー手段等、いかなる計時手段であってもよい。
【0151】
F4の判定でYESの時は、F5へ進む。F5では車両2のカーナビゲーションシステム24のGPSからの位置情報を用いて、車両位置が切り替え位置予約情報で指定された位置である否かを判断する。F5における判定は、
(b)車両2のGPS54(あるいはカーナビゲーションシステム24に搭載のGPS)からの位置情報に基づく判定である、
(b−2)車両2の位置情報により車両2が地図上で公道に停止していないこと、
(b−2)車両2の位置情報により車両2が地図上で所定の駐車場に停止していること、又は、
(b−3)GeoFenseにより車両2が所定の駐車場に停止していること
等の少なくとも1つである。なお、切り替え位置予約情報として、実施形態1で説明した登録駐車位置情報として登録された位置を指定してもよく、例えば、登録駐車位置情報として複数の駐車位置が登録されている場合には、切り替え位置予約情報として、この複数の駐車位置の中から1つ、または、複数を指定することができる。
【0152】
F5においてYesの場合には、F6へ進む。F6では、DCM21が各ECU23から収集した車両情報に利用して、車両2が駐車状態にあるか否かを判断する。F5の判断は、
(a−1)車両2のドアがロックされていること、
(a−2)車両2に人が乗車していないこと、
(a−3)車両2のサイドブレーキがパーキング位置にあること、
(a−4)車両2の車内カメラによって人が検知されていないこと、
(a−5)車両2の人感センサによって人が検知されていないこと、又は、
(a−6)車両2の車載センサにより所定の車線が検知されていないこと、
等の少なくとも1つである。ここで、車両2のECU21には、ドアロックセンサ、着座センサ、車内カメラ、人感センサ、車載カメラ(車線検知用等)、シフトギヤーセンサ(あるいはシフトギヤーレバー位置センサ)、パーキングブレーキセンサ(あるいはパーキングブレーキレバー位置センサ)等のセンサが接続されている。
【0153】
F6においてYesの場合には、F7へ進む。F7では、実施形態1で説明したように、エンジン連動制御の所定の条件を満たすか否かが判断される。F7でYesの場合には、F8へ進む。一方、F4でNoの場合、F5でNoの場合、F6でNoの場合又はF7でNoの場合には、DCM21のメモリに記憶されている切り替え時間予約情報及び切り替え位置予約情報に基づき起動不可状態への切替指令を実行すべく、再び、F4の判断に戻る。F8では、車両2を起動可能状態から起動不可状態へと切り替える制御(例えば各ECUを介してエンジン起動外部リレーをOFFにする制御、各ECUを介してドアロックアクチュエータ制御回路56の外部リレー58による施錠制御等)を行い、切り替え時間予約情報で指定された時間が経過した後で、かつ、切り替え位置予約情報で指定された位置において、車両2を起動可能状態から起動不可状態へ切り替え、F9へ進み、F9ではリターンとなる。
【0154】
ここで説明したF1〜F9の全ての制御フローをDCM21で実行する場合には、サーバ10における演算を簡略化することができ。すなわち、サーバ10では車両2の位置や状況を考慮する必要なく、いつでもDCM21に対して、起動状態予約制御指令として、車両を起動可能状態から起動不可状態へ切り替える制御指令を送信することができる。DCM21では、この制御指令をDCM21のメモリに記憶し、車両2が安全な状態である場合、例えば、切り替え時間予約情報で指定された時間が経過し、かつ、切り替え位置予約情報で指定された位置に駐車され、車両2が駐車状態であり、エンジンがオフになってからX時間を越えている場合等には、車両を起動不可状態に切り替える。
【0155】
また、車両2が登録された駐車場が、例えば通信状態のよくない地域、地下駐車場等、サーバ10とDCM21との間の通信が確立できない場所であった場合であっても、車両2がサーバ10とDCM21との間の通信が確立できる場所を走行中に、DCM21が起動状態予約制御指令として起動可能状態から起動不可状態への切り替え指令をサーバ10から受信していれば、指定された時間が経過し、指定された位置で、安全に駐車した時(例えばF4、F5、F6及びF7でYESの判定となった時)に車両2は起動不可状態に切り替えられる。サーバ10は、DCM21との通信が確立できなかった場合には、サーバ10を起点とする通信を所定の間隔で、車載器1との通信が確立できるまで繰り返す。このため、車両2がサーバ10とDCM21との間の通信が確立できる場所を走行中に、サーバ10は確実にDCM21へ起動状態予約制御指令を送信することができる。これにより、サーバ10とDCM21との間の通信が確立できない場所が駐車場として登録されていた場合であっても、車両2を起動可能状態から起動不可状態に切り替えることができる。また、起動状態予約制御指令として、起動可能状態から起動不可状態への切り替え制御指令と共に切り替え時間予約情報及び切り替え位置予約情報が含まれている場合には、サーバ10から切り替え時間予約情報として指定した時間が経過したときであって、かつ、切り替え位置予約情報として指定した位置において、車両が駐車状態で、エンジン連動制御の条件を満たす場合に、車両2を起動可能状態から起動不可状態へ切り替えることができる。なお、F4の判定、F5の判定、F6の判定及びE7の判定の順序は、任意に入れ替えることができる。また、F4の判定、F5の判定又はF6の判定の少なくとも1つは、省略することができる。F4を省略した場合には時間予約情報も省略でき、F5を省略した場合には位置予約情報も省略できる。F5の判定に替えて、実施形態1のB4と同様な判定とすることもできる。
【0156】
サーバ10からDCM21に送信された制御指令が、車両2を起動不可状態から起動可能状態へ切り替える制御指令であった場合には、DCM21は直ちに車両2を制御可能状態へ切り替える制御を行う。この時の制御フローは実施形態1の
図5の制御フローと同様である。また、サーバ10とDCM21との間の通信が確立できていない場合にも、車両2を起動不可状態から起動可能状態に切り替える方法として、例えば実施形態1の変形例1及び変形例2と同様な構成を採用することができる。例えば本実施例に実施形態1の変形例1を採用する場合には、実施形態1の変形例1と同様に、DCM21及びユーザ端末32に、それぞれ特定の近距離無線通信の送受信装置が組み込むようにするとよい。また、例えば本実施例に実施形態1の変形例2を採用する場合には、実施形態1の変形例2と同様に、カードライタ91により車両起動指令を書き込んだICカード90を用いてDCM21のカードリーダ92により車両起動指令を読み込むようにするとよい。なお、車両2を起動不可状態から起動可能状態へと切り替える制御指令にも、起動予約制御指令として時間予約情報及び位置予約情報を含め、例えば、サーバ10とDCM21との通信が確立されていない状態においても、車両2が時間予約情報で設定された時間を経過しており、かつ、車両2が位置予約情報で設定された所定の駐車場に駐車していることを条件に、車両2を起動可能状態へと切り替える制御を実施することも可能である。
【0157】
以上に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するための車両遠隔制御システム、車載器ないし通信モジュール、車両、サーバ、車両遠隔制御方法、車両遠隔制御プログラム及び記憶媒体を例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、各実施形態ないし各変形例に変更を加えることや各実施形態ないし各変形例の全部または一部を互いに組み合わせることも可能であり、その他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
車両の起動状態を管理するサーバと、前記サーバから提供される車両の起動状態を制御する制御指令に基づき前記車両の起動状態を制御する車載器ないし通信モジュールと、を含む車両起動制御システムであって、前記制御指令は、少なくとも、車両の起動不可状態と起動可能状態とを切り替える起動状態予約制御指令を含み、前記車載器ないし通信モジュールは、前記サーバから前記制御指令が提供されると、車両情報検出手段により検出された車両情報に基づいて、前記起動状態予約制御指令に関する所定の条件を満たした場合に、車両の起動状態を切り替えることを特徴とする。