【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、二重ヘッドかつ両面の高効率撹拌摩擦溶接装置を提供することであり、
それは、ベースと、前記ベースに設けられた1対の支柱と、前記支柱の上端に接続された
上部ビームと、前記上部ビーム上に上部ヘッドが設けられ、支柱の下端の間に接続された
下部ビームと、を含み、前記下部ビーム上に前記上部ヘッドと上下に対応する下部ヘッド
が設けられ、このうち、支柱、上部ビームおよび下部ビームは全体構造のガントリーを形
成し、上部ヘッドと下部ヘッドは駆動装置および伝達機構によって、X軸、Y軸およびZ
軸に沿って移動することができ、かつZ軸に沿って回転することができ、X軸およびY軸
での上部ヘッドと下部ヘッドの移動は、リニアモータまたはモータによってラックアンド
ピニオン機構を駆動して、スクリューガイドまたはラックアンドピニオンガイドを伝達さ
せる方式を採用することができ、Z軸での上部ヘッドおよび下部ヘッドの移動はサーボ電
動シリンダ、油圧、スクリュー、ラックアンドピニオンなどの伝達方式を採用することが
でき、Z軸での上部ヘッドおよび下部ヘッドの回転は電動スピンドルまたは機械式スピン
ドルにモータを追加する方式を採用することができ、モータはサーボモータと非同期モー
タに分けられる。また、上部ヘッドと下部ヘッドにプロセス角度の自動調整機能を持ち、
回転角度を調整することができる。そして、ベースの水平面に取り付けられた少なくとも
1つの作業台と、前記作業台が上部ヘッドと下部ヘッドの間に配置され、かつ作業台と前
記ガントリーは溶接を達成するために相対的に移動可能であり、上部ヘッドと下部ヘッド
に取り付けられて溶接部をナビゲートおよび識別するための視覚センサと、ガントリー、
上部ヘッド、下部ヘッド、作業台および視覚センサの動作を制御するためのCNCコント
ローラと、を含む。
【0007】
さらに、前記ベースの内側にトラックスロットIが設けられ、前記作業台はリニアモータ
またはモータによってラックアンドピニオン機構を駆動して、前記トラックスロットIに
沿って水平に往復移動させ、固定されたガントリーと相対移動を形成することができる。
【0008】
さらに、前記ベースの上面にトラックスロットIIが設けられ、前記作業台はリニアモータ
またはモータによってラックアンドピニオン機構を駆動して、前記トラックスロットIIに
沿って水平に往復移動させ、固定されたガントリーと相対移動を形成することができる。
【0009】
さらに、前記作業台は複数組の被溶接部品を一括して装填するための固定板および可動板
(クランプ)、および固定するためのロック機構を含み、固定板と可動板(クランプ)に
相対的に設けられた複数の帯状溝によって被溶接部品の複数本の溶接部を順次完成し、同
時に複数の部品が小さなバッチ単位で溶接され、複数回のクランプと取り外しの時間が短
縮され、装置の作業効率が大幅に向上することができる。
【0010】
さらに、前記上部ヘッドおよび下部ヘッドの摩擦撹拌ヘッドの末端に、上下の摩擦撹拌ヘ
ッドが接触したときの磨耗率を低減するために耐摩耗性ガスケットが設けられ、前記摩擦
撹拌ヘッドにはさらに雄ねじが設けられ、前記雄ねじに耐摩耗性コーティングが塗布され
、雄ねじの配置は撹拌時に金属が流れやすいだけでなく、孔が開いにくく、溶接部もより
美しく、さらに、2つの摩擦撹拌ヘッドの接触面積を減らすことができ、同時に耐摩耗性
コーティングが塗布され、摩耗率を低減させる。
【0011】
さらに、前記耐摩耗性ガスケットおよび耐摩耗性コーティングの原料は、重量パーセント
で、70〜80%の炭化タングステン粉末、4〜6%のアルミナ繊維、5〜7%の二酸化
チタン粉末、1〜3%の酸化バナジウム粉末を含み、残りはグラファイト粉末である。
さらに、前記耐摩耗性ガスケットの製造方法は以下のとおりであり、上記原料を2800
〜3000℃で液体合金に溶解し、フェムト秒レーザーを用いてランダムに照射し、フェ
ムト秒レーザーの繰り返し周波数は90〜100MHzであり、チョッパーの周波数が3
500〜4000Hzに調整され、各チョッピングサイクルにおけるフェムト秒パルスの
数は約18776であり、照射時間は5〜10minであり、その後、液体合金を徐々に
固相状態に冷却させ、再溶融し、上記操作を共に5〜8回繰り返した後、鋳造し、鍛造成
形後に内部再成形後の耐摩耗性バーを得て、冷間圧接プロセスによって前記耐摩耗性バー
と摩擦撹拌ヘッドの末端を溶接し、耐摩耗性パッドを一定の厚さに切断して耐摩耗性ガス
ケットを形成し、研削および研磨すればよい。炭化タングステンは硬度が高く、耐摩耗性
が高く、二酸化チタンの増加は炭化タングステンの脆さを補うことができ、アルミナ繊維
は破壊靭性および曲げ強度をさらに改善することができ、酸化バナジウムは、炭化タング
ステン結晶格子間の酸素空孔を充填し、酸素イオンの濃度を下げ、そして焼結体の密度を
高めるために使用され、黒鉛粉末は合金の潤滑性を向上させるために使用され、それによ
り摩耗速度を低減させる。上記成分を溶融するとき、フェムト秒レーザーのランダム照射
によって、光エネルギーを吸収した後に金属イオンはイオン格子振動を発生しやすく、冷
却と再溶融を繰り返すことにより合金の結晶格子が離散的に再配列される。固体合金の照
射と比較して、液体合金は良好な流動性を有し、これはフェムト秒レーザーの透過にとっ
てより有利であり、かつ結晶格子の離散的な再配列に役立ち、それによって合金の耐摩耗
性を向上させる。前記耐摩耗性コーティングの製造方法は、上記原料成分を溶融し、かつ
フェムト秒レーザーを用いてランダムに照射した後、レーザー再溶融超音速溶射法を用い
て前記雄ねじでコーティングに結晶化させることであり、レーザー再溶解はファイバーレ
ーザーを用い、プロセスパラメータはデフォーカス量が2〜3mmで、走査速度が3mm
/sで、レーザーパワーが1000Wで、1mm×1mmの矩形スポットに固定したレー
ザービームである。高い粒子衝撃速度のために、噴霧されたコーティングは摩擦撹拌ヘッ
ドの表面との結合強度が高く、摩擦中に落下しにくい。
【0012】
さらに、作業台は2つが好ましく、実際の状況に応じて選択することができる。
【0013】
上記装置を用いて両面の高効率撹拌摩擦溶接を行う溶接方法は、
S1、被溶接部品を作業台にロードし、かつ視覚センサの誘導下で、作業台のいずれかを
駆動して前記ガントリーに移動させ、このとき、別の作業台はアイドルステーションにあ
るステップ、
S2、上部ヘッドおよび下部ヘッドを調整して同時に整列させ、かつZ軸に沿って同じ溶
接開始点に徐々に接近させ、上下2つの摩擦撹拌ヘッドの末端が接触するまで、上部ヘッ
ドおよび下部ヘッドの摩擦撹拌ヘッドをその場で100〜15000r/minの速度で
被溶接部品の内部に回転させ、その後、100〜7000mm/minの溶接速度で同期
的に進み、溶接末端に達すると、上部摩擦撹拌ヘッドと下部摩擦撹拌ヘッドが同時にニー
ドルを引き抜き、同じ被溶接部の下端の仕上げ溶接を完了するステップ、
S3、上部ヘッドは上部ビームに沿って移動し、下部ヘッドは下部ビームに沿ってY軸方
向に移動し、S2ステップを繰り返し、同じ作業台上の被溶接部品のすべての溶接部の溶
接が完了するステップ、
S4、ガントリーがアイドルステーション内の作業台に移動し、またはアイドルステーシ
ョン内の作業台がガントリーの溶接領域に移動し、S1〜S3を繰り返し、このとき溶接
した部品をアンロードし、かつ被溶接部品を再ロードするステップ、を含む。
さらに、前記S2における上下2つの摩擦撹拌ヘッドの末端が接触するまで、上部ヘッド
および下部ヘッドの摩擦撹拌ヘッドをその場で100〜15000r/minの速度で被
溶接部品の内部に回転させ、X軸に沿った上部ヘッドの送りは1つの摩擦撹拌ヘッドの直
径に等しく、上下2つの摩擦撹拌ヘッドが互いにずれ、上部ヘッドおよび下部ヘッドはZ
軸に沿って同時に部品の厚さの8〜20%を送り、上下2つの摩擦撹拌ヘッドが互いにず
れ、かつ作業領域が部分的に重なり、そして、100〜15000r/minの回転速度
で、かつ100〜7000mm/minの溶接速度で同期前進させ、溶接末端に達すると
、上部摩擦撹拌ヘッドと下部摩擦撹拌ヘッドが順次ニードルを引き抜き、同じ被溶接部の
下端の仕上げ溶接を完了する。
【0014】
さらに、本発明はまた、少なくとも1つのロボットアームをロードして溶接部品のロード
およびアンロードを支援することができる。