(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長尺であり且つ可撓性を有し、且つ内外に亘って貫通する複数の貫通孔を有する灌水チューブと、地面から離れた位置で該灌水チューブを保持する複数の保持部材と、前記灌水チューブ内に液体を供給する給水系とを備える灌水設備を用いる灌水方法であって、
該灌水設備は、前記灌水チューブ内の液体を排出する排水系を備え、
前記排水系は、
前記灌水チューブに対して流体的に接続される排水管と、
該排水管に設置され且つ該排水管からの液体の排出を許容する開状態と、
該排水管からの液体の排出を規制する閉状態とに切替可能な排水弁とを有し、
前記排水管は、前記灌水チューブ内の液体を外部に排出する排水口を有し、前記排水口は、前記灌水チューブが設置されている位置から20cm以上低い位置に配置されており、
前記排水弁を閉状態に切り替えて前記給水系から前記灌水チューブ内に液体を供給している状態から、前記給水系から前記灌水チューブへの液体の供給を停止させるとともに、又は前記給水系から前記灌水チューブへの液体の供給を停止させた後に前記排水弁を開状態に切り替える
灌水方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記灌水設備(灌水チューブを地面から離れた位置に設置する灌水設備)では、給水系による灌水チューブへの液体の供給を停止したときに(灌水を停止したときに)該灌水チューブ内に液体が残る。
【0010】
そのため、灌水チューブは、灌水の対象とする領域に対して均一な水量で灌水できるように貫通穴の位置を調整したうえで設置されていても、内部に残る液体の重みで灌水チューブに弛みが生じ、灌水できる領域の広さや、灌水する領域の各位置における水量の均一性が損なわれることがある。
【0011】
より具体的に説明する。前記灌水設備における灌水チューブは、給水系から水が供給されていると、該水から外方に向けて作用する圧力を受けるため、弛みが生じ難い。
【0012】
その一方で、給水系から灌水チューブへの水の供給を停止すると、該灌水チューブ内には、外向に向かう圧力が作用しなくなる。このような状態において、灌水チューブ内に液体が残ると該液体の重みによって灌水チューブが弛み、液体を噴射する方向が変化する。これにより、灌水できる領域の広さや、灌水する領域の各位置における水量の均一性が損なわれることがある。
【0013】
特に、給水系による灌水チューブへの水の供給と停止とを繰り返すと、使用期間と共に灌水チューブを構成する樹脂素材(例えば、低密度ポリエチレン等)の永久歪の増大による弛みが大きくなるためことがあり、上述の問題がより顕著なものとなる。
【0014】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、灌水チューブの弛みを防止することによって、灌水量の偏りを抑えることができる灌水設備、及び灌水方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の灌水設備は、
可撓性を有する長尺な灌水チューブであって、内部の液体を外部に撒くための複数の貫通孔が形成される灌水チューブと、
地面から離れた位置で該灌水チューブを保持する保持部材と、
前記灌水チューブ内に液体を供給する給水系と、
前記灌水チューブ内の液体を排出する排水系とを備え、
前記排水系は、
前記灌水チューブに対して流体的に接続される排水管と、
該排水管に設置され且つ該排水管からの液体の排出を許容する開状態と、該排水管からの液体の排出を規制する閉状態とに切替可能な排水弁とを有する。
【0016】
かかる構成によれば、排水弁が閉状態に切り替えられている状態で給水系から灌水チューブ内に液体が供給されると、該液体が貫通孔を通じて灌水チューブの外部に撒かれる。
【0017】
そして、給水系による灌水チューブへの液体の供給を停止させた状態(灌水を停止させた状態)において、排水弁が開状態に切り替えられると、灌水チューブ内の液体が排水管に流れ込む。
【0018】
このように、前記灌水設備では、灌水チューブ内の液体を排水管から排出することができるため、灌水を停止させているときに灌水チューブ内に液体が残ることを抑えることができる。従って、前記灌水設備では、灌水チューブが内部の液体の重みによって弛むことが抑えられる。
【0019】
本発明の灌水設備において、
前記排水管は、前記灌水チューブよりも低い位置に配置されるようにしてもよい。
【0020】
かかる構成によれば、排水管が前記灌水チューブよりも低い位置に配置されるため、灌水チューブ内を流れる液体と、排水管内を流れる液体との間には圧力差が生じる。従って、灌水チューブから排水管内に流れ込んだ液体の圧力が大気圧よりも高まり易くなるため、灌水チューブ内の液体を排水管から効率良く排出することができる。
【0021】
さらに、本発明の灌水設備は、
前記灌水チューブ内に外気を取り込むための吸気系を備え、
該吸気系は、
前記灌水チューブに流体的に接続される吸気管と、
該吸気管に設置され且つ該吸気管への外気の流入を許容する開状態と、
該吸気管への外気の流入を規制する閉状態とに切替可能な吸気弁とを有するようにしてもよい。
【0022】
かかる構成によれば、吸気弁を開状態に切り替えることによって、灌水チューブ内の液体を排水管から排出しつつ、吸気管を介して灌水チューブ内に外気を流入させることができる。
【0023】
すなわち、前記灌水設備では、灌水チューブ内の液体を排出する経路と、灌水チューブ内に外気を流入させる経路とが別々の経路であるため、排水管から排水される液体の流れと、灌水チューブ内に流入する外気の流れとが干渉し合うことが防止される。従って、前記灌水設備は、排水管から排出する液体の流れを整えることができるため、灌水チューブ内の液体を排水管から円滑に排出することができる。
【0024】
本発明の灌水方法は、長尺であり且つ可撓性を有し、且つ内外に亘って貫通する複数の貫通孔を有する灌水チューブと、地面から離れた位置で該灌水チューブを保持する複数の保持部材と、前記灌水チューブ内に液体を供給する給水系とを備える灌水設備を用いる灌水方法であって、
該灌水設備は、前記灌水チューブ内の液体を排出する排水系を備え、
前記排水系は、
前記灌水チューブに対して流体的に接続される排水管と、
該排水管に設置され且つ該排水管からの液体の排出を許容する開状態と、
該排水管からの液体の排出を規制する閉状態とに切替可能な排水弁とを有し、
前記排水弁を閉状態に切り替えて前記給水系から前記灌水チューブ内に液体を供給している状態から、前記給水系から前記灌水チューブへの液体の供給を停止させるとともに、又は前記給水系から前記灌水チューブへの液体の供給を停止させた後に前記排水弁を開状態に切り替える。
【0025】
かかる構成によれば、排水弁を閉状態に切り替えて給水系から灌水チューブ内に液体を供給している状態から、給水系から灌水チューブへの液体の供給を停止するとともに(灌水を停止するとともに)、又は給水系から灌水チューブへの液体の供給を停止した後に(灌水を停止した後に)排水弁を開状態に切り替えるため、灌水チューブ内の液体が排水管に流れ込む。
【0026】
このように、前記灌水方法では、灌水チューブ内の液体を排水管から極めて短時間の間に排出することができるため、灌水を停止させているときに灌水チューブ内に液体が残ることを抑えることができる。従って、前記灌水方法では、灌水チューブが内部の液体の重みによって増加するチューブの永久歪量を最小限とし、均一灌水に悪影響を与える大きな弛みに至る時間を大幅に遅らせることが出来る。
【0027】
本発明の灌水方法において、
前記灌水設備は、前記灌水チューブ内に外気を取り込むための吸気系を備え、
該吸気系は、
前記灌水チューブに流体的に接続される吸気管と、
該吸気管に設置され且つ該吸気管への外気の流入を許容する開状態と、
該吸気管への外気の流入を規制する閉状態とに切替可能な吸気弁とを有し、
前記排水弁を閉状態に切り替えて前記給水系から前記灌水チューブ内に液体を供給している状態では前記吸気弁を閉状態とし、前記排水弁を開状態に切り替えるとともに、又は前記排水弁を開き状態に切り替えた後に前記吸気弁を開状態に切り替えるようにしてもよい。
【0028】
かかる構成によれば、排水弁を開状態に切り替えるとともに、又は排水弁を開き状態に切り替えた後に吸気弁を開状態に切り替えるため、灌水チューブ内の液体を排出しつつ、吸気管を介して該灌水チューブ内に外気を流入させることができる。
【0029】
すなわち、前記灌水方法では、灌水チューブ内から排出する液体と、灌水チューブ内に流入する外気とを別々の経路に流通させるため、排水管から排水される液体の流れと、灌水チューブ内に流入する外気の流れとが干渉し合うことが防止される。従って、前記灌水方法は、排水管から排出する液体の流れを整えることができるため、灌水チューブ内の液体を排水管から円滑に排出することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明の灌水設備、及び灌水方法によれば、灌水チューブの弛みを防止することによって、灌水量の偏りを抑えることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態にかかる灌水設備について、添付図面を参照して説明する。本実施形態に係る灌水設備は、液体を撒くために用いられるものであり、例えば、農地(ビニールハウスや、田畑等)に設置され、農作物や草木に灌水を行うために用いられる。
【0033】
図1に示すように、灌水設備1は、長尺であり且つ可撓性を有する灌水チューブ2と、地面から離れた位置で該灌水チューブ2を保持する保持部材3と、灌水チューブ2内に液体を供給する給水系4と、灌水チューブ2内の液体を排出する排水系5とを備える。また、本実施形態に係る灌水設備1は、灌水チューブ2内に外気を流入させるための吸気系6を備える。なお、本実施形態においては、灌水チューブ2内に液体として水を供給することを前提に以下の説明を行うこととする。
【0034】
図2(a)、及び
図2(b)に示すように、灌水チューブ2は、内部に水を流通させる管状の通水部20を有する。また、灌水チューブ2は、通水部20から外方に延出する延出部21を有する。
【0035】
通水部20は、可撓性を有し且つ長尺である。また、通水部20には、複数の貫通孔200が形成されている。より具体的に説明すると、通水部20には、長手方向における給水系4に接続される一端から該一端の反対側の他端に亘って、複数の貫通孔200が形成されている。
【0036】
延出部21は、可撓性を有し且つ長尺である。また、延出部21は、通水部20の長手方向における全長に亘って延びている。本実施形態に係る灌水チューブ2では、通水部20に対して一対の延出部21が設けられている。そして、各延出部21は、通水部20から互いに相反する方向に向けて通水部20から延出している。
【0037】
なお、本実施形態にかかる灌水チューブ2は、可撓性を有する長尺なシート部材Sを重ね合わせて接合することによって構成されている。
【0038】
シート部材Sは、可撓性を有し且つ長尺である。また、シート部材Sは、長手方向に沿って延びる一対の長辺部S1であって、互いに間隔を空けて並ぶ長辺部S1と、該長辺部S1の間に介在する流路形成部S2とを有する。本実施形態に係るシート部材Sでは、一対のシート部材Sが互いに重ね合わされた状態で互いの長辺部S1同士が接合されているが、一枚の長尺シート部材Sを半分に折り曲げてその端部同士をヒートシールして灌水チューブ2を形成しても良い。また、例えば、押出成形によって、円筒状のフィルム又はシートを成形し、該フィルムまたはシートを平面上に上下二枚になるよう折り畳んだ後、両端または一端をヒートシールしても良い。貫通孔200は、ヒートシールする前または後のいずれかの工程で穿孔できる。
【0039】
このように、灌水チューブ2では、シート部材Sの流路形成部S2(長辺同士の間の部分)によって、水を流通させるための流路である通水部20が形成されている。なお、貫通孔200は、一方のシート部材Sのみに形成してもよいし、両方のシート部材Sに形成してもよい。また、灌水チューブ2(灌水チューブ2の断面円周上)における貫通穴200の位置及び大きさ形状は任意である。すなわち、灌水チューブ2では、例えば、各貫通穴200が灌水チューブ2の長辺部S1が並ぶ方向においてずれた位置に形成されていたり、大きさや、形状が異なる貫通穴200が複数形成されていたりしてもよい。
【0040】
このように構成される灌水チューブ2は、内部に水が供給されると、
図2(b)に示すように、シート部材Sの流路形成部S2が互いに離間するように湾曲した状態になり(膨らんだ状態になり)、内部の水が貫通孔200を通過して外部に撒かれる。そして、灌水チューブ2内から水が排出されると、
図2(a)に示すように、シート部材Sの流路形成部S2が互いに接近した状態になる。
【0041】
図1に示すように、保持部材3は、灌水チューブ2を真っ直ぐに伸ばした状態(水平に広げた)で保持する。また、保持部材3は、灌水チューブ2の長手方向における各位置での地面からの高さH1が同一又は略同一となるように、該灌水チューブ2を保持する。すなわち、灌水チューブ2は、長手方向における各位置において、地面からの高さH1が同一又は略同一となるように配置されている。なお、本実施形態に係る保持部材3は、地面からの高さH1が20cm以上となる位置で灌水チューブ2を保持するように構成されている。
【0042】
本実施形態に係る灌水設備1では、灌水チューブ2の長手方向と対応する方向に間隔を空けて複数の保持部材3が設置されており、該保持部材3のそれぞれによって、灌水チューブ2が保持されている。すなわち、灌水設備1は、複数の保持部材3を備えている。
【0043】
本実施形態に係る保持部材3は、灌水チューブ2を吊り下げるように構成されている。より具体的に説明すると、保持部材3は、灌水チューブ2が取り付けられる取付部30と、該取付部30に繋がる吊下部31であって、周囲の設置物に吊り下げられる吊下部31とを有する。なお、本実施形態に係る吊下部31は、地面から離れた位置に架設された設置物である線材Lに吊り下げられる。
【0044】
給水系4は、灌水チューブ2に対して流体的に接続される給水管40と、該給水管40に水を供給する給水部41とを有する。また、給水系4は、給水管40に設置される給水弁42を有する。
【0045】
給水管40は、灌水チューブ2の一方の端部に対して流体的に接続されている。また、給水管40には、排水系5(排水系5の後述する排水管50)が流体的に接続されている。
【0046】
給水部41は、水源(図示しない)に接続される。本実施形態に係る給水部41は、水源の水を給水管40に送り出すポンプによって構成される。
【0047】
給水弁42は、給水管40から灌水チューブ2に供給する水の流通を許容する開状態と、給水管40から灌水チューブ2に供給する水の流れを遮る閉状態とに切り替え可能である。
【0048】
給水弁42は、給水部41と灌水チューブ2との間に設置される。本実施形態に係る給水系4では、上述のように、給水管40に排水系5が流体的に接続されているため、給水弁42は、給水部41と、給水管40における排水系5が接続されている部分との間に設置されている。
【0049】
そのため、給水系4では、給水弁42が開状態に切り替えられると、給水部41から給水管40に送り込まれた水の流通が許容され、給水弁42が閉状態に切り替えられると、給水部41から給水管40に送り込まれた水の流れが遮られるとともに、灌水チューブ2から給水管40に流れ込んで給水弁42から給水部41に向かう水の流れが遮られる。
【0050】
従って、灌水設備1では、給水部41が駆動している状態において、給水弁42が開状態に切り替えられると、給水系4から灌水チューブ2に水が供給され、給水弁42が閉状態に切り替えられると、給水系4から灌水チューブ2への水の供給が停止する。
【0051】
排水系5は、灌水チューブ2に対して流体的に接続される排水管50と、該排水管50に設置される排水弁51を有する。
【0052】
排水管50は、灌水チューブ2に対して直接的又は間接的に接続される。本実施形態に係る排水管50は、灌水チューブ2に対して間接的に接続される。より具体的に説明すると、排水管50は、給水管40を介して灌水チューブ2に接続されている。
【0053】
また、排水管50は、灌水チューブ2から流れ込んだ水を外部に排出する排水口500を有する。排水口500は、灌水チューブ2よりも低い位置に配置されている。なお、排水口500は、灌水チューブ2が設置されている位置から約10cm以下となる位置に配置されることが好ましく、より好ましくは灌水チューブ2が設置されている位置から50cm以下、灌水チューブ2が設置されている位置から1m以下であることがさらに好ましい。また、本実施形態では、排水系5全体が灌水チューブ2よりも低い位置に配置されている。
【0054】
排水弁51は、排水管50からの水の排出を許容する開状態と、排水管50からの水の排出を規制する閉状態とに切替可能である。
【0055】
上述のように、排水系5では、排水管50が給水管40を介して灌水チューブ2に流体的に接続される。そのため、排水系5では、排水弁51の状態が開状態に切り替えられると、給水管40を介して灌水チューブ2から排水管50に流れ込んだ水を排出できる状態になり、排水弁51の状態が閉状態に切り替えられると、給水管40を介して灌水チューブ2から排水管50に流れ込んだ水の排出を規制できる状態になる。
【0056】
本実施形態に係る吸気系6は、灌水チューブ2の他端側に配置される。そのため、吸気系6は、排水系5を通じて灌水チューブ2内から排出される水が流れる方向において、排水系5よりも上流側に配置されている。
【0057】
より具体的に説明する。吸気系6は、灌水チューブ2に流体的に接続される吸気管60と、該吸気管60に設置される吸気弁61とを有する。
【0058】
吸気管60は、灌水チューブ2の他方の端部に接続される。また、吸気管60は、外部に開放される吸気口600を有する。
【0059】
吸気弁61は、吸気口600から吸気管60内に流れ込んだ外気の流通を許容する開状態と、吸気口600から吸気管60内に流れ込んだ外気の流れを遮る閉状態とに切替可能である。そのため、灌水設備1では、吸気弁61が開状態に切り替えられると、灌水チューブ2の他方の端部が開放され、吸気弁61が閉状態に切り替えられると、灌水チューブ2の他方の端部が閉塞される。
【0060】
なお、本実施形態に係る吸気弁61は、灌水チューブ2内の水が排出されるに伴って開状態に切り替わり、灌水チューブ2内に水が供給されるに伴って閉状態に切り替わるように構成される。すなわち、吸気弁61は、灌水チューブ2内の圧力が低下したときに、開状態に切り替わるように構成される。
【0061】
本実施形態に係る灌水設備1は、以上の通りである。続いて、本実施形態に係る灌水設備1による灌水方法について、添付図面を参照して説明を行う。
【0062】
本実施形態に係る灌水方法では、排水弁51を閉状態に切り替えて給水系4から灌水チューブ2内に水を供給している状態から、給水系4から灌水チューブ2への水の供給を停止させるとともに、又は給水系4から灌水チューブ2への水の供給を停止させた後に排水弁51を開状態に切り替える。
【0063】
より具体的に説明する。本実施形態に係る灌水方法は、給水系4から灌水チューブ2に水を供給する供給工程と、給水系4から灌水チューブ2に対する水の供給を停止する停止工程と、灌水チューブ2内の水を排水系5から排出する排水工程とを備えている。
【0064】
灌水設備1による灌水を開始するにあたり、供給工程では、給水弁42、排水弁51、吸気弁61のそれぞれを閉状態に切り替えておく。そして、給水部41を駆動させて、該給水部41によって水源から給水管40内に水を供給する。さらに、給水管40内(給水管40における給水部41と給水弁42との間)に十分に水を蓄えた状態で給水弁42を開状態に切り替える。
【0065】
これにより、給水管40内における水の流通が許容されるため、
図3に示すように、給水管40内に蓄えられた水が一斉に灌水チューブ2に向かって流れる。
【0066】
このように、本実施形態では、給水部41から給水管40内に供給された水を給水弁42で一時的に堰き止めることによって、該給水管40内に十分な水を蓄えた状態で給水管40内の水を灌水チューブ2に供給するため、灌水チューブ2に水を供給し始めてから、灌水チューブ2内を水で満たすまでに要する時間を抑えることができる。
【0067】
そして、灌水チューブ2内の貫通孔200を通過した水が、灌水チューブ2の外部に撒かれる。
【0068】
灌水設備1による灌水を停止するには、停止工程において、給水弁42を閉状態に切り替えて灌水を停止し、排水工程において、排水弁51を開状態に切り替えることで灌水チューブ2内の水を排出する。本実施形態では、給水弁42を閉状態に切り替えるとともに、排水弁51を開状態に切り替えることで灌水を停止する。すなわち、停止工程と、排水工程とを同時に行う。
【0069】
このようにすると、
図4に示すように、灌水チューブ2内の水が該灌水チューブ2の他端から一端に向かう方向に流れる。そして、灌水チューブ2から排水管50に流れ込んだ水が排水口500から排出される。
【0070】
本実施形態では、上述のように、排水管50が灌水チューブ2よりも低い位置に配置されるため、灌水チューブ2内を流れる水と、排水管50内を流れる水(排水管50から排出される水)との間には圧力差が生じる。従って、灌水チューブ2から排水管50に流れ込んだ水の圧力が大気圧よりも高まり易くなるため、灌水チューブ2内の水が排出管50から効率良く排出される。
【0071】
また、灌水チューブ2内の水が排水管50内に流れ込むことによって、灌水チューブ2内の圧力が低下すると吸気弁61が開く。これに伴い、吸気口600から吸気管60内に流れ込んだ外気の流通が許容されるため、灌水チューブ2内に外気が供給され、灌水チューブ2内の圧力が下がることが抑えられる。
【0072】
なお、本実施形態では、排水管50からの液体の排出時において、貫通穴200からも灌水チューブ2内に外気が流入するため、灌水チューブ2内の圧力の低下がさらに抑えられる。従って、灌水チューブ2内の水を排出し易くすることができる。
【0073】
また、本実施形態では、灌水チューブ2が可撓性を有するため、排水管50からの水の排出時に灌水チューブ2内に流入する外気が少量であっても、灌水チューブ2内が外部の大気圧により押されて変形する(シート部材Sの流路形成部S2同士が接近する)。従って、本実施形態では、灌水チューブ2として鋼管パイプ等の剛性を有する部材を採用する場合に比べて、灌水チューブ2内の圧力低下を抑制することができ、これにより、灌水チューブ2内の水を排出し易くすることができる。
【0074】
従って、本実施形態に係る灌水方法では、灌水チューブ2の他端から一端に向かう方向において、灌水チューブ2内の水を流しつつ、外気を流入させることによって、灌水チューブ2内の水がより効率良く排出される。
【0075】
このようにして、本実施形態に係る灌水方法では、給水系4による灌水チューブ2への水の供給を停止したときに(灌水の対象となる領域への灌水を停止したときに)灌水チューブ2内の水を排水系5から排出している。
【0076】
以上のように、本実施形態に係る灌水設備1及び灌水方法は、灌水を停止している状態において、灌水チューブ2内に水が残ることを抑えることができ、これにより、灌水チューブ2における保持部材3に保持されている部分の間に弛みが生じることが抑えられる。このように、灌水設備1及び灌水方法は、灌水を停止している状態における灌水チューブ2の弛みを抑えることによって、灌水の対象となる領域の各位置における灌水量の偏りを抑えることができる(すなわち、灌水量の均一性が低下することを抑えることができる)。
【0077】
また、灌水設備1及び灌水方法では、灌水チューブ2の弛みが抑えられるため、灌水チューブ2内に少量の水が残っていたとしても、該水が貫通孔200から少しづつ流れ出して灌水チューブ2の表面を伝う水が一ヶ所に集まり、大粒径の水滴となって落下すること(いわゆる、ボタ落ち)が抑えられる。これにより、灌水チューブ2の下方に位置する地面の浸食や、作物の掘り起こしを抑えることができる。
【0078】
そして、灌水設備1及び灌水方法では、灌水チューブ2内の水を該灌水チューブ2よりも低い位置に配置される排水管50から排出するため、灌水チューブ2内を流れる水と、排水管50内を流れる水との間には圧力差が生じる。従って、灌水設備1及び灌水方法では、灌水チューブ2から排水管50内に流れ込んだ水の圧力が大気圧よりも高まり易くなるため、灌水チューブ2内の水を排水管50から効率良く(急速に)排出することができる。
【0079】
さらに、灌水設備1及び灌水方法では、灌水チューブ2の一端に流体的に接続された排水管50から灌水チューブ2内の水を排出しつつ、灌水チューブ2の他端に流体的に接続された吸気管60から灌水チューブ2内に外気を流入させることができる。
【0080】
すなわち、灌水設備1及び灌水方法では、灌水チューブ2内の水を排出する経路と、灌水チューブ2内に外気を流入させる経路とが別々の経路であるため、排水管50から排水される液体の流れと、灌水チューブ2内に流入する外気の流れとが干渉し合うことが防止される。従って、灌水設備1及び灌水方法では、排水管50から排出する液体の流れを整えることができるため、灌水チューブ2内の液体を排水管50から円滑に排出することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る灌水設備1及び灌水方法では、排水管50から水を排出する際に、吸気管60(本実施形態では、吸気管60及び貫通穴200)から灌水チューブ2内に外気を流入させることによって、排水管50内の水の圧力が大気圧に近付くことを抑えることもできる。従って、灌水設備1及び灌水方法では、排水管50内における水の圧力を大気圧よりも高い状態で維持し易いため(すなわち、排水管50内における水の圧力が低下することを抑えることができるため)、灌水チューブ2内の水をさらに効率良く排出することができる。
【0082】
なお、灌水チューブ2が粘弾性を有する樹脂材料(例えば、一般的に用いられるポリエチレン系素材等)で構成される場合、灌水チューブ2内に水が残っている時間(すなわち、荷重が加わる時間)が長くなるにつれて、該灌水チューブ2の粘性変形量(永久歪量)が大きくなる。従って、内部から完全に水を排出した状態における灌水チューブ2の弛み量が大きくなる。
【0083】
その一方で、本実施形態に係る灌水設備1では、灌水チューブ2内の水の排出に要する時間を短縮することによって、該灌水チューブ2に内部の水の荷重が加わる時間を抑えることができる。そのため、灌水設備1では、水の荷重に起因して灌水チューブ2に生じる応力を短時間で除去することができ、これにより、灌水チューブ2の弛みが大きく成長することが抑えられる。
【0084】
また、灌水チューブ2がポリエチレン系の素材(特に、低密度なポリエチレン系の素材のようなガラス転移温度が−20℃以下となる素材)で構成される場合、灌水チューブ2は、常温で結晶を含むゴム状領域にあり粘性挙動が顕著になる状態となる。そのため、灌水チューブ2は、太陽光に曝される環境に設置される場合、灌水チューブ2の表面温度と、灌水を停止させたときに灌水チューブ2内に残る水の温度とが上昇すると、わずかな応力によっても伸びやすくなり応力が除去されると伸びは減少するものの回復しない永久歪量が増加し易くなる。
【0085】
本実施形態に係る灌水設備1では、上述のように、灌水チューブ2内の水の排出に要する時間を短縮することによって、該灌水チューブ2に内部の水の荷重が加わる時間を抑えることができる。そのため、灌水設備1は、灌水チューブ2が太陽光に曝される環境に設置される場合においても、灌水チューブ2の弛みが大きく成長することが抑えられる。
【0086】
なお、本発明の灌水設備及び灌水方法は、上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
【0087】
上記実施形態において、灌水チューブ2は、一対のシート部材Sを重ね合わせた状態で接合することによって構成されるが、この構成に限定されない、例えば、灌水チューブ2は、単一のシート部材Sで構成されていてもよいし、三枚以上のシート部材Sを重ね合わせた状態で接合することによって構成されていてもよい。
【0088】
上記実施形態において、灌水チューブ2は、真っ直ぐに伸ばした状態(水平方向に広げた状態)で保持部材3によって保持されるが、この構成に限定されない。例えば、灌水チューブ2は、一端が他端よりも高い位置に配置された状態で保持部材3によって保持されていてもよいし、他端が一端よりも高い位置に配置された状態で保持部材3によって保持されていてもよい。
【0089】
上記実施形態において、灌水チューブ2には、液体として水を供給していたが、この構成に限定されない。例えば、灌水チューブ2には、液体として、液体肥料等を供給してもよいし、液体肥料等を含む水を供給してもよい。
【0090】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、灌水チューブ2は、内部に供給された水を外部に噴出するように構成されたり、噴霧するように構成されていてもよい。
【0091】
上記実施形態において、保持部材3は、灌水チューブ2を吊り下げることによって地面から離れた位置で保持するが、この構成に限定されない。例えば、保持部材3は、灌水チューブ2を支持することによって地面から離れた位置で保持するように構成されてもよい。この場合、保持部材3は、灌水チューブ2に取り付けられる取付部30と、該取付部30から延びるとともに、地面に設置される柱部とを有するようにしてもよい。
【0092】
上記実施形態において、灌水チューブ2は、保持部材3のみによって保持されるが、この構成に限定されない。例えば、灌水チューブ2は、保持部材3と、該保持部材3の周囲に設置されている設置物とによって保持されてもよい。
【0093】
上記実施形態において、灌水設備1は、複数の保持部材3を備えるが、この構成に限定されない。例えば、灌水設備1は、単一の保持部材3を備えるようにしてもよい。この場合、単一の保持部材3と、該保持部材3の周囲に設置されている設置物とで協働して灌水チューブ2を保持してもよい。例えば、農業用ハウス内での使用においてはハウスの複数の支柱に固定した保持部材3に灌水チューブを保持する方法等が挙げられる。
【0094】
上記実施形態において、灌水チューブ2は、一対の延出部21を有するように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、灌水チューブ2は、一つの延出部21を有するように構成されていてもよい。
【0095】
上記実施形態において、灌水チューブ2は、延出部21が上下方向において延出するように配置されていたが、この構成に限定されない。例えば、灌水チューブ2は、延出部21が上下方向に対して直交する方向や、上下方向に対して交差する方向において延出するように配置されていてもよい。この場合においても、灌水チューブ2が捻じれることが抑えられるため、貫通孔200から水が出る方向が変化し難くなる。
【0096】
なお、灌水チューブ2は、延出部21が上下方向において延出するように配置されている方が灌水チューブ2の断面係数が大きくなるため、灌水チューブ2内に残る水の量が同じであっても、撓みにくくなるため好ましい。
【0097】
上記実施形態において、給水管40は、灌水チューブ2の一方の端部に流体的に接続されるが、この構成に限定されない。例えば、給水管40は、灌水チューブ2における一方の端部と、他方の端部との間の部分に流体的に接続されてもよい。この場合、排水系5は、灌水チューブ2の一方の端部に直接的に接続されてもよいし、灌水チューブ2の他方の端部に直接的又は間接的に接続されてもよいし、給水管40に流体的に接続されてもよい。
【0098】
上記実施形態において、給水部41は、水源の水を給水管40に送り出すポンプによって構成されるが、この構成に限定されない、例えば、給水部41は、水源と給水管40との間に設置される給水栓(弁)であってもよい。
【0099】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、排水管50は、灌水チューブ2から流れ込んだ水を単に排出するように構成したり、灌水チューブ2から流れ込んだ水を水源に戻すように構成したりしてもよい。
【0100】
上記実施形態において、排水管50は、灌水チューブ2よりも低い位置に配置されているが、この構成に限定されない。例えば、排水管50は、灌水チューブ2と同じ高さとなる位置に配置されていてもよい。但し、排水管50が灌水チューブ2よりも低い位置に配置されている方が灌水チューブ2内の水を効率良く排出することができる。
【0101】
上記実施形態において、灌水設備1は、吸気系6を備えていたが、この構成に限定されない。例えば、灌水設備1は、吸気系6を備えていなくてもよい。なお、吸気系6を備えていない場合であっても、上述のように、排水弁51からの排水時における灌水チューブ2の変形や、貫通穴200からの吸気によって、排水効率を高めることはできる。
【0102】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、灌水チューブ2では、例えば、貫通孔200の数や、シート部材Sの厚み、内径、素材の硬さ等の設計を調整することによって、灌水チューブ2の変形や、貫通穴200からの外気の流入を最適化(すなわち、灌水チューブ2内の液体の排出に適した状態に)することができる。
【0103】
上記実施形態において、供給工程では、給水弁42を開状態又は閉状態に切り替えることによって灌水チューブ2に水を供給している状態と、灌水チューブ2への水の供給を停止している状態とに切り替えられていたが(すなわち、灌水チューブ2への水の供給の開始と停止とを制御していたが)、この構成に限定されない。例えば、供給工程では、給水部41の駆動状態を切り替えることのみによって、灌水チューブ2への水の供給の開始と停止とを制御してもよい。
【0104】
より具体的に説明すると、給水部41を駆動させるとともに灌水チューブ2への水の供給を開始し、給水部41の駆動を停止させるとともに灌水チューブ2への水の供給を停止してもよい。この場合、給水系4は、給水弁42を開状態にし続けてもよいし、給水弁42が給水管40に設置されていなくてもよい。
【0105】
ただし、給水管40に給水弁42が設置されていれば、上述のように、給水部41から給水管40内に供給された水を給水弁42によって一時的に堰き止めて、該給水管40内に十分な水が供給された状態にした後に、給水管40内の水を灌水チューブ2に供給できるため、灌水チューブ2に水を供給し始めてから灌水チューブ2内が水で満たされるまでに要する時間を抑え易い。
【0106】
また、給水管40に給水弁42が設置されていれば、灌水チューブ2内の水の排出時において、灌水チューブ2内の水が給水管40に流れこむことを抑えることができるため、灌水チューブ2内の水を排水管50から効率良く排出することができる。
【0107】
上記実施形態において、停止工程と、排水工程とは、同時に行われていたが、この構成に限定されない。例えば、停止工程を行った後に、排水工程を行うようにしてもよい。すなわち、給水弁42を閉状態に切り替えた後に、排水弁51を開状態に切り替えることで灌水を停止してもよい。
【0108】
上記実施形態において、灌水設備1は、給水弁42と、排水弁51とを個別に操作することによって、給水系4から灌水チューブ2に水を供給する状態と、排水系5から灌水チューブ2内の水を排出する状態とに切り替えていたが、この構成に限定されない。例えば、灌水設備1は、給水弁42と、排水弁51とを一括して操作することによって、給水系4から灌水チューブ2に水を供給する状態と、排水系5から灌水チューブ2内の水を排出する状態とに切り替えてもよい。
【0109】
この場合、給水弁42と、排水弁51とは、例えば、電磁弁によって構成されていてもよい。なお、給水弁42と、排水弁51とを電磁弁によって構成すれば、それぞれが離れた位置に配置されていても一括して操作し易い。
【0110】
上記実施形態において、灌水設備1は、給水弁42と、排水弁51とによって、灌水チューブ2に対して給水系4と、排水系5とを選択的に接続できるように構成されるが、この構成に限定されない。例えば、
図5に示すように、灌水設備1は、灌水チューブ2に対して給水系4又は排水系5を選択的に接続するための切換弁7(いわゆる、三方弁)を備えていてもよい。
【0111】
このようにすれば、一つの部品によって、灌水チューブ2に接続される系の切り替えを行うことができる。また、一つの部品(切換弁7)に対する操作によって、給水系4と、排水系5の灌水チューブ2に対する接続状態を同時に切り替えることができるため、灌水を停止する際に、灌水チューブ2内の水をより確実に排出することができる。
【0112】
上記実施形態において、排水系5は、灌水チューブ2の一方の端部に流体的に接続されるが、この構成に限定されない。例えば、排水系5は、灌水チューブ2の他方の端部に流体的に接続されていてもよい。
【実施例】
【0113】
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げてさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0114】
(実施例1)
図6、
図7に示すように、可撓性を有する長尺な灌水チューブ2であって、内部の水を外部に撒くための複数の貫通孔200が形成される灌水チューブ2と、地面から離れた位置で該灌水チューブ2を保持する複数の保持部材3と、前記灌水チューブ2内に水を供給する給水系4と、前記灌水チューブ2内の水を排出する排水系5と、灌水チューブ2と、給水系4と、排水系5とのそれぞれを接続する切換弁(三方弁)7とを備える灌水設備1を実施例1として構成した。
【0115】
実施例1では、低密度ポリエチレンにカーボンブラックを2%混合した混合物からなり、厚みが550μm、長さが20mである二枚のシート部材を準備し、一方のシート部材のみに対して、孔径が0.3mm乃至0.4mmである貫通孔200をレーザーによって複数穿設した。貫通孔200は、シート部材の長手方向において5cm間隔で穿設した。また、シート部材には、長手方向に直交する方向における該シートの中心を基準として、下方に25.2mmずらした位置に形成した貫通孔200と、下方に10.8mmずらした位置に形成した貫通孔200と、上方に6.3mmずらした位置に形成した貫通孔200と、下方に8.7mmずらした位置に形成した貫通孔200と、下方に5.7mmずらした位置に形成した貫通孔200と、上方に3.3mmずらした位置に形成した貫通孔200と、を長手方向に順に並べて繰り返し穿設した。
【0116】
そして、二枚のシートを互いに重ね合わせて、長手方向と直交する幅方向における両端部をヒートシールによって接合した。このとき、幅方向の両端部における接合領域(ヒートシールを施した領域)同士の間隔が53.4mmとなり、各シート部材の幅方向における端部同士を接合することによって形成した延出部の幅が5mmとなるようにして各シート部材の幅方向の両端部同士を接合した。
【0117】
このようにして製造された灌水チューブ2の通水部20は、内部に水を供給したときに内径(直径)が34mmであった。
【0118】
実施例1では、かかる構成の灌水チューブ2を農業用ハウス内の地上から高さH1が180cmとなる位置において、水平に設置した(真っ直ぐに伸ばして設置した)。また、実施例1では、各延出部21を上下方向に並べて配置し、1.5m間隔で配置した複数の保持部材3によって各延出部21を保持した。
【0119】
灌水チューブ2の一端には、地上に向け鉛直に伸びたパイプを接続し、該パイプに対して地上からの高さH2が20cmとなる位置に配置した切換弁7を接続した。そして、灌水チューブ2の他端は、封止した。
【0120】
切換弁7には、揚水ポンプ41を接続した給水管40を接続し、さらに、灌水チューブ2内の水を排出するための排水管50を接続した。
【0121】
そして、かかる構成の灌水装置1において、切換弁7を操作して灌水チューブ2と給水管40とを接続して灌水を開始した。二分以上灌水を行って灌水状態が安定した後に、切換弁7を操作して灌水チューブ2と排水管50とを接続し、灌水チューブ2内の水を排出した。そして、切換弁7を操作して灌水チューブ2と排水管50とを接続した後、灌水チューブ2の貫通孔200から水が落ちなくなるまでの時間(水抜き時間)を測定した。
【0122】
また、灌水チューブ2の貫通孔200から水が落ちなくなった状態において、上方に配置されている延出部21の弛みを測定した。
【0123】
延出部21の弛みは、上方に配置されている延出部21のうちの、隣り合う保持部材3に保持されている部分同士を結ぶ仮想直線を基準とし、上下方向における該仮想直線からの延出部21の変位量を弛みとして測定した。すなわち、灌水を行う前の状態から、灌水チューブ2内の水の排出が完了するまでの間における延出部21の垂れ下がり量を弛みとして測定した。実施例1における水抜き時間及び灌水チューブ2の弛みの測定結果を表1に示す。
【0124】
(実施例2)
実施例2に係る灌水設備1では、地上からの高さH2が160cmとなる位置に切換弁7(排水管50)を配置した点以外は、実施例1と同様の構成である。また、水抜き時間、及び弛みの測定方法も、実施例1と同様である。実施例2における水抜き時間及び灌水チューブ2の弛みの測定結果を表1に示す。
【0125】
(比較例1)
比較例1に係る灌水設備1は、実施例1と同様の構成である。但し、実施例1では、切換弁7を操作して灌水チューブ2と給水管40とを接続して灌水を開始し、二分以上灌水を行って灌水状態が安定した後に、切換弁7を操作せずに揚水ポンプ41の駆動を停止させた。そして、揚水ポンプ41の駆動を停止してから灌水チューブ2の貫通孔200から水が落ちなくなるまでの時間を水抜き時間として測定した。
【0126】
比較例1における灌水チューブ2の弛みの測定方法は、実施例1と同様である。比較例1における水抜き時間及び灌水チューブ2の弛みの測定結果を表1に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
表1から明らかなように、灌水チューブ2内の水を排水管50から排出しない比較例1に比べて、灌水チューブ2内の水を排水管50から排出する実施例1,2は、灌水チューブ2内の水の排出に要する時間を大幅に短縮できている。また、灌水チューブ2内の水を排水管50から排出する実施例1,2では、灌水チューブ2内の水を排水管50から排出しない比較例1に比べて、灌水チューブ2の弛みも抑えられている。
【0129】
さらに、実施例1,2の水抜き時間の測定結果に示されるように、灌水チューブ2に対する排水管50の設置位置が低くなるにつれて、灌水チューブ2内の水の排出に要する時間がより短縮されている。