【文献】
Anagnostis E. Zachariades,The preparation of multiaxially oriented polyethylene morphologies with high mechanical properties in planar direactions,Journal of Applied Polymer Science,1984年 3月,Vol. 29, No. 3,pp. 867 - 875
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のようにヒートシールによってフィン部を形成すると、かかるフィン部がヒートシールされていない他の部分よりも肉厚になり、その結果、灌水チューブが巻き取られる際に、肉厚の差によってヒートシール部が重ならずに少しずつズレるといった巻ずれが生じるおそれがある。特に、灌水チューブの長さは100m程度に及ぶ場合があり、かかる灌水チューブが巻き取られる際には、その巻ずれは多大なものとなり、ひいては巻が崩れることにつながる。
【0007】
しかも、このような巻ずれは、円形ダイを用いたインフレーション加工を用いて灌水チューブを形成する場合だけでなく、T字状のダイス(Tダイ)を用いた(押出)加工を用いて形成した樹脂シート(チューブ原反)を重ね合わせ、幅方向両端部をヒートシールすることによってフィン部を形成する場合にも生じ得る。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、巻ずれが抑制された灌水チューブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく本発明者らが鋭意研究したところ、ヒートシールによって生じるヒートシール部の肉厚の増加の程度は、ヒートシールを行う前において、ポリエチレン系の樹脂チューブ(円筒状の樹脂シート)やポリエチレン系の板状の平坦なチューブ原反シート(板状の樹脂シート)を溶融押出加工する際に使用する加工機の種類や加工条件に依存して大きく異なることがわかった。
ここで、農業用の灌水チューブにおいては、その用途の性質上、長尺のチューブの巻き取りが、製造時及び継続使用時においても重要であり、ヒートシール部の膨張によるわずかな寸法変化によっても巻崩れ等を引き起こす重大な問題に繋がる。
一方、ポリエチレン等の高分子は、通常、鎖状の分子形態をなすが、溶融状態でシート状に加工される際、剪断や伸張変形を受け、押出方向や押出方向に垂直な方向に配向することが、一般的に知られている。
かかる知見に基づいてさらに鋭意研究したところ、ヒートシール部の肉厚の増加は、樹脂シートを形成する樹脂の配向の程度、すなわち、ヒートシールする前のチューブ本体の配向の程度に関係することを見出し、さらに、ヒートシール部の肉厚の増加を抑制できる適正な配向範囲を、広角X線散乱の散乱強度の比として示し得ることを見出した。
具体的には、チューブ本体を構成する樹脂シートについて測定された広角X線散乱の散乱強度の比率(最小散乱強度(Ib)に対する最大散乱強度(Ia)の比率(Ia/Ib))が、上記配向の異方性と配向の程度とに関連しており、この比率が大きくなると樹脂分子鎖の配向異方性が存在し、しかも、その配向異方性の程度が大きくなることを示す。この比率が大きいときには、ヒートシート部の肉厚の増加が生じ、一方、この比率を小さくすることによって、ヒートシール部の肉厚の増加を、問題のないレベルに抑制し得ることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る灌水チューブは、
ポリエチレン系の樹脂シートがヒートシールされることによって形成されたチューブ本体及びヒートシール部を有しており、
チューブ本体の法線方向からX線を入射させて得られる広角X線散乱パターンにおいて、2θ=23〜24°に散乱ピークを示すポリエチレン(2,0,0)結晶面の方位角−散乱強度分布曲線の、最小散乱強度(Ib)に対する最大散乱強度(Ia)の比率(Ia/Ib)が、下記数式(1)を満たすように構成されている。
1.0≦Ia/Ib≦2.0 ・・・(1)
【0011】
ここで、方位角−散乱強度分布曲線とは、樹脂シートを広角X線散乱によって測定して得られた特定散乱角2θの散乱強度を方位角に対してプロットしたものであって、方位角の各角度ごとの散乱強度分布を示すグラフを意味する。また、方位角は、樹脂シートのX線照射点を中心に適当な一方向を基準にした回転角を言う。例えば、樹脂シートの幅方向(押出方向に垂直な方向)をTD方向、長さ方向(押し出し方向に平行な方向)をMD方向としたとき、TD方向を0°とし、該0°から360°(=0°)までの角度として、加工方向(押し出し方向)と対応づけて方位角を設定することも可能である。
【0012】
かかる構成によれば、樹脂シートについて測定された上記比率(Ia/Ib)が上記数値範囲を満たすことによって、該樹脂シートがヒートシールされて形成されたヒートシール部がチューブ本体よりも、問題となるレベルに隆起することを抑制し得るため、灌水チューブの巻ずれを抑制し得る。
【発明の効果】
【0013】
以上の通り、本発明によれば、巻ずれが抑制された灌水チューブが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態の灌水チューブについて、図面を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態の灌水チューブ10は、
ポリエチレン系の樹脂シートがヒートシールされることによって形成されたチューブ本体及びヒートシール部を有しており、
チューブ本体の法線方向からX線を入射させて得られる広角X線散乱パターンにおいて、2θ=23〜24°に散乱ピークを示すポリエチレン(2,0,0)結晶面の方位角−散乱強度分布曲線の、最小散乱強度(Ib)に対する最大散乱強度(Ia)の比率(Ia/Ib)が、下記数式(1)を満たすように構成されている。
【0017】
灌水チューブ10は、ポリエチレン系の樹脂シートによって形成されており、
図1に示すように、上記樹脂シートによって環状に形成されたチューブ本体11と、上記樹脂シートがヒートシールされることによって形成されたヒートシール部21とを備える。
【0018】
チューブ本体11は、内部に水が通水され、複数の散水孔から水を噴出する通水部として機能する。
チューブ本体11は、内部に水が通水されるように形成され、且つ、前記内部の水を外部に噴出させる複数の散水孔(不図示)が長手方向に所定のパターンで形成されている。本実施形態では、チューブ本体11は、内部に通水された状態で円筒状であるように形成されている。また、チューブ本体11の内部には、不図示の給水装置から水が供給されるようになっている。また、
図2に示すように、通水されていない場合には、チューブ本体11(すなわち灌水チューブ10)は、平坦な状態となっている。
【0019】
チューブ本体11の厚みは、0.1〜10mmが好ましく、0.15〜5mmがより好ましく、0.15〜3mmがさらに好ましい。
【0020】
通水されている状態でのチューブ本体11の内径(直径)は、5〜200mmが好ましく、5〜150mmがより好ましく、10〜100mmがさらに好ましい。
【0021】
上記散水孔の形状は、特に限定されるものではなく、適宜設計され得る。かかる散水孔としては、例えば、いわゆる垂直散水孔や、斜め孔といった垂直散水孔以外の非垂直散水孔等が挙げられる。
【0022】
ヒートシール部21は、チューブ本体11の幅方向両端部の少なくとも一方側から外側に突出しており、ここでは、幅方向両端部から外側に突出している。すなわち、ここでは、ヒートシール部21は、フィン部に相当する。
ヒートシール部21は、後述するように、筒状のチューブ本体の幅方向少なくとも一方の端部がヒートシールされることによって、1つの板状の樹脂シートをチューブ原反シート17とし、これが折り曲げられて重なり合った端部同士をヒートシートすることによって、または、2つの板状の樹脂シートをチューブ原反シート17とし、これらが重ね合わされて幅方向両端部がヒートシールされることによって、形成される。このようにヒートシール部21が形成されることによって、チューブ本体11も形成される。
【0023】
チューブ本体11及びヒートシール部21の形成材料である樹脂シートの原料(材質)は、ポリエチレン系樹脂であれば特に限定されるものではない。かかるポリエチレン系樹脂として、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)や、これらの2種以上を目的に応じた比率で混合した組成物等が挙げられる。これらのうち、強度の面から、低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体系樹脂またはそれを含有する上記組成物が好ましい。かかる組成物としては、例えば、エチレン−αオレフィン共重合体/低密度ポリエチレン組成物、エチレン−αオレフィン共重合体/高密度ポリエチレン組成物、エチレン−αオレフィン共重合体/EVA組成物等が好ましい。
低密度ポリエチレンは、その密度が917〜930kg/m
3であることが好ましい。かかる低密度ポリエチレンとしては、直鎖状低密度ポリエチレンや、高圧法低密度ポリエチレン等が挙げられる。
ここで、灌水チューブにおいては、適当な柔軟性、耐圧性といった機械的強度特性や、耐熱性、耐候性、耐摩耗性といった特性等が要求される。
この点に関し、ポリエチレン系樹脂が、ポリエチレン樹脂、エチレン‐αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体から選択される1種または2種以上の混合物であることによって、これらの特性をバランス良く発揮し得る。
【0024】
なお、上記樹脂シートには、カーボンブラック等の添加剤が含有されていてもよい。
【0025】
上記樹脂シートは、上記に例示される原料を押出加工することによって形成されている。
かかる樹脂シートは、広角X線散乱によって測定したときポリエチレン(2,0,0)結晶面の方位角−散乱強度分布曲線における最小散乱強度(Ib)に対する最大散乱強度(Ia)の比率(Ia/Ib)が、下記数式(1)を満たす
1.0≦Ia/Ib≦2.0 ・・・(1)
【0026】
上記樹脂シートの最大散乱強度(Ia)及び最小散乱強度(Ib)は、以下のようにして測定する。
【0027】
すなわち、
図3に示すように、樹脂シートの長さ方向(押し出し方向)をMD方向、幅方向(押し出し方向に垂直な方向)をTD方向とし、MD方向が上下方向、TD方向が水平方向となるように樹脂シートを設置する。広角X線散乱装置を用い、設置した樹脂シート(
図3のシート試料)に対して法線方向からX線を入射させ、樹脂シートの後方に該樹脂シートと平行(X線の入射方向に垂直)に配置された平板フィルム上に当たった散乱光のうち、ポリエチレン(2,0,0)結晶面での散乱光の散乱強度のピーク(2θ=23〜24°)を、二次元検出器によって測定する。なお、
図3において、X線源は、銅(Cu)に電子を衝突させ、特定波長のX線を発生させる光源であり、コリメータは、X線光を平行にする部材である。
【0028】
この測定によって、
図4に示すような円環状の散乱光の強度パターンが得られる。
図4では、エチレン−αオレフィン共重合体系樹脂によって形成された樹脂シートの散乱強度パターンを例示する。かかる円環状散乱光のパターンは、デバイリングと呼ばれる。
図4に観察される二つのリングの内、内側はポリエチレン(1,1,0)結晶面の散乱に対応し、外側はポリエチレン(2,0,0)結晶面の散乱に対応する。
【0029】
そして、TD方向を方位角α=0°として反時計回りに方位角α=360°まで散乱強度を読み取ってグラフ化し、方位角−散乱強度分布曲線を得る(
図5参照)。このグラフにおいて、作図上描かれているα=360°の方位角を除く方位角(0°≦方位角<360°)において最も小さい散乱強度を、最小散乱強度(Ib)として取得し、最も大きい散乱強度を最大散乱強度(Ia)として取得する。そして、最小散乱強度(Ib)に対する最大散乱強度(Ia)の比率(Ia/Ib)を算出する。ポリエチレン系樹脂が無配向状態(特定の方向に配向をもたない)である場合には、Ia/Ibは1.0となり、一方、ポリエチレン系樹脂の特定の方向への配向が激しくなる程、Ia/Ibが増大する。
【0030】
上記Ia/Ibは、1.0以上2.0以下であり、1.0以上1.8以下が好ましく1.0以上1.6以下がより好ましい。
Ia/Ibが2.0を超えると、ヒートシール部の厚みが大きくなり、巻崩れを起こし易くなると共に、水圧が異常なレベルまで上がった際に、ヒートシール部に沿ってチューブ本体が破壊し易くなり、チューブ本体の耐圧性も悪化する。例えば、実際の灌水時に、送水圧力操作を間違えて水圧が耐圧限界を超えた場合には、チューブ本体のヒートシール部に沿った部分に破壊が起こり、部分的に大量の水が放水され、その結果、破壊が起こった部分の近傍の農作物に被害を与える可能性がある。しかし、Ia/Ibが2.0以下であることによって、巻崩れを抑制すると共に、異常な水圧がかかった際のチューブ本体のヒートシール部に沿った破壊のし易さを低減し得る(すなわち、破壊し難くし得る)。
一方、Ia/Ibが小さい程、ヒートシールによるヒートシール部の肉厚の増加が少なくなり、巻崩れが起こり難く、良好な製品が得られる傾向にあるが、Ia/Ibは、上記無配向状態のときに最小値となり、その値は1.0である。Ia/Ibが最小値1.0の場合、無配向状態となりヒートシール後の厚みの増加が小さく、ヒートシール部に沿った破壊も起こらない。
【0031】
Ia/Ibの値と昇圧時の破壊挙動との関係は、樹脂の配向状態と破壊挙動との関係と同じであると考えられる。チューブ本体に注水して内部から圧力をかけると、チューブ本体にはMD・TDのいずれの方向にも張力が作用するが、チューブ本体のヒートシール部の付け根付近では、TD方向の張力に対して応力集中が発生する傾向にある。例えば、MD方向に分子鎖が配向している樹脂製品の極端な例として、ポリプロピレン製の荷造り用延伸テープ等が挙げられるが、このようなテープでは、手でつかむ等して配向方向(MD方向)に垂直なTD方向に力をかけると、テープの応力が集中した部位からMD方向に沿った裂けが、簡単に発生する傾向にある。このように、MD方向に分子鎖の配向が激しいチューブ本体では、チューブ内圧が高い場合に、応力が集中しているヒートシール部に沿って、すなわちMD方向に沿って、破壊が起き易いと推察される。
【0032】
灌水チューブ10の製造方法は、特に限定されるものではないが、上記に例示される原料を、円筒状のダイスを用いたインフレーション(押出)加工で筒状チューブを形成した後、該筒状チューブに散水孔を穿孔し、幅方向両端部をヒートシールすることによってヒートシール部を有する灌水チューブを形成する方法が挙げられる。この場合、上記筒状のチューブが樹脂シートに相当する。
上記に例示される原料を、T字状のダイスを用いた(押出)加工で平坦な樹脂シートを形成し、所定の大きさに切断して得られた2枚の樹脂シートに散水孔を穿孔した後、これら2枚の樹脂シートを重ね合わせ、幅方向両端部をヒートシールすることによってヒートシール部を有する灌水チューブを形成する方法も挙げられる。
【0033】
上記Ia/Ibは、樹脂シートの原料の種類を適宜選択し、押出加工時のシリンダー温度、ダイス温度、ダイスギャップ間隔、引取速度や、冷却固化条件といった製造条件を調整することによって調整され得る。
【0034】
Ia/Ibを上記範囲に設定し得る灌水チューブの製造条件は、各加工機の構造や大きさ等により大きく異なるため、これらに応じて適宜設定され得る。
【0035】
例えば、用いるポリエチレン系樹脂を、その粘度がより低い状態で押出し、厚みを決定するための延伸を極力低くするようにして灌水チューブを製造することが好ましい。
【0036】
一般的に、押出機の温度を高めに設定することによって、押し出されるポリエチレン系樹脂の粘度を低く抑える。これに加えて、Tダイ加工を採用する場合には、スリット状ダイスから押し出されたポリエチレン系樹脂を、2つのロールによって挟んで目標のシート厚みに調整しながら冷却固定する工程において、上記スリット状ダイスから押し出す際のシート厚みを比較的小さく設定する一方、2つのロール間のギャップ(間隔)を比較的大きく設定することによって、溶融シート厚みが2つのロールによって過度に絞られないようにしつつ、2つのロールの温度を可能な範囲で高く設定することによって、Ia/Ibを相対的に低く抑え、上記範囲に設定することができる。
【0037】
一方、インフレーション加工を採用する場合には、上記と同様、押し出されるポリエチレン系樹脂の粘度を低く抑える。これに加えて、円形ダイスのリップギャップをチューブ厚みに対してあまり厚く設定せず、且つ、低い引き落とし速度を選定すると共に、チューブ径を円形ダイス径に近い径に設定して、引取方向に垂直な方向の延伸の程度を低く抑えることによって、Ia/Ibを相対的に低く抑え、上記範囲に設定することができる。
【0038】
上記穿孔方法としては、例えば、チューブ本体11にレーザー光の照射を行うことが挙げられる。
【0039】
上記した本実施形態の灌水チューブ10によれば、上記樹脂シートについて測定された上記比率(Ia/Ib)が上記数値範囲を満たすことによって、該樹脂シートがヒートシールされて形成されたヒートシール部21が、チューブ本体11よりも隆起する(ヒートシール部21の厚みの方がチューブ本体11の厚みよりも大きくなる)ことを抑制し得るため、灌水チューブ10の巻ずれを抑制し得る。
【0040】
以上の通り、本実施形態によれば、巻ずれが抑制された灌水チューブ10が提供される。
【実施例】
【0041】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
(使用材料)
下記表1に示す原料を用いた。
【0043】
【表1】
【0044】
(チューブ原反の作製)
上記原料をφ65mmのTダイ押出機(住友重機械モダン社製)に投入し、表2に示す各条件を用いて、引取機(住友重機械モダン社製)によって引き取ることによって、厚み550μm、幅65.0mmのチューブ用の長尺なチューブ原反シート(円筒状ではない板状の平坦な樹脂シート)を作製した。
【0045】
【表2】
【0046】
(灌水チューブの作製)
下記のヒートシール条件を用い、得られたチューブ原反を2枚重ね合わせて移動させながら、幅方向両端部を上下から加熱した金型で挟んでヒートシールし、ヒートシールされた原反シートが金型から出された後、15℃の水の中を5秒間で通過させることによって、冷却した。このようにして、チューブ本体とヒートシール部とを有する灌水チューブを作製した。
・ヒートシール条件
シール温度:260℃
加圧時間 :3秒
移動速度:10m/分
【0047】
(散乱強度の測定)
上記灌水チューブの作製において得られた、ヒートシールを行っていない長尺のチューブ原反シートを、下記測定条件、解析条件に従って、広角X線散乱装置としてX線発生装置(Nano‐Viewrer Micro‐max007)を用い、下記の条件でX線を照射し、ポリエチレン(2,0,0)結晶面に対応する散乱角2θ=23〜24°の散乱強度を方位角0〜360°で測定することによって、方位角−散乱強度分布曲線を得た。
【0048】
・測定条件
Cu‐Ka 40V‐20mA
X線波長:1.5Å
検出機距離:WAXS 70mm
検出機:PILATUS100K/R
露光時間:2分
【0049】
・解析条件
広角X線散乱装置(X線発生装置(Nano‐Viewrer Micro‐max007))を用い、チューブ原反シートに対して法線方向(シートに垂直な方向)からX線を入射させ、
図1に示すように、散乱強度を検出する光学系で原反シートのMD(押出)方向が上下方向となるように設定した。
チューブ原反の長さ方向(押し出し方向)をMD方向、幅方向(押し出し方向に垂直な方向)をTD方向とし、MD方向が上下方向、TD方向が水平方向となるようにチューブ原反を設置した。広角X線散乱装置を用い、設置したチューブ原反に対して法線方向からX線を入射させ、チューブ原反の後方に該チューブ原反シートと平行(X線の入射方向に垂直)に配置された平板フィルム上に当たった散乱光のうち、ポリエチレン(2,0,0)結晶面に対応する散乱ピーク(2θ=23〜24°)の強度を、二次元検出器(PILATUS100K/R)によって測定し、円環状の散乱光の散乱強度パターンを、TD方向を方位角α=0°として反時計回りに方位角α=360°までの散乱強度を読み取ってグラフ化して、方位角-散乱強度分布曲線を得た。結果を
図6〜
図13に示す。
このグラフにおいて、α=0°及び360°の方位角を除く方位角において最も小さい散乱強度を、最小散乱強度(Ib)として読み取って取得し、最も大きい散乱強度を最大散乱強度(Ia)として読み取って取得した。そして、最小散乱強度(Ib)に対する最大散乱強度(Ia)の比率(Ia/Ib)を算出した。結果を、後述する厚みの膨張率との関係として
図15に示す。
【0050】
(厚み測定)
図14に示すように、上記で得られた灌水チューブについて、マイクロメータを用いてヒートシール部の厚み、及び、チューブ本体(ヒートシールされていない部分)の厚みをそれぞれ測定し、下記の数式に基づいて、ヒートシール部の厚みの膨張率を算出した。算出された膨張率と、上記比率(Ia/Ib)との結果を求めた。結果を、
図15に示す。
ヒートシール部の厚みの膨張率=(ヒートシール部の厚み(Ta))/(チューブ本体の厚み(Tn))
【0051】
(耐圧強度の測定)
2つのチューブ原反シートの片側に同じパターンの散水孔を形成したこと以外は上記と同様に2つのチューブ原反シートをヒートシールすることによって、灌水チューブを作製した。
得られた灌水チューブの長さ方向一端部を冶具で封止し、他端部にバルブを介して給水ポンプに接続した。給水ポンプを始動し、バルブを調整することによって、灌水チューブの入口に設置した置針式の圧力計を設置し、該圧力計が示す圧力が0.25MPaとなるようにバルブを開き、この状態で1分間保持した後、異常(チューブ破壊)の有無を確認した。
破壊が発生しなかった灌水チューブについては、バルブを全開にして入口圧力を上昇させ、灌水チューブが破裂した時の圧力を、上記置針式の圧力計の最高圧力指示値として読み取った。結果を表3に示す。比較例1の灌水チューブは、
図16に示すように、ヒートシール部に沿って破壊が生じた。これに対し、実施例1〜3では、ヒートシール部での破壊は生じず、散水孔が広がった結果、圧力低下が生じた。このように、実施例1〜3の方が、比較例1よりもヒートシール部のシール強度が大きいといえることがわかった。また、比較例1のようにシール部に沿った破壊が生じると、その破壊部分がシール部に沿って大きくなり、局所的に大量の水が吐き出される結果、付近の農作物に致命的被害を与えるおそれがある。
【0052】
【表3】