特許第6647551号(P6647551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647551
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】流体圧機器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   F15B15/14 370
   F15B15/14 360
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-202708(P2015-202708)
(22)【出願日】2015年10月14日
(65)【公開番号】特開2017-75632(P2017-75632A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(72)【発明者】
【氏名】原 耕二
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】石橋 康一郎
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−240936(JP,A)
【文献】 特開昭62−046007(JP,A)
【文献】 米国特許第4002107(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0032027(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00−15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にピストン室を有した筒状のボディと、前記ボディの端部に装着されるカバー部材と、前記ピストン室に沿って変位自在に設けられるピストンとを有する流体圧機器において、
前記カバー部材は、前記ボディの端部に開口し前記ピストン室より大径で形成された段部に挿入され係合され、該端部を変形させることで形成された変形部によって軸方向の移動が規制され固定されると共に、前記端部から前記段部までの軸方向距離が前記カバー部材の軸方向長さよりも大きく形成されることを特徴とする流体圧機器。
【請求項2】
請求項1記載の流体圧機器において、
前記変形部は、前記ピストン室の内周面から半径内方向へ膨出するように形成されることを特徴とする流体圧機器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の流体圧機器において、
前記カバー部材は、前記ピストンの一端部側に設けられるヘッドカバーであることを特徴とする流体圧機器。
【請求項4】
請求項1又は2記載の流体圧機器において、
前記カバー部材は、前記ピストンの他端部側に設けられ、前記ピストンに連結されたピストンロッドを軸方向に沿って変位自在に支持するロッドカバーであることを特徴とする流体圧機器。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の流体圧機器において、
前記カバー部材が前記ボディへと固定されることで該ピストン室と前記カバー部材との間がシールされることを特徴とする流体圧機器。
【請求項6】
内部にピストン室を有した筒状のボディと、前記ボディの端部に装着されるカバー部材と、前記ピストン室に沿って変位自在に設けられるピストンとを有した流体圧機器を製造するための製造方法であって、
前記ボディの端部に開口した開口部に前記カバー部材を挿入し、前記ピストン室より大径で形成され前記端部からの軸方向距離が前記カバー部材の軸方向長さよりも大きく形成された段部に係合させることで前記ピストン側への移動を規制する工程と、
前記端部を治具によって軸方向に押圧することで、前記端部を前記開口部内へ膨出するように塑性変形させ、塑性変形した変形部によって前記カバー部材の前記ピストン側とは反対側への移動を規制する工程と、
を有することを特徴とする流体圧機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力流体の供給作用下にピストンを軸方向に沿って変位させる流体圧機器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、ワーク等の搬送手段として、例えば、流体圧機器である流体圧シリンダを提案している(特許文献1参照)。この流体圧シリンダでは、例えば、筒状のシリンダチューブと、該シリンダチューブの端部に設けられる一組のシリンダカバーと、前記シリンダチューブの内部に変位自在に設けられるピストンとを有し、前記シリンダカバーのポートへ圧力流体を供給することで、前記シリンダチューブ内に導入された圧力流体によってピストンを押圧して軸方向に沿って変位させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5212773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した流体圧シリンダでは、シリンダチューブの端部にシリンダカバーを装着する際、該シリンダカバーを内部に挿入した後に、係止リングを前記シリンダチューブの内周面に形成された溝部へと係合させることで、前記係止リングによって前記シリンダカバーを固定する構成としている。また、シリンダカバーの外周面に形成された環状溝にシール部材を設けておくことで、前記シリンダカバーと前記シリンダチューブとの間の気密を保持している。
【0005】
また、近年、製造コストの削減や組付工数の低減を目的とし、部品点数の削減が要請されている。
【0006】
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、より簡素な構成で、ボディに対してカバー部材を確実に固定しつつシール性を確保することが可能な流体圧機器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、内部にピストン室を有した筒状のボディと、ボディの端部に装着されるカバー部材と、ピストン室に沿って変位自在に設けられるピストンとを有する流体圧機器において、
カバー部材は、ボディの端部に開口しピストン室より大径で形成された段部に挿入され係合され、端部を変形させることで形成された変形部によって軸方向の移動が規制され固定されると共に、端部から段部までの軸方向距離がカバー部材の軸方向長さよりも大きく形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、流体圧機器を構成するボディには、その端部に開口したピストン室の内部にカバー部材が挿入され、ボディの端部を変形させ形成された変形部によって軸方向への移動が規制される。
【0009】
従って、ボディの端部にカバー部材を装着する際、カバー部材の軸方向への移動を規制するための係止手段を設ける必要がなく、しかも、カバー部材とボディとの間にシール手段を設ける必要もないため、従来の流体圧機器と比較し部品点数を削減することができる。
【0010】
その結果、従来の流体圧機器に対して構成の簡素化を図りつつ、カバー部材をボディの端部へ確実に固定でき、しかも、カバー部材によってピストン室の気密を保持してシール性を確保することが可能となる。
【0011】
また、変形部を、ピストン室の内周面から半径内方向へ膨出させるように形成するとよい。
【0013】
さらにまた、カバー部材を、ピストンの一端部側に設けられるヘッドカバーとするとよい。
【0014】
またさらに、カバー部材を、ピストンの他端部側に設けられ、ピストンに連結されたピストンロッドを軸方向に沿って変位自在に支持するロッドカバーとするとよい。
【0015】
また、カバー部材をボディへと固定することでピストン室とカバー部材との間をシールさせるとよい。
【0016】
さらに、本発明は、内部にピストン室を有した筒状のボディと、ボディの端部に装着されるカバー部材と、ピストン室に沿って変位自在に設けられるピストンとを有した流体圧機器を製造するための製造方法であって、
ボディの端部に開口した開口部にカバー部材を挿入し、ピストン側への移動を規制する工程と、
端部を治具によって軸方向に押圧することで、端部を開口部内へ膨出するように塑性変形させ、塑性変形した変形部によってカバー部材のピストン側とは反対側への移動を規制する工程と、
を有することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、流体圧機器を構成するボディには、端部に開口した開口部にカバー部材を挿入しピストン側への移動を規制した後、治具によって端部を軸方向に押圧し、端部を開口部内へ膨出するように塑性変形させることで、塑性変形した変形部によってカバー部材のピストン側とは反対側への移動を規制している。
【0018】
従って、ボディの開口部にカバー部材を挿入し、ボディを治具によって塑性変形させることで、容易にカバー部材を開口部内において軸方向への移動が規制された状態として固定することができる。
【0019】
その結果、ボディの開口部にカバー部材を挿入した状態で、治具によってボディの端部を押圧して塑性変形させることで、カバー部材の軸方向に沿った移動を規制して確実に固定できると共に、カバー部材によるピストン室の気密を保持してシール性を確保することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0021】
すなわち、流体圧機器を構成するボディには、その端部に開口したピストン室の内部にカバー部材が挿入され、ボディの端部を変形させ形成された変形部によって軸方向への移動を規制することで、カバー部材の移動を規制する係止手段や気密を保持するためのシール手段が不要となるため、従来の流体圧機器に対して構成の簡素化を図りつつ、カバー部材をボディの端部へ確実に固定でき、しかも、カバー部材によってピストン室の気密を保持してシール性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る流体圧シリンダの全体断面図である。
図2図1の流体圧シリンダにおけるヘッドカバー近傍を示す拡大断面図である。
図3図1の流体圧シリンダを製造する過程において、シリンダチューブの第1段部にヘッドカバーを挿入する前の状態を示す拡大断面図である。
図4図3の流体圧シリンダのシリンダチューブに対してヘッドカバーを挿入し、加締め用治具を前記シリンダチューブに当接させた状態を示す拡大断面図である。
図5図4のシリンダチューブを加締め用治具によって変形させ始めた状態を示す拡大断面図である。
図6図6Aは、第1変形例に係る加締め用治具の先端近傍を示す拡大断面図であり、図6Bは、第2変形例に係る加締め用治具の先端近傍を示す拡大断面図である。
図7】本発明の第2の実施の形態に係る流量制御装置の全体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る流体圧機器及びその製造方法について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係る流体圧機器である流体圧シリンダを示す。
【0024】
この流体圧シリンダ10は、図1に示されるように、円筒状のシリンダチューブ(ボディ)12と、該シリンダチューブ12の一端部12a側(矢印A方向)に装着されるヘッドカバー(カバー部材)14と、前記シリンダチューブ12の他端部12b側(矢印B方向)に装着されるロッドカバー(カバー部材)16と、前記シリンダチューブ12の内部に変位自在に設けられるピストン18を含む。
【0025】
シリンダチューブ12は、軸方向(矢印A、B方向)に沿って略一定直径で延在した円筒体からなり、その内部にはピストン18が収容されるシリンダ室(ピストン室)20が形成される。
【0026】
また、シリンダチューブ12の外周面には、その両端部近傍に一組のポート22a、22bが形成され、前記シリンダチューブ12の内部と連通している。そして、ポート22a、22bには、図示しない圧力流体供給源と接続された配管を通じて圧力流体が供給・排出される。
【0027】
一方、シリンダチューブ12の一端部12a及び他端部12bには、その内周面がシリンダ室20に対して半径外方向に拡径した第1及び第2段部(段部)24、26がそれぞれ形成される。この第1段部24は、シリンダチューブ12の一端部12aから他端部側12b(矢印B方向)に向かって所定長さで形成され、ヘッドカバー14が装着される。第2段部26は、シリンダチューブ12の他端部12bから一端部側12a(矢印A方向)に向かって所定長さで形成されロッドカバー16が装着される。
【0028】
ヘッドカバー14は、例えば、金属製材料から円盤状に形成され、シリンダチューブ12の第1段部24内へと挿入される。なお、第1段部24の内周径は、ヘッドカバー14の直径と略同等に形成されている。
【0029】
そして、シリンダチューブ12の一端部12aを加締め用治具(治具)50によって軸方向(矢印B方向)へ押圧し、半径内方向に膨出させるように塑性変形させることで、第1段部24の内周径が縮径することとなり、ヘッドカバー14の外縁部が変形したシリンダチューブ12の一部、すなわち、変形部28によって覆われる。これにより、ヘッドカバー14は、塑性変形したシリンダチューブ12の一端部12aと第1段部24との間に挟持され保持される。
【0030】
また、シリンダチューブ12の一端部12aには、加締め用治具50の加工部54によって拡径された断面円形状の加工穴58aが形成され、該加工穴58aは、例えば、流体圧シリンダ10を固定する際の位置決め等に用いられるインロー孔(位置決め孔)として機能する。
【0031】
そして、シリンダチューブ12の一端部12aがヘッドカバー14によって閉塞され、シリンダ室20の一端部側(矢印A方向)が密封された状態となる。
【0032】
ロッドカバー16は、例えば、金属製材料から軸方向に沿って所定長さを有した円筒状に形成され、その中央部にはピストンロッド30の挿通されるロッド孔32が形成されると共に、前記ロッド孔32の内周面にはブッシュ34及びロッドパッキン36が装着される。このロッドカバー16は、シリンダチューブ12の他端部12b側から第2段部26内へと挿入される。なお、第2段部26の内周径は、ロッドカバー16の直径と略同等に形成されている。
【0033】
そして、シリンダチューブ12の他端部12bを加締め用治具50によって軸方向(矢印A方向)に押圧し、半径内方向に膨出させるように塑性変形させることで、第2段部26の内周面が縮径することとなり、ロッドカバー16の外縁部が変形したシリンダチューブ12の一部、すなわち、変形部38によって覆われる。これにより、ロッドカバー16は、塑性変形したシリンダチューブ12の他端部12bと第2段部26との間に挟持され保持される。
【0034】
また、シリンダチューブ12の他端部12bには、その一端部12aと同様に加締め用治具50の加工部54によって拡径された断面円形状の加工穴58bが形成され、該加工穴58bを、例えば、流体圧シリンダ10を固定する際の位置決め等に用いられるインロー孔として用いるようにしてもよい。
【0035】
ピストン18は、例えば、断面円形状に形成され、その外周面には、環状溝を介してピストンパッキン40、磁性体42及びウェアリング44が装着されている。そして、ピストン18の中央部には、軸方向(矢印A、B方向)に沿って貫通したピストン孔18aが形成され、前記ピストン孔18aにピストンロッド30の一端部が挿通され連結される。そして、ピストンロッド30の他端部がロッドカバー16のロッド孔32に挿通されブッシュ34によって変位自在に支持される。
【0036】
また、ピストン18における一端面及び他端面には、軸方向(矢印A、B方向)に若干だけ突出するようにダンパ46a、46bがそれぞれ装着されており、前記ピストン18の変位作用下に一方のダンパ46aがヘッドカバー14へと当接し、他方のダンパ46bがロッドカバー16へと当接する。このダンパ46a、46bはゴム等の弾性材料から形成されているため、ピストン18がヘッドカバー14及びロッドカバー16に対して直接接触することを防止し、変位終端位置における衝撃及び衝撃音の発生を抑制している。
【0037】
本発明の第1の実施の形態に係る流体圧シリンダ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその製造方法について説明する。なお、ここでは、シリンダチューブ12の一端部12aに対してヘッドカバー14を装着する場合について説明する。
【0038】
先ず、ヘッドカバー14の装着に使用される加締め用治具50について説明する。この加締め用治具50は、図4及び図5に示されるように、例えば、所定直径を有した軸状に形成され、軸方向(矢印A、B方向)に進退動作する加圧装置(図示せず)に保持される本体部52と、該本体部52の先端に対して突出した加工部54とを有する。加工部54は、本体部52に対して小径で所定高さだけ突出するように形成され、その端部には加締め用治具50の軸線に対して略直交した平坦な加工面54aを有している。なお、加工部54は本体部52と同軸上に形成される。
【0039】
また、加工部54の直径は、図4に示されるように、加締めを行うシリンダチューブ12の一端部12aにおける第1段部24の直径より大きく、該第1段部24の内周面より半径外側となる部位がシリンダチューブ12の一端部12aに当接自在となる。換言すれば、加工部54は、シリンダチューブ12の一端部12aにおいて、第1段部24側となる内周側の一部が当接するような直径で形成される。
【0040】
次に、上述した加締め用治具50を用いてヘッドカバー14をシリンダチューブ12の一端部12aへと加締める場合には、先ず、図3に示されるように、例えば、その一端部12aが上方(矢印A方向)となるようにシリンダチューブ12を固定し、上方から円盤状のヘッドカバー14を挿入して第1段部24の底部へと係合させる(図4参照)。これにより、ヘッドカバー14は、シリンダチューブ12の内部において該シリンダチューブ12の軸線と略直交するように水平に載置される。
【0041】
次に、図4に示されるように、図示しない加圧装置にセットされた加締め用治具50の下方となるようにシリンダチューブ12を設置し、且つ、前記加締め用治具50と前記シリンダチューブ12とを同軸上に配置する。
【0042】
そして、図示しない加圧装置の駆動作用下に加締め用治具50を下降させ、その加工部54の加工面54aを前記シリンダチューブ12の一端部12aへと当接させた後、図5に示されるように、さらに下降させることで該加工面54aの外縁部によって前記一端部12aの内周側がヘッドカバー14側(矢印B方向)に向かって押圧される。
【0043】
このシリンダチューブ12の一端部12aは、図5に示されるように、第1段部24に臨む内周側がせん断されることで塑性変形し、該第1段部24の内周側に向かって膨出した変形部28となる。そして、この変形部28が、図2に示されるように、第1段部24においてヘッドカバー14の外縁部近傍を覆うことで、前記ヘッドカバー14が第1段部24の底面と塑性変形したシリンダチューブ12の変形部28とによって挟持され強固に固定されると共に、前記ヘッドカバー14と前記シリンダチューブ12との間を通じた気密が保持される。
【0044】
これにより、シリンダチューブ12の一端部12aに対してヘッドカバー14が装着され固定された状態となる。
【0045】
また、シリンダチューブ12の一端部12aには、上述した加締め用治具50によってせん断された加工穴58aが形成され、該加工穴58aは加工部54の外周径と略同一直径で断面円形状で所定深さに形成される。なお、加工穴58は、シリンダ室20の内周径より大きな直径で形成される。
【0046】
なお、ロッドカバー16をシリンダチューブ12の他端部12bの第2段部26へと装着する場合も、上述したヘッドカバー14の場合と基本的に同様であるため、その装着方法についての詳細な説明は省略する。
【0047】
次に、上述したように製造された流体圧シリンダ10の動作について、図1を参照しながら簡単に説明する。なお、図1に示されるピストン18がヘッドカバー14側(矢印A方向)に変位した状態を初期位置として説明する。
【0048】
先ず、図示しない圧力流体供給源から圧力流体をヘッドカバー14側に配置されたポート22aへと導入する。この場合、ロッドカバー16側に配置されたポート22bは、図示しない切換弁による切換作用下に大気開放状態としておく。これにより、圧力流体が、ポート22aからシリンダ室20へと供給され、前記シリンダ室20へと導入された圧力流体によってピストン18がロッドカバー16側(矢印B方向)へと押圧される。そして、ピストン18の変位作用下にピストンロッド30が一体的に変位し、ダンパ46bがロッドカバー16に当接することで変位終端位置となる。
【0049】
一方、ピストン18を前記とは反対方向(矢印A方向)に変位させる場合には、ロッドカバー16側のポート22bへ圧力流体を供給すると共に、ヘッドカバー14側のポート22aを切換弁(図示せず)の切換作用下に大気開放状態とする。そして、圧力流体が、ポート22bからシリンダ室20へと導入されることでピストン18がヘッドカバー14側(矢印A方向)へと押圧される。
【0050】
このピストン18がピストンロッド30と共にシリンダ室20に沿って変位し、ダンパ46aがヘッドカバー14に当接することで初期位置へと復帰する(図1参照)。
【0051】
以上のように、第1の実施の形態では、流体圧シリンダ10を構成するシリンダチューブ12の両端部(12a、12b)にシリンダ室20より拡径した第1及び第2段部24、26を設け、前記第1段部24にヘッドカバー14を挿入し、前記第2段部26にロッドカバー16を挿入した状態で、加締め用治具50によって前記シリンダチューブ12の両端部を軸方向に加圧して塑性変形させることで、前記塑性変形によって半径内方向に膨出した変形部28、38によってヘッドカバー14及びロッドカバー16をシリンダチューブ12に対して強固に固定することが可能となる。そのため、従来の流体圧シリンダで用いられていた係止リング、該係止リングを係合させるための溝部が不要となり、部品点数を削減することによる構成の簡素化を図ることができると共に、組付工数の削減を図ることも可能となる。
【0052】
また、ヘッドカバー14が変形部28と第1段部24の底面との間に挟持されることで、前記ヘッドカバー14を介してシリンダ室20との間のシールがなされ、ロッドカバー16が変形部38と第2段部26の底面との間に挟持されることで、前記ロッドカバー16を介してシリンダ室20との間のシールがなされるため、シール部材や該シール部材を装着するための環状溝を別に設ける必要がなく部品点数及び加工工数の削減を図ることができると共に、製造効率を向上させることができる。
【0053】
なお、上述した流体圧シリンダ10では、シリンダチューブ12の一端部12aに形成された第1段部24にヘッドカバー14を係合させ、他端部12bに形成された第2段部26にロッドカバー16を係合させ、それぞれ加締め用治具50によって加締めて固定する構成としているが、例えば、前記第1及び第2段部24、26を設けることなく、ヘッドカバー14及びロッドカバー16をシリンダチューブ12の内部に圧入した状態で、前記加締め用治具50によって加締めるようにしてもよい。
【0054】
この場合、ヘッドカバー14及びロッドカバー16は、シリンダチューブ12に対して圧入されているため軸方向(矢印A、B方向)に移動することがなく、しかも、軸方向外側への移動が塑性変形した変形部28、38によって規制されているため、前記ヘッドカバー14及びロッドカバー16に対してシリンダ室20の圧力が付与された場合でも、シリンダチューブ12から脱落してしまうことが防止される。
【0055】
すなわち、シリンダチューブ12に第1及び第2段部24、26を設ける必要がないため、加工コストを低減することができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0056】
さらに、シリンダチューブ12に対してヘッドカバー14及びロッドカバー16を加締める際、加締め用治具50の加工部54によって断面円形状の加工穴58a、58bがそれぞれ形成され、例えば、流体圧シリンダ10を他の装置や設置面等に固定する際のインロー孔として前記加工穴58a、58bを利用することができる。そのため、加工穴58a、58bを利用することで、流体圧シリンダ10の位置決め等を行うための孔部を別に設ける必要がなく、その加工工程を不要として製造時間の短縮を図ることができると共に、製造コストの削減も可能となる。
【0057】
また、加締め用治具50は、上述した加工部54の端面が平面状に形成されるものに限定されるものではなく、例えば、図6Aに示される加締め用治具60のように、加工部62の外縁部のみに平坦面64を有し、該平坦面64の内周側に上方(矢印A方向)に向かって徐々に傾斜したテーパ面66を有するものとしてもよい。さらに、図6Bに示される加締め用治具70のように、加工部72の下面が外縁部から中心に向かって徐々に上方(矢印A方向)へ向かうように傾斜したテーパ面74のみで構成されるものであってもよい。
【0058】
このようにテーパ面66、74を設けることで、加締め用治具60、70によってシリンダチューブ12の端部を軸方向に加圧して変形させる際、その変形して流動する肉をテーパ面66、74に沿って好適に半径内方向へと流動させることができるため、第1及び第2段部24、26の内周面に対して膨出させた変形部28、38を確実且つ安定的に形成することが可能となる。
【0059】
また、加締め用治具60における加工部62の外縁部に平坦面64を設けることで、前記加締め用治具60をシリンダチューブ12の一端部12a及び他端部12bへと当接させた際、面接触させることができるため確実且つ安定的に接触させて加締め作業を行うことが可能となる。
【0060】
次に、第2の実施の形態に係る流体圧機器として用いられる流量制御装置100を図7に示す。なお、この流量制御装置100は、通常時に圧力流体の流れが遮断されたノーマル・クローズ(NC)式の3ポート電磁弁である。
【0061】
この流量制御装置100は、図7に示されるように、圧力流体の供給・排出される接続ポート102等を有したボディ104と、前記ボディ104の端部に連結されたベース部材106と、前記ベース部材106に接続され通電作用下に前記圧力流体の流通状態を切り換えるパイロット弁108と、前記パイロット弁108の切換作用下に流通している圧力流体の流通状態を切り換えるスプール弁110とを含む。
【0062】
ボディ104は、例えば、断面矩形状で水平方向に沿って長尺に形成され、略中央部には軸方向(矢印A、B方向)に沿って貫通したスプール孔(ピストン室)112が形成され、スプール弁110が移動自在に設けられる。また、ボディ104における軸方向と直交する下端面には、給気ポート114、他の流体圧機器に接続される接続ポート102、排気ポート116が並んで形成される。この給気ポート114、接続ポート102及び排気ポート116は、それぞれスプール孔112に連通している。
【0063】
このスプール孔112の一端部には拡径した段部118が形成され、該段部118には円板状のヘッドカバー(カバー部材)120が収納され当接した状態で、図示しない加締め用治具によって前記段部118を周縁部を塑性変形させ径方向内側へ膨出させることで、変形した変形部122によってヘッドカバー120がスプール孔112の一端部に固定される。これにより、スプール孔112の一端部が確実に閉塞され、しかも、シールをするためのОリング等も不要となる。
【0064】
また、スプール孔112の一端部には、ヘッドカバー120を加締める際、加締め用治具(図示せず)によって形成された断面円形状の加工穴104aが形成される。この加工穴104aは、例えば、流量制御装置100を他の装置等に固定する場合のインロー孔として利用することが可能である。
【0065】
さらに、ボディ104は、その下端面がマニホールド124等に接続され、該マニホールド124を介して図示しない配管や流体圧機器へと接続されている。
【0066】
ベース部材106は、ボディ104の他端部を覆うように接続され、スプール孔112に臨む位置に形成されたピストン孔126にはピストン128が変位自在に設けられると共に、鉛直方向に延在したシャフト孔130に操作シャフト132が回転自在に螺合されている。
【0067】
また、シャフト孔130は、ボディ104に形成された連通路134を通じて給気ポート114と連通しているため、該給気ポート114へと供給された圧力流体がシャフト孔130へと導入される。
【0068】
パイロット弁108は、ベース部材106に対してボディ104とは反対側(矢印B方向)となる端部に接続され、図示しない制御装置からの制御信号に基づいてピストン孔126への圧力流体の供給状態を切り換えている。すなわち、ピストン孔126には、パイロット弁108の切換作用下に圧力流体が供給されピストン128がスプール弁110側(矢印A方向)に向かって付勢される。
【0069】
スプール弁110は、軸方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さを有した軸体からなり、その一端部及び他端部近傍の外周面には一組のОリング136a、136bが装着され、ベース部材106側となる他端部にはОリング136bに隣接するようにバルブパッキン138が装着されている。
【0070】
また、スプール弁110の外周面には、軸方向(矢印A、B方向)に沿った略中央部に径方向内側へと窪んだ環状凹部140が形成され、該環状凹部140の一端部及び他端部には、環状のシールリング142a、142bがそれぞれ設けられている。すなわち、スプール弁110の外周面において一組のОリング136a、136b、シールリング142a、142b及びバルブパッキン138が軸方向に沿って所定間隔離間して設けられ、それぞれスプール孔112の内周面に摺接可能である。
【0071】
次に、上述した流量制御装置100の動作について簡単に説明する。
【0072】
先ず、パイロット弁108に対して制御信号が入力されていない通常時には、給気ポート114へ供給される圧力流体がスプール孔112へと供給されることで、スプール弁110がベース部材106側(矢印B方向)へ向かって移動し、それに伴って、図7に示されるように、接続ポート102と排気ポート116とが連通している。
【0073】
次に、図示しない制御装置からパイロット弁108へと制御信号が入力されることで、ピストン孔126へ圧力流体が供給され、ピストン128がボディ104側(矢印A方向)に向かって押圧され、スプール弁110を押圧することでヘッドカバー120側へと移動する。これにより、接続ポート102と給気ポート114とが連通すると共に、前記接続ポート102と排気ポート116との連通が遮断される。そして、給気ポート114に供給された圧力流体がスプール孔112を通じて接続ポート102から図示しない流体圧機器へと供給される。
【0074】
以上のように、第2の実施の形態では、流量制御装置100を構成するボディ104のスプール孔112内に円板状のヘッドカバー120を挿入し、周縁部を径方向内側へと変形させて加締めて固定することで、前記スプール孔112の閉塞及びシールを同時に行うことができる。換言すれば、従来の流量制御装置で用いられていたキャップとОリングとを不要とすることができる。
【0075】
その結果、流量制御装置100において、部品点数の削減並びに組み付け工数の削減を図ることが可能となる。
【0076】
また、スプール孔112をヘッドカバー120によって容易に閉塞できることで、例えば、前記スプール孔112の一端部を塞いだ有底状とせずに貫通孔とすることができるため、前記スプール孔112を切削加工等によって形成する際に生じる切り粉の排出性を向上させることができる。
【0077】
なお、本発明に係る流体圧機器及びその製造方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0078】
10…流体圧シリンダ 12…シリンダチューブ
14、120…ヘッドカバー 16…ロッドカバー
18…ピストン 20…シリンダ室
24…第1段部 26…第2段部
28、38、122…変形部 30…ピストンロッド
50、60、70…加締め用治具 54、62、72…加工部
64…平坦面 66、74…テーパ面
100…流量制御装置 104…ボディ
106…ベース部材 108…パイロット弁
110…スプール弁 112…スプール孔
118…段部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7