(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の開口間の接続状態を切換える弁体を備えた主弁部と、該主弁部に対してパイロット流体を給排することにより上記弁体を動作させるための電磁式パイロット弁を備えた電磁操作部とを有していて、該電磁操作部が、上記パイロット弁を枠体に対して固定具で固定することにより構成されているパイロット式電磁弁であって、
上記枠体は、上記パイロット弁の設置面と、上記固定具を係止させるために互いに逆方向を向けて形成された一対の被係止部とを備えた弁取付枠を有し、
上記パイロット弁は、その外周に、上記設置面に対向する底面と、該底面と逆方向を向く天面と、これら底面と天面との間に延設されて互いに逆方向を向く一対の側面とを有しており、
上記固定具は、上記パイロット弁の一対の側面及び天面を取り囲むように略U字状に形成された第1帯状体と、該第1帯状体の長手方向の両端がそれぞれ連接され、上記弁取付枠の一対の被係止部にそれぞれ係止された一対の係止部とを有していて、
上記第1帯状体は、その長手方向において、上記パイロット弁の天面上に位置して内方向に突設された圧接部と、この圧接部の両側に連接された板バネ部とを有しており、
上記固定具の各係止部が上記弁取付枠の各被係止部にそれぞれ係止された状態において、上記圧接部が上記板バネ部の付勢力でパイロット弁の天面に圧接されることにより、パイロット弁が上記弁取付枠の設置面に対して押圧状態で固定されている、
ことを特徴とするもの。
【背景技術】
【0002】
主弁部に設けられた流路切換用の弁体を、電磁操作部に設けられたパイロット弁で動作させるパイロット式電磁弁は、例えば特許文献1に示すように、従来から一般的に知られている。そして、このような形態の電磁弁においては、通常、上記電磁操作部が、枠体に対してパイロット弁を固定具等で固定することにより構成されていて、該枠体が上記主弁部のハウジングに対して結合されている。
【0003】
図12−
図16は、パイロット弁を枠体に対し上記固定具を用いて固定した一例を示すものである。この例において、電磁弁60は、上記主弁部61と該主弁部に取り付けられた上記電磁操作部62とから構成されており、この電磁操作部62は、弁設置面64を備えて上記主弁部61のハウジング61aに結合された枠体63と、該弁設置面64に固定されたパイロット弁70とを有している。そしてここでは、該パイロット弁70を固定するために、
図12に示すように、一対のプレート状の側壁部81,81と、これら側壁部81,81同士を相互に連結するプレート状の連結部82とによって略U字状に形成された固定具80、並びに、パイロット弁70を上記弁設置面64に押圧するための固定ネジ84及び押圧プレート86が用いられている。
【0004】
具体的には、上記固定具80の側壁部81,81には係止孔83がそれぞれ形成されており、この固定具80を、
図13及び
図14に示すように、上記弁設置面64上に載置したパイロット弁70の天面70a及び側面70b,70bが上記連結部82と両側壁部81,81とで囲まれるように配置することによって、上記各係止孔83を、上記枠体63の両側面63a,63aに形成された係止爪65,65に対してそれぞれ係止させている。そして、
図12及び
図14に示すように、上記固定具の連結部82には、固定ネジ84を螺合させるためのネジ孔85が穿設されており、該ネジ孔85に螺合させた固定ネジ84の先端で、上記パイロット弁70の天面70a上に配した押圧プレート86の当接面86aを押圧することによって、上記パイロット弁70が枠体63の弁設置面64に対して押し付けられ固定されるようになっている。なお、
図12又は
図13に示すように、上記電磁操作部62は、端面が開口されたカバー66を有し、このカバー66で枠体63やパイロット弁70が部分的に覆われている。
【0005】
このように、上記電磁弁60では、パイロット弁70を枠体63に固定するにあたって、上記固定具80の他に固定ネジ84や押圧プレート86といった複数の部材を必要とすると共に、固定具80の取り付けや固定ネジ84の締め付けなどの複数の工程を必要とするが、製造コストの観点からすれば、部品点数や工数をより削減することが望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1−
図11は、本発明に係るパイロット式電磁弁の一実施形態を示している。
本発明に係るパイロット式電磁弁1は、
図1−
図4に示すように、エア等の圧縮流体が流れる流路を切り換えるための弁体3を有する主弁部2と、電磁操作式のパイロット弁5を有する電磁操作部4とを有し、この電磁操作部4に設けられたパイロット弁5でパイロット流体を上記主弁部2に対して給排することにより、上記弁体3が駆動されるように構成されている。
なお、本実施形態のパイロット式電磁弁1は、同様の構成を有する他の電磁弁1や関連機器等と相互に連接することによって使用されるように構成されている。そのため、電磁弁1の幅方向の両側面が連接面6として形成されているが、これは本発明の一実施形態を示すものであって、これに限られるものではなく、その他の形態を具備するものであっても良い。
【0015】
図4に示すように、上記主弁部2は、5ポート式の弁構造を成していて、軸線方向に延びる弁孔7と、弁孔7の異なる位置で開口する供給用開口8、第1及び第2出力用開口9A,9B、第1及び第2排気用開口10A,10Bと、上記弁孔7内の軸線方向を摺動自在なスプール式の上記弁体3と、該弁体3の両側に設けられた径の異なる大小のパイロットピストン3a,3bと、主弁部2の幅方向に貫通する複数の連接通孔11,12と、電磁操作部4とは反対側の端面に設けられた上下に並ぶ2つの第1及び第2出力ポート13A,13Bと、弁体を手動操作で切換可能な手動操作部15とを有している。
【0016】
図示した例では、上記連接通孔11,12が2つ設けられていて、一方の連接通孔11はメインエアの供給用、他方の連接通孔12はメインエアの排気用である。そして、上記供給用の連接通孔11が供給用開口8に接続され、上記排気用の連接通孔12が2つの排気用開口10A,10Bにそれぞれ共通に接続されている。また、2つの上記出力ポート13A,13Bは上記第1及び第2出力用開口9A,9Bに個別に接続されている。
【0017】
図1−
図3に示すように、本実施形態では、上記主弁部2のハウジング2aは複数のブロックに分かれている。このハウジング2aは、上記弁孔3が形成されると共に上記5つの開口8,9A,9B,10A,10Bを有するセンターブロック16と、センターブロック16の上端部と結合されたトップブロック17と、センターブロック16の下端部と接合されたボトムブロック18と、センターブロック16の軸線方向(長手方向)の一端部と結合された一方のアダプタブロック(出力ブロック)19と、反対側の他端部に結合された他方のアダプタブロック(マニュアルブロック)20とを有しており、該ハウジング2aが全体として略矩形で縦長の断面形状を有するように構成されている。
【0018】
図1−
図3及び
図6に示すように、上記トップブロック17は、該トップブロック17の幅方向の一方の側面部に、ハウジング2aの軸線方向に延びる係合用のフック25を有している。このフック25は、複数の電磁弁1を連接する際に、隣接する電磁弁1のトップブロック17の他方の側面部に形成された係合溝(図示略)に係合させ、相互に結合するためのものである。
【0019】
上記ボトムブロック18には上記連接通孔11,12が形成され、これらの連接通孔11,12は、一方の連接面6側に突出する接続管21と、他方の連接面6側において各連接通孔11,12に装着された図示しない環状のシール部材とをそれぞれ有している。そして、複数の電磁弁1を連接したとき、隣接する電磁弁1の接続管21とシール部材とが相互に嵌合し合うことによって対応する連接通孔11,12同士が気密に接続されるようになっている。なお、上記ボトムブロック18には、幅方向に貫通するパイロット供給通孔22も形成されていて、このパイロット供給通孔22にも、上記連接通孔11,12の場合と同様に、接続管23とシール部材とが設けられている。また、パイロットエアを排気するパイロット排気通孔27にも同様の接続管23とシール部材とが設けられている。
【0020】
図4に示すように、上記一方のアダプタブロック19及び他方のアダプタブロック20には、それぞれピストン室が形成され、これらの各ピストン室内に上記ピストン3a,3bが収容されている。また、これらピストン3a,3bの背面(弁体3と反対側の面)にはそれぞれ第1及び第2パイロット圧力室24a,24bが設けられ、これらのパイロット圧力室24a,24bが上記パイロット供給通孔22にそれぞれ連通している。本実施形態においては、第1パイロット圧力室24aが上記手動操作部15を介してパイロット弁5に連通すると共に、第2パイロット圧力室24bがパイロット供給通孔22と常時連通されるように構成されているものとする。
上記一方のアダプタブロック19に形成された第1及び第2出力ポート13A,13Bには、
図1−
図3に示すように、配管用のチューブを差し込むだけで抜止状態に接続することができるクイック接続式の管継手26がそれぞれ取り付けられている。
【0021】
また、上記手動操作部15は、他方のアダプタブロック20の上面に1つの手動操作子14を有している。この手動操作子14を押し下げると、上記パイロット供給通孔22がパイロット弁5を介することなくパイロット出力路(図示略)を通じて、上記第1パイロット圧力室24aに直接連通するように構成されている。
なお、以上のような主弁部2の構造は既に周知のものであり、本発明の要旨とも直接的には関係がないため、ここでは、より具体的な説明を省略するものとする。
【0022】
その一方で、本実施形態においては、上記電磁操作部4は、電磁操作式の単一のパイロット弁5を有し、このパイロット弁5をオン・オフさせることでパイロットピストン3a,3bを交互に動作させて弁体3の位置を切り換えるものである。
例えば、
図4を用いて説明すると、パイロット弁5をオンにして、パイロット流体が第1パイロット圧力室24aに供給されると、パイロットピストン3a,3bの受圧面積の相違により、弁体3が第2切換位置から第1切換位置(
図4に示す左側の切換位置)に移動する。すると、供給用開口8と第2出力用開口9Bとが連通して、エア出力が第2出力ポート13Bから取り出される。また、第1出力開口9Aと第1排気用開口10Aとが連通していることで、第1出力ポート13Aが排気状態となる。
【0023】
逆に、パイロット弁5をオフにすると、第1パイロット圧力室24aのパイロット流体が、後述の枠体30の幅方向に貫通する上記パイロット排気通孔27を通じて排出されると共に、第2パイロット圧力室24bに常時供給されているパイロット流体圧によって、弁体3が上記第1切換位置から第2切換位置(
図4の示す位置とは逆の右側の切換位置)に移動する。すると、弁体3の移動に伴い供給用開口8と第1出力用開口9Aとが連通してエア出力が第1出力ポート13Aから取り出されると共に、第2出力用開口9Bと第2排気用開口10Bとが連通して第2出力ポート13Bが排気状態となる。
なお、
図4に示すこれら左右のピストンシリンダの位置、すなわち第1及び第2パイロット圧力室24a,24b及びそれらに配された各パイロットピストン3a,3bの位置を交互に入れ替えても良いのは勿論のことである。その場合、パイロット弁5がオンの時に弁体3が上記第2切換位置に移動し、オフの時に上記第1切換位置に移動することとなる。
【0024】
また、
図1−
図3に示すように、上記電磁操作部4は、上記主弁部2の他方のアダプタブロック20に結合された枠体30を有している。該枠体30は、縦に細長く延びる四角柱のような形に形成された固定枠30aを有していて、該固定枠30aにより、上記アダプタブロック20の端面(すなわち、主弁部2の端面)に固定されている。該固定枠30aは、
図4に示すように、その縦方向長さは主弁部2を構成するハウジング2aの縦方向長さより長く形成されており、枠体30の上端はハウジング2aの上端とほぼ同一位置に揃えられていて、また下端側はハウジング2aの下端よりも下方に延出されている。
【0025】
上記枠体30は、
図2及び
図3に示すように、上記固定枠30aの縦方向(すなわち長手方向)の中間位置から、該固定枠30aと略直角を成して主弁部2側とは逆方向に延びる弁取付枠30bをさらに有している。該弁取付枠30bは、その先端側に、上記パイロット弁5を制御するプリント基板36が縦向き(上記固定枠30aと略平行)に取り付けられていると共に、その上面側に、該パイロット弁5を搭載するための略平坦な設置面32が形成されている。また、該弁取付枠30bは、
図5に示すように、上記設置面32と略直角を成して互いに逆方向を向く一対の側壁面31を有している。
【0026】
さらに、電磁操作部4は、
図1−
図4及び
図6に示すように、一端側の端面が開放された角筒状をなすカバー37を有し、該カバー37は、プリント基板36や弁取付枠41及びパイロット弁5を覆うようにして、枠体30に対して着脱自在に形成されている。なお、枠体30の下端側には、複数の端子を備えた電磁弁1の連接用の電気コネクタ38が設けられていて、該電気コネクタ38が上記プリント基板36に電気的に接続されている。そして、該電気コネクタ38のオス端子が、上記カバー37に形成された横長の取付孔37a内に挿入されることで、該カバー37の一方の側面部から突出している。一方、上記電気コネクタ38は、オス端子と反対側にメス端子(図示略)を有していて、複数のパイロット式電磁弁1を並べて連結した際に、上記オス端子がメス端子に嵌合されて電気的に接続されるようになっている。
【0027】
図1、
図3又は
図4に示すように、上記パイロット弁5は、その外周に、上記枠体30の設置面32に対向させて配置された底面5aと、該底面5aと逆方向を向く天面5bと、これら底面5aと天面5bとの間で高さ方向に延設されて互い逆方向を向く一対の側面5c,5cと、パイロット弁5の長手方向の両端に配置されて互いに逆方向を向く一対の端面5d,5dとを有している。そして、該パイロット弁5は、枠体30の弁取付枠30bに対して、略U字状に形成された固定具40により、上記底面5aを設置面32に押圧させた状態で取り付けられている。
【0028】
この固定具40は、
図8、
図11に示すように、ハウジング2a及び枠体30の厚さ方向(
図8の左右方向)、すなわち弁幅方向に間隙をもって対向配置された一対の係止部41,41と、略U字の帯状に形成されて長手方向の両端がこれら係止部41,41にそれぞれ連接された第1帯状体50及び第2帯状体53と、略L字の帯状に形成されて基端部が上記係止部41,41にそれぞれ連接された一対の位置決め片56,56とから構成されている。
【0029】
具体的には、
図8に示すように、上記各係止部41は、上記パイロット弁5の各側面5cに当接するくびれ部43をそれぞれ有しており、該くびれ部43に上記帯状体50,53及び位置決め片56が連接されている。このとき、弁幅方向において互いに対向する一対のくびれ部43間の離間距離は、後述の位置決め片56の当接部56a間の離間距離と等しく成っている。なお、この固定具40は、全体が一定の板厚を有していて、第1及び第2帯状体50,53及び位置決め片56の各々が一定の帯幅に形成されたもので(
図9、
図10)、例えば、厚さが一定のステンレス等の金属薄板を打ち抜くと共にプレス加工で曲げ成形することにより得ることができる。
【0030】
そして、
図3及び
図5に示すように、上記固定具40が、上記パイロット弁5の天面5b及び一対の側面5c,5cを取り囲むように配置された状態において、上記係止部41,41が、上記弁取付枠30bの側壁面31にそれぞれ形成された一対の被係止部33に対してそれぞれ係止されている。なお、本実施形態では、上記固定具40は、パイロット弁5におけるパイロット入力口、出力口、排出口が形成された部分の外周面を覆うように固定されている(
図3参照)。
【0031】
図5、
図8、
図11に示すように、上記第1帯状体50は、その長手方向において、パイロット弁5の天面5b上に位置する部分に、内方向(天面5bに近接する方向)に向けて突設された圧接部51と、その両側にそれぞれ連接された板バネ部52,52とを有している。上記圧接部51は、第1帯状体50のパイロット弁5の天面5bに沿った部分における弁幅方向の略中央位置に設けられており、該帯状体50を内方向に凸に湾曲させることにより形成されている。このとき、凹状に窪んだ該圧接部51の底部51aが、下向きにやや湾曲する円弧を成して形成されており、そのため、上記係止部を被係止部に係止させて固定具40を装着した状態において、この圧接部51の底部51aがパイロット弁5の天面5bに圧接されるようになっている。
【0032】
一方、板バネ部52は、第1帯状体50における上記圧接部51の両側に隣接した部分を、外方向に凸に湾曲することにより形成されている。具体的には、
図8に示すように、圧接部51に連なって上方向(天面5bとは逆方向)に隆起するように湾曲する第1湾曲部52aと、該第1湾曲部52aに連なって形成され、弁幅方向において外方向に湾曲する第2湾曲部52bとで構成されている。ここで、上記第1湾曲部52aの曲面の曲率は第2湾曲部52bの曲面の曲率よりも大きく形成されていると共に、これら湾曲部52a,52bが滑らかに連なっており、固定具40が装着された状態において、板バネ部52全体がパイロット弁5の外周面から離間している。そして、この板バネ部52のバネ力が、圧接部51がパイロット弁5の天面5bから受ける反力に抗して、該圧接部51を下方に押し付ける方向に作用しており、そのため、当該板バネ部52によって圧接部51がパイロット弁5の天面5bに弾性的に圧接されている(
図5参照)。
【0033】
図9に示すように、上記第2帯状体53は、その帯幅が上記第1帯状体50よりも幅広に形成されており、そして、
図8、
図11に示すように、その長手方向におけるパイロット弁5の天面5b上に位置する部分に、外方向(天面5bから離間する方向)に向けて突設された取付け操作用の突出部54を有している。該突出部54は、第2帯状体53のパイロット弁5の天面5bに沿った部分における弁幅方向の略中央位置に設けられていて、該帯状体50を外方向に凸に湾曲させることにより形成されており、内方向への押圧操作により固定具40の取付け操作に供されるものである。
【0034】
上記突出部54の頂部は略平坦面を成していると共に、上記第1湾曲部52aの頂部よりも外側(上側)に位置するように折曲形成されている。また、第2帯状体53は、
図5、
図11に示すように、その長手方向における上記突出部54の両側に、パイロット弁5の外面周と離間するように外方向に膨らんだ膨出部55を有している。この膨出部55は、
図5に示すように、上記パイロット弁5の側面5c上で、上記くびれ部43に連接されて側面5cから離間する外方向に傾斜する段部55aと、該段部55aに連接されて上記側面5cから離間した状態で該側面5cに沿って延びる延出部55bと、該延出部55bから内側に折り曲げられて上記突出部54に連接され、該突出部54に向かうに従って上記天面5bから離間する外方向に傾斜する肩部55cとから成っている。
【0035】
上記位置決め片56,56は、
図5及び
図11に示すように、上記各係止部41のくびれ部43から上記第1及び第2帯状体50,53と平行に延びて、パイロット弁5の両側面5c,5cに当接する当接部56a,56aと、該当接部56a,56aから内側に略直角に折曲された先端部56b、56bとによって、それぞれ略L字状に形成されてる。この位置決め片56は、
図9に示すように、上記第1帯状体50と略同一の帯幅を有するように形成されていて、固定具40を取付けた状態において、弁幅方向に対してパイロット弁5を位置決めする(
図5参照)。また、この位置決め片56の先端部56bは、
図8に示すように、その内面が上記圧接部51の底部51aの内面よりも少し外側に位置するように配されている。そのため、該先端部56bは、固定具40を取付ける際に、パイロット弁5の天面5bに当接することで、該固定具40がその当接位置よりも下方に押し込まれるのを防止するストッパとして機能する。
【0036】
また、上述したように、位置決め片56における当接部56aの内面は、上記くびれ部43の内面と面一になっていて、上記弁幅方向における両当接部56a,56a間の離間距離と、両くびれ部43,43間の離間距離が等しく形成されている。そのため、
図5の右半側に示すように、固定具40を取付けた状態においては、くびれ43もパイロット弁5の側面5cに対して当接し、位置決め片56と共に弁幅方向に対してパイロット弁5を位置決めする。
なお、本実施形態において、固定具40は、
図9−
図11に示すように、第1帯状体50を二つ有しており、これら二つの第1帯状体50,50の間に上記第2帯状体53と位置決め片56とが一つずつ配設されており、これら帯状体50,53及び位置決め片56が、略等間隔で互いに平行を成して並設されている(
図9及び
図10参照)。
【0037】
上記係止部41は、
図8及び
図10に示すように、上記くびれ部43の下側に、所定の段差を有するように屈曲された折曲部44と、くびれ部43と同幅の幅広部41aと、上記幅広部41aよりも幅狭の幅狭部41bとを順次有している。そして、係止部41には、上記幅広部41aと幅狭部41bとに跨って板厚方向に貫通する係止孔42が設けられており、該係止孔42は、矩形状に区画された開口縁によって形成されている。
また、上記係止部41の幅狭部41bには、該係止部41の先端部分(図中、下端部分)を枠体30から離間させて該係止部41と弁固定枠30bとの間に所定の間隙Gを形成する段部45が設けれている。この段部45は、固定具40の板厚とほぼ同じ高さの段差に形成されており、上記係止孔42が、当該段部45を横切って穿設されている。
【0038】
一方、上記被係止部33は、
図5に示すように、上記弁取付枠30bの一対の側壁面31,31にそれぞれ互いに逆方向を向けて形成されていて、係止爪34をそれぞれ有している。そして、上記固定具40を装着した状態においては、上記パイロット弁5の側面5cに沿う方向(図中、上方向)に、これら係止孔42と係止爪34が互いに係合することにより、該固定具40が上記弁取付枠30bに対して係止される。
上記係止爪34は、上記側壁面31から突設されて側面視において略台形状を成しており、上記設置面32側から頂部に向けて上り勾配に形成された傾斜面34aと、該傾斜面34aと反対側で上記設置面32と略平行を成して且つ逆方向を向く係合面34bとを有している。そして、該係止爪34と上記係止孔42との係合時には、係止孔42の下端側の縁がこの係止爪34の係合面34bに当接するようになっている。
【0039】
このとき、装着前の固定具40における上記係止孔42の下端側の縁と上記圧接部51の底部51aの内面との距離m(
図8)が、上記係止爪34の係合面34bと弁取付枠30bの設置面に設置した状態におけるパイロット弁の天面までの距離n(
図5)よりも、若干短くなっている。そのため、固定具40を装着した際に、外方向に凸に湾曲した上記一対の板バネ部52,52が開かれる方向に変形して、その変形した板バネ部52,52の付勢力によって、圧接部51がパイロット弁5の天面5bに対して押し付けられるようになっている。
なお、弁取付枠30bにおける上記係止爪34の周囲の側壁面31は、板厚方向に窪んだ凹部が設けられ、上記係止爪34に係止孔42が係合した際に、係止部41における係止孔42の外周部分が収まるように構成されている。
【0040】
次に、上記固定具40を用いてパイロット弁5を枠体30の設置面32に固定する方法について説明する。
まず、
図2に示す状態から、上記パイロット弁5を、その通電用のピン5eを弁取付枠30bに設けられた給電部(図示略)に接続すると共に、その底面5aに開設された各パイロット孔(図示略)と、設置面32に開設されたパイロット開口部35とを互いに接続して、該設置面32上に載置する。次いで、固定具40の開口側(係止部41側)を、設置面32上のパイロット弁5の天面5bと対峙させ、一対の係止部41,41間にパイロット弁5の両側面5c,5cを挟んだ状態で、第2帯状体53の突出部54を天面5bすなわち設置面32に向けて押圧して該固定具40を枠体30の両側面に沿って下方に押し込む。
【0041】
このとき、くびれ部43及び上記位置決め片56の当接部56aの内面がパイロット弁5の両側面5c,5cに接触することによって位置決めされ、上記固定具40の押し込みが安定的に行われる。さらに、固定具40を下方に押し込んでいくと、自由端である係止部41の下端が、枠体30の被係止部33に設けられた係止爪34の傾斜部34aに乗り上がり、それに伴って固定具40の開口が弾性的に拡開する。そして、係止部41の係止孔42の下端縁が上記係止爪34の係合面34bに至り、係止孔42の位置と凸状の係止爪34の位置が合致すると、拡開した固定具40が弾性復帰し、
図5の右半側に示すように、係止爪34が係止孔42に嵌る。
【0042】
一方、上述のように上記係止孔42の下端側の縁と上記圧接部51における底部51aの内面との距離mが、上記係止爪34の係合面34bと設置面32上のパイロット弁5の天面5bまでの距離n(
図5)よりも少し短くなっている。そのため、係止爪34が係止孔42に嵌合した時には、既に上記圧接部51の底壁51aがパイロット弁5の天面5bに押し付けられて、圧接部51の両側に位置する板バネ部52,52が変形した状態にある。
このような状態において、上記固定具40に対する押し込み力を開放すると、板バネ部52,52により圧接部51が天面5bに押し当てられた状態で、その天面5bからの反力によって上記係止爪34の係合面34bに対し上記係止孔42の下端側の縁が係合する。その結果、パイロット弁5が枠体30の弁固定枠30bに対して固定される。
なお、このような固定部40の装着過程において、上記圧接部51の底壁51aが少し潰されて上記天面5bに沿った形に塑性変形するようにすると、より安定した固定を実現することが可能となる。
【0043】
次に、パイロット弁5の交換時やメンテナンス時等に固定枠40を外す方法について説明する。
図5の右半側に示すように、枠体30における被係止部33と固定枠40の係止部41との間には間隙Gが形成されている。そこで、この間隙Gに例えば工具等の先端を差しこみ、係止爪34と係止孔42と係合を解除することにより、容易に固定具40を取り外すことができる。
【0044】
このように、本実施形態のパイロット式電磁弁1は、パイロット弁5を枠体30の弁取付枠30bに固定するにあたり、弁取付枠30bの係止爪34に固定具40の係止孔42が係合するまで、第2帯状体53に形成された突出部54を天面に向けて押圧して固定具を押し込むという一工程で足りる。したがって、部品点数及び工程を最小限に抑制することができる。
【0045】
以上、本発明に係るパイロット式電磁弁について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない範囲で様々な設計変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、本発明を適用できる電磁弁は5ポート式に限るものではない。また、第1及び第2帯状体50,53の数や並びに関しても本実施形態に限られるものではない。さらに、本実施形態では、弁取付枠30bの上面側の設置面32のみにパイロット弁5が配置さたシングルソレノイド式の電磁弁を例に挙げて説明したが、該弁取付枠30bの下面側にも設置面を設けてパイロット弁を配設したダブルソレノイド式の電磁弁において、それぞれのパイロット弁が固定具40で固定されていても良い。