(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
海苔簀に生海苔を抄製する抄製部と前記抄製部で各海苔簀に抄製された生海苔を乾燥させて各海苔簀上に乾海苔を生成する乾燥室とを備え、前記抄製部で生海苔が抄製された複数の海苔簀が搬送機構によって搬送されて前記乾燥室を通過するように構成された海苔製造装置であって、
温風を発生させてその発生させた温風を前記乾燥室内に送給する温風発生送給部と、
前記乾燥室内の湿度を検出する湿度センサと、
前記抄製部で最後に生海苔が抄製された海苔簀が前記搬送機構に搬送されて前記乾燥室に入った後、前記湿度センサが検出する前記乾燥室内の湿度が予め設定された目標湿度に一致するように、前記温風発生送給部が発生させる温風の温度を制御する温風温度制御部とを備え、
前記目標湿度として、前記抄製部で最後に生海苔が抄製された海苔簀が前記乾燥室に入ったときに前記湿度センサが検出する前記乾燥室内の湿度が設定されることを特徴とする海苔製造装置。
前記乾燥室内に複数の領域が設定され、前記湿度センサ、前記温風発生送給部が前記複数の領域それぞれに対応して設けられており、前記温風温度制御部は、前記複数の領域それぞれに設けられた前記湿度センサが検出する前記複数の領域それぞれの湿度がそれぞれ前記目標湿度に一致するように、前記複数の領域それぞれに設けられた前記温風発生送給部が発生させる温風の温度を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の海苔製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施の形態における海苔製造装置1を示している。海苔製造装置1は海苔簀2に抄製した生海苔を乾燥させて乾海苔(板海苔)を生成する装置であり、作業部1Aと乾燥室1Bを備えている。本実施の形態では説明の便宜上、
図1の紙面左方を前方とし、
図1の紙面左方を後方としている。また、
図1の紙面に垂直な方向を左右方向とする。
【0011】
図2において、海苔簀2は枠状のホルダ3に複数個(ここでは8個)が左右方向に並んで保持された状態で搬送され、作業部1Aからその後方の乾燥室1Bへ、そして作業部1Aに再度戻るように移動する。そして、その過程において抄製工程、脱水工程、乾燥工程及び剥離工程が施される。抄製工程と脱水工程及び剥離工程は作業部1A内で行われ、乾燥工程は乾燥室1B内で行われる。
【0012】
図1において、作業部1Aには、作業部内搬送経路を構成する搬送機構である左右一対の突起付無端チェーン11が設けられている。各突起付無端チェーン11は駆動スプロケット12と従動スプロケット13に掛け渡されており、
図1の紙面に平行な周回路を形成している。
【0013】
図2において、各突起付無端チェーン11はそれぞれ、走行面から垂直外方に突出して延びた突起11Tを一定間隔で備えている。ホルダ3は左右の端部3Dが突起付無端チェーン11の搬送方向に隣接した2つの突起11Tに係合(挟持)されることで、左右の突起付無端チェーン11に保持される。
【0014】
図1において、作業部1Aにはゼネバ機構15とこれを駆動するモータ16が設けられている。ゼネバ機構15は、原動車15aと従動車15bを備えており、モータ16は原動車15aを回転駆動する。原動車15aが回転駆動されると従動車15bが間欠回転し、その従動車15bの間欠回転が駆動スプロケット12に伝達されることで突起付無端チェーン11が間欠的に走行する。ゼネバ機構15の従動車15bの間欠回転は他の部位にも伝達され、後述する抄製部21、脱水部22及び剥離部23も突起付無端チェーン11の間欠走行と同期して間欠的に作動する。
【0015】
突起付無端チェーン11は、ゼネバ機構15により間欠駆動されることで、
図1における時計回りに間欠走行する。これにより、突起付無端チェーン11に保持された複数のホルダ3が(すなわち複数の海苔簀2が)、突起付無端チェーン11の走行方向にピッチ搬送される。すなわち突起付無端チェーン11は、ゼネバ機構15に駆動されて間欠的な走行を繰り返すことにより海苔簀2をピッチ搬送するように構成されている。
【0016】
図1において、突起付無端チェーン11が形成する作業部内搬送経路は、ホルダ3を前方から後方に搬送する上段経路18と、ホルダ3を後方から前方に搬送する下段経路19から成る。上段経路18上にはホルダ3に保持された各海苔簀2に対して抄製工程を施す抄製部21と、脱水工程を施す脱水部22が設けられている。下段経路19上には海苔簀2に剥離を施す剥離部23が設けられている。
【0017】
図1において、抄製部21は、上段経路18における突起付無端チェーン11の上方位置に設けられた抄き箱31と、突起付無端チェーン11の下方位置に設けられた受け部32とを備えている。抄き箱31と受け部32の数は、ホルダ3が保持する海苔簀2の数と一致(ここでは8組)しており、これら複数の抄き箱31は左右方向に並んで設けられている。抄き箱31は上方に開口した有底の中空の箱状部材から成り、下端に矩形枠状の抄き枡33を備えている。抄き箱31には生海苔に水を混ぜた生海苔材料が貯留されている。
【0018】
図1において、脱水部22は、上段経路18における突起付無端チェーン11の走行面を上下から挟む位置に一対のスポンジ部材22Sを備えている。これら上下のスポンジ部材22Sの数は、ホルダ3が保持する海苔簀2の数と一致(ここでは8組)しており、これら複数のスポンジ部材22Sは左右方向に並んで設けられている。
【0019】
図1において、乾燥室1Bには、乾燥室内搬送経路を形成する搬送機構である上段無端チェーン41Aと下段無端チェーン41Bが設けられている。上段無端チェーン41Aと下段無端チェーン41Bはそれぞれ左右に配置された一対の無端チェーン42から成る。各無端チェーン42は、駆動スプロケット43と従動スプロケット44に掛け渡されて
図1の紙面に平行な往復路を形成している。
【0020】
図1及び
図3(
図1における矢視V−Vから見た図)において、上段無端チェーン41A及び下段無端チェーン41Bの無端チェーン42はそれぞれ、走行面から垂直外方に突出して延びた腕部42Wを一定間隔で備えている。無端チェーン42の搬送方向に隣接した2つの腕部42Wの間にホルダ3が挿入され、腕部42Wの鉤状42Kに曲げられた部分がホルダ3の左右の端部3Dの桁部3Kに係止されることで(
図3中の拡大図参照)、そのホルダ3は上段無端チェーン41A或いは下段無端チェーン41Bに保持される。
【0021】
上段無端チェーン41A及び下段無端チェーン41Bはそれぞれ、左右の無端チェーン42の駆動スプロケット43が図示しない間欠送りギヤ機構により間欠駆動されることで、
図1における時計回りに間欠走行する。これにより、上段無端チェーン41A或いは下段無端チェーン41Bに保持された複数のホルダ3が(すなわち複数の海苔簀2が)、無端チェーン42の走行方向にピッチ搬送される。
【0022】
図3において、生産加工場1Cには温風発生送給部51が設置されている(
図1も参照)。温風発生送給部51は内部にバーナー53を備えている。バーナー53は、生産加工場1Cの壁面に設けられた空気取入口52から取り入れた空気を暖めて暖かい空気を生成し、その生成した暖かい空気を送給ファン51fによって乾燥室1B内に供給する(
図3中に示す矢印A)。ここで、バーナー53は、生産加工場1Cの外部に設けられた補助温風発生装置である加温機54により生成された暖かい空気の送給も受け得るようになっている。
【0023】
加温機54は、ファン54aによって取り入れた外気を加熱手段54bによって加熱して暖かい空気を生成し、その生成した暖かい空気を生産加工場1Cの内部に繋がる連通路54cを通じて温風発生送給部51に送給する。バーナー53は空気取入口52から取り入れた空気に加え、加温機54から送給される空気を暖めることで、効率よく暖かい空気を生成する。乾燥室1B内には換気扇55が設けられており、乾燥室1B内の湿度に応じて換気扇55が作動されることで、乾燥室1B内の湿度が適切な値に維持される。
【0024】
図3において、バーナー53のオンオフ制御は、海苔製造装置1が備えるコントローラ56が行うようになっている。コントローラ56はバーナー53を作動させて乾燥室1B内の温度を変化させることで、乾燥室1B内の湿度を制御する。乾燥室1B内の湿度と温度はそれぞれ湿度センサ57と温度センサ58によって検出され、コントローラ56に入力される。個別にオンオフ制御できる複数のバーナー53が生産加工場1C内に備えられているのであれば、コントローラ56はこれら複数のバーナー53それぞれのオンオフ状態の組合せを変えることで、乾燥室1B内の温度制御をきめ細かに行うことができる。
【0025】
コントローラ56は、湿度センサ57により検出される乾燥室1B内の湿度が予め設定した目標湿度に一致するように、バーナー53と、乾燥室1B内に設けられた換気扇55の制御を行う。また、コントローラ56は温度センサ58により検出される乾燥室1B内の温度が予め設定された目標温度に一致するようにバーナー53の制御も行う。そして、乾燥室1B内の湿度又は温度が、予め定められた正常範囲を逸脱した状態を検知した場合には、その逸脱した乾燥室1B内の湿度又は温度が正常範囲に復帰するように、バーナー53と換気扇55の作動を制御する。このとき、バーナー53及び加温機54が短時間の間にオンオフを繰り返して不具合が発生をすること防止するため、コントローラ56は、一定のヒステリシスを持たせてバーナー53及び加温機54のオンオフ制御を行う。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態では、乾燥室1B内に前後の2つの領域R(前方領域R1及び後方領域R2)を設定し、これら2つの領域Rそれぞれに温風発生送給部51を設置するとともに、2つの領域Rそれぞれに湿度センサ57と温度センサ58を設けている。そしてコントローラ56は、2つの領域Rそれぞれについて、各湿度センサ57により検出される各領域R内の湿度に基づいて換気扇55とバーナー53の制御を行うようになっている。
【0027】
図1において、剥離部23は、突起付無端チェーン11の下段経路19中に、海苔簀2から乾海苔を剥離する剥離機構23Rを有している。抄製部21で生海苔が抄製された複数の海苔簀2は、突起付無端チェーン11、上段無端チェーン41A及び下段無端チェーン41Bから成る搬送機構によって搬送されて乾燥室1Bを通過したら、突起付無端チェーン11によって受け取られ、剥離機構23Rに送られる。剥離機構23Rは、抄製部21で生海苔が抄製されたときとは上下が反対になった状態でホルダ3ごと送られてきた海苔簀2に対し、海苔簀2の下面側に張り付いている乾海苔を吸着しつつ、海苔簀2を上方にめくるように動かすことで海苔簀2から乾海苔を剥離する。
【0028】
次に、海苔製造装置1の動作を説明する。モータ16がゼネバ機構15を駆動すると突起付無端チェーン11が間欠走行し、複数のホルダ3がピッチ搬送される。複数のホルダ3のうちのひとつが抄製部21に達すると、抄き箱31が下降する。下降した抄き箱31は抄き枡33を海苔簀2に上方から当接させつつ、海苔簀2を受け部32に押し付ける。抄き箱31が海苔簀2を受け部32に押し付けたら図示しないバルブが作動して抄き箱31の底部に設けられた開口が開き、抄き箱31内から生海苔材料が下方に流出する。これにより生海苔材料が抄き枡33を介して海苔簀2に供給される。
【0029】
海苔簀2に供給された生海苔材料の水分は海苔簀2を介して下方に落ち、生海苔材料は水抜きされる。抄き箱31は一定の時間(水抜き時)が経過した後に上昇し、抄き枡33は引き上げられて海苔簀2から離間する。これにより海苔簀2上に、抄き枡33の開口形状に応じた矩形形状の生海苔が抄製される。抄き箱31が上昇したら、海苔簀2上に生海苔を抄製する抄製工程が終了する。
【0030】
抄製部21で抄製工程が終了したら、生海苔が抄製された海苔簀2は、その後の突起付無端チェーン11の走行によって脱水部22に送られる。脱水部22が備える上下のスポンジ部材22Sの間に海苔簀2が停止したら、図示しないエアー吸引脱水装置が海苔簀2上の生海苔の水分を吸引脱水した後、上下のスポンジ部材22Sが互いに近接する方向に移動して、海苔簀2を上下方向から挟み込む。これにより海苔簀2上の生海苔に含まれる水分が上下のスポンジ部材22Sによって吸い取られ、生海苔の水分が除かれる。脱水部22において生海苔に含まれる水分が除かれたら、突起付無端チェーン11が走行を再開して、海苔簀2を乾燥室1Bに搬送する。
【0031】
海苔簀2を乾燥室1Bに搬送する突起付無端チェーン11は、脱水部22を出た後は下方に進行する。このとき突起付無端チェーン11の一対の突起11Tが開くので、一対の突起11Tによるホルダ3の挟持は解除され、ホルダ3は上段無端チェーン41Aによって受け取られ、保持される。
【0032】
乾燥室1Bでは、先ず、上段無端チェーン41Aが、脱水部22から受け取ったホルダ3を前方から後方へ移動させ、次いで後方から前方へ移動させてホルダ3を乾燥室1B内で前後方向に往復移動させる。上段無端チェーン41Aは前後方向に往復移動させたホルダ3を下段無端チェーン41Bに順次受け渡し、下段無端チェーン41Bは上段無端チェーン41Aからホルダ3を受け取って保持する。そして、下段無端チェーン41Bは、保持したホルダ3を前方から後方へ移動させた後、後方から前方へ移動させて、乾燥室1B内で前後方向に往復移動させる。
【0033】
乾燥室1Bでは、上記のように上段無端チェーン41Aと下段無端チェーン41Bによって各ホルダ3を前後方向に2往復させる間、温風発生送給部51は温風を乾燥室1Bに送給することによって、海苔簀2上の生海苔を乾燥させる。乾燥室1Bでは2〜3時間程度の時間をかけて生海苔を乾燥させ、各海苔簀2上に乾海苔を生成させる。
【0034】
コントローラ56は、抄製部21で最後に生海苔が抄製された海苔簀2が搬送機構(ここでは突起付無端チェーン11及び上段無端チェーン41A)に搬送されて乾燥室1Bに入ったことを検知した場合には、その時点で湿度センサ57によって検出される乾燥室1B内の湿度を目標湿度として設定し、記憶する(
図4に示すフローチャートのステップST1)。ここで、抄製部21で最後に生海苔が抄製された海苔簀2が乾燥室1Bに入ったことは、例えば、ホルダ3が乾燥室1Bに入る状況をセンサ等によって監視するようにしておき、ホルダ3が乾燥室1Bに入らない状況が一定時間継続したことをもって検知することができる。或いは、予め乾燥室1Bに入るホルダ3の数をコントローラ56が記憶しておき、上記センサ等によって乾燥室1Bに入ったホルダ3の数を積算していった結果、その積算したホルダ3の数が予め記憶したホルダ3の数に達したことをもって検知することができる。
【0035】
なお、ここで設定する目標湿度は、生産される乾海苔の品質を均一に保つ目的から、乾燥室1B内にホルダ3が最大限入っている状態における乾燥室1B内の湿度であればよく、抄製部21で最後に生海苔が抄製された海苔簀2が乾燥室1Bに入ったことを検知した時点での湿度は、その一例に過ぎない。よって、目標湿度を設定する時点は、乾燥室1B内にホルダ3が最大限入っている状態であれば、抄製部21で最後に生海苔が抄製された海苔簀2が乾燥室1Bに入る前の時点であってもよい。
【0036】
コントローラ56は、目標湿度を設定したら、その後、全ての海苔簀2が乾燥室1Bから出た状態となるまでの間、湿度センサ57が検出する乾燥室1B内の湿度が設定した目標湿度に一致するように、温風発生送給部51が乾燥室1B内に送給する温風の温度を制御する。具体的には、コントローラ56は、先ず、全ての海苔簀2が乾燥室1Bから出た状態であるかどうかを判断し(ステップST2)、これによりまだ乾燥室1B内に海苔簀2がある状態であった場合には、湿度センサ57によって検出される乾燥室1B内の湿度を目標湿度と比較し、検出される湿度が目標湿度に一致しているかどうかを判断する(ステップST3)。そして、その結果、検出される湿度が目標湿度に一致している場合にはステップST2に戻り、検出される湿度が目標湿度に一定していない場合には、検出される湿度が目標湿度よりも高いかどうかを判断する(ステップST4)。ステップST4の判断の結果、検出される湿度が目標湿度よりも高い場合には、コントローラ56は、現在オフ状態にあるバーナー53(バーナー53が複数ある場合にはその一部のオフ状態にあるバーナー53)をオンにする制御を行い、温風の温度を上げるようにしたうえで(ステップST5)、ステップST2に戻る。或いは、換気扇55をオンにして余分な湿度を生産加工場1Cの外部へ排出する制御を行ってから、ステップSTS2に戻る。
【0037】
一方、コントローラ56は、ステップST4で、検出される湿度が目標湿度よりも高くない(検出される目標湿度よりも低い)場合には、コントローラ56は、現在オン状態にあるバーナー53(バーナー53が複数ある場合にはその一部のオン状態にあるバーナー53)をオフにする制御を行い、温風の温度を下げるようにしたうえで(ステップST6)、ステップST2に戻る。或いは、換気扇55をオフにし、湿度を生産加工場1Cの外部へ排出する制御を停止してから、ステップST2に戻る。コントローラ56は、ステップST2で、全ての海苔簀2が乾燥室1Bから出た状態であることを検知した場合には、温風発生送給部51の全てのバーナー53の作動を停止する(オフにする)とともに、換気扇55の作動を停止させて、乾燥室1B内の湿度制御を終了する(ステップST7)。なお、本実施の形態では、上記湿度制御を、乾燥室1B内に設定した複数の領域Rのそれぞれについて実行する。
【0038】
このように、本実施の形態における海苔製造装置1では、温風を発生させてその発生させた温風を乾燥室1B内に送給する温風発生送給部51と、乾燥室1B内の湿度を検出する湿度センサ57を備えており、温風温度制御部であるコントローラ56が、抄製部21で最後に生海苔が抄製された海苔簀2が搬送機構(突起付無端チェーン11及び上段無端チェーン41A)に搬送されて乾燥室1Bに入った後、湿度センサ57が検出する乾燥室1B内の湿度が予め設定された目標湿度に一致するように、温風発生送給部51が発生させる温風の温度を制御するようになっている。このため、抄製部21で最後に生海苔が抄製された海苔簀2が乾燥室1Bに入った後、乾燥室1B内の生海苔が付いた海苔簀2が減少する一方であり、乾燥室1B内の湿り気が変動し得る場合であっても、乾燥室1B内の湿度を一定に保つことができる。
【0039】
本実施の形態では、乾燥室1B内に設定した複数の領域Rのそれぞれについて、各湿度センサ57により検出される各領域R内の湿度に基づいてその領域R内に送給する温風の温度を制御するようになっているので、乾燥室1B内の全体の湿度調節をきめ細かに行うことができ、生産される海苔の品質をより向上させることができる。
【0040】
なお、上記コントローラ56による温風温度制御において、温度センサ58によって検出される乾燥室1B内の温度が予め設定した上限の制限値に達した(或いは近づいた)場合には、温度の上がり過ぎによる弊害を防止するため、仮に湿度が目標湿度に一致していない状況であっても、温風発生送給部51から送給する温風の温度が低くなるようにバーナー53を制御することが好ましい。同様に、温度センサ58によって検出される乾燥室1B内の温度が予め設定した下限の制限値に達した(或いは近づいた)場合には、温度の下がり過ぎによる弊害を防止するため、仮に湿度が目標湿度に一致していない状況であっても、温風発生送給部51から送給する温風の温度が高くなるようにバーナー53を制御することが好ましい。
【0041】
乾燥室1Bで乾海苔にされた海苔簀2を保持したホルダ3は下段無端チェーン41Bから剥離部23に送られる。剥離部23は、乾燥室1Bで海苔簀2上に乾海苔が生成された各ホルダ3を突起付無端チェーン11によって受け取り、各海苔簀2から乾海苔を剥離する。剥離部23で海苔簀2から剥離された乾海苔は図示しないコンベア装置によって海苔製造装置1の外部に運ばれる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態における海苔製造装置1では、乾燥室1B内に温風を送給する温風発生送給部51と、乾燥室1B内の湿度を検出する湿度センサ57とを備えており、温風温度制御部としてのコントローラ56は、抄製部21で最後に生海苔が抄製された海苔簀2が乾燥室1Bに入った後、湿度センサ57が検出する乾燥室1B内の湿度が予め設定された目標湿度に一致するように、温風発生送給部51が乾燥室1B内に送給する温風の温度を制御するようになっている。このため、抄製部21で最後に生海苔が抄製された海苔簀2が乾燥室1Bに入った後、乾燥室1B内の生海苔が付いた海苔簀2が減少する一方であり、乾燥室1B内の湿り気が変動し得る場合であっても、乾燥室内の湿度を一定に保つことができ、生産工程全般を通じ、生産される海苔の品質を均一に保つことができる。