【文献】
Biomacromolecules,2011年 8月15日,Vol.12,p.3733-3740,dx.doi.org./10.1021/bm200982g
【文献】
Carbon,2006年,Vol.44,p.1258-1262,doi:10.1016/j.carbon.2005.10.038
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
肝疾患が、アルコール性肝疾患(ALD)、非アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、肝硬変の合併症、及び/又は肝性脳症から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の治療又は予防剤。
冠状動脈疾患、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、回腸嚢炎、高血圧、脳卒中、肥満、又は肥満の合併症から選択される疾患又は状態の治療又は予防剤であって、疾患又は状態の治療又は予防が、多孔性炭素粒子の有効量を投与することを含み、該多孔性炭素粒子が、直径が2nm以下のマイクロポア及び直径が30nm〜500nmのメソポア/小さなマクロポアを含み、直径が2nmを超え、30nm未満のメソポア、及び直径が500nmを超える大きなマクロポアが、全体として、多孔性炭素粒子の全細孔容積の10%以下を構成し、該多孔性炭素粒子が、経口又は経直腸での投与のために製剤される、前記疾患又は状態の治療又は予防剤。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書を通して、単語「含む(comprise)」又は「含まれる(comprised)」若しくは「含んでいる(comprising)」などの変形体は、言及される要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を包含するが、任意のその他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を排除しないことを意味すると解される。
【0011】
本明細書中で使用する場合、用語「制御された多孔度の炭素粒子」は、「多孔性炭素粒子」と同義である。
【0012】
本明細書中で使用する場合、用語「マイクロポア」は、窒素吸着法及び水銀ポロシメトリー法で測定した場合に、IUPACにより定義されているように直径が2nm以下の細孔を指す。
【0013】
本明細書中で使用する場合、用語「メソポア」は、窒素吸着法及び水銀ポロシメトリー法で測定した場合に、IUPACにより定義されているように直径が2nmを超え、50nm未満である細孔を指す。
【0014】
本明細書中で使用する場合、用語「マクロポア」は、窒素吸着法及び水銀ポロシメトリー法で測定した場合に、IUPACにより定義されているように直径が50nm以上の細孔を指す。
【0015】
本明細書中で任意の先行技術への言及は、その先行技術が、オーストラリア又は他の場所において一般的知識の一部を形成することの承認又は任意の形態の示唆ではなく、及びそのように解釈すべきでない。
【0016】
現在、肝疾患を有する患者のために利用できる治療又は予防の範囲は限られている。多くの患者にとって、唯一の選択肢は、移植であり、しかも、この患者群の寿命を延長するのに利用できる有効な治療又は予防は存在しない。したがって、肝疾患を患う個体の状態を改善するのに使用できる治療又は予防レジメンを見いだす必要性が存在する。
【0017】
腸管に由来する内毒素血症は、慢性肝疾患の病因の中核をなし、細菌移入の結果として起こる。内毒素血症は、早期及び末期肝硬変の病因に関係しており、多臓器不全及び高い死亡率を伴う慢性肝不全の急性憎悪の病因において鍵となる役割を演じる。制御不全性炎症応答は、この効果を仲介すると考えられる。
【0018】
内毒素血症は、また、ALD及びNAFLDなどのその他の肝疾患の病因に、並びに特発性細菌性腹膜炎、肝腎症候群、静脈瘤出血、循環亢進及び肝性脳症の病因に関係している。複数系統の証拠が、エンドトキシンを、敗血症の比率の増加と臨床的に相互関係を示す免疫機能不全に関係付ける。アルコール性肝疾患(ALD)の病因は、腸内細菌によるアルコール代謝及びアセトアルデヒドの産生に直接的に結び付けられる。アセトアルデヒドは、門脈循環中への細菌移入につながる正常な腸管バリア機能の破壊、並びに肝臓の炎症及び損傷をもたらす全身性エンドトキシンの放出を引き起こす。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、細菌移入及び腔内細菌による内因性エタノール産生と関連する。したがって、アセトアルデヒドは、この文脈においても粘膜損傷で重要な役割を演じる可能性がある。
【0019】
上記で強調したように、細菌移入、内毒素血症、及び関連する免疫/炎症応答は、ALD、NAFLD及び肝硬変の合併症の進行に関係している。腸管の解剖学的及び機能的バリアの完全性は、細菌移入率、したがって内毒素血症の鍵となる決定因子である。細菌由来毒素、毒性代謝産物及び局所サイトカインの結合は、原則として、粘膜損傷及び内毒素血症を減少させるはずである。このことは、肝損傷を減少させ、疾患の進行を減速し、及び好中球の機能を改善する効果を有するはずである。門脈の内毒素血症を減少させるのにしばしば使用される戦略は、経口抗生物質を使用する選択的腸内除染のそれである。これは、肝性脳症、門脈圧亢進症、肝腎症候群及び細菌性腹膜炎をはじめとする肝機能不全に付随する合併症の改善を伴う優れた短期戦略である。しかし、抗生物質耐性及び重複感染の増加を立証するデータが、それらの役割を制約する。
【0020】
本発明者らは、制御された多孔度を有する多孔性炭素粒子が生物学的分子を吸着する能力、及び肝疾患の治療又は予防におけるそれらの応用を研究し、かくして、通常的な抗生物質を使用する治療に代わる戦略を提供する。
【0021】
したがって、一態様において、本発明は、肝疾患の治療又は予防において使用するための多孔性炭素粒子に関し、ここで、該粒子は、直径が2〜50nmのメソポア、及び直径が50nm以上の小さなマクロポアを含む。別の実施形態において、本発明の多孔性炭素粒子は、直径が2nm以下のマイクロポア及び直径が30nm〜500nmのメソポア/小さなマクロポアを含むが、直径が2nmを超え、30nm未満のメソポアを実質上含まず、及び直径が500nmを超える大きなマクロポアを実質上含まない。
【0022】
本発明者らは、メソ〜マクロポア領域、又はマイクロ及び小さなマクロ領域に比較的高い細孔比率を提供するように制御された多孔度を有するこのような非吸収性多孔性炭素粒子は、前記で考察した発病仲介物質の適切な吸着剤であり、及び有害なフリーラジカルを産生する肝クッパー細胞の機能を、おそらくはToll様受容体リガンドの移行の低減を介して調節することができることを見いだした。多孔性炭素粒子は、非吸収性であり、それゆえ、腸管-バリアの界面で局所的にそれらの効果に影響を及ぼす。しかし、通常的な非吸収性抗生物質と異なり、本発明の多孔性炭素粒子は、腸管の生態を維持するのに重要である細菌の増殖に有害な影響を及ぼさないことが示された。
【0023】
通常的に製造された活性炭(例えば、顆粒状活性炭)は、通常的にはマイクロポア性であり、直径が2nm未満の細孔を有し(IUPACの定義)、メソポア(2〜50nm)又はマクロポア(50nmを超える)範囲の細孔容積をほとんど又は全く有さない。
【0024】
本発明で使用するための多孔性炭素粒子において、全細孔容積の20%〜90%は、2nm以下の平均直径を有する細孔(マイクロポア)から構成され、残りの全細孔容積(すなわち、2nmを超える平均直径を有する細孔から構成される細孔容積)の75%以上が、30nm〜500nmの平均直径を有する細孔(メソポア/小さなマクロポア)から構成される。
【0025】
したがって、多孔性炭素粒子は、細孔径の二峰性分布を有することができ、それによって、全細孔容積は、マイクロポア及び大きなメソポア/小さなマクロポアの範囲に分配され、直径が30nm未満のメソポア又は大きなマクロポアを実質上含まない。平均直径が500nmを超える細孔は粒子の物理的強度を低下させ、及び吸着性の向上をほとんど又は全く提供しないので、大きなマクロポアの存在は、好ましくは最小化される。
【0026】
典型的には、直径が30nm未満のメソポアは、全細孔容積の20%以下、より好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下を構成する。典型的には、大きなマクロポアは、全細孔容積の20%以下、より好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下を構成する。典型的には、直径が30nm未満のメソポア及び大きなマクロポアは、全体として、全細孔容積の20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下を構成する。
【0027】
典型的には、全細孔容積の25%〜70%、好ましくは35%〜60%、より好ましくは45%〜55%は、2nm以下の平均直径を有する細孔から構成される。
【0028】
典型的には、残りの全細孔容積の80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上が、30nm〜500nm、好ましくは30nm〜300nm、より好ましくは50〜200nmの平均直径を有する細孔から構成される。
【0029】
典型的には、窒素吸着により測定した場合の全細孔容積は、0.5〜2.5cm
3/g、好ましくは1.0〜2.0cm
3/g、より好ましくは1.2〜1.8cm
3/gである。一実施形態において、窒素吸着により測定した場合の全細孔容積は、1.3〜1.8cm
3/gである。一実施形態において、窒素吸着により測定した場合の全細孔容積は、1.3〜1.4cm
3/gである。
【0030】
典型的には、2nm以下の平均直径を有するマイクロポアに帰すことのできる細孔容積は、0.2cm
3/g以上、好ましくは0.2〜0.5cm
3/g、より好ましくは0.3〜0.4cm
3/gである。
【0031】
典型的には、多孔性炭素粒子の嵩密度は、0.10g/cm
3以上、好ましくは0.15g/cm
3以上、より好ましくは0.20g/cm
3以上である。より大きな嵩密度を有する粒子は、経口投与のために必要とされる炭素の全容積の低減をもたらし、このことは、例えば患者の応諾を得るのに有益である。一実施形態において、多孔性炭素粒子の嵩密度は、0.10g/cm
3〜0.30g/cm
3、好ましくは0.15g/cm
3〜0.25g/cm
3、より好ましくは0.18g/cm
3〜0.22g/cm
3である。
【0032】
対照的に、一実施形態において、多孔性炭素中で、全細孔容積の少なくとも20%は、2〜200nmの平均直径を有する細孔から構成される。
【0033】
好ましくは、多孔性炭素粒子の全細孔容積の少なくとも20%は、20〜200nm、好ましくは30〜200nm、好ましくは30〜150nm、より好ましくは50〜120nm、又は60〜100nmの平均直径を有する細孔から構成される。これらの大きさの細孔の全細孔容積への寄与は、好ましくは25%を超え、より好ましくは30%を超える。適切には、前記の大きさの細孔は、全細孔容積の25〜75%、好ましくは30〜60%、好ましくは30〜50%、より好ましくは全細孔容積の30〜40%を構成する。
【0034】
本発明で使用するための多孔性炭素粒子は、また、0.6〜2nmの平均直径を有するマイクロポアを含むことができる。このようなマイクロポアの全細孔容積への寄与は、50%まで、例えば5〜30%でよい。
【0035】
多孔性炭素粒子は、また、200nmを超える、例えば500nmを超える直径を有するより大きなマクロポアを含むことができる。200nmを超える直径を有するこのようなマクロポアの全細孔容積への寄与は、74%まで、例えば25〜70%でよい。
【0036】
好ましくは、30〜150nmの平均直径を有する細孔の全容積は、0.2〜2.0cm
3/g、好ましくは0.5〜1.5cm
3/gである。
【0037】
粒子がマイクロポアをさらに含む場合、0.6〜2nmの平均直径を有するマイクロポアの全容積は、好ましくは0.01〜1.5cm
3/gである。
【0038】
粒子がより大きなマクロポアをさらに含む場合、200nmを超える平均直径を有するマクロポアの全容積は、好ましくは、0.2〜2.0cm
3/g、好ましくは0.2〜1.0cm
3/gである。
【0039】
特に好ましい一実施形態において、本発明中で使用するための多孔性炭素粒子は、下記に示す特性を有する:
・マイクロポアの細孔径 0.5〜2nm
・BET表面積 700〜2000m
2/g、好ましくは1000〜1500m
2/g
・マイクロポアの細孔容積 0.1〜1.1cm
3/g、好ましくは0.3〜1.0cm
3/g
・メソポア/小さなマクロポアの大きさ 30〜500nm、好ましくは50〜300nm
・メソポア/小さなマクロポアの容積 0.8〜2.5cm
3/g
・全細孔容積 0.9〜3.5cm
3/g、好ましくは1.1〜2.0cm
3/g
・マイクロポアの比率(%容積) 27%〜29%。
【0040】
一実施形態において、本発明に記載の使用のための多孔性炭素粒子において、該多孔性炭素粒子の全細孔容積の少なくとも20%は、20〜200nmの平均直径を有する細孔から構成され、及び全細孔容積の20%〜90%は、2nm以下の平均直径を有する細孔から構成されるが、残りの全細孔容積の75%未満は、30nm〜500nmの平均直径を有する細孔から構成される。
【0041】
一実施形態では、本発明で使用するための多孔性炭素粒子において、全細孔容積の20%〜90%は、2nm以下の平均直径を有する細孔から構成され、及び残りの全細孔容積の75%以上は、30nm〜500nmの平均直径を有する細孔から構成されるが、多孔性炭素粒子の全細孔容積の少なくとも80%は、20〜200nmの平均直径を有さない細孔から構成される。
【0042】
炭素の多孔度は、水銀ポロシメトリー(例えば、Quantachrome Instruments社のPoreMaster(登録商標)水銀圧入ポロシメーターなどの自動水銀圧入ポロシメーターを使用する)、及び/又は気体収着分析(例えば、Quantachrome Instruments社のAutosorb気体収着分析計を使用する)を使用して測定することができる。
【0043】
水銀ポロシメトリーは、2nmを超える、とりわけ20nmを超える細孔を測定し、気体収着分析は、マイクロポア及びメソポアを測定するのに使用され、0.5nm〜50nmの平均直径を有する細孔に関する多孔度の効果的測定を一般には提供し、それゆえ、特に前記のような二峰性の多孔度を有する粒子を測定するためには、双方の方法を使用することを必要とする場合がある。窒素法によって得られる50nmを超える結果は、水銀法によって得られる結果と一致しないことがある。平均直径が50nmを超える細孔に関する結果において不一致がある場合、水銀を使用して得られる結果を利用すべきである。
【0044】
図2は、本発明による粒子中のより大きな、小さなマクロポアの細孔容積の、水銀ポロシメトリーによって提供されるような測定値を示す。水銀ポロシメトリーは、2nmを超える細孔を測定するので、
図2でマイクロポアは認識できない。
図1は、TE7炭素に関して、2nm未満及び50〜500nmの細孔範囲での窒素法による細孔容積の展開を燃焼(賦活度)の関数として示す。
【0045】
水銀法による細孔容積の賦活に伴う変化を
図4に示す。水銀法による細孔容積をcm
3/gm基準で示すと、賦活に伴う細孔容積の明らかに大きな増加が存在する。しかし、このことは、主として、賦活に伴う密度の低下を反映している。構造変化のより妥当な反映である容積基準によれば、小さなマクロポアの容積は、すべてのレベルの賦活で一定のままであり、すなわち、マイクロポアの容積のみが、賦活によって増加する。
【0046】
水銀ポロシメトリーによって得られる結果は、多孔性炭素粒子間の空隙に相当し、炭素粒子内の細孔の大きさを反映しない、より大きな細孔直径での結果を示している可能性がある。したがって、空隙に帰すことのできるビーズ容積の〜35%に相当するマクロポアの有効容積が存在し、空隙の大きさは、ビーズの大きさの〜20%である。ビーズの大きさの15%以上、例えばビーズの大きさの20%以上である水銀ポロシメトリーの結果は、したがって、多孔性を考慮する場合、無視することができる。例えば、大きさが250〜500μmの炭素粒子は、水銀法でほぼ50〜100μmのデータに反映される粒子間空隙を有する可能性がある。
【0047】
典型的には、水銀ポロシメトリーで測定される大きなメソポア/小さなマクロポアの重量基準の容積は、0.60cm
3/gm、好ましくは1.1cm
3/gmを超え、より好ましくは1.5cm
3/gmを超える。
【0048】
マイクロポアを測定するのに使用される気体収着分析法は、典型的には窒素収着分析である。
【0049】
炭素中のマイクロポアを、賦活によって増加させることができ、賦活に伴う表面積及び細孔容積の変化を表2に示す。好ましくは、多孔性炭素粒子は、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法で測定した場合に、少なくとも700m
2/gの比表面積を有する。比表面積は、900m
2/gを超え、典型的には1000m
2/gを超え得る。一実施形態において、比表面積は、1200m
2/gを超える。適切な比表面積は、1000〜2500m
2/g、好ましくは1400〜2000m
2/gの範囲にある。一実施形態において、比表面積は、700〜2000m
2/g、典型的には900〜1400m
2/g、好ましくは1000〜1200m
2/gである。別の実施形態において、比表面積は、1200m
2/g以下、例えば、700〜1200m
2/g、900〜1200m
2/g、又は1000〜1200m
2/gである。
【0050】
好ましくは、多孔性炭素粒子は、2〜2000μm、例えば、50〜2000μm、200〜1600μm、又は100〜1000μmの平均直径を有する。適切な粒子は、したがって、例えば、200〜600μm、好ましくは250〜500μmの平均直径を有することができる。その他の適切な粒子は、1000〜2000μm、好ましくは1000〜1500μmの平均直径を有することができる。しかし、1000μm以下の平均直径を有する粒子が好ましい。粒径は、レーザー回折を使用して(例えば、Malvern Instruments社のMalvern粒度分布測定装置を使用して)測定することができる。
【0051】
好ましくは、多孔性炭素粒子は、球状粒子の形態である。
【0052】
一実施形態では、多孔性炭素粒子を表面修飾して、それらの吸着能力を生物学的分子用に変えることができる。
【0053】
多孔性炭素粒子は、非被覆粒子の形態であってもよい。このような非被覆の多孔性炭素粒子は、生体適合性であることが判明した。別法として、粒子を被覆して、それらの放出及び吸着特性をコントロールすることができる。例えば、粒子を、大腸中での顕著な放出を可能にするフィルムで被覆することができる。
【0054】
本発明中で使用するための多孔性炭素粒子は、任意の適切な方法で製造することができる。適切な方法は、例えば、国際公開第02/12380号中に記載されている。
【0055】
本発明は、また、有効量の多孔性炭素粒子(ここで、全細孔容積の少なくとも20%は、2〜200nmの平均直径を有する細孔から構成される)を投与することを含む肝疾患の治療又は予防方法、及び肝疾患の治療又は予防のための医薬品の製造における多孔性炭素粒子(ここで、全細孔容積の少なくとも20%は、2〜200nmの平均直径を有する細孔から構成される)の使用に関する(ここで、該多孔性炭素粒子は、好ましくは前記の通りである)。
【0056】
<二峰性多孔度を有する、フェノール樹脂由来球状炭素ビーズの調製>
本発明に関して、2種類のマクロポアが存在する。マクロポア性ビーズにおいて、それらのマクロポアは、ビーズ内に配置され、細孔形成剤によって形成される。それらマクロポアの大きさは、典型的には、30〜500nm、好ましくは50〜300nmである。
【0057】
典型的には、かなりの比率の細孔形成剤、例えば、100部の樹脂形成成分に対して250部のエチレングリコール又はその他の細孔形成剤を含む前駆体樹脂製剤が使用されるが、大きな多孔度は、また、尿素などの添加物をエチレングリコールと組み合わせて使用することにより達成することができる。
【0058】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2008/025907号(Tennisonら)には、フェノール系化合物又はフェノール縮合プレポリマーを含む求核性成分を、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール及びヘキサメチレンテトラミンから選択される少なくとも1種の求電子性架橋形成剤と、ジオール(例えば、エチレングリコール)、ジオールエーテル、環状エステル、置換環状エステル、置換直鎖アミド、置換環状アミド、アミノアルコール、及び上記のいずれかの水との混合物からなる群から選択される細孔形成剤の存在下に縮合させて樹脂を形成することによる、メソポア性樹脂の調製が開示されている。細孔形成剤は、樹脂にマクロポア性を付与するに有効な量で存在し(例えば、100重量部の全樹脂形成成分、すなわち、求核性成分+求電子性成分を溶解するために、少なくとも150重量部の細孔形成剤が使用される)、細孔形成剤は、縮合後に、水を用いるカスケード洗浄によって、又は真空乾燥によって多孔性樹脂から除去される。
【0059】
生じる樹脂を、不活性雰囲気中で少なくとも600℃の温度まで加熱することによって炭化して、二峰性分布の細孔を有する材料を得ることができ、窒素吸着によって評価した場合、細孔構造は、マイクロポア及びメソポア又はマクロポアを含む。メソポアについての細孔容積の細孔半径の対数に対する微分値(dV/dlogR)は、20〜500Åの範囲の細孔径の少なくとも一部の値について0.2を超える。メソポア性炭素は、賦活なしで250〜700m
2/gのBET表面積を有することができる。その多孔性炭素を、二酸化炭素、蒸気又はこれらの混合物の存在下に高温度で加熱することによって、例えば、それを二酸化炭素中、800℃以上で加熱することによって、賦活することができる。次いで、それは、2000m
2/gまでの、さらにより大きな例えば1000〜2000m
2/gの表面積を有することができる。本明細書中で使用する場合、用語「BET表面積」は、ASTM D1993-91に従い、ASTM D6556-04も参照して、Brunauer,Emmett and Teller(BET)法によって決定される。本発明の目的の場合、二酸化炭素を使用するのが好ましい。
【0060】
<フェノール樹脂-求核性成分>
炭素質材料を調製するための樹脂は、米国特許出願公開第2008/025907号に開示の出発原料のいずれかから調製することができる。求核性成分は、フェノール、ビスフェノールA、アルキルフェノール(例えば、クレゾール)、ジフェノール(例えば、レゾルシノール及びヒドロキノン)、及びアミノフェノール(例えば、m-アミノフェノール)を含むことができる。
【0061】
既に部分的に重合されているため、所望の樹脂への重合を発熱のより少ないものにし、それによってよりコントロール可能な反応にする、フェノールノボラック又はその他類似のオリゴマー性出発原料を、求核性成分として使用することが好ましい。好ましいノボラックは、架橋前に300〜3000の範囲の平均分子量(AMW)(フェノールに関して約3〜30の重合度(DP)に相当する)を有する。ノボラック樹脂を使用する場合、それらの樹脂は、およそ100℃の融点を有する固体でよい。MWが2000未満、好ましくは1500未満のノボラック樹脂は、より少ない量の細孔形成剤を使用して、炭化により、所望の細孔径分布を有する炭素を生成する傾向のある架橋型樹脂を形成する。ノボラックは、構造の変化なしに反復的に、それらを加熱して融解することができ、及びそれらを冷却して固化することができる点で、熱的に安定である。ノボラックは、架橋形成剤の添加及び加熱により硬化される。完全に硬化した樹脂は、非融解性、及び不溶性である。
【0062】
市販のノボラックは、主として、フェノール及びアルデヒドを使用して製造されるが、種々の改質剤をプレポリマーの形成段階で使用して、ある範囲の様々な酸素及び窒素官能基並びに架橋形成部位を導入することができる。これらの改質剤としては、限定はされないが、次のものが挙げられる:
(a)二価フェノール、例えばレゾルシノール及びヒドロキノン。双方とも、フェノールに比べてより反応性であり、プレポリマーの製造段階での若干の架橋形成をもたらす。架橋形成段階でこれらの化合物を導入して、様々な架橋形成経路を準備することも可能である。これらの二価フェノールは、また、樹脂の酸素官能基を増加させる。
【0063】
(b)重縮合反応で活性である尿素、芳香族アミン(アニリン、m-アミノフェノール)及びヘテロ芳香族アミン(メラミン)などの窒素含有化合物。これらの化合物は、初めのポリマー及び最終炭素中への特定部類の窒素官能基の導入を可能にし、及び樹脂及び最終炭素の双方でのメソポア性構造の成長に影響を及ぼす。ヒドロキノン及びレゾルシノールと同様、使用できるすべての窒素含有求核性改質試薬は、2箇所以上の活性部位を所持し、縮合反応においてフェノール又はノボラックに比べてより反応性である。このことは、それらの試薬を、インサイチュで二次架橋形成剤を形成する一次架橋形成剤とまず反応させるべきであることを意味する。
【0064】
求核性成分は、単独で、又はノボラックと混和性であり及び/若しくは細孔形成剤に可溶性である有機弱酸、例えば、サリチル酸、シュウ酸、フタル酸でよい重合触媒と一緒に準備することができる。これらの求核成分を本発明中で使用できるが、より親水性の部位の濃度を最小化するために、フェノール単独での使用が好ましい。
【0065】
細孔形成剤中のノボラック濃度は、同一細孔形成剤中で架橋形成剤溶液と組み合わせた場合に、細孔形成剤の(ノボラック+架橋形成剤)に対する全重量比が少なくとも重量で150:100であるような濃度でよい。ノボラック:細孔形成剤及び架橋形成剤:細孔形成剤の実際の比率は、操作の便宜性により、例えば、国際公開第2008/043983号(Tennison)中に開示の方法の場合にはビーズ製造プラントの操作要件により設定され、相変わらずポンプで送液できるようなノボラック:細孔形成剤溶液の粘度によって、及び架橋形成剤がプラントのどこでも溶液のままであるような架橋形成剤:細孔形成剤の比率によってコントロールされる。
【0066】
<フェノール樹脂のための架橋形成剤>
架橋形成剤は、通常、100重量部の求核性成分(例えば、ノボラック)につき5〜40重量部(pbw)の量で使用される。架橋形成剤は、例えば、アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド又はフルフラールでよく、ヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミン)、又はヒドロキシメチル化メラミンでもよい。
【0067】
好ましくは、架橋形成剤としてヘキサミンが使用される。ヘキサミンは、ノボラック樹脂を架橋するために、100重量部のノボラックにつき10〜25重量部、例えば、約15〜20重量部の比率で好ましくは使用される。この比率は、最大架橋度を有する固体樹脂の形成を確実にし、及び後に続く細孔形成剤の除去の際にマクロポア構造の安定性を確実にする。
【0068】
<細孔形成剤>
細孔形成剤は、溶媒としても作用する。したがって、細孔形成剤は、樹脂系の成分を溶解するのに十分な量で好ましくは使用され、細孔形成剤の樹脂系の全成分に対する重量比率は、好ましくは少なくとも1.5:1である。このレベル未満で、生じる樹脂は、マクロポア性を本質的に有さない。
【0069】
適切な細孔形成剤の詳細は、米国特許出願公開第2008/025907号(Tennison)中に示されている。細孔形成剤は、例えば、ジオール、ジオール-エーテル、環状エステル、置換された環状若しくは直鎖アミド、又はアミノアルコール;例えば、エチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、及びモノエタノールアミンでよく、エチレングリコールが好ましく;細孔形成剤は、沸騰してはならず、又は硬化工程中で使用される温度で過剰な蒸気圧を有してはならないので、選択は、溶媒の熱特性によっても制約される。
【0070】
メソ及びマクロポアの生成機構は、架橋反応中に起こる相分離の過程によると考えられる。細孔形成剤の不在下で、プレポリマーの直鎖は架橋されるので、初めにそれらの分子量が増加する。残りの低分子量成分は、より高分子量の部分に不溶性となり、より低分子量の連続相内で架橋高分子量領域への相分離を引き起こす。軽量成分の成長領域の外側へのさらなる縮合は、架橋された相が、領域間に閉じ込められた残りのより低分子量のプレポリマーと本質的に連続するようになるまで起こる。低レベルの細孔形成剤(例えば、ノボラック-ヘキサミン-エチレングリコールからなる反応系の場合、100部のノボラックにつき120部未満)の存在下で、細孔形成剤は、架橋された樹脂領域と相溶性であり、相変わらずその領域内に留まり、残りは、領域の間で部分架橋されたポリマーと溶液を形成する。架橋された樹脂の収容力を超えるより高レベルの細孔形成剤の存在下で、細孔形成剤は、低分子量のポリマー画分に合算され、領域間の空隙中の、メソポア性及び/又はマクロポア性を生じさせる材料の容積を増加させる。一般に、細孔形成剤の含有量が多いほど、メソポアはマクロポアまでより拡がり、細孔容積はより大きくなる。
【0071】
この相分離機構は、架橋された樹脂構造体における細孔成長をコントロールする種々の方法を提供する。これらの方法としては、細孔形成剤の化学組成及び濃度;求電子性架橋形成剤の化学組成及び量;求核性改質剤の化学的性質及び濃度;フェノール系求核性成分(フェノール、ノボラック)の化学組成;溶媒内への水の存在;及び存在するなら任意の硬化触媒の濃度が挙げられる。
【0072】
<樹脂前駆体及びビーズ形態の炭素の製造>
米国特許出願公開第2008/025907号中には、粉末及びビーズの双方の形態での樹脂の製造が開示されている。ビーズ形態の製造は、部分的に架橋されたプレポリマーの溶液を分散剤含有鉱物油などの高温液体中に注ぎ入れること、及び混合物を撹拌することによってなすことができる。プレポリマー溶液は、初めは液体であり次いで硬化が進行するにつれて固体になるビーズを形成する。ビーズの平均粒径は、撹拌機の種類及び速度、油の温度及び粘度、プレポリマー溶液の粘度、並びに溶液の油に対する容積比をはじめとするいくつかの処理パラメーターによってコントロールされ、平均粒径は、5〜2000μmの間で調整することができる。次いで、ビーズを油から濾別することができる。調製実施例では、工業用ノボラック樹脂を、高温でエチレングリコールと混合し、ヘキサミンと混合し、加熱して粘性溶液を得て、この粘性溶液を乾性油含有鉱物油中に注ぎ入れた後、混合物をさらに加熱して、硬化を達成する。硬化を完結したら、反応混合物を冷却した後、生じる多孔性樹脂を濾別し、熱水で洗浄して細孔形成剤を除去する。硬化したビーズを、前記のような細孔構造を有する多孔性炭素ビーズに炭化し、前記のように賦活することができる。狭い粒径分布、例えば、10よりも良い、好ましくは5よりも良いD90:D10を有するビーズを製造することができる。
【0073】
米国特許出願公開第2010/0086469号(Tennison)では、ポリマー性材料、例えば、多孔性構造を有するフェノール樹脂からなる分離した固体ビーズの製造方法が、説明され、特許請求されており、該方法により、急速に増加し製造を妨害する樹脂の凝集なしに、工業的規模で樹脂ビーズを製造することができる。該方法は、(a)第1極性有機液体(例えば、エチレングリコール)中に溶解された重合可能な液状前駆体、例えば、ノボラック及び架橋形成剤としてのヘキサミンからなる流れを、液状前駆体が実質上又は完全に非混和性である第2非極性有機液体、例えば乾性油含有変圧器油である液状懸濁媒体の流れと合わせるステップ;(b)合わせた流れを、例えばインラインスタティックミキサーを使用して混合して、重合可能な液状前駆体を小滴として懸濁媒体中に分散させるステップ;(c)凝集できない分離した固体ビーズを形成するために、小滴を懸濁媒体の層流中で重合させることを可能にするステップ;及び(d)懸濁媒体からビーズを回収するステップを含む。
【0074】
<分散媒体>
ビーズの製造に関し、細孔形成剤は、主として又は完全に非混和性の組合せを形成するために、非極性有機液体である分散媒体と組み合わせて選択される極性有機液体、例えばエチレングリコールを含み、分散相を形成する細孔形成剤と分散媒体との間の非相溶性が大きいほど、より少ない細孔形成剤が、分散媒体中に抽出されるようになる。細孔形成剤は、望ましくは、溶解された樹脂形成成分を含む細孔形成剤の小滴が、カラム中の分散媒体の下降流に比べて、より急速にカラムを下降するように使用されることを意図している分散媒体に比べてより大きな密度を有する。様々な種類の有機化合物のプロトン性及び非プロトン性溶媒は、双方とも、これらの要求に合致し、個々に及び混合物の状態の双方で、細孔形成剤として使用できる。反応性成分及び任意の触媒を溶解することに加えて、細孔形成剤は、また、フェノール樹脂の場合、水及び/又は重合が進行するにつれて脱離により形成されるその他の少量縮合生成物(例えば、アンモニア)と相溶性であるべきであり、細孔形成剤は、それら縮合生成物を重合した樹脂ビーズから洗浄によって容易に除去できるように、水と高度に混和性であることが好ましい。
【0075】
分散媒体は、外界圧力で沸騰することなく、及び分解することなく、硬化が実施される温度まで、例えば160℃まで加熱することができ、及びエチレングリコール及びその中に溶解された成分と非混和性である液体である。それは、精製鉱油であり石油蒸留の副産物である、炭化水素をベースにした変圧器油でよい。それは、主としてC15〜C40のアルカン及びシクロアルカンから構成され、等級に応じて0.8〜0.9の密度を有し、やはり等級に応じて外界圧力で260〜330℃の沸点を有してよい。変圧器油は、典型的な硬化温度である150℃で、約0.5ポイズの粘度を有する。変圧器油又はその他の分散媒体は、求核性前駆体及び架橋形成剤の組合せ流の3〜10倍容、例えば、約5倍容の容積で使用することができる。
【0076】
<分散剤>
媒体をその中に分散される予定の反応混合物と接触させる前に、小滴の合着を遅延させるために分散媒体中に溶解される好ましい分散剤は、乾性油、例えばデニッシュオイルとして販売されているか、又は桐油、亜麻仁油などの天然に存在する前駆体を部分酸化することによって製造される。分散剤は、工程が進行するにつれて消費され、そのため、分散媒体を再循環するなら、再循環されるオイル流中の分散剤を補充すべきである。分散剤は、好都合には、分散媒体、例えば変圧器油中の5〜10%v/vの量の溶液の流れとして供給され、ここで、分散媒体中で0.2〜1%v/vの最終分散剤濃度を与えるような低濃度の活性成分を含むデニッシュオイルが使用される。酸化植物油の場合には、より大きな分散剤濃度が使用される。
【0077】
<樹脂ビーズ及び顆粒状材料からの溶媒の除去>
前記のごとく形成された樹脂ビーズ又は顆粒を、まず、細孔形成剤を除去するように処理すべきであり、その後、それらを炭化し、賦活することができる。細孔形成剤は、水洗又は真空乾燥によって除去することができる。ビーズを直接的に処理することができる。水洗を利用するなら、この水洗は、好ましくは、〜80℃の熱水を使用する少なくとも2段階の処理を利用する。この水洗は、好ましくは、比較的低レベルの細孔形成剤を含む第2段階からの水を第1洗浄段階に再循環する、カスケード洗浄法を使用して実施される。高レベルの細孔形成剤を含む第1段階からの廃水を、廃棄することができ、又は細孔形成剤を蒸留によって回収することができる。真空乾燥は、任意の市販の真空乾燥機を使用して実施することができるが、好ましくは、静置トレー装置よりも撹拌式又は移動床式装置を使用すべきである。
【0078】
<樹脂構造体の炭化及び賦活>
米国特許出願公開第2010/0098615号(Tennion、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)には、ビーズ又は顆粒状ポリマー性材料、特に米国特許出願公開第2010/0086469号の方法に由来するポリマー性材料からなる固体ビーズを炭化及び賦活する方法が提供されており、該方法は、炭化及び賦活温度に維持された外燃式ロータリーキルンに材料を供給することを含み、該キルンは、それが回転するにつれて材料を前進させるための下向勾配を有し、キルンは、二酸化炭素又は蒸気の向流によって提供される酸素不含雰囲気を有し、材料の前進をコントロールするためにキルンに沿って所々に環状堰が備えられている。
【0079】
別法として、バッチ式炉を使用して、樹脂ビーズをより小さな規模で炭化及び賦活することができる。ここで、炭化及び賦活は、炭化が、二酸化炭素中、〜800℃で、賦活が、二酸化炭素中、850〜950℃で、又は蒸気中、700〜850℃で行われる別個のステップとして実施することができる。
【0080】
本発明の目的の場合、賦活媒体として二酸化炭素を使用することが好ましいが、その他の媒体を使用することも可能である。
【0081】
<肝疾患の治療での多孔性炭素粒子の使用>
前記の多孔性炭素粒子は、肝疾患の治療又は予防で有用である。肝不全は、肝疾患の最終段階である。肝不全は、発症の迅速性に応じて類別される。急性肝不全は急速に進行するが、慢性肝不全は、進行するのに数か月又は数年を必要とすることがある。定義により、肝不全は、脳症が明白であるほどに、肝臓がまさに病的であり、及び機能がまさに貧弱である場合に、見いだされる。いずれの進行性肝疾患も、肝不全をもたらすことがあり、例としては、アセトアミノフェン中毒、肝硬変、ウイルス性肝炎、及び肝臓の転移性癌が挙げられる。肝疾患のその他の徴候、例えば、黄疸、腹水、肝性口臭、及び血液凝固不全は、肝臓がその正常な生理学的義務を実行する上で困難を有することを示しているが、精神状態の変化が表れるまで、その徴候は肝不全とは呼ばれない。
【0082】
肝疾患を有する患者の予後は、病状が多くの原因を有するので、予測するのが困難である。
【0083】
したがって、本発明は、その肝臓が代償不全性であるか、肝性脳症を示す個体の治療又は予防に関することができる。個体の肝臓は、代償性状態にあることもある。個体は、慢性肝疾患を有することもある。個体は、例えば、アルコール性肝炎を伴う又は伴わない肝硬変を有することもある。個体は、急性肝不全を有することもある。個体は、肝性脳症を有することもある。
【0084】
急性及び慢性肝疾患の発症は、双方とも、生体異物が原因であることもある。例えば、個体は、肝臓傷害を引き起こす化学物質、薬物又はその他の若干の薬剤に暴露された可能性がある。個体は、肝臓傷害を引き起こすOTC薬、処方薬又は「気晴らし(recreational)」薬に対する反応性を有することがある。個体は、肝臓傷害を引き起こすと考えられるRezulin(商標)(トログリタゾン、Parke-Davis)、Serzone(商標)(ネファゾドン、Bristol-Myers Squibb)、又はその他の薬物を服用した可能性がある。個体は、肝臓傷害を引き起こす能力のある特定薬物の過剰量を服用したか、推奨投与量を超えた者である可能性がある。例えば、個体は、過剰量のパラセタモールを服用した可能性がある。個体は、例えば職場で、肝臓傷害を引き起こすことのある化学物質に暴露された可能性がある。例えば、個体は、工業又は農業の状況でこのような化学物質に暴露された可能性がある。個体は、肝臓傷害を引き起こすことのある化合物を含む植物を食した可能性があり、とりわけ、このことは、個体が草食動物などの動物である場合に問題である可能性がある。例えば、個体は、ピロリジジンアルカロイドを含有する植物、例えばサワギク(ragwort)を食した可能性がある。個体は、肝疾患を引き起こすと考えられる環境毒素に暴露された可能性がある。
【0085】
薬物関連肝臓中毒は、急性肝疾患(急性肝不全)を伴うすべての症例の50%超を構成する。アセトアミノフェン(パラセタモール及びN-アセチル-p-アミノフェノールとしても知られる)中毒は、米国及び英国において、急性肝不全の最も一般的な原因である。長期の中度から重度のアルコール飲酒者であって、治療用量又はわずかに過剰な用量でアセトアミノフェンを服用する者は、深刻な肝臓障害、可能性としては急性肝不全の危険にさらされている。アルコール飲酒は、アセトアミノフェンの毒性効果を増強する。特異体質性薬物中毒は、また、急性肝不全の一因となる。特異体質性薬物中毒は、個体が薬物に薬理学的に異常な方式で応答する過敏性応答であると考えられる。この異常な応答が、急性肝不全につながることがある。
【0086】
急性肝不全又は慢性肝疾患は、病原性生物体への感染によって引き起こされることもある。例えば、肝疾患は、ウイルス感染によることがある。とりわけ、個体は、肝炎を引き起こすウイルスに感染する、又は感染した可能性がある。個体は、慢性ウイルス性肝炎を有することがある。ウイルスは、例えば、B、C又はD型肝炎ウイルスであり得る。とりわけ、個体がウイルス性肝炎を有する一部の症例において、個体は、HIV-I又はIIに感染していることもある。個体は、AIDSを有することもある。個体が、肝疾患を引き起こすその他の生物体、とりわけそれらの生活環の一部の段階の間に肝臓中に存在する生物体に感染した、又は感染する可能性がある。例えば、個体は、肝吸虫を有する、又は有した可能性がある。
【0087】
個体は、慢性肝疾患を引き起こす、又はそのリスクを増大させる遺伝性疾患を有することもある。例えば、個体は、肝性ヘモクロマトーシス、ウィルソン病又はα-1-アンチトリプシン欠乏症の中の1種以上を有することがある。個体は、肝線維症の可能性を増大させる、肝臓における一部の種類の構造的又は機能的異常を引き起こす遺伝性障害を有することがある。個体は、肝臓を傷害し、それゆえ肝線維症の一因であり得る自己免疫障害を遺伝的に発症し易いことがある。
【0088】
慢性肝疾患は、アルコール誘発性であることがある。治療すべき男性又は女性が、アルコール中毒者である、又はあった可能性がある。彼又は彼女は、平均で週に50単位以上のアルコール、週に60単位以上のアルコール、週に75単位以上のアルコール、及び週に100単位以上のアルコールを飲酒する、又は飲酒した可能性がある。男性又は女性は、平均で週に100単位までのアルコール、週に150単位までのアルコール、さらには週に200単位までのアルコールを飲酒する、又は飲酒した可能性がある。1単位のアルコールの尺度は、国によって異なる。ここで、1単位は、英国の基準に従って8グラムのアルコールに等しい。
【0089】
男性又は女性は、このようなレベルのアルコールを5年以上、10年以上、15年以上、又は20年以上飲酒していた可能性がある。個体は、このようなレベルのアルコールを10年間まで、20年間まで、30年間まで、さらには40年間まで飲酒していた可能性がある。アルコール誘発性肝硬変の症例において、個体は、例えば、25歳以上、35歳以上、45歳以上、さらには60歳以上の年齢であり得る。
【0090】
個体は、男性又は女性でよい。女性は、男性に比べてアルコールの有害作用により敏感である可能性がある。女性は、男性に比べてより短期間で、及びより少ないアルコール量からアルコール性慢性肝疾患を発症することがある。女性におけるアルコール性肝傷害への感受性増大を説明する因子が単一であるとは思われないが、アルコール代謝に対するホルモンの効果が重要な役割を演じている可能性がある。
【0091】
したがって、個体は、アルコール性肝炎を患っていることがある。アルコール性肝炎は、疾患の単なる徴候である試験室での異常な検査結果を伴う軽度の肝炎から、黄疸(ビリルビンの滞留によって引き起こされる皮膚の黄化)、肝性脳症、腹水、出血性食道静脈瘤、異常血液凝固、及び昏睡などの合併症を伴う重篤な肝機能不全までの範囲に及ぶことがある。
【0092】
個体は、肝傷害をもたらすことが知られているいくつかのその他の状態、例えば、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性慢性活動性肝炎、及び/又は住血吸虫症(寄生虫感染)の中の1種以上を有することがある。個体は、胆管閉塞を有する又は有していた可能性がある。一部の症例において、肝疾患の根底にある原因は不明であることがある。例えば、個体は、特発性肝硬変を有すると診断された可能性がある。したがって、個体は、本明細書中で挙げられる状態のいずれかを有すると疑われることがある。
【0093】
急性肝不全及び肝性脳症などの肝疾患の診断法は、当技術分野で、とりわけ該分野の臨床医及び獣医師にとって周知である。好ましくは、個体は、例えば、医学又は獣医学の専門家によって、肝疾患及び肝性脳症を有すると診断されているであろう。個体は、肝疾患に関連する1種以上の症状、例えば、黄疸、腹水、皮膚の変化、体液滞留、爪の変化、軽度の紫斑、鼻血、食道静脈瘤の中の1種以上を呈示することがあり、男性個体では、乳房腫大を有することがある。個体は、極度の疲労、倦怠、食欲減少、吐き気、衰弱、及び/又は体重減少を呈示することがある。個体は、また、肝性脳症に関連する1種以上の症状、例えば、錯乱、見当識障害、認知症、意識障害、昏睡、脳浮腫、多臓器不全(呼吸不全、心血管不全又は腎不全)、筋硬直/固縮、癲癇発作、又は言語障害の中の1つ以上を呈示することがある。治療されるべき個体は、肝疾患を治療するためのその他の薬物を服用することができるか、服用する必要がない。治療されるべき個体は、肝性脳症を発症する危険にさらされていることがある。
【0094】
肝疾患は、超音波などの技術を含む理学的検査によって確認されているか、確認される。線維症、壊死細胞、細胞の変性及び/又は炎症、並びに肝疾患に固有の特徴の形成を捜すために、肝生検が行われることがある。個体の肝機能を評価して、個体において機能が障害されているかどうかを判定することができる。肝疾患の本質及び根底にある原因を特徴付けることができる。肝疾患を引き起こす薬剤への暴露歴を確定することができる。
【0095】
治療されるべき個体、例えば、肝移植を待っている患者、手術/門脈圧亢進の患者は、肝性脳症の発症リスクにさらされていることがある。肝性脳症発症のリスクにさらされている者は、任意の肝性脳症の発症を経験していないか、又は長い間(約12週間以上)肝性脳症の発症を経験していないが、肝性脳症の発症リスクを引き起こす障害又は医学的状態を有する者である。肝性脳症の発症は、患者における肝臓の疾患又は機能不全を伴う脳機能不全の存在によって特徴付けられる臨床状態である。肝性脳症においては、主効果が生活の質の低下である最小の障害から、昏睡、最後には死亡につながる明白な障害までの範囲に及ぶ、広範な範囲の精神障害が存在する。
【0096】
本発明の方法が実施される個体は、肝移植患者、例えば肝移植後の移植片における再潅流傷害を患う個体、又は多臓器不全を発症するリスクにさらされている又は発症した患者でよい。
【0097】
好ましくは、肝疾患は、アルコール性肝疾患(ALD)、非アルコール性肝疾患(例えば、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変及び/又は肝硬変の合併症(例えば、門脈血亢進、腹水、腎不全、肝性脳症又は慢性肝不全の急性憎悪)から選択される。本発明は、ALD、NAFLD又はウイルス性肝炎などの慢性肝疾患における炎症及び線維症の治療又は予防に関することができる。
【0098】
前記の多孔性炭素粒子は、また、腸肝軸(gut-liver axis)の調節で有用である可能性がある。したがって、該粒子は、また、腸管移入が重要であるその他の状態、例えば冠状動脈疾患、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群及び回腸嚢炎で用途を見いだす可能性がある。それらの多孔性炭素粒子は、また、高血圧、それゆえ脳卒中を治療又は予防するのに、並びに肥満又は肥満の合併症を治療又は予防するのに有用である可能性がある。
【0099】
したがって、本発明は、また、有効量の本明細書に記載の多孔性炭素粒子を投与することを含む、腸肝軸を調節する方法、及び腸肝軸を調節するための医薬品の製造における本明細書に記載の多孔性炭素粒子の使用に関する。本発明は、また、本明細書に記載の有効量の多孔性炭素粒子を投与することを含む、冠状動脈疾患、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、回腸嚢炎、高血圧、脳卒中、肥満又は肥満の合併症の治療又は予防方法、及び冠状動脈疾患、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、回腸嚢炎、高血圧、脳卒中、肥満又は肥満の合併症を治療又は予防するための医薬品の製造における本明細書に記載の多孔性炭素粒子の使用に関する。
【0100】
本発明の多孔性炭素粒子は、種々の剤形で投与することができる。したがって、多孔性炭素粒子は、経口で、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性懸濁剤、分散性粉末剤、又は顆粒剤として投与することができる。多孔性炭素粒子は、また、非経口で、皮下、静脈内、筋内、胸骨内、経皮、又は点滴技術で投与することができる。多孔性炭素粒子は、また、経直腸で、例えば坐剤の形態で投与することができる。医師は、それぞれ個々の患者に要求される投与経路を決定することができる。好ましくは、多孔性炭素粒子は、経口又は経直腸で投与される。経口又は経直腸で投与する場合、多孔性炭素粒子は、非吸収性であるので、腸管の管腔内で作用する。好ましくは、多孔性炭素粒子は、経口で、例えば易流動性形態(適切にはサシェ剤で提供される)又は錠剤形態で投与される。
【0101】
別の実施形態では、多孔性炭素粒子を、血液(ここで、該血液は肝疾患を有する個体に由来する)を炭素粒子を含む医療デバイスを通した後に身体に戻すことによる、血液を体外で処理する方法において使用することができる。この方法は、任意の適切な手段によって達成することができる。この方式で処理された血液を、治療目的のために個体に戻すことができ、又は別の目的のために使用することができる。例えば、異なる個体中への輸血に先立って、血液をこの方式で処理することができる。
【0102】
多孔性炭素粒子の製剤は、当該薬剤の性質、医薬又は獣医学的使用のいずれを意図しているかなどの因子に依存する。肝疾患を治療するのに使用する予定の薬剤は、同時的、個別的又は逐次的使用のために製剤することができる。
【0103】
多孔性炭素粒子は、典型的には、本発明において薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に投与するために製剤化される。医薬担体又は希釈剤は、例えば、等張性溶液でよい。例えば、固形経口形態は、活性化合物と一緒に、希釈剤、例えば、乳糖、デキストロース、蔗糖、セルロース、コーンスターチ若しくは馬鈴薯デンプン;滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウム、及び/又はポリエチレングリコール;結合剤、例えば、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又はポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば、デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、又はデンプングリコール酸ナトリウム;発泡性混合物;色素;甘味剤;湿潤化剤、例えば、レシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸塩;並びに、一般には、医薬製剤中で使用される非毒性の薬理学上不活性な物質を含むことができる。このような医薬調合物は、既知の方式で、例えば、混合、造粒、打錠、糖衣、又はフィルムコーティング工程によって製造することができる。
【0104】
経口投与のための液状分散剤は、シロップ剤、乳剤又は懸濁剤でよい。シロップ剤は、担体として、例えば、蔗糖を、又は蔗糖をグリセリン及び/又はマンニトール及び/又はソルビトールと共に含むことができる。
【0105】
懸濁剤及び乳剤は、担体として、例えば、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又はポリビニルアルコールを含むことができる。筋内注射のための懸濁剤又は溶液剤は、活性化合物と共に、薬学的に許容される担体、例えば、滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、及び所望なら、適切な量のリドカイン塩酸塩を含むことができる。
【0106】
経口投与のための製剤は、制御放出性製剤として製剤化することができ、例えば、それらの製剤を、大腸中での制御放出用に製剤化することができる。
【0107】
静脈内投与又は点滴のための溶液剤は、担体として、例えば、滅菌水を含むことができ、又は好ましくは、それらの溶液剤は、無菌の等張性生理食塩水の形態であってもよい。
【0108】
多孔性炭素粒子の用量は、種々のパラメーターにより、特に、使用される物質;治療予定患者の年齢、体重及び状態;投与経路;及び必要とされるレジメンにより決定することができる。
【0109】
やはり、医師が、任意の特定の患者に必要とされる投与経路及び投与量を決定することができる。典型的な1日当たり用量は、治療予定の個体の年齢、体重及び状態、変性の種類及び重症度、並びに投与の頻度及び経路に応じて約0.1〜2g/kg体重である。1日当たり投与量レベルは、例えば、0.5〜15g、好ましくは1〜10gでよく、又は適切なら、10〜100g、好ましくは20〜80gなどのより大きな1日当たり投与量を使用することができる。
【0110】
本明細書中で言及されるすべての刊行物及び特許出願は、本発明が属する技術分野の当業者のレベルを示す。
【0111】
すべての刊行物及び特許出願は、各個々の刊行物又は特許出願が、参照によりあたかも具体的及び個別的に組み込まれていると同様の程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
前記発明を、例示及び理解させる目的での例によりある程度詳細に説明してきたが、特定の変更及び修正を、添付の特許請求の範囲内で実施できることは、当業者にとって明らかであろう。
【0113】
以下の実施例により本発明を例示する:
<本発明の特定の態様>
本発明の特定の態様を下記に開示する。
【0114】
1.全細孔容積の少なくとも20%が、2〜200nmの平均直径を有する細孔から構成される、肝疾患の治療又は予防における使用のための多孔性炭素粒子。
【0115】
2. 全細孔容積の少なくとも20%が、30〜150nmの平均直径を有する細孔から構成される、態様1に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0116】
3. 全細孔容積の少なくとも20%が、50〜120nmの平均直径を有する細孔から構成される、態様1又は2に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0117】
4. 前記細孔が、全細孔容積の少なくとも25%を構成する、態様1から3のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0118】
5. 前記細孔が、全細孔容積の30〜60%を構成する、態様1から4のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0119】
6. 粒子が、さらに、0.6〜2nmの平均直径を有するマイクロポアを含む、態様1から5のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0120】
7.マイクロポアが、全細孔容積の5〜30%を構成する、態様6に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0121】
8. 粒子が、さらに、200nmを超える直径を有する細孔を含む、態様1から7のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0122】
9. 200nmを超える平均直径を有する細孔が、全細孔容積の25〜70%を構成する、態様8に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0123】
10. 30〜150nmの平均直径を有する細孔の全容積が、0.2〜2.0cm
3/gである、態様1から9のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0124】
11. 0.6〜2nmの平均直径を有するマイクロポアの全容積が、0.01〜1.5cm
3/gである、態様6から10のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0125】
12. 200nmを超える平均直径を有するマクロポアの全容積が、0.2〜1.0cm
3/gである、態様8から11のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0126】
13. BET(Brunauer-Emmett-Teller)法で測定した場合の全比表面積が、700m
2/gを超える、態様1から12のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0127】
14. 全比表面積が、1000m
2/gを超える、態様13に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0128】
15. 全比表面積が、1400〜2000m
2/gである、態様14に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0129】
16. 粒子が、2〜2000μmの平均直径を有する、態様1から15のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0130】
17. 粒子が、球状粒子の形態である、態様1から16のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0131】
18. 粒子が、経口又は経直腸で投与される、態様1から17のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0132】
19. 粒子が、易流動性形態又は錠剤形態で、経口投与される、態様18に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0133】
20. 肝疾患が、アルコール性肝疾患(ALD)、非アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、及び/又は肝硬変の合併症から選択される、態様1から19のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0134】
21. 非アルコール性肝疾患が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である、態様20に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0135】
22. ALD、NAFLD又はウイルス性肝炎などの慢性肝疾患における炎症及び線維症の治療又は予防において使用するための、態様1から19のいずれか1つに記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0136】
23. 肝硬変の合併症が、門脈圧亢進、腹水、腎不全、肝性脳症、及び慢性肝不全の急性憎悪から選択される、態様20に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【0137】
24. 有効量の、全細孔容積の少なくとも20%が、2〜200nmの平均直径を有する細孔から構成される多孔性炭素粒子を投与することを含む、肝疾患の治療又は予防方法。
【0138】
25. 肝疾患を治療又は予防するための医薬品の製造における、全細孔容積の少なくとも20%が、2〜200nmの平均直径を有する細孔から構成される多孔性炭素粒子の使用。
【0139】
26. 腸肝軸の調節において使用するための、態様1から17のいずれか1つに記載の多孔性炭素粒子。
【0140】
27. 冠状動脈疾患、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、回腸嚢炎、高血圧、脳卒中、肥満又は肥満の合併症の治療又は予防において使用するための、態様26に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
【実施例】
【0141】
<材料及び方法>
<炭素材料>
[調製例1]
平均分子量が700〜800Dの100重量部の工業用ノボラック樹脂(Hexion Specialty Chemicals)のエチレングリコール溶液を90〜95℃に加熱し、同温度まで加熱された15〜20重量部のヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミン)のエチレングリコール溶液と2〜5分間徹底的に混合した。生じた澄明溶液を、主要成分が多不飽和(酸化)植物油である工業用乾性油(デニッシュオイル)である0.2〜1%(v/v)の分散剤を含む2.5〜6倍容の熱い(150〜155℃)撹拌された低粘度鉱油(絶縁油又は変圧器油)中に1本の流れの状態で注ぎ入れた。混合物の温度は、135〜140℃に降下し、混合物を15〜20分かけて150〜155℃まで再加熱した。典型的には、硬化は、ほぼ140℃で1〜2分以内に起こり、続いてかなりの気体が発生した。15〜20分間の150〜155℃までのさらなる加熱は、硬化の完結を確実にした。混合物を冷却し、生じたビーズを、濾過又は遠心分離により鉱油から分離した。エチレングリコールを、複数回の熱水抽出によって、又は真空乾燥(120℃、50mmHg)によって樹脂から除去した。上記方法で、ヘキサミン含有量は、国際公開第02/12380号の実施例3に比較して、100重量部のノボラックにつき先に例示された9重量部から15〜20重量部まで増加され、樹脂溶液が注ぎ入れられる鉱油の温度は、115〜120℃から150〜155℃まで高められ、先に例示されたような「緩慢」な硬化よりもむしろ「急速」な硬化が引き起こされる。
【0142】
水洗されて湿った、乾燥された、又は真空乾燥された樹脂ビーズを、熱処理し、炭素材料を作り出した。典型的な方法は、限定はされないが、外界温度から800℃まで3℃/分で上昇する温度での二酸化炭素流中での炭化、粒径による分級、及び選択された画分の二酸化炭素流中での900℃でのさらなる「物理的」賦活から構成された。当技術分野で公知のこの定型的方法の多くの変形形態も適用することができる。これらのサンプルにおける賦活度は、ほぼ30%であった。
【0143】
生じる炭素のメソ/マクロポアの細孔径分布は、前駆体樹脂の多孔度によって前以て決定され、溶媒/細孔形成剤の含有量及び生じた炭素の賦活度によってコントロールされる。下表1に、メソ/マクロポア性炭素の前駆体である4種の樹脂組成物の、賦活された材料の窒素ポロシメトリー試験及び水銀ポロシメトリー試験により例示した場合の詳細を示す。後記の生物医学的試験では、極めて類似したマクロポア構造を有するマイクロ〜マクロポア性材料であるTE7及びTE8を主に使用した。メソ/マクロ領域中のより小さな細孔を有するTE3及びTE5材料は、例示のために存在し、TNFαなどのより大きな分子を吸着する性能は劣る。
【0144】
生じる樹脂ビーズの粒径分布は、限定はされないが、撹拌器具の種類、撹拌速度、樹脂溶液の粘度、分散剤の濃度、樹脂溶液の鉱油に対する比率、及び分散液の温度をはじめとする種々のパラメーターに依存する。分布は、典型的には広いが、主な画分の粒径は、実際上、〜10μmから〜1mmの間で変動し得る。
【表1】
【0145】
図11は、TE3、TE5及びTE7樹脂(表1に由来する組成物)からそれぞれ誘導された賦活化炭素の計算された細孔径分布(BJHモデル)を示す。この図は、すべての材料が、2nm未満のマイクロポア径の範囲に大きなピーク、及び5〜500nmの範囲に第2のメソ/マクロポアのピークを示す、炭素の二峰性を立証しており、ここで、細孔径及び細孔容積は、表1に示したような細孔形成剤グリコールの濃度と共に増加する。好ましい材料であるTE7及びTE8は、窒素吸着で測定した場合に、10〜500nmの範囲により大きなメソポア/小さなマクロポアを有する。TE3は、有意により小さな細孔容積を有し、細孔は、小さなメソポア(2〜50nm)領域にさらに拡がる。
【0146】
[調製例2]
炭化されたビーズの賦活
樹脂ビーズを、二酸化炭素又は蒸気中で賦活することができる。二酸化炭素は、よりコントロールし易いが、より大規模な調製のためには、コストの面で蒸気が好ましい。二酸化炭素中での賦活は、ほぼ900℃で、炉中への滞留時間によって燃焼度をコントロールして行われる。蒸気賦活は、好ましくは、ほぼ700℃で行われる。どちらの場合も、条件は決定的ではなく、温度及び時間を、当業者により知られているように調整して、必要とされる賦活度を得ることができる。二酸化炭素賦活のTE8ビーズの細孔構造に対する効果を
図3に示し、細孔分布を表2に要約する。マイクロポア容積の増加が
図3から観察できる。また、表2から、マイクロポア(<2nm)の細孔容積が、未賦活サンプルで極めて小さく(0.1cm
3/g)、小さなBET表面積(534m
2/g)にも対応している。少なくとも30%燃焼までの賦活は、マイクロポアの容積及び表面積の双方を有意に増大させる。生体医学的吸着に好ましい材料は、少なくとも1000m
2/gの面積、0.3cm
3/gを超えるマイクロポア容積を有する。
【表2】
【0147】
賦活に伴う炭素のマクロポア容積の変化は、窒素吸着法での測定値ではあるが、0.5cm
3/gを超えているに違いない。より大きな細孔構造は、水銀ポロシメトリーを使用して測定すべきである。これらのことを、40%燃焼まで賦活されたTE7及びTE8について
図2に示す。38000nmを超えるより大きな細孔は、ビーズ間の粒子間空隙によるものであり、ビーズ内の内部多孔度では全くない。TE7及びTE8粒子は、それぞれ88nm及び91nmに細孔直径ピークを、1499m
2/gの表面積を、1.36cm
3/gの細孔容積を、0.2g/cm
3の嵩密度を、240〜500μmの粒径を、及び40%の賦活度を有する。上記での双方の主ピークを超える細孔(>300nm)の不在は、双方の材料でメソポア(2〜50nm)領域の細孔が本質的に存在しないので、容易に明らかである。水銀法は、必要とされる圧力のため、〜6nm未満の細孔に関するデータを提供することができない。
【0148】
特記しない限り、次のインビトロ及びインビボ研究で使用される多孔性炭素粒子は、上記の賦活化TE7粒子とした。
【0149】
<インビトロ研究>
<試験炭素の直接接触インキュベーションの細菌代謝に対する効果の調査>
炭素材料(指定通りのTE7又はTE8)をガラス製万能瓶中に秤量し、80℃で2時間乾熱滅菌した。それぞれ0.1gの材料に1mLのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を添加し、サンプルを、120rpmで振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。トリプトン大豆ブイヨン(TSB)に大腸菌(Escherichia coli)(NCTC 10418)又は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(NCTC 6571)を接種し、120rpmで振盪しながら37℃で一夜インキュベートした。細菌懸濁液を、遠心分離によりペレット化し、1mLのPBSに再懸濁した。懸濁液の吸光度を540nmで測定し、懸濁濃度を0.5の吸光度値になるように調整した。次いで、この希釈係数を使用して、細菌のTSB懸濁液を調製した。E coli懸濁液に関する生存度の計数を、逐次希釈及び寒天平板上での平板培養により実施した。各材料に接種物(1mL)を添加し、サンプルを、120rpmで振盪しながら37℃でインキュベートした。30分、2及び6時間の設定時間間隔で、各サンプルから100μLの細菌懸濁液を取り出し、96ウェルプレートのウェル中に配置した。サンプルを溶菌し、BacTiter-Glo微生物細胞生存率アッセイ(Promega)を使用して、細胞代謝の尺度としてのATP含有量について分析した。
【0150】
<炭素浸出液の細菌代謝に対する効果の調査>
炭素材料(TE8、及び中毒について指摘されている市販のACTIDOSEチャーコール)をガラス製万能瓶中に秤量し、120℃で2時間乾熱滅菌した。それぞれ0.2gの材料に2mLのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を添加し、サンプルを、120rpmで振盪しながら37℃で24時間インキュベートした。TSBにE coli(NCTC 10418)又は枯草菌(Bacillus subtilis)を接種し、120rpmで振盪しながら37℃で一夜インキュベートした。細菌懸濁液を、遠心分離によりペレット化し、TSBで希釈して、ほぼ1×10
9細菌/mLの最終濃度を得た。100ウェルのBioscreenプレートに、100μLのエキス、100μLの接種物、及び100μLのTSBを添加し、細菌の増殖を、Bioscreen濁度測定分析装置中で、細菌数を540nmで72時間監視して測定した。
【0151】
<試験炭素によるエンドトキシン吸着の長時間にわたる調査>
TE8試験炭素によるエンドトキシンの除去を、カブトガニ血球抽出成分(LAL)Endsafe Endchrome-K試験(Charles River Laboratories、英国)、及びEndoscan-Vソフトウェアを備えたTecan Sunriseインキュベートプレートリーダーを使用して測定した。発熱物質を除去したガラス器具及びエンドトキシン不含プラスチックを使用して、エンドトキシン汚染を最小化した。試験炭素TE8のビーズを250℃で3時間の乾熱滅菌に供した。炭素を、模擬腸管液(SIF)であらかじめ湿らせた。SIFは、米国薬局方26のパンクレアチンを含まない処方に従って、及び試薬級のLAL用水を使用して、各実験の直前に調製した。E coli 055:B5由来の標準的なリポ多糖(LPS)溶液を、SIF中、200EU/mLの濃度で調製した。炭素からSIFを吸引によって除去し、各試験炭素に、エンドトキシンを加えたSIFを、1gの炭素につき10mLの容積/重量比率で添加した。試験サンプル、及び炭素を含まない陽性対照を、振盪しながら37℃でインキュベートし、0、15、30、45及び60分の時点で450μLのサンプルを取り出した。各サンプルのエンドトキシン濃度を、製造業者の説明書に従って、0.005〜50EU/mLの希釈液を使用して作成された標準曲線と対照して計算した。
【0152】
<試験炭素によるTNFの吸着に関する調査>
0.001〜0.005gの範囲の異なる重量の炭素ビーズ(試験炭素TE8)を、ラベルを貼った滅菌エッペンドルフ管中に四つ組で入れ、振盪式インキュベーター中、37℃で2時間、1mLのSIF中で前以て湿らせた。エッペンドルフ管を8000rpmで3分間遠心した。上清液を除去し、組換えTNFを10ng/mLで添加されたSIFを添加した。試験炭素TE8吸着剤を、90rpmで振盪しながら37℃で24時間インキュベートした。サンプルを8000rpmで3分間遠心し、上清液を集め、-20℃で貯蔵した。サンプルをアッセイ用希釈液で希釈した後、製造業者(BD Biosciences)の説明書に従って、ELISAによりTNF濃度を測定した。
【0153】
<炭素のアセトアルデヒド吸着効果に関する調査>
0.001〜0.005gの範囲の異なる重量の炭素ビーズ(試験炭素TE8)を、ラベルを貼った滅菌エッペンドルフ管中に四つ組で入れ、振盪式インキュベーター中、37℃で2時間、1mLのSIF中で前以て湿らせた。アセトアルデヒドを7.2mM(0.1g/mL)で添加した(n=3、平均±SE)。エッペンドルフ管を8000rpmで3分間遠心した。アセトアルデヒド(AT)の吸着を、2-ジフェニルアセチル-1,3-インダンジオン-1-ヒドラゾン(DIH)での誘導体化法、及びHPLCでの検出を利用して測定した(
図5B)。
【0154】
<インビボ研究>
すべての動物実験は、科学的処置に関する英国動物法1986(UK Animals in Scientific Procedures Act 1986)に従った施設内ガイドライン(Home Office guidelines)に従って実施した。雄性Sprague-Dawleyラット(体重280〜300g)を使用した(Charles River Laboratories UK Ltd.)。すべてのラットは、12時間の明/暗サイクル、19〜23℃の温度、及びほぼ50%の湿度で、ユニット中に収容され、粉末化された標準的な齧歯動物用食餌及び水への自由接近を付与された。
【0155】
<胆管結紮モデル>
ハロタン麻酔下で、131尾の雄性Sprague-Dawleyラットに、胆管結紮又は胆管偽手術を施した。ラットに、胆管結紮の2週間後から、当初の手術から4〜5週の時点の実験完了まで、粉末化食餌±前以て水和されたMastcarbon(250〜500μm)(TE7)を1日につき0.4g/100g体重の用量で同時同量給餌(pair-feed)した。研究完了の3.5時間前に、腹腔内クレブシエラ(Klebsiella)リポ多糖(LPS)(0.33mg/kg)を4種の下位群に投与した。次の群について研究した:偽手術群(n=15)、偽手術+炭素群(n=17)、偽手術+LPS群(n=11)、偽手術+LPS+炭素群(n=10)、BDL群(n=22)、BDL+炭素群(n=25)、BDL+LPS+炭素群(n=10)、BDL+LPS+炭素群(n=16)。
【0156】
<腸管透過性のアッセイ>
腸管透過性アッセイは、実験完了の1日前に実施した。動物を、一夜順化するため代謝ケージ中に収容した。ベースラインでの尿サンプルをクライオチューブ中に集め、-70℃で貯蔵した。次いで、ラクツロース(277mM)、L(+)-ラムノース(10mM)及び3-メチル-o-ピラノース(2.0mM)からなる0.6mLの溶液を、経管栄養で投与し、後に続く5時間の間、尿を集めた。尿サンプルを、質量分光法を利用して分析した。動物を、再順化のためにそれらの群のケージに戻し、終了に先立って絶食させた。
【0157】
<血行動態測定及びサンプル収集>
ハロタン麻酔(5mL/分で導入し、2mL/分で維持)下に、内頸動脈カテーテル(外径0.96のPortex微細ポリエチレンチューブ、Scientific Laboratory Supplies Ltd.、ノッティンガム、英国)を前記のように挿入した。研究継続期間中、カテーテルを、近位及び遠位の双方の保持縫合によってしかるべき位置に保持した。カテーテルを導入し、平均動脈圧を測定した。次いで、滅菌条件下で開腹手術を実施し、カテーテルを門脈中に配置した。動脈及び門脈カテーテルを導入した。随伴する動脈及び門脈血漿を、無菌的に、リチウムヘパリン及びEDTAのチューブ中に、失血状態が達成されるまで集めた。次いで、5mLの氷冷PBSを、肝臓中に潅流し、臓器の漂白を達成した。肝臓を取り出し、10mLの氷冷PBS中に配置した。血漿を3500rpm、4℃で10分間遠心した。上清液を直ちにクライオチューブに移し、-70℃で貯蔵した。
【0158】
十二指腸、中央空腸、末端回腸、及び上行結腸を集め、ホルマリン及び電子顕微鏡法用保存溶液(200mMカルコジル酸ナトリウム、4%グルタルアルデヒド、pH=7.2〜7.4)中に保存した。組織標本を、管腔の潅注又は汚染除去を試みないで、腸間膜床と共に集めた。また、4つの部位のすべてからサンプルを集め、続いて、生理食塩水で管腔の汚染を除去し、潅注した。これらのサンプルを、直ちにクライオチューブに移し、-70℃で貯蔵した。また、肝臓、腎臓及び脳の組織を集め、ホルマリン及びクライオチューブ中に貯蔵し、-70℃で貯蔵した。
【0159】
<非実質肝細胞の単離>
潅注された肝臓組織をメスで解体し、ハンクス平衡塩溶液(カルシウム及びマグネシウム+0.01%のコラゲナーゼ及び0.01%のDNA分解酵素を含む)中でホモジナイズした。ホモジネートを、50mLのファルコン管に移し、37℃でインキュベートした後、100μmの細胞ストレーナーを通して濾過した。次いで、これを500rpm、4℃で5分間遠心し、続いて、上清液を、2000rpm、4℃で10分間遠心した。上清液を廃棄し、ペレットをPF4(カルシウム又はマグネシウムを含まず、0.01%のDNA分解酵素、0.25%のウシ血清アルブミンを含むHBSS)中に再懸濁し、2000rpm、4℃で10分間遠心した。次いで、ペレットを、3.9mLのRPMI 1640中に再懸濁し、2.1mL(RPMI+22%のOptiprep)と穏やかに混合した。次いで、頂面上にRPMIを層化し、続いて、制動せずに2800rpm、4℃で25分間遠心した。非実質細胞を、界面から単離し、等容積のPF4中に再懸濁し、2000rpm、4℃で10分間遠心した。続くすべてのアッセイで、10×10
6個の細胞を使用した。
【0160】
<クッパー細胞の食細胞機能>
細胞を2000rpm、4℃で5分間遠心し、上清液を廃棄した。ペレットに、200μLのラテックスビーズを含む培地を添加し、暗所において37℃で20分間インキュベートした。次いで5mLの氷冷PBSを添加し、2000rpm、4℃で5分間遠心した。次いで、ペレットを、5mLの冷PBSで洗浄し、遠心した。次いで、Fcブロッカーを添加し、4℃で10分間インキュベートした。次いで、抗CD163抗体を添加し、暗所にて4℃で30分間インキュベートした。
【0161】
<クッパー細胞での活性酸素種(ROS)の産生>
1×10
6個の非実質細胞サンプルに20μg/mLのE.coliエンドトキシンを添加し、37℃で30分間インキュベートした。陽性対照として、ROS誘導剤を200〜500μMの最終濃度で使用した。次いで、サンプルを500gで5分間遠心し、上清液を廃棄した。次いで、細胞を5mLの洗浄用緩衝液に再懸濁し、500gで5分間遠心し、上清液を除去した。細胞を、500μLのROS検出溶液に再懸濁し、暗所にて37℃で30分間インキュベートした。遠心した後に、細胞を100μLのFACS緩衝液中に再懸濁し、Fcブロッカーを添加し(1:25)し、4℃で10分間インキュベートした。抗CD163抗体を添加し、細胞を暗所にて4℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を1mLのFACS緩衝液で洗浄し、遠心し、100μLのFACS緩衝溶液に再懸濁した。
【0162】
<サイトカインの分析>
門脈中TNFα、IL-4、IL-10レベルを、BD(商標)サイトメトリービーズアレイ(CBA)キットを使用して測定した。50μLの混合型捕捉ビーズを、前以て湿らせたプレートの各アッセイウェルに添加した。次いで、50μLの標準物質又はサンプルをアッセイウェルに添加した。プレートを、デジタル式振盪機を使用し、500rpmで5分間撹拌し、プレートを室温で1時間インキュベートした。次いで、50μLの混合型PE検出試薬を各アッセイウェルに添加した。次いで、プレートを、デジタル式振盪機を使用し、500rpmで5分間撹拌し、室温で2時間インキュベートした。プレートを、ウェルに液体がなくなるまで真空吸引した。各アッセイウェルに150μLの洗浄用緩衝液を添加した。次いで、プレートをデジタル式振盪機上、500rpmで5分間撹拌して、ビーズを再懸濁した。次いで、サンプルを、フローサイトメトリーで分析し、データを、FACS Divaソフトウェアを使用して解析した。
【0163】
<エンドトキシンの測定>
エンドトキシンを検出するために、カブトガニ血球抽出成分のカイネティック発色アッセイ(Charles River Laboratories)を使用した。門脈血漿(100μL)をエンドトキシン不含水で1:10に希釈し、75℃で30分間インキュベートした。100μLのサンプル及び100μLのLAL試薬を96ウェルプレート中で混合し、Endoscan Vソフトウェアを使用する分光光度計を用い、405nmで分析した。結果は、EU/mLで表される。
【0164】
<好中球の単離>
健常志願者からの全血(4mL)を5mLのPolymorphoprepを覆って層化し、400g、室温で30分間回転させた。好中球を、第2界面から採取し、リン酸緩衝化生理食塩水で洗浄した。好中球を計数し、PBSに5×10
5個/50μLの密度で再懸濁し、アッセイ毎に、50μLの細胞懸濁液及び50μLの血漿を使用した。生存度を評価した。
【0165】
<好中球の機能>
門脈血漿共インキュベーションの、正常ヒト好中球の酸化バースト及び食作用に対する効果を、Phagoburst及びPhagotestアッセイを使用して測定した。Phagoburstキット(Orpegan Pharma)を使用して、前記のような活性酸素種を産生する好中球の割合を測定した(FACS CantoII、BD Bioscience)。Phagotest(Orpegan Pharma)を使用し、前記のようなFITC標識化されたオプソニン化E.coli細菌を使用することによって食作用を測定した。細胞及び血漿を90分間インキュベートした後、それらを、PBSで洗浄し、CD16-PE(3μL)(Immunotools)と共にインキュベートした。好中球上のそれぞれの抗体の平均蛍光強度を、フローサイトメトリー(FACS Canto II、BDBioscience)により分析した。
【0166】
<生化学的分析>
生化学的プロフィールを、標準的技術(COBAS)を使用して測定した。
【0167】
<組織学的分析>
肝臓組織を、標準プロトコールにより処理し、ヘマトキシリン及びエオシン染色をシリウスレッド染色と共に実施した。組織学的な段階化を、コンサルタント病理組織学者によって、続発性胆汁性肝硬変の14点点数化システムを使用して実施した。シリウスレッド染色を、コンピューター支援デジタル画像解析を使用して定量化した。コラーゲンに比例した面積を、Zeiss KS300画像解析ソフトウェアを使用して求めた。結腸、肝臓及び腎臓中でのTLR-4の発現を、免疫組織化学により測定した。
【0168】
<脳中水分の分析>
脳中水分を、標準的プロトコールにより定量した。100gの脳組織を100℃のインキュベーター中に24時間入れた。水の減少割合を計算した。
【0169】
<統計解析>
データは、平均±平均の標準誤差(SEM)として表した。使用したソフトウェアには、Graphpad Prism 5.0(GraphPad software,Inc.、サンディエゴ、カルフォルニア州)を含めた。
【0170】
<結果>
<インビトロ研究>
[実施例1]
:試験炭素の直接接触インキュベーションの細菌代謝に対する効果の調査
試験炭素TE8をE.coli又はS.aureusのTSB中細菌懸濁液と共に直接インキュベートすると、TE8炭素は、4〜6時間の直接接触の後に、どちらの種についても細菌増殖に影響を及ぼさないことを示した(
図6及び7)。発光測定値は、細菌ATPの測定を介する、細胞生存率及び細胞数の間接的尺度である。サンプル接触による細菌代謝の反映である発光レベルを、双方の種に関して、実験の時間経過にわたって吸着剤の存在しない対照と比較することができた。対照的に、市販の経口用ACTIDOSE炭素では、細菌を炭素と共にインキュベートしてわずか30分後に、発光シグナルは、著しく低下した。
【0171】
[実施例2]
:炭素浸出液の細菌代謝に対する効果の調査
TE7炭素浸出液をE.coli又は枯草菌(Bacillus subtilis)のTSB中細菌懸濁液と共に直接インキュベートすると、TE7炭素浸出液は、72時間までのインキュベーションで、どちらの種についても細菌増殖に影響を及ぼさないことを示した(
図8及び
図9)。光学密度(OD)の測定値は、細菌数の間接的尺度である。TE7サンプルに関するOD値を、双方の種に関して、実験の時間経過にわたって吸着剤の存在しない対照と比較することができた。
【0172】
[実施例3]
:試験炭素によるエンドトキシン吸着の長時間にわたる調査
最初に200EU/mLで添加されたエンドトキシンのSIF溶液中で検出される濃度は、時刻0での160EU/mLから試験炭素と共に60分間インキュベートした後の30EU/mLまで低下した(
図10)。対照溶液は、長時間にわたって、安定して160EU/mLの濃度を維持した。
【0173】
[実施例4]
:試験炭素によるTNFの吸着に関する調査
試験炭素TE8がSIFから炎症性サイトカインTNFを除去する能力は、吸着等温線で示される(
図11)。平衡状態でTE8炭素によって吸着されるTNFの最大量は、10μg/g炭素であることが判明した。
【0174】
[実施例5]
:インビボ研究
炭素治療の後に、門脈圧の有意な低下が、BDL+LPS群(非治療で平均18.05mmHg、炭素治療で10.17mmHg、p=0.0007)、及びBDL群(非治療で平均12.57mmHg、炭素治療で11.02mmHg、p=0.0043)で観察された。平均動脈圧の有意な変化は観察されなかった(
図14)。
【0175】
非治療群に比較して、アラニントランスアミナーゼ(ALT)の有意な減少が、炭素治療されたBDL群及びBDL+LPS群で観察された。炭素治療は、BDL+LPSラットにおける99U/mLから62U/mL(p=0.0152)への、BDLラットにおける71U/mLから52U/mL(p=0.0422)へのALTの減少と関連していた(
図12)。クッパー細胞集団の増加が、BDLラット及びBDL+LPSラットにおいて観察された。炭素での治療は、双方の群において、偽手術対照の値に向かう有意な低下をもたらした(p=0.0286、p=0.0357)。肝臓での全ROS産生は、BDLラットにおいて、偽手術群と比較して増加し、肝損傷の増加と矛盾しないことが見いだされた。BDLラットにおける炭素治療は、偽手術群の値に近づく全ROS産生の著しい低下と関連していた。クッパー細胞の食作用は、BDLラット及びBDL+LPSラットにおいて増加したことが観察された。偽手術群の値に向かう食作用の正常化が炭素治療において観察された(
図17〜21)。
【0176】
正常な好中球を有するBDLラット及びBDL+LPSラットからの門脈血漿をインキュベートした後に、幾何平均蛍光強度(GMFI)の非有意な減少が観察された。炭素治療の後のGMFI減少は、BDLラットで1115から944、BDL+LPSラットで1104から998であった。門脈でのIL-4及びIL-10の減少に向かう傾向が、炭素で治療されたBDLラットにおいて観察された。門脈でのTNFα及びエンドトキシンレベルは、炭素で治療された群においてより低いことが観察されたが、このことは、統計的に有意でなかった。結腸中でのTLR-4及び2の発現の、治療群と非治療群との間での相違は、見いだされなかった。
【0177】
コラーゲンに比例する面積の相違は、治療及び非治療のBDL群及びBDL+LPS群の間で観察されなかった。肝臓中での平滑筋アクチンの発現は、免疫組織化学によれば、炭素で治療されたBDL群及びBDL+LPS群において減少したことが見いだされ、おそらく、星状細胞の活性化の低下機構を説明している。
【0178】
腸管透過性は、炭素で治療された動物で正常化された(
図22)。最終乾燥体重の有意な増加が、炭素で治療されたBDL群で観察された(p=0.0271)(
図15)。回腸、空腸及び結腸の組織構造は、炭素での治療の後に、影響を受けないままであった(
図28)。
【0179】
<肥満>
多孔性炭素ナノ粒子の肥満に対する効果を、Ob-/Ob-マウスのモデルで調べた。10〜14週齢の遺伝的にレプチンの欠損した雄性肥満マウスに炭素療法(0.04g/10g/日)を施した。マウスに、門脈中への5mLの氷冷PBSでの肝潅流を施した。クッパー細胞の単離、及び細胞の透過処理を含まないFACS分析による特徴付けによって結果を収集した。
【0180】
・F4/80(クッパー細胞マーカー)
・CD68(マクロファージマーカー)
・CD11b(刺激された内皮、食作用、呼吸バーストとの相互作用を仲介する)
・ROS(活性酸素種)アッセイ±LPS負荷
・食作用アッセイ。
【0181】
<メチオニンコリン半欠乏(HMCD)及びメチオニンコリン欠乏(MCD)実験>
NAFLDの炎症性及び線維性要因を研究するため、多孔性炭素粒子の効果を、肝酸化ストレスのメチオニンコリン半欠乏モデルで調べた。HMCD食を給餌されたマウスに、2週間目から炭素を0.4g/100g/日の用量で給餌した。より進行した疾患を達成するために、完全MCD食を使用した。MCD食を給餌されたマウスに、4週モデルの1日目から炭素を0.4g/100g /日の用量で給餌した。
【0182】
<遠隔臓器への効果>
定型的な染色(H&E及びPAMS)で腎臓組織構造の有意な差異は存在しなかった。腎臓でのTLR-4発現は、有意に相違することはなかった。腎機能の反映としての血清中クレアチニンは、炭素で治療されたBDL+LPS群でより低かったが、有意に相違することはなかった(
図30)。脳中水分は、炭素で治療されたBDL+LPS群でより少ないが、統計的に有意ではなかった(
図30)。炭素による塞栓形成の証拠は、巨視的又は微視的レベルで観察されなかった。
【0183】
<考察>
本発明者らは、マイクロ/メソポア性炭素が、慢性肝疾患の病因に関連する管腔内因子を結合するのに最適な多孔度を有することを、インビトロで立証した。遊離エンドトキシンに対する高い親和性が立証されたが、細菌増殖速度に有意に影響を及ぼすことはなかった。したがって、マイクロ/メソポア性炭素は、抗菌効果を伴わないエンドトキシン吸着剤として作用している。生存細菌の不在下での細菌産生物の移入は、肝硬変で認められる現象である。臨床研究は、血清及び腹水における培養陰性の細菌PCR陽性は、生存の前兆であることを示した。管腔内遊離エンドトキシンの移入は、BDLラットで実証され、全身性内毒素血症を駆動することが示され、ACLFの病因に関係付けられた。したがって、遊離エンドトキシンを結合する能力のあるマイクロ/メソポア性炭素は、この過程を減少させる潜在能力を有する。さらに、細胞増殖速度に影響を及ぼさないことにおいて、炭素は、抗生物質療法に帰せられる副作用とおそらくは関連していない。これらの副作用としては、腸管中での、共生細菌叢における潜在的により有害な効果を有する耐性細菌集団へ向かう変移を伴う、抗生物質誘発性腸内毒素症が挙げられる。さらに、抗生物質は、エンドトキシンの発生をもたらし、抗生物質の種類に依存するエンドトキシン動態に対して様々な影響を及ぼす。抗生物質活性の不在下で、炭素療法に付随したこの効果は、観察されなかった。
【0184】
内毒素血症は、肝硬変における制御不全性炎症応答を駆動することが知られている。この研究でのインビトロデータは、マイクロ〜メソポア性炭素が、肝硬変及び慢性肝不全の急性憎悪の病因に潜在的関連性のある炎症促進性サイトカインに対して高い親和性を有することを確証する。臨床研究は、門脈のサイトカインレベルの、門脈血行動態の状態を含む疾患の自然病歴との関連を説明している。したがって、炭素による門脈由来サイトカインの応答の排除は、門脈圧亢進に対して影響を与える潜在能力を有する。
【0185】
本発明者らは、BDLラット及びBDL+LPSラットにおける、マイクロ/メソポア性炭素を経口投与した後の門脈圧の有意な低下を立証している。門脈圧の最も顕著な低下率は、BDL+LPS治療群で観察された。このことは、炭素が、とりわけ門脈圧応答に関してBDL動物のエンドトキシン感受性に対して顕著な効果を有することを示唆している。しかし、炭素療法は、平均動脈圧に対して有意な影響を有さず、血行動態効果は、門脈循環に限られることを示唆している。
【0186】
クッパー細胞集団及びその機能も、炭素治療によって調節されることが観察された。クッパー細胞集団の偽手術群のレベルに向けた正常化が、炭素で治療されたBDLラット及びBDL+LPSラットで観察された。最も際立った所見は、LPSで誘発されるクッパー細胞のROS活性の有意な低下であった。このことは、炭素で治療されたBDLラットのクッパー細胞が、後に続くエンドトキシン負荷に対して準備刺激されることがより少ないことを示唆している。
【0187】
生化学的に、この所見は、ROS誘発性肝臓損傷の減少を示唆するアラニントランスアミナーゼの有意な低下と対応していた。治療及び非治療のBDL動物の間で、門脈血漿中エンドトキシンの絶対レベルの有意な相違は見いだされなかった。門脈エンドトキシンに有意な相違のないことの1つの考え得る説明は、LALアッセイが比較的鈍感であることにある可能性がある。エンドトキシンの脂質Aの構造は、やはりLALアッセイで検出できない生理学的関連性を有する。したがって、このアッセイで検出された絶対値とエンドトキシンの生理学的効果が一致しない可能性が存在する。また、LALアッセイは、腸内細菌(enterobacteriacae)ファミリーの共生メンバー由来のエンドトキシンの検出においてとりわけ鈍感であることが見いだされた。クッパー細胞のエンドトキシン感受性が低下することは、クッパー細胞集団及びその機能の正常化をもたらす炭素療法と生理学的により関連性がある。
【0188】
腸管透過性は、ラクツロースラムノースアッセイによって証明されるように、経口炭素によって改善される。結腸の形態学的異常は観察されなかった(
図28及び
図22)。
【0189】
サイトカイン分析、及び門脈血漿の好中球バーストに対する効果を評価した。非治療対照と比較して有意でない休止時バーストの低下が、炭素で治療されたBDLラットからの血漿と共インキュベートとされた好中球において観察された。好中球機能異常は液性因子によって仲介されることが知られており、複数の手法による証拠が、エンドトキシンを病因に関係付けている。酸化バーストの増大が液性因子によって付与されたことは、エンドトキシンを病因に強く関係付けている。門脈のIL-4及びIL-10の減少も観察された。IL-4は、クッパー細胞の活性化と関連していたが、IL-10は、アジポネクチン/インターロイキン-10/ヘムオキシダーゼ-1経路の状況内で、クッパー細胞の応答を低下させることに関連していた。炭素がサイトカイン結合において無差別的であるなら、炎症促進性及び抗炎症性の双方のサイトカイン応答が同時に減少することは、ことによると意外である。実際、慢性肝不全の急性憎悪を顕現している患者は、同時的に明白な炎症促進性及び抗炎症性応答を呈示する。門脈循環内に、全身的免疫機能に影響を与えることなしに、これらの双方を減少させるための潜在的役割が存在する。生物学的系でしばしば観察されるように、観察される値に、傾向を非有意にし、それゆえ、さらなる評価を必要とする、かなりの不均一性が存在する(
図23〜
図26)。
【0190】
炭素は、インビトロ研究において、E.coli及びS.aureusの増殖速度に対して有意な効果を有さず(
図7及び
図8)、炭素療法の後に、糞便細菌集団の調節が、インビボで立証された(
図31〜
図33)。バクテロイデス(bacteroides)集団で顕著な効果が観察された。したがって、炭素は、非E.coliバクテロイデスの増殖速度に影響を及ぼすか、細菌代謝産物又はその他の細胞間シグナル伝達分子を結合することによって腸管細菌叢の組成に影響を及ぼす。
【0191】
肝平滑筋アクチンの発現低下が、炭素で治療された動物で観察された。このことは、炭素治療の下流効果が、星状細胞の機能の調節を含むことを示唆している。線維症の尺度としてのコラーゲンに比例する面積は、おそらくは動物が最後の2週間のみ治療されたので、炭素治療の後に有意に相違することは見いだされなかったが、平滑筋アクチンの減少は、炭素治療が肝線維症の減弱をもたらすことができることを示唆している。一緒に考慮すると、このデータは、炭素の門脈血行動態に対する効果が、類洞(sinusoidal)レベルで仲介されることを示唆している。クッパー細胞集団及びその機能に関して観察された効果を考慮すると、本発明者らは、マイクロ/メソポア性炭素療法が、細菌産生物の移入及び結果としての炎症応答の減少をもたらし、クッパー細胞の準備刺激、ROS産生、並びに星状細胞の活性化及びそれによる線維症の減少をもたらすと考える。
【0192】
非治療BDLラットに比較して、最終体重の有意な改善が、炭素で治療されたBDLラットで観察された。最終体重の有意差は、偽手術群の間で観察されなかった。肝硬変での体重減少は、異化状態の増大、及びとりわけ全身性炎症応答の状況での食欲低下に帰せられる。この実験で、動物は、前記所見の状況で同時同量で給餌されたので、本発明者らは、観察された体重の改善は異化状態の低下のためであると考える。
【0193】
経口炭素療法は、炭素で治療されたOb-Ob-マウスにおいて体重減少に向かう傾向を伴う、ALTの有意な低下と関連していた。ALTは、また、非アルコール性脂肪性肝疾患のその他の2つのモデル、すなわち、コリンメチオニン半欠乏食及びメチオニンコリン欠乏食で低下した。肝損傷のこの低下は、3つのモデルのすべてにおいて肝脂肪蓄積の低下、さらにはこれら3つのモデルにおける炎症性浸潤の減少の証拠と関連していた。肝損傷及び脂肪蓄積のこの低下は、線維症の重篤度、及び遺伝子発現レベルでの線維症マーカーの低下と関連していた。一緒に考慮すると、これらのデータは、炭素が、非アルコール性脂肪性肝疾患に有効な療法であり、線維症の重篤度を低下させることを示している。
【0194】
コントロールされた多孔度を備えた炭素がこのことを達成する機構は、クッパー細胞機能の調節を介する。非アルコール性脂肪性肝疾患のモデルにおける炭素での治療は、クッパー細胞表現型の調節をもたらし、全クッパー細胞集団及びCD11b(サイトカインを産生する)クッパー細胞の減少をもたらした。食作用及びROS産生細胞の双方に関して、CD68+クッパー細胞の増加が観察された。LPSで誘発されるROS産生の有意な低下が観察された(
図34〜
図38)。
【0195】
LPSの投与後にBDL動物において誘発される腎機能悪化は、炭素で治療された動物においてより少なく、腎臓の保護を示している。炭素で治療されたBDL+LPS動物におけるより少ない脳中水分は、肝性脳症の治療としての潜在能力を示唆した。一緒に考慮すると、これらのデータは、慢性肝不全の急性憎悪を予防するための治療としての炭素の考え得る役割を示唆している。
【0196】
<結論>
マイクロポア及びメソポア/小さなマクロポアを有する活性炭素TE7/TE8は、細菌増殖速度に有意な影響を与えることなしに、インビトロで、エンドトキシン及び炎症促進性サイトカインを迅速に結合する。インビボで、これらの炭素の経口投与は、門脈圧、並びにクッパー細胞集団及びエンドトキシン誘導性ROS活性の低下に関連する肝臓の生化学物質の有意な減少をもたらす。このことは、IL-4及びIL-10の減少に向かう傾向と関連していた。コラーゲンの染色で有意差は観察されなかったが、炭素治療は、平滑筋アクチンの発現低下と関連していた。総合すれば、このデータは、経口でのマイクロポア性/メソポア性/小さなマクロポア性炭素TE7/TE8は、細菌産生物の移入及び下流の免疫/炎症応答を低下させることによって、類洞レベルで門脈血行動態を調節することを示唆している。
【0197】
マイクロポア及びメソポア/小さなマクロポアを有する活性炭素TE7/TE8は、それらの活性炭素を現在利用可能な介入法よりも優れたものにする特性を提示する。多孔度の範囲は、エンドトキシン及びサイトカインなどの生物活性分子を結合することに関して、純粋なマイクロポア性製剤に対する卓越性を付与する。炭素は、抗生物質活性を示さず、それゆえ、耐性さらには腸内毒素症の随伴リスクを伴わない。これらの観察は、経口でのマイクロポア/メソポア/小さなマクロポア性TE7/TE8炭素療法は、肝硬変の合併症、とりわけ門脈圧亢進を減少させるための、安全で有効な介入戦略としての潜在的有望性を有する。
【0198】
[実施例6]
:非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のモデルとしてのレプチン欠損マウスにおける経口ナノ多孔性炭素粒子の効果
<方法>
10〜14週齢の雄性マウス:10尾のlep-/lep-(Ob-/Ob-)欠損雄性マウス及び10尾のヘテロ接合体雄性マウスを無作為化し、粉末状食餌±炭素(TE7、0.4g/100g体重/日)を4週間与えた(非治療対照(WT)群:n=3、Ob-ヘテロ接合体群:n=5、Ob-ヘテロ接合体+炭素群:n=5、Ob-/Ob-非治療群:n=5、Ob-/Ob-+炭素群:n=5)。肝損傷の程度を、血清中ALTレベルによって評価した。さらに、非実質細胞を単離し、クッパー細胞(KC)集団をフローサイトメトリーによって、F4/80(クッパー細胞マーカー)、CD68(マクロファージマーカー)及びCD11b(刺激された内皮、食作用、呼吸バーストとの相互作用を仲介する)を発現する細胞として特徴付けた。単離されたクッパー細胞による活性酸素種(ROS)の産生もアッセイした。内毒素血症の指標としての肝性TLR-4の発現を免疫組織化学によって測定した。
【0199】
<結果>
lep-/lep-マウスにおいて、経口による炭素での治療又は予防は、ALTの889±280 IU/mLから408±42 IU/mLへの有意な低下と関連していた(p<0.05)。全クッパー細胞集団は、lep-/lep-マウスにおいて、炭素での治療又は予防で観察される有意な低減を伴って、ヘテロ接合体対照マウスに比較して増加したことが見いだされた。炭素で治療されたlep-/lep-マウスにおいて、クッパー細胞でのROS産生の、非治療lep-/lep-対照マウスに比較して有意な低下も観察された(p<0.05)。炭素での治療又は予防群の存在下でのlep-/lep-マウスのF4/80+、CD68-、CD11b+細胞下位集団の有意な低下も観察された(p<0.05)。さらに、炭素で治療されたlep-/lep-マウスにおいて、肝TLR-4の発現は、非治療対照に比較して低下した。最終的に、本発明者らは、炭素で治療されたlep-/lep-マウスにおいて、非治療対照群に比較して最終体重の減少に向かう傾向を観察した(p=0.095)。
【0200】
<結論>
経口でのマイクロポア性/小さなマクロポア性炭素粒子TE7/TE8は、内毒素血症及びクッパー細胞機能を調節することを介する、非アルコール性脂肪性肝疾患のための新規な療法である可能性がある。
【0201】
[実施例7]
:アセトアルデヒドの除去
図5に、長時間にわたるアセトアルデヒドの除去を示す。Acは極めて反応性であり、Rideout法に従って使用されるDIH誘導体化剤である。これは、430nmで検出可能な蛍光性アジン誘導体を形成する。
【0202】
[実施例8]
:非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のモデルとしてのメチオニンコリン半欠乏食(HMCD)を給餌されたマウスにおける経口ナノ多孔性炭素粒子治療の効果
<方法>
10〜14週齢の10尾の雄性マウスをメチオニンコリン欠乏食(MCD)で4週間処置し;10尾のマウスに対照食を給餌した(4週間)。各群において、動物を無作為化し、粉末状食餌±炭素(TE7、0.4g/100g体重/日)を2週間与えた。肝損傷の程度を、血清中ALTレベル、並びに組織学でH及びE染色によって評価した。線維症の重篤度は、シリウスレッド染色を使用して確かめた。肝組織中での線維症コラーゲン1 A2及びTGFβのマーカーに関する遺伝子発現を測定した。
【0203】
<結果>
HMCDマウスにおいて、炭素での治療は、ALTレベルを正常化し、肝脂肪症及び炎症細胞の浸潤を顕著に低減した。このことは、線維症マーカーの有意な低下と関連していた。コラーゲン1A2及びTGFβの遺伝子発現は、炭素で治療された動物において、有意に低下した(
図39〜
図43)。
【0204】
<結論>
経口でのマイクロポア性/メソ炭素粒子TE7/TE8は、内毒素血症及びクッパー細胞機能を調節することを介する、非アルコール性脂肪性肝疾患のための新規な療法である可能性がある。
【0205】
[実施例9]
:非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のモデルとしてのメチオニンコリン欠乏食(MCD)を給餌されたマウスにおける経口ナノ多孔性炭素粒子治療の効果
<方法>
10〜14週齢の10尾の雄性マウスをメチオニンコリン欠乏食(MCD)で4週間処置し、10尾のマウスに対照食を給餌した(4週間)。各群において、動物を無作為化し、粉末状食餌±炭素(TE7、0.4g/100g体重/日)を2週間与えた。肝損傷の程度を、血清中ALTレベル、並びに組織学でのH及びE染色によって評価した。線維症の重篤度は、シリウスレッド染色を使用して確かめた。
【0206】
<結果>
MCDマウスにおいて、炭素での治療は、ALTレベルを正常化し、肝脂肪症及び炎症細胞の浸潤を顕著に低減した。このことは、線維症の有意な低下と関連していた。(
図44〜
図46)。
【0207】
<結論>
経口でのマイクロポア性/メソ炭素粒子TE7/TE8は、内毒素血症及びクッパー細胞機能を調節することを介する、非アルコール性脂肪性肝疾患のための新規な療法である可能性がある。
本発明は、以下の実施形態を包含する。
(実施形態1)
全細孔容積の20%〜90%が、2nm以下の平均直径を有する細孔から構成され、及び全細孔容積の残りの75%以上が、30nm〜500nmの平均直径を有する細孔から構成される、肝疾患の治療又は予防における使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態2)
全細孔容積の残りの85%以上が、30nm〜500nmの平均直径を有する細孔から構成される、実施形態1に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態3)
全細孔容積の残りの90%以上が、30nm〜500nmの平均直径を有する細孔から構成される、実施形態2に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態4)
全細孔容積の残りの75%以上、85%以上又は90%以上が、50nm〜300nmの平均直径を有する細孔から構成される、実施形態1から3のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態5)
全細孔容積の残りの75%以上、85%以上又は90%以上が、50nm〜200nmの平均直径を有する細孔から構成される、実施形態1から4のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態6)
全細孔容積の35%〜60%が、2nm以下の平均直径を有する細孔から構成される、実施形態1から5のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態7)
全細孔容積の45%〜55%が、2nm以下の平均直径を有する細孔から構成される、実施形態1から6のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態8)
全細孔容積が、0.5〜2.5cm3/gである、実施形態1から7のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態9)
全細孔容積が、1.0〜2.0cm3/gである、実施形態1から8のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態10)
多孔性炭素粒子の嵩密度が、0.10g/cm3〜0.30g/cm3である、実施形態1から9のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態11)
多孔性炭素粒子の嵩密度が、0.15g/cm3〜0.25g/cm3である、実施形態1から10のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態12)
比表面積が、700m2/g〜2000m2/gである、実施形態1から11のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態13)
比表面積が、900m2/g〜1400m2/gである、実施形態1から12のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態14)
粒子が、球状粒子の形態である、実施形態1から13のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態15)
粒子が、経口又は経直腸で投与される、実施形態1から14のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態16)
粒子が、易流動性形態又は錠剤形態で経口投与される、実施形態15に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態17)
肝疾患が、アルコール性肝疾患(ALD)、非アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、及び/又は肝硬変の合併症から選択される、実施形態1から16のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態18)
非アルコール性肝疾患が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である、実施形態17に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態19)
ALD、NAFLD又はウイルス性肝炎などの慢性肝疾患における炎症及び線維症の治療又は予防において使用するための、実施形態1から16のいずれか一項に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態20)
肝硬変の合併症が、門脈圧亢進、腹水、腎不全、肝性脳症、及び慢性肝不全の急性憎悪から選択される、実施形態17に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態21)
実施形態1から16のいずれか一項に記載の多孔性炭素粒子の有効量を投与することを含む、肝疾患の治療又は予防方法。
(実施形態22)
肝疾患を治療又は予防するための医薬品の製造における実施形態1から16のいずれか一項に記載の多孔性炭素粒子の使用。
(実施形態23)
腸肝軸の調節において使用するための、実施形態1から16のいずれか一項に記載の多孔性炭素粒子。
(実施形態24)
腸肝軸の調節が、腸管腸内毒素症又は肥満、又は腸管透過性増加の調節による、実施形態23に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態25)
冠状動脈疾患、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、回腸嚢炎、高血圧、脳卒中、肥満、又は肥満の合併症から選択される疾患又は状態の治療又は予防において使用するための、実施形態24に記載の使用のための多孔性炭素粒子。
(実施形態26)
疾患又は状態が、腸管腸内毒素症及び/又は腸管透過性の変化と関連する、実施形態25に記載の使用のための多孔性炭素粒子。