特許第6647588号(P6647588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647588
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】通信方法及び通信機
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/707 20110101AFI20200203BHJP
   H04J 13/00 20110101ALI20200203BHJP
【FI】
   H04B1/707
   H04J13/00
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-257185(P2015-257185)
(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-121007(P2017-121007A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2018年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(73)【特許権者】
【識別番号】594000778
【氏名又は名称】株式会社京写
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅野 健
(72)【発明者】
【氏名】津田 宏史
(72)【発明者】
【氏名】児嶋 一登
【審査官】 北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−191289(JP,A)
【文献】 特開平11−098574(JP,A)
【文献】 特開2008−258817(JP,A)
【文献】 特開2007−150679(JP,A)
【文献】 猶原 僚也,梅野 健,フェージング環境下におけるカオスCDMA通信システムの性能評価,電子情報通信学会技術研究報告,2014年 7月14日,vol.114,no.145,pp.53-58
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/69−1/719
H04J 13/00−13/22
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1機器から出力された伝送信号を、第2機器へ送信する方法であって、
前記第1機器と前記第2機器との間に複数の無線チャネルが形成され、
前記複数の無線チャネルには、双方向通信の無線チャネルと、単方向通信の無線チャネルとが含まれ、
双方向通信又は単方向通信の区別を示す通信種別情報に基づいて、拡散信号を生成するための拡散処理を行うべき無線チャネルを識別し、前記拡散処理を行うべきと識別された複数の無線チャネルのそれぞれにおいて、複数の異なる拡散符号を用いて、一つの前記伝送信号から、複数の拡散信号を生成する前記拡散処理を実行すること、
複数の前記拡散信号から合成信号を生成すること、
前記合成信号を無線送信すること、
無線送信された前記合成信号を受信すること、
前記通信種別情報に基づいて、逆拡散信号を生成するための逆拡散処理を行うべき無線チャネルを識別し、前記逆拡散処理を行うべきと識別された複数の無線チャネルのそれぞれにおいて、複数の異なる前記拡散符号の複製を用いて、受信した前記合成信号から、複数の逆拡散信号を生成する前記逆拡散処理を実行すること、
複数の前記逆拡散信号から、前記第2機器へ与えられる出力信号を得ること、
前記出力信号を、前記伝送信号として、前記第2機器へ与えること、
を含む方法。
【請求項2】
複数の前記拡散符号の数を変更することを更に含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の前記拡散符号の数を変更することは、前記第1機器及び前記第2機器の少なくともいずれか一方の動きに基づいて行われる
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の前記拡散符号の数を変更することは、前記第1機器及び前記第2機器の少なくともいずれか一方の動きを制御する制御装置から与えられた情報に基づいて行われる
請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
複数の前記拡散符号の少なくとも一つの拡散符号の符号長を変更することを更に含み、
複数の前記拡散符号の少なくとも一つの拡散符号の符号長を変更することは、前記第1機器及び前記第2機器の少なくともいずれか一方の動きに基づいて行われる
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
複数の前記拡散符号の少なくとも一つの拡散符号の符号長を変更することを更に含み、
複数の前記拡散符号の少なくとも一つの拡散符号の符号長を変更することは、前記第1機器及び前記第2機器の少なくともいずれか一方の動きを制御する制御装置から与えられた情報に基づいて行われる
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
複数の前記拡散符号は、少なくとも一つのカオス拡散符号を含む
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
複数の前記拡散符号は、少なくとも一つのパワー一定のカオス拡散符号を含む
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
複数の前記拡散符号それぞれは、パワー一定のカオス拡散符号である
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
第1機器から出力された伝送信号を、第2機器へ送信する通信機であって、
複数の異なる拡散符号を用いて、一つの前記伝送信号から、複数の拡散信号を生成する拡散処理部と、
複数の前記拡散信号から合成信号を生成する合成部と、
前記合成信号を無線送信する第1アンテナと、
を備え
前記第1機器と前記第2機器との間に複数の無線チャネルが形成され、
前記複数の無線チャネルには、双方向通信の無線チャネルと、単方向通信の無線チャネルとが含まれ、
前記通信機は、双方向通信又は単方向通信の区別を示す通信種別情報に基づいて、拡散信号を生成するための拡散処理を行うべき無線チャネルを識別し、
前記拡散処理を行うべきと識別された無線チャネルに対応する前記拡散処理部は、前記拡散処理を実行する、
通信機。
【請求項11】
第1機器から出力された一つの伝送信号から、複数の異なる拡散符号を用いて生成された複数の拡散信号から生成された合成信号を受信する第2アンテナと、
複数の異なる前記拡散符号の複製を用いて、受信した前記合成信号から、複数の逆拡散信号を生成する逆拡散処理部と、
複数の前記逆拡散信号から、第2機器へ与えられる出力信号を得る取得部と、
を備える通信機であって、
前記第1機器と前記第2機器との間に複数の無線チャネルが形成され、
前記複数の無線チャネルには、双方向通信の無線チャネルと、単方向通信の無線チャネルとが含まれ、
前記通信機は、双方向通信又は単方向通信の区別を示す通信種別情報に基づいて、逆拡散信号を生成するための逆拡散処理を行うべき無線チャネルを識別し、
前記逆拡散処理を行うべきと識別された無線チャネルに対応する前記逆拡散処理部は、前記逆拡散処理を実行する、
通信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器間の無線通信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の機器間における通信を、有線ではなく、無線で実現することが望まれている。有線通信を無線通信に置き換えると、有線通信で必要とされる配線を省略することができ、有利である。
【0003】
しかし、有線通信は、無線通信では得られにくいメリットを得やすいことが多い。例えば、有線通信は、無線通信に比べて通信性能が安定している。高い通信性能が求められる分野では、有線通信から無線通信への置き換えは、必ずしも行われていない。例えば、産業用ロボットなどの産業用機械においては、アクチュエータ、センサ及びコントローラなどの多数の機器が含まれており、これらの間の接続は、依然として、有線ケーブルで行われているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3314181号公報
【特許文献2】特許第3234202号公報
【特許文献3】特許第4406401号公報
【特許文献4】特許第5131550号公報
【発明の概要】
【0005】
そこで、機器間における無線通信の安定性を確保することが望まれている。
【0006】
本発明の一の形態は、機器間の伝送信号を無線で送信する方法である。本発明の他の形態は、機器間の伝送信号を無線で送信する通信機である。
【0007】
実施形態において、機器間で伝送されるべき伝送信号から、拡散符号を用いて、拡散信号が生成される。拡散符号は、カオス拡散符号が好ましい。
【0008】
複数の異なる拡散符号を用いることで、一つの伝送信号から、複数の拡散信号を生成することができる。複数の拡散信号から生成される合成信号を、無線送信するのが好ましい。一つの伝送信号から複数の拡散信号を生成することで、信号の冗長性が高まり、通信の安定性を高めることができる。
【0009】
複数の拡散符号の数を変更してもよい。拡散符号の数を変更することで、生成される拡散信号の数が変更され、信号の冗長性を変更することができる。信号の冗長性は、例えば、通信状況に応じて変更することが望まれる。
【0010】
拡散符号の符号長を変更してもよい。拡散符号の符号長を長くすると、セキュリティ性が向上する。拡散符号の符号長を短くすると、データレートを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】産業用ロボットの概略構成図である。
図2】制御装置、アクチュエータ、及びセンサの接続図である。
図3】CDMAによる多重伝送(上り)を示す図である。
図4】CDMAによる多重伝送(下り)を示す図である。
図5】子局、有線配線、無線チャネル、上り/下り、拡散符号/逆拡散符号の対応図である。
図6】CDMAによる多重伝送(上り)を示す図である。
図7】CDMAによる多重伝送(下り)を示す図である。
図8】子局、有線配線、無線チャネル、上り/下り、拡散符号/逆拡散符号の対応図である。
図9】通信パラメータ変更に関連した処理手順のフローチャートである。
図10】通信パラメータ変更処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1.実施形態の概要]
【0013】
(1)実施形態に係る方法は、第1機器から出力された伝送信号を、第2機器へ送信する方法である。前記第1機器と前記第2機器との間に複数の無線チャネルが形成され、前記複数の無線チャネルには、双方向通信の無線チャネルと、単方向通信の無線チャネルとが含まれる。前記方法は、双方向通信又は単方向通信の区別を示す通信種別情報に基づいて、拡散信号を生成するための拡散処理を行うべき無線チャネルを識別し、前記拡散処理を行うべきと識別された複数の無線チャネルのそれぞれにおいて、複数の異なる拡散符号を用いて、一つの前記伝送信号から、複数の拡散信号を生成する前記拡散処理を実行すること、
複数の前記拡散信号から合成信号を生成すること、
前記合成信号を無線送信すること、
無線送信された前記合成信号を受信すること、
前記通信種別情報に基づいて、逆拡散信号を生成するための逆拡散処理を行うべき無線チャネルを識別し、前記逆拡散処理を行うべきと識別された複数の無線チャネルのそれぞれにおいて、複数の異なる前記拡散符号の複製を用いて、受信した前記合成信号から、複数の逆拡散信号を生成する前記逆拡散処理を実行すること、
複数の前記逆拡散信号から、前記第2機器へ与えられる出力信号を得ること、
前記出力信号を、前記伝送信号として、前記第2機器へ与えること、
を含む。
【0014】
(2)前記方法は、複数の前記拡散符号の数を変更することを更に含むことができる。
【0015】
(3)複数の前記拡散符号の数を変更することは、前記第1機器及び前記第2機器の少なくともいずれか一方の動きに基づいて行われるのが好ましい。
【0016】
(4)複数の前記拡散符号の数を変更することは、前記第1機器及び前記第2機器の少なくともいずれか一方の動きを制御する制御装置から与えられた情報に基づいて行われるのが好ましい。
【0017】
(5)前記方法は、複数の前記拡散符号の少なくとも一つの拡散符号の符号長を変更することを更に含むことができる。複数の前記拡散符号の少なくとも一つの拡散符号の符号長を変更することは、前記第1機器及び前記第2機器の少なくともいずれか一方の動きに基づいて行われるのが好ましい。
【0018】
(6)前記方法は、複数の前記拡散符号の少なくとも一つの拡散符号の符号長を変更することを更に含み、複数の前記拡散符号の少なくとも一つの拡散符号の符号長を変更することは、前記第1機器及び前記第2機器の少なくともいずれか一方の動きを制御する制御装置から与えられた情報に基づいて行われるのが好ましい。
【0019】
(7)複数の前記拡散符号は、少なくとも一つのカオス拡散符号を含むのが好ましい。
(8)複数の前記拡散符号は、少なくとも一つのパワー一定のカオス拡散符号を含むのが好ましい。
(9)複数の前記拡散符号それぞれは、パワー一定のカオス拡散符号であるのが好ましい。
【0020】
(10)実施形態に係る通信機は、第1機器から出力された伝送信号を、第2機器へ送信する通信機である。前記通信機は、複数の異なる拡散符号を用いて、一つの前記伝送信号から、複数の拡散信号を生成する拡散処理部と、
複数の前記拡散信号から合成信号を生成する合成部と、
前記合成信号を無線送信する第1アンテナと、
を備え
前記第1機器と前記第2機器との間に複数の無線チャネルが形成され、
前記複数の無線チャネルには、双方向通信の無線チャネルと、単方向通信の無線チャネルとが含まれ、
前記通信機は、双方向通信又は単方向通信の区別を示す通信種別情報に基づいて、拡散信号を生成するための拡散処理を行うべき無線チャネルを識別し、
前記拡散処理を行うべきと識別された無線チャネルに対応する前記拡散処理部は、前記拡散処理を実行する。
【0021】
(11)実施形態に係る他の通信機は、第1機器から出力された一つの伝送信号から、複数の異なる拡散符号を用いて生成された複数の拡散信号から生成された合成信号を受信する第2アンテナと、
複数の異なる前記拡散符号の複製を用いて、受信した前記合成信号から、複数の逆拡散信号を生成する逆拡散処理部と、
複数の前記逆拡散信号から、第2機器へ与えられる出力信号を得る取得部と、
を備える通信機であって、
前記第1機器と前記第2機器との間に複数の無線チャネルが形成され、
前記複数の無線チャネルには、双方向通信の無線チャネルと、単方向通信の無線チャネルとが含まれ、
前記通信機は、前記通信種別情報に基づいて、逆拡散信号を生成するための逆拡散処理を行うべき無線チャネルを識別し、
前記逆拡散処理を行うべきと識別された無線チャネルに対応する前記逆拡散処理部は、前記逆拡散処理を実行する。
【0022】
(12)他の観点において、実施形態に係る方法は、第1機器から出力された伝送信号を、第2機器へ送信する方法であり、第1機器及び第2機器の少なくともいずれか一方の動きを制御する制御装置から与えられた情報に基づいて、無線送信のためのパラメータを変更する方法である。
【0023】
実施形態において、機器とは、伝送信号を出力する機器、又は伝送信号を受信する機器である。機器は、例えば、制御装置、アクチュエータ、センサを含む。伝送信号は、例えば、アクチュエータ制御信号、センサ出力信号(画像信号を含む)を含む。
【0024】
[2.実施形態の詳細]
図1は、実施形態に係る通信方法が適用される産業用ロボット1を示している。産業用ロボット1は、ベース部2と、可動部4,5,6,7と、を備えている。可動部4,5,6,7は、アーム4,5と、エンドエフェクタ6,7と、を備えている。アーム4,5は、ベース部2とエンドエフェクタ6,7と繋ぐ。実施形態のアーム4,5は、第1アーム4及び第2アーム5を備えている。エンドエフェクタ6,7は、アーム4,5の動作によって、目標位置に移動する。
【0025】
アーム4,5は、その動作のため、複数の関節8a,8b,8cを有している。複数の関節8a,8b,8cは、第1関節8aと、第2関節8bと、第3関節8cと、を含んでいる。第1関節8aは、エンドエフェクタ6と第1アーム4とを接続する。第2関節8bは、第1アーム4と、第2アーム5と、を接続する。第3関節8cは、第2アーム5と、ベース部2に設けられた支持部3と、を接続する。各関節8a,8b,8cは、例えば、1又は複数の軸を有して構成されている。
【0026】
エンドエフェクタ6,7は、産業用ロボット1による作業の対象物に対して作用する機構である。エンドエフェクタ6,7は、例えば、対象物を把持するハンド、溶接機、ねじ締機である。図1に示すエンドエフェクタ6,7は、第1アーム4に接続されたエンドエフェクタ本体6と、エンドエフェクタ本体6に対して可動である機能部7と、を備えている。
【0027】
産業用ロボット1は、機能部7及び複数の関節8a,8b,8cを駆動する複数のアクチュエータ42a,43a,44a,45aを備えている。アクチュエータは、例えば、モータによって構成される。図1において、複数のアクチュエータ42a,43a,44a,45aは、機能部7を動作させる第1アクチュエータ42a、第1関節8aを動作させる第2アクチュエータ43a、第2関節8bを動作させる第3アクチュエータ44a、第3関節8cを動作させる第4アクチュエータ45aを含む。
【0028】
第1アクチュエータ42aは、可動部であるエンドエフェクタ本体6に設けられている。第2アクチュエータ43aは、可動部である第1アーム4に設けられている。第3アクチュエータ44aは、可動部である第2アーム5に設けられている。第4アクチュエータ45aは、非可動部であるベース部2に設けられている。
【0029】
産業用ロボット1は、複数のセンサ41,42b,43b,44b,44c,45b,45cを備えている。センサは、例えば、作業の対象物を検出するセンサ、又は、産業用ロボット1の状態(姿勢,位置など)を検出するセンサである。図1において、複数のセンサ複数のセンサ41,42b,43b,44b,44c,45b,45cは、可動部である機能部7に設けられた第1センサ41、可動部であるエンドエフェクタ本体6に設けられた第2センサ42b、可動部である第1アーム4に設けられた第3センサ43b、可動部である第2アーム5に設けられた第4センサ44b及び第5センサ44c、非可動部である支持部3に設けられた第6センサ45b及び第7センサ45cを含む。以下では、第1センサ41は、カメラであり、他のセンサ42b,43b,44b,44c,45b,45cは、位置検出センサであるものとする。
【0030】
産業用ロボット1は、産業用ロボット1の動作を制御する制御装置10を備えている。制御装置10は、複数のアクチュエータ42a,43a,44a,45a及び複数のセンサ41,42b,43b,44b,44c,45b,45cとの間で、伝送信号の送信又は受信を行う。伝送信号は、例えば、センサ又はアクチュエータからの出力信号、アクチュエータへの指示信号、又はその他ロボット1の動作制御のために伝送されるべき信号である。
【0031】
図1において、制御装置10は、非可動部であるベース部2に設けられている。制御装置10は、可動部4,5,6,7に設けられていても良い。
【0032】
一般的には、アクチュエータ及びセンサと制御装置10との接続は、例えば、図2(a)に示すように、配線(信号線)L1〜L14を用いた有線接続によって実現される。なお、一つのアクチュエータ又はセンサは、一本の配線によって、制御装置10と接続されることもあるし、複数本の配線によって制御装置10と接続されることもある。例えば、図2において、第1センサ42aは、制御装置10に対して、一本の配線(信号線)L2で接続されているが、第1アクチュエータ42aは、制御装置10に対して、複数本の配線(信号線)L3〜L5で接続されている。これは、一つの機器(ここでは、アクチュエータ又はセンサ)であっても、複数種類の伝送信号の送受信を行うことがあるためである。
【0033】
上述のような配線の数は膨大となることがある。膨大な数の配線は、可動部4,5,6,7の動作を阻害することがある。特に、関節8a,8b,8cを跨ぐ配線は、可動部4,5,6,7の動作の制約となり易い。そこで、本実施形態では、配線L1〜L14を用いた有線接続の一部L1〜L11を、無線通信を用いた無線接続に置き換える。
【0034】
なお、本実施形態では、配線L1〜L14の一部L1〜L11(可動部4,5,6,7に設けられたアクチュエータ42a,43a,44a及びセンサ41,42b,43b,44b,44cに接続される配線L1〜L11)を、無線通信に置き換える。本実施形態では、他の配線L12〜L14(非可動部2,3に設けられたアクチュエータ45a及びセンサ45b,45cに接続される配線L12〜L14)は、可動部4,5,6,7の動作を阻害しないので、無線通信には置き換えない。ただし、配線L12〜L14も、無線通信に置き換えても良い。非可動部においても、配線を無線通信に置き換えることで、配線が不要となり、省スペース化、重量低減などが可能となる。
【0035】
図2(b)は、図2(a)に示す配線L1〜L11を、無線通信に置き換えるための無線通信システムを示している。無線通信システムは、通信機である親局20と、同じく通信機である1又は複数の子局31,32,33,34と、を有する。
【0036】
親局20と子局31,32,33,34とは、無線通信を行う。図3に示すように、親局20は、アンテナ20a、送受信機20b、制御部20c、及び記憶部20dを有している。送受信機20bは、伝送信号を有線配線から受け取ってアンテナ20aから無線送信するとともに、アンテナ20aで受信した伝送信号を有線配線に出力する。制御部20cは、送受信機20bの制御を行う。制御部20cは、例えば、送受信機20bにおける通信パラメータの変更を行う。制御部20cは、制御装置10との通信も行う。
【0037】
第1子局31も、同様に、アンテナ31a、送受信機31b、制御部31c、及び記憶部31dを有している。第1子局31における各部31a,31b,31c,31dの機能は親局20と同様である。なお、図3では図示していないが、第2〜第4子局32,33,34も第1子局31と同様の構成を有している。また、子局31,32,33,34の送受信機は、送信機能だけを有する送信機、又は受信機能だけを有する受信機として構成されていてもよい。
【0038】
親局20の送受信機20bは、制御装置10に有線接続され、制御装置10との間で、有線での、伝送信号の送受信を行う。図2に示すように、親局20(親局20の送受信機20b)は、配線L11,L21,L31,L41,L51,L61,L71,L81,L91,L101,L111を介して、制御装置10に接続されている。制御装置10と親局20に接続された配線L11〜L111は、図2(a)において制御装置に接続された配線L1〜L11の機能の一部代替である。すなわち、配線L11〜L111は、親局20と子局31,32,33,34との間で送受信される伝送信号の伝送媒体(伝送信号用ライン)である。
【0039】
親局20の制御部20cは、配線L100によって、制御装置10に接続されている。配線L100は、伝送信号の伝送媒体ではなく、親局20と制御装置10との相互コミュニケーションのための伝送媒体である。配線L100は、制御装置10から親局20に与えられる指令又は情報の送信に用いられたり、親局20から制御装置10に与えられる指令・情報の送信に用いられたりする。
【0040】
上記のように、親局20と制御装置10とは有線接続されるため、親局20は、ロボット1が動作しても、制御装置10との相対的位置が変動しない箇所、例えば、ベース部2に設けられているのが好ましい。
【0041】
図1に示すように、実施形態の子局31,32,33,34は、ロボット1の可動部4,5,6,7それぞれに対応して設けられている。すなわち、第1子局31は、機能部7に設けられ、第2子局32は、エンドエフェクタ本体6に設けられ、第3子局33は、第1アーム部4に設けられ、第4子局34は、第2アーム部5に設けられている。ただし、複数の子局が、一つの可動部(例えば、第1アーム部4)内に設けられていてもよい。
【0042】
各子局31,32,33,34は、子局31,31,33,34が設けられている可動部に設けられたアクチュエータ及びセンサと接続されている。例えば、機能部7に設けられた第1子局31には、機能部41に設けられた第1センサ41が、配線L12を介して、接続されている。配線L12は、図2(a)において第1センサ41に接続されている配線L1の機能の一部代替である。
【0043】
エンドエフェクタ本体6に設けられた第2子局32には、エンドエフェクタ本体6に設けられた第1アクチュエータ42a及び第2センサ42bが接続されている。第2センサ42bは、配線L22を介して、第2子局32に接続されている。配線L22は、図2(a)において第2センサ42bに接続されている配線L2の機能の一部代替である。第1アクチュエータ42aは、配線L32,L43,L52を介して、第2子局32に接続されている。配線L32,L42,L52は、図2(a)において第1アクチュエータ42aに接続されている配線L3,L4、L5の機能の一部代替である。
【0044】
第1アーム4に設けられた第3子局33には、第1アーム4に設けられた第2アクチュエータ43a及び第3センサ43bが接続されている。第3センサ43bは、配線L62を介して、第3子局33に接続されている。配線L62は、図2(a)において第3センサ43bに接続されている配線L6の機能の一部代替である。第2アクチュエータ43aは、配線L72,L82を介して、第3子局33に接続されている。配線L72,L82は、図2(a)において第2アクチュエータ43aに接続されている配線L7,L8の機能の一部代替である。
【0045】
第2アーム5に設けられた第4子局34には、第2アーム5に設けられた第3アクチュエータ44a並びに第4センサ44b及び第5センサ44cが接続されている。第4センサ44bは、配線L102を介して、第4子局34に接続されている。配線L102は、図2(a)において第4センサ44bに接続されている配線L10の機能の一部代替である。第5センサ44cは、配線L92を介して、第4子局34に接続されている。配線L92は、図2(a)において第5センサ44cに接続されている配線L9の機能の一部代替である。第3アクチュエータ44aは、配線L112を介して、第4子局34に接続されている。配線L112は、図2(a)において第3アクチュエータ44aに接続されている配線L11の機能の一部代替である。
【0046】
本実施形態では、子局31,32,33,34に接続される配線L12,L22,L32,L42,L52,L62,L72,L82,L92,L102,L112は、関節8a,8b,8cを跨がないため、可動部4,5,6,7の動きの制約とならない。ただし、いずれかの可動部(例えば、エンドエフェクタ本体6)に設けられた一つの子局32に対して、他の可動部(例えば、機能部7)に設けられたアクチュエータ又はセンサ41が配線を介して接続されることがあってもよい。
【0047】
図2(b)に示すように、親局20と子局31,32,33,34は、図2(a)における配線L1〜L11の代替として、無線チャネルC1〜C11を形成する。例えば、第1無線チャネルC1は、配線L1の機能の一部代替となる。図2(a)における配線L1の機能は、図2(b)における配線L11、第1無線チャネルC1、及び配線L12によって代替される。同様に、第2無線チャネルC2〜第11無線チャネルC11は、配線L2〜L11の機能の一部代替となる。
【0048】
親局20は、第1子局31との間で、第1配線L1の一部代替となる第1無線チャネルC1を形成する。親局20は、第2子局32との間で、第2配線L2〜第5配線L5の一部代替となる第2無線チャネルC2〜第5無線チャネルC5を形成する。親局20は、第3子局33との間で、第6配線L6〜第8配線L8の一部代替となる第6無線チャネルC6〜第8無線チャネルC8を形成する。親局20は、第4子局34との間で、第9配線L9〜第11配線L11の一部代替となる第9無線チャネルC9〜第11無線チャネルC11を形成する。なお、図2(b)では、親局と子局間の無線チャネルだけを示したが、複数の子局の間で無線チャネルを形成してもよい。
【0049】
図2(b)のような無線チャネルC1〜C11を形成すると、図2(a)のような長い配線L1〜L11が不要となるので、配線の軽量化が可能である。また、実施形態においては、関節8a,8b,8cを跨ぐ配線がないので、可動部4,5,6,7の動きに伴う配線の屈曲の繰り返しによって、配線L1〜L11が消耗するのを防止できる。
【0050】
しかも、図2(a)に示す配線L1〜L11に対応した無線チャネルC1〜C11を形成すると、制御装置10、アクチュエータ及びセンサは、配線L1〜L11で接続されているのと同様に伝送信号を送受信できる。したがって、有線接続を無線接続に置き換えても、制御装置10、アクチュエータ及びセンサ側での変更は必要ないか、変更があっても少なくて済む。
【0051】
実施形態の親局20及び子局31,32,33,34は、符号分割多元接続方式(Code Division Multiple Access(CDMA))によって、通信を行う。CDAMは、同一の周波数を複数の異なる符号によって複数の無線チャネルに分割する。CDMAに用いられる符号は、拡散符号と呼ばれる。CDMAは、通信機が移動しても、安定した通信状態を維持し易い通信方式であるため、可動部3,4,5,6に設けられる子局31,32,33,34との通信に適した通信方式である。
【0052】
実施形態においては、拡散符号としてカオス拡散符号が用いられる。カオス拡散符号は、単にカオス符号と呼ばれることもある。カオス拡散符号については、特許文献1,2,3,4に開示されている。カオス拡散符号は、パワー一定のカオス拡散符号であるのが好ましい。パワー一定のカオス拡散符号は、拡散符号のカオス性による信号パワーのカオス的変動がなく、信号パワーを一定に保つことができ有利である。パワー一定のカオス拡散符号については、特許文献3,4に開示されている。パワー一定のカオス拡散符号は、例えば、原始根カオス符号、2次元可解カオス符号、概周期関数による符号を含む。カオス拡散符号は、パワー一定のカオス拡散符号であるのが好ましい。カオス拡散符号を拡散符号として用いるCDMAを、カオスCDMAと呼ぶ。カオスCDMA方式による通信は、送受信機20b,31bによって行われる。制御部20c,31cは、カオスCDMA方式における通信パラメータ(符号長、チャネル数)の制御を行う。なお、本実施形態では、複数の無線チャネルのための複数の拡散符号の全てに、カオス拡散符号が用いられるが、複数の拡散符号のうち、少なくとも一つの拡散符号がカオス拡散符号であって、他の拡散符号は、PN符号、Gold符号などのカオス拡散符号以外の符号であってもよい。
【0053】
カオスCDMAは、PN符号、Gold符号を用いたCDMAに比べて、無線チャネル数を飛躍的に多くできるため、膨大な数の配線を無線チャネルで置き換えるのに適している。また、カオス拡散符号は暗号的に機能するため、カオスCDMAによる通信は、セキュリティ性にも優れる。
【0054】
図4は、子局31,32,33,34から親局20への上り通信における多重伝送を示し、図5は、親局20から子局31,32,33,34への下り通信における多重伝送を示している。また、図6は、各子局31,32,33,34が形成する無線チャネルC1〜C11と有線配線L1〜L11との対応、各配線L1〜L11及び各無線チャネルC1〜C11における双方向通信又は単方向通信の区別、及び各無線チャネルC1〜C11で用いられる拡散符号及び逆拡散符号の一覧を示している。なお、双方向通信とは、子局が送信及び受信の双方を行うことをいい、単方向通信とは、子局が、送信及び受信のいずれか一方だけを行うことをいう。また、子局が送信を行うことを、up(上り)といい、子局が受信を行うことをdown(下り)という。
【0055】
図6に示すように、配線L1に対応する無線チャネルC1は、双方向通信(up/down)チャネルである。無線チャネルC1では、拡散符号SC1が用いられ、逆拡散符号DC1が用いられる。なお、逆拡散符号DC1は、拡散符号SC1の複製であり、以下同様である。また、図4に示すように、無線チャネルC1(配線L1)によって伝送される上り伝送信号を”DU1”で表し、図5に示すように、無線チャネルC1(配線L1)によって伝送される下り信号を”DD1”で表す。
【0056】
同様に、無線チャネルC2は、上り通信(up)チャネルであり、拡散符号SC2及び逆拡散符号DC2が用いられる。無線チャネルC2(配線L2)によって伝送される上り伝送信号を”DU2”で表す。無線チャネルC3は、双方向通信(up/down)チャネルであり、拡散符号SC3及び逆拡散符号DC3が用いられる。無線チャネルC3(配線L3)によって伝送される上り伝送信号を”DU3”で表し、無線チャネルC3(配線L3)によって伝送される下り信号を”DD3”で表す。無線チャネルC4は、下り通信(down)チャネルであり、拡散符号SC4及び逆拡散符号DC4が用いられる。無線チャネルC4(配線L4)によって伝送される下り伝送信号を”DD4”で表す。無線チャネルC5は、上り通信(up)チャネルであり、拡散符号SC5及び逆拡散符号DC5が用いられる。無線チャネルC5(配線L5)によって伝送される上り伝送信号を”DU5”で表す。
【0057】
無線チャネルC6は、上り通信(up)チャネルであり、拡散符号SC6及び逆拡散符号DC6が用いられる。無線チャネルC6(配線L6)によって伝送される上り伝送信号を”DU6”で表す。無線チャネルC7は、下り通信(down)チャネルであり、拡散符号SC7及び逆拡散符号DC7が用いられる。無線チャネルC7(配線L7)によって伝送される下り伝送信号を”DD7”で表す。無線チャネルC8は、下り通信(down)チャネルであり、拡散符号SC8及び逆拡散符号DC8が用いられる。無線チャネルC8(配線L8)によって伝送される下り伝送信号を”DD8”で表す。
【0058】
無線チャネルC9は、上り通信(up)チャネルであり、拡散符号SC9及び逆拡散符号DC9が用いられる。無線チャネルC9(配線L9)によって伝送される上り伝送信号を”DU9”で表す。無線チャネルC10は、上り通信(up)チャネルであり、拡散符号SC10及び逆拡散符号DC10が用いられる。無線チャネルC10(配線L10)によって伝送される上り伝送信号を”DU10”で表す。無線チャネルC1は、双方向通信(up/down)チャネルであり、拡散符号SC11及び逆拡散符号DC11が用いられる。無線チャネルC11(配線L11)によって伝送される上り伝送信号を”DU11”で表し、無線チャネルC11(配線L11)によって伝送される下り信号を”DD11”で表す。
【0059】
親局20及び子局31,32,33,34(の送受信機)は、それぞれ、拡散符号を用いて伝送信号から拡散信号を生成する拡散処理部を備えている。また、親局20及び子局31,32,33,34(の送受信機)は、それぞれ、逆拡散符号を用いて伝送信号の復調を行う逆拡散処理部を備えている。また、親局20及び子局31,32,33,34(の送受信機)は、それぞれ、生成された複数の拡散信号を合成して合成信号を生成する合成部を備えている。ただし、図4,5では、実際に信号処理に用いられる拡散処理部、逆拡散処理部及び合成部を示した。図6に示すように、有線配線L1〜L11による通信には、双方向通信,下り単方向通信、上り単方向通信が混在している。したがって、図4,5に示す無線通信においても、双方向通信の無線チャネルと、下り単方向通信の無線チャネルと、上り単方向通信の無線チャネルと、が混在する。
【0060】
上り通信では、図4に示すように、第1子局31の拡散処理部301は、第1センサ41から出力された第1伝送信号DU1から、拡散符号SC1を用いて第1拡散信号を生成する。生成された第1拡散信号は、アンテナ31aから送信される。
【0061】
第2子局32の拡散処理部302は、第2センサ42bから出力された第2伝送信号DU2から、拡散符号SC2を用いて、第2拡散信号を生成する。第2子局32の拡散処理部303は、第1アクチュエータ42aから出力された第3伝送信号DU3から、拡散符号SC3を用いて、第3拡散信号を生成する。第2子局32の拡散処理部305は、第1アクチュエータ42aから出力された第5伝送信号DU5から、拡散符号SC5を用いて、第5拡散信号を先生する。第2拡散信号、第3拡散信号、及び第5拡散信号は、合成部322によって合成され合成信号が生成される。合成信号は、アンテナ32aから送信される。
【0062】
第3子局33の拡散処理部306は、第3センサ43bから出力された第6伝送信号DU6から、拡散符号SC6を用いて、第6拡散信号を生成する。生成された第6拡散信号は、アンテナ33aから送信される。
【0063】
第4子局33の拡散処理部309は、第5センサ44cから出力された第9伝送信号DU9から、拡散符号SC9を用いて、第9拡散信号を生成する。第4子局33の拡散処理部310は、第4センサ44bから出力された第10伝送信号DU10から、拡散符号SC10を用いて、第10拡散信号を生成する。第4子局33の拡散処理部311は、第3アクチュエータ44aから出力された第11伝送信号DU11から、拡散符号SC11を用いて、第11拡散信号を生成する。第9拡散信号、第10拡散信号、及び第11拡散信号は、合成部324によって合成され合成信号が生成される。合成信号は、アンテナ34aから送信される。
【0064】
各子局31,32,33,34から送信された合成信号は、親局20のアンテナ20aによって受信される。親局20が受信した信号は、各子局31,32,33,34から送信された信号が合成されたものとなっている。親局20の各逆拡散処理部201,202,203,205,206,20,9,210,211は、拡散符号の複製である逆拡散符号DC1,DC2,DC3,DC5,DC6,DC9,DC10,DC11を用いて、伝送信号DU1,DU2,DU3,DU5,DU6,DU9,DU10,DU11を復元する。復元された伝送信号DU1,DU2,DU3,DU5,DU6,DU9,DU10,DU11は、制御装置10へ与えられる出力信号である。
【0065】
下り通信では、図5に示すように、親局20の拡散処理部251,253,354,257,258,261は、制御装置20から出力された伝送信号DD1,DD3,DD4,DD7,DD8,DD11から、拡散符号SC1,SC3,SC4,SC7,SC8,SC11を用いて、複数の拡散信号を生成する。複数の拡散信号は、合成部270によって合成され合成信号が生成される。合成信号は、アンテナ20aから送信される。
【0066】
親局20から送信された合成信号は、第1子局31のアンテナ31aによって受信される。第1子局31の逆拡散処理部351は、拡散符号SC1の複製である逆拡散符号DC1を用いて、伝送信号DD1を復元する。復元された伝送信号DD1は、第1センサ41へ与えられる出力信号である。
【0067】
親局20から送信された合成信号は、第2子局32のアンテナ32aによっても受信される。第2子局32の逆拡散処理部353,354は、拡散符号SC3,SC4の複製である逆拡散符号DC3,DC4を用いて、伝送信号DD3,DD4を復元する。復元された伝送信号DD4,DD4は、第1アクチュエータ42aへ与えられる出力信号である。
【0068】
親局20から送信された合成信号は、第3子局33のアンテナ33aによっても受信される。第3子局33の逆拡散処理部357,358は、拡散符号SC7,SC8の複製である逆拡散符号DC7,DC8を用いて、伝送信号DD7,DD8を復元する。復元された伝送信号DD7,DD8は、第2アクチュエータ43aへ与えられる出力信号である。
【0069】
親局20から送信された合成信号は、第4子局34のアンテナ34aによっても受信される。第4子局34の逆拡散処理部361は、拡散符号SC11の複製である逆拡散符号DC11を用いて、伝送信号DD11を復元する。復元された伝送信号DD11は、第3アクチュエータ44aへ与えられる出力信号である。
【0070】
配線L1に対応する無線チャネルC1のように双方向通信の無線チャネルでは、上り通信及び下り通信のそれぞれで拡散処理及び逆拡散処理が行われる。一方、配線L2に対応する無線チャネルC2のように単方向通信の無線チャネルでは、必要な方向(無線チャネルC2では上り方向)の通信のための拡散処理及び逆拡散処理は必要であるが、逆方向(無線チャネルC2では下り方向)の通信のための拡散処理及び逆拡散処理は不要である。そこで、不要な処理が親局又は子局で行われることを避けるために、配線L1〜L11を無線チャネルC1〜C11に置き換える場合には、無線チャネルC1〜C11における双方向通信又は単方向通信の区別を示す通信種別情報(例えば、図6のup/down情報)が、親局20の記憶部20dに設定される。通信種別情報は、子局31の記憶部31dにも設定されてもよい。通信種別情報において、単方向通信を示す情報は、単方向通信における通信方向(下り又は上り)を示す情報も含む。通信種別情報は、配線L1〜L11における通信方向に倣って設定される。親局20は、通信種別情報に基づいて、親局20が拡散処理及び逆拡散処理を行うべき無線チャネルを識別し、必要な拡散処理及び逆拡散処理を行う(図4,5参照)。また、子局31,32,33,34も、通信種別情報に基づく親局20からの指示又は子局31,32,33,34に設定された通信種別情報に基づいて、親局31,32,33,34が拡散処理及び逆拡散処理を行うべき無線チャネルを識別し、必要な拡散処理及び逆拡散処理を行う(図4,5参照)。
【0071】
図4図6に示す例では、図2(a)における1本の配線が、一つの無線チャネルによって代替されている。すなわち、一つの伝送信号から、一つの拡散信号が生成されている。通信の安定性をより高めるには、図2(a)における1本の配線を、複数の無線チャネルによって代替するのが好ましい。図7,8は、1本の配線を、複数の無線チャネルによって代替する例を示している。本実施形態では、1本の配線を代替する複数の無線チャネルのための複数の拡散符号の全てに、カオス拡散符号が用いられるが、複数の拡散符号のうち、少なくとも一つの拡散符号がカオス拡散符号であって、他の拡散符号は、PN符号、Gold符号などのカオス拡散符号以外の符号であってもよい。
【0072】
図7は、図2(a)に示す第1配線L1に対応する複数の無線チャネルC1−1,C1−2,C1−3を形成するための構成を示している。図7(a)に示すように、上り通信に関し、第1子局31は、一つの第1伝送信号DU1の拡散処理のために、一つの拡散処理部301を備えるのではなく、一つの第1伝送信号DU1の拡散処理のために、複数の拡散処理部301−1,301−2,301−3を備える。さらに、第1子局31は、第1センサ41から出力された第1伝送信号DU1を、複数の拡散処理部301−1,301−2,301−3に分配する分配部345を備えている。
【0073】
分配部345によって分配された3つの第1伝送信号DU1は、互いに異なる複数の拡散符号SC11,SC12,SC13によって拡散処理される。すなわち、第1伝送信号DU1のための第1拡散処理部301−1は、第1伝送信号DU1から、拡散符号SC11を用いて、無線チャネルC1−1のための拡散信号を生成する。また、第1伝送信号DU1のための第2拡散処理部301−2は、第1伝送信号DU1から、拡散符号SC12を用いて、無線チャネルC1−2のための拡散信号を生成する。さらに、第1伝送信号DU1のための第3拡散処理部301−3は、第1伝送信号DU1から、拡散符号SC13を用いて、無線チャネルC1−3のための拡散信号を生成する。これら3つの拡散信号は、合成部321によって合成され合成信号が生成される。合成信号は、アンテナ31aから出力される。
【0074】
この結果、第1伝送信号DU1は、3つの無線チャネルC1−1,C1−2,C1−3によって送信される。したがって、無線チャネルが冗長化される。例えば、3つの無線チャネルC1−1,C1−2,C1−3の一つに通信障害が発生しても、残りの無線チャネルでの通信が維持される。よって、通信の安定性が高まる。
【0075】
子局31から送信された合成信号は、他の子局32,33,34から送信された信号と合成された信号となって、親局20に受信される。親局20は、一つの第1伝送信号DU1を復元する逆拡散処理のために、複数の逆拡散処理部201−1,201−2,201−3を備える。親局20が受信した信号は、複数の拡散符号SC11,SC12,SC13の複製である逆拡散符号DC11,DC12,DC13によって逆拡散処理される。すなわち、第1伝送信号DU1のための第1逆拡散処理部201−1は、受信信号から、逆拡散信号DC11を用いて、第1逆拡散信号を生成する。また、第1伝送信号DU1のための第2逆拡散処理部201−2は、受信信号から、逆拡散信号DC12を用いて、第2逆拡散信号を生成する。さらに、第1伝送信号DU1のための第3逆拡散処理部201−3は、受信信号から、逆拡散信号DC13を用いて、第3逆拡散信号を生成する。
【0076】
無線チャネルC1−1,C1−2,C1−3全てにおいて問題なく受信できている場合、第1逆拡散信号、第2逆拡散信号、及び第3逆拡散信号は、全て第1伝送信号DU1を復元した信号となる。一方、無線チャネルC1−1,C1−2,C1−3のいずれかに問題があった場合、問題のあった無線チャネルからは、第1伝送信号DU1を復元した信号は得られないが、問題のない無線チャネルからは、第1伝送信号DU1を復元した信号が得られる。
【0077】
親局20の取得部245は、複数の逆拡散信号から、第1伝送信号DU1を復元した信号を取得し、第1伝送信号DU1を復元した信号を出力信号として、制御装置10へ与える。
【0078】
取得部245は、第1伝送信号DU1を正しく復元した信号が一つだけ得られている場合、その信号を出力信号とすればよい。復元の正しさは、例えば、誤り検出処理によって判断される。取得部245は、第1伝送信号DU1を正しく復元した信号が複数得られている場合、複数の信号から適宜選択される一つの信号を出力信号とすればよい。
【0079】
下り通信に関し、親局20は、一つの第1伝送信号DD1の拡散処理のために、一つの拡散処理部251を備えるのではなく、図7(b)に示すように、一つの第1伝送信号DD1の拡散処理のために、複数の拡散処理部251−1,251−2,251−3を備える。さらに、親局20は、制御装置10から出力された第1伝送信号DD1を、複数の拡散処理部251−1,251−2,251−3に分配する分配部345を備えている。
【0080】
分配部285によって分配された3つの第1伝送信号DD1は、互いに異なる複数の拡散符号SC11,SC12,SC13によって拡散処理される。すなわち、第1伝送信号DD1のための第1拡散処理部251−1は、第1伝送信号DD1から、拡散符号SC11を用いて、無線チャネルC1−1のための拡散信号を生成する。また、第1伝送信号DD1のための第2拡散処理部251−2は、第1伝送信号DD1から、拡散符号SC12を用いて、無線チャネルC1−2のための拡散信号を生成する。さらに、第1伝送信号DU1のための第3拡散処理部301−3は、第1伝送信号DU1から、拡散符号SC13を用いて、無線チャネルC1−3のための拡散信号を生成する。これら3つの拡散信号は、合成部270によって合成され合成信号が生成される。合成信号は、アンテナ20aから出力される。
【0081】
この結果、第1伝送信号DD1は、3つの無線チャネルC1−1,C1−2,C1−3によって送信される。親局20から送信された合成信号は、第1子局31に受信される。第1子局31は、一つの第1伝送信号DD1を復元する逆拡散処理のために、複数の逆拡散処理部351−1,351−2,351−3を備える。第1子局31が受信した信号は、複数の拡散符号SC11,SC12,SC13の複製である逆拡散符号DC11,DC12,DC13によって逆拡散処理される。すなわち、第1伝送信号DD1のための第1逆拡散処理部351−1は、受信信号から、逆拡散信号DC11を用いて、第1逆拡散信号を生成する。また、第1伝送信号DD1のための第3逆拡散処理部351−2は、受信信号から、逆拡散信号DC12を用いて、第2逆拡散信号を生成する。さらに、第1伝送信号DD1のための第3逆拡散処理部351−3は、受信信号から、逆拡散信号DC13を用いて、第3逆拡散信号を生成する。
【0082】
第1子局31の取得部375は、複数の逆拡散信号から、第1伝送信号DD1を復元した信号を取得し、第1伝送信号DD1を復元した信号を出力信号として、第1センサ41へ与える。
【0083】
上述のように親局20と第1子局31との間では、一つの伝送信号が、3つの無線チャネルC1−1,C1−2,C1−3で送信されるが、親局20と第2子局32との間では、一つの伝送信号が、2つの無線チャネルで送信される。図8に示すように、例えば、第2伝送信号DU2は、無線チャネルC2−1,C2−2で送信され、第3伝送信号DU3,DD3は、無線チャネルC3−1,C3−2で送信され、第4伝送信号DD4は、無線チャネルC4−1,C4−2で送信され、第5伝送信号DU5は、無線チャネルC5−1,C5−2で送信される。
【0084】
なお、図8では、第3子局33及び第4子局34については、一つの伝送信号が、一つの無線チャネルで送信される様子を示したが、第3子局及び第4子局についても、一つの伝送信号が、複数の無線チャネルで送信されてもよい。
【0085】
図8に示すように、子局31,32,33,34毎に一つの伝送信号が送信される無線チャネルの数を異ならせることで、無線チャネルの総数の増加を抑えることができる。例えば、エンドエフェクタ6,7に設けられた第1子局31及び第2子局32は、第2アーム5に設けられた第4子局34よりも、より高速に移動することがあり、通信の安定性がより損なわれ易い。このような場合において、一つの伝送信号が送信される無線チャネルの数を、全子局31,32,33,34において揃えると、無線チャネルの総数が多くなる。しかし、子局31,32,33,34毎に一つの伝送信号が送信される無線チャネルの数を異ならせる場合には、通信の安定性が損なわれ易い子局31,32について無線チャネル数を多くすれば足りるため、無線チャネルの総数増加が抑制される。
【0086】
一つの伝送信号が送信される無線チャネルの数は、固定にしてもよいし、状況に応じて変えてもよい。一つの伝送信号が送信される無線チャネルの数(通信パラメータ)は、親局20及び子局31,32,33,34の制御部20c,31cによって変更される。
【0087】
親局20の制御部20cは、子局31,32,33,34によって測定された通信品質情報を、子局32,32,33,34からフィードバックさせ、通信品質情報に基づいて、一つの伝送信号が送信される無線チャネルの数(通信パラメータ)を、子局31,32,33,33,34毎に調整する。なお、一つの伝送信号の送信に用いられる無線チャネルの数(通信パラメータ)の数は、伝送信号毎に調整されてもよい。
【0088】
実施形態に係る制御部20cは、子局31,32,33,34によって測定された通信品質情報(フィードバック情報)だけでなく、ロボット1の制御装置10から与えられるロボット1の制御情報を用いて、一つの伝送信号に用いられる無線チャネルの数(通信パラメータ)を調整する。
【0089】
ロボット1に設けられた親局20及び子局31,32,33,34による通信環境は、ロボット1の動きに左右される。ロボット1の動きは、制御装置10によって司られるため、制御部20cは、制御装置10からロボット1の動きを示す情報を取得することで、子局からのフィードバック情報がなくても、通信環境の変化を把握することができる。特に、ロボット1の動作変化前に、ロボット1の動作変化を示す情報を取得することで、制御部20cは、通信環境の変化を事前に予測できる。このように、制御部20cは、制御装置10からの情報を利用することで、子局31,32,33,34からのフィードバック情報だけに頼って通信パラメータを変更するよりも、適切に通信パラメータを変更でき、通信の安定化を図ることができる。
【0090】
図9は、制御装置10と親局20との協働による通信パラメータの変更手順の例を示している。通信パラメータの変更は、例えば、ロボット1の第1動作制御(ステップS11)と、ロボット1の第2動作制御(ステップS16)との間で行われる。ここでの第1動作制御と第2動作制御とは、ロボット1の異なる動作状態を示す。例えば、第1動作制御の下では、図1に示す第2関節8bを動作させるアクチュエータ44aは停止しており、第4アーム4は停止しているものとする。一方、第2動作制御では、アクチュエータ44aが動作し、第1アーム4が高速で動作するものとする。なお、第2動作制御下では、第2アーム5は動作しないものとする。
【0091】
ロボット1の動作制御が、第1動作制御から第2動作制御に切り替わると、第1アーム4が高速で動作するため、第1アーム4及び第1アーム4よりも先端側に設けられた第1子局31、第2子局32、第3子局33も高速で移動し、通信環境が悪くなる。
【0092】
そこで、制御装置10は、第1動作制御から第2動作制御に切り替わる前に、親局20の制御部20cに対して、配線L100を介して、通信パラメータ変更指示を送信する(ステップ12)。通信パラメータ変更指示は、ロボット1の現在の動き又は将来の動きを示す制御情報を含むことができる。ここでは、制御情報は、将来の動きとして第2動作制御におけるロボット1の動きを示す情報とする。
【0093】
制御情報は、例えば、アクチュエータ43a,44a,45aを識別するアクチュエータID、及びアクチュエータ43a,44a,45aの動作速度(例えば、角速度)を示す情報を含むことができる。ここでは、制御情報は、第2動作制御において、第2アクチュエータ44cが角速度Xで動作することを示す情報であるものとする。
【0094】
通信パラメータ変更指示を受信した制御部20cは、必要に応じて、複数の子局31,32,33,34の全部又は一部との間で、無線チャネル数の変更などの通信パラメータ変更処理を実行する(ステップ13)。通信パラメータ変更処理が完了すると、制御部20cは、通信パラメータ完了通知を制御装置10へ送信する(ステップS14)。制御装置10は、通信パラメータ変更完了通知があるまで、次の動作のための第2動作制御(ステップS16)を開始しないように、待機しているため(ステップS15)、通信パラメータ変更完了通知があった後に、第2動作制御が開始される。この結果、第2操作制御(第1アーム4の高速動作)の前に、通信パラメータが適切に変更されるため、第1アーム4が高速動作を開始しても、通信が途切れるのを防止できる。なお、制御装置10は、通信パラメータ変更指示を親局20に通知してから、所定の待機時間が経過するまでに、通信パラメータ変更完了通知を受け取らなかった場合、エラー出力をするのが好ましい。
【0095】
図10は、ステップS13の通信パラメータ変更処理の一例を示している。制御部20cは、制御情報を取得すると、制御情報に含まれるアクチュエータIDとその角速度に基づいて、各子局31,32,33,34の移動速度を求める。例えば、第2アクチュエータ44aの動作は、第1子局31の移動を生じさせるため、第2アクチュエータ44aの角速度に基づいて、第1子局31の推定移動速度を求める。求めた推定移動速度が、第1子局31の現在の移動速度(ここでは、現在の移動速度は0)よりも大きくなる(up)のであれば、第1子局31において、一つの伝送信号の送信に用いられる無線チャネルの数を増やす(ステップS13a)。無線チャネル数の数を増やすことで、第1子局31が高速移動しても、通信が安定する。
【0096】
推定移動速度が大きくなる場合、無線チャネル数の数を増やすことに加えて、又は、変えて、第1子局で用いられる拡散符号の符号長を長くしてもよい。符号長を長くするとデータレートは下がるが、通信の確実性が高まる。
【0097】
逆に推定移動速度が小さくなる(down)場合、無線チャネル数を減らしたり、符号長を短くしたりしてもよい。ここでは、図10では、変更される通信パラメータとして、一つの伝送信号の送信に用いられる無線チャネル数と、拡散符号の符号長を例示したが、通信パラメータは、他のもの、例えば、送信電力であってもよい。
【0098】
同様の通信パラメータ変更は、必要に応じて、第1子局31以外の他の子局32,33,34,35についても行われる(ステップS13b,13c,13d)。例えば、第2子局32及び第3子局33は、第2アクチュエータ44aが動作すれば、移動するため、第1子局31と同様な通信パラメータ変更が行われる。一方、第4子局34は、第2アクチュエータ44aが動作しても、移動しないため、通信パラメータは変更されず維持される。
【0099】
ここで、一つの伝送信号の送信に複数の無線チャネルが用いられる場合、複数の無線チャネルを形成する複数の拡散符号の符号長は同じでもよいし、異なっても良い。符号長は長ければデータレートが下がるが、通信の安定性は高くなる。一方、符号長が短いと通信の安定性は低くなるが、データレートは上がる。一つの伝送信号の送信に、符号長の異なる複数の拡散符号による複数の無線チャネルを用いると、通信環境の変化に柔軟に対応できる。
【0100】
また、第1センサ41としてのカメラは、解像度の異なる画像を、制御装置10に送信することがある。この場合、解像度が高い画像を送る場合には、拡散符号の符号長を短くして高速送信をし、解像度が低い画像を送る場合には、拡散符号の符号長を長くすることができる。
【0101】
上記の実施形態では、産業用ロボット1を例示したが、無線通信による伝送信号の送信は、産業用ロボット1への適用に限られるものではない。例えば、車両のワイヤーハーネスによる有線配線を、上記実施形態のような無線通信で代替することができる。また、音響機器において、アンプとスピーカとを接続する有線配線を、上記実施形態のような無線通信で代替することができる。この場合、アンプから複数のスピーカへの信号送信を、無線通信にて同時に行うことができる。さらに、監視カメラの画像を伝送信号として送信する有線配線を、上記実施形態のような無線通信で代替することができる。産業機器の分野においても、産業ロボット1に限られず、実装機その他の様々な機器に、上記実施形態のような無線通信を利用できる。
【0102】
さらに、上記実施形態のような無線通信は、有線配線の代替としての利用に限られるものではなく、元々無線通信で行われていた伝送信号の送信にも利用できる。例えば、ドローンと、ドローンの操縦装置との間の伝送信号の送信にも利用できる。また、車車間通信における伝送信号の送信にも利用できる。特に、カオスCDMAは、カオス拡散符号のセキュリティ性の高さによって、セキュリティ性を確保しつつ、ドローンの操縦を行うことができる。要求されるセキュリティ性は、場所によって異なるため、高いセキュリティ性が要求される場所では、カオス拡散符号の符号長を長くすることで、セキュリティ性を高めることができる。また、カオスCDMAは長距離通信に適しているので、ドローン等の遠隔操作にも適している。
【0103】
以上のように、カオスCDMAを用いた通信は、通信安定性、セキュリティ性、同時通信、通信速度の制御、通信距離の制御が可能であり、多数の機器の通信を無線で行うのに適しているため、多数の機器がインターネットに繋がるIoTにおいてとりわけ有用である。
【符号の説明】
【0104】
20 親局(通信機)
20a アンテナ
31 子局(通信機)
31a アンテナ
201−1 逆拡散処理部
201−2 逆拡散処理部
202−3 逆拡散処理部
251−1 拡散処理部
251−2 拡散処理部
251−3 拡散処理部
301−1 拡散処理部
301−2 拡散処理部
302−3 拡散処理部
351−1 逆拡散処理部
351−2 逆拡散処理部
351−3 逆拡散処理部
270 合成部
321 合成部
245 取得部
375 取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10