(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、清浄な空気環境を要する製造工場や実験室等では、装置の大型化に伴い、容積の増大したクリーンルームの清浄度維持にかかるコストを抑制するため、クリーンルーム全体の空気清浄度を必要最小限に抑える一方で、高清浄度が要求される空間のみをシールドするために、ビニールシート等の仕切壁を備えたクリーンブースが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、特許文献1のクリーンブースのように、仕切壁により空間を仕切るようにしたものでは、装置の搬入・搬出や、作業員の出入りが干渉されるという問題がある。
【0004】
そこで、特許文献2では、天井部の周縁から垂下する短いカーテンに沿ってエアカーテンを吹き出すよう構成したクリーンブースが提案されている。特許文献2のクリーンブースでは、エアカーテンにより、周囲をシールドすることで、装置の搬入・搬出等を容易にするとともに、床面に吸気口を設けないことで、クリーンブースを自由に移動できるようにしたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2のクリーンブースでは、床面に衝突したのち外方へ広がるエアカーテンが、クリーンブースの出入口近傍に塵埃を堆積させ、作業員が入室する際に、この堆積した塵埃を靴裏に付着させる等して持ちこんでしまうという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、内部の清浄度を犠牲にすることなく、収容する装置のレイアウト変更に容易に対応可能なクリーンブースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、天壁と、前記天壁に連結されるとともに前記天壁を支持する支持部材と、前記支持部材に連結されるとともに前記支持部材を支持する底壁と、側方に開口するドアの無い出入口とを備え、前記天壁は、中空の箱状をなすとともに、前記出入口の上縁となる端縁に沿って、前記出入口をエアシールドすべく下向きに空気を吹き出す吹出口を有し、前記底壁は、中空の箱状をなすとともに、前記出入口の下縁となる端縁に沿って、吸気口を備え、
前記出入口は、上縁に沿って設けられる暖簾状の噴出カーテンを有し、前記噴出カーテンは、前後2枚の小カーテンの間を吹出口として空気を噴出するクリーンブースである。
ここで、「支持部材」とは、天壁を支持する柱や側壁をいうものとする。
【0008】
このように、本発明のクリーンブースでは、吹出口から下向きに吹出した空気を吸引する吸気口が、出入口の下縁に沿って設けられていることから、出入りする作業員が吸気口を跨ぐこととなり、作業員が出入りする際に作業員から発生した塵埃を、効率よく吸気口から吸引することができる。
また、本発明のクリーンブースでは、底壁が、支持部材、及び天壁に連結されているので、クリーンブースの移動時には、底壁と共に吸気口も移動するため、塵埃の捕集能力を犠牲にすることなく自由にクリーンブースを移動することができる。
【0009】
前記噴出カーテンは、前記出入口の上縁に沿って前後2枚に重ねた小カーテンを複数組並べてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明のクリーンブースによれば、内部の清浄度を犠牲にすることなく、収容する装置のレイアウト変更に容易に対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限られるものではない。
図1は、本発明の第1実施形態に係るクリーンブースセット100を示している。クリーンブースセット100は、クリーンブース10と、2つのエアシャワーブース20,20とを備えている。
【0013】
クリーンブース10は、
図8に示すように、天壁11と、天壁11を支持する支持部材12(側壁121,122、及び柱123)と、支持部材12を支持する底壁13と、側方に設けた2箇所の出入口15(151,152(
図9参照))とを備えている。支持部材12は、天壁11、及び底壁13に連結固定されている。
【0014】
天壁11は、
図1に示すように、中空の箱型をなし、内部に室内給気ファン31(
図4参照)と、HEPAフィルタ32と、2台のエアカーテンファン33,33が設けられている。
【0015】
クリーンブース10は、
図8に示すように正面視左側が側壁121で閉塞され、後方が側壁122で閉塞されている。天壁11の右手前の角は、
図7に示すように、柱123により支持されている。クリーンブース10の前方には、
図8に示すように、側壁121から柱123の間を全幅に渡って開放するドアの無い出入口151が設けられ、クリーンブース10の右方には、
図9に示すように、柱123と側壁122の間を全幅に渡り開放するドアの無い出入口152が設けられている。
【0016】
側壁121、側壁122は、中空の箱型に設けられ、底壁13から天壁11への還気を通すレターンダクトを構成する。側壁122は、
図10に示すように、下端に沿って、多数のスリットからなる吸気口122aを備え、室内16の空気を内部空間へ吸引するよう構成されている。
また、側壁122は、上端の下向き傾斜部122bに、LEDライト36が設けられている。
【0017】
出入口、151、152の上縁には、
図8、
図9に示すように、暖簾状の噴出カーテン34が設けられている。噴出カーテン34は、
図10に示すように、エアカーテンファン33から天壁11の下面111を貫通して垂下している。噴出カーテン34は、2枚の小カーテン34a,34aを前後に重ね、その間を吹出口35としてエアカーテン用の空気を噴出するよう構成されている。また、噴出カーテン34は、表裏とも出入口15の上縁に沿って複数枚の小カーテン34aを並べることで人が入るときに捲り易いように構成されている。エアカーテンファン33へは、
図10に示すように、HEPAフィルタ32で除塵された空気が供給される。
【0018】
底壁13は、
図7に示すように平面視矩形をなす中空の扁平箱状をなしている。底壁13の表面131には、出入口151,152の下縁をなす、手前側(
図7の下側)、及び右側(
図7の右側)の端縁に沿って、多数のスリット状の貫通孔からなる吸気口132,132が設けられている。噴出カーテン34から噴出された空気が、吸気口132,132へ吸引されて、出入口15にエアカーテンが形成される。
また、吸気口132,132からは、室内給気ファン31から室内16に給気された空気が吸引されて、室内16に下降気流を形成する。吸気口132,132から吸引された空気は、底壁13の内部空間から側壁121,122の内部空間を介して天壁11の内部空間へ還流される。
【0019】
エアシャワーブース20は、
図11に示すように、上壁21と、上壁21を支持する左右一対の支持壁22,23と、支持壁22,23を支持する床壁24からなる矩形の短いトンネル形状を有し、支持壁22,23は、内面223,233にジェットエアーを吹き出す吹出ノズル44が設けられている。支持壁22,23は、上壁21、及び床壁24に対し連結固定されている。エアシャワーブース20は、奥側(
図11の紙面奥側)にクリーンブース10の出入口15に連通する内部連絡口25を有し、手前側に当該エアシャワーブース20に出入りするための外部連絡口26を有している。内部連絡口25、及び外部連絡口26は扉を有さず、常時開放されている。
【0020】
上壁21は、平面視長方形の中空箱型をなしており、
図11に示すように、内部空間がHEPAフィルタ41を介して連通する上室211と下室212に区画されている。上壁21の下面213には、LEDライト42が設けられている。
【0021】
右側の支持壁22は、直方体の箱状をなし、
図12に示すように、内面223に円形の吹出ノズル4個が分散配置されている。支持壁22は。
図11に示すように、内部空間が内側の給気室221と外側の還気室222とに区画されており、還気室222は、床壁24の内部空間、及び上壁21の上室211に連通し、給気室221は、上壁21の下室212に連通している。還気室222の下部には、ジェットファン43が設けられている。
【0022】
左側の支持壁23は、
図13に示すように、直方体の箱状をなし、内面233に右側の支持壁23と対称に4個の吹出ノズル44が分散配置されている。左側の支持壁23は、内部空間が内側の給気室231と外側の背室232に区画されている。給気室231は、上壁21の下室212に連通しており、背室232は、デッドスペースである。
尚、
図12、
図13における符号45a、45bは、エアシャワーブース20に人が入ったことを感知する光電センサーの投受光器と反射板である。
【0023】
床壁24は、
図14に示すように、平面視長方形の扁平箱型をなし、上面241の左右の両端縁に沿って、多数のスリット状の貫通孔からなる吸気口242,242を備えている。
【0024】
クリーンブースセット100を用いる際には、クリーンブース10を工場や実験室内の適宜の場所に設置し、出入口151,152から収容すべき装置(図示の例では、安全キャビネット)Xを搬入する。次に、
図1に示すように、クリーンブース10の出入口151,152に、それぞれエアシャワーブース20を連結する。ただし、装置Xの搬入は、エアシャワーブース20の連結後に行ってもよい。
【0025】
クリーンブースセット100、及び装置Xを使用する際には、予め、クリーンブース10、及びエアシャワーブース20に電源を入れて起動しておく。すると、クリーンブース10では、
図4に示すように、室内給気ファン31が、底壁13の吸気口132,132、側壁122の吸気口122a、及び側壁121の吸込み金網121aから取り込んだ空気をHEPAフィルタ32で除塵したのち室内16、及びエアカーテンファン33へ供給し、エアカーテンファン33は、この空気を噴出カーテン34から噴出する。室内給気ファン31、エアカーテンファン33から供給された空気は、吸気口132,132から底壁13、及び側壁121,122の内部空間を介して天壁11の内部空間に還気される。クリーンブース10が起動されている間、この空気循環が維持される。
尚、吸込み金網121aは、室内16を陽圧にするために、外部からの空気を補充するための吸気口である。
【0026】
この状態で、作業者Mは、
図1に2点鎖線で示したように、まず、外部連絡口26からエアシャワーブース20内に入る。すると、光電素子45が作業者Mを感知して、ジェットファン43を起動する。ジェットファン43は、
図11に示すように、吸気口242,242から吸引した空気を床壁24の内部空間を介して支持壁22の還気室222から上壁21の上室211へ流送する。上室211に流送された空気は、HEPAフィルタ41、下室212を介して左右の支持壁22,23の給気室221,231へ供給され、吹出ノズル44からエアシャワーブース20内へ吹き出される。
【0027】
作業者Mは、吹き出されたエアシャワーを浴びて塵埃を除去した後、エアシャワーブース20の内部連絡口25、及び出入口151、又は152を介してクリーンブース10の室内16へ移動する。この際、出入口151,152は、噴出カーテン34から噴出されたエアカーテンによりシールドされているため、エアシャワーブース20からクリーンブース10への塵埃の侵入を抑制することができる。
【0028】
作業者Mは、エアシャワーブース20からクリーンブース10へ移動する際、吸気口132を跨ぐことになるため、作業者Mによるクリーンブース10の室内16への塵埃の持ち込みが効果的に抑制される。
【0029】
以上、本発明のクリーンブースは、上記の実施例に限らず、例えば、出入口の数は、1つでも3つ以上でもよい。出入口の吹出口は、噴出カーテンを備えなくともよい。クリーンブースセットは、クリーンブースを複数設けてもよいし、エアシャワーブースを、1つのみ、又は3つ以上設けてもよい。