(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のプラグ変換装置1は、
図1に示すように、第1ユニット2と、第2ユニット3と、を備える。
【0013】
[第1ユニットの構成]
第1ユニット2は、
図2、3に示すように、本体部21と、第1オス端子22と、第1メス端子23と、ピン部材24と、を有する。
【0014】
本体部21は、絶縁性の樹脂部材によって全体が柱状(本実施形態においては断面オーバル状)に形成され、主本体部211と一対の可動部212とによって構成される。以下では、柱状の本体部21の高さ方向をZ方向とし、オーバル形状の長手方向をX方向とし、Z方向およびX方向に略直交する方向をY方向とする。尚、
図1に示すように第1ユニット2と第2ユニット3とが組み付けられている場合には、第1ユニット2のX方向、Y方向およびZ方向を基準とする。
【0015】
主本体部211は、Z方向における本体部21の一端面2A側に突出した一対の突出部211Aと、一対の突出部211Aの間に形成された溝部211Bと、突出部211AのX方向外側に形成された切り欠き部211Cと、を有する。溝部211Bは、Y方向に貫通するとともに一端面2A側に開口した形状を有している。
【0016】
一対の可動部212は、切り欠き部211Cに配置されて主本体部211に対してX方向に移動可能であるとともに、
図4に示すようにばね部材26を介して互いに接続される。ばね部材26は、一対の可動部212が互いに離れるような方向の付勢力を付与する。
図5に示すように一対の可動部212同士の所定の最大間隔となった際には、一対の可動部212が主本体部211に当接することにより、間隔がそれ以上広がらないようになっている。一対の可動部212は、主本体部211を貫通可能でありX方向に対向する突起212Aを有している。可動部212におけるX方向外側部分は、主本体部211の外周面の局面形状に沿った形状を有している。
【0017】
一対の突出部211Aには、本体部21の側面(Y方向を向いた面)2B、2Dに、Aタイプのプラグ受け形状の受け入れ部213が形成されている。また、側面2Dには、Z方向に沿って延びてピン部材24を収容する収容溝部214が形成されている。
【0018】
図5に示すように一対の可動部212が所定距離だけ離れた状態において、突出部211Aと可動部212との間の隙間に対し、本体部21の一端面2AからAタイプの差込プラグが差し込み可能となっている。即ち、一端面2Aに、Aタイプのプラグ受け形状の第1受け入れ部215が形成されている。本体部21の他端面(一端面2Aとは反対側を向いた面)2Cには、一対の金具用凹部216が形成されるとともに、一対の金具用凹部216の間に、後述するピン部材35を受け入れるための穴状の受け入れ部217が形成されている。
【0019】
第1オス端子22は、一対の可動部212における一端面2Aから突出している。第1オス端子22は、Cタイプ、SEタイプ、Bタイプ、およびCBタイプに対応した形状の一対の凸状の端子金具によって構成されている。上記のように可動部212がX方向に移動可能に設けられていることから、第1オス端子22を構成する一対の端子金具同士の間隔を調節して各タイプに対応することができるようになっている。
【0020】
第1オス端子22を構成する一対の端子金具はX方向に並んでおり、これらの間に一対の穴部である第1受け入れ部215が形成されている。第1受け入れ部215を構成する一対の穴部もX方向に並んでいる。
【0021】
第1メス端子23は、本体部21の他端面2Cに形成された一対の金具用凹部216と、一対の金具用凹部216のそれぞれに設けられる端子金具と、によって構成される。第1メス端子23は、使用したい電気機器の差込プラグの形状に応じたものであればよく、例えばAタイプのプラグ受けを構成すればよい。また、第1オス端子22と第1メス端子23とが、本体部21に内蔵された接続金具25によって電気的に接続される。これにより、建物の壁面等に設けられたプラグ受けに対して第1オス端子22を差し込むとともに、第1メス端子23に対して差込プラグを差し込んで電気機器を使用することができる。このとき、必要に応じて変圧器を用いてもよい。
【0022】
ピン部材24は、絶縁樹脂によって構成されるとともに、O2タイプのアースピン形状を有している。ピン部材24は、本体部21の他端面2C側において主本体部211によって軸支され、本体部21の収容溝部214内に収容された収容状態(
図3)と、側面2Bから突出してY方向に沿って延びる突出状態(
図6)と、が切り替え可能となっている。
【0023】
[第2ユニットの構成]
第2ユニット3は、
図7、8に示すように、本体部31と、第2オス端子32と、第2メス端子33と、ピン部材34、35と、接続金具と、を有する。
【0024】
本体部31は、絶縁性の樹脂部材によって全体が柱状(本実施形態においては断面オーバル状)に形成されている。第2ユニット3の本体部31における断面の形状および大きさは、第1ユニット2の本体部21における断面の形状および大きさと略一致している。以下では、柱状の本体部31の高さ方向をz方向とし、オーバル形状の長手方向をx方向とし、z方向およびx方向に略直交する方向をy方向とする。
【0025】
本体部31のz方向における一端面3Aには、第1オス端子22に対応したプラグ受け形状の第2受け入れ部311が形成されている。尚、第1オス端子22を構成する端子金具は間隔が調節可能となっているが、第2受け入れ部311は、これらの端子金具が適宜な間隔を有している際に受け入れ可能であればよく、本実施形態においては間隔が最大となる際に受け入れ可能となっている。本体部31の2つの側面(y方向を向いた面)3B、3Dのそれぞれには、z方向に沿ってピン部材34、35を収容する収容溝部312、313が形成されている。本体部31の他端面(一端面3Aとは反対側を向いた面)3Cには、一対の金具用凹部314が形成されている。
【0026】
第2オス端子32は、本体部31の一端面3Aから突出している。第2オス端子32は、AタイプおよびOタイプに対応した形状の一対の凸状の端子金具によって構成されている。これらの端子金具は、z方向を軸方向として本体部31に対して回動可能に取り付けられており、回動することによってAタイプとOタイプとが切り替え可能となっている。また、第2オス端子32を構成する端子金具は、x方向に並んだ一対の穴部である第2受け入れ部311の間に配置されている。
【0027】
第2メス端子33は、本体部31の他端面3Cに形成された一対の金具用凹部314と、一対の金具用凹部314のそれぞれに設けられる端子金具と、によって構成される。第2メス端子33は、第1メス端子23と同様に、使用したい電気機器の差込プラグの形状に応じたものであればよい。また、第2オス端子32と第2メス端子33とが、本体部31に内蔵された接続金具によって電気的に接続されている。これにより、建物等に設けられたプラグ受けに対して第2オス端子32を差し込むとともに、第2メス端子33に対して差込プラグを差し込んで電気機器を使用することができる。このとき、必要に応じて変圧器を用いてもよい。
【0028】
ピン部材34、35は、絶縁樹脂によって構成されるとともに、それぞれB3タイプおよびBFタイプのアースピン形状を有している。ピン部材34、35は、本体部31のz方向中央部において本体部31によって軸支され、それぞれ本体部31の収容溝部312、313内に収容された収容状態(
図9)と、側面3B、3Dから突出してy方向に沿って延びる突出状態(
図7、8)と、が切り替え可能となっている。ピン部材34、35は、収容状態において一端面3Aからその一部が突出する。
【0029】
プラグ変換装置1は、用途に応じて第1ユニット2または第2ユニット3が単独で用いられたり、第1ユニット2と第2ユニット3とを適宜に組み合わせて用いられたりする。各用途に対する各ユニットの使用状態について以下に説明する。
【0030】
[保管または携帯時]
プラグ変換装置1は、使用されず保管されたり携帯されたりする際に、
図1に示すように第1ユニット2と第2ユニット3とが組み付けられる。即ち、第1ユニット2の一端面2Aと第2ユニット3との一端面3Aとを対向させつつ、これらユニット2、3を互いに接近させていくことにより、第1オス端子22が第2受け入れ部311に受け入れられていく(挿入されていく)とともに、第2オス端子32が第1受け入れ部215に受け入れられていく(挿入されていく)。このとき、ピン部材34、35は収容状態としておく。ピン部材34、35のうち一端面3Aから突出した部分は、本体部21の溝部211Bに受け入れられていく。即ち、溝部211Bが第3受け入れ部として機能する。一端面2A、3A同士が当接したら組み付けが完了する。
【0031】
このような組付状態において、第1オス端子22は第2ユニット3内に配置され、第2オス端子32は第1ユニット2内に配置される。即ち、これらのオス端子22、32は露出せず、相手方のユニットによって保護される。
【0032】
[Aタイプ使用時]
プラグ変換装置1は、Aタイプから所望のタイプに変換する際に、
図7に示すように第2ユニット3が単独で用いられる。このとき、第2オス端子32を構成する2つの平板状の端子金具を回動させ、これらを略平行な状態とする。
【0033】
[Oタイプ使用時]
プラグ変換装置1は、Oタイプから所望のタイプに変換する際に、
図10に示すように第2ユニット3が単独で用いられる。このとき、第2オス端子32を構成する2つの平板状の端子金具を回動させ、これらを互いに傾斜した状態とする。
【0034】
[Cタイプ、SEタイプ、BタイプまたはCBタイプ使用時]
プラグ変換装置1は、Cタイプ、SEタイプ、BタイプまたはCBタイプから所望のタイプに変換する際に、
図2、5に示すように第1ユニット2が単独で用いられる。このとき、一対の可動部212を適宜に移動させ、第1オス端子22を構成する一対の端子金具同士の間隔を調節する。
【0035】
[O2タイプ使用時]
プラグ変換装置1は、O2タイプから所望のタイプに変換する際に、
図11に示すように第1ユニット2と第2ユニット3とが組み付けられる。即ち、第1ユニット2の他端面2Cと第2ユニット3の側面3Dとを対向させつつ、側面2Dを一端面3A側に向け、これらのこれらユニット2、3をZ方向において接近させていくことにより、ピン部材35が受け入れ部217に受け入れられていく(挿入されていく)。他端面2Cと側面3Dとが当接したら組み付けが完了する。このとき、第2オス端子32を構成する端子金具を回動させ、互いに傾斜した状態としておく。また、ピン部材24を突出状態としておく。
【0036】
このような組付状態において、第2オス端子32とピン部材24とによってO2タイプの差込プラグが構成される。尚、ピン部材24は絶縁樹脂によって構成されており、実際にはアースピンとしては機能しない。
【0037】
[B3タイプ使用時]
プラグ変換装置1は、B3タイプから所望のタイプに変換する際に、
図12に示すように第1ユニット2と第2ユニット3とが組み付けられる。即ち、第1ユニット2の側面2Dと第2ユニット3の一端面3Aとを対向させつつ、側面3Bを一端面2A側に向け、これらのこれらユニット2、3をY方向において接近させていくことにより、第2オス端子32が受け入れ部213に受け入れられていく(挿入されていく)。側面2Dと一端面3Aとが当接したら組み付けが完了する。このとき、第1オス端子22を構成する一対の端子金具同士を最接近させておく。
【0038】
また、第2ユニット3のピン部材35は収容状態としておき、ピン部材35のうち一端面3Aから突出した部分が溝部211Bに受け入れられる。即ち、保管または携帯時だけでなくB3タイプ使用時においても、溝部211Bがピン部材35の一部を受け入れる受け入れ部として機能する。
【0039】
可動部212には、受け入れ部213に挿入された第2オス端子32と干渉しないように切り欠き部212Bが形成されている。これにより、第1ユニット2と第2ユニット3とを組み付けた状態においても、第1オス端子22を構成する一対の端子金具同士を最接近させることができるようになっている。
【0040】
このような組付状態において、第1オス端子22とピン部材34とによってB3タイプの差込プラグが構成される。尚、ピン部材34は絶縁樹脂によって構成されており、実際にはアースピンとしては機能しない。
【0041】
[BFタイプ使用時]
プラグ変換装置1は、BFタイプから所望のタイプに変換する際に、
図13に示すように第1ユニット2と第2ユニット3とが組み付けられる。即ち、第1ユニット2の側面2Bと第2ユニット3の一端面3Aとを対向させつつ、側面3Dを一端面2A側に向け、これらのこれらユニット2、3をY方向において接近させていくことにより、第2オス端子32が受け入れ部213に受け入れられていく(挿入されていく)。側面2Bと一端面3Aとが当接したら組み付けが完了する。このとき、第1オス端子22を構成する一対の端子金具同士を最も離隔させておく。
【0042】
また、第2ユニット3のピン部材34は収容状態としておき、ピン部材34のうち一端面3Aから突出した部分が溝部211Bに受け入れられる。即ち、保管または携帯時だけでなくBFタイプ使用時においても、溝部211Bがピン部材34の一部を受け入れる受け入れ部として機能する。
【0043】
このような組付状態において、第1オス端子22とピン部材35とによってBFタイプの差込プラグが構成される。尚、ピン部材35は絶縁樹脂によって構成されており、実際にはアースピンとしては機能しない。
【0044】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、第1ユニット2の本体部21に第2ユニット3の第2オス端子32を受け入れ可能な受け入れ部213が形成されていることで、既存の第2オス端子32を利用して2つのユニット2、3を組み付けることができ、組み付けのために新たな部位を第2ユニット3に形成する必要がない。さらに、第2オス端子32は突出した形状であることから、受け入れ部213を凹状に形成することができ、組み付けのために突出した部分を第1ユニット2に形成する必要がない。このように、シンプルな構成で2つのユニット2、3を組み付けることができる。
【0045】
また、第2ユニット3の2つの側面3B、3Dに互いに形状の異なるピン部材34、35が設けられていることで、2つの側面3B、3Dのいずれを第1オス端子22側に向けるかを選択することにより、いずれのピン部材34、35を用いるかを決定することができ、異なる2つの形状の差込プラグを構成することができる。
【0046】
また、第1ユニット2の一端面2Aに第1オス端子22および第1受け入れ部215が設けられ、第2ユニット3の一端面3Aに第2オス端子32および第2受け入れ部311が設けられていることで、一端面2A、3A同士を対向させつつ第1ユニット2と第2ユニット3とを組み付けることにより、第1オス端子22が第2受け入れ部311に受け入れられ、第2オス端子32が第1受け入れ部215に受け入れられる。これにより、各ユニット2、3におけるオス端子22、32を相手方のユニットによって保護することができ、保護のためにカバー等を設ける必要がない。従って、シンプルな構成でオス端子22、32を保護することができる。
【0047】
また、第1オス端子22が第2受け入れ部311に受け入れられるとともに第2オス端子32が第1受け入れ部215に受け入れられ、第1ユニット2の本体部21および第2ユニット3の本体部31が同様の形状の柱状に形成されていることで、これらのユニット2、3を組み付けた際の外観をすっきりとしたものとし、意匠性を向上させることができる。
【0048】
また、第1受け入れ部215が、第1オス端子22を構成する一対の端子金具の間に形成されていることで、一対の端子金具の間のスペースを有効利用することができる。
【0049】
また、第1ユニット2に溝部211Bが形成され、第2ユニット3のピン部材34、35が受け入れられるようになっていることで、ピン部材34、35が第1ユニット2によって保護される。従って、シンプルな構成でピン部材34、35を保護することができる。
【0050】
さらに、ピン部材34、35を受け入れる溝部211Bが、第1オス端子22を構成する一対の端子金具の間に形成されていることで、一対の端子金具の間のスペースを有効利用することができる。
【0051】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0052】
例えば、前記実施形態では、第2ユニット3の2つの側面3B、3Dに互いに形状の異なるピン部材34、35が設けられているものとしたが、対応しようとするプラグ受けの種類に応じてピン部材が設けられればよく、一方の側面にのみピン部材が設けられていてもよい。
【0053】
また、前記実施形態では、可動部212に切り欠き部212Bが形成され、第2オス端子32と干渉しない構成となっているものとしたが、可動部と第2オス端子とが離れて配置されることによりそもそも干渉しない場合には、切り欠き部は形成されていなくてもよい。また、第1オス端子は端子金具の間隔が調節不能に構成されていてもよい。
【0054】
また、前記実施形態において各タイプのプラグ受けに対するプラグ変換装置の使用方法について具体的に説明したが、プラグ変換装置は、適宜なタイプのプラグ受けに対応したものであればよく、適宜な形状のオス端子およびピン部材を有するとともに、2つのユニットが適宜に組み付け可能に構成されていればよい。
【0055】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【解決手段】第1ユニット2の本体部21に第2ユニット3の第2オス端子32を受け入れ可能な受け入れ部213が形成されていることで、既存の第2オス端子32を利用して2つのユニット2、3を組み付けることができ、組み付けのために新たな部位を第2ユニット3に形成する必要がない。さらに、第2オス端子32は突出した形状であることから、受け入れ部213を凹状に形成することができ、組み付けのために突出した部分を第1ユニット2に形成する必要がない。このように、シンプルな構成で2つのユニット2、3を組み付けることができる。