特許第6647617号(P6647617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水フーラー株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647617
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】ホットメルト接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 153/02 20060101AFI20200203BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20200203BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   C09J153/02
   C09J11/06
   C09J11/08
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-528609(P2019-528609)
(86)(22)【出願日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】JP2018048372
(87)【国際公開番号】WO2019131972
(87)【国際公開日】20190704
【審査請求日】2019年10月3日
(31)【優先権主張番号】特願2017-252293(P2017-252293)
(32)【優先日】2017年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305044143
【氏名又は名称】積水フーラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日笠 有利
(72)【発明者】
【氏名】村本 禎
(72)【発明者】
【氏名】源馬 力夫
【審査官】 山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−239931(JP,A)
【文献】 特開2013−90879(JP,A)
【文献】 特開2014−227461(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104694047(CN,A)
【文献】 国際公開第2018/151190(WO,A1)
【文献】 特表2017−503069(JP,A)
【文献】 特開2006−241444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のA〜Dの成分:
スチレン−ブタジエンブロックコポリマー及びスチレン−イソプレンブロックコポリマーの少なくとも一種のコポリマーA、
25℃で固体状の粘着付与樹脂B、
25℃で液体状の粘着付与樹脂C、及び
粘度指数80以上のオイルD、を含有するホットメルト接着剤であって
前記A〜Dの合計量100質量%中、前記オイルDの含有量が10〜25質量%であり、
前記ホットメルト接着剤の動的粘弾性を測定した際のtanδピーク温度が−3℃未満であることを特徴とするホットメルト接着剤。
【請求項2】
前記粘着付与樹脂Bは、C5C9系石油樹脂を20質量%以上含有する、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項3】
前記粘着付与樹脂Bと前記粘着付与樹脂Cとの質量比(B/C)が、50/50〜90/10である、請求項1又は2に記載のホットメルト接着剤。
【請求項4】
前記コポリマーAは、ジブロック比率が30〜85質量%であるスチレン−イソプレンブロックコポリマーを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤に関し、特に生理用ナプキン、尿取りライナー等の吸収性物品を下着、肌着等の衣類に固定する用途(いわゆる位置決めの用途)に適したホットメルト接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品とは、例えば、経血、おりもの、尿、汗等の体から発生する体液を吸収させるために、例えば、下着、肌着等の衣類に固定して用いる物品であって、体液が衣類に付着することによって生じる不快感や非衛生性を防止するために使用される。
【0003】
吸収性物品としては、例えば、生理用ナプキン、尿取りライナー、産褥ショーツ、母乳パッド、汗脇パッド、紙おむつ、ペットシート、病院用ガウン、手術用白衣等が知られている。そして、そのような吸収性物品には、それらを衣類に固定するとともに使用時にずれないようにするための位置決め用の接着剤が付与されている。
【0004】
多くの吸収性物品は、一般に肌に当接する透湿性トップシートと下着、肌着等の衣類に当接する不透液性バックシートと、それらの間に挟まれた吸収体とを有する。吸収性物品の位置決め用の接着剤は、一般に剥離基材に塗工された後に不透液性バックシートに転写され、転写された位置決め用の接着剤を衣類に接触させることで吸収性物品が衣類の所望位置に貼着され、その位置に保持されることになる。
【0005】
位置決め用の接着剤の保持力が不十分であると、使用中に吸収性物品が貼着された位置から移動し、体液が衣類に付着することがある。また、位置決め用の接着剤の剥離性が不十分であると、使用後の吸収性物品を除去する際に接着剤の一部が衣類に残ること(いわゆる「糊残り」)が生じる場合がある。従って、吸収性物品の位置決め用の接着剤には、使用中に衣類に貼着した位置がずれないこと、及び使用後は衣類に糊残りすることなく剥離できることが求められている。
【0006】
近年、新興国での吸収性物品の使用が拡大するにつれて、より厳しい環境下での位置決め用の接着剤の高性能化が要求されている。例えば、中国、インド北部等の寒冷地域では極低温環境でも衣類に貼着した位置がずれないことが要求されている。また、東南アジア、インド南部、エジプト等のような熱帯地域では高温環境でも使用後に衣類への糊残りがないことが要求されている。
【0007】
更に、生理用ナプキンでは、高性能化(長時間タイプ、薄型タイプ等)が進んでおり、長時間使用した場合でも衣類に貼着した位置がずれず、衣類から剥がす際に糊残りせず、薄型タイプであっても剥がす際に基材(不透液性バックシート)を破壊しない、高性能な位置決め用の接着剤が要求されている。
【0008】
吸収性物品の位置決め用の接着剤に関し、特許文献1には、ラジアル型スチレンブロック共重合体を有する、吸収性物品の位置決め用のホットメルト接着剤が開示されている。特許文献1の接着剤は、表1〜6に示されているように、広い温度領域(0℃〜40℃)において吸収性物品の位置がずれず、衣類への糊残りを防止できるとされている。
【0009】
特許文献2には、スチレン−ブタジエン−スチレンポリマー又はスチレン−イソプレン−スチレンポリマーを含む、吸収性物品の位置決め用のホットメルト接着剤が開示されている。特許文献2の接着剤も、室温(20℃〜25℃)のみならず低温(0℃〜5℃)で吸収性物品の位置がずれず、衣類への糊残りを防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2016−65121号公報
【特許文献2】特表2017−503069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の位置決め用のホットメルト接着剤は、寒冷地で外気が進入するような倉庫又は建屋に長期間保管され、更に低温環境に曝されたまま使用した場合には、十分な接着強度を示さず、吸収性物品が衣類の貼着した位置に保持されずにずれてしまい、衣類に体液が付着することがある。
【0012】
また、特許文献1及び特許文献2の位置決め用のホットメルト接着剤は、薄型化し強度が低下傾向にある通気基材を用いた生理用ナプキンに適用し、長時間装着したような場合には、剥がす際に糊残りや通気基材の破壊が生じることがある。
【0013】
よって、本発明は、吸収性物品の位置決め用に適したホットメルト接着剤であって、吸収性物品の位置決め用の接着剤として使用し、広い温度領域(0〜40℃)で吸収性物品を保管した後、当該温度(特に低温又は高温)で吸収性物品を使用した場合でも、吸収性物品が衣類に貼着した位置からずれることなく、長時間使用した場合でも衣類から剥がす際に衣類への糊残りがなく、且つ、剥がす際に基材の破壊が生じないホットメルト接着剤を提供することを目的とする。
【0014】
なお、以下では、吸収性物品の位置決め用のホットメルト接着剤が貼着される下着、肌着等の衣類を「被着衣類」ともいう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定組成のホットメルト接着剤によれば上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、下記のホットメルト接着剤に関する。
1.下記のA〜Dの成分:
スチレン−ブタジエンブロックコポリマー及びスチレン−イソプレンブロックコポリマーの少なくとも一種のコポリマーA、
25℃で固体状の粘着付与樹脂B、
25℃で液体状の粘着付与樹脂C、及び
粘度指数80以上のオイルD、を含有し、
前記A〜Dの合計量100質量%中、前記オイルDの含有量が10〜25質量%であることを特徴とするホットメルト接着剤。
2.前記粘着付与樹脂Bは、C5C9系石油樹脂を20質量%以上含有する、上記項1に記載のホットメルト接着剤。
3.前記粘着付与樹脂Bと前記粘着付与樹脂Cとの質量比(B/C)が、50/50〜90/10である、上記項1又は2に記載のホットメルト接着剤。
4.前記ホットメルト接着剤の動的粘弾性を測定した際のtanδピーク温度が−3℃未満である、上記項1〜3のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【発明の効果】
【0017】
本発明のホットメルト接着剤は、吸収性物品の位置決め用途に適しており、吸収性物品の位置決め用の接着剤として使用し、広い温度領域(0〜40℃)で吸収性物品を保管した後、当該温度(特に低温又は高温)で吸収性物品を使用した場合でも、吸収性物品が被着衣類に貼着した位置からずれることなく、長時間使用した場合でも被着衣類から剥がす際に被着衣類への糊残りがなく、且つ剥がす際に基材の破壊が生じない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のホットメルト接着剤は、下記のA〜Dの成分:
スチレン−ブタジエンブロックコポリマー及びスチレン−イソプレンブロックコポリマーの少なくとも一種のコポリマーA、
25℃で固体状の粘着付与樹脂B、
25℃で液体状の粘着付与樹脂C、及び
粘度指数80以上のオイルD、を含有し、
前記A〜Dの合計量100質量%中、前記オイルDの含有量が10〜25質量%であることを特徴とする。
【0019】
上記特徴を有する本発明のホットメルト接着剤は、吸収性物品の位置決め用途に適しており、吸収性物品の位置決め用の接着剤として使用し、広い温度領域(0〜40℃)で吸収性物品を保管した後、当該温度(特に低温又は高温)で吸収性物品を使用した場合でも、吸収性物品が被着衣類に貼着した位置からずれることなく、長時間使用した場合でも被着衣類から剥がす際に被着衣類への糊残りがなく、且つ剥がす際に基材の破壊が生じない。
【0020】
以下、本発明のホットメルト接着剤の各成分(A〜D等)について説明する。
【0021】
コポリマーA
本発明のホットメルト接着剤は、コポリマーAとして、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー及びスチレン−イソプレンブロックコポリマーの少なくとも一種を含有する。
【0022】
上記スチレン−ブタジエンブロックコポリマー(SBS)は、スチレンとブタジエンとがブロック共重合した共重合体であって、スチレンブロックとブタジエンブロックとを有するコポリマーである。
【0023】
また、上記スチレン−イソプレンブロックコポリマー(SIS)は、スチレンとイソプレンとがブロック共重合した共重合体であって、上記スチレンーブタジエンブロックコポリマー同様に、スチレンブロックとイソプレンブロックとを有するコポリマーである。
【0024】
コポリマーAとして、上記スチレン−ブタジエンブロックコポリマーと上記スチレン−イソプレンブロックコポリマーは、単独又は混合して使用することができる。
【0025】
上記スチレン−ブタジエンブロックコポリマーは、スチレン含有量が15〜55質量%であるものが好ましく、25〜50質量%であるものがより好ましい。スチレン含有量が15質量%以上であると、ホットメルト接着剤の凝集力が向上して糊残りが発生し難くなる。また、スチレン含有量が55質量%以下であると、ホットメルト接着剤が柔らかくなり低温でも接着性を発揮し易くなる。
【0026】
上記スチレン−ブタジエンブロックコポリマーは、ジブロック比率が50〜90質量%であるものが好ましく、65〜80質量%であるものがより好ましい。ジブロック比率が50質量%以上であると、ホットメルト接着剤の粘着力が向上して低温でも接着性を発揮し易くなる。また、ジブロック比率が90質量%以下であると、ホットメルト接着剤の凝集力が向上して糊残りが発生し難くなる。
【0027】
上記スチレン−ブタジエンブロックコポリマーの重量平均分子量(Mw)は限定的ではないが、トリブロック共重合体及びジブロック共重合体ともに30,000〜400,000であることが好ましく、40,000〜350,000であることがより好ましい。上記スチレン−ブタジエンブロックコポリマーの重量平均分子量が30,000以上であると、ホットメルト接着剤の凝集力が向上して糊残りが発生し難くなる。また、重量平均分子量が400,000以下であると、ホットメルト接着剤が柔らかくなり低温でも接着性を発揮し易くなる。なお、本明細書におけるコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置を用いて、標準ポリスチレンで換算することにより得られる測定値である。
【0028】
本発明における重量平均分子量(Mw)は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置:Waters社製 商品名「ACQUITY APC」
測定条件:カラム
・ACQUITY APC XT45 1.7μm×1本
・ACQUITY APC XT125 2.5μm×1本
・ACQUITY APC XT450 2.5μm×1本
移動相:テトラヒドロフラン 0.8mL/分
サンプル濃度:0.2質量%
検出器:示差屈折率(RI)検出器
標準物質:ポリスチレン(Waters社製 分子量:266〜1,800,000)
カラム温度:40℃
RI検出器温度:40℃
上記スチレン−ブタジエンブロックコポリマーは、市販されている製品を用いることができる。例えば、旭化成社製の商品名「アサプレンT−439」、「アサプレンT−413」等が挙げられる。これらの市販品のスチレン−ブタジエンブロックコポリマーは、単独又は混合して使用することができる。
【0029】
上記スチレン−イソプレンブロックコポリマーは、スチレン含有量が10〜45質量%であるものが好ましく、15〜30質量%であるものがより好ましい。スチレン含有量が10質量%以上であると、ホットメルト接着剤の凝集力が向上して糊残りが発生し難くなる。また、スチレン含有量が45質量%以下であると、ホットメルト接着剤が柔らかくなり低温でも接着性を発揮し易くなる。
【0030】
上記スチレン−イソプレンブロックコポリマーは、ジブロック比率が30〜85質量%であるものが好ましく、50〜80質量%であるものがより好ましい。ジブロック比率が30質量%以上であると、ホットメルト接着剤の粘着力が向上して低温でも接着性を発揮し易くなる。また、ジブロック比率が85質量%以下であると、ホットメルト接着剤の凝集力が向上して糊残りが発生し難くなる。
【0031】
上記スチレン−イソプレンブロックコポリマーの重量平均分子量(Mw)は限定的ではないが、トリブロック共重合体及びジブロック共重合体ともに30,000〜400,000であることが好ましく、40,000〜350,000であることがより好ましい。上記スチレン−イソプレンブロックコポリマーの重量平均分子量(Mw)が30,000以上であると、ホットメルト接着剤の凝集力が向上して糊残りが発生し難くなる。また、重量平均分子量(Mw)が400,000以下であると、ホットメルト接着剤が柔らかくなり低温でも接着性を発揮し易くなる。
【0032】
上記スチレン−イソプレンブロックコポリマーは、市販されている製品を用いることができる。例えば、日本ゼオン社製の商品名「クインタック3520」、「クインタック3433N」、Kraton社製の商品名「D1161」等が挙げられる。これらの市販品のスチレン−イソプレンブロックコポリマーは、単独又は混合して使用することができる。
【0033】
本発明のホットメルト接着剤におけるコポリマーAの含有量は限定的ではないが、ホットメルト接着剤100質量%中、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー及びスチレン−イソプレンブロックコポリマーの総量として20〜40質量%が好ましく、25〜35質量%がより好ましい。なお、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー(SBS)及びスチレン−イソプレンブロックコポリマー(SIS)を混合して用いる場合には、SBS/SIS(質量比)は、60/40〜80/20であることが好ましく、65/35〜75/25であることがより好ましい。
【0034】
本発明のホットメルト接着剤のコポリマーAの含有量が20質量%以上であると、ホットメルト接着剤の凝集力が向上して糊残りが発生し難くなる。また、コポリマーAの含有量が40質量%以下であると、ホットメルト接着剤が柔らかくなり低温でも接着性を発揮し易くなる。
【0035】
粘着付与樹脂B
本発明のホットメルト接着剤は、25℃で固体状の粘着付与樹脂Bを含有する。
【0036】
粘着付与樹脂Bとしては、25℃で流動性をもたない(すなわち、容器に入れた場合に容器に合わせて形状を変えない)、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。また、これらの石油樹脂が水素添加された水添石油樹脂(特に部分水添石油樹脂)も挙げられる。水添石油樹脂の中では、部分水添石油樹脂の方が、前記コポリマーAとの相溶性が高く、且つ加熱安定性に優れる点でより好ましい。
【0037】
なお、C5系石油樹脂は石油のC5留分を原料とした石油樹脂であり、C9系石油樹脂は石油のC9留分を原料とした石油樹脂であり、C5C9系石油樹脂は石油のC5留分とC9留分とを原料とした石油樹脂である。C5留分としては、シクロペンタジエン、イソプレン、ペンタン等が挙げられる。C9留分としては、スチレン、ビニルトルエン、インデン等が挙げられる。C5系石油樹脂、C5C9系石油樹脂としては、C5留分の一種であるシクロペンタジエンに由来するジシクロペンタジエン(DCPD)を骨格中に含むものが好ましい。石油樹脂の説明については、後述の粘着付与樹脂Cでも同じである。
【0038】
なお、粘着付与樹脂Bは、単独又は混合して使用することができる。
【0039】
粘着付与樹脂Bの環球式軟化点は限定的ではないが、80〜110℃であることが好ましく、90〜105℃であることがより好ましい。環球式軟化点が80℃以上であると、ホットメルト接着剤の凝集力が向上して糊残りが発生し難くなる。また、環球式軟化点が110℃以下であると、ホットメルト接着剤が柔らかくなり低温でも接着性を発揮し易くなる。なお、環球式軟化点は、粘着付与樹脂を加熱し、柔らかくなり変形をはじめる温度のことであり、リング&ボール法(日本接着剤工業会規格JAI−7−1999に規定された方法)で測定された値である。
【0040】
粘着付与樹脂Bは、市販されている製品を用いることができる。例えば、JXTGエネルギー社製の商品名「T−REZ HB−103」、荒川化学社製の商品名「アルコンM−100」、出光興産社製の商品名「アイマーブS−100」、イーストマンケミカル社製の商品名「リガライトR7100」、Kolon社製の商品名「スコレッツSU400」等が挙げられる。これらの市販品の粘着付与樹脂Bは、単独又は混合して使用することができる。
【0041】
粘着付与樹脂Bは、C5C9系石油樹脂を20質量%以上含有することが好ましく、30〜60質量%含有することがより好ましい。粘着付与樹脂Bの中でもC5C9系石油樹脂は前記コポリマーAとの相溶性が高く、粘着付与樹脂BがC5C9系石油樹脂を20質量%以上含有することでホットメルト接着剤の凝集力が向上して糊残りが発生し難くなる。
【0042】
本発明のホットメルト接着剤における粘着付与樹脂Bの含有量は限定的ではないが、ホットメルト接着剤100質量%中、30〜50質量%が好ましく、35〜45質量%がより好ましい。
【0043】
粘着付与樹脂C
本発明のホットメルト接着剤は、25℃で液体状の粘着付与樹脂Cを含有する。
【0044】
粘着付与樹脂Cとしては、25℃で流動性をもつ(すなわち、容器に入れた場合に容器に合わせて形状を変える)、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。また、これらの石油樹脂が水素添加された水添石油樹脂(部分水添又は完全水添石油樹脂)も挙げられる。水添石油樹脂の中では、部分水添石油樹脂の方が、前記コポリマーAとの相溶性が高く、且つ加熱安定性に優れる点でより好ましい。なお、粘着付与樹脂Cは、単独又は混合して使用することができる。
【0045】
粘着付与樹脂Cは、市販されている製品を用いることができる。例えば、イーストマンケミカル社製の商品名「リガライトC8010」などが挙げられる。これらの市販品の粘着付与樹脂Cは、単独又は混合して使用することができる。
【0046】
本発明のホットメルト接着剤における粘着付与樹脂Cの含有量は限定的ではないが、ホットメルト接着剤100質量%中、5〜15質量%が好ましく、7〜13質量%がより好ましい。
【0047】
本発明のホットメルト接着剤は、上記粘着付与樹脂Bと上記粘着付与樹脂Cとの質量比(B/C)が、50/50〜90/10であることが好ましく、70/30〜90/10であることがより好ましく、73/27〜81/19であることが最も好ましい。質量比(B/C)をかかる範囲内に設定することにより、ホットメルト接着剤の凝集力が向上して糊残りが発生し難くなるとともに、ホットメルト接着剤が柔らかくなり低温でも接着性を発揮し易くなる。
【0048】
オイルD
本発明のホットメルト接着剤は、粘度指数80以上のオイルを含有する。なお、本発明における粘度指数は、ASTM D2270に準拠して測定される粘度指数であり、80以上であればよいが、90〜150程度が好ましく、100〜130程度がより好ましい。
【0049】
オイルDとしては、粘度指数80以上であれば限定的ではないが、例えば、パラフィン系原油を精製してなるプロセスオイル(いわゆるパラフィンオイル)が好ましい。
【0050】
オイルDは、市販されている製品を用いることができる。例えば、パラフィンオイルの例示として、出光興産社製の商品名「ダイアナプロセスオイルPS−32」、「ダイアナプロセスオイルPS−90」、「ダイアナプロセスオイルPW−90」、ナフテンオイルの例示として、出光興産社製の商品名「ダイアナフレシアU−260P」、炭化水素系合成オイルの例示として、三井化学社製の商品名「ルーカントHC−10」等が挙げられる。これらの市販品のオイルDは、単独又は混合して使用することができる。
【0051】
オイルDの粘度は限定的ではないが、100℃における粘度が2.0〜35.0mm/sであることが好ましく、5.0〜20.0mm/sであることがより好ましい。100℃における粘度が35.0mm/s以下であると、ホットメルト接着剤が柔らかくなり、低温又は常温での濡れ性が良好となるため、特に低温接着性能が向上する。粘度の下限は限定的ではないが、一般に上記粘度指数を満たすオイルの100℃における粘度の下限は2.0mm/s程度である。
【0052】
本発明のホットメルト接着剤のオイルDの含有量は、前記A〜Dの各成分の合計量100質量%中、10〜25質量%とする。この中でも、15〜20質量%が好ましい。前記A〜Dの各成分の合計量100質量%中、オイルDの含有量が10質量%以上であると、ホットメルト接着剤の濡れ性が向上し、低温及び常温での接着性能が向上する。また、オイルDの含有量が25質量%以下であると、ホットメルト接着剤の凝集力が維持されて糊残りが発生し難くなる。
【0053】
任意の添加剤
本発明のホットメルト接着剤は、必要に応じて、各種添加剤を含んでもよい。各種添加剤としては、例えば、安定化剤、上記オイルDに含まれない可塑剤、微粒子充填剤等が挙げられる。
【0054】
安定化剤は、ホットメルト接着剤の熱による分子量低下、ゲル化、着色、臭気の発生等を防止し、ホットメルト接着剤の安定性を向上するために用いる。安定化剤の具体的種類は限定的ではないが、例えば、酸化防止剤及び紫外線吸収剤が挙げられる。
【0055】
酸化防止剤は、ホットメルト接着剤の酸化劣化を防止するために使用する。また、紫外線吸収剤は、ホットメルト接着剤の耐光性を改善するために使用する。酸化防止剤及び紫外線吸収剤は、一般的に使い捨て製品に汎用されるものであって、本発明のホットメルト接着剤は後述するように一般的に使い捨ての吸収性物品の位置決め用の接着剤として適用されるものであるため、添加剤として好適に使用することができる。
【0056】
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ぺンチルフェニル)]アクリレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のフェノール系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤等を例示できる。紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤;シアノアクリレート系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤を例示できる。これらは単独又は組み合わせて使用することができる。
【0057】
安定化剤は、市販されている製品を用いることができる。例えば、住友化学工業社製の商品名「スミソーブスミライザーGM」、「スミソーブ200」、BASF社製の商品名「イルガノックス1010」、城北化学社製の商品名「JF−79」等が挙げられる。これらの市販品の安定化剤は、単独又は混合して使用することができる。
【0058】
上記オイルDに含まれない可塑剤は、ホットメルト接着剤の溶融粘度などを調整するために用いることができる。上記オイルDに含まれない可塑剤の具体的種類は限定的ではないが、例えば、粘度指数80未満のオイル、ワックス、液状ゴム等が挙げられる。
【0059】
粘度指数80未満のオイルとしては、市販されている製品を用いることができる。例えば、中国石油社製の製品名「KN−4010」、出光興産社製の製品名「N−90」、Nynas社製の製品名「Nyflex222B」等が挙げられる。これらの粘度指数80未満のオイルは、単独又は混合して使用することができる。
【0060】
ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、フィッシャートロプスワックス、酢酸ビニルワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アクリル酸ワックス、マレイン酸変成ワックス等が挙げられる。ワックスとしては、ホットメルト接着剤を構成する他の成分(コポリマーA、粘着付与樹脂B、C)との相溶性の観点から、パラフィンワックス及びフィッシャートロプスワックスが好ましい。これらのワックスは、単独又は混合して使用することができる。
【0061】
ワックスの軟化点は限定的ではないが、25℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましい。なお、本明細書において、ワックスの軟化点は、ASTM D−3954に準拠した測定方法により測定される値である。
【0062】
液状ゴムとしては、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン及びこれらの水添樹脂が挙げられる。これらの液状ゴムは、単独又は混合して使用することができる。
【0063】
微粒子充填剤としては限定的ではなく、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、雲母、スチレンビーズ等が挙げられる。これらの微粒子充填剤は、単独又は混合して使用することができる。
【0064】
ホットメルト接着剤の物性及び用途
本発明のホットメルト接着剤は、160℃での溶融粘度が6000mPa・s以下であることが好ましく、1000〜5000mPa・sであることがより好ましい。溶融粘度がかかる範囲に設定されることにより塗布適性が良好となる。なお、本明細書における溶融粘度は、ホットメルト接着剤の溶融体の粘度を意味し、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.27)で測定される値である。
【0065】
また、本発明のホットメルト接着剤は、環球式軟化点が75℃以上であることが好ましく、80〜110℃であることがより好ましい。環球式軟化点がかかる範囲に設定されることにより糊残りを抑制し易く、また吸収性物品の製造時の作業性が良好になる。なお、この環球式軟化点は、ホットメルト接着剤を加熱し、材料が柔らかくなり変形をはじめる温度を意味し、リング&ボール法(日本接着剤工業会規格JAI−7−1999に規定された方法)で測定される値である。
【0066】
更に、本発明のホットメルト接着剤は、動的粘弾性を測定した際のtanδピーク温度が−3℃未満であることが好ましく、−15〜−5℃であることがより好ましく、−15〜−9℃であることが最も好ましい。
【0067】
なお、本明細書における動的粘弾性は、TA Instruments社のレオメータ「AR−G2」を用いて測定した値である。測定方法としては、昇温法にて、周波数を1Hz、ひずみを0.05、昇温速度を5℃/minに設定し、8φ及び20φのパラレルプレートを用いて、−40℃から130℃まで変化させて測定した。tanδピーク温度(ガラス転移点Tg)が−3℃未満であると、低温環境でもホットメルト接着剤に柔軟性があり、濡れ性が良好となるため、低温接着性能が向上する。
【0068】
本発明のホットメルト接着剤は、吸収性物品の位置決め用のホットメルト接着剤として有用であり、吸収性物品の位置決め用の接着剤として使用し、広い温度領域(0〜40℃)で吸収性物品を保管した後、当該温度(特に低温又は高温)で吸収性物品を使用した場合でも、吸収性物品が被着衣類に貼着した位置からずれることなく、長時間使用した場合でも被着衣類から剥がす際に衣類への糊残りがなく、且つ、剥がす際に基材の破壊が生じない。
【0069】
上記吸収性物品としては、例えば、生理用ナプキン、尿取りライナー、産褥ショーツ、母乳パッド、汗脇パッド、紙おむつ、ペットシート、病院用ガウン、手術用白衣等を例示できるが、これらに限定されず、体液を吸収させる用途で主に使い捨てで使用される衛生用品全般に適用することができる。
【0070】
吸収性物品は、織布、不織布、ゴム、樹脂、紙類、ポリオレフィンフィルム等の少なくとも一種の部材に本発明のホットメルト接着剤を塗工することにより構成される。なお、ポリオレフィンフィルムとしては、耐久性、コスト等の理由からポリエチレンフィルムが好ましい。
【0071】
本発明のホットメルト接着剤は、上記吸収性物品の中でも生理用ナプキンに好適である。一般に生理用ナプキンは、例えば、透湿性トップシートと不透液性バックシートとの間に吸収体を有し、トップシートが肌に当接し、バックシートが下着に当接する。位置決め用の接着剤はバックシート(基材)に設けられて生理用ナプキンは下着の所望位置に固定される。本発明のホットメルト接着剤は、生理用ナプキンのバックシートがポリオレフィンフィルムである場合、特に優れた効果を発揮する。
【0072】
ホットメルト接着剤を吸収性物品の基材(接着剤を設ける部分)に塗工する方法や塗工する量は、吸収性物品の種類に応じて適宜選択でき、特に制限されるものではない。塗工方法としては、接触塗工又は非接触塗工に大別される。接触塗工とはホットメルト接着剤を塗工する際に噴出機を基材に接触させる塗工方法をいう。また、非接触塗工は、ホットメルト接着剤を塗工する際に噴出機を基材に接触させない塗工方法をいう。
【0073】
接触塗工方法としては、例えば、スロットコーター塗工、ロールコーター塗工等を例示できる。また、非接触塗工方法としては、例えば、螺旋状に塗工できるスパイラル塗工、波状に塗工できるオメガ塗工又はコントロールシーム塗工、面状に塗工できるスロットスプレー塗工又はカーテンスプレー塗工、点状に塗工できるドット塗工等を例示できる。
【実施例】
【0074】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0075】
実施例1〜12及び比較例1〜5
表1に示す各成分(A〜D及びその他(酸化防止剤))を混合し、約150℃で約1時間かけて攪拌機を用いて溶融混練することにより実施例1〜12及び比較例1〜5の各ホットメルト接着剤を調製した。
【0076】
成分A〜Dの詳細を下記に示す。
(A1−1)スチレン−ブタジエンブロックコポリマー
旭化成社製「アサプレンT−439(商品名)」(スチレン含有量45質量%、ジブロック比率65質量%、Mw:トリブロック共重合体85,361,ジブロック共重合体43,833)
(A1−2)スチレン−ブタジエンブロックコポリマー
旭化成社製「アサプレンT−413(商品名)」(スチレン含有量30質量%、ジブロック比率80質量%、Mw:トリブロック共重合体303,645、ジブロック共重合体69,682)
(A2−1)スチレン−イソプレンブロックコポリマー
日本ゼオン社製「クインタック3520(商品名)」(スチレン含有量15質量%、ジブロック比率78質量%、Mw:トリブロック共重合体353,286、ジブロック共重合体147,374)
(A2−2)スチレン−イソプレンブロックコポリマー
日本ゼオン社製「クインタック3433N(商品名)」(スチレン含有量16質量%、ジブロック比率56質量%、Mw:トリブロック共重合体及びジブロック共重合体ともに40,000〜350,000の範囲内)
(B1)25℃で固体状の粘着付与樹脂
出光興産社製C5C9系石油樹脂「アイマーブS−100(商品名)」(環球式軟化点100℃)
(B2)25℃で固体状の粘着付与樹脂
JXTGエネルギー社製C5C9系石油樹脂「T−REZ HB−103(商品名)」(環球式軟化点103℃)
(C1)25℃で液体状の粘着付与樹脂
イーストマンケミカル社製「リガライトC8010(商品名)」
(D1)パラフィンオイル
出光興産社製「PS−90(商品名)」(粘度指数108、100℃における粘度11.20mm/s)
(D2)パラフィンオイル
出光興産社製「PW−90(商品名)」(粘度指数107、100℃における粘度10.89mm/s)
(D3)炭化水素系合成オイル
三井化学社製「ルーカントHC−10(商品名)」(粘度指数150、100℃における粘度10mm/s)
(D4)ナフテンオイル
中国石油社製「KN−4010(商品名)」(粘度指数1(比較品)、100℃における粘度9.866mm/s)
(D5)ナフテンオイル
出光興産社製「N−90(商品名)」(粘度指数53(比較品)、100℃における粘度9.254mm/s)
酸化防止剤(BASF社製「イルガノックス1010」)
得られた各ホットメルト接着剤について、tanδピーク温度を測定した。測定結果を表1に併せて示す。
【0077】
試験例1
実施例及び比較例で得られた各ホットメルト接着剤について、低温(0℃)及び常温(23℃)での基材への接着強度、並びに、基材から剥離する際の糊残りの有無、及び基材の材破有無を調べた。以下に各評価方法及び評価基準を示す。
〔低温及び常温での接着強度〕
剥離紙に25μmの厚さで各ホットメルト接着剤を塗布し、厚さ30μmのポリエチレンフィルム(基材)に貼り合せ、縦70mm、横30mmに成形して試験片とした。
【0078】
上記試験片、及びJIS L 0803に準拠するJIS染色堅ろう試験用綿布(カナキン3号:模擬被着衣類)を低温の所定温度(0℃)で2時間以上養生し、試験片とカナキン3号とを所定温度にした。
【0079】
養生後、所定温度(0℃)を維持しながら、試験片から剥離紙を剥離し、ホットメルト接着剤側を模擬被着衣類と接触させ、2kgのローラーにて300mm/minの速度で貼り合せた。その後、所定温度(0℃)を維持しながら、速やかに300mm/minの引張速度で180°方向に剥離し、接着強度を評価した。
【0080】
常温の所定温度(23℃)の場合も、上記と同様に、養生時、模擬被着衣類への貼り合わせ時、及び剥離時のいずれも所定温度(23℃)を維持し、接着強度を評価した。
【0081】
接着強度の評価基準は以下のとおりである(◎又は○が合格であり、これらの評価であれば模擬被着衣類への固定性が良好でありズレを効果的に抑制できる)。
◎:接着強度が2.0N以上3.0N以下であった
○:接着強度が1.0N以上2.0N未満であった
△:接着強度が0.5N以上〜1.0N未満であった
×:接着強度が0〜0.5N未満であった。
〔糊残り試験〕
剥離紙に25μmの厚さで各ホットメルト接着剤を塗布し、厚さ30μmのポリエチレンフィルムに貼り合せ、縦70mm、横30mmに成形して試験片とした。
【0082】
上記試験片から剥離紙を剥離し、ホットメルト接着剤側をカナキン3号(模擬被着衣類)に貼り合せ、100g/cmの荷重をかけて40℃の環境で5時間養生した。その後、貼り合わせた状態のまま温度を室温(23℃)まで戻した後、試験片を500mm/minの引張速度で180°方向に剥離した。
【0083】
模擬被着衣類の表面への糊残りの有無は、以下の評価基準にて評価した(◎又は○が合格である)。また、剥離後の基材の材破の有無を目視により確認した(基材の材破「無」が合格である)。
◎:手で触って、全くベタつきがなかった
○:手で触ると、ごく一部がベタつくように感じた
△:手で触ると、部分的にベタつきがあった
×:手で触らなくとも、糊が残っていると分かった。
【0084】
各試験結果及び評価結果を表1に併せて示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1の結果から明らかな通り、実施例1〜12の本発明のホットメルト接着剤を使用する場合には、低温(0℃)及び常温(23℃)のいずれにおいても模擬被着衣類への固定性に優れており、模擬被着衣類から剥がす際に糊残りが防止されており、しかも剥がす際に基材の破壊が防止されることが分かる。これに対して、比較例1〜5のホットメルト接着剤を使用する場合には、低温又は常温の接着性が劣ることに加えて、剥離時の糊残りや基材の材破が認められる。