【実施例2】
【0025】
(マクロファージ活性化機能評価確認試験)
実施例1で作製したマクロファージ活性化剤のマクロファージ活性化機能評価確認をするため、以下の試験を実施した。なお、機能評価確認試験を実施するために、濃縮液を分子量14000以下カットオフの透析膜で透析処理後にフィルター滅菌してから用いた。
【0026】
まず、マウスマクロファージ細胞株J774.1細胞のIL−6、及び、TNF−α産生に及ぼす影響を確認するため、カツオ削粉熱水抽出物濃縮液を分子量14000以下カットオフの透析膜で透析処理、フィルター滅菌した処理液を添加した培地でJ774.1細胞を培養した後、培地中に分泌されたサイトカイン量を酵素抗体法で測定した。また、これらサイトカインの遺伝子発現に及ぼす影響については、リアルタイム逆転写PCR法を用いて確認した。
【0027】
この結果、カツオ削粉熱水抽出物は、TNF−αおよびIL−6の産生を濃度依存的に促進することが明らかとなった(
図1)。また、J774.1細胞内における上記各サイトカインの遺伝子発現はいずれもカツオ削粉熱水抽出物によって促進されていることが明らかになった(
図2)。これらの結果から、カツオ削粉熱水抽出物は、マクロファージの遺伝子発現を活性化することによってサイトカイン産生を促進していることが明らかになった。
【0028】
さらに、カツオ削粉熱水抽出物に含まれる活性物質の特徴を明らかにするため、上記透析処理液をタンパク質分解酵素であるプロテイナーゼK(タカラバイオ株式会社製品)で処理したあとの残存活性を同様に確認した。その結果、プロテイナーゼK処理によってサイトカイン産生促進効果が低下することが明らかになった(
図3)。この結果から、主たる活性物質は分子量14000以上のタンパク質であると推察された。
【0029】
次に、カツオ削粉熱水抽出物のJ774.1細胞の貪食活性に及ぼす影響を検討した。まず、カツオ削粉熱水抽出物濃縮液を分子量14000以下カットオフの透析膜で透析処理、フィルター滅菌した処理液を添加した培養液でJ774.1細胞を6時間培養した後、テキサスレッドで蛍光標識したザイモサンAの貪食をフローサイトメーターによって測定した。その結果、カツオ削粉熱水抽出物の作用によって、貪食活性が顕著に促進されることが明らかとなり、この結果は、マクロファージの活性化因子であるLPS100ng/mLによる活性化効果よりも遙かに強いものであった(
図4)。また、ラテックスビーズに対する貪食作用についても検討したところ、カツオ削粉熱水抽出物の作用によって、細胞1個あたりのビーズ取り込み数が大きく上昇していることが明らかになった(
図5)。
【0030】
また、メスBALB/cマウス腹腔から回収した初代腹腔マクロファージP−Macのサイトカイン産生に及ぼすカツオ削粉熱水抽出物の効果も同様に確認した。その結果、TNF−α、およびIL−6の産生はいずれもカツオ削粉熱水抽出物によって促進されることが明らかとなり、その効果は、J774.1細胞に対する効果と同様に、遺伝子発現の活性化による効果であることが明らかになった(
図6、7)。
【0031】
カツオ削粉熱水抽出物によってサイトカインの遺伝子発現が上昇したことから、マクロファージの細胞表面上に存在し、LPSをリガンドとしてLPSの刺激を細胞内に伝達する受容体であるTLR4の関与が推察された。そこで、TLR4特異的阻害剤共存下におけるカツオ削粉熱水抽出物の作用を確認した。その結果、ポジティブコントロールであるLPSによるTNF−α産生、およびIL−6産生促進効果は、TLR4阻害剤の影響で顕著に抑制された。一方、カツオ削粉熱水抽出物の促進効果は、TLR4阻害剤の影響を受けないことが明らかになり、カツオ削粉熱水抽出物によるマクロファージの活性化には、TLR4は関与していないことが推察された(
図8)。
【0032】
さらに、MAPキナーゼの活性化に及ぼすカツオ削粉熱水抽出物の影響を検討した。
まず、ERK1及びERK2のリン酸化による活性化レベルをウエスタンブロット法によって確認した。その結果、ERK1、およびERK2ともに、カツオ削粉抽出物の作用によってリン酸化レベルが上昇することが明らかになった(
図9)。また、P−38及びJNKもカツオ削粉熱水抽出物によってリン酸化レベルが上昇することが明らかになった(
図10、11)。
【0033】
さらにまた、JNK特異的阻害剤を作用させた条件下におけるカツオ削粉熱水抽出物の効果を確認した。その結果、JNK阻害剤の影響によって、カツオ削粉熱水抽出物の活性が顕著に抑制されたことから(
図12)、カツオ削粉熱水抽出物のマクロファージ活性化効果にはJNKの活性化が大きく関与していることが示唆された。
【0034】
これらのことから、カツオ削粉熱水抽出物はMAPキナーゼの活性化によってサイトカインをコードする遺伝子の転写活性を上昇させることでサイトカイン産生を促進していることが明らかになった。
【0035】
次に、カツオ削粉熱水抽出物のマウスへの経口投与が、腹腔マクロファージの貪食活性に与える効果を確認した。方法は、カツオ削粉熱水抽出物濃縮液を分子量14000以下カットオフの透析膜で透析処理、フィルター滅菌した処理液を体重1kg当たり1.5mg(低用量)、及び15mg(高用量)でマウス(メスBALB/cマウス、6週齢、n=5)に1日1回投与した。対照群には、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(NaPB)を14日間与えた。投与開始10日目にチオグリコレート培地をマウス腹腔に注射した。そして、実験開始14日目に腹腔マクロファージを回収して確認した結果、P−Macの貪食活性が高用量投与によって有意に上昇することが明らかになった(
図13)。
【0036】
また、各種カツオ節等の素材を使った抽出物4種類の活性を比較確認した。サンプルは、実施例1で用いた荒節の他に、鰹節自体の粉砕物(サンプル1)、鰹節作成工程中で除去されたものと荒節から裸節を作製する際の削粉(サンプル2)、鰹のハラミ、魚骨、小さい折れ節、尾の部分の粉砕物(サンプル3)の4種類の熱水抽出物の濃縮液を分子量14000以下カットオフの透析膜で透析処理、フィルター滅菌した処理液を用いた。
【0037】
そして、これらのJ774.1細胞TNF−α産生に及ぼす効果を検討した結果、サンプル1が最も比活性が高いことが明らかになった。また、IL−6産生に及ぼす効果を検討した結果、TNF−α産生と同様にサンプル1で高い活性が認められた。さらに、J774.1細胞の貪食活性に与える影響を検討したところ、貪食活性促進効果は、サンプル3が最も高く、サイトカイン産生促進効果が強かったサンプル1は、最も低い結果となった。
【0038】
以上より、カツオ削粉熱水抽出物、特に荒節や鰹節自体の粉砕物からの熱水抽出物がマクロファージを活性化させることが明らかとなった。なお、カツオ削粉の熱水抽出物を、所定量毎日食べ続けても副作用等は全くなく、安全に継続摂取出来ることも確認された。
【0039】
本発明を要約すれば、以下の通りである。
【0040】
本発明は、ヒトなどの免疫機能等を効果的に改善させることが可能な、経口用剤として用いても安全、安心なマクロファージを活性化するための機能性食品、医薬品等を提供することを目的とする。
【0041】
そして、食経験が豊富なカツオ削粉から熱水抽出により得た抽出物又はその乾燥物を有効成分とする機能性食品、医薬品等により、ヒトなどが経口用剤として安心して用いることが可能であり、且つ、そのマクロファージのサイトカイン産生促進作用や貪食活性促進作用などによって免疫機能等を効果的に改善することができる。