(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、身体への負荷が少ない運動課題を提示し、視空間認知の低下に対する予防的なリハビリテーションを実現することができるシステムの開発が望まれている。
【0010】
しかしながら、前述した特許文献1に記載された認知機能評価システムでは、タッチパネル式表示手段の画面上の領域を区画して複数のセルを形成し、それらのセルに刺激表示を一つずつ順番に行うので、認知機能の評価は、効果的に行うことができるが、被験者の再現動作が、タッチパネル式表示手段の画面上でのタッチ動作に限られているため、リハビリテーションを目的としたシステムではない。
【0011】
また、前述した特許文献2に記載された機能回復訓練システムでは、表示画面で動作指示を表示し、その動作指示に対する応答動作を入力するので、リハビリテーションを行うことはできるが、動作指示とそれに対する応答動作との関係が明確ではないため、リハビリテーションの効果確認や評価を詳細に行うことはできず、きめの細かいリハビリテーションを実現することはできない。
【0012】
さらに、前述した特許文献3に記載された認知機能訓練装置では、認知機能の評価を行うことはできるものの、被験者の動作は、眼球の追従動作に限られているので、リハビリテーションを行うシステムとしては不十分である。
【0013】
本発明の目的は、身体への負荷が少ない運動課題を提示することができ、かつ、効果的で、きめの細かいリハビリテーションを実現することができるリハビリテーションシステムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、視空間認知機能低下による認知症を予防するためのリハビリテーションを行うリハビリテーションシステムであって、
平面画像または立体画像を表示する表示手段と、
リハビリテーションの対象となるユーザに対し、リハビリ課題として、指示に従って当該ユーザが自身の身体の特定の部位を動かす運動課題を提示するために、表示手段による平面画像または立体画像の表示領域を区画して形成された複数の表示用セルのうちの少なくとも1つに、身体の特定の部位を模した描画を含む指示用画像を配置して表示する処理を、リハビリ課題を構成する複数の動作毎に指示用画像の配置表示位置を変えながら繰り返し実行する課題提示手段と、
この課題提示手段による指示に従って動かされたユーザの身体の特定の部位が、複数の表示用セルに対応させてユーザの身体の特定の部位の動作範囲を区画して形成された複数の動作検出用セルのうちのいずれに動かされたのかを検出する動作検出手段と、
この動作検出手段による検出結果として得られた動作検出用セルが、課題提示手段により指示用画像を配置表示した表示用セルと対応するか否かにより、ユーザの動作の正誤を判定する処理を実行する正誤判定手段と、
この正誤判定手段による判定結果またはこの判定結果を統計若しくは解析して得られたデータを、画面表示若しくは印刷し、またはリハビリ結果記憶手段に記憶させる処理を実行するリハビリ結果出力手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
ここで、「立体画像」の表示は、メガネあり方式でも、メガネなし方式でもよい。
【0016】
また、「複数の表示用セル」が「平面画像」の表示領域を区画して形成されたものである場合とは、表示手段の画面上に拡がる2次元空間を、例えば碁盤の目のように分割したものであり、上下方向・左右方向の各分割数は、例えば3×3等、任意である。一方、「複数の表示用セル」が「立体画像」の表示領域を区画して形成されたものである場合とは、表示手段の画面上およびその奥行き方向(表示手段の画面の前方若しくは後方)に拡がる3次元空間を、例えばルービックキューブのように分割したものであり、上下方向・左右方向・奥行き方向の各分割数は、例えば3×3×3等、任意である。
【0017】
そして、「複数の表示用セル」に対応させてユーザの身体の特定の部位の動作範囲を区画して形成された「複数の動作検出用セル」についても同様であり、「複数の表示用セル」が「平面画像」の表示領域を区画して形成されたものである場合には、「複数の動作検出用セル」は、平面的に捉えることができる動作範囲を分割したものであり、「複数の表示用セル」が「立体画像」の表示領域を区画して形成されたものである場合には、「複数の動作検出用セル」は、立体的に捉えることができる動作範囲を分割したものであり、各方向の分割数は、任意である。但し、「複数の動作検出用セル」の各方向の分割数は、「複数の表示用セル」の対応する各方向の分割数と一致している必要がある。
【0018】
さらに、「身体の特定の部位」とは、例えば、下肢の運動の場合には、右足および左足であり、上肢の運動の場合には、右手および左手であるが、頭部でもよい。そして、頭部と足との組合せ、頭部と手との組合せ、足と手との組合せ、あるいは、頭部と足と手との組合せでもよく、特に、立体的に捉えることができる動作範囲を区画して「複数の動作検出用セル」を形成する場合は、このような組合せの運動の指示を、無理なく自然な状態でユーザに提示することができ、かつ、その応答動作を容易に検出することができる。
【0019】
また、「動作検出手段」は、「身体の特定の部位」と接触することによりその動作を検出する接触式のものでもよく、「身体の特定の部位」と接触することなくその動作を検出する非接触式のものでもよく、さらには、身体の特定の部位に機器の一部(例えばマーカ等)を装着する装着式のものでもよい。特に、立体的に捉えることができる動作範囲を区画して「複数の動作検出用セル」を形成する場合は、非接触式か、装着式の動作検出手段とすることで、動作を容易に検出することができるようになる。
【0020】
そして、「複数の表示用セルのうちの少なくとも1つに、身体の特定の部位を模した描画を含む指示用画像を配置して表示する処理」における「少なくとも1つ」については、例えば、右足および左足の動作範囲を平面的に捉えて「複数の動作検出用セル」を形成する場合においては、右足の動作または左足の動作のいずれか一方の動作を指示するための指示用画像の配置表示処理のことであり、ジャンプして右足および左足の双方を同時に動かすようなリハビリテーションに向かない急激な運動の指示は含まないので、「少なくとも1つ」は、いずれか「1つ」を意味する。なお、例えば、左足の動作を指示する際に、右足の動作を指示するための指示用画像が表示手段の画面上に残っていることがあるが、この残っている指示用画像は、それ以前に右足の動作を指示したときのものであるから、ここでいう「少なくとも1つ」に配置表示される指示用画像には含まれない。一方、例えば、右手、左手、右足、左足、および頭部のように身体の5つの部位の動作範囲を立体的に捉えて「複数の動作検出用セル」を形成する場合においては、右手および左手を同時にゆっくり動かす、右手および頭部を同時にゆっくり動かす、右手および右足を同時にゆっくり動かす、右手、左手、および頭部を同時にゆっくり動かす等の運動の指示が可能であるから、この場合の「少なくとも1つ」には、いずれか「1つ」のみならず、指示用画像を「2以上」の位置に同時に配置表示する処理も含まれる。
【0021】
このようなリハビリテーションシステムにおいては、ユーザに対し、リハビリ課題として身体の特定の部位を動かす運動課題を提示するために、表示手段により、動作を指示する指示用画像を表示し、動作検出手段により、その指示に対するユーザの応答動作を検出するので、指示用画像の表示により指示する動作を適度な動きの範囲に調整することで、身体への負荷が少ない運動課題を提示し、ユーザの身体能力や体力に応じたリハビリテーションを実現することが可能となる。
【0022】
また、ユーザへの運動課題の提示は、複数の表示用セルへの指示用画像の配置表示により行い、ユーザの応答動作の検出は、複数の表示用セルに対応する複数の動作検出用セルを用いて行うので、ユーザへの指示とユーザの応答動作との関係を明確に把握することができるため、ユーザの応答動作について、正誤判定手段により、信頼性の高い正誤判定を行うことができるようになる。このため、正誤判定結果をリハビリ課題の提示に反映させることにより、効果的で、かつ、きめの細かいリハビリテーションを実現することが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
【0023】
また、前述したリハビリテーションシステムにおいて、
リハビリ課題を提示するための課題データとして、身体の特定の部位の種別と、この身体の特定の部位を模した描画を含む指示用画像を配置表示する表示用セルの識別情報と、配置表示の順番とを関連付けて記憶するとともに、複数のリハビリ課題により構成されたリハビリメニューを自動実行する際のリハビリ課題の実行順序を記憶する課題記憶手段を備え、
課題提示手段は、
リハビリメニューを自動実行する際に、課題記憶手段に記憶されたリハビリ課題の実行順序を原則とし、かつ、リハビリ課題の連続誤答数および連続誤答後に実行するリハビリ課題の戻り数、またはこれらに加えてリハビリメニューの終了条件について予めプログラム内に記述されるか、または自動実行ルール記憶手段に記憶された自動実行ルールに従って、リハビリメニューを構成する複数のリハビリ課題の中から、次のリハビリ課題を選択する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0024】
このように自動実行ルールに従って、リハビリメニューを構成する複数のリハビリ課題の中から、次のリハビリ課題を選択する処理を実行する構成とした場合には、リハビリメニューを自動実行する際に、例えば、リハビリ課題を3回連続して誤答したときには、最後に実施した課題から8課題戻ってリハビリ課題の実施を再開する等のリハビリメニューの進行制御を行うことが可能となり、さらに、自動実行ルールにリハビリメニューの終了条件が加わっていれば、例えば、3連続誤答が3度目になったときに、リハビリメニューの自動実行を終了する等の進行制御が可能となる。このため、より効果的で、かつ、きめの細かいリハビリテーションを実現することが可能となる。
【0025】
さらに、以上に述べたリハビリテーションシステムにおいて、
リハビリ課題を提示するための課題データとして、身体の特定の部位の種別と、この身体の特定の部位を模した描画を含む指示用画像を配置表示する表示用セルの識別情報と、配置表示の順番とを関連付けて記憶する課題記憶手段と、
課題データの登録のための入力を受け付けて課題データを課題記憶手段に記憶させる処理を実行する課題登録手段とを備え、
課題登録手段は、
新規に登録する課題データとして、身体の特定の部位の種別、指示用画像を配置表示する表示用セルの識別情報、および配置表示の順番を関連付けるデータが入力された際に、ユーザが指示に従って身体の特定の部位を動かしたときに転倒し若しくは身体のバランスを崩し、または負傷する可能性のある動作パターンとして予めプログラム内に記述されるか、または要回避動作パターン記憶手段に記憶された要回避動作パターンの情報を用いて、入力された課題データが、要回避動作パターンに該当するか否かを判断し、該当すると判断した場合に、その旨を知らせる警告用の表示若しくは音声出力をし、または入力された課題データの登録を回避する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0026】
このようにリハビリ課題を新規に登録する際に、要回避動作パターンに該当するか否かを判断する構成とした場合には、ユーザが指示に従って身体の特定の部位を動かしたときに転倒し若しくは身体のバランスを崩し、または負傷する可能性のある動作パターンを、オペレータが誤って指定してしまうことを未然に防止することが可能となる。
【0027】
そして、以上に述べたリハビリテーションシステムにおいて、
課題提示手段は、
オペレータによるユーザへの動作の指示のリアルタイムの入力を受け付けて指示用画像を配置表示する練習モードを備え、
この練習モードでは、ユーザに対して動作を指示するための指示データとして、身体の特定の部位の種別、および指示用画像を配置表示する表示用セルの識別情報を関連付けるデータが入力された際に、ユーザが指示に従って身体の特定の部位を動かしたときに転倒し若しくは身体のバランスを崩し、または負傷する可能性のある動作パターンとして予めプログラム内に記述されるか、または要回避動作パターン記憶手段に記憶された要回避動作パターンの情報を用いて、入力された指示データが、要回避動作パターンに該当するか否かを判断し、該当すると判断した場合に、その旨を知らせる警告用の表示若しくは音声出力をし、または入力された指示データによる指示用画像の配置表示を回避する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0028】
このように練習モードにおいてオペレータがユーザへの動作の指示を行う際に、要回避動作パターンに該当するか否かを判断する構成とした場合には、ユーザが指示に従って身体の特定の部位を動かしたときに転倒し若しくは身体のバランスを崩し、または負傷する可能性のある動作パターンを、オペレータが誤って指定してしまうことを未然に防止することが可能となる。
【0029】
また、前述したリハビリテーションシステムにおいて、
動作数の異なるリハビリ課題についての目標正解率を、動作数毎に記憶する目標正解率記憶手段と、
複数のリハビリ課題により構成されるリハビリメニューを自動実行する際に、動作数が1つ多いリハビリ課題に進むための動作数移行条件として、目標正解率記憶手段に記憶された目標正解率以上となったリハビリ課題の実施回数を、動作数毎に設定する回数として記憶するか、若しくは全ての動作数に共通して設定する回数として記憶し、またはこの動作数移行条件に加えてリハビリメニューの自動実行を終了するための自動実行終了条件として、同じ動作数のリハビリ課題を実施して1回も目標正解率記憶手段に記憶された目標正解率に達することなく繰り返された当該動作数のリハビリ課題の実施回数を、動作数毎に設定する回数として記憶するか、若しくは全ての動作数に共通して設定する回数として記憶する動作数移行条件記憶手段とを備え、
課題提示手段は、
ユーザが指示に従って身体の特定の部位を動かしたときに転倒し若しくは身体のバランスを崩し、または負傷する可能性のある動作パターンとして予めプログラム内に記述されるか、または要回避動作パターン記憶手段に記憶された要回避動作パターンに該当せず、かつ、同じ動作を続けないという条件を含む課題自動作成ルールに従って、リハビリ課題を構成する各動作を指示する指示用画像の配置表示位置を自動選択することにより、リハビリ課題を自動作成するとともに、
リハビリメニューを自動実行する際には、動作数移行条件記憶手段に記憶された動作数移行条件に従って、自動作成するリハビリ課題の動作数を決定する動作数決定処理を実行するか、またはこの動作数決定処理に加えて、動作数移行条件記憶手段に記憶された自動実行終了条件に従って、リハビリメニューの自動実行を終了させることを決定する自動実行終了決定処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0030】
このように目標正解率記憶手段および動作数移行条件記憶手段を設け、課題自動作成ルールに従って、リハビリ課題を自動作成する構成とした場合には、リハビリメニューを自動実行する際に、動作数が1つ多いリハビリ課題に進むための動作数移行条件に従うことにより、動作数の少ないリハビリ課題から始めて、動作数の多いリハビリ課題へと適切な時間をかけて徐々に進んでいくリハビリメニューの進行制御を行うことが可能となり、さらに、動作数移行条件記憶手段にリハビリメニューの自動実行を終了するための自動実行終了条件も記憶されていれば、適宜なタイミングでリハビリメニューの自動実行を終了させる進行制御を行うことが可能となるうえ、リハビリ課題の自動作成は、課題自動作成ルールに従って行われることから、ユーザに負担がかかる運動は避けることが可能となる。このため、より効果的で、かつ、きめの細かいリハビリテーションを実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
以上に述べたように本発明によれば、ユーザに対し、リハビリ課題として身体の特定の部位を動かす運動課題を提示するために、表示手段により、複数の表示用セルのうちの少なくとも1つに、動作を指示する指示用画像を配置表示し、動作検出手段により、複数の表示用セルに対応する複数の動作検出用セルを用いて、その指示に対するユーザの応答動作を検出するので、身体への負荷が少ない運動課題を提示することができ、かつ、効果的で、きめの細かいリハビリテーションを実現することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1には、本実施形態のリハビリテーションシステム10の全体構成が示されている。
図2には、動作検出手段であるマットスイッチ80を上方から見た状態が示され、
図3には、課題記憶手段50の詳細構成が示され、
図4には、リハビリ課題の新規登録時のオペレータ操作画面の一例が示されている。また、
図5および
図6には、練習モード実行時の処理の流れがフローチャートで示されるとともに、その画面遷移の一例が示されている。
図7および
図8には、記憶再生モード実行時の処理の流れがフローチャートで示されるとともに、その画面遷移の一例が示されている。
図9には、運動模倣モード実行時の処理の流れがフローチャートで示されている。
【0034】
リハビリテーションシステム10は、リハビリテーションの対象となるユーザ(被験者)に対し、リハビリ課題として、指示に従って当該ユーザが自身の身体の特定の部位(本実施形態では、右足または左足)を動かす運動課題を提示し、その指示に対するユーザの応答動作(本実施形態では、右足または左足によるステップの動作、すなわちマットスイッチ80上の指示された場所を踏む動作)を把握し、動作の正誤判定を行いながら、指示とその応答動作の把握とを繰り返す訓練を行うシステムである。なお、本実施形態では、右足または左足によるステップの動作を指示し、その応答動作を捉えることができればよいので、指示は、平面画像としての指示用画像の画面表示により出し、応答動作は、マットスイッチ80上の平面領域内での移動として捉える。すなわち、動作は、立体的な動きではなく、平面的な移動として捉える。
【0035】
図1において、リハビリテーションシステム10は、コンピュータからなるシステム本体20と、このシステム本体20に接続された表示手段60および入力手段70、並びに動作検出手段であるマットスイッチ80とを備えて構成されている。
【0036】
システム本体20は、リハビリテーションの実施に必要な各種の処理を実行する処理手段30と、この処理手段30に接続されて処理手段30による処理に必要な各種のデータを記憶するデータベース40とを備えて構成されている。
【0037】
このシステム本体20は、スタンドアロンで構築する場合には、例えばパーソナル・コンピュータにより構成することができるが、より上記の機種のコンピュータにより構成してもよい。ここでいうパーソナル・コンピュータには、デスクトップ型のものに限らず、表示手段60および/または入力手段70と一体化されたラップトップ型のものやタブレット端末等も含まれる。また、リハビリテーションシステム10をネットワーク(インターネット、イントラネット、LAN等)で接続されたサーバ・クライアントシステムで構築してもよく、この場合には、システム本体20の一部(処理手段30の主要部およびデータベース60)は、サーバで構成され、システム本体20の残りの部分(処理手段30のうち、サーバから表示用データを受信して表示手段60に画面表示する処理を行う部分、および入力手段70やマットスイッチ80からの入力データを受け付けてサーバへ送信する処理を行う部分)は、クライアント端末で構成される。なお、より安価にリハビリテーションシステム10を構築したい場合には、パーソナル・コンピュータによりスタンドアロンで構築すればよく、多くの場所(例えば診療所や被験者の自宅等)から同じデータを共有して使用したい場合には、サーバ・クライアントシステムで構築すればよい。
【0038】
処理手段30は、課題提示手段31と、正誤判定手段32と、リハビリ結果出力手段33と、課題登録手段34と、設定手段35とを含んで構成されている。
【0039】
データベース40は、例えばハードディスク等により構成され、ユーザ情報記憶手段であるユーザ情報テーブル41と、リハビリメニューテーブル42と、リハビリ課題テーブル43と、メニュー・課題テーブル44と、リハビリ結果記憶手段であるリハビリ結果テーブル45と、要回避動作パターン記憶手段である要回避動作パターンテーブル46と、自動実行ルール記憶手段である自動実行ルールテーブル47とを含んで構成されている。また、リハビリメニューテーブル42と、リハビリ課題テーブル43と、メニュー・課題テーブル44とにより、課題記憶手段50が構成されている。
【0040】
課題提示手段31は、表示手段60の画面(本実施形態では、表示手段60による平面画像の表示領域)を区画して形成された複数の表示用セルのうちの少なくとも1つ(本実施形態では、複数の表示用セルのうちのいずれか1つ)に、身体の特定の部位(本実施形態では、右足または左足の足型)を模した描画を含む指示用画像を配置して表示する処理を、リハビリ課題を構成する複数の動作(本実施形態では、右足または左足によるステップの動作)毎に指示用画像の配置表示位置を変えながら繰り返し実行するものである。
【0041】
この課題提示手段31は、(1)練習モード、(2)記憶再生モード、(3)運動模倣モードの3つのモードの中からのオペレータによる選択操作(入力手段70の操作)を受け付け、各モードの画面表示処理を実行するようになっている。
【0042】
(1)練習モードは、オペレータが1ステップ動作毎に指示を出し、ユーザに運動を練習してもらうモードであり、詳細は、
図5および
図6を用いて後述する。
【0043】
(2)記憶再生モードは、課題記憶手段50(
図3参照)に記憶されている登録済みのリハビリ課題を自動再生し、ユーザに各ステップ動作およびそれらの順番を記憶させた後に、ユーザに記憶に基づき運動を再現してもらうモードであり、詳細は、
図7および
図8を用いて後述する。
【0044】
(3)運動模倣モードは、課題記憶手段50(
図3参照)に記憶されている登録済みのリハビリ課題を自動再生しながら、1ステップ毎にユーザに運動を再現してもらうモードであり、詳細は、
図9を用いて後述する。
【0045】
上記の(2)記憶再生モード、および(3)運動模倣モードにおいては、課題記憶手段50(
図3参照)に複数のリハビリ課題を組み合わせてなるリハビリメニューが予め登録されて記憶されているので、課題提示手段31は、そのリハビリメニューを構成する複数のリハビリ課題の中から、実施するリハビリ課題を一定のルール(自動実行ルール)に従って順次自動で選択する処理を実行することができ、また、リハビリメニューを構成する複数のリハビリ課題の中から、実施するリハビリ課題をオペレータが手動で選択する操作(入力手段70の操作)を受け付ける処理も実行することができる。
【0046】
従って、課題提示手段31は、リハビリメニューを自動実行する際には、課題記憶手段50(
図3参照)に記憶されたリハビリ課題の実行順序を原則としつつ、上記の自動実行ルールに従って、リハビリメニューを構成する複数のリハビリ課題の中から、次のリハビリ課題を選択する処理を実行する。
【0047】
上記の自動実行ルールは、自動実行ルールテーブル47に記憶された「リハビリ課題の連続誤答数」および「連続誤答後に実行するリハビリ課題の戻り数」を用いて定まるルールであるか、またはこれに自動実行ルールテーブル47に記憶された「リハビリメニューの終了条件」を加えて定まるルールである。例えば、リハビリ課題を3回連続して誤答したときには、最後に実施した課題から8課題戻ってリハビリ課題の実施を再開する等のルールや、さらに、このようなルールに、3連続誤答が3度目になったときに、リハビリメニューの自動実行を終了する等の終了条件を加えたルールである。なお、本実施形態では、このような自動実行ルールは、自動実行ルールテーブル47に記憶されているが、プログラム内に記述しておいてもよい。但し、プログラム内に記述すると、「リハビリ課題の連続誤答数」(上記の例では、3回)および「連続誤答後に実行するリハビリ課題の戻り数」(上記の例では、8課題)、あるいは「リハビリメニューの終了条件」(上記の例では、3連続誤答が3度目)が固定化されてしまうので、自動実行ルールの変更を容易にするためには、自動実行ルールテーブル47に記憶させておき、それをプログラムで読み込むようにすることが好ましい。
【0048】
また、(1)練習モードにおいては、課題提示手段31は、ユーザに対してオペレータが動作を指示するためのリアルタイムの指示データとして、身体の特定の部位の種別(本実施形態では、右足・左足の別)、および、右足または左足の移動先を指示する指示用画像を配置表示する表示用セルの識別情報を関連付けるデータが入力された際に、要回避動作パターンテーブル46から、ユーザが指示に従って身体の特定の部位(本実施形態では、右足または左足)を動かしたときに足が交錯して転倒し若しくは身体のバランスを崩し、または負傷する可能性のある動作パターン(要回避動作パターン)の情報を読み込み、入力された指示データが、読み込んだ要回避動作パターンに該当するか否かを判断し、該当すると判断した場合に、その旨を知らせる警告用の表示若しくは音声出力をし、または入力された指示データによる指示用画像の配置表示を回避する処理を実行する。
【0049】
ここで、要回避動作パターンは、具体的には、例えば、次のようなパターン情報である。この要回避動作パターンは、上記のように課題提示手段31により実行される(1)練習モードにおいて、入力された指示データをチェックする処理で用いられる他、(2)記憶再生モードや(3)運動模倣モードにおいて、予め登録したリハビリ課題を実行するにあたり、後述する課題登録手段34により、そのリハビリ課題を事前登録しておく際に、入力された課題データをチェックする処理でも用いられる。なお、説明の簡略化のため、表示用セル300A,300B,300C,300D,300E,300F,300G,300H,300I(
図6、
図8参照)およびこれらに対応する動作検出用セル82A,82B,82C,82D,82E,82F,82G,82H,82I(
図2参照)を、セルA,B,C,D,E,F,G,H,Iと記載するものとする。
【0050】
例えば、左足がセルA,D,Gに置かれている場合には、左足が置かれているセルA,D,G以外の全てのセルに右足を置くことができる。また、左足がセルB,Hに置かれている場合には、左足が置かれているセルB,Hと、セルA,D,Gとには、右足を置くことはできない。さらに、左足がセルC,F,Iに置かれている場合には、左足が置かれているセルC,F,Iと、セルA,D,G,B,Hとには、右足を置くことはできない。
【0051】
同様に、右足がC,F,Iに置かれている場合には、右足が置かれているセルC,F,I以外の全てのセルに左足を置くことができる。また、右足がセルB,Hに置かれている場合には、右足が置かれているセルB,Hと、セルC.F.Iとには、左足を置くことはできない。さらに、右足がセルA,D,Gに置かれている場合には、右足が置かれているセルA,D,Gと、セルC,F,I,B,Hとには、左足を置くことはできない。
【0052】
なお、足が交錯して転倒し若しくは身体のバランスを崩し、または負傷する可能性のある動作パターンということではないが、セルB,Hは、左右のいずれの足も置くことができる中間位置のセルであるため、最初のステップで足を置くセル(開始足を置くセル)については、セルB,H以外のセルとすることを、要回避動作パターンに加えてもよい。このことも、(1)練習モード、(2)記憶再生モード、(3)運動模倣モードの全てにおいて共通することである。
【0053】
なお、本実施形態では、このような要回避動作パターンは、要回避動作パターンテーブル46に記憶されているが、プログラム内に記述しておいてもよい。但し、プログラム内に記述すると、パターンが固定化されてしまうので、要回避動作パターンの変更を容易にするためには、要回避動作パターンテーブル46に記憶させておき、それをプログラムで読み込むようにすることが好ましい。
【0054】
正誤判定手段32は、マットスイッチ80からの入力信号(マットスイッチ80上のいずれの動作検出用セルが踏まれたのかを示す情報、すなわち動作検出手段による検出結果として得られた動作検出用セルの識別情報)を受信し、踏まれた動作検出用セルが、課題提示手段31により指示用画像を配置表示した表示用セルと対応するか否かにより、ユーザの動作の正誤を判定する処理を実行するものである。
【0055】
リハビリ結果出力手段33は、正誤判定手段32による判定結果や、その判定結果を統計若しくは解析して得られたデータについて、画面表示する処理、印刷する処理、およびリハビリ結果テーブル45に記憶させる処理を実行するものである。
【0056】
ここで、リハビリ結果出力手段33による画面表示・印刷・記憶の対象となる事項には、例えば、リハビリテーションを実施したユーザの名前(但し、記憶するデータは、ユーザIDとなる。)と、実施したリハビリメニュー全体の結果と、実施したリハビリメニューを構成する各リハビリ課題の結果とがある。
【0057】
リハビリメニュー全体の結果としては、例えば、リハビリメニューの実施日時、実施したモード(記憶再生モード・運動模倣モードの別)、リハビリメニュー名(但し、記憶するデータは、リハビリメニューIDとなる。)、1回のリハビリメニューの実施における当該リハビリメニューを構成するリハビリ課題の総数(課題総数)、1回のリハビリメニューの実施において正解したリハビリ課題の数(正解数)、1回のリハビリメニューの実施において失敗したリハビリ課題の数(失敗数)、実施したリハビリメニューのうちリハビリ課題の番号が最も後方の番号(到達度:リハビリメニューがどれくらい進んだかを示す指標となる。)、正解数/課題総数*100(正解率:リハビリがどれくらいできたかというリハビリ達成率を示す指標となる。)等があり、さらに、各ステップ数(各動作数)を有するリハビリ課題の数(ステップ数別課題総数:例えば、4ステップを有するリハビリ課題は3課題あり、5ステップを有するリハビリ課題は2課題ある等の情報)、各ステップ数(各動作数)を有するリハビリ課題の中での正解数(ステップ数別正解数)、各ステップ数(各動作数)についてのステップ数別正解数/ステップ数別課題総数*100(ステップ数別正解率:ステップ数が幾つのリハビリ課題ができて、ステップ数が幾つのリハビリ課題ができなかったかを示すリハビリ結果内訳となる。)等がある。
【0058】
リハビリメニューを構成する各リハビリ課題の結果としては、例えば、リハビリ課題の実施日時、リハビリ課題名(但し、記憶するデータは、リハビリ課題IDとなる。)、実施したリハビリ課題の内容である足の配置場所および配置順序を文字列として表した情報(課題内容)、リハビリ課題を構成する各ステップ(各動作)の正解(G)・誤答(N)の結果を順番に並べて文字列として表した情報(ステップ結果:例えば「GGGN」等)、リハビリ課題の成功・失敗の別(課題結果)、リハビリ課題を実施した際の当該リハビリ課題を構成する各ステップ(各動作)のうちの正解したステップ数/当該リハビリ課題を構成するステップ総数*100(リハビリ課題毎の正解率:失敗したリハビリ課題が、全くできなかったのか、間違えたが惜しかったのかを示す指標となり、例えば4ステップを有するリハビリ課題であれば、4/4=100%、3/4=75%、2/4=50%、1/4=20%、0/4=0%のいずれかとなる。)、各ステップの応答時間のトータル時間(ms)等がある。
【0059】
課題登録手段34は、課題データ(リハビリ課題の提示に必要なデータ)の新規登録または修正(編集)登録のためのオペレータによる入力操作(入力手段70の操作)を受け付け(
図4参照)、入力された課題データを課題記憶手段50(
図3参照)に記憶させる処理を実行するものである。
【0060】
この課題登録手段34は、新規に登録する課題データとして、身体の特定の部位の種別(本実施形態では、右足・左足の別)、右足または左足の移動先を指示する指示用画像を配置表示する表示用セルの識別情報、および配置表示の順番を関連付けるデータが入力された際に、要回避動作パターンテーブル46から、ユーザが指示に従って身体の特定の部位(本実施形態では、右足または左足)を動かしたときに足が交錯して転倒し若しくは身体のバランスを崩し、または負傷する可能性のある動作パターン(要回避動作パターン)の情報を読み込み、入力された課題データが、読み込んだ要回避動作パターンに該当するか否かを判断し、該当すると判断した場合に、その旨を知らせる警告用の表示若しくは音声出力をし、または入力された課題データの登録を回避する処理を実行する。この場合の要回避動作パターンは、課題提示手段31による(1)練習モードの処理で用いる要回避動作パターンと同じである。
【0061】
設定手段35は、オペレータによるユーザ情報の入力操作(入力手段70の操作)を受け付け、入力されたユーザ情報を、自動付与されたユーザIDと関連付けてユーザ情報テーブル41に記憶させる処理と、オペレータによる要回避動作パターンの設定のための入力操作(入力手段70の操作)を受け付け、入力された要回避動作パターンを、要回避動作パターンテーブル46に記憶させる処理と、オペレータによる自動実行ルールの設定のための入力操作(入力手段70の操作)を受け付け、入力された自動実行ルールを、自動実行ルールテーブル47に記憶させる処理とを実行するものである。
【0062】
ユーザ情報テーブル41は、ユーザID(ユーザを識別する固有番号)、登録日、氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、利き手、利き足、コメント等を関連付けて記憶するものである。
【0063】
リハビリメニューテーブル42は、
図3に示すように、リハビリメニューID(リハビリメニューを識別する固有番号)、リハビリメニュー種別(記憶再生モード・運動模倣モードの別)、リハビリメニュー名(オペレータが任意に入力する名称)等を関連付けて記憶するものである。
【0064】
リハビリ課題テーブル43は、
図3に示すように、リハビリ課題ID(リハビリ課題を識別する固有番号)、開始足情報(左足・右足の別)、リハビリ課題名(オペレータが任意に入力する名称)、リハビリ課題を構成する各ステップの表示用セルの識別情報(表示用セルの位置を示す数字)を順番に並べた文字列、リハビリ課題を構成するステップの総数(動作数)等を関連付けて記憶するものである。
【0065】
ここで、「リハビリ課題を構成する各ステップの表示用セルの識別情報(表示用セルの位置を示す数字)を順番に並べた文字列」とは、次のようなものである。例えば、上段左側の「×」の表示用セルに「1」という文字を割り当て、上段中央の「↑」の表示用セルに「2」という文字を割り当て、上段右側の「○」の表示用セルに「3」という文字を割り当て、中段左側の「←」の表示用セルに「4」という文字を割り当て、中段中央の最初に両足を置くベースの表示用セルに「5」という文字を割り当て、中段右側の「→」の表示用セルに「6」という文字を割り当て、下段左側の「△」の表示用セルに「7」という文字を割り当て、下段中央の「↓」の表示用セルに「8」という文字を割り当て、下段右側の「□」の表示用セルに「9」という文字を割り当てたとする。このとき、1番目のステップ(動作)の場所として「→」を指示し、2番目のステップ(動作)の場所として「←」を指示する場合は、記憶される文字列は「64」となり、これにより「→」、「←」の順序が定まるようになっている。
【0066】
なお、本実施形態では、右足と左足とを交互に動かす指示を出すことが前提となっているため、開始足および足を置く場所の順番(上記の文字列)を記憶すれば、各ステップ(動作)の内容が定まることになるが、リハビリテーションにおいては、必ずしも右足と左足とを交互に動かす必要はなく、例えば、右足、左足、左足、右足、右足、右足、左足、…の如く、右足と左足とをランダムな順番で動かしてもよい。このような場合には、各ステップ(動作)について、足の種別(右足・左足の別)およびその足を置く場所を対にした状態で記憶すればよく、例えば、1番目のステップ(動作)は、「右足、3(○の位置)」、2番目のステップ(動作)は、「左足、4(←の位置)」、3番目のステップ(動作)は、「左足、7(△の位置)」、…のように記憶すればよい。
【0067】
メニュー・課題テーブル44は、
図3に示すように、リハビリメニューID、リハビリ課題ID(リハビリメニューを構成するリハビリ課題の識別情報)、同一のリハビリメニューを構成する各リハビリ課題の実行順序(原則的な実行順序)を関連付けて記憶するものである。
【0068】
従って、これらの3つのテーブル42,43,44により構成される課題記憶手段50は、リハビリ課題を提示するための課題データとして、身体の特定の部位の種別(本実施形態では、右足・左足の別)と、その身体の特定の部位を模した描画(本実施形態では、右足または左足の足型)を含む指示用画像を配置表示する表示用セルの識別情報(上記の例では、「1」、「2」、「3」等の文字)と、リハビリ課題内におけるそれらの指示用画像の配置表示の順番とを関連付けて記憶するとともに、複数のリハビリ課題により構成されるリハビリメニューを自動実行する際のリハビリ課題の実行順序を記憶していることになる。なお、課題記憶手段50は、これらの3つのテーブル42,43,44による構成に限定されるものではない。
【0069】
リハビリ結果テーブル45は、正誤判定手段32による判定結果や、その判定結果を統計若しくは解析して得られたデータを、リハビリメニューIDやリハビリ課題ID、並びにユーザIDと関連付けて記憶するものである。
【0070】
要回避動作パターンテーブル46は、ユーザが指示に従って身体の特定の部位(本実施形態では、右足または左足)を動かしたときに足が交錯して転倒し若しくは身体のバランスを崩し、または負傷する可能性のある動作パターン(要回避動作パターン)の情報を記憶するものである。この要回避動作パターンの情報は、前後のステップ(動作)についての指示用画像の配置表示位置(表示用セルの識別情報)の関係を定めたものである。
【0071】
自動実行ルールテーブル47は、リハビリメニューを自動実行する際の一定のルール(自動実行ルール)を記憶するものであり、より具体的には、「リハビリ課題の連続誤答数」および「連続誤答後に実行するリハビリ課題の戻り数」を記憶するか、またはこれらに加えて「リハビリメニューの終了条件」を記憶するものである。
【0072】
以上において、処理手段30に含まれる各手段31〜35は、システム本体20を構成するコンピュータの内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラムにより実現される。なお、各手段31〜35を実現するプログラムまたはその一部は、例えば、光磁気ディスク(MO)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、ハードディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュディスク等の記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能であるとともに、例えば、LAN、MAN、WAN、インターネット、イントラネット、エクストラネット等の有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に載せて搬送することも可能である。
【0073】
また、本実施形態では、ユーザ情報記憶手段、課題記憶手段50、リハビリ結果記憶手段、要回避動作パターン記憶手段、自動実行ルール記憶手段は、データベース40の各テーブル41〜47により構成されているが、ファイルにより構成してもよい。
【0074】
表示手段60は、例えば、液晶ディスプレイ等であり、本実施形態では、右足および左足の動作を指示するための指示用画像(平面画像)を表示用セル(2次元領域を区画して形成された表示用セル)に配置表示する処理を行うので、通常の平面画像を表示するディスプレイである。また、表示手段60は、プロジェクタおよびスクリーンでもよい。なお、立体画像を表示するディスプレイとする場合には、例えば、マイクロポールのパターンに合わせて右眼用画像の表示ラインと左眼用画像の表示ラインとを交互に配置したディスプレイ(偏光メガネ式の場合)、右眼用画像と左眼用画像とを交互に切換表示するディスプレイ(液晶シャッターメガネを用いる方式の場合)、短冊状の右眼用画像と左眼用画像とを交互に配置表示するディスプレイ(レンチキュラやパララックスバリア等のメガネなし方式の場合)、あるいはホログラフィを表示するディスプレイ等を採用することができる。
【0075】
入力手段70は、例えばマウスやキーボード等である。
【0076】
マットスイッチ80は、本発明における動作検出手段であり、USBケーブル等の信号線81によりシステム本体20に接続され、入力信号(いずれの動作検出用セルが踏まれたのかを示すデータ)を、処理手段30の正誤判定手段32に送信することができるようになっている。
【0077】
このマットスイッチ80には、
図2に示すように、縦方向(身体の前進後退方向に相当する。)および横方向(身体の左右方向に相当する。)をそれぞれ3分割して形成された3×3=9個の正方形または長方形の動作検出用セル82A,82B,82C,82D,82E,82F,82G,82H,82Iが設けられている。これらの動作検出用セル82A〜82Iは、表示用セル300A〜300I(
図6、
図8参照)に対応させて表示用セルと同数かつ同配置(同じ分割形態)になるように設けられ、各動作検出用セル82A〜82Iに描かれた絵柄(○、×、←、△、→、□等)も、対応する各表示用セル300A〜300I(
図6、
図8参照)に描かれる絵柄と同じになっている。そして、動作検出用セル82A〜82Iは、上方から加圧するとスイッチがONになり、加圧を解放するとスイッチがOFFになるというスイッチ機能を有している。真ん中(中段中央)の動作検出用セル82Eの左右両足の足型の絵柄を囲う線は、正方形または長方形ではなく、円形となっているが、スイッチ自体は、正方形または長方形の感圧領域を有している。
【0078】
また、マットスイッチ80には、計測(動作検出)の開始および終了の合図を伝達するためのスタートスイッチ83およびストップスイッチ84と、動作検出用セル82A〜82Iの各スイッチ並びにスタートスイッチ83およびストップスイッチ84についてのON/OFFを検出し、検出したON/OFF信号をそれらの信号種別の情報とともに、信号線81を介してシステム本体20へ送信するCPU85とが設けられている。
【0079】
このマットスイッチ80に設けられた動作検出用セル82A〜82Iの各スイッチ並びにスタートスイッチ83およびストップスイッチ84は、マットの表面(上方の面)側および裏面(床に接触する面)側に間隔(上下方向の間隔)を置いて配置された可撓性を有する電極シートと、これらの電極シートの間に適宜な間隔(水平方向の間隔)を置いて配置されたスポンジとを備えて構成されている。そして、動作検出用セル82A〜82Iの各スイッチ並びにスタートスイッチ83およびストップスイッチ84を足で踏むこと等により、上方から加圧すると、表面側および裏面側の電極シート同士の隙間を保持していたスポンジが潰され、電極シートが接触し、スイッチがONになるようになっている。なお、マッチスイッチ80の構造は、これに限定されるものではなく、要するに、ユーザの足により踏まれる動作検出用セル82A〜82Iの各スイッチのON/OFF(踏んだか、踏んでないか)を検出できるようになっていればよい。
【0080】
また、本実施形態では、動作検出手段は、マットスイッチ80を床上に敷いて足のステップ動作を検出する構成のものとされているが、同様なマットスイッチを卓上に敷いて手の動作を検出してもよく、この場合には、足の不自由なユーザのリハビリテーションを行うことができる。さらに、頭の動きや、手と足の動きの組合せ等のように、身体の特定の部位の動きを立体的に捉える場合には、動作検出手段として、例えば、身体の特定の部位にマーカを装着し、このマーカの動きをトラッカで検出するモーションキャプチャ機器や、マーカ(またはマーカ付きスーツ)を必要とせずにカメラにより身体の特定の部位の動きを検出するキネクトセンサ(キネクトは登録商標)等を採用することができる。
【0081】
このような本実施形態においては、以下のようにしてリハビリテーションシステム10により、視空間認知機能低下による認知症を予防するためのリハビリテーションを行う。
【0082】
<リハビリ課題の新規登録を含む事前の処理の流れ>
【0083】
先ず、オペレータは、入力手段70を操作し、ユーザ情報、要回避動作パターン、および自動実行ルールの入力を行う。入力されたユーザ情報、要回避動作パターン、および自動実行ルールは、設定手段35により受け付けられ、ユーザ情報テーブル41、要回避動作パターンテーブル46、および自動実行ルールテーブル47にそれぞれ記憶される。また、ユーザ(被験者)のリハビリテーションに必要なリハビリ課題が未だ登録されていない場合には、オペレータは、表示手段60の画面上に、
図4に示すようなリハビリ課題の新規登録の操作ウィンドウ100を開き、リハビリ課題の新規登録を行う。このリハビリ課題の新規登録の操作ウィンドウ100の表示は、課題登録手段34により行われる。
【0084】
図4において、リハビリ課題の新規登録の操作ウィンドウ100には、リハビリ課題名の入力部101と、右足の動作から開始することを選択する右足起動の選択部102と、左足の動作から開始することを選択する左足起動の選択部103と、備考の入力部104と、入力データを確定させて登録する「OK」ボタン105と、入力データを取り消す「キャンセル」ボタン106とが設けられている。
【0085】
また、リハビリ課題の新規登録の操作ウィンドウ100には、右足または左足のステップ動作を指示する指示用画像の配置表示位置を選択するための指示場所選択ボタン110A〜110Iが設けられている。これらの指示場所選択ボタン110A〜110Iは、表示用セル300A〜300I(
図6、
図8参照)や動作検出用セル82A〜82I(
図2参照)に対応しているが、真ん中(中段中央)の表示用セル300Eや動作検出用セル82Eに対応する指示場所選択ボタンは設けられていない。
【0086】
さらに、リハビリ課題の新規登録の操作ウィンドウ100には、リハビリ課題として入力した各ステップ動作の内容を表示する入力課題表示部120と、この入力課題表示部120に表示された最終のステップ動作のみを削除する「最終ステップ削除」ボタン130と、入力課題表示部120に表示された全てのステップ動作を削除する「全て削除」ボタン140とが設けられている。
【0087】
図4のリハビリ課題の新規登録の操作ウィンドウ100において、オペレータが、必要事項を入力し、「OK」ボタン105を押すと、課題登録手段34により、入力された課題データが課題記憶手段50に記憶され、リハビリ課題が新規に登録される。この際、課題登録手段34により、要回避動作パターンテーブル46に記憶された要回避動作パターンに該当するか否かのチェック処理が行われる。
【0088】
続いて、(1)練習モード(
図5、
図6参照)を実行し、さらに、(2)記憶再生モード(
図7、
図8参照)や、(3)運動模倣モード(
図9参照)を実行する。
【0090】
図5において、オペレータは、入力手段70を操作し、練習モード実行開始に必要な操作を行う(ステップS1)。すなわち、オペレータは、表示手段60の画面上に表示されたオペレータ用の操作ウィンドウで「リハビリ実行」を選択し、ユーザ情報テーブル41に記憶されたユーザの中から、リハビリテーションの対象となるユーザを選択する。さらに、オペレータは、操作ウィンドウで「問診実行」を選択し、睡眠、食事、体調、服装についての問診を行い、必要に応じて問診結果を入力する。この問診結果は、データベース40に設けられた図示されない問診結果テーブル(問診結果記憶手段)に記憶させてもよく、あるいは、リハビリ結果として、リハビリ結果テーブル45に記憶させてもよい。それから、オペレータは、操作ウィンドウで「練習」モードを選択し、右足起動・左足起動を選択し(
図6の操作ウィンドウ200参照)、「検査開始」を選択する。ここでは、オペレータは、右足起動(最初に右足から動かすこと)を選択したものとする。これらのオペレータによる選択操作や入力操作の受付処理および入力データの記憶処理は、課題提示手段31により実行される。
【0091】
すると、
図6に示すように、ユーザが見るウィンドウ300には、課題提示手段31により、「画面にでる足型の通りに足を置いてください」という文章301が画面表示される(
図5のステップS2)。
【0092】
さらに、ユーザが見るウィンドウ300には、課題提示手段31により、動作開始前の初期画面302が表示される(ステップS3)。この初期画面302には、上下方向および左右方向をそれぞれ3分割して形成された3×3=9個の表示用セル300A,300B,300C,300D,300E,300F,300G,300H,300Iが表示されている。このうち、真ん中(中段中央)の表示用セル300Eには、円形の線で囲まれた絵柄が表示されているが、それ以外の表示用セルには、正方形または長方形の線で囲まれた絵柄が表示されている。そして、上段左側の表示用セル300Aには、「×」の絵柄が表示され、上段中央の表示用セル300Bには、「↑」の絵柄が表示され、上段右側の表示用セル300Cには、「○」の絵柄が表示され、中段左側の表示用セル300Dには、「←」の絵柄が表示され、中段中央の最初に両足を置くベースの表示用セル300Eには、左右両足の足型が揃った絵柄が表示され、中段右側の表示用セル300Fには、「→」の絵柄が表示され、下段左側の表示用セル300Gには、「△」の絵柄が表示され、下段中央の表示用セル300Hには、「↓」の絵柄が表示され、下段右側の表示用セル300Iには、「□」の絵柄が表示されている。
【0093】
その後、オペレータは、入力手段70を操作し、
図6の操作ウィンドウ200で、足の移動場所の入力指定を行う(
図5のステップS4)。
図6の操作ウィンドウ200には、ユーザが見るウィンドウ300に表示された表示用セル300A〜300Iに対応するように、足の移動場所の指示用の操作ボタン200A〜200Iが表示されている。但し、真ん中(中段中央)の表示用セル300Eに対応する指示用の操作ボタンはない。そして、指示用の操作ボタン200A〜200Iには、表示用セル300A〜300Iに表示された絵柄と同じような絵柄が表示されている。
図6の例では、オペレータは、最初に「→」の絵柄が表示された中段右側の指示用の操作ボタン200Fを押している。この指示用の操作ボタン200Fの押下操作は、課題提示手段31により、受け付けられる(ステップS4)。
【0094】
続いて、課題提示手段31により、指示用の操作ボタン200Fの押下操作で入力された足の動作の指示データが、要回避動作パターンテーブル46に記憶された要回避動作パターンに該当するか否かを判断し、該当すると判断した場合(すなわち、転倒等の可能性があると判断した場合)には、その旨を知らせる警告用の表示若しくは音声出力をし、または入力された指示データによる指示用画像の配置表示を回避する処理を実行する(ステップS5)。
【0095】
それから、課題提示手段31により、ユーザが見るウィンドウ300において、指示用の操作ボタン200Fに対応する表示用セル300Fの位置に、最初に動作させる右足(ステップS1で右足起動を選択しているためである。)の足型を模した絵柄を含む指示用画像を配置表示する(ステップS6)。また、これと同時に、初期画面302において真ん中(中段中央)の表示用セル300Eに表示されていた左右両足の足型を模した絵柄は、左足の足型だけの絵柄に表示変更される。
【0096】
その後、ユーザは、ウィンドウ300において表示用セル300Fに配置表示された指示用画像(右足の足型の絵柄を含む画像)を見て、マットスイッチ80上で、その指示に従って、自身の右足を、表示用セル300Fに対応する動作検出用セル82F(
図2参照)に移動させる。すると、動作検出用セル82Fが足で押されることにより、このセルのスイッチがONになり、動作検出用セル82Fが押されたことを示す情報が、マットスイッチ80からUSBケーブル等の信号線81を介してシステム本体20に送信されるので、処理手段30の正誤判定手段32により、このマットスイッチ80からの情報(ここでは、動作検出用セル82Fが押されたという情報)を受け付ける(
図5のステップS7)。
【0097】
システム本体20では、正誤判定手段32により、マットスイッチ80からの情報(ここでは、動作検出用セル82Fが押されたという情報)を受け付けると、受け付けた動作検出用セル82Fが、指示用画像(右足の足型の絵柄を含む画像)を配置表示した表示用セル300Fに対応するか否かにより、ユーザの応答動作の正誤を判定する(
図5のステップS8)。また、必要に応じ、正誤判定手段32により、判定結果を画面表示や印刷する処理、あるいはリハビリ結果テーブル45に記憶させる処理を実行する(ステップS8)。
【0098】
そして、オペレータは、「画面と足元のマットとの関係は理解できましたか?」というユーザへの声かけを行い(ステップS9)、練習モードでの練習を続行する必要があるか否かを判断する(ステップS10)。
【0099】
ここで、練習モードでの練習を続行する必要があると判断した場合には、前述したステップS4の処理に戻り、以降、練習モードでの練習を続行する必要がないと判断するまで、ステップS4〜S10の処理を繰り返す。なお、2番目のステップは、左足の動作となるが、この際、ステップS4では、オペレータは、
図6の操作ウィンドウ200において、「×」の絵柄が表示された上段左側の指示用の操作ボタン200Aを押し、ステップS6では、
図6のユーザが見るウィンドウ300において、指示用の操作ボタン200Aに対応する表示用セル300Aに、指示用画像(左足の足型の絵柄を含む画像)が配置表示される。また、これと同時に、真ん中(中段中央)の表示用セル300Eに表示されていた左足の足型だけの絵柄は、左右のいずれの足の足型もない状態の画像に表示変更される。
【0100】
一方、ステップS10で、練習モードでの練習を続行する必要がないと判断した場合には、データの保存確認の処理(ステップS11)の後に、練習モードでの練習を終了させる。
【0101】
<記憶再生モード実行時の処理の流れ>
【0102】
図7において、オペレータは、入力手段70を操作し、記憶再生モード実行開始に必要な操作を行う(ステップS21)。すなわち、オペレータは、表示手段60の画面上に表示されたオペレータ用の操作ウィンドウで「リハビリ実行」を選択し、ユーザ情報テーブル41に記憶されたユーザの中から、リハビリテーションの対象となるユーザを選択する。なお、練習モードに続けて記憶再生モードを実行する場合等には、これらの選択操作は省略することもできる。
【0103】
それから、オペレータは、操作ウィンドウで「記憶再生」モードを選択し、実行するリハビリメニューを選択する。この選択操作は、課題提示手段31により受け付けられ、課題記憶手段50から、選択されたリハビリメニューを構成する各リハビリ課題についての課題データが読み込まれる。さらに、オペレータは、操作ウィンドウで、リハビリメニューのうち最初に実行するリハビリ課題を選択し、「リハビリ課題再生」、「検査開始」を選択する。ここでは、一例として、オペレータは、
図8の操作ウィンドウ400に示すような「右足から動かす4ステップを有するリハビリ課題」を選択したものとする。
【0104】
すると、
図8に示すように、ユーザが見るウィンドウ300(
図6と同様)には、課題提示手段31により、「画面にでる足型の位置や順番をおぼえてください」という文章303が画面表示される(
図7のステップS22)。
【0105】
続いて、ユーザが見るウィンドウ300には、課題提示手段31により、動作開始前の初期画面302が表示される(ステップS23)。この初期画面302は、前述した
図6の練習モードの場合と同じものである。
【0106】
さらに、ユーザが見るウィンドウ300には、課題提示手段31により、前述したステップS21で題記憶手段50から読み込んだ課題データを用いて、リハビリ課題の再生が行われる。すなわち、リハビリ課題を構成する全てのステップの指示用画像が、予め定められた順番で予め定められた位置に順次配置表示される(ステップS24)。
【0107】
図8の例では、オペレータの操作ウィンドウ400に示すような「右足から動かす4ステップを有するリハビリ課題」が再生される。操作ウィンドウ400の「課題パターン」の表示部に表示されている「1」、「2」、「3」、「4」の数字は、その位置にその順番で指示用画像を配置表示することを意味する。
【0108】
従って、1番目のステップは、右足の動作となり、ユーザが見るウィンドウ300では、中段右側の表示用セル300Fに、「→」の上に右足の足型を重ねた絵柄の指示用画像が配置表示される。また、これと同時に、初期画面302において真ん中(中段中央)の表示用セル300Eに表示されていた左右両足の足型を模した絵柄は、左足の足型だけの絵柄に表示変更される。
【0109】
2番目のステップは、左足の動作となり、ユーザが見るウィンドウ300では、中段左側の表示用セル300Dに、「←」の上に左足の足型を重ねた絵柄の指示用画像が配置表示される。また、これと同時に、真ん中(中段中央)の表示用セル300Eに表示されていた左足の足型だけの絵柄は、左右のいずれの足の足型もない状態の画像に表示変更される。
【0110】
3番目のステップは、右足の動作となり、ユーザが見るウィンドウ300では、下段中央の表示用セル300Hに、「↓」の上に右足の足型を重ねた絵柄の指示用画像が配置表示される。また、これと同時に、中段右側の表示用セル300Fに表示されていた右足の足型の絵柄は消され、「→」の絵柄だけの表示に戻る。
【0111】
4番目のステップは、左足の動作となり、ユーザが見るウィンドウ300では、上段左側の表示用セル300Aに、「×」の上に左足の足型を重ねた絵柄の指示用画像が配置表示される。また、これと同時に、中段左側の表示用セル300Dに表示されていた左足の足型の絵柄は消され、「←」の絵柄だけの表示に戻る。
【0112】
その後、
図8に示すように、ユーザが見るウィンドウ300には、課題提示手段31により、「おぼえた通りに足を置いてください」という文章304が画面表示されるとともに、動作開始の合図の音が出力される(
図7のステップS25)。
【0113】
続いて、ユーザは、自分の記憶に基づき、マットスイッチ80上で、指示された各ステップ動作を再現する。すなわち、
図8の例では、右足から動かし始めて、記憶した位置および順番で、左右の足を交互に移動させていく。すると、
図8の例では、動作検出用セル82F,82D,82H,82A(
図2参照)がこの順番で足により押され、これらのセルのスイッチがこの順番でONになり、これらのセル82F,82D,82H,82Aが押されたことを示す情報が、この順番で、マットスイッチ80からUSBケーブル等の信号線81を介してシステム本体20に送信されるので、処理手段30の正誤判定手段32により、これらのマットスイッチ80からの情報(ここでは、動作検出用セル82F,82D,82H,82Aがこの順番で押されたという情報)を受け付ける(
図7のステップS26)。なお、動作検出用セルが押されたという情報についてのマットスイッチ80からシステム本体20への送信は、1ステップずつ行ってもよく、全てのステップが終了した後に、まとめて行ってもよい。
【0114】
システム本体20では、正誤判定手段32により、マットスイッチ80からの情報(ここでは、動作検出用セル82F,82D,82H,82Aがこの順番で押されたという情報)を受け付けると、受け付けた動作検出用セル82F,82D,82H,82Aが、順番も含めて、各ステップの指示用画像を配置表示した表示用セル300F,300D,300H,300Aに対応するか否かにより、ユーザの応答動作の正誤を判定する(
図7のステップS27)。また、必要に応じ、正誤判定手段32により、判定結果を画面表示や印刷する処理、あるいはリハビリ結果テーブル45に記憶させる処理を実行する(ステップS27)。
【0115】
そして、課題提示手段31により、リハビリメニューを構成する最後のリハビリ課題が終了したか否かにより、リハビリメニューを続行するか否かを判断する(
図7のステップS28)。
【0116】
ここで、リハビリメニューを続行すると判断した場合には、課題提示手段31により、正誤判定手段32による正誤の判定結果を用いて、自動実行ルールテーブル47に記憶された自動実行ルールに従って、次に実行するリハビリ課題を決定した後(
図7のステップS29)、前述したステップS22の処理に戻り、以降、最後のリハビリ課題が終了するまで、ステップS22〜S29の処理を繰り返す。
【0117】
一方、ステップS28で、リハビリメニューを続行しないと判断した場合には、データの保存確認の処理(ステップS30)の後に、リハビリメニューの自動実行を終了させる。
【0118】
<運動模倣モード実行時の処理の流れ>
【0119】
図9において、オペレータは、入力手段70を操作し、運動模倣モード実行開始に必要な操作を行う(ステップS41)。すなわち、オペレータは、表示手段60の画面上に表示されたオペレータ用の操作ウィンドウで「リハビリ実行」を選択し、ユーザ情報テーブル41に記憶されたユーザの中から、リハビリテーションの対象となるユーザを選択する。なお、練習モードに続けて運動模倣モードを実行する場合等には、これらの選択操作は省略することもできる。
【0120】
それから、オペレータは、操作ウィンドウで「運動模倣」モードを選択し、実行するリハビリメニューを選択する。この選択操作は、課題提示手段31により受け付けられ、課題記憶手段50から、選択されたリハビリメニューを構成する各リハビリ課題についての課題データが読み込まれる。さらに、オペレータは、操作ウィンドウで、リハビリメニューのうち最初に実行するリハビリ課題を選択し、「リハビリ課題再生」、「検査開始」を選択する。
【0121】
すると、ユーザが見るウィンドウ300(
図6、
図8と同様)には、課題提示手段31により、「画面にでる足型の通りに足を置いてください」という文章が画面表示される(
図9のステップS42)。
【0122】
続いて、ユーザが見るウィンドウ300には、課題提示手段31により、動作開始前の初期画面302が表示される(ステップS43)。この初期画面302は、前述した
図6の練習モードの場合や
図8の記憶再生モードの場合と同じものである。
【0123】
さらに、ユーザが見るウィンドウ300(
図6、
図8と同様)には、課題提示手段31により、前述したステップS41で題記憶手段50から読み込んだ課題データを用いて、リハビリ課題を構成する複数のステップのうちの1ステップの指示用画像が、予め定められた位置(表示用セル300A〜300Iのうちのいずれか)に配置表示される(ステップS44)。
【0124】
続いて、ユーザは、マットスイッチ80上で、指示用画像で指示されたステップ動作を行う。すると、動作検出用セル82A〜82I(
図2参照)のうちのいずれかが足で押され、このセルのスイッチがONになり、このセルが押されたことを示す情報が、マットスイッチ80からUSBケーブル等の信号線81を介してシステム本体20に送信されるので、処理手段30の正誤判定手段32により、このマットスイッチ80からの情報(いずれの動作検出用セルが押されたのかを示す情報)を受け付ける(
図9のステップS45)。
【0125】
システム本体20では、正誤判定手段32により、マットスイッチ80からの情報(いずれの動作検出用セルが押されたのかを示す情報)を受け付けると、受け付けた動作検出用セルが、指示用画像を配置表示した表示用セルに対応するか否かにより、ユーザの応答動作の正誤を判定する(
図9のステップS46)。また、必要に応じ、正誤判定手段32により、判定結果を画面表示や印刷する処理、あるいはリハビリ結果テーブル45に記憶させる処理を実行する(ステップS46)。例えば、正解で「○」を画面表示し、誤答で何も出力しない等の処理を行う。
【0126】
そして、課題提示手段31により、リハビリ課題を構成する全ステップが終了したか否かを判断し(ステップS47)、全ステップが終了していない場合には、次のステップに進むため、前述したステップS44の処理に戻り、以降、全ステップが終了するまで、ステップS44〜S47の処理を繰り返す。なお、前述したステップS46での正誤の判定結果にかかわらず、すなわち正解でも誤答でも、次のステップがあれば、次のステップに進む。
【0127】
一方、ステップS47で、全ステップが終了している場合には、リハビリメニューを構成する最後のリハビリ課題が終了したか否かにより、リハビリメニューを続行するか否かを判断する(
図9のステップS48)。
【0128】
ここで、リハビリメニューを続行すると判断した場合には、課題提示手段31により、正誤判定手段32による正誤の判定結果を用いて、自動実行ルールテーブル47に記憶された自動実行ルールに従って、次に実行するリハビリ課題を決定した後(
図9のステップS49)、前述したステップS42の処理に戻り、以降、最後のリハビリ課題が終了するまで、ステップS42〜S49の処理を繰り返す。
【0129】
一方、ステップS48で、リハビリメニューを続行しないと判断した場合には、データの保存確認の処理(ステップS50)の後に、リハビリメニューの自動実行を終了させる。
【0130】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、リハビリテーションシステム10は、表示手段60により、ユーザに対して動作を指示する指示用画像を表示し、動作検出手段であるマットスイッチ80により、その指示に対するユーザの応答動作を検出するので、指示用画像の表示により指示する動作を適度な動きの範囲に調整することで、身体への負荷が少ない運動課題を提示し、ユーザの身体能力や体力に応じたリハビリテーションを実現することができる。
【0131】
また、ユーザへの運動課題の提示は、複数の表示用セル300A〜300I(
図6、
図8参照)への指示用画像の配置表示により行い、ユーザの応答動作の検出は、複数の表示用セル300A〜300Iに対応する複数の動作検出用セル82A〜82I(
図2参照)を用いて行うので、ユーザへの指示とユーザの応答動作との関係を明確に把握することができるため、ユーザの応答動作について、正誤判定手段32により、信頼性の高い正誤判定を行うことができる。このため、正誤判定結果をリハビリ課題の提示に反映させることにより、効果的で、かつ、きめの細かいリハビリテーションを実現することができる。
【0132】
さらに、リハビリテーションシステム10は、課題記憶手段50および自動実行ルールテーブル47を備えているので、課題提示手段31は、リハビリメニューを自動実行する際に、課題記憶手段50に記憶されたリハビリ課題の実行順序を原則とし、かつ、自動実行ルールテーブル47に記憶された自動実行ルールに従って、リハビリメニューを構成する複数のリハビリ課題の中から、次に実行するリハビリ課題を選択することができる。従って、リハビリメニューを自動実行する際に、例えば、リハビリ課題を3回連続して誤答したときには、最後に実施した課題から8課題戻ってリハビリ課題の実施を再開する等のリハビリメニューの進行制御を行うことができる。そして、自動実行ルールにリハビリメニューの終了条件が加わっていれば、例えば、3連続誤答が3度目になったときに、リハビリメニューの自動実行を終了する等の進行制御を行うことができる。このため、より効果的で、かつ、きめの細かいリハビリテーションを実現することができる。
【0133】
また、リハビリテーションシステム10は、リハビリ課題を新規に登録するための課題登録手段34を備え、この課題登録手段34は、新規に登録するリハビリ課題についての課題データが入力された際に、入力された課題データが、要回避動作パターンに該当するか否かを判断する構成とされているので、ユーザが指示に従って身体の特定の部位(本実施形態では、右足または左足)を動かしたときに足が交錯して転倒し若しくは身体のバランスを崩し、または負傷する可能性のある動作パターンを、オペレータが誤って指定してしまうことを未然に防止することができる。
【0134】
さらに、課題提示手段31は、練習モードにおいてオペレータがユーザへの動作の指示を行う際に、要回避動作パターンに該当するか否かを判断する構成とされているので、この場面でも、オペレータが誤って不適切な動作パターンを指定してしまうことを未然に防止することができる。
【0135】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0136】
例えば、前記実施形態のリハビリテーションシステム10では、記憶再生モードでの訓練は、予め作成されて課題記憶手段50(
図3参照)に登録されているリハビリ課題を実行していたが、本発明のリハビリテーションシステムは、次のように、リハビリ課題を自動的にランダムに作成する構成としてもよい。
【0137】
すなわち、リハビリテーションシステムに「目標正解率記憶手段」を設け、ステップ数(動作数)の異なるリハビリ課題についての目標正解率を、ステップ数毎(動作数毎)に記憶させる。この「目標正解率記憶手段」は、データベースにより実現しても、ファイルにより実現してもよい。目標正解率とは、1つのリハビリ課題において、そのリハビリ課題を構成する複数のステップ(動作)のうちの何%以上のステップ(動作)が正解になればよいかを示す数値(%)である。例えば、4ステップを有するリハビリ課題については、目標正解率=100%(4ステップの全てが正解でなければならない。)とし、5ステップを有するリハビリ課題については、目標正解率=100%(5ステップの全てが正解でなければならない。)とし、6ステップを有するリハビリ課題については、目標正解率=80%(6ステップのうち、1ステップだけ間違えることが許される。)とし、7ステップを有するリハビリ課題については、目標正解率=70%(7ステップのうち、2ステップまで間違えることが許される。)とし、8ステップを有するリハビリ課題については、目標正解率=60%(8ステップのうち、3ステップまで間違えることが許される。)とし、これらのステップ数(動作数)と、目標正解率とを関連付けて「目標正解率記憶手段」に事前設定しておく。
【0138】
また、リハビリテーションシステムに「動作数移行条件記憶手段」を設け、複数のリハビリ課題により構成されるリハビリメニューを自動実行する際に、ステップ数(動作数)が1つ多いリハビリ課題に進むための「動作数移行条件」として、上述した「目標正解率記憶手段」に記憶された目標正解率以上となったリハビリ課題の実施回数を、動作数毎に設定する回数として記憶させるか、若しくは、全てのステップ数(動作数)に共通して設定する回数として記憶させる。この「動作数移行条件記憶手段」は、データベースにより実現しても、ファイルにより実現してもよい。例えば、4ステップを有するリハビリ課題から訓練を開始し、4ステップを有するリハビリ課題について設定されている目標正解率=100%以上となったリハビリ課題(4ステップを有するリハビリ課題)の実施回数が、X回(例えば5回)になったら、ステップ数(動作数)が1つ多い5ステップを有するリハビリ課題の訓練に進む。同様に、5ステップを有するリハビリ課題の訓練を行い、5ステップを有するリハビリ課題について設定されている目標正解率=100%以上となったリハビリ課題(5ステップを有するリハビリ課題)の実施回数が、Y回(例えば5回)になったら、ステップ数(動作数)が1つ多い6ステップを有するリハビリ課題の訓練に進む。さらに、6ステップを有するリハビリ課題の訓練を行い、6ステップを有するリハビリ課題について設定されている目標正解率=80%以上となったリハビリ課題(6ステップを有するリハビリ課題)の実施回数が、Z回(例えば5回)になったら、ステップ数(動作数)が1つ多い7ステップを有するリハビリ課題の訓練に進む。このようなステップ数(動作数)と、目標正解率以上となった当該ステップ数(当該動作数)のリハビリ課題の実施回数(目標をクリアした回数)との関係を、「動作数移行条件記憶手段」に事前設定しておく。なお、設定する回数(目標のクリア回数)は、上記の説明では、X回、Y回、Z回とし、ステップ数(動作数)毎に異なる設定が可能としているが、全てのステップ数(動作数)について共通の回数(目標のクリア回数)を設定するようにしてもよい(共通の回数設定しかできないようにしてもよい)。
【0139】
さらに、「動作数移行条件記憶手段」には、上記の「動作数移行条件」に加えて、リハビリメニューの自動実行を終了するための「自動実行終了条件」として、同じステップ数(動作数)のリハビリ課題を実施して1回も目標正解率記憶手段に記憶された目標正解率に達することなく繰り返された当該ステップ数(当該動作数)のリハビリ課題の実施回数を、動作数毎に設定する回数として記憶させるか、若しくは、全てのステップ数(動作数)に共通して設定する回数として記憶させてもよい。例えば、4ステップを有するリハビリ課題の訓練を行っている場合に、4ステップを有するリハビリ課題について設定されている目標正解率=100%に達することなく繰り返されたリハビリ課題(4ステップを有するリハビリ課題)の実施回数が、α回(例えば10回)になったら、そこでリハビリメニューの自動実行を終了する。同様に、5ステップを有するリハビリ課題の訓練を行っている場合に、5ステップを有するリハビリ課題について設定されている目標正解率=100%に達することなく繰り返されたリハビリ課題(5ステップを有するリハビリ課題)の実施回数が、β回(例えば10回)になったら、そこでリハビリメニューの自動実行を終了する。さらに、6ステップを有するリハビリ課題の訓練を行っている場合に、6ステップを有するリハビリ課題について設定されている目標正解率=80%に達することなく繰り返されたリハビリ課題(6ステップを有するリハビリ課題)の実施回数が、γ回(例えば10回)になったら、そこでリハビリメニューの自動実行を終了する。このようなステップ数(動作数)と、1回も目標正解率に達することなく繰り返された当該ステップ数(当該動作数)のリハビリ課題の実施回数(1回も目標をクリアできずに繰り返された回数)との関係を、「動作数移行条件記憶手段」に事前設定しておく。なお、設定する回数(1回も目標をクリアできずに繰り返された回数)は、上記の説明では、α回、β回、γ回とし、ステップ数(動作数)毎に異なる設定が可能としているが、全てのステップ数(動作数)について共通の回数(1回も目標をクリアできずに繰り返された回数)を設定するようにしてもよい(共通の回数設定しかできないようにしてもよい)。
【0140】
そして、「課題提示手段」は、予め定められた「課題自動作成ルール」に従って、リハビリ課題を構成する各ステップ(各動作)を指示する指示用画像の配置表示位置を自動選択することにより、リハビリ課題を自動作成する構成とする。ここで、「課題自動作成ルール」とは、要回避動作パターンに該当せず、かつ、同じ動作を続けない(すなわち、今置いている位置には連続して置くことはできない。)という条件を含むルールである。この要回避動作パターンは、前記実施形態のものと同様であり、ユーザが指示に従って身体の特定の部位(例えば、右足または左足)を動かしたときに転倒し若しくは身体のバランスを崩し、または負傷する可能性のある動作パターンとして予めプログラム内に記述されるか、または要回避動作パターン記憶手段に記憶されたものである。例えば、前記実施形態の表示用セル300A,300B,300C,300D,300E,300F,300G,300H,300I(
図6、
図8参照)およびこれらに対応する動作検出用セル82A,82B,82C,82D,82E,82F,82G,82H,82I(
図2参照)を、セルA,B,C,D,E,F,G,H,Iと記載して説明すると、4ステップを有するリハビリ課題の自動作成処理は、具体的には、例えば、以下のようになる。先ず、1番目のステップについては、例えば、右足を置くことができるセルC,F,Iから、「課題提示手段」がランダムに1つのセルを選択する。ここでは、例えばセルFを選択したものとする。次に、2番目のステップについては、左足を置くことができるのは、セルA,B,D,G,Hであり、その中から、「課題提示手段」がランダムに1つのセルを選択する。ここでは、例えばセルGを選択したものとする。続いて、3番目のステップについては、右足を置くことができるのは、セルB,C,H,Iであり、その中から、「課題提示手段」がランダムに1つのセルを選択する。ここでは、例えばセルBを選択したものとする。最後に、4番目のステップについては、左足を置くことできるのは、セルA,Dであり、その中から、「課題提示手段」がランダムに1つのセルを選択する。ここでは、例えばセルAを選択するといった具合である。
【0141】
また、「課題提示手段」は、上記のように「課題自動作成ルール」に従って、リハビリ課題を自動作成するとともに、リハビリメニューを自動実行する際には、前述した「動作数移行条件記憶手段」に記憶された「動作数移行条件」に従って、自動作成するリハビリ課題のステップ数(動作数)を決定する動作数決定処理を実行するか、またはこの動作数決定処理に加えて、前述した「動作数移行条件記憶手段」に記憶された「自動実行終了条件」に従って、リハビリメニューの自動実行を終了させることを決定する自動実行終了決定処理を実行する。
【0142】
このように「目標正解率記憶手段」および「動作数移行条件記憶手段」を設け、「課題自動作成ルール」に従って、リハビリ課題を自動作成する構成とした場合には、リハビリメニューを自動実行する際に、動作数が1つ多いリハビリ課題に進むための「動作数移行条件」に従うことにより、動作数の少ないリハビリ課題から始めて、動作数の多いリハビリ課題へと適切な時間をかけて徐々に進んでいくリハビリメニューの進行制御を行うことができる。さらに、「動作数移行条件記憶手段」にリハビリメニューの自動実行を終了するための「自動実行終了条件」も記憶されていれば、適宜なタイミングでリハビリメニューの自動実行を終了させる進行制御を行うことができる。そのうえ、リハビリ課題の自動作成は、「課題自動作成ルール」に従って行われることから、ユーザに負担がかかる運動を避けることができる。このため、より効果的で、かつ、きめの細かいリハビリテーションを実現することができる。