特許第6647672号(P6647672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6647672
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】回転マグネット式発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/24 20060101AFI20200203BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20200203BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   H02K21/24 G
   H02K1/27 503
   H02K7/06 Z
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-133753(P2019-133753)
(22)【出願日】2019年7月19日
【審査請求日】2019年9月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114710
【氏名又は名称】ヤマウチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 高良
【審査官】 佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−216770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/24
H02K 1/27
H02K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形に周回するように巻かれた空芯コイルと、
前記空芯コイルの周回部分、すなわち空芯コイルの周回軌道が位置する筒形形状部分に交差するようにこの筒形形状部分を貫通して延び、回転自在な回転軸と、
前記空芯コイルの空芯部に配置され、前記空芯コイルの筒形形状部分を貫通する前記回転軸に固定されたマグネットと
を備える、回転マグネット式発電装置。
【請求項2】
前記マグネットは、前記回転軸に直交する中心軸線を有する柱状磁石である、請求項1に記載の回転マグネット式発電装置。
【請求項3】
前記柱状磁石は、前記空芯コイルの空芯部内において、前記回転軸に直交する中心軸線上に位置し、前記回転軸を挟むように配置された第1柱状磁石と、第2柱状磁石とを含み、
前記第1および第2柱状磁石は、互いの吸引磁力によって吸引保持されている、請求項2に記載の回転マグネット式発電装置。
【請求項4】
前記マグネットは、前記空芯コイルの空芯部内に位置する球状磁石である、請求項1に記載の回転マグネット式発電装置。
【請求項5】
前記球状磁石は、前記空芯コイルの空芯部内において、前記回転軸に直交する中心軸線上に位置し、前記回転軸を挟むように配置された第1球状磁石と、第2球状磁石とを含み、
前記第1および第2球状磁石は、互いの吸引磁力によって吸引保持されている、請求項4に記載の回転マグネット式発電装置。
【請求項6】
前記回転軸を回転駆動する回転駆動部をさらに備え、
前記回転駆動部は、前記空芯コイルの外に位置する前記回転軸の部分に取り付けられ、前記回転軸と一体となって回転するピニオンギヤと、前記ピニオンギヤに噛み合うように配置され、スライド移動するラックギヤとを備える、請求項1〜5のいずれかに記載の回転マグネット式発電装置。
【請求項7】
前記空芯コイルと、前記回転軸と、前記マグネットと、前記ピニオンギヤと、前記ラックギヤとを収容するケースを備え、
前記回転駆動部は、その一端が前記ケースの外に露出し、他端が前記ラックギヤに当接する押しボタンを備える、請求項6に記載の回転マグネット式発電装置。
【請求項8】
前記回転駆動部は、前記ラックギヤを一方方向に付勢するばねを備える、請求項6または7に記載の回転マグネット式発電装置。
【請求項9】
前記空芯コイルは、第1のボビンに巻かれた第1空芯コイルと、第2のボビンに巻かれた第2空芯コイルとを含み、
前記第1ボビンと前記第2ボビンとは、前記回転軸を間に挟んだ状態で端面同士が当接している、請求項1〜8のいずれかに記載の回転マグネット式発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シンプルな構造の回転マグネット式発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
操作部の操作によって発生した運動エネルギーを電磁誘導方式によって電気エネルギーに変換して発電する発電装置が知られている。このような発電装置は、例えば、トイレ室、浴室、キッチンなどの水回り設備において、電子機器を遠隔操作するリモコン装置に組み込まれている。
【0003】
特開2018−74537号公報(特許文献1)に開示されたリモコン装置は、押し操作に応じて機器を操作する操作ボタンと、上記押し操作に応じて押圧されることで電磁誘導を発生させ発電を行う発電部と、上記機器を遠隔操作するための信号を生成する電子部品を有する制御部と、上記操作ボタンの押し操作に応じて移動し上記発電部を押圧する伝達機構とを備える。伝達機構は、押し操作に応じて回転する回転カムと、回転カムの回転動作によって押圧されるリンクとを有し、操作ボタンを押す力が所定の値となるときに、回転カムとリンクとの移動方向が同一となるようにされている。操作ボタンの押し操作に伴う操作力がモータの回転軸に伝達されて、回転軸を回転させ、これにより、モータから交流の電力が発生する。
【0004】
特開2012−80702号公報(特許文献2)に開示された発電装置は、発電時に操作されるスイッチレバーと、被駆動部が駆動されることによって誘導起電力を発生させる発電機と、外力が印加されることにより弾性力を蓄積すると共に蓄積された弾性力を出力することにより被駆動部を駆動する発電用ばねと、発電用ばねに蓄積された弾性力の出力を許容するスライド部材およびピンホイールとを備えている。発電機は、被駆動部を回転させることによりコイルの内部で円筒形状の磁石を回転させ、これによりコイルを貫く磁束を変化させて誘導起電力を発生させる構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−74537号公報
【特許文献2】特開2012−80702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2018−74537号公報(特許文献1)および特開2012−80702号公報(特許文献2)に開示された発電装置では、いずれも操作部材の操作力をコイル内に配置されたロータの回転運動に変換する機構がやや複雑であり、押し力がやや硬く感じる。
【0007】
また、特開2018−74537号公報(特許文献1)や特開2012−80702号公報(特許文献2)に記載されたような複雑な構成の発電装置では、音の発生が避けられず、例えばトイレ内に設置される発電装置としてはあまり好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、シンプルな構造であって軽い押し力によって発電し、音の発生も少ない発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従った回転マグネット式発電装置は、筒形に周回するように巻かれた空芯コイルと、空芯コイルの周回部分を貫通して延び、回転自在な回転軸と、空芯コイルの空芯部に配置され、回転軸に固定されたマグネットとを備える。
【0010】
一つの実施形態では、マグネットは、上記回転軸に直交する中心軸線を有する柱状磁石である。柱状磁石は1個でも複数個でもよい。本明細書において例示的に記載した実施形態では、柱状磁石は、回転軸を挟むように配置された第1柱状磁石と、第2柱状磁石とを含む。これらの第1および第2柱状磁石は、互いの吸引磁力によって吸引保持されている。
【0011】
他の実施形態では、マグネットは、球状磁石である。球状磁石の数に制約はないが、一つの実施形態では、球状磁石は、回転軸を挟むように配置された第1球状磁石と、第2球状磁石とを含み、第1および第2球状磁石は、互いの吸引磁力によって吸引保持されている。
【0012】
回転マグネット式発電装置は、回転軸を回転駆動する回転駆動部をさらに備えていてもよい。一つの実施形態では、回転駆動部は、空芯コイルの外に位置する回転軸の部分に取り付けられ、回転軸と一体となって回転するピニオンギヤと、ピニオンギヤに噛み合うように配置され、スライド移動するラックギヤとを備える。この実施形態において、好ましくは、回転マグネット式発電装置は、上記空芯コイルと、上記回転軸と、上記マグネットと、上記ピニオンギヤと、上記ラックギヤとを収容するケースを備える。この場合、上記の回転駆動部は、その一端が前記ケースの外に露出し、他端が前記ラックギヤに当接する押しボタンを備える。好ましくは、回転駆動部は、ラックギヤを一方方向に付勢するばねを備える。
【0013】
空芯コイルの数や形状に制約はない。一つの実施形態では、空芯コイルは、第1のボビンに巻かれた第1空芯コイルと、第2のボビンに巻かれた第2空芯コイルとを含む。この場合、第1ボビンと第2ボビンとは、上記回転軸を間に挟んだ状態で端面同士が当接している。
【発明の効果】
【0014】
上記構成の本発明によれば、シンプルな構造の回転マグネット式発電装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る回転マグネット式発電装置を示す図解図である。
図2】本発明の他の実施形態に係る回転マグネット式発電装置を示す図解図である。
図3】本発明のさらに他の実施形態に係る回転マグネット式発電装置を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る回転マグネット式発電装置は、例えばトイレ用のリモコンの電池レス発電装置として利用され得るものであるが、他の用途に使用することも可能である。
【0017】
回転マグネット式発電装置は、基本的な構成として、筒形に周回するように巻かれた空芯コイルと、空芯コイルの周回部分を貫通して延び、回転自在な回転軸と、空芯コイルの空芯部に配置され、回転軸に固定されたマグネットとを備える。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る回転マグネット式発電装置の図解図である。回転マグネット式発電装置1は、主要な構成部品を収容するケース2と、ケース内に配置された第1空芯コイル3と、第2空芯コイル4と、第1および第2空芯コイル3,4の周回部分を貫通して延び、回転自在な回転軸5と、第1および第2空芯コイル3,4の空芯部に配置され、回転軸5に固定された第1および第2柱状磁石7,8とを備える。
【0019】
第1空芯コイル3は、両端フランジ付の円筒形の第1のボビン3aの外周面上に巻かれている。第2空心コイル4は、両端フランジ付の円筒形の第2のボビン4aの外周面上に巻かれている。第1ボビン3aの下部フランジと第2ボビン4aの上部フランジとはその面同士が当接するように設けられている。
【0020】
回転軸5は、第1ボビン3aの下部フランジと第2ボビン4aの上部フランジとに挟まれて延びている。回転軸5を受け入れるために、第1ボビン3aの下部フランジには下方開放の半円形溝部が設けられ、第2ボビン4aの上部フランジには上方開放の半円形溝部が設けられている。回転軸5は、上下に対向する2つの半円形溝部によって形成された貫通穴内を回転自在に挿通している。
【0021】
第1および第2ボビン3a、4aはケース2に固定され、回転軸5はその両端がケース2に回転自在に支持されている。回転軸5は、空芯コイル3,4の周回部分を貫通して延びている。ここで「コイルの周回部分」とは、第1および第2ボビンに巻かれている空心コイル3,4の周回軌道が位置する筒形形状部分である。図1に示した実施形態のように第1空芯コイル3および第2空芯コイル4が離れて位置する場合、第1空芯コイル3と第2空芯コイル4との間に位置する領域も「コイルの周回部分」に含まれる。
【0022】
コイルを巻くボビンの形状は円筒形に限られず、四角形等の角形であっても良い。また、空芯コイルの数は、2個に限られず、1個または3個以上であっても良い。
【0023】
空芯コイル3,4の空芯部に配置されるマグネットとして、図示した実施形態では、2個の柱状磁石7,8が用いられている。2個の柱状磁石7,8は円柱形状の磁石であり、回転軸5を挟むように配置されている。柱状磁石7,8の中心軸線Aは回転軸5の回転軸線Bに直交している。回転軸5には、空芯コイル3,4の空芯部内で回転軸5を取り囲む樹脂製の扁平円盤部6が固定されている。2個の柱状磁石7,8の底面部は扁平円盤部6上に位置するようにされており、2個の柱状磁石7,8は互いの吸引磁力によって吸引保持されている。磁石のN極およびS極の位置関係は、図1に示した通りである。
【0024】
回転軸5が回転駆動されると、電磁誘導により空芯コイル3,4に電流が流れて発電する。図示を省略したが、空芯コイル3,4には発生した電流を取出す電流取出し部が接続されている。電流取出し部は、例えば、電波発信機を含む。
【0025】
図1に示した回転マグネット式発電装置は、回転軸5を回転駆動する回転駆動部を備える。回転駆動部は、空芯コイル3,4の外に位置する回転軸5を挿通させているピニオンギヤ9と、ピニオンギヤ9に噛合うように配置され、スライド移動するラックギヤ11とを含む。ピニオンギヤ9は、回転軸5に固定されて正転方向および逆転方向の両方向において回転軸5と一体となって回転するものであっても良いし、ワンウェイクラッチを介して回転軸5に取り付けられるものであっても良い。ワンウェイクラッチを介する場合には、ピニオンギヤ9は正転方向では回転軸5と一体となって回転するが、逆転方向では回転軸5に対してフリーな状態となる。
【0026】
ピニオンギヤ9およびラックギヤ11はケース2内に収容されている。ラックギヤ11は、ケース2に対して直線的にスライド可能に設けられており、その一端部がケース2の外に露出して押しボタン12を構成している。図示した実施形態では、ラックギヤ11と押しボタン12とを共通の部材で一体的に形成しているが、それらを別部材で構成するようにしても良い。
【0027】
ラックギヤ11の先端部とケース2との間に戻しばね13が配置されている。また、ピニオンギヤ9と第1および第2ボビン3a,4aとの間に位置する回転軸5の部分にスペーサ10が配置されている。ピニオンギヤ9とケース2との間に調整ばね14が配置され、ピニオンギヤ9を常にスペーサ10側に向かって付勢している。
【0028】
押しボタン12を図において矢印Dの方向に押し込むと、ラックギヤ11が矢印D方向に移動し、それに伴ってピニオンギヤ9が回転軸5と一体となって回転する。この回転軸5の回転に伴い、2個の柱状磁石7,8が回転軸線Bの回りを回転し、電磁誘導により空芯コイル3,4に電流が流れて発電する。
【0029】
押しボタン12への押し力を解放すると、戻しばね13の作用によりラックギヤ11は矢印Eの方向に移動し、押しボタン12も元の位置に復帰する。ラックギヤ11の逆方向への戻り動作によってピニオンギヤ9も逆方向に回転する。ピニオンギヤ9と回転軸5との間にワンウェイクラッチを介在させれば、ピニオンギヤ9の逆方向の回転は回転軸5に伝達されない。これにより、押しボタンを離したときには発電しない構成としている。
【0030】
図示した実施形態では、回転駆動部をピニオンギヤ9とラックギヤ11とによって構成したが、他の構造物を採用し得る。例えば、回転軸5をハンドル等を介して直接回転させるような構造であっても良い。
【0031】
回転軸5に取り付けられる柱状磁石は、円柱形状に限られるものではなく、断面形状が角形であっても良い。また、柱状磁石の数は、1個でもよいし、3個以上であっても良い。さらに、2個の柱状磁石を用いる場合に、2個の柱状磁石の形状および大きさが同じであっても良いし、異なったものであっても良い。
【0032】
図2は、本発明の他の実施形態に係る回転マグネット式発電装置の図解図である。図1に示した実施形態と同じ要素に関しては、同一の参照番号を付している。
【0033】
図2に示した実施形態では、空芯コイル3,4の空芯部内において回転軸5に固定されるマグネットとして、同一の大きさの2個の球状磁石22,23が設けられている。回転軸5には樹脂製の球体受け部21が設けられており、2個の球状磁石22,23は球体受け部21を挟むように配置され、互いの吸引磁力によって吸引保持されている。2個の球状磁石の中心を結ぶ線Aは、回転軸5の回転軸線Bに直交している。
【0034】
図3に示した実施形態では、空芯コイル3,4の空芯部内において回転軸5に固定されるマグネットとして、異なった大きさの2個の球状磁石24,25が設けられている。回転軸5には樹脂製の球体受け部21が設けられており、異なった大きさ2個の球状磁石24,25は球体受け部21を挟むように配置され、互いの吸引磁力によって吸引保持されている。この実施形態においても、2個の球状磁石24,25の中心を結ぶ線Aは、回転軸5の回転軸線Bに直交している。
【0035】
図2および図3に示す実施形態では、2個の球状磁石を設けていたが、球状磁石の数に制約はない。
【0036】
図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではなく、本発明と同一の範囲または均等な範囲内において種々の変更や追加が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、シンプルな構造の回転マグネット式発電装置として有利に利用され得る。
【符号の説明】
【0038】
1 回転マグネット式発電装置、2 ケース、3 第1空芯コイル、3a 第1ボビン、4 第2空芯コイル、4a 第2ボビン、5 回転軸、6 扁平円盤部、7 第1柱状磁石、8 第2柱状磁石、9 ピニオンギヤ、10 スペーサ、11 ラックギヤ、12 押しボタン、13 戻しばね、14 調整ばね、20 回転マグネット式発電装置、21 球体受け部、22,23 球状磁石、30 回転マグネット式回転装置、24,25 球状磁石、A 中心軸線、B 回転軸線、D 押し方向、E 戻し方向。
【要約】
【課題】シンプルな構造であって軽い押し力によって発電し、音の発生も少ない発電装置を提供する。
【解決手段】回転マグネット式発電装置(1)は、筒形に周回するように巻かれた空芯コイル(3,4)と、空芯コイルの周回部分を貫通して延び、回転自在な回転軸(5)と、 空芯コイルの空芯部に配置され、回転軸に固定されたマグネット(7,8)とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3