(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、地面に雑草が繁茂することを防止するための手段の一つとして、防草シートを敷設することがあげられる。また、防草シートを敷設する際には、防草シートを地面に押さえ付けるための押さえ具が必要となる。
【0003】
従来の押さえ具としては、2つの孔部が表面に形成された円板状のワッシャと、U字形のアンカーとからなるものがある(特許文献1参照)。具体的には、作業者が、ワッシャを防草シートにおける地面に固定したい部位に載置し、アンカーをワッシャの2つの孔部に差し込む。これにより、アンカーが防草シートを貫通して地面に差し込まれるとともに、防草シートにおけるワッシャによって覆われた領域が、地面に密着した状態で維持される。その結果、防草シートが地面から剥がれにくくなり、地面が防草シートによって覆われた状態で維持される。
【0004】
しかしながら、上記U字形のアンカーは、一対の棒状部分が互いに平行であるため、ワッシャに対して下から上に突き上げるような力が加わった場合に、ワッシャとともにアンカーが上方に移動し、アンカーが地面から抜けてしまうおそれがある。このような課題を解消するものとして、地面に差し込まれたアンカーが地面から容易に抜けないことにより、防草シートで地面を覆った状態を安定して保つことを可能とするシート押さえ用ワッシャが特許文献2に記載されている。
【0005】
特許文献2に記載のシート押さえ用ワッシャは、平板部材に、軟鋼からなる棒状部材を略U字状に折り曲げてなるアンカーを挿入する少なくとも2つの貫通孔を形成してなる、地面に敷設されたシート上に載置されるシート押さえ用ワッシャであって、2つの貫通孔は、平板部材の表面から厚さ方向に延び、更に、厚さ方向の所定部位から斜め方向に延びて裏面に到達するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に記載されるようなワッシャは、例えば、霜がおりた場合に、上方に押し上げる力が働く。また、強風によってもワッシャは上方に押し上げる力が働く。この場合、ワッシャがシートから外れるとワッシャを紛失してしまう場合がある。
【0008】
本発明は、このような課題を解決し、シート押さえ具がシートから外れないようにすることを実現したシート押さえ具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備えている。
【0010】
(1) 本発明に係るシート押さえ具は、地面に敷設された
シートに結合されるシート押さえ具であって、
湾曲した板状部材と、前記板状部材の裏面に設けられ、前記シートと結合するシート結合部とを備え、
前記シート結合部は、前記シートを貫通する尖頭部
と、前記板状部材に接続された支持部と、前記支持部と前記尖頭部とに接続され、前記支持部の下端の外周及び前記尖頭部の根元の外周よりも外周が小さいシート挿入部とを備え、前記シート挿入部と前記尖頭部との断面は矢印となって
おり、
前記シート結合部の前記尖頭部の根元と、前記支持部の下端との間の間隔は、前記シートの厚さを超え、10mm以下に設定されており、
前記支持部と前記シート挿入部との境界及び前記シート挿入部と前記尖頭部との境界には段差が設けられている、シート押さえ具である。
【0011】
(2) (1)に記載のシート押さえ具において、
前記板状部材の下端は、前記板状部材の外周にあり、前記板状部材の下端と、前記シート結合部の前記尖頭部の根元とはほぼ同じ高さとすることができる。
【0013】
(
3) (
1)に記載のシート押さえ具において、
前記板状部材の下端は、前記板状部材の外周にあり、前記板状部材の下端は、前記シート結合部の前記尖頭部の根元と、前記支持部の下端との間の高さに位置していることが望ましい。
【0014】
(
4) (1)から(
3)のいずれかに記載のシート押さえ具において、前記尖頭部は錐体とすることができる。
【0015】
(
5) (
4)に記載のシート押さえ具において、前記錐体の側面に該側面に垂直な複数の羽根部を有することができる。
【0016】
(
6) (1)から(
5)のいずれかに記載のシート押さえ具において、前記板状部材は、略U字状に折り曲げてなるアンカーを挿入する少なくとも2つの凹部又は貫通孔を有してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シートとシート押さえ具とが結合され、シート押さえ具がシートから外れないようにすることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態におけるシート押さえ具の外観を示す斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態におけるシート押さえ具1の外観を示す説明図であり、
図2(a)は表面(上面)側を示す上面図、
図2(b)は
図2(a)のAA線断面図、
図2(c)は裏面(下面)側を示す下面図である。
【0020】
シート押さえ具1は、板状部材に相当する湾曲した円板部10と、円板部10の下面(裏面)側に設けられたシート結合部25とを備えている。
円板部10の表面(上面)には、2箇所に形成された貫通孔を形成する凹部21a,21bと、凹部22と、直線溝23a,23bとを備えている。
【0021】
凹部21a、21bは、
図2(b)に示すように、上面側の開口から外側に向かって斜め方向に向かって延びる凹部となっている。このように凹部21a、21bが外側に向かって斜め方向に向かって延びることでU字形のアンカーを凹部21a、21bをハンマー等で打ち込んだときに、凹部21a、21bの底面を貫通したU字形のアンカーの一対の棒状部分は「ハ」の字状に延びていく。この点について
図4を用いて後述する。
凹部22は
図2(b)に示す支持部25cを「コ」の字状の中空台で構成するために設けられたもので、支持部25cを中空台でない円柱等で構成する場合には設けなくともよい。
直線溝23a,23bは、アンカーを「コ」の字状としたときに、「コ」の字状の折り曲げ部が入り込むガイドとなるもので、アンカーをU字状とする場合には設けなくともよい。
【0022】
円板部10は、硬質の樹脂あるいは金属からなる板状部材であるが、耐候性及び強度を確保できれば、特に材質は限定されない。円板部10の大きさは特に限定されないが、ここでは直径80mmとしている。
円板部10の表面側において、凹部22は、
図2(a)に示すように、円板部10の中心部に設けられており、凹部21a、21bは中心を挟むように配置されている。円板部10を上面視した場合、凹部22と、2つの凹部21a、21bとは、円板部10の中心を通る同一直線上に配置されている。凹部21a、21bの間隔は特に限定されないが、ここでは凹部21a、21bの上部開口の中心の間隔が44mmに設定されている。
【0023】
円板部10の裏面(下面)側には台形状の突出し部24a、24bと、直線状の突出し部26a、26bと、中空の円柱状のシート結合部25と、が設けられている。
シート結合部25は、尖頭部25aと、シート挿入部25bと、支持部25cとを備えている。シート挿入部25bの外周は、尖頭部25aの根元及び支持部25cの下端の外周よりも小さくなっている。シート結合部25の尖頭部25aを含む断面の一部(ここでは、尖頭部25aとシート挿入部25bの断面)は矢印状となっている。
シート結合部25の尖頭部25aを含む断面の一部が矢印状となっていることで、尖頭部25aが防草シート100を貫通すると、防草シート100がシート挿入部25bに入り込み、シート結合部25とが結合する。支持部25cは防草シート100の可動範囲を規制するが、なくともよい。
突出し部24a、24bは、凹部21a、21bを構成するために設けられたものである。U字形のアンカーを凹部21a、21bに打ち込んだときに、凹部21a、21bの底面から突出し部24a、24bの上面を突き抜けた、U字形のアンカーの一対の棒状部分は「ハ」の字状に延びていく。
直線状の突出し部26a、26bは、直線溝23a,23bを構成するために設けられたものである。直線溝23a,23bを設けない場合は、設けなくともよい。
【0024】
円板部10の下端と、シート結合部25の尖頭部25aの根元の位置とは、同じ高さとなるように配置される。ここで、同じ高さとは完全同一であることを意味せず、円板部10の下端は、所定の範囲で、シート結合部25の尖頭部25aの根元の位置より高くても低くてもよい。通常は、防草シート100の厚さを考慮して、防草シート100の厚さ部分だけ、円板部10の下端を、シート結合部25の尖頭部25aの根元の位置より高くすることが好ましい。
円板部10の下端がシート結合部25の尖頭部25aの根元よりも低すぎると円板部10の内部で、防草シート100が地面から浮くことになり、円板部10の下端がシート結合部25の尖頭部25aの根元よりも高すぎると尖頭部25aが地中に入り込み、尖頭部25aの根元でシートの可動範囲を規制することが難しくなる。
【0025】
支持部25cを設ける場合は、円板部10の下端はシート結合部25の尖頭部25aの根元と、支持部25cの下端との間(
図3(b)の間隔d内)の高さに位置することが望ましい。支持部25cを設けると、シート結合部25の尖頭部25aの根元と、支持部25cの下端との間に、防草シート100を挟みこむことができるので、防草シート100の上下移動をより規制することができる。間隔dは防草シート100の厚さを超え、10mm以下に設定することが望ましい。所定の範囲は支持部25cの有無によらず、この範囲とすることが望ましい。
【0026】
尖頭部25aは、円錐25a−1の側面に4本の羽根部25a−2が付いて構成される。尖頭部25aの形状は、かかる形状に限定されず、例えば、羽根部のない円錐、三角錐,四角錐等の角錐でもよい。本願においては、これらの形状を含めて錐体という。なお、錐体の先端は角に丸み(R)がついていてもよい。尖頭部25aの形状は、シートが貫通可能な形状であればよく、例えば砲弾状、横断面が十字等の放射状となるように三角羽根を複数組み合わせた立体形状等であってもよい。
尖頭部25aは防草シート100を貫通して尖頭部25aが防草シート100の裏面に突き出し、防草シート100はシート挿入部25bに入る。こうして防草シート100は、尖頭部25aと支持部25cとの間のシート挿入部25bに入り、シート押さえ具1と結合される。
尖頭部25aを設けることで、シート結合部25はシートを貫通可能となる。そして、防草シート100とシート押さえ具1とが結合することで、シート押さえ具1が防草シート100から外れることはなくなる。
【0027】
シート押さえ具1は、
図1に示すように、アンカー50とともに用いられる。アンカー50は、軟鋼からなる円柱形の棒状部材を略U字状に折り曲げてなるものであり、中央の折り曲げ部50aと、折り曲げ部50aの両側から直線状に延びる棒状部50b、50bとからなる。棒状部50b、50bは互いに平行である。
【0028】
アンカー50の太さは、凹部21a、21bの上面の開口のよりも小さい(例えば、4mm)。また、本実施形態によれば、棒状部50b、50bの間隔は44mmに設定されている。このため、アンカー50の両端部は、凹部21a、21bの上面側の開口に同時に挿入することが可能である。
【0029】
次に、本実施形態のシート押さえ具1の使用方法について説明する。
図4は本発明の本実施形態のシート押さえ具1の使用方法を示す説明図である。
まず、作業員は、
図1に示すように、地面に敷かれた防草シート100上にシート押さえ具1を、表面を上にして載置し、シート押さえ具1を押圧する。すると、
図3(a)に示すように、シート押さえ具1のシート結合部25は防草シート100を貫通して、シート押さえ具1と防草シート100とが結合する。また、シート押さえ具1のシート結合部25は地面に入りこむので、防草シート100を固定する機能も有している。
【0030】
次に、作業員は、
図4(a)に示すように、アンカー50の両端を凹部21a、21aの開口に挿入する。このときアンカー50の両端は傾斜した凹部21a、21aに沿って曲がる。その後、アンカー50をハンマー等を用いて打ち込む。アンカー50を打ち込むと、
図4(b)に示すように、棒状部50b、50bが凹部21a、21bの底面を突き抜けて、「ハ」の字状に斜め方向に送り出される。これにより、
図4(c)に示すように、棒状部50b、50bが地面に対して斜め方向から差し込まれる。そして、アンカー50の折り曲げ部50aがシート押さえ具1に到達するまで、棒状部50b、50bを地面に差し込む。
以上の作業によって、防草シート100がシート押さえ具1及びアンカー50によって地面に固定される。
【0031】
そして、防草シート100の複数箇所を、シート押さえ具1とアンカー50とを用いて地面に固定することにより、
図5に示すように、防草シート100の固定作業が完了する。
【0032】
以上説明したように構成された本実施形態によれば、防草シート100とシート押さえ具1とをシート結合部25によって結合することで、例えば霜がおりた場合に、シート押さえ具1に上方に押し上げる力が働いても、シート押さえ具1は、結合された防草シート100により下方向に引き戻す力を受ける。また、シート押さえ具1は、防草シート100と結合されているので、防草シート100から外れることはない。また、シート押さえ具1のシート結合部25は地面に入りこむので、防草シート100を固定することもできる。
【0033】
防草シート100上にシート押さえ具1を載置し、シート押さえ具1の表面から凹部21a、21bにアンカー50を差し込むことにより、アンカー50は凹部21a、21bを通過する際に屈曲し、アンカー50を打ち込むことにより、アンカー50はシート押さえ具1の裏面から斜め方向に延びる。このため、防草シート100を貫通したアンカー50は、地面に対して斜め方向に差し込まれる。これにより、シート押さえ具1に対して下から上に突き上げるような力が加わった場合に、アンカー50が上方に移動しようとする際の抵抗が大きくなり、アンカー50及びシート押さえ具1が上方に移動しにくくなるため、地面を防草シート100で覆った状態を安定して保つことが可能になる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明に係る実施形態は、上述した実施形態に限るものではない。
例えば、凹部21a、21bの形状は特に限定されず、特許文献1の
図2のようにU字形のアンカーを用いた場合は円筒状となる。凹部21a、21bの形状は、特許文献2の
図5及び
図6に記載された貫通孔を形成するように構成してもよい。
なお。ここでは、アンカーをハンマー等で打ち込むことで、凹部21a、21bの底面を、アンカーを貫通させて貫通孔を形成しているが、凹部21a、21bの底面をなくして貫通孔を形成した状態でシート押さえ具を構成してもよい。
【0035】
また、上述した実施形態によれば、凹部の数が2つであるが、それ以上であってもよい。また、上述した実施形態によれば、略U字形のアンカー50を差し込む例について説明したが、例えば、上端部が鉤状に形成された2本のアンカーを、2つの凹部21a、21bにそれぞれ挿入してもよい。
上述した実施形態では、シート押さえ具で固定するシートとして防草シートを例にとって説明したが、特に防草シートに限定されず、例えばレジャー用シートであってもよい。
また、板状部材は湾曲した円板部10を用いたが、平板状の円板を用いてもよい。また板状部材の形状は円形に限定されず、他の形状、例えば四角を含む多角形、楕円形等であってもよい。