(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647726
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】電位治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/10 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
A61N1/10
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-204743(P2017-204743)
(22)【出願日】2017年10月23日
(65)【公開番号】特開2019-76336(P2019-76336A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2019年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】598162562
【氏名又は名称】株式会社白寿生科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100074387
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 善蔵
(72)【発明者】
【氏名】北野 利明
【審査官】
近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−264242(JP,A)
【文献】
特開2014−004236(JP,A)
【文献】
特開平07−039590(JP,A)
【文献】
実開昭56−033942(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3203547(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を昇圧して高電圧を生じさせる高圧トランスと、前記高圧トランスにより発生した高電圧が印加される電極と、前記高圧トランスと前記電極との間に接続され、前記電極からの漏えい電流の値を抑制する保護抵抗器と、を備え、
前記電極を絶縁した状態で被治療者に対して高電圧を加えて治療を行う電位治療装置であって、
前記電極からの漏えい電流の値を調整する調整手段を設け、
前記調整手段は、前記高圧トランスと前記電極との間に調整抵抗器を設けたものである、
ことを特徴とする電位治療装置。
【請求項2】
高電圧が印加される電極を少なくとも2つ有し、これら電極間に電界を発生させて被治療者に対して高電圧を加える電位治療装置で、
これら電極のうち少なくとも1つの電極からの漏えい電流の値を調整する調整手段を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の電位治療装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記電極を選択的に接続する複数の出力端子を備え、
これら出力端子と調整手段の入力側との間に、各出力端子からの出力電流の値が異なるように、所定の抵抗値の調整抵抗器をそれぞれ介在した
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電位治療装置。
【請求項4】
前記調整手段は、前記電極を接続する1つの出力端子を備え、
該出力端子と調整手段の入力側との間に、出力端子からの出力電流の値を調整する調整抵抗器と、該調整抵抗器を迂回するバイパス回路とを有し、
該バイパス回路に導通の可否を選択する切替スイッチを設けた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電位治療装置。
【請求項5】
前記調整手段の調整抵抗器が可変抵抗器で構成され、該可変抵抗器の抵抗値を可変することより出力端子の出力電流の値を調整する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電位治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療中の体感を調整することが可能な電位治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧トランス(変圧器)を使用して商用電源の電圧を昇圧し、高電圧を発生させる装置として、頭痛や肩こり等の治療を行う電位治療装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この電位治療装置は、高圧トランスによって発生させた高電圧を電極に印加し、大地から絶縁された人体の患部または全身に高電圧を加えて治療を行う装置である。
【0003】
図5は、このような電位治療装置の従来例として示す、電位治療装置100の構成の例を示す斜視図である。また、
図6は、
図5の電位治療装置100の機能構成の例を示す機能ブロック構成図である。この電位治療装置100は、外観として被治療者Hが着座する椅子101と、電位治療装置100の操作を行うために椅子101の肘掛に配設された手元操作部102と、通電部103,104と、を備え、内部の機能構成として、電源プラグ105と、メインスイッチ106と、出力スイッチ107と、AC/DC変換器108と、高圧トランス109と、マイコン110と、操作部111と、電極112,113と、LED114とを備えている。
【0004】
通電部103,104は、被治療者Hに高電圧を加えるため、それぞれ電極112,113に絶縁部材を覆って構成されている。通電部103は、椅子101に被治療者Hが着座した時に被治療者Hの頭上に位置するように、椅子101の背もたれの上部に配設されている。通電部104は、椅子101に被治療者Hが着座した時に被治療者Hの足下に位置するように、椅子101の前方の床上に配設されている。
図5に示すように、この電位治療装置100に被治療者Hが着座した状態で駆動されると、電極112と113とにそれぞれ高電圧が印加され、通電部103と通電部104との間で電界が発生して治療が行われる。なお、通電部103,104には逆位相の高電圧が印加されるようになっている。
【0005】
高圧トランス109は電位治療装置100の椅子101の背面下部に設けられたケース体(図示は省略する。)に内蔵され、このケース体から電源コードが延出され、その先端に電源プラグ105が設けられている。また、ケース体にはメインスイッチ106が設けられ、メインスイッチ106のオンで当該電位治療装置100への給電がなされ、電位治療装置100がスタンバイ状態となる。
【0006】
出力スイッチ107は、メインスイッチ106と高圧トランス109との間に配置され、マイコン110により制御される。マイコン110は、操作部111の操作により制御され、この操作部111は
図5における手元操作部102に配設されている。
【0007】
手元操作部102にはLED114とスイッチ(図示は省略する。)とが配置され、該スイッチを操作するとマイコン110を制御し、出力スイッチ107のオン/オフ制御及びLED114の点灯/消灯を行なうようになっている。AC/DC変換器108は、メインスイッチ106とマイコン110との間に配置され、メインスイッチ106をオン状態にしたときに電源プラグ105からの交流(AC)を直流(DC)に変換してマイコン110に給電する。電極112,113には、高圧トランス109によって発生された高電圧が印加される。
【0008】
この電位治療装置100は、電源プラグ105から給電されてメインスイッチ106をオン状態にすると操作部111の操作待ち(スタンバイ状態)となる。次に操作部111の操作により、マイコン110を制御して出力スイッチ107をオン状態にすると高圧トランス109により高電圧が発生され、電極112,113に高電圧が印加されて、通電部103と通電部104との間に電界が発生する。これと同時にマイコン110の制御により上記LED114が発光する。
【0009】
特許文献1は上述のような電位治療装置100と同様な電位治療器を示すもので、表示・入力制御回路14により、高圧トランスT1の出力制御及び表示手段の表示/非表示の制御を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2017−038836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、電位治療装置100は安全性の観点から、JIS規格において導子部からの漏えい電流の値が規定されている。
【0012】
そこで、電位治療装置100の高圧トランス109の出力側に保護抵抗器(図示は省略する。)を設け、通電部(導子部)103,104からの漏えい電流が「JIS規定値以下」になるようにしている。
【0013】
この漏えい電流が大きいと被治療者Hはビリビリ感を強く感じる。このビリビリ感は人によっては、電気、電流、電界等に対する恐怖心を生じさせたりする場合があるため、実際には漏えい電流値をJIS規定値の最大値よりも比較的弱い値になるように設定している場合が多い。
【0014】
ビリビリ感は、電位治療装置100での治療中の体感のひとつであり、通常の治療においても被治療者Hが体感できるものであるが、被治療者Hが周囲の壁(接地)などに体の一部を近づけたりすると、壁と体の一部との間で生ずる軽い放電現象で、被治療者Hはより強い「ビリビリ」とした感覚を受ける。
【0015】
これは電位治療装置100で治療をしていると被治療者Hの人体電位が高くなり、周囲の壁などとの間に電位差が生じるためである。
【0016】
そして、高圧トランス109の出力電流の値が大きいと通電部103,104の漏えい電流の値が大きくなって被治療者Hの人体電位が高くなる。逆に高圧トランス109の出力電流の値が小さいと人体電位が低くなる。
【0017】
また、被治療者Hの人体電位は、通電部103,104の電極112,113と被治療者Hとの距離(間隔)に反比例し、その距離が大きいと上記人体電位は低く、逆にその距離が小さいと人体電位が高くなる。
【0018】
このビリビリ感は人によって感じ方が異なり、電位治療装置100の置かれた環境、例えば、湿度、温度などによっても異なって感じられる。
【0019】
また、長年、電位治療を行うことにより慣れが生じ、ビリビリ感が感じにくくなる場合もある。
【0020】
一方、電位治療装置100で発生する電界は不可視なものであり、被治療者Hによっては、上記「ビリビリ感」によって「治療中」であることを認識するため、わざわざ体の一部を壁等に近づけたりすることが行なわれることがある。
【0021】
そして、ビリビリ感が弱くなったと感じるようになったとき(環境、慣れなどで)、被治療者Hは電位治療装置100が故障したと誤認してしまうことがある。
【0022】
そこで本発明は、電極からの漏えい電流の値を調整可能にする電位治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、入力電圧を昇圧して高電圧を生じさせる高圧トランスと、前記高圧トランスにより発生した高電圧が印加される電極と、前記高圧トランスと前記電極との間に接続され、前記電極からの漏えい電流の値を抑制する保護抵抗器と、を備え、前記電極を絶縁した状態で被治療者に対して高電圧を加えて治療を行う電位治療装置であって、前記電極からの漏えい電流の値を調整する調整手段を設け
、前記調整手段は、前記高圧トランスと前記電極との間に調整抵抗器を設けたものである、ことを特徴とする。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電位治療装置において、高電圧が印加される電極を少なくとも2つ有し、これら電極間に電界を発生させて被治療者に対して高電圧を加える電位治療装置で、これら電極のうち少なくとも1つの電極からの漏えい電流の値を調整する調整手段を設けたことを特徴とする。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電位治療装置において、前記調整手段は、前記電極を選択的に接続する複数の出力端子を備え、これら出力端子と調整手段の入力側との間に、各出力端子からの出力電流の値が異なるように、所定の抵抗値の調整抵抗器をそれぞれ介在した、ことを特徴とする。
【0026】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電位治療装置において、前記調整手段は、前記電極を接続する1つの出力端子を備え、該出力端子と調整手段の入力側との間に、出力端子からの出力電流の値を調整する調整抵抗器と、該調整抵抗器を迂回するバイパス回路とを有し、該バイパス回路に導通の可否を選択する切替スイッチを設けた、ことを特徴とする。
【0027】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電位治療装置において、前記調整手段の調整抵抗器が可変抵抗器で構成され、該可変抵抗器の抵抗値を可変することより出力端子の出力電流の値を調整するようにした、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1に記載の発明によれば、
高圧トランスと電極との間に調整抵抗器を設けたので、
簡便な構成で漏えい電流の値を調整することが可能で、ビリビリ感を調整することができ、被治療者の好みに合わせて設定することができ、また、ビリビリ感が弱くなったとき設定を変更することにより電位治療装置の故障と誤認されることを防止することができる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の電位治療装置と同様に、電極の漏えい電流の値を調整することができるとともに、2つの電極間に電界を形成するようにしたので、安定した電界を形成することができ、治療効率の向上を期待することができる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の電位治療装置において、調整手段に高圧トランスの出力電流の値が異なる複数の出力端子を備えたので、これら複数の出力端子に選択的に電極を接続することができ、簡便にビリビリ感を変更することができる。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の電位治療装置において、調整手段を切替スイッチで構成し、該切替スイッチの切替により出力端子の電流値を調整するので、簡便にビリビリ感を変更することができる。
【0032】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の電位治療装置において、調整手段を可変抵抗器で構成し、該可変抵抗器の抵抗値を可変することより出力端子の電流値を調整するので、簡便にビリビリ感を変更することができ、しかも無段階での調整を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る電位治療装置1の機能構成を示す機能ブロック構成図である。
【
図2】
図1の高圧トランス19及び調整装置25を示す回路構成図である。
【
図3】この発明の実施の形態2に係る高圧トランス19及び調整装置25Aを示す回路構成図である。
【
図4】この発明の実施の形態3に係る高圧トランス19及び調整装置25Bを示す回路構成図である。
【
図5】従来例である電位治療装置100の構成の例を示す斜視図である。
【
図6】
図5の電位治療装置100の機能構成の例を示す機能ブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1及び
図2は、この実施の形態に係る電位治療装置1を示し、
図1は、この電位治療装置1の機能構成を示す機能ブロック構成図である。この電位治療装置1は、高圧トランスによって発生させた高電圧を電極に印加し、大地から絶縁された人体の患部または全身に高電圧を加えて治療を行う装置であり、
図5の電位治療装置100と同様に、外観として被治療者Hが着座する椅子11と、電位治療装置1の操作を行うために椅子11の肘掛に配設された手元操作部12と、通電部13,14と、を備えている。
【0036】
また、電位治療装置1は、
図6の電位治療装置100と同様に、内部の機能構成として、電源プラグ15と、メインスイッチ16と、出力スイッチ17と、AC/DC変換器18と、高圧トランス19と、マイコン20と、操作部21と、電極22,23と、LED24とを備えており、さらに、調整装置(調整手段)25を備えている。すなわち、実施の形態1に係る電位治療装置1が
図6で例示した従来の電位治療装置100と相違する点は、調整装置25を備えている点である。なお、電極22,23には逆位相の高電圧が印加されるようになっている点は上記従来の電位治療装置100と同様である。
【0037】
調整装置25は、被治療者Hの頭上に位置する電極22と、被治療者Hの足下に位置する電極22,23からの漏えい電流を調整するための装置であり、高圧トランス19と電極22,23との間に接続されている。なお、調整装置25は電極22,23のどちらか、もしくは両方に接続することが可能であるが、ここでは被治療者Hの足下に位置する電極22,23に調整装置25を接続するものについて説明する。
【0038】
図2は、
図1の高圧トランス19及び調整装置25を示す回路構成図である。
【0039】
高圧トランス19は、電極22,23に高電圧を印加する装置であり、電磁誘導によって電圧を発生させ、コイルの巻き数によって電圧を昇圧する装置である。
【0040】
高圧トランス19の後段には保護抵抗器26を介して調整手段25が設けられ、この調整手段25は、所定の抵抗値の調整抵抗器251とバイパスライン252とが保護抵抗器26の後段に接続されており、調整抵抗器251の後段に第1の出力端子253が、また、バイパスライン252の後段が第2の出力端子254となっている。
【0041】
保護抵抗器26は、上記従来の電位治療装置100で説明したように電極22,23からの漏えい電流がJISの規定値以下になるようにするためのものである。
【0042】
第2の出力端子254は、保護抵抗器26の中間部位に接続されており、第1の出力端子253よりも漏えい電流は多くなる。そのため第2の出力端子254に電極22,23が接続された時にJISの規定値以下となるようにする。
【0043】
しかして、実施の形態1に係る電位治療装置1にあっては、出力電流の値の異なる第1の出力端子253と第2の出力端子254とを有するため、選択的に電極22,23を出力端子253又は254に接続することにより電極22,23からの漏えい電流の値を調整することができる。
【0044】
即ち、電極22,23を、電位治療装置1の第1の出力端子253に接続している場合には、ビリビリ感がやや弱く感じ、第2の出力端子254に接続している場合にはビリビリ感がやや強く感じることになる。
【0045】
したがって、被治療者Hがビリビリ感をあまり感じたくなければ電極22,23を第1の出力端子253に接続し、ビリビリ感をより強く感じたければ電極22,23を第2の出力端子254に接続する。
【0046】
このように本発明に係る電位治療装置1にあっては、電極22,23を第1の出力端子253に接続した状態で電位治療装置1を使用すると、所定の強さの「ビリビリ感」を体感するのに対し、第2の出力端子254に接続した状態で電位治療装置1を使用すると、第1の出力端子253に接続した状態よりも強い「ビリビリ感」を体感することができる。
【0047】
そこで、被治療者Hが所定の強さの「ビリビリ感」に慣れてしまった場合に、電極22,23に接続される配線を第2の出力端子254に差し替えることでより強い「ビリビリ感」を体感することができ、電気的刺激による「ビリビリ感」を制御することが可能であるため、より満足度の高い治療を行うことができる。
【0048】
また、調整装置25は、調整抵抗器251と、バイパスライン252と、出力端子253,254とから構成されているので、簡便な構成で漏えい電流の値を調整することが可能である。
【0049】
なお、この実施の形態1では、バイパスライン252を1つだけ設けたものについて説明したが、バイパスラインを複数設けて、そのうちの1つは出力端子を後段に直接設けて、他のバイパスラインには異なった抵抗値の調整抵抗器をそれぞれ設けるようにすれば、電極22,23の漏えい電流の値を複数段階に調整することが可能になる。
【0050】
このようにすると、電極22,23を出力端子253,254,…のいずれかに選択的に接続して電極22,23からの漏えい電流の値を選択的に大きくしたり小さくしたりすることができ、被治療者Hは強度の異なったビリビリ感を選ぶことができる。
【0051】
また、この実施の形態1に係る電位治療装置1にあっては、電極22,23が2つのものについて説明したが、これに限らず、1つの電極であっても良いし、3つ以上の電極であっても良い。
【0052】
(実施の形態2)
図3は、この発明の実施の形態2に係る電位治療装置に配設された高圧トランス19及び調整装置25Aを示す回路構成図である。この調整装置(調整手段)25Aを、上記実施の形態1の調整装置25と比較すると、複数の出力端子を持たずON/OFFスイッチで電極22,23の漏えい電流値を調整する点で異なり、その他の構成については、実施の形態1に係る電位治療装置1と同様である。
【0053】
高圧トランス19の後段には保護抵抗器26を介して調整手段25Aが設けられ、この調整手段25Aは、調整抵抗器251Aと、調整抵抗器251Aの後段側端部の出力端子253と、調整抵抗器251Aを迂回するように設けられたバイパス回路255とを備え、該バイパス回路255にはON/OFFスイッチ256を有する。
【0054】
具体的には、スイッチ256の前段が調整抵抗器251Aの前段側端部に、スイッチ256の後段が出力端子253にそれぞれ接続されており、これによりスイッチ256をONすると出力端子253にはバイパス回路255を経由した出力電流が出力され、スイッチ256をOFFすると出力端子253には調整抵抗器251Aを経由した出力電流が出力される。
【0055】
従って、出力端子253に接続された電極22,23からの漏えい電流の値を、スイッチ256のON/OFFにより調整することができ、被治療者Hはスイッチ256の切替動作だけで、ビリビリ感を調整することができる。なお、このようなスイッチ256の制御回路を上記電位治療装置1の手元操作部12に設ければ、被治療者Hは手元操作部12の操作で簡単にビリビリ感の調整を簡単に行なうことができる。
【0056】
また、このようなスイッチ256は、電位治療装置1のリモコンにより操作可能として、そのリモコンでマイコンを制御して切り替えるようにしてもよい。
【0057】
なお、この実施の形態2ではバイパス回路255を1つだけ設ける構成としたが、バイパス回路を複数設け、スイッチ256を複数のバイパス回路のいずれかを導通させるか選択可能に構成することもでき、このようにすることにより、出力端子253からの出力電流の値をより細かく調整することができる。
【0058】
(実施の形態3)
図4は、この発明の実施の形態3に係る電位治療装置に配設された高圧トランス19及び調整装置25Bを示す回路構成図である。この調整装置(調整手段)25Bを、上記実施の形態1の調整装置25と比較すると、複数の出力端子を持たず可変抵抗値で電極22,23の漏えい電流値を調整する点で異なり、その他の構成については、実施の形態1に係る電位治療装置1と同様である。
【0059】
高圧トランス19の後段には保護抵抗器26を介して調整手段25Bが設けられ、この調整手段25Bは、可変抵抗器からなる調整抵抗器257を有する。この調整抵抗器257には、図示しないスライダを有し、スライダを移動させることによりこの調整抵抗器257の抵抗値が変更できるようになっている。
【0060】
これにより調整抵抗器257のスライダを移動させると調整抵抗器257の後端部に接続された出力端子253に出力される出力電流の値が調整される。
【0061】
従って、出力端子253に接続された電極22,23からの漏えい電流の値を、調整抵抗器257のスライダを移動させることにより調整することができ、被治療者Hはスライダの移動だけで、ビリビリ感を調整することができる。
【0062】
なお、実施の形態3における調整抵抗器257を半固定抵抗器で構成して回路基板上に設けるようにしても良い。これは、安全性の観点から被治療者Hが容易にビリビリ感の調整をできないようにしておき、調整が必要となった時点で技術者が調整するようにするためである。
【0063】
上記実施の形態1,2,3においては、保護抵抗器26を高圧トランス19と調整装置25,25A,25Bとの間に接続したものについて説明したが、高圧トランス19側に部品として構成してもよいし、或いは調整装置25,25A、25Bの内部の部品として構成してもよい。
【0064】
以上、この発明の各実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の各実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の調整等があっても、この発明に含まれる。例えば、調整装置25,25A,25Bは保護抵抗器26と高圧トランス19との間に配置してもよい。
【0065】
また、2つの電極22,23をともに調整装置25,25A,25Bを介して接続するようにしたが、一方の電極23のみを調整装置25,25A,25Bを介して接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 電位治療装置
11 椅子
12 手元操作部
13,14 通電部
15 電源プラグ
16 メインスイッチ
17 出力スイッチ
18 AC/DC変換器
19 高圧トランス
20 マイコン
21 操作部
22,23 電極
24 LED
25,25A,25B 調整装置(調整手段)
26 保護抵抗器
251,251A 調整抵抗器
252 バイパスライン
253 出力端子(第1の出力端子)
254 出力端子(第2の出力端子)
255 バイパス回路
256 スイッチ
257 調整抵抗器(可変抵抗器)