特許第6647727号(P6647727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6647727
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】サーブイン・アウト判定システム
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   A63B71/06 R
【請求項の数】2
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-94999(P2019-94999)
(22)【出願日】2019年5月21日
【審査請求日】2019年6月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519181939
【氏名又は名称】川田 瑛貴
(73)【特許権者】
【識別番号】519181940
【氏名又は名称】古矢 泰之
(73)【特許権者】
【識別番号】519181951
【氏名又は名称】沖田 めぐみ
(73)【特許権者】
【識別番号】519181962
【氏名又は名称】川村 萌水
(73)【特許権者】
【識別番号】519181973
【氏名又は名称】須賀 祐人
(73)【特許権者】
【識別番号】519181984
【氏名又は名称】田中 崇啓
(73)【特許権者】
【識別番号】519181995
【氏名又は名称】山崎 桜
(74)【代理人】
【識別番号】100147050
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 亨
(72)【発明者】
【氏名】川田瑛貴
(72)【発明者】
【氏名】古矢泰之
(72)【発明者】
【氏名】沖田めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】川村萌水
(72)【発明者】
【氏名】須賀祐人
(72)【発明者】
【氏名】田中崇啓
(72)【発明者】
【氏名】山崎桜
【審査官】 中村 和正
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2018/0200602(US,A1)
【文献】 特開2001−170239(JP,A)
【文献】 特表2019−506917(JP,A)
【文献】 米国特許第08199199(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 61/00−71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定対象の映像処理を行う1以上の映像処理装置と、レーザ光の導路遮光の有無を判定する1以上のレーザ光受光装置と、前記映像処理装置及び前記レーザ光受光装置と通信可能なサーバ装置と、を含むサーブイン・アウト判定システムであって、
前記サーバ装置は前記映像処理装置と前記レーザ光受光装置に起動を指示し、
前記映像処理装置の判定結果に基づき前記レーザ光受光装置の判定結果を要求することを特徴とするサーブイン・アウト判定システム。
【請求項2】
請求項1記載のサーブイン・アウト判定システムにおいて、前記レーザ光受光装置の判定結果はレーザ光の導路が遮光されたかを表すことを特徴とするサーブイン・アウト判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テニスのサーブのイン・アウト判定方法、特に映像的・電子的な判定方法であるチャレンジシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のテニスのサーブ判定装置(チャレンジシステム)としては、ホーク・アイ・イノベーションズが開発を進める審判補助システム「ホークアイ」が有名である。「ホークアイ」は競技場に10台のハイスピードカメラを設置して多方向からボールの軌道を「人の目」によって確認することで高精度の判定を行っている。
【0003】
「テニスのチャレンジシステムとは?仕組みについて」(非特許文献1)はホークアイシステムの内容を解説する。本文献では複数のカメラがとらえた映像がボールの最も妥当な軌道を再構築する旨開示している。
【0004】
また、特開2001−170239公報(特許文献1)では、テニスコートの外周を反射部材で囲い、光源部からの光を反射部材で再帰的に反射することでテニスコート面に沿って光を照射することでテニスコート面上にボール位置検出面を形成し、ボールによって遮光される位置を検出する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−170239公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「テニスのチャレンジシステムとは?仕組みについて」URL:https://ichimame.com/tennis/hawk-eye-challenge-system
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のようにテニスコートの外周を反射部材で囲うことは非現実的であり、また仮にできたとしても極めて大規模な設備と工数が必要になる。
【0008】
また、非特許文献1でも記載されている通り「ホークアイ」は10台のハイスピードカメラを利用する。従って、きわめて高価であり、グランドスラム級の大会が開催される場合でも全てのコートにホークアイが導入されているとは限らない。言うまでもなく一般のプレイヤーがそれらを活用することは考えがたい。
【0009】
本発明の目的は、システムの目的をサーブの判定に絞ることで、一般のプレイヤーが利用できるような小規模な設備でイン・アウト判定を比較的高精度に行える方法を提供することにある。
【0010】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に関わるサーブイン・アウト判定システムは、サーバ装置と、1以上の映像処理装置と、1以上のレーザ光受光装置とを含み、サーバ装置は映像処理装置の判定結果に基づきレーザ光受光装置の判定結果を要求することを特徴とする。
【0012】
このサーブイン・アウト判定システムにおいて、レーザ光受光装置の判定結果はレーザ光の導路が遮光されたかを表すことを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明に関わるサーブイン・アウト判定システムによって、安価にサーブのイン・アウト判定を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】イン・アウト判定装置のシステム構成を表したシステム構成図である。
図2】サーバ装置の構成を表すブロック図である。
図3】映像処理装置の構成を表すブロック図である。
図4】レーザ光照射装置の構成を表すブロック図である。
図5】レーザ光受光装置の構成を表すブロック図である。
図6】サーバ装置、映像処理装置、レーザ光照射装置及びレーザ光受光装置の配置を表す配置図である。
図7】本実施の形態におけるサービス成功時の機器間の通信のやり取りを表す概念図である。
図8】ステップSX11においてサーバ装置がどのような処理を行っているかを表すフローチャートである。
図9】映像処理装置がバウンスドポイントを導出する方法を表す概念図である。
図10】ステップSX22においてバウンスドポイント導出に際して映像処理装置が行う処理の流れを表すフローチャートである。
図11】レーザ光の導路によるテニスボールのイン・アウト検出の検出方法を表す概念斜視図である。
図12】レーザ光の導路によるテニスボールのイン・アウト検出の測定誤差の計算方法を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態を図に基いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態のイン・アウト判定装置のシステム構成を表したシステム構成図である。
本装置はサーバ装置100、映像処理装置200、レーザ光照射装置300、及びレーザ光受光装置400を含んで構成される。
【0016】
サーバ装置100は、映像処理装置200やレーザ光照射装置300、レーザ光受光装置400との間で情報の送受信を行う。サーバ装置100は、それら他の装置の動作を制御し、それらの情報に基づいてサーブボールのイン・アウト判定を行う。
【0017】
図2は、サーバ装置100の構成を表すブロック図である。
サーバ装置100は、バス199を挟んで、制御部101、記憶部102、入力部103、通信部104、表示部105を含んで構成される。
【0018】
制御部101は、サーバ装置100を制御するCPUである。
記憶部102は、DRAMやFLASH ROM等のメモリである。揮発性又は不揮発性のいずれのメモリを使うかは設計事項である。
制御部101は、記憶部102に記録されたプログラムを読みだして処理することで、各種処理を行うのは言うまでもない。図番は変わるが、これは映像処理装置200、レーザ光照射装置300、及びレーザ光受光装置400のそれぞれの制御部でも同じである。
入力部103は、サーバ装置100に入力する為のキーボード、マウス、及びそれらのインターフェイスである。
通信部104は、映像処理装置200、レーザ光照射装置300、及びレーザ光受光装置400との通信を行うための通信制御部である。無線LANやBluetooth(登録商標)など色々な種類の通信仕様があるがいずれを用いるかは設計事項である。ただし、テニスコート周辺で通信可能な通信距離を持つことは必須である。
表示部105は、入力データあるいは出力データを表示するLCDディスプレイ等である。
【0019】
図3は、映像処理装置200の構成を表すブロック図である。
映像処理装置200は、バス299を挟んで、制御部201、記憶部202、通信部203、カメラ部204、を含んで構成される。
制御部201は、映像処理装置200を制御するCPUである。
記憶部202は、DRAMやFLASH ROM等のメモリである。揮発性又は不揮発性のいずれのメモリを使うかは設計事項である。
通信部203は、サ−バ装置100との通信を行うための通信制御部である。通信部104と通信する為、通信部203は通信部104と同じ通信仕様を採用する必要があるのは言うまでもない。
カメラ部204は、映像情報を入力する為のCMOS他の映像素子及びその周辺回路である。
【0020】
図4は、レーザ光照射装置300の構成を表すブロック図である。
レーザ光照射装置300は、バス399を挟んで、制御部301、記憶部302、通信部303、レーザ光照射部304を含んで構成される。
制御部301は、レーザ光照射装置300を制御するCPUである。
記憶部302は、DRAMやFLASH ROM等のメモリである。揮発性又は不揮発性のいずれのメモリを使うかは設計事項である。
通信部303は、サ−バ装置100との通信を行うための通信制御部である。通信部104と通信する為、通信部303は通信部104と同じ通信仕様を採用する必要があるのは言うまでもない。
レーザ光照射部304は、レーザ光照射器304aを含み、レーザ光照射器304aから光学レーザを出力する。レーザ光照射器304aから出力した光学レーザは、レーザ光受光装置400の内部に含まれるレーザ光受光器404aに入力可能なように配置する必要がある。
【0021】
図5は、レーザ光受光装置400の構成を表すブロック図である。
レーザ光受光装置400は、バス499を挟んで、制御部401、記憶部402、通信部403、レーザ光受光部404を含んで構成される。
制御部401は、レーザ光受光装置400を制御するCPUである。
記憶部402は、DRAMやFLASH ROM等のメモリである。揮発性又は不揮発性のいずれのメモリを使うかは設計事項である。
通信部403は、サ−バ装置100との通信を行うための通信制御部である。通信部104と通信する為、通信部403は通信部104と同じ通信仕様を採用する必要があるのは言うまでもない。
レーザ光受光部404は、レーザ光受光器404a及びA−D変換器404bを含む。レーザ光受光器404aは、レーザ光照射器304aから出力された光学レーザを受光しアナログ信号をA−D変換器404bに出力する。A−D変換器404bは、レーザ光受光器404aが受光することで出力されたアナログ出力をデジタル信号に出力するアナログ・デジタル変換器である。
【0022】
ここまでの説明でも分かるとおり、レーザ光照射装置300とレーザ光受光装置400は1組で動作する。本システムでは1構成でこれを5セット使用する。また本システムは映像処理装置200を2つ使用する。なお、複数存在する要素についてそれぞれを識別する場合は「○○○―1」の様に記載する。また、レーザ光照射装置300とレーザ光受光装置400のように一組で用いるモノについてはこのハイフン以下の値が同じものを1セットで扱うものとする。
【0023】
次に、サーバ装置100、映像処理装置200、レーザ光受光装置400の各装置で動作するプログラムがどのような変数を含むか説明する。
【0024】
まずは、サーバ装置100上で動作するプログラムの変数について説明する。
サーバ装置100上で動作するプログラムには、以下のような変数が含まれる。
SVs:サーブする選手を指定する変数。
SDs:選手がサーブを打つサイドを指定する変数。
Nxs:バウンスドポイントから撮影画像の水平方向に伸ばした直線と白線との交差回数を表す変数。
Nys:バウンスドポイントから撮影画像の鉛直下方向に伸ばした直線と白線との交差回数を表す変数。
Dls:バウンスドポイントから水平一方向と鉛直下方向白線との距離情報を表す変数。
Jl1s〜Jl5s:5台のレーザ光受光装置の判定情報を表す変数。
Jt:総合判定結果を格納する変数。
Bs:録画した映像にサーブが映っているか否か指定する変数。
【0025】
以下其々の変数につき説明する。
Svsは、サーブする選手を指定する自然数の変数を言う。本明細書中では審判から見てネットより左側の選手を1、右側の選手を2として指定する。なお、Svsはこの2値の何れかを取るので、ブーリアン型であっても良い。
【0026】
SDsは、選手がサーブを打つサイドを指定する自然数の変数を言う。選手がデュースサイドからサーブを打つ時には1を、アドバンテージサイドから打つ時は2をこの変数に代入する。なおSDsも2値の値であるので、ブーリアン型であっても良い。
【0027】
Nxsは、バウンスドポイントから撮影画像の水平方向に伸ばした直線と白線との交差回数を表す自然数の変数である。この値は、映像処理装置200から送信される値が代入される。ここで「白線との交差」とは、バウンスドポイントから引かれる一本の直線にそって伸びた直線とテニスコート500上に引かれた各種白線との交差を言う。また、「交差回数」とはその際に交差と判断された回数を言う。すなわち本変数Nxsは、バウンスドポイントから水平方向に伸ばした直線との交差回数を言う。
【0028】
Nysは、バウンスドポイントから撮影画像の鉛直下方向に伸ばした直線と白線との交差回数を表す自然数の変数である。この値も、映像処理装置200から送信される値が代入される。
【0029】
Dlsは、バウンスドポイントから水平一方向と鉛直下方向白線との距離情報を表す自然数の変数である。本変数はバウンスドポイントが白線に近いか否かを表すものである。実装で近いか遠いかを判断する閾値をどの値に設定するかによってバウンスドポイントが同じであっても変化する値である。なお本変数は近ければ1、遠ければ0を代入する2値の変数であるので、ブーリアン型であっても良い。
なお、Dlsは、映像処理装置200から戻ってくる値を格納する変数である。すなわち、上記のバウンスドポイントが白線に近いか否か?と言う判断も映像処理装置200が行う。本明細書ではDls=0で白線に近い、Dls=1で白線に遠いことを表す。
【0030】
Jl1s、Jl2s、Jl3s、Jl4s、Jl5sはレーザ光受光装置400−1、400−2、400−3、400−4、400−5の判定結果を格納する変数である。すなわち、各レーザ光受光装置の判定結果を格納することになる。この変数も、2値の変数であるので、ブーリアン型であっても良い。
【0031】
Jtは、サーバ装置100による総合判定結果を格納する自然数の変数である。映像処理装置200及び各レーザ光受光装置400の全ての結果から判断したサービスの結果を格納する。この値も2値であるので、ブーリアン型であっても良い。Jt=0の時アウト、Jt=1の時インを意味する。
【0032】
Bsは、録画した映像にサーブ(=テニスボール)が映っているか否か指定する自然数の変数である。映っているときは1、映っていない時は0がこの変数に代入される。この値も2値であるので、ブーリアン型であっても良い。
なお、Bsは映像処理装置200から送られる値を格納する変数である。映像にサーバが映っているか否かは映像処理装置200が判断する。
【0033】
次に映像処理装置200上で動作するプログラムで用いる変数について説明する。
映像処理装置200上で動作するプログラムには、以下のような変数が含まれる。
SVv:サーブをする選手を指定する変数。
SDv:選手がサーブを打つサイドを指定する変数。
Nxv:バウンスドポイントから撮影画像の水平方向に伸ばした直線と白線との交差回数を表す変数。
Nyv:バウンスドポイントから撮影画像の鉛直下方向に伸ばした直線と白線との交差回数を表す変数。
Dlv:バウンスドポイントから水平一方向と鉛直下方向白線との距離情報を表す変数。
Bv:録画した映像にサーブが映っているか否か指定する変数。
【0034】
以下其々の変数につき説明する。
SVvは、サーブする選手を指定する自然数の変数を言う。本明細書中では審判から見てネットより左側の選手を1、右側の選手を2として指定する。これは、本変数(SVv)は、サーバ装置100から送信されるSVsの値を格納する為である。当然、SVsがブーリアン型であれば本変数SVvもブーリアン型になることは言うまでもない。
【0035】
SDvは、選手がサーブを打つサイドを指定する自然数の変数を言う。選手がデュースサイドからサーブを打つ時には1を、アドバンテージサイドから打つ時は2をこの変数に代入する。なおSDvも2値の値であるので、ブーリアン型であっても良いのは言うまでもない。
【0036】
Nxvは、バウンスドポイントから撮影画像の水平方向に伸ばした直線と白線との交差回数を表す自然数の変数である。映像処理装置200はバウンスドポイントを導出する。そしてそのバウンスドポイントを用いて映像処理装置200がコートに引かれた撮影画像の水平方向の白線との交差回数を導出することになる。
【0037】
Nyvは、バウンスドポイントから撮影画像の鉛直下方向に伸ばした直線と白線との交差回数を表す自然数の変数である。映像処理装置200はバウンスドポイントを導出する。そしてそのバウンスドポイントを用いて映像処理装置200がコートに引かれた撮影画像の鉛直下方向の白線との交差回数を導出することになる。
【0038】
Dlvは、バウンスドポイントから水平一方向と鉛直下方向白線との距離情報を表す自然数の変数である。本変数はバウンスドポイントが白線に近いか否かを表すものであり、実装で近いか遠いかを判断する閾値をどの値に設定するかによってバウンスドポイントが同じであっても変化する値である。なお本変数は近ければ1、遠ければ0を代入する2値の変数であるので、ブーリアン型であっても良い。
【0039】
映像処理装置200はバウンスドポイントが白線に近いか否かの判断を行うが、実際の判断の方法については後述する。
【0040】
Bvは、録画した映像にサーブ(=テニスボールX)が映っているか否か指定する自然数の変数である。映っているときは1、映っていない時は0がこの変数に代入される。この値も2値であるので、ブーリアン型であっても良い。
録画した映像にサーブ(=テニスボールX)が映っているかの判断は映像処理装置200が行う。
【0041】
最後に、レーザ光受光装置400の変数について説明する。
レーザ光受光装置400上で動作するプログラムには、以下のような変数が含まれる。
Jlb:レーザ光受光装置の判定結果。
Vo:AD変換器の出力値の配列。
【0042】
Jlbは、各レーザ光受光装置によってバウンスドポイントが白線の内側か外側かを判断した結果を出力する自然数の変数である。当然、白線近傍にバウンスドポイントがある時しかJlbの判定は有意の物にならないのは言うまでもない。すなわち、白線の傍でないサービスエリアの内側でも、白線を大幅に飛び越えていても本変数は無意味な値となる。よって映像処理装置200でDlvの判定を行う必要があるのである。
【0043】
Voは、AD変換器の出力値の配列を表す変数群である。
【0044】
次に、これらの変数の値がどのように関係するかを説明する。
サーバ装置100の変数SVsは映像処理装置200のSVvに対応する。これは2つある映像処理装置200のいずれを起動させるかを示す変数であり、サーバ装置100が映像処理装置200にそのデータを送るためである。
【0045】
同様にサーブを打つサイドを指定するサーバ装置100の変数SDsは、映像処理装置200のSDvに対応する。これも映像処理装置200が撮影する画像のどこを監視するかを表す変数であり、サーバ装置100が映像処理装置200にそのデータを送るためである。
【0046】
サーバ装置100の変数Nxsは映像処理装置200のNxvに対応する。またサーバ装置100の変数Nysは映像処理装置200のNyvに対応する。サーバ装置100の変数Dlsは映像処理装置200のDlvに対応する。これらは映像処理装置側でそれぞれの値を導出し、その結果をサーバ装置100に送信するためである。
【0047】
サーバ装置100の変数Jl1s〜Jl5sは、レーザ光受光装置400−1、400−2、400−3、400−4、400−5のそれぞれのJlbに対応する。各レーザ光受光装置400のJlbは各レーザ光受光装置400で求められ、その結果がサーバ装置100に送られるためである。
【0048】
変数Bsは変数Bvに対応する。変数Bvは映像処理装置200の撮影した画像にボールが映っているかを示すものであり、変数Bsは変数Bvの結果をサーバ装置100中で格納する為の変数だからである。
なお変数Voは、レーザ光受光装置400の内部処理に用いる変数であるため、サーバ装置100との間でやり取りされることは無い。
【0049】
次にサーバ装置100、映像処理装置200、レーザ光照射装置300、及びレーザ光受光装置400をテニスコート500周辺の何処に置くかについて説明する。
【0050】
図6は、サーバ装置100、映像処理装置200、レーザ光照射装置300、及びレーザ光受光装置400の配置を表す配置図である。なお、この図は上方からテニスコート500を覗く形で記載し表現する。
【0051】
サーバ装置100は主審がいる位置に設置される。
映像処理装置200は2台あり、それぞれテニスコート500の横側より、図に示すラインを映すように設置される。図では主審のいる側に映像処理装置200が配置されている。しかし、反対側のテニスコート500の横側に配置しても良いし、2台を異なるサイドに置いても良い。
【0052】
各映像処理装置200はそれぞれが担当するサイドを持っている。図6では映像処理装置200−1が図6の左側のサイドを、映像処理装置200−2が図6の右側のサイドをそれぞれ担当する。
【0053】
レーザ光照射装置300、及びレーザ光受光装置400はコートのサーブ領域の境界線に沿って、5セットずつ設置されている。
【0054】
テニスコートは整地された平地上に白線で描かれているのは周知のとおりである。それらの白線は、「ベースライン」「サービスライン」「センターサービスライン」「シングルスサイドライン」「ダブルスサイドライン」と称される。テニスコートのライン名は公知の話であるので図6上に直接記載し、図番は割り振らない。
【0055】
レーザ光照射装置300のレーザ光照射器304aとレーザ光受光装置400のレーザ光受光器404aはレーザ光照射器304aが出力したレーザをレーザ光受光器404aが受光可能なように一直線上に配置しなければならないことは既に述べた。このレーザ光照射装置300のレーザ光照射器304a1セットのレーザ光の導路(レーザ導路)が上記の各ライン上に位置するように配置する・
【0056】
図6の各サービスライン上には、レーザ光照射装置300−1とレーザ光受光装置400−1のセットのレーザ導路、レーザ光照射装置300−2とレーザ光受光装置400−2のセットのレーザ導路、が位置するようにそれぞれが配置される。このレーザ導路は可能な限り地面に近い位置に配置されることが望ましい。
【0057】
センターサービスライン上には、レーザ光照射装置300−4とレーザ光受光装置400−4のセットのレーザ導路が位置するように配置される。
【0058】
シングルスサイドライン上には、レーザ光照射装置300−3とレーザ光受光装置400−3のセットのレーザ導路、レーザ光照射装置300−5とレーザ光受光装置400−5のセットのレーザ導路、が位置するように配置される。
【0059】
本発明においてはサービスのイン・アウトのみを識別する。よって、特に必要が無い限り、ダブルスサイドライン上にはレーザ光照射装置300とレーザ光受光装置400のセットを配置しない。
【0060】
次にこの図6を用いて、各映像処理装置200の必須撮影範囲について説明する。
各映像処理装置200は必ず撮影しなければならない範囲が存在する。この図6でいうと、映像処理装置200が自ら担当するサイドの「サービスライン」「センターサービスライン」「シングルスサイドライン」については撮影しなければならない。但し、「ベースライン」は撮影してはならない。
【0061】
また、「ダブルスサイドライン」については自らのサイドの「センターサービスライン」の長さ分、すなわち、映像処理装置200−1に対しては範囲R1、映像処理装置200−2に対しては範囲R2の分だけそれぞれ撮影する必要がある。なお、ダブルスサイドラインはテニスプレイヤーから見て左右両方に存在するが、左右両方のダブルスサイドラインの範囲R1、R2を最低撮影する必要がある。
【0062】
次に、機器間の通信のやり取りについて説明する。
図7は、本実施の形態におけるサービス成功時の機器間の通信のやり取りを表す概念図である。
【0063】
まずサーバ装置100の入力部103を介して、主審が判定条件を入力する(ステップSX11)。すなわち、サーブする選手を指定する変数SVs、選手がサーブを打つサイドを指定する変数SDsの入力である。
【0064】
ステップSX11で入力された条件を、サーバ装置100が映像処理装置200及びレーザ光受光装置400に送信する(ステップSX12)。具体的には、変数SVs、SDsがサーバ装置100から送信される。
【0065】
このステップSX12で送信された条件を利用して、映像処理装置200が映像判定処理を開始する(ステップSX21)。併せて、ステップSX12で送信された条件をもって、レーザ光受光装置400がレーザ光判定処理を開始する(ステップSX31)。
【0066】
映像処理装置200及びレーザ光受光装置400双方は同じサーブを検知するように動作する。従って、映像処理装置200及びレーザ光受光装置400は同時並行で動作することになる。
【0067】
サービスが正常にされると、映像処理装置200の撮影画像中にボールが映り込むはずである。映像処理装置は複数の映像フレームに映ったボールから、バウンスドポイントを導出する(ステップSX22)。なお、バウンスドポイントとはテニスコートを上方から見た際のテニスボールXの着地点のことである。そして、バウンスドポイントの導出が終われば、映像処理装置200が交差数情報、距離情報、を導出し、ボールが画像に映っているかの判定を行う。その結果をサーバ装置100に送信する(ステップSX23)。
【0068】
一方、レーザ光受光装置400はサービスの有無にかかわらずレーザ光の導路が遮光されたか否かを検知し続ける(ステップSX32)。
【0069】
ステップSX23で交差数情報、距離情報などを得ると、サーバ装置100はレーザ光受光装置400にイン・アウト判定を依頼するかを決定する(ステップSX13)。レーザ光受光装置400にイン・アウト判定を依頼する場合には、依頼先のレーザ光受光装置400にレーザ光の導路が遮光されたか否かの判定を要求する(ステップSX14)。そして、各レーザ光受光装置400からイン・アウト判定の結果がサーバ装置100に送信され(ステップSX33)。これらを集計してサーバ装置100は表示部105に判定結果を出力する(ステップSX15)。
【0070】
一方、ステップSX13にてサーバ装置100がレーザ光受光装置400にイン・アウト判定を依頼しない場合には、映像処理装置200から戻ってきたデータでの判定が可能である場合である。この場合はステップSX14の要求を行うことなく、サーバ装置100は表示部105に判定結果を出力する(ステップSX15)。
【0071】
その後、サーバ装置100は、映像処理装置200及びレーザ光受光装置400に対して処理の終了を要求してサーブの判定が終了することになる(ステップSX16)。
【0072】
次に図7の各ステップの処理について図を用いて説明する。
図8は、ステップSX11でサーバ装置100がどのような処理を行っているかを表すフローチャートである。
【0073】
まず、サーバ装置100の操作者が変数SVsを入力する(ステップS1101)。また、同様にサーバ装置100の操作者が変数SDsを入力する(ステップS1102)。
【0074】
これらの入力された値を用いてサーバ装置100の制御部101が映像処理装置200−1、200−2のいずれに撮影を行わせるかの決定を行う(ステップS1103)。また、稼働させるレーザ光受光装置400を決定する(ステップS1104)。
【0075】
このステップS1103及びS1104の判断について説明する。
変数SVs=1の場合、審判から見て左、すなわち図6の右手側の選手からサービスされる。よって、映像処理装置200−1がサービスを撮影する必要がある。従って、稼働させる映像処理装置200は200−1となる(ステップS1103)。また、変数SDsの値によって稼働させるレーザ光受光装置を切り替える。変数SVs=1かつ変数SDs=1の時は(1)のサービスエリアを検知する。よってレーザ光受光装置400−2、400−3は稼働させても意味は無い。従ってレーザ光受光装置400−1、400−4、400−5を動かせばよい(ステップS1104)。
一方、変数SVs=1かつ変数SDs=2の時は(2)のサービスエリアを検知する。よってレーザ光受光装置400−2、400−5は稼働させても意味は無い。従ってレーザ光受光装置400−1、400−3、400−5を動かせばよい(ステップS1104)。
【0076】
逆に変数SVs=2の場合、審判から見て右、すなわち図6の左手側の選手からサービスされる。よって、映像処理装置200−2がサービスを撮影する必要がある。よって、稼働させる映像処理装置200は200−2となる(ステップS1103)。また、変数SVs=2かつ変数SDs=1の時は(3)のサービスエリアを検知する。よってレーザ光受光装置400−1、400−5は稼働させても意味は無い。従ってレーザ光受光装置400−2、400−3、400−4を動かせばよい(ステップS1104)。
一方、変数SVs=2かつ変数SDs=2の時は(4)のサービスエリアを検知する。よってレーザ光受光装置400−1、400−3は稼働させても意味は無い。従ってレーザ光受光装置400−2、400−4、400−5を動かせばよい(ステップS1104)。
【0077】
図7のステップSX21では、このステップS1103で選択された映像処理装置200が動作を開始する。また図7のステップSX31では、このステップS1104で選択されたレーザ光受光装置400が動作を開始する。
【0078】
次にバウンスドポイントを導出するステップSX22の動作について説明する。
まず、バウンスドポイントの導出の方針について説明する。映像処理装置200はバウンスドポイントを大まかに確認するため用いる。よってステップSX22でサーブのバウンスドポイント及びそれから求められる交差数情報、距離情報を映像処理装置200が求める。
【0079】
図9は、映像処理装置200がバウンスドポイントを導出する方法を表す概念図である。また、図10はステップSX22においてバウンスドポイント導出に際して映像処理装置200が行う処理の流れを表すフローチャートである。
【0080】
図9は時間によって位置が変わるテニスボールXを表現している。すなわち、テニスボールXの進行ルート上を進んでくるテニスボールXについて時間を変えて表現している。X21、X22、X23、X24、X25、X26の順番で時間が進行している。これらのテニスボールX21、X22、X23、X24、X25、X26は動画の異なるフレームに撮影されており、時系列に並んだ同一のテニスボールである。これらを用いてバウンスドポイントXBを導出するのが本処理ステップSX22である。
【0081】
時系列に並んだテニスボールX21、X22、X23、X24、X25、X26を異なる動画のフレームから抽出する際に考慮すべきことはカメラのフレームレートである。
【0082】
カメラのフレームレートが十分大きく、ボールの軌道の点列が十分密に連なっている場合には、精度よくバウンスドポイントを取得できるが、カメラのフレームレートがあまり大きくなく、ボールの軌道の点列が密に連なっていない場合には、バウンスドポイントの取得誤差が大きくなると考えられる。
【0083】
そこで、ボールが地面にバウンドしてボールの軌道が大きく変化する前と後にボールの軌道を2分割し、それぞれの軌道を最小二乗法で線形補間する。なお、このボールの軌道を分割する点を分割点と呼ぶ。この線形補間した直線を進行ルートとする。そして進行ルートが変化する点は、進行ルート上の隣り合ったボールの存在する位置を結ぶベクトルについて、隣り合ったベクトルどうしで内積をとったものを二つのベクトルの大きさで割り、その値がある閾値以下になる条件で分割点の存在する区間を検出する。そして線形補間で得られた直線の交点を計算し、ボールが地面に接したときの座標(バウンスドポイント)とする。
【0084】
上記の最小二乗法に関わる処理を具体的に説明するのが図10である。
【0085】
まず、ステップSX22の処理が開始されると、制御部201は複数のフレームからサーブXの画像を検知する(ステップS2201)。すなわち時系列にならんだフレームからテニスボール及びその位置を特定する。テニスボールの検出は背景差分法によって行い、検出したテニスボールの重心座標をテニスボールの位置として特定する。
【0086】
この際、制御部201は前後する二つのボールの位置からベクトルを導出する。図9に従って説明すると、隣接するサーブX21とサーブX22の位置を用いてベクトルを検出する。またX22とX23との間、X23とX24の間、X24とX25、X25とX26の間でもベクトルを検出する。
【0087】
上記の例ではX21〜X22の区間ではX21からX22に向かうベクトルとX22からX23に向かうベクトルの内積を、それぞれのベクトルの大きさで割った値をP(21、22、23)と表現すれば、P(21、22、23)はほぼ1に近い値であるが、X22〜X25の区間では、P(22、23、24)とP(23、24、25)は1よりも小さい値となる。さらに、X24〜X26の区間では、P(24、25、26)は再びほぼ1に近い値となる。よって、X23〜X24の区間に分割点が存在すると想定することができる。
【0088】
このようにX23とX24の間に分割点が存在すると考えられるため、X21とX22、X23を含むXBよりも前のグループと、X24とX25、X26を含む後ろのグループに分割できる。この二つのグループごとに、テニスボールの位置座標を用いて、最小二乗法でボールの軌跡の近似式を求める。そして、この2つの近似式の交点がバウンスドポイントXBとなる(ステップS2202)。
【0089】
なお、実際の処理に際しては、横方向から撮影することから、上記のような簡単な判断はできない。しかし、横方向から撮影した場合でも画像の垂直方向の何れかの変化が大きく変化する個所が存在する。このように地面への接近ではなく画像の垂直方向の内積の変化で代用して処理することが可能である。
【0090】
バウンスドポイントXBが求められると、白線の座標検出を行うことになる(ステップS2203)。具体的には、制御部201が録画した映像の適当なフレーム(動画の0フレーム目等)を選び、そして選んだフレームを白線部分(画素値=255)か白線でない部分(画素値=0)の2値で表されるデータに変換する。そして、白色部分を検出して白線と認識する。
【0091】
その際にガウシアンフィルタを用いて、選んだフレームの平滑化を行い、ノイズを除去する。この際、白線が除去されないように水平方向のみの平滑化を行い、垂直方向の平滑化は行わない。
【0092】
白線の座標検出を行った後、制御部201は自身の担当するサイドのベースラインに向かっての水平方向(以下「水平一方向」)及び垂直方向の交差回数、及びバウンスドポイントと白線が近いか否か、を求める(ステップS2204)。
【0093】
ここで重要になるのは、どこのエリアにサーブが入ることが適切か判断することである。この際、変数SDsが重要になる。
【0094】
変数SVsによってサーバ装置100は起動する映像処理装置200を選択する。従って「水平一方向」は映像処理装置200の選択時点で決まっている。
一方、選手がサーブを打つサイドは変数SDvに格納されたサーバ装置100から送られてきた値によって決定される。よって、映像処理装置200の制御部201はこの変数SDvを用いて映像のどの位置にバウンスドポイントが存在するのが適切か決定する。具体的なやり方は、図8のステップS1103、S1104と同様なので、個々では省略する。
【0095】
そして適切な位置にバウンスドポイントが存在する場合には、「水平一方向」及び「垂直方向」の交差数を求める。画面上で「水平一方向」はバウンスドポイントと同一のY座標で表されるバウンスドポイントからベースライン方向を意味する。また、「垂直方向」はバウンスドポイントと同一のX座標であらわされるバウンスドポイントから映像の下方向を意味する。
【0096】
起点であるバウンスドポイント及び交差回数をカウントする基準となる線及びそのカウント区間を求めれば、制御部201は水平方向の白線との交差回数を調べ変数Nxvに格納する。また制御部201は鉛直下方向の白線との交差回数を調べ変数Nyvに格納する。
【0097】
なお、交差したか否かは、バウンスドポイントから延びる「基準となる線」上で白線部分から白線でない部分に切り替わった点、すなわち画素値が255から0に変わると交差1回としてカウントする。
【0098】
白線との距離情報として、ボールが水平一方向と鉛直下方向の白線のどちらかに対して、一定の閾値よりも近いかどうかに応じて、変数Dlvの値を設定する(どちらかが近い場合Dlv=0、どちらも近くない場合Dlv=1)。なお、どの程度の距離で近い、どの程度の距離で遠いと判断するかは設計事項である。
【0099】
以上のようにして、制御部201は変数Nxv、変数Nyv及び変数Dlvを求める。ステップSX23では映像処理装置200はこの求めた結果及び変数Bvを、サーバ装置100に送信する。
【0100】
この際、交差数情報及び距離情報が求められていれば変数Bvに1が代入される。逆を言うと、一定時間映像を撮影しその撮像画像にテニスボールXが映っていない場合には、変数Bvに0を代入し、変数Nxv、変数Nyv及び変数Dlvに意味がないことを表す。
【0101】
ステップSX23で送られてきた変数Nxv、変数Nyv、変数Dlv変数Bvの値はサーバ装置100で変数Nxs、変数Nys、変数Dls及び変数Bsに代入される。
【0102】
次にステップSX13のレーザ光受光装置判定確認処理について説明する。
【0103】
レーザ光受光装置の判定は制御部101が変数Dlvの値を見ることでなされる。すなわち、変数Bv=1かつDls=0であればレーザ光による判定を行い、変数Bv=1かつDls=1あるいは変数Bv=0であればレーザ光判定を行わない、と言うことになる。
【0104】
レーザ光判定を行う場合にはステップSX14で遮光判定を行うこととなる。一方、レーザ光判定が必要でなければサーバ装置100の表示部104に判定結果を表示する(ステップSX15)。この際、変数Bv=1の場合と変数Bv=0の場合とで表示を変えるか否かは設計事項である。
【0105】
一方、変数Bv=1かつ変数Dls=0でレーザ光による判定が必要な場合には、稼働させるレーザ光受光装置400に対して遮光判定のリクエストを行う(SX14)。
【0106】
ステップSX14の処理の前にいったん戻って、ステップSX12においてサーバ装置100がレーザ光受光装置400に処理の開始リクエストを送信した際の処理を考える。
【0107】
機器間の変数のやり取りについてすでに説明したように、サーバ機器100からレーザ光受光装置400へ送信される変数はない。稼働対象はステップS1104で選択されておりステップSX12で送信されるリクエストはレーザ光受光装置400においては単に処理開始のトリガーとして用いられる(ステップSX31)。
【0108】
ステップSX31でレーザ光受光装置400が処理を開始すると、レーザ光受光部404が動作を開始する。
【0109】
次に図11を用いて、レーザ光照射装置300とレーザ光受光装置400でどのようにイン・アウト判定を行うかについて説明する。図11はレーザ光の導路によるテニスボールのイン・アウト検出の検出方法を表す概念斜視図である。
【0110】
本図においては、レーザ光照射装置300及びレーザ光受光装置400とテニスボールXが時系列にX1、X2、X3が記載されている。本図は概念図なので、白線99の前後きっちりとレーザ光照射装置300、及びレーザ光受光装置400を配置し、白線99上に導路98が位置するように記載している。しかし実際はレーザ光照射装置300及びレーザ光受光装置400は白線と離れた位置に配置されることに注意されたい。
【0111】
白線99から離れているX1に位置する時には、テニスボールによってレーザ光の導路98は妨げられていない。そこから時間が経過しテニスボールがX2の位置に到達すると、レーザ光照射装置300からコートの白線99上に沿って照射されたレーザ光の導路98がテニスボールX2によって妨げられる。テニスボールXがX2上でレーザ光の導路98を遮る形で通過すると、レーザ光受光装置400にレーザービームが入らなくなる。これによりレーザ光受光器404aの出力電圧が低下する。結果、A−D変換器404bは、導路98が遮光されていることを表す値が出力され、テニスボールXが白線99上を通過したことを制御部401が検出する。
【0112】
その後時間が経過すると、テニスボールはX3の位置に変位する。ここまで行くとレーザ光の導路98は開放されるので、出力電圧が回復しA−D変換器404bは、導路98が遮光されていないことを表す値が出力される。これによりテニスボールが白線99上から離れたことを制御部401が感知する。
【0113】
このようにして白線99に存在するレーザ光の導路を遮っていることが分かるが、レーザ光の位置は、英語の前置詞で言えば「Over」であって「On」ではない。極力白線99とレーザ光の導路が近い方が良いが設計上そのような位置にレーザ光導路が配置できるとは限らない。
【0114】
そこで白線99のどの程度の近傍の位置にテニスボールXが着地したかを想定する必要がある。図12は、レーザ光の導路によるテニスボールのイン・アウト検出の測定誤差の計算方法を表す概念図である。
【0115】
本発明においては、白線99の端の上部の高さhcmの位置にレーザ光の導路98を設置し、テニスボールが地面に対して約45度の角度で入射してくると仮定している。
【0116】
白線99より約hcm外側の地面よりも内側に着地した場合にはレーザ光の導路98を遮り、白線99上を通過したと検出される。すなわち検出誤差がhcm程度あることになる。
【0117】
レーザービームの太さは1cm程度のものが安価で入手でき、レーザ光照射器300のサイズからh=1cm程度にまで減らすことが可能である。入射角によっても変化はするがこの方法による検出誤差が1cm程度であることがわかる。
【0118】
もちろんレーザ光の導路98の高さを極力白線に近づければ1cm以下の検出誤差も実現できるが、レーザ光の導路98の高さをどの程度にするかは設計事項である。また導路98自身の太さをどうするかも設計事項である。
【0119】
このように、レーザ光の導路98をテニスボールXが遮ることでA−D変換器404bの出力電圧が降下することを利用して、白線99の少し上を通過することを検知する。それさえ検知できれば、ほぼバウンスドポイントが白線99上か、それ以外かを検知できる。その検知結果を制御部401は変数Jlbに格納する。具体的には、白線99上の場合は1、それ以外の場合は0を制御部401は変数Jlbに格納する。
【0120】
レーザ光受光装置400の起動(ステップSX31)から遮光判定リクエスト(ステップSX14)までの間レーザ光受光装置400はこの判定をし続ける。当然一度でも電圧降下が起こり変数Jlbに電圧降下が起こった旨記録すれば以降の処理は行わなくても良いが、それらは設計事項であり適宜設計者が設計すればよい。
【0121】
このように、原則としてレーザ光受光装置400−1、400−2、400−3、400−4、400−5が遮光判定リクエストSX14を受け取るまで判定を行う。そして遮光判定リクエストSX14を受け取ると、各レーザ光受光装置は自身の変数Jlbをサーバ装置100に送信する(ステップSX33)。
【0122】
ステップSX23における映像処理装置200及びステップSX33におけるレーザ光受光装置400からの判定結果を受信すると、サーバ装置100は判定結果を表示部106出力する。これをみて主審は判定を行うことで正確な判定をプレイヤーに対して行うことが可能になる。
【0123】
その後、レーザ光受光装置400及び映像処理装置200に対して処理の終了を連絡する(ステップSX16)。これによりサーブ1回の処理の動作が終了する。
【0124】
最後に、ステップSX23で送られてくる変数Nxs、変数Nys、変数Dls、変数Bs、ステップSX33で送られてくる変数Jlb1、Jlb2、Jlb3、Jlb4、Jlb5に基づき、サーバ装置100の制御部101がどのようにイン・アウト判定するかについて説明する。
【0125】
まずは変数Bsの判定である。
これは映像処理装置200の撮影した映像にテニスボールXが映っているかを表す。従ってすでに述べているように、テニスボールXが映っていない時にはレーザ光受光装置400で導路99の遮光を検知することもない為、サーバ装置100はレーザ光受光装置400の遮光判定リクエスト(ステップSX14)を行わない。
【0126】
次に変数Dlsによって場合分けがなされる。
変数Dls=1の場合、白線の傍にバウンスドポイントが無いことを意味する。よって、レーザ光受光装置400での判断を行わず、サーバ装置100は映像処理装置200から渡された変数のみで判断を行う。よってこの場合サーバ装置100はレーザ光受光装置400の遮光判定リクエスト(ステップSX14)を行わない。一方、変数Dls=0の場合、白線の傍にバウンスドポイントが存在する。よってこの場合は、レーザ光受光装置400に遮光判定リクエスト(ステップSX14)を行う。
【0127】
次に、変数Dls=1の場合について説明する。この場合、変数Nxsによってまず分岐が判断される。
変数Dls=1かつ変数Nxs=0の場合、映像処理装置200の撮影した映像に映る範囲でサービスラインを越えたことを意味する。従って、サービスはフォルトと判断されるため、変数Jtには0(フォルト)が格納される。
【0128】
一方、変数Nxs=1の時はどうなるか?この場合更に変数SVsと変数SDsで場合分けがおこなわれる。
既述の通り、変数SVsはサーブをする選手を指定する変数である。一方、変数SDsは選手がサーブを打つサイドを指定する自然数の変数である。
振り返ると、変数SVs=1の時は審判から見て左側の選手、すなわち図6の右側の選手がサーブを打つ。従って、レーザ光受光装置400−1側にサーブがなされることになる。一方変数SVs=2の時は審判から見て左側の選手、すなわち図6の左側の選手がサーブを打つ。よって、レーザ光受光装置400−2側にサーブがなされることになる。
一方、変数SDs=1の時サーブを打つ選手はデュースサイドからサーブを打つ。ここでデュースサイドとは、自陣から見て右半分を言う。一方変数SDs=2の時はアドバンテージサイド、すなわち自陣から見て左半分、からサーブを打つ。
【0129】
これを踏まえて考えると変数SVs=1かつ変数SDs=1の場合、図6の右側の選手がデュースサイドからサーブを打つことになる。よって、図6の(1)のエリアにバウンスドポイントが存在する時サーブが入ったことになる。
【0130】
変数SVs=1かつ変数SDs=2の場合、図6の右側の選手がアドバンテージサイドからサーブを打つことになる。よって、図6の(2)のエリアにバウンスドポイントが存在する時サーブが入ったことになる。
【0131】
変数SVs=2かつ変数SDs=1の場合、図6の左側の選手がデュースサイドからサーブを打つことになる。よって、図6の(3)のエリアにバウンスドポイントが存在する時サーブが入ったことになる。
【0132】
変数SVs=2かつ変数SDs=2の場合、図6の左側の選手がアドバンテージサイドからサーブを打つことになる。よって、図6の(4)のエリアにバウンスドポイントが存在する時サーブが入ったことになる。
【0133】
これらを踏まえると、SVs=1かつ変数SDs=1の場合とSVs=2かつ変数SDs=2の場合、変数Nys=2の時に変数Jt=1となる。一方、変数SVs=1かつ変数SDs=2の場合と変数SVs=2かつ変数SDs=1の場合、変数Nys=3の時に変数Jt=1となる。これら以外の値が変数Nysに格納されている場合には、変数Jt=0と判断する。
【0134】
次に変数Dls=0の場合について説明する。この場合、いずれかの白線近傍にバウンスドポイントが存在することを表す。下記の分岐も図7のステップSX13で行われる。
【0135】
この場合も、変数SVs、変数SDsによって分岐が行われる。
変数SVs=1かつ変数SDs=1の時、図6の(1)のエリアにバウンスドポイントが存在する。よって、レーザ光受光装置400−1、400−4、400−5を遮光の確認対象とする。
【0136】
変数SVs=1かつ変数SDs=2の時、図6の(2)のエリアにバウンスドポイントが存在する。よって、レーザ光受光装置400−1、400−3、400−4を遮光の確認対象とする。
【0137】
変数SVs=2かつ変数SDs=1の時、図6の(3)のエリアにバウンスドポイントが存在する。よって、レーザ光受光装置400−2、400−3、400−4を遮光の確認対象とする。
【0138】
変数SVs=2かつ変数SDs=2の時、図6の(4)のエリアにバウンスドポイントが存在する。よって、レーザ光受光装置400−2、400−4、400−5を遮光の確認対象とする。
【0139】
以上により、起動させるレーザ光受光装置400が決定する。決定後起動対象のレーザ光受光装置400に対して遮光判定リクエストSX14が送信される。
【0140】
リクエストが送信されると各レーザ光受光装置400から遮光判定が送信される(ステップSX33)。全てのレーザ光受光装置400へのリクエストに対するレスポンスがステップSX33で戻ってくると、サーバ装置100がイン・アウト判定を行う。この判定は各レーザ光受光装置400から戻ってきたJlbの内1つ以上の1のものがあればサーバ装置100がインとして判定する。その他の時(=全て0)はアウトとして判定する。
【0141】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。
【0142】
たとえば、サーバ装置100等の配置を図6と異なるもの、例えば映像処理装置200−1、200−2を主審と反対の位置に置く、などは本発明の射程に含まれることは言うまでもない。
【0143】
例えばレーザ光照射装置、レーザ光受光装置のセットである。上記では1セットにレーザ光の導路は一つしかないとして説明した。しかし、地上からの高さの異なる2以上のレーザ光の導路を設定し、どこの導路が遮光されたかによって判定を相違させるなどは本発明の射程に含まれる。すなわち、地上ギリギリの導路が遮光された場合はイン、地上から離れた道路が遮光された場合にはアウト、などである。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、テニスのサービスのイン・アウト判定を行う際に用いること想定している。しかしこれだけに限られるものでなく、フィールド上のエリアへのイン・アウトを判断する競技、例えば野球のファール判定等、に応用することも当然に本発明の射程に含まれる。
【符号の説明】
【0145】
98:レーザ光の導路、
99:白線、
100:サーバ装置、
200−1、200−2:映像処理装置、
300−1、300−2、300−3、300−4、300−5:レーザ光照射装置、
400−1、400−2、400−3、400−4、400−5:レーザ光受光装置、
500:テニスコート。


【要約】
【課題】システムの目的をサーブの判定に絞ることで、一般のプレイヤーが利用できるような小規模な設備でイン・アウト判定を比較的高精度に行える方法を提供する。
【解決手段】映像処理装置200とレーザ光照射装置300、レーザ光受光装置400を組み合わせ、それらをサーバ装置100が制御する。具体的には、映像処理装置200でイン・アウト判定を行い、バウンスドポイントがサービスエリアに入ったかと、バウンスドポイントが白線に近いか否かを検出する。白線に近い場合には、レーザ光照射装置300、レーザ光受光装置400による遮光判定に基づきイン・アウト判定を行う。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12