特許第6647763号(P6647763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6647763-損失限定の金融取引システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647763
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】損失限定の金融取引システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20200203BHJP
【FI】
   G06Q40/04
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-521049(P2018-521049)
(86)(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公表番号】特表2018-535485(P2018-535485A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】CN2016100157
(87)【国際公開番号】WO2017067370
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2018年5月17日
(31)【優先権主張番号】201510698517.7
(32)【優先日】2015年10月23日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518135869
【氏名又は名称】文根軟件創意有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】都 克威
【審査官】 松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−070418(JP,A)
【文献】 特開2007−172161(JP,A)
【文献】 特開2005−301328(JP,A)
【文献】 特開2005−317043(JP,A)
【文献】 特表2002−540497(JP,A)
【文献】 特開2009−237742(JP,A)
【文献】 特開2010−055186(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0112847(US,A1)
【文献】 特表2012−518230(JP,A)
【文献】 特開2010−282594(JP,A)
【文献】 特開2003−091640(JP,A)
【文献】 ゆきママ,いま話題の取引システム・ツール,月刊「FX攻略.com」,日本,株式会社Wa plus,2015年 6月20日,第8巻 第8号,pp.32−34
【文献】 家計+運用を担当するアナタの応援情報コーナー ハイ!コチラくらしのマネー安全局,ネットマネー,日本,株式会社産経新聞出版,2013年10月22日,第8巻 第12号,p.125
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
損失限定の金融取引システムであって、サーバー側とクライアント側とを包括し、前記サーバー側がネットワークを通じて前記クライアント側と接続し;
前記サーバー側は、複数のサーバーを包括し、前記サーバー内に金融取引ユニットが設けられ;
前記クライアント側は、複数のクライアント端末を包括し、前記クライアント端末が前記金融取引ユニットの共有を通じてリアルタイムな金融取引を行うことに適し;
前記金融取引ユニットは、リミットロックモジュールと強制取引モジュールとを包括し、前記リミットロックモジュールが金融取引の利益目標幅、損切り幅及び投資金額の設定に適し、投資商品の価格は前記利益目標幅又は損切り幅の2者の発生の早い方が対応する投資商品価格Pに触れた又は超えた時、前記強制取引モジュールがリアルタイムで前記価格Pをもって投資商品に対し取引の決済を行い、
前記サーバー側は、プライマリサーバーと第1サーバーと第2サーバーと第3サーバーとディーラーのサーバーとを包括し、前記プライマリサーバー、第1サーバー、第2サーバー、第3サーバーでトップレベルサーバー側を構成し、前記プライマリサーバーが各々前記第1サーバー、第2サーバー及び第3サーバーに接続され;前記第1サーバー、第2サーバー及び第3サーバーは、いずれも前記ディーラーのサーバーに接続され、前記ディーラーのサーバーが前記トップレベルサーバー側と前記クライアント側の間に介在され;前記クライアント側のクライアント端末は、ディーラーのクライアント端末とディーラー代理人のクライアント端末と投資家のクライアント端末とを包括し、前記ディーラーのサーバーが各々前記ディーラーのクライアント端末、ディーラー代理人のクライアント端末及び投資家のクライアント端末に接続され;
前記プライマリサーバー内の前記金融取引ユニットは、金融取引ユニットIであり、前記金融取引ユニットIがSQLデータ処理を経た後、金融取引ユニットIIに変換され、前記金融取引ユニットIIが前記第1サーバー、第2サーバー及び第3サーバー内で共有され;
前記第1サーバー、第2サーバー及び第3サーバー内の金融取引ユニットIIは、前記ディーラーのサーバーと共有され、前記ディーラーのサーバー内の金融取引ユニットIIが前記ディーラーのクライアント端末、ディーラー代理人のクライアント端末及び投資家のクライアント端末と共有され、
前記投資家のクライアント端末内の金融取引ユニットIIのリミットロックモジュールは、入力モジュールを包括し、前記入力モジュールは投資家が前記利益目標幅及び投資金額を入力するために用いられ、また前記損切り幅を手動で入力又は前記利益目標幅に基づいて前記利益目標幅に等しい損切り幅を自動に入力するために用いられ、
前記投資家のクライアント端末内の金融取引ユニットIIの強制取引モジュールは、取引確定モジュールを包括し、前記入力モジュールで利益目標幅、損切り幅及び投資金額を入力した後、前記取引確定モジュールが前記利益目標幅、損切り幅及び投資金額に基づいて投資商品の取引量、利益目標額及び損切り額を自動算出すると共にインターフェースに表示され、投資家は前記取引量、利益目標額及び損切り額によって取引確定又は取引取消を選択し、
前記ディーラーのサーバーの金融取引ユニットIIは、投資商品の相場情報取得モジュールを包括し、前記相場情報取得モジュールが投資商品のリアルタイム提示価格を取得して前記リアルタイム提示価格を前記ディーラーのクライアント端末、ディーラー代理人のクライアント端末及び投資家のクライアント端末に伝送するために用いられ、
投資家が取引を確定する前、前記リアルタイム提示価格に変動が発生した場合、前記取引確定モジュールは価格変動により価格を再提示するという知らせを発し、また変動後の価格に基づいて投資商品の取引量、利益目標額及び損切り額を再度自動算出した後、インターフェースに表示し、前記投資家が前記取引量、前記利益目標額及び前記損切り額によって取引確定又は取引取消を選択することにより、
投資家は、投資商品の最新の提示価格が投資家自身で設定した損切りライン又は利益目標ラインに触れる又は超える前に、ディーラーに対し決済を求める場合、投資家とディーラー双方の約定を見て、1、投資家が当初予め設定した損切りライン又は利益目標ラインによって決済するか、または、2、投資商品の最新の提示価格が投資家自身で設定した損切りライン又は利益目標ラインに触れる前に、ディーラーに対し決済を求めるか、または、3、無条件で投資家は投資商品の最新の提示価格が投資家自身で設定した損切りライン又は利益目標ラインに触れる前、ディーラーに対し決済を求めるかの3つの選択肢を選べる
ことを特徴とする損失限定の金融取引システム。
【請求項2】
前記プライマリサーバー、第1サーバー、第2サーバー及び第3サーバーには、いずれも予備サーバーが設けられる
請求項1に記載の損失限定の金融取引システム。
【請求項3】
前記投資家のクライアント端末内の金融取引ユニットIIは、表示モジュールを包括し、前記表示モジュールが投資商品のリアルタイム提示価格とプライマリー及び全てのセカンダリーディーラー代理人の当日の少なくとも未決済取引、取消又は拒否された取引、決済済み取引履歴及び投資家の口座情報を表示するために用いられる
請求項1または2に記載の損失限定の金融取引システム。
【請求項4】
前記強制取引モジュールは、リアルタイムで前記価格Pをもって投資商品に対し取引の決済を行う時、決済データが前記ディーラーのサーバーにより処理された後前記表示モジュールに伝送されて前記決済済み取引履歴及び投資家の口座情報を表示する
請求項3に記載の損失限定の金融取引システム。
【請求項5】
前記投資家の口座情報は、取引明細と資金明細とを包括し、前記取引明細が決済済み取引と未決済取引の明細を含み、前記資金明細が預入額、引き出し額、信用額及び残高の明細を含む
請求項4に記載の損失限定の金融取引システム。
【請求項6】
前記投資家のクライアント端末内の金融取引ユニットIIは、投資商品選択モジュールを包括し、前記プライマリサーバー内の金融取引ユニットIが取引手数料徴収方式選択モジュールを包括し;
前記投資商品選択モジュールは、投資商品の種類を選択するために用いられ、前記取引手数料徴収方式選択モジュールがディーラーのコミッション徴収方式を選択するために用いられる
請求項1ないし5のいずれかに記載の損失限定の金融取引システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融取引技術分野に関し、特に、損失額又は投資金額の不確実性を排除できる金融取引システム、すなわち損失を限定できる金融取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
投資がリスク及びリターンに及び、投資市場でこれまで使用している手法は、投資家のリターン要求を満たすことができないたり、往々にして投資家に想定外リスクがもたらされている。
【0003】
証拠金及びレバレッジ
現物、先物又はオプション(プット)取引を問わず、投資家が投資商品の契約額の100%を支払って取引する場合を除き、100%の契約額より少ない資金で行う取引は、証拠金取引と呼ばれる。
【0004】
米原油先物の例で証拠金取引の原理を説明する。
契約数量:1000バレル;
約定価格:USD40/バレル;
契約額:USD40,000;
投資家Aが契約額の100%、すなわち、USD40,000で取引を行う場合、業界では実物取引と呼ばれる。
【0005】
投資家Aが契約額の10%、すなわち、USD4,000で取引を行う場合、レバレッジ率が10倍となり、業界では証拠金取引又はレバレッジ取引と呼ばれる。
【0006】
証拠金取引制度は、マージンコール(Margin Call)が発生し、更に損失が投資家取引口座の資産額を超える(Over−loss)。理由は、証拠金制度が投資家に対して損切り幅の予め設定を強制要求せず、投資商品価格の思惑と逆方向に動いた幅が証拠金を超えると、投資家にマージンコールが発生されるのを避けることができず、さらに損失が証拠金を超えてしまい、こうして顧客は極めて大きな損失の不確実性リスクを受け、巨額損失を容易に被る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、現在金融・投資商品の証拠金取引制度の損失の不確実性リスクが大きく、容易に巨額損失を被る技術的課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、損失限定の金融取引システムを提供するものであり、サーバー側とクライアント側とを包括し、前記サーバー側がネットワークを通じて前記クライアント側と接続し;
前記サーバー側は、複数のサーバーを包括し、前記サーバー内に金融取引ユニットが設けられ;
前記クライアント側は、複数のクライアント端末を包括し、前記クライアント端末が前記金融取引ユニットの共有を通じてリアルタイムな金融取引を行うことに適し;
前記金融取引ユニットは、リミットロックモジュールと強制取引モジュールとを包括し、前記リミットロックモジュールが金融取引の利益目標幅、損切り幅及び投資金額の設定に適し、投資商品の価格は前記利益目標幅又は損切り幅の2者の発生の早い方が対応する投資商品価格Pに触れた又は超えた時、前記強制取引モジュールがリアルタイムで前記価格Pをもって投資商品に対し取引の決済を行う。
【0009】
好ましくは、前記サーバー側は、プライマリサーバーと第1サーバーと第2サーバーと第3サーバーとディーラーのサーバーとを包括し、前記プライマリサーバー、第1サーバー、第2サーバー、第3サーバーでトップレベルサーバー側を構成し、前記プライマリサーバーが各々前記第1サーバー、第2サーバー及び第3サーバーに接続され;前記第1サーバー、第2サーバー及び第3サーバーは、いずれも前記ディーラーのサーバーに接続され、前記ディーラーのサーバーが前記トップレベルサーバー側と前記クライアント側の間に介在され;前記クライアント側のクライアント端末は、ディーラーのクライアント端末とディーラー代理人のクライアント端末と投資家のクライアント端末とを包括し、前記ディーラーのサーバーが各々前記ディーラーのクライアント端末、ディーラー代理人のクライアント端末及び投資家のクライアント端末に接続され;
前記プライマリサーバー内の前記金融取引ユニットは、金融取引ユニットIであり、前記金融取引ユニットIがSQLデータ処理を経た後、金融取引ユニットIIに変換され、前記金融取引ユニットIIが前記第1サーバー、第2サーバー及び第3サーバー内で共有され;
前記第1サーバー、第2サーバー及び第3サーバー内の金融取引ユニットIIは、前記ディーラーのサーバーと共有され、前記ディーラーのサーバー内の金融取引ユニットIIが前記ディーラーのクライアント端末、ディーラー代理人のクライアント端末及び投資家のクライアント端末と共有される。
【0010】
好ましくは、前記プライマリサーバー、第1サーバー、第2サーバー及び第3サーバーには、いずれも予備サーバーが設けられる。
【0011】
好ましくは、前記投資家のクライアント端末内の金融取引ユニットIIのリミットロックモジュールは、入力モジュールを包括し、前記入力モジュールは投資家が前記利益目標幅及び投資金額を入力するために用いられ、また前記損切り幅を手動で入力又は前記利益目標幅に基づいて前記利益目標幅に等しい損切り幅を自動に入力するために用いられる。
【0012】
好ましくは、前記投資家のクライアント端末内の金融取引ユニットIIの強制取引モジュールは、取引確定モジュールを包括し、前記入力モジュールで利益目標幅、損切り幅及び投資金額を入力した後、前記取引確定モジュールが前記利益目標幅、損切り幅及び投資金額に基づいて投資商品の取引量、利益目標額及び損切り額を自動算出すると共にインターフェースに表示され、投資家は前記取引量、利益目標額及び損切り額によって取引確定又は取引取消を選択する。
【0013】
好ましくは、前記ディーラーのサーバーの金融取引ユニットIIは、投資商品の相場情報取得モジュールを包括し、前記相場情報取得モジュールが投資商品のリアルタイム提示価格を取得して前記リアルタイム提示価格を前記ディーラーのクライアント端末、ディーラー代理人のクライアント端末及び投資家のクライアント端末に伝送するために用いられる。
【0014】
好ましくは、投資家が取引を確定する前、前記リアルタイム提示価格に変動が発生した場合、前記取引確定モジュールは価格変動により価格を再提示するという知らせを発し、また変動後の価格に基づいて投資商品の取引量、利益目標額及び損切り額を再度自動算出した後、インターフェースに表示し、投資家が前記取引量、利益目標額及び損切り額によって取引確定又は取引取消を選択する。
【0015】
好ましくは、前記投資家のクライアント端末内の金融取引ユニットIIは、表示モジュールを包括し、前記表示モジュールが投資商品のリアルタイム提示価格とプライマリー及び全てのセカンダリーディーラー代理人の当日の少なくとも未決済取引、取消又は拒否された取引、決済済み取引履歴及び投資家の口座情報を表示するために用いられる。
【0016】
好ましくは、前記強制取引モジュールは、リアルタイムで前記価格Pをもって投資商品に対し取引の決済を行う時、決済データが前記ディーラーのサーバーにより処理された後前記表示モジュールに伝送されて前記決済済み取引履歴及び投資家の口座情報を表示する。
【0017】
好ましくは、前記投資家の口座情報は、取引明細と資金明細とを包括し、前記取引明細が決済済み取引と未決済取引の明細を含み、前記資金明細が預入額、引き出し額、信用額及び残高の明細を含む。
【0018】
好ましくは、前記投資家のクライアント端末内の金融取引ユニットIIは、投資商品選択モジュールを包括し、前記プライマリサーバー内の金融取引ユニットIが取引手数料徴収方式選択モジュールを包括し;
前記投資商品選択モジュールは、投資商品の種類を選択するために用いられ、前記取引手数料徴収方式選択モジュールがディーラーのコミッション徴収方式を選択するために用いられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、全く新しい金融取引システムを提供し、契約満期日(Maturity)を決済時間として設けず、ディーラー(Dealer)の関連投資商品に対する最新の提示価格は投資家が設定した損切りライン又は利益目標ラインに触れる或いは超えることをベースとし、最新の提示価格は投資家が設定した損切りライン又は利益目標ラインに触れた或いは超えた場合、当該取引を直ちに決済する。
【0020】
投資家は、投資商品の最新の提示価格が投資家自身で設定した損切りライン又は利益目標ラインに触れる又は超える前に、ディーラーに対し決済を求める場合、投資家とディーラー双方の約定を見て次の3つのいずれかを選択できる。
1、投資家が当初予め設定した損切りライン又は利益目標ラインによって決済する。
2、投資商品の最新の提示価格が投資家自身で設定した損切りライン又は利益目標ラインに触れる前に、ディーラーに対し決済を求めることができ、ディーラーが投資家からサービス料或いは手数料を徴収することを条件とする。
3、ディーラーは、無条件で投資家は投資商品の最新の提示価格が投資家自身で設定した損切りライン又は利益目標ラインに触れる前、ディーラーに対し決済を求めることができることを容認する。
【0021】
本発明には一定の契約額がなく、毎回取引の契約数量が投資家の次の2号の選択によって決まる。
1、投資金額(取引金額とも言われる);
2、損切り幅;
契約数量=投資金額/損切り幅。
【0022】
本発明は、投資家に考えから行動するよう勧め、リスク許容度及び目標リターンが全ての投資の重要な考慮事項である。各投資取引の安全を確保するため、投資家に次の2つの要求に従うよう求めている。a)あらかじめ計画してから行動し;b)決済損失が本来の予算を超えない。これは、投資家に対し各取引を確定する前、投資金額や利益目標幅及損切り幅を入力するよう求めている。上記2つの要求のほかに、投資家とディーラー双方が投資家の損切り幅又は利益目標幅のみで決済することに同意することを加え、ディーラーが提供する投資商品の最新の提示価格は投資家の損切りラインに触れた場合又は超えた場合、当該取引がすぐ決済され、投資家の取引金額が損失額に等しく、潜在的な最大損失を予知できる。
【0023】
現行の先物取引に比べると、万が一投資商品の価格が市場に激しい値動きが現れ或いは連休の休場原因によりギャップアップ又はギャップダウン(Price Gap Up or Price Gap Down)が現れ、投資商品の最新約定価格はすでに投資家があらかじめ設定した損切り幅を超え、投資家の最終決済損失があらかじめ設定した損切り幅より大きい。
【0024】
よって、投資家及びディーラー双方に公平に潜在的な最大損失を予知させるため、本発明は1つの重要精神を具現し、すなわち、投資家及びディーラー双方が想定外の収益又は利益を放棄して自分のリスク許容度(損切り幅)を超えないことを保障することに同意する。
【0025】
以下、添付図面及び実施例を組み合わせて本発明に対し更なる説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施例の原理ブロック図
図2】本発明の金融取引ユニットIIの構成ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、添付図面を組み合わせて本発明に対し更に詳細説明を行う。それら添付図面は、均しく簡略化した概念図であり、概念的に本発明の基本構造を説明し、よって本発明と関係する構成のみを示している。
【0028】
図1に示す実施例のように、本発明に係る損失限定の金融取引システムは、トップレベルサーバー側1とディーラーのサーバー2とクライアント側3とを包括し、ディーラーのサーバー2がトップレベルサーバー側1とクライアント側3の間を介在し;トップレベルサーバー側1は、プライマリサーバー10と第1サーバー100と第2サーバー101と第3サーバー102とを包括し、プライマリサーバー10が各々第1サーバー100、第2サーバー101及び第3サーバー102に接続され、第1サーバー100、第2サーバー101及び第3サーバー102が均しくディーラーのサーバー2に接続され;クライアント側3は、ディーラーのクライアント端末30とディーラー代理人のクライアント端末31と投資家のクライアント端末32とを包括し、ディーラーのサーバー2が各々ディーラーのクライアント端末30、ディーラー代理人のクライアント端末31及び投資家のクライアント端末32に接続される。
【0029】
プライマリサーバー10内に金融取引ユニットIが設けられ、金融取引ユニットIに対しSQL(Structured Query Language,構造化問合わせ言語)データ処理後を行った後で金融取引ユニットIIに変換し、金融取引ユニットIIが各々第1サーバー100、第2サーバー101及び第3サーバー102内に保存されて共有し;そして第1サーバー100、第2サーバー101及び第3サーバー102内で共有する金融取引ユニットIIがディーラーのサーバー2内に保存されて共有し;次にディーラーのサーバー2内で共有する金融取引ユニットIIは、FTP(File Transfer Protocol,ファイル転送プロトコル)、交換機、ファイアウォール及びIP(Internet Protocol,インターネットプロトコル)のインターネットを順次経由してダウンロードされてディーラーのクライアント端末30、ディーラー代理人のクライアント端末31及び投資家のクライアント端末32内に保存されて共有する。好ましくは、本金融取引システムの動作の信頼性を高めるため、プライマリサーバー10、第1サーバー100、第2サーバー101及び第3サーバー102均は、いずれも予備サーバーが設けられている。
【0030】
図2に示すように、金融取引ユニットIIは、リミットロックモジュールと強制取引モジュールと相場情報取得モジュールと表示モジュールとを包括し、リミットロックモジュールが投資家に入力インターフェースを提供し、利益目標幅、損切り幅及び投資金額を入力するための入力モジュールを包括する。損切り幅に2つの入力方法があり、すなわち、1、入力モジュールから利益目標幅の値により自動入力し、その値が利益目標幅と同じ;2、投資家から入力し、その数値が利益目標幅と同じ又は異なることができる。利益目標幅及び投資金額はいずれも投資家から入力する。
【0031】
金先物を例にすると、利益目標幅USD5及び投資金額USD1000を手動で入力すると、損切り幅USD5を自動入力でき、利益目標幅と同じ、又は損切り幅USD10或いはUSD4若しくはUSD5を手動で入力すると、利益目標幅より大きく、小さく又は等しくすることができる。
【0032】
強制取引モジュールは、取引確定モジュールを包括し、取引確定モジュールが利益目標幅、損切り幅及び投資金額に基づいて取引量、利益目標額及び損切り額を自動算出でき、計算式:取引量=投資金額/損切り幅で、利益目標額=取引量×利益目標幅で、損切り額=取引量×損切り幅である。引き続き上記金先物を例にすると、利益目標幅及び損切り幅はいずれもUSD5で、投資金額がUSD1000の場合、取引量=1000/5=200オンス、利益目標額=200×5=USD1000、損切り額=200×5=USD1000となり;利益目標幅は、USD5の場合、損切り幅がUSD4、投資金額がUSD1000となり、損切り幅によって取引量を計算すると、取引量=1000/4=250オンス、利益目標額=250×5=USD1250、損切り額=250×4=USD1000となり;以降も同様とする。
【0033】
相場情報取得モジュールは、データソースプロバイダ(例えばロイター通信社路透社/彭博)が提供したプライスフィード(Price Feed)からがンターネットを経由してディーラーのサーバー2に伝送して投資商品のリアルタイム提示価格が得られ、リアルタイム提示価格をディーラーのクライアント端末30、ディーラー代理人のクライアント端末31及び投資家のクライアント端末32に伝送するために用いられる。
【0034】
表示モジュールは、少なくともリアルタイム提示価格インターフェース、未決済取引インターフェース、取消又は拒否された取引インターフェース、決済済み取引履歴インターフェース及び投資家の口座情報インターフェースを包括し、各々投資商品のリアルタイム提示価格とプライマリー及び全てのセカンダリーディーラー代理人の当日の少なくともデータ、すなわち、未決済取引、取消又は拒否された取引、決済済み取引履歴及び投資家の口座情報を表示するために用いられ;投資家の口座情報は、取引明細と資金明細とを包括し、取引明細が決済済み取引及び未決済取引の明細を含み、資金明細が預入額、引き出し額、信用額及び残高の明細を含む。
【0035】
上記利益目標幅、損切り幅と投資金額及びそれに基づいて自動算出した取引量、利益目標額と損切り額及びリアルタイム提示価格が表示モジュールで表示され、投資家は取引量、利益目標額及び損切り額によって取引確定又は取引取消を選択する。投資家が取引を確定する前、リアルタイム提示価格に変動が発生した場合、取引確定モジュールから価格に変動があるため再見積の必要がある旨の知らせを発し、また変動後の価格に基づいて投資商品の取引量、利益目標額及び損切り額を再度自動算出した後表示モジュールに表示され、投資家は新しい取引量、利益目標額及び損切り額によって取引確定又は取引取消を再度選択する。
【0036】
変動後の価格は、利益目標幅又は損切り幅の2者の発生の早い方が対応する投資商品価格Pに触れた又は超えた時、取引確定モジュールがリアルタイムで価格Pをもって投資商品に対し取引の決済を行い、投資家の選択が不要である。上記金先物を例にすると、利益目標幅をUSD5、損切り幅をUSD5、すなわち、利益目標幅=損切り幅、投資金額をUSD1000に設定し、取引確定モジュールは損切り幅及び投資金額によって取引量=1000/5=200オンス、利益目標額=200×5=USD1000、損切り額=200×5=USD1000と自動算出し、例えば当初の買付価格P0=USD1000/オンスで、ちょうど利益目標幅が対応する投資商品価格P1=USD1005/オンスに達し、ちょうど損切り幅が対応する投資商品価格P2=USD995/オンスに達し、相場情報取得モジュールから取得されたリアルタイムな価格Pt≧P1=USD1005/オンス又はPt≦P2=USD995/オンスの時、取引確定モジュールはリアルタイムで価格P1=USD1005/オンス又はP2=USD995/オンスにより取引の決済を自動的に行い、投資家の手動操作が不要で、こうして金の値上がり時あらかじめ設定した利益目標額USD1000が得られ、金の値下がり時最大損失額を損切り額USD1000に制御し、金の急上昇又は急落、例えば価格の大幅なギャップがあっても、その収益又は損失が確定されたもので、証拠金取引仕組み内の損失額の不確実性リスクを排除できる。
【0037】
好ましくは、金融取引ユニットIIは、投資商品選択モジュールを更に包括し、金融取引ユニットIが取引手数料徴収方式選択モジュールを包括し、投資商品選択モジュールが投資商品の種類を選択するために用いられ、例えば金等の貴金属、イギリスポンド等の通貨、原油等の商品及びインデックス等のいずれかを選択でき、取引手数料徴収方式選択モジュールがディーラーのコミッションや手数料徴収方式を選択するために用いられ、例えばスプレッド方式又は手数料方式を選択できる。
【0038】
本発明は、投資家の実質的な意向及び負担できるリスクに重視する。よって、投資家は取引金額及び損切り幅をあらかじめ設定した場合、証拠金の差し入れ必要がなく、マージンコール(Margin Call)の必要もなく、損失が投資元本を超える状況が発生する可能性がなく、投資リスクを大幅に軽減する。
【0039】
上述の通り開示した本発明の好ましい実施例を教示とし、上記の説明内容を通じて当業者は本発明の技術思想を脱しない範囲内で各種の変更や修飾を加えることができる。本発明の技術的範囲は、明細書上の記載内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲に基づいてその技術的範囲を確定する。
【符号の説明】
【0040】
1 トップレベルサーバー側
10 プライマリサーバー
100 第1サーバー
101 第2サーバー
102 第3サーバー
2 ディーラーのサーバー
3 クライアント側
30 ディーラーのクライアント端末
31 ディーラー代理人のクライアント端末
32 投資家のクライアント端末
図1
図2