(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
硬化した前記オキシメタル層の表面上に前記コーティング組成物の第2の層を配置し、そしてマトリックス前駆体材料の第2の層上にオキシメタル前駆体材料の第2の層が生じるような条件に、前記第2のコーティング組成物層をかける工程、並びに前記マトリックス前駆体材料の第2の層および前記オキシメタル前駆体材料の第2の層を硬化させる工程をさらに含む、請求項1の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書を通して使用される場合、以下の略語は文脈が他のことを明らかに示さない限りは以下の意味を有するものとする:ca.=約;℃=摂氏度;g=グラム;mg=ミリグラム;mmol=ミリモル;L=リットル;mL=ミリリットル;μL=マイクロリットル;nm=ナノメートル;Å=オングストローム;およびrpm=1分間あたりの回転数。他に示されない限りは、全ての量は重量パーセント(重量%)であり、全ての比率はモル比である。用語「オリゴマー」とは、さらに硬化することができるダイマー、トリマー、テトラマーおよび他の比較的低分子量の材料をいう。「アルキル」および「アルコキシ」とは、線状、分岐および環式アルキルおよびアルコキシをそれぞれ意味する。用語「硬化」とは、重合させるか、または他の方法で、例えば、縮合などによって、材料または層の分子量を増大させるあらゆるプロセスを意味する。用語「膜」および「層」は本明細書を全体にわたって交換可能である。冠詞「a」、「an」および「the」は単数および複数を意味する。全ての数値範囲は境界値を含み、かつこのような数値範囲が合計で100%になることに制約されることが明らかな場合を除いて任意に組み合わせ可能である。
【0011】
本発明において有用なコーティング組成物はマトリックス前駆体材料、20〜40erg/cm
2の表面エネルギーを有するオキシメタル前駆体材料、および有機溶媒を含み、前記マトリックス前駆体材料は前記オキシメタル前駆体材料の表面エネルギーよりも高い表面エネルギーを有する。さまざまなマトリックス前駆体材料が適切に使用されることができ、限定されないが、例えば、ポリマー系材料、ケイ素含有材料、有機金属材料、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、ただし、このようなマトリックス前駆体材料は硬化されることができ、使用される前記オキシメタル前駆体材料の表面エネルギーよりも高い表面エネルギーを有し、使用される前記有機溶媒中に可溶性であり、基体上に当該コーティング組成物の層を配置するために使用される条件下で安定であり、かつ硬化されるときに前記オキシメタル前駆体材料の硬化温度に耐える充分な熱安定性を有する。具体的なオキシメタル前駆体材料、および本発明の具体的な使用に応じて、60分までまたはそれより長い期間にわたってオキシメタル前駆体材料の硬化温度は250〜400℃の範囲であることができた。酸素もしくは水分バリア膜のような特定の用途のためには、マトリックス前駆体材料は相対的に密な膜形態を有しかつ相対的に低い極性および親水性官能基を有する硬化したマトリックスを提供するべきである。マトリックス前駆体材料が、ポリマー系材料およびケイ素含有材料から選択されるのが好ましく、より好ましくはマトリックス前駆体材料はケイ素含有材料である。本発明のコーティング組成物において使用されるマトリックス前駆体材料は、オキシメタル前駆体材料の表面エネルギーよりも高い表面エネルギーを有する。好ましくは、マトリックス前駆体材料は、使用されるオキシメタル前駆体材料の表面エネルギーよりも10erg/cm
2以上高い表面エネルギーを有し、より好ましくは、15erg/cm
2以上高い表面エネルギーを有する。
【0012】
本発明において有用な典型的なポリマーマトリックス前駆体材料には、限定されないが、ポリアリーレン材料、例えば、ポリフェニレン材料、およびアリールシクロブテンベースの材料、例えば、ザダウケミカルカンパニーから入手可能であるSiLK
(商標)およびCYCLOTENE
(商標)ブランドの下でそれぞれ入手可能なものが挙げられる。本発明におけるマトリックス前駆体材料として、さまざまな他のポリマー系マトリックス材料が適切に使用されうることが当業者に認識されるであろう。このようなポリマー系材料は商業的に入手可能であることができ、または様々な既知の方法によって製造されうる。
【0013】
典型的なケイ素含有マトリックス前駆体材料には、限定されないが、シロキサン材料およびシルセスキオキサン材料、好ましくはシルセスキオキサンが挙げられる。シロキサン材料は一般式(R
2SiO
2)
nを有し、およびシルセスキオキサン材料は一般式(RSiO
3/2)
nを有し、式中、Rは典型的には、OH、C
1−4アルコキシル、C
1−4アルキルおよびC
6−10アリールから選択され、並びに少なくとも1つのSi上のこのR置換基はC
1−4アルキルおよびC
6−10アリールから選択される。適するシルセスキオキサンは典型的には、1種以上のオルガノトリアルコキシシラン間の縮合反応によって製造され、このオルガノトリアルコキシシランは典型的には式RSi(OR)
3(式中、各Rは独立して、C
1−4アルキル、およびC
6−10アリールから選択される)を有する。このようなケイ素含有材料は概して、例えば、ダウコーニング(ミシガン州ミッドランド)から商業的に入手可能であるか、または当該技術分野において知られている様々な方法、例えば、米国特許第6,271,273号(Youら)に開示されている方法によって製造されうる。このようなケイ素含有材料には、ケイ素−金属ハイブリッド材料、例えば、ケイ素−チタンハイブリッド材料およびケイ素−ジルコニウムハイブリッド材料が挙げられる。
【0014】
様々な有機金属材料がマトリックス前駆体材料として使用されうる。適する有機金属材料は膜形成性であり、かつ典型的にはポリマー系(例えば、オリゴマー系)であるが、非ポリマー系であっても良く、かつ単一種の金属を含んでいても良いし、または2種以上の異なる金属を含んでいても良い。すなわち、単一の有機金属材料、例えば、オリゴマーは1つだけの金属種を有していてもよいし、2種以上の異なる金属種を含んでいても良い。あるいは、混合金属膜を堆積させるために、それぞれの材料が単一の金属種を有する有機金属材料の混合物が使用されてもよい。有機金属材料が、異なる金属種ではない単一の金属種の1つ以上の原子を含むことも好ましい。本発明の有機金属材料において有用な適する金属は、周期表の第3〜14族の任意の金属である。好ましくは、この金属は第4、5、6および13族から選択され、より好ましくは第4、5および6族から選択される。好ましい金属には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタル、モリブデンおよびアルミニウムが挙げられ、より好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタルおよびモリブデンが挙げられる。
【0015】
本発明の組成物において使用するのに適した有機金属材料の一つの種類は式(1)の金属−酸素オリゴマーである:
【0017】
式中、各Xは独立して光減衰(light attenuating)部分、ジケトン、C
2−20ポリオール、およびC
1−20アルコキシドから選択され、並びにMは第3族〜第14族金属である。好ましいX置換基はジケトンおよびC
1−20アルコキシドであり、より好ましくはジケトンおよびC
1−10アルコキシドである。ある実施形態においては、少なくとも1つのXは下記構造のジケトンであるのが好ましい:
【0019】
式中、各Rは独立して、水素、C
1−12アルキル、C
6−20アリール、C
1−12アルコキシおよびC
6−10フェノキシから選択され、並びにより好ましくは、両方のX置換基はジケトンである。より好ましくは、各Rは独立して、C
1−10アルキル、C
6−20アリール、C
1−10アルコキシおよびC
6−10フェノキシから選択される。Rのための典型的な基には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ベンジル、フェネチル、ナフチル、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、エチルフェノキシおよびフェニルオキシ−メチルが挙げられる。金属−酸素オリゴマーの好ましい構造は下記式(1a)を有する:
【0021】
式中、M、XおよびRは上述の通りである。この金属−酸素オリゴマーは米国特許第7,364,832号に開示されている。また本発明において有用な同様の金属−酸素オリゴマーは、米国特許第6,303,270号、第6,740,469号、および第7,457,507号、並びに米国特許出願公開第2012/0223418号に認められる。
【0022】
本発明において有用な有機金属材料の別の適する種類は、1以上の金属含有ペンダント基を含むオリゴマーである。好ましくは、1以上の金属含有ペンダント基を含む有機金属オリゴマーは、重合単位として、1以上の(メタ)アクリラートモノマー、およびより好ましくは、1以上の金属含有(メタ)アクリラートモノマーを含む。さらにより好ましくは、1以上の金属含有ペンダント基を含む有機金属オリゴマーは、重合単位として、下記式(2)の1以上のモノマーを含む:
【0024】
式中、R
1=HまたはCH
3、M=第3族〜第14族金属、Lはリガンドであり、並びに、nはリガンドの数を表しかつ1〜4の整数である。好ましくは、Mは第4、5、6および13族から選択される金属であり、より好ましくは第4、5および6族から選択される金属である。M=チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタル、モリブデンおよびアルミニウムであるのが好ましく、より好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタルおよびモリブデンであり、さらにより好ましくはジルコニウム、ハフニウム、タングステンおよびタンタルである。
【0025】
式(2)におけるリガンドLは、硬化工程中に開裂されて金属酸化物含有ハードマスクを形成することができる限りは、このリガンドは任意の適するリガンドであって良い。好ましくは、このリガンドは、金属に結合された、金属に配位した、または他の方法で金属と相互作用した酸素または硫黄原子を含む。リガンドの典型的な種類は以下のグループの1以上を含むものである:アルコール、チオール、ケトン、チオンおよびイミン、並びに好ましくはアルコール、チオール、ケトンおよびチオン。好ましくは、Lは、C
1−6アルコキシ、ベータ−ジケトナート、ベータ−ヒドロキシケトナート、ベータ−ケトエステル、ベータ−ジケチミナート、アミジナート、グアニジナートおよびベータ−ヒドロキシイミンの1種以上から選択される。Lが、C
1−6アルコキシ、ベータ−ジケトナート、ベータ−ヒドロキシケトン、およびベータ−ケトエステルの1種以上から選択されるのがより好ましく、並びにさらにより好ましくは、LはC
1−6アルコキシから選択される。リガンドの数は式(2)においては「n」で表され、このnは1〜4、好ましくは2〜4、およびより好ましくは3〜4の整数である。好ましい式(2)のモノマーには、Zr(C
1−4アルコキシ)
3アクリラート、Zr(C
1−4アルコキシ)
3メタクリラート、Hf(C
1−4アルコキシ)
3アクリラート、Hf(C
1−4アルコキシ)
3メタクリラート、Ti(C
1−4アルコキシ)
3アクリラート、Ti(C
1−4アルコキシ)
3メタクリラート、Ta(C
1−4アルコキシ)
4アクリラート、Ta(C
1−4アルコキシ)
4メタクリラート、Mo(C
1−4アルコキシ)
4アクリラート、Mo(C
1−4アルコキシ)
4メタクリラート、W(C
1−4アルコキシ)
4アクリラート、およびW(C
1−4アルコキシ)
4メタクリラートがある。式(2)の有機金属化合物は金属テトラアルコキシドをアクリル酸もしくはメタクリル酸と適切な溶媒(例えば、アセトン)中で反応させることによるなど、様々な方法によって製造されうる。
【0026】
1以上の金属含有ペンダント基を含む有機金属オリゴマーは単一種のモノマーの重合単位から構成されて良く(ホモポリマー)、または2種以上のモノマーの混合物の重合単位から構成されて良い(コポリマー)。適するコポリマーは、金属含有ペンダント基を含む1以上のモノマーを1以上の他のモノマーと重合することによるなど、従来の方法によって製造されることができ、このような他のモノマーは、場合によっては、米国特許出願第13/624,946号に開示されるように、金属含有ペンダント基を含んでいても良い。適するエチレン性不飽和モノマーには、限定されないが、アルキル(メタ)アクリラートモノマー、アリール(メタ)アクリラートモノマー、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートモノマー、アルケニル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、及びビニル芳香族モノマー、例えば、スチレンおよび置換スチレンモノマーが挙げられる。好ましくは、エチレン性不飽和モノマーはC
1−12アルキル(メタ)アクリラートモノマー、およびヒドロキシ(C
1−12)アルキル(メタ)アクリラートモノマーから選択され、並びにより好ましくはC
1−12アルキル(メタ)アクリラートモノマーおよびヒドロキシ(C
2−6)アルキル(メタ)アクリラートモノマーから選択される。このようなコポリマーは、ランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーであることができる。これら有機金属オリゴマーは重合単位として、金属含有ペンダント基を含むモノマー、例えば、金属含有(メタ)アクリラートモノマーに加えて、1、2、3、4もしくはそれより多い種類のエチレン性不飽和モノマーから構成されていて良い。
【0027】
本発明のコーティング組成物におけるマトリックス前駆体材料として使用するのに適した有機金属材料のさらなる種類は、下記式(3)の化合物である:
【0029】
式中、R
2=C
1−6アルキル、M
1は第3族〜第14族金属であり、R
3=C
2−6アルキレン−X−もしくはC
2−6アルキリデン−X−であり、各Xは独立してOおよびSから選択され、zは1〜5の整数であり、L
1はリガンドであり、mはリガンドの数を表しかつ1〜4の整数であり、並びにp=2〜25の整数である。R
2がC
2−6アルキルであるのが好ましく、より好ましくはC
2−4アルキルである。好ましくはM
1は第4、5、6および13族から選択される金属であり、およびより好ましくは第4、5および6族から選択される金属である。M
1=チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタル、モリブデンおよびアルミニウムであるのが好ましく、より好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタルおよびモリブデンであり、並びにさらにより好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステンおよびタンタルである。Xは好ましくはOである。R
3がC
2−4アルキレン−X−およびC
2−4アルキリデン−X−から選択されるのが好ましく、並びにより好ましくはC
2−4アルキレン−O−およびC
2−4アルキリデン−O−から選択される。好ましくは、p=5〜20であり、より好ましくは8〜15である。z=1〜4が好ましく、より好ましくはz=1〜3である。
【0030】
式(3)におけるリガンドL
1は、硬化工程中に開裂されて金属酸化物含有ハードマスクを形成することができる限りは、このリガンドは任意の適するリガンドであり得る。好ましくは、このリガンドは、金属に結合した、金属に配位した、または他の方法で金属と相互作用した酸素もしくは硫黄原子を含む。リガンドの典型的な種類は、以下のグループの1種以上を含むものである:アルコール、チオール、ケトン、チオンおよびイミン、並びに好ましくはアルコール、チオール、ケトンおよびチオン。好ましくは、L
1はC
1−6アルコキシ、ベータ−ジケトナート、ベータ−ヒドロキシケトナート、ベータ−ケトエステル、ベータ−ジケチミナート、アミジナート、グアニジナートおよびベータ−ヒドロキシイミンの1種以上から選択される。L
1が、C
1−6−アルコキシ、ベータ−ジケトナート、ベータ−ヒドロキシケトナートおよびベータ−ケトエステルの1種以上から選択されることがより好ましく、並びにさらにより好ましくはL
1はベータジケトナート、ベータ−ヒドロキシケトナートおよびベータ−ケトエステルから選択される。リガンドの数は式(3)において「m」で表され、このmは1〜4、および好ましくは2〜4でありうる。L
1のための好ましいリガンドには、ベンゾイルアセトナート、ペンタン−2,4−ジオナート(アセトアセタート)、ヘキサフルオロアセトアセタート、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナート、およびエチル−3−オキソブタノアート(エチルアセトアセタート)が挙げられる。式(3)のオリゴマーは、例えば、米国特許出願第13/624,946号に開示されるもののような、当該技術分野において知られている従来の手段によって製造されうる。
【0031】
様々な非ポリマー系有機金属材料がマトリックス前駆体材料として本発明のコーティング組成物において使用されうるが、ただし、このような化合物は使用される条件下で膜を形成することができるものである。適する非ポリマー系有機金属材料はホモレプティックまたはヘテロレプティック(すなわち、異なるリガンドを含む)であってよく、限定されないが金属ケトナート、金属ケチミナート、金属アミジナートなどが挙げられる。典型的な、非ポリマー系有機金属化合物には、これに限定されないが、ハフニウム2,4−ペンタンジオナート、ハフニウムジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオナート)、ハフニウムテトラメチルヘプタンジオナート、ハフニウムトリフルオロペンタンジオナート、チタンアリルアセトアセトナート トリス−イソ−プロポキシド、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオナート)、チタンジ−イソ−プロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオナート)、チタンジ−イソ−プロポキシド(ビス−テトラメチルヘプタンジオナート)、タンタル(V)テトラエトキシド2,4−ペンタンジオナート、ジルコニウムジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオナート)、ジルコニウムジ−イソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオナート)、ジルコニウムジメタクリラートジ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラメタクリラート、ジルコニウムヘキサフルオロペンタンジオナート、ジルコニウムテトラ−2,4−ペンタンジオナート、ジルコニウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート、およびジルコニウムトリフルオロペンタンジオナートが挙げられる。このような非ポリマー系有機金属材料は概して市販されているか、または様々な既知の方法によって製造されうる。
【0032】
1種より多い有機金属材料が本発明のコーティング組成物におけるマトリックス前駆体材料として使用されうることが当業者によって認識されるであろう。有機金属材料の組合わせが使用される場合には、これら材料は様々な量で、例えば、99:1〜1:99(重量比)のような、好ましくは90:10〜10:90(重量比)の変動する量で使用されうる。好ましくは、有機金属材料の組み合わせが使用されない。
【0033】
様々なオキシメタル前駆体材料が本発明のコーティング組成物に適切に使用されうるが、ただし、このようなオキシメタル前駆体材料は膜を形成することができ、硬化されることができ、20〜40erg/cm
2の(静的)表面エネルギーを有し、かつ使用される有機溶媒中に可溶性である。好ましくは、オキシメタル前駆体材料は20〜35erg/cm
2、およびより好ましくは20〜30erg/cm
2の範囲の(静的)表面エネルギーを有する。本発明のオキシメタル前駆体材料はマトリックス前駆体材料とは異なっている。
【0034】
適するオキシメタル前駆体材料は第3〜14族から選択される金属を含み、および少なくとも一種の低表面エネルギーリガンド、すなわち、相対的により疎水性のリガンドを有する。好ましくは、オキシメタル前駆体材料はチタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタル、モリブデンおよびアルミニウムから選択される金属を含む。低表面エネルギーリガンドは、オキシメタル前駆体材料に使用される他のリガンドと比べて、またはマトリックス前駆体材料と比べて、より脂肪の(すなわち、ヒドロカルビルの)特性を有する。分岐もしくは環式アルキル部分は、対応する線状アルキル部分よりも相対的により疎水性であると考えられ、並びにこのような部分の分岐もしくは環式の性質を増大させることがそのリガンドの、およびその結果としてのオキシメタル前駆体材料の表面エネルギーを低くするのを助けると考えられる。同様に、アルキルおよびアリール部分の増大する炭素鎖長もそのリガンドの表面エネルギーを低くする。この低表面エネルギーリガンドは1以上のC
4−20ヒドロカルビル部分を含む。適するヒドロカルビル部分には、脂肪族ヒドロカルビル部分および芳香族ヒドロカルビル部分が挙げられる。ヒドロカルビル部分は、場合によっては、フッ素で置換されていてよく、その場合、ヒドロカルビル部分における水素の1以上が対応する数のフッ素で置き換えられる。好ましいヒドロカルビル部分は、C
4−20アルキルおよびC
6−20アリールであり、そのそれぞれは場合によってはフッ素で置換されていてよい。このようなC
4−20ヒドロカルビル部分は線状、分岐もしくは環式であって良い。C
6−20アリール部分には、C
6−20アラルキル部分およびC
6−20アルカリール部分、例えば、ベンジル、フェネチル、トリル、キシリル、エチルフェニル、スチリルなどが挙げられる。低表面エネルギーリガンドがC
4−6アルキル部分を含む場合には、そのアルキル部分は好ましくは分岐もしくは環式である。好ましくは、低表面エネルギーリガンドは、1以上のC
6−20ヒドロカルビル部分、より好ましくは1以上のC
6−16ヒドロカルビル部分、さらにより好ましくは1以上のC
8−16ヒドロカルビル部分、並びにさらにより好ましくは1以上のC
10−16ヒドロカルビル部分を含む。本発明のオキシメタル前駆体材料において低表面エネルギーリガンドを形成するのに有用な好ましい化合物はC
4−20ヒドロカルビル部分を有するアルコール、およびC
4−20ヒドロカルビル部分を有するカルボン酸である。低表面エネルギーリガンドを形成するためにカルボン酸含有化合物が使用される場合には、カルボン酸含有化合物が1つのカルボン酸官能基を有することが好ましい。複数のカルボン酸官能基を有する化合物はゲルを形成する傾向があり、このゲルは本発明のコーティング組成物には適していない。
【0035】
本発明のコーティング組成物において有用なオキシメタル前駆体材料はモノマー系のものもしくはオリゴマー系のものであって良く、好ましくはオリゴマー系のものである。好ましいオキシメタル前駆体材料は下記一般式(4)のものである:
【0037】
式中、Mは第3〜第14族金属であり、L
1は(C
1−C
6)アルコキシ、(C
1−C
3)カルボキシアルキル、および(C
5−C
20)β−ジケトナートから選択され、L
2はC
4−20ヒドロカルビル部分を含む低表面エネルギーリガンドであり、mはMの価数であり、zは1〜50の整数であり、x2は0から(m(z)−2(z−1)−1)の整数であり、y2は1から(m(z)−2(z−1))の整数であり、並びにx2+y2=m(z)−2(z−1)である。好ましくは、m=3または4である。z=1〜30であるのが好ましく、より好ましくは1〜25であり、さらにより好ましくは1〜20であり、さらにより好ましくは3〜25であり、並びにさらにより好ましくは3〜15である。好ましくは、L
2=O−C
4−20ヒドロカルビル、もしくはOC(O)−C
4−20ヒドロカルビルであり、より好ましくはL
2=O−C
6−20ヒドロカルビル、もしくはOC(O)−C
6−20ヒドロカルビルであり、並びにさらにより好ましくはL
2=O−C
6−16ヒドロカルビル、もしくはOC(O)−C
6−16ヒドロカルビルである。場合によっては、L
2の(C
4−C
20)ヒドロカルビル部分は、ヒドロキシル、カルボン酸、(C
1−C
6)アルキルカルボキシラートおよびフルオロからなる群から選択される1以上の置換基、好ましくは(C
1−C
6)アルキルカルボキシラートおよびフルオロからなる群から選択される1以上の置換基、並びにより好ましくは(C
1−C
4)アルキルカルボキシラートおよびフルオロからなる群から選択される1以上の置換基を含む。適する低表面エネルギーリガンド(L
2)には、限定されないが、へキサノアート、ヘプタノアート、オクタノアート、ノナノアート、デカノアート、ドデカノアート、シクロへキサノアート、ベンゾアート、メチルベンゾアート、ナフタノアート、フェノキシ、ベンジルオキシ、t−ブトキシおよびシクロヘキシルオキシが挙げられる。特定の用途のためには、充分に低い表面エネルギーを有するオキシメタル前駆体材料を提供するために、L
1リガンドの全てがL
2リガンドで置き換えられる必要はない。ある実施形態においては、L
2リガンドの量が、リガンドの全数に基づいて、25〜100%、より好ましくは25〜95%、さらにより好ましくは30〜95%、並びにさらにより好ましくは35〜90%であることが好ましい。このL
2リガンドのパーセンテージは式y2/(x2+y2)×100(式中、x2およびy2はそれぞれL
1リガンドおよびL
2リガンドの数を表す)に従って、計算されうる。
【0038】
本発明のオキシメタル前駆体材料は当該技術分野において知られている様々な手順によって製造されることができ、および典型的には、式M
+mX
m(式中、Xは交換されるべきリガンド、例えば、(C
1−C
6)アルコキシもしくは(C
5−C
20)β−ジケトナートである)の出発金属化合物と、適する低表面エネルギーリガンド、例えば、HL
2、またはそのアルカリもしくはアルカリ土類塩、例えば、K
+−L
2(式中、L
2は上で定義された通りである)との間のリガンド交換反応によって製造される。好ましくは、このリガンド交換反応に使用される低表面エネルギーリガンドは式HL
2を有する。一般的な手順においては、出発金属化合物は、フラスコ内で低表面エネルギーリガンドおよび適する有機溶媒と一緒にされる。この混合物は、次いで、所望のリガンド交換が起こるのを可能にする時間にわたって、典型的には室温から80℃まで、もしくはそれより高い温度に加熱される。この手順の後で、出発金属化合物上の(C
1−C
6)アルコキシもしくは(C
5−C
20)β−ジケトナートリガンドの1つ、2つまたは3つ全てが、対応する数の低表面エネルギーリガンドと交換されうる。置き換えられる(C
1−C
6)アルコキシもしくは(C
5−C
20)β−ジケトナートリガンドの数は、具体的な(C
1−C
6)アルコキシもしくは(C
5−C
20)β−ジケトナートリガンドの立体障害、使用される具体的な低表面エネルギーリガンドの立体障害、および混合物が加熱される時間の長さに応じて変化するであろうし、この時間の長さを長くするとより多くのリガンド交換をもたらすであろうことが当業者に認識されるであろう。
【0039】
本発明のコーティング組成物は1種以上の有機溶媒も含む。様々な有機溶媒が適切に使用されうるが、ただし、マトリックス前駆体材料およびオキシメタル前駆体材料がこの選択された溶媒もしくは溶媒の混合物に可溶性である。このような溶媒には、これに限定されないが、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、ラクトン、エステル、グリコール、グリコールエーテルおよびこれらの混合物が挙げられる。典型的には、有機溶媒には、限定されないが、トルエン、キシレン、メシチレン、アルキルナフタレン、2−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ガンマ−ブチロラクトン、エチルラクタート、2−ヒドロキシイソブチリックアシッドメチルエステル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールメチルエーテルが挙げられる。好ましい実施形態においては、過半量の第1の溶媒および半量未満の第2の溶媒を含む溶媒系が使用される。より好ましくは、第1の溶媒は相対的に低い表面エネルギーを有し、および第2の溶媒はこの第1の溶媒よりも相対的により高い沸点を有し、並びにこの第2の溶媒はオキシメタル前駆体材料の表面エネルギーよりも高い表面エネルギー(張力)を有する。典型的な第2の溶媒には、これに限定されないが、ガンマ−ブチロラクトン、ガンマ−バレロラクトン、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ベンジルベンゾアートなどが挙げられる。典型的には、溶媒混合物が使用される場合には、第2の溶媒の量は、この溶媒系の全重量を基準にして0.1〜10重量%の量で存在し、残部は第1の溶媒の重量である。好ましくは、有機溶媒は10,000ppm未満の水、より好ましくは5000ppm未満の水、およびさらにより好ましくは500ppm以下の水を含む。有機溶媒がカルボン酸基およびスルホン酸基を含まないことが好ましい。
【0040】
本発明のコーティング組成物は、場合によっては、1種以上の添加剤、例えば、硬化触媒、酸化防止剤、染料、コントラスト剤、バインダーポリマーなどを含んでいても良い。用途に応じて、1種以上の硬化触媒を本発明の組成物に添加して、マトリックス前駆体材料および/またはオキシメタル前駆体材料の硬化を助けることが望ましい場合がある。典型的な硬化触媒には、熱酸発生剤(TAG)および光酸発生剤(PAG)が挙げられる。TAGおよびその使用は当該技術分野において周知である。TAGの例には、NACURE
(商標)、CDX
(商標)およびK−PURE
(商標)名称の下で米国コネチカット州ノルウォークのKing Industriesによって販売されるものが挙げられる。光酸発生剤(PAG)およびその使用は当該技術分野において周知であり、かつ光酸発生剤は、適切な波長の光への曝露によって、または電子のビーム(e−ビーム)への曝露によって活性化されて酸を発生させる。適するPAGは、例えば、BASF(ドイツ国、ルードイッヒスハーフェン)からのIRGACURE
(商標)ブランドの下など、様々なソースから入手可能である。特にマトリックス前駆体材料が有機金属材料である場合に、基体上の向上したコーティング品質またはレベリングを提供する様に、様々なバインダーポリマーが使用されることができる。適するバインダーポリマーは米国特許出願番号第13/776,496号に開示されている。
【0041】
本発明のコーティング組成物はマトリックス前駆体材料、オキシメタル前駆体材料、有機溶媒、および何らかの任意の添加剤を任意の順に一緒にすることにより調製されうる。本発明の組成物における成分の濃度は広範囲にわたって変動させられうることが当業者に認識されるであろう。好ましくは、マトリックス前駆体材料は組成物中に、コーティング組成物の全重量に基づいて、2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%、およびより好ましくは6〜10重量%の量で存在する。好ましくは、オキシメタル前駆体材料は組成物中に、マトリックス前駆体材料の固形分量に対して、3〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%、およびさらにより好ましくは5〜8重量%の量で存在する。このような成分のより多いもしくはより少ない量が本発明のコーティング組成物において使用されてもよいことが当業者に認識されるであろう。
【0042】
使用の際には、本発明のコーティング組成物は電子素子基体上に配置される。様々な電子素子基体、例えば、マルチチップモジュールのようなパッケージング基体、フラットパネルディスプレイ基体、集積回路基体、発光ダイオード(LED)、例えば、有機発光ダイオード(OLED)などのための基体、半導体ウェハ、多結晶ケイ素基体などが本発明において使用されうる。このような基体は、典型的には、ケイ素、ポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、シリコンゲルマニウム、ガリウムヒ素、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン−タングステン、ニッケル、銅、金、ガラス、有機もしくは無機コートガラスの1種以上から構成される。適する基体は、集積回路、光学センサ、フラットパネルディスプレイ、集積光学回路およびLEDの製造に使用されるもののようなウェハの形態であることができる。本明細書において使用される場合、用語「半導体ウェハ」は、「電子素子基体」、「半導体基体」、「半導体素子」および様々なレベルの相互接続のための様々なパッケージ、例えば、シングルチップウェハ、マルチチップウェハ、様々なレベルのためのパッケージ、またははんだ接続を必要とする他のアセンブリを包含することが意図される。特に適する基体は、LED、例えば、OLEDを含むものである。このような基体はあらゆる適するサイズであり得る。好ましいウェハ基体直径は200mm〜300mmであるが、より小さなおよびより大きな直径を有するウェハが本発明に従って適切に使用されうる。本明細書において使用される場合、用語「半導体基体」には、半導体素子のアクティブもしくは駆動可能な部分を含む構造または半導体層を1以上有するあらゆる基体が挙げられる。用語「半導体基体」は、これに限定されないがバルク半導体材料、例えば、単独での、もしくは他の材料をその上に含むアセンブリでの半導体ウェハ、並びに、単独での、もしくは他の材料を含むアセンブリでの半導体材料層をはじめとする半導体材料を含むあらゆる構築物を意味すると定義される。半導体素子とは、少なくとも1つのマイクロ電子素子が基体上に作製されたまたはバッチ作製されている半導体基体をいう。好ましい基体はLEDのための基体であり、より好ましくはOLEDのための基体である。また、好ましいのはフレキシブルディスプレイ基体および光起電力素子基体であり、より好ましいのはLEDのためのおよびより好ましくはOLEDのためのフレキシブルディスプレイ基体である。
【0043】
本発明のコーティング組成物は、何らかの適する手段、例えば、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレーディング、カーテンコーティング、ローラーコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティングなどによって、電子素子基体上に配置されうる。スピンコーティングおよびスロットダイコーティングが好ましい。典型的なスピンコーティング方法においては、本発明の組成物は500〜4000rpmの速度で回転している基体に、15〜90秒の期間にわたって適用されて、マトリックス前駆体材料およびオキシメタル前駆体材料の所望の層を得る。層の全高は、回転速度、並びに組成物中の固形分パーセンテージを変えることによって、調節されうることが当業者に認識されるであろう。
【0044】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の組成物の堆積中に、および任意のその後の溶媒除去工程中にオキシメタル前駆体材料は形成している膜の表面に向かって移動すると考えられる。オキシメタル前駆体材料の相対的に低い表面エネルギーは、そのオキシメタル前駆体材料が空気界面に移動するのを助けると考えられる。結果として、オキシメタル前駆体材料の層がマトリックス前駆体材料の層上に配置される多層構造物が得られる。これら層の幾分かの相互混合が存在しうるが、この構造の上部は過半量のオキシメタル前駆体材料から構成されるであろうし、その一方で、下部は過半量のマトリックス前駆体材料から構成されるであろう。オキシメタル前駆体材料のこのような移動はマトリックス前駆体材料の完全な硬化の前に実質的に起こるべきであることが当業者に認識されるであろう。硬化したマトリックス材料膜の形成は、オキシメタル前駆体材料の移動を実質的に禁止する。
【0045】
本発明のコーティング組成物を電子素子基体上に堆積して多層構造(マトリックス前駆体材料層上のオキシメタル前駆体材料層)を形成する際またはその後に、この構造物は場合によっては比較的低い温度でベークされて何らかの残留する溶媒および他の比較的揮発性の成分を除去する。典型的には、基体は125℃以下、好ましくは60〜125℃で、およびより好ましくは90〜115℃の温度でベークされる。ベーク時間は典型的には10秒〜10分、好ましくは30秒〜5分、およびより好ましくは6〜180秒である。基体がウェハである場合には、このベーキング工程はウェハをホットプレート上で加熱することにより行われうる。
【0046】
溶媒を除去するための任意のベーキング工程の後で、多層構造層が、例えば、酸素含有雰囲気中で、例えば、空気中で、または不活性環境中で、例えば、窒素中で硬化させられる。硬化工程は好ましくはホットプレート型装置上で行われるが、同等の結果を得るためにオーブン硬化が使用されてもよい。典型的には、この硬化は多層構造を、150℃以上の、好ましくは150〜400℃の硬化温度で加熱することにより行われる。硬化温度が200℃以上400℃までであるのがより好ましく、さらにより好ましくは250℃以上400℃まで、並びにさらにより好ましくは250℃から400℃までである。最終の硬化温度の選択は望まれる硬化速度に応じて主として変化し、より高い硬化温度はより短い硬化時間を必要とする。本発明のオキシメタル前駆体材料層が200℃以上の温度で硬化させられる場合には、得られるオキシメタルドメイン含有膜は、反射防止コーティングおよびフォトレジストの適用において従来使用されている溶媒による剥離(除去されること)に対して耐性である。本発明のオキシメタル前駆体材料が350℃以上の温度で硬化させられる場合には、得られるオキシメタルドメイン含有膜は、像形成されるフォトレジスト層の現像において従来使用されているアルカリもしくは溶媒現像剤による剥離に対しても耐性である。典型的には、硬化時間は10秒〜30分、好ましくは30秒〜30分、より好ましくは45秒〜30分であり得る。硬化工程中にマトリックス前駆体材料の少なくとも一部分が硬化したマトリックス材料を形成し、並びにオキシメタル前駆体材料の少なくとも一部分が硬化して、(−M−O−)
n(式中、n>100)連結を有するオキシメタルドメインを含む層を形成する。典型的には、硬化したオキシメタルドメイン含有膜中の金属の量は95モル%以下(または、より高い)、および好ましくは50〜95モル%でありうる。硬化したオキシメタル材料層は、オキシメタルドメインに加えて、他のドメイン、例えば、金属窒化物ドメインを含んでいてもよく、並びに場合によっては、炭素を、例えば、5モル%以下の量の炭素を含むことが当業者によって認識されるであろう。
【0047】
溶媒および硬化性副生成物の素早い展開が膜品質を破壊させないような方法で最終の硬化工程が行われる場合には、最初のベーキング工程は必須ではない。例えば、勾配ベーク(ramped bake)が比較的低い温度で始まり、次いで250〜400℃の範囲へ徐々に上昇することは許容可能な結果を生じさせうる。ある場合には、第1段階が250℃未満の低いベーク温度であり、かつ第2段階がより高いベーク温度、好ましくは250〜400℃である2段階硬化プロセスを有することが好ましい場合がある。2段階硬化プロセスは均一な膜形成およびあらかじめ存在する基体表面トポロジーの平坦化を促進する。
【0048】
理論に拘束されることを望むものではないが、オキシメタル前駆体材料からオキシメタルドメイン含有膜への変換は、コーティングに含まれる水分、および/または、堆積(キャスティング)中および硬化プロセス中に雰囲気から吸着する水分による加水分解を伴うと考えられる。よって、この硬化プロセスは好ましくは空気中でまたは水分が存在する雰囲気中で行われて、オキシメタル前駆体材料のオキシメタルドメイン含有膜への完全な変換を促進する。しかし、ポリマーマトリックス前駆体材料が使用される場合には、このポリマー材料の分解の可能性を低減させるために、不活性雰囲気下、例えば、N
2下でマトリックス前駆体材料を硬化させるのが好ましい。この硬化プロセスは、紫外放射線、好ましくは約200〜400nmの波長範囲の紫外放射線への塗膜の曝露によっても補助されうる。この露光プロセスは熱硬化プロセスとは別にまたは熱硬化プロセスと併せて適用されうる。
【0049】
場合によっては、本発明のコーティング組成物の第2の層が硬化したオキシメタル材料層上に配置されることができ、そして上述のように処理されることができる。これは、結果として、硬化したマトリックス材料−オキシメタル材料−マトリックス材料−オキシメタル材料の交互の層構造を有する硬化した構造物を生じさせる。このプロセスは任意の回数繰り返されることができ、このような交互層の積層物を構築することができる。
【0050】
具体的な用途に応じて、本発明の硬化したオキシメタル材料層は、パターニングのようなさらなる処理工程にかけられうる。このようなさらなる処理工程は、オキシメタル材料層の表面への、1種以上の有機材料、例えば、フォトレジストおよび反射防止コーティングの適用を必要とする場合がある。硬化したオキシメタル材料層は典型的には、その後に適用される有機層の表面エネルギーとは非常に異なる表面エネルギーを有する。この表面エネルギーのミスマッチは、オキシメタル材料層とその後に適用される有機層との間の乏しい接着を引き起こす。その後に適用されるフォトレジスト層の場合には、この表面エネルギーのミスマッチは、結果的に、深刻なパターン崩壊をもたらす。本発明のオキシメタル材料膜の表面を、その後に適用される有機層により適合させるために、この表面は場合によっては、適切な表面処理剤で処理されうる。
【0051】
硬化したオキシメタル材料膜の表面を処理するのに有用な表面処理組成物は米国特許出願番号第13/745,752号に開示されたものであり、有機溶媒および表面処理剤を含み、この表面処理剤は1以上の表面処理部分を含む。場合によっては、表面処理組成物は、1種以上の添加剤、例えば、熱酸発生剤、光酸発生剤、酸化防止剤、染料、コントラスト剤などをさらに含むことができる。様々な有機溶媒、これに限定されないが、例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、ラクトン、エステル、グリコール、グリコールエーテルおよびこれらの混合物が適切に使用されうる。典型的な有機溶媒には、限定されないが、トルエン、キシレン、メシチレン、アルキルナフタレン、2−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ガンマ−ブチロラクトン、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソブチリックアシッドメチルエステル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールメチルエーテルが挙げられる。適する溶媒は、表面処理剤よりも相対的に高い蒸気圧を有し、その結果、その溶媒は膜の表面から除去されることができ、その後に表面処理剤を残すことができる。有機溶媒が遊離のカルボン酸基またはスルホン酸基を有さないことが好ましい。様々な表面処理剤が表面処理組成物中で使用されることができ、かつ表面処理剤はポリマー系であっても非ポリマー系であっても良く、かつ表面処理剤は1以上の表面処理部分を含むことができる。典型的な表面処理部分には、ヒドロキシル(−OH)、チオール(−SH)、カルボキシル(−CO
2H)、ベータジケト(−C(O)−CH
2−C(O)−)、保護されたカルボキシルおよび保護されたヒドロキシル基が挙げられる。アミノ基は機能するであろうが、表面処理剤はアミノ基を含まないのが好ましく、好ましくは窒素を含まない、なぜなら、そのような基はその後に適用されるコーティング、例えば、化学増幅型フォトレジストの機能に悪影響を及ぼしうるからである。保護されたカルボキシル基および保護されたヒドロキシル基は、特定の条件下で切断可能であり、カルボキシル基またはヒドロキシル基をそれぞれ生じさせる任意の基である。この保護されたカルボキシル基および保護されたヒドロキシル基は当該技術分野において周知である。表面処理剤が1以上の保護されたヒドロキシル基を含む場合には、表面処理組成物中に熱酸発生剤(TAG)または光酸発生剤(PAG)が使用されることが好ましい。
【0052】
表面エネルギーは、多くの場合、測定するのが困難なので、代理の測定項目、例えば、水接触角が典型的に使用される。水接触角の決定は周知であり、好ましい方法はクラス(Kruss)ドロップシェイプアナライザーモデル100を使用し、脱イオン(DI)水および2.5μLの液滴サイズを使用する。硬化したオキシメタル材料層は、典型的には、50°以下、例えば、35〜45°の水接触角を有する。表面処理組成物での処理の後で、オキシメタル材料膜表面は、典型的には、55°以上、例えば、55〜70°の水接触角を有する。表面処理剤での処理の後で、オキシメタル材料膜表面はその後に適用される有機層の表面エネルギーと実質的に適合する表面エネルギーを有し、すなわち、処理されたハードマスク層の表面エネルギーはその後に適用される有機層の表面エネルギーの20%以内であるべきである。その後の処理工程を伴うオキシメタル材料層上に適用された有機層は、そのような表面処理を伴わないオキシメタル材料膜と比較してより少ししか欠陥を有さないであろう。
【0053】
本発明の硬化したマトリックス材料およびオキシメタル材料はハードマスク層、誘電体層、バリア層などとして適切に機能しうる。本発明に従って製造される好ましいバリア層構造は、酸化ケイ素層の表面上に配置された酸化チタンもしくは酸化アルミニウムの層(オキシメタル材料層)を有する酸化ケイ素マトリックス材料の層を含む。このバリア層構造はLEDの製造におけるおよび好ましくはOLEDの製造における酸素バリアとして使用するのに特に適する。
【実施例】
【0054】
実施例1:アルモキサン材料
磁気攪拌棒を備え、凝縮器および熱電対に接続された250mLの丸底フラスコ中で、12.0gのアルミニウムトリス−イソプロポキシド(すなわち、Al(Oi−Pr)
3)が150.0gの乳酸エチルと混合された。適切に攪拌しつつ、フラスコ中のこの混合物は、熱電対によって制御された加熱マントルの手段によって加熱された。この混合物は還流温度まで加熱され、そして還流で2時間にわたって維持された。次いで、加熱は停止させられ、そしてこの混合物は自然に室温まで攪拌しつつ冷却された。この過剰な乳酸エチル中でのリガンド交換反応はトリス((1−エトキシ−1−オキソプロパン−2−イル)オキシ)アルミニウムを提供した。次いで、0.90gのDI水および60.0gの乳酸エチルが混合され、そしてこの水性溶媒混合物が約13分の期間にわたって攪拌しつつ反応器に供給された。この反応混合物は、次いで、再び還流まで加熱されて、還流で2時間にわたって保持され、その時間の後で加熱が停止させられ、そして反応混合物が自然に室温まで冷却されて、乳酸エチルから生じた5つのリガンドを有するアルモキサントリマーを提供した。この反応混合物は、次いで、1.0μmのペルフルオロポリエチレン(PFPE)フィルタを通して濾過されて、不溶性材料を除き、次いで0.2μmPFPEフィルタを通して濾過された。熱(thermal)オーブン中で重量減少方法を用いて、この濾過された溶液は6.2%固形分を含んでいると認められた。
【0055】
重量減少(weight loss)方法:
約0.1gの溶液中の有機アルミニウム化合物が風袋の重量が測定されたアルミニウム皿に秤量された。有機アルミニウム化合物を形成するために使用された溶媒(乳酸エチル)約0.5gがこのアルミニウム皿に添加され、試験溶液を希釈して、試験溶液がこのアルミニウム皿をより均一に覆う様にした。このアルミニウム皿は熱オーブン中で約110℃で15分間にわたって加熱された。このアルミニウム皿が室温まで冷却された後で、乾燥した固体膜を伴うこのアルミニウム皿の重量が決定され、そして固形分含有量のパーセンテージが計算された。
【0056】
実施例2:
攪拌しつつ、実施例1からの50.0gのアルモキサン溶液が100mLの丸底フラスコに秤量された。オクタン酸(0.9696g、リガンドの数に基づいた約3eq.モル量)がこのフラスコに添加された。磁気攪拌棒によって提供される適切な攪拌を伴って、反応は60℃で3時間にわたって行われ、乳酸エチルに由来する2つのリガンドおよびオクタン酸に由来する3つのリガンドを有するアルモキサントリマーを生成物として提供した。この反応混合物は透明から曇ったように変化したが、この曇りは、オクタノアートリガンドを含むこの新たな化合物が乳酸エチル(これは非常に極性の溶媒である)中でその溶解性を失い始めていることを示していた。
【0057】
実施例3:
実施例2からの溶液1部が3部のトルエンと混合されて、透明な溶液を提供した。次いで、この溶液は処理される前に、1.0μmPFPEフィルタを1回通して、そして0.2μmPFPEフィルタを3回通して濾過された。このプロセスはこの濾過された溶液をベア(bare)シリコンウェハ上に500rpmでスピンコーティングし、その後コーティングされた膜を100℃で60秒間ベークすることを含んでいた。次いで、この膜については、KRUSS液滴形状分析装置(drop shape analyzer;DSA)100を用いて、2.5μmのDI水液滴サイズを用いて、表面水接触角が測定された。このアルモキサン膜の接触角は82.6°であると認められたが、実施例1からのアルミニウム材料から製造された膜は25.2°の水接触角を有していた。
【0058】
実施例4:チタン材料
磁気攪拌棒を備えた100mL丸底フラスコに、4.365gのオリゴマーブチルチタナート(4.95mmol、4チタン原子の推定平均鎖長)(Dorf KetalからTYZOR BTPブランドで入手可能)および30.0gのプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)が秤量された。この混合物は、均一な溶液を確実にするために攪拌され、その後に、7.260g(50.3mモル)のオクタン酸をこのフラスコに加えた。連続的に攪拌しつつ、この反応混合物の温度が80℃にされ、そして80℃で2.5時間にわたって維持された。次いで、この加熱が停止させられ、そしてこの反応混合物が自然に室温まで冷却されて、そしてこの溶液はそのまま使用された。実施例1の重量減少手順に従って、この溶液は12.06%固形分のオリゴマーオクタノイルチタナートを含んでいると認められた。
【0059】
実施例5:
実施例4からの溶液の試料(4.453g)が、それを2.420gのPGMEAと混合することによって希釈された。次いで、この希釈された溶液は、0.2μmPFPEフィルタを4回通して濾過され、その後処理された。この濾過された試料は1500rpmでベアシリコンウェハ上にスピンコートされた。このスピンコートされた膜は、次いで、100℃で60秒間ベークされた。KRUSS液滴形状分析装置(DSA)100を用いて、2.5μLの水滴サイズで、この膜のウェハ接触角は97.9°であると認められた。対照のウェハはオリゴマーブチルチタナート(PGMEA中のTYZOR BTP、実施例4における溶液と同様の固形分量を有する)の膜をスピンコートし、次いでこの対照の膜をこの実施例における膜と同じ条件下で処理することにより調製された。この対照膜の水接触角は49°であると認められた。
【0060】
実施例6:
コーティング組成物試料が以下のように調製された。B−ステージポリフェニレンマトリックス前駆体材料のストック溶液(SiLK
(商標)Dレジン、ザダウケミカルカンパニーから入手可能)がPGMEAで希釈されて、4重量%の溶液を提供した。5.0gのこのストックマトリックス前駆体溶液は試料A〜Dのそれぞれに添加された。表1に示されるように、実施例4からの様々な量のオキシメタル前駆体材料も試料B〜Dのそれぞれに添加された。オキシメタル前駆体材料を含んでいない試料Aが対照として使用された。マトリックス前駆体材料の量と比較した固形分基準での実施例4からのオキシメタル前駆体材料の相対量も表1に報告される。一定量の補助溶媒であるガンマ−ブチロラクトン(GBL)も、表1に示されるように、試料A〜Dのそれぞれに添加された。それぞれの試料は0.2μmPFPEシリンジフィルタを4回通して濾過され、その後1500rpmでベアシリコンウェハ上にスピンコートされ、次いで100℃で60秒間ベークされた。これらコート膜の水接触角がKRUSS液滴形状分析装置(DSA)100を用いて、2.5μLのDI水液滴サイズで測定され、表1に報告される。
【0061】
【表1】
【0062】
表1におけるデータから認められるように、硬化したマトリックス材料(対照試料)自体は、83°のその高い水接触角によって示されるように、疎水性(低表面エネルギー)である。しかし、表1におけるデータが示すように、実施例4からのオキシメタル前駆体材料は依然として最上表面に達し、対照と比べて水接触角値を増大させうる。
【0063】
次いで、試料Bからの膜を含むウェハは試験片に切り出され、その1つが380℃で30分間窒素雰囲気下でベルト炉内で硬化させられた。次いで、この硬化した試験片は、試料Bの未硬化の膜を含む試験片と共に、膜厚さ全体にわたる元素分布を決定するためにポジティブSIMS分析にかけられた。硬化した膜および未硬化の膜の双方は、表面での高濃度のチタンが、膜のバルク内で有意でないレベルのチタンまで急激に低下することを明確に示した。このことは、オキシメタル前駆体材料が表面において濃縮し、マトリックス材料の層上にオキシメタル材料の層を有する構造を生じさせていることを明確に示す。
【0064】
実施例7:
ポリフェニレンマトリックス前駆体材料がケイ素含有マトリックス前駆体材料で置き換えられたこと以外は、実施例5の手順が繰り返された。4205の重量平均分子量および2117の数平均分子量を有するメチルトリメトキシシラン/フェニルトリメトキシシラン/テトラエチルオルトシリケート(25/50/25モル比)のシルセスキオキサンオリゴマーが既知の手順を用いて調製された。このシルセスキオキサンオリゴマー材料はまずPGMEAで希釈されて4.0%溶液を形成した。5グラムのこのシルセスキオキサンマトリックス前駆体材料が試料E〜Hのそれぞれに添加された。試料Eは対照としての役割を果たし、オキシメタル前駆体材料を含んでいなかった。表2に示されるように、一定量の実施例4からのオキシメタル前駆体材料が試料F〜Hのそれぞれに添加された。補助溶媒(GBL)もこれら試料のそれぞれに添加された。これら試料のそれぞれが濾過され、ベアシリコンウェハ上にスピンコートされ、そしてベークされ、その後に実施例5に記載される様にこれらの膜の水接触角の決定を行った。結果が表2に報告される。
【0065】
【表2】
【0066】
対照試料Eと試料F〜Hとの間の水接触角の差は、低い表面エネルギーを有するオキシメタル前駆体材料がコーティングプロセス中に膜表面に移動したことを明確に示す。
【0067】
この実施例におけるコート膜は、次いで、380℃で30分間の硬化にかけられた。この硬化した膜は、次いで、AFM(原子間力顕微鏡法)を用いて、2×2μmスキャン領域および1.5Hzスキャン速度で表面粗さを測定された。より低い表面粗さ値はより滑らかな表面を示す。表3に報告されるデータから認められうるように、オキシメタル前駆体材料を含んでいた試料FおよびHは、オキシメタル前駆体材料を含まない対照試料Eよりも滑らかな膜を提供した。
【0068】
【表3】
【0069】
実施例8:
テトラエチルオルトシリケート/フェニルトリメトキシシラン/ビニルトリメトキシシラン/メチルトリメトキシシラン(50/9/15/26モル比)のシルセスキオキサンオリゴマーが既知の手順を用いて調製された。このシルセスキオキサンマトリックス前駆体材料は、2.18%固形分含量を有する、PGMEA/乳酸エチル(95/5 w/w)の混合溶媒系中の溶液として提供された。コーティング組成物は5gのこのシルセスキオキサンマトリックス前駆体材料溶液と、実施例4からの0.135gのオキシメタル前駆体材料溶液、および0.247gのGBLとを一緒にすることにより調製された。次いで、このコーティング組成物試料は0.2μmPFPEシリンジフィルタを4回通して濾過され、その後1500rpmでベアシリコンウェハ上にスピンコートされ、その後コート膜を100℃で60秒間ベークした。このコーティングされたウェハは、次いで、試験片に切り出され、そのうちの1つが380℃で30分間硬化させられた。この硬化した試験片は、同じコーティング組成物から堆積された未硬化の膜を有する試験片と共に、次いで、従来の装置およびプロセス条件を用いたポジティブSIMS分析にかけられ、膜厚さ全体にわたる金属(チタン)分布を決定した。SIMSデータは、硬化した膜および未硬化の膜の双方の最上表面にチタンが主として分布していたことを明らかに示した。
【0070】
実施例9:
実施例7からの試料Hが、1500rpmでベアシリコンウェハ上にスピンコートされ、そしてこのコート膜は350℃で120秒間ベークされ、この膜を硬化させた。このウェハは、次いで、同じ処理条件を用いて同じ試料で再びコートされた。この二重コート積層物は、次いで、SIMSを用いてポジティブイオンモードでその膜厚さの全体にわたるチタン分布について分析された。このSIMS分析は2つの局所的なチタン極大を示した。1つの極大は空気固体界面においてであり、そして第2の極大はこの2つのコーティング組成物間の界面(それは第1のコーティング組成物堆積の最上層であった)においてであった。
【0071】
実施例10:
磁気攪拌棒および凝縮器を備えた100mLの丸底フラスコに、4.242gのオリゴマーブチルチタナート(TYZOR BTP、4つのチタン原子の推定平均鎖長)および15.01gのPGMEAが秤量されたこと以外は、実施例4の手順が繰り返された。この攪拌された混合物は80℃に加熱され、その後PGMEA(15.03g)溶液中のオクタン酸(6.339g)の溶液が、3.3分間にわたってこの攪拌された反応混合物に供給された。オクタン酸溶液がこのフラスコに供給された後で、反応混合物は80℃で2時間維持され、次いで室温まで自然に冷却された。化学量論に基づいて、出発チタン材料中の91%のブトキシドリガンドがオクタン酸リガンドと置き換えられた。この反応溶液はそのまま、さらなる精製なしに使用された。実施例1の重量減少方法に従って、この溶液は11.20%の固形分量を有すると認められた。
【0072】
実施例11:
4.301gのオリゴマーブチルチタナートおよび15.02gのPGMEAが使用されたこと以外は、実施例10の手順が繰り返された。オクタン酸/PGMEA溶液は6.115gのオクタン酸および15.03gのPGMEAを一緒にすることにより調製され、そして攪拌された反応混合物に2.0分間にわたって供給された。化学量論に基づいて、出発チタン材料中の85%のブトキシドリガンドがオクタン酸リガンドで置き換えられた。この反応溶液はさらなる精製なしにそのまま使用された。実施例1の重量減少方法に従って、この溶液は11.76%の固形分量を有すると認められた。
【0073】
実施例12:
2つのコーティング組成物、試料Iおよび試料Jが実施例7からのシルセスキオキサンマトリックス前駆体材料10g、実施例10または実施例11のいずれかのオキシメタル前駆体材料、並びに補助溶媒としてのGBLを、表4に示された量で用いて製造された。シルセスキオキサンマトリックス前駆体材料の量と比較したオキシメタル前駆体材料の固形分基準での相対量は試料Iおよび試料Jのそれぞれについて15%であった。
【0074】
【表4】
【0075】
これら試料のそれぞれは、次いで、0.2μmPFPEシリンジフィルタを4回通して濾過され、その後1500rpmでベアシリコンウェハ上にスピンコートされ、その後100℃で60秒間ベークした。これら膜の水接触角はKRUSS液滴形状分析装置(DSA)100を用いて、2.5μmのDI水液滴サイズを用いて測定され、結果は表4に報告される。これら膜の水接触角は実施例6で得られた水接触角と近似しており、このことは、オキシメタル前駆体材料が塗膜の頂部領域移動するのに充分低い表面エネルギーを有するには、オキシメタル前駆体材料上のリガンドの全てが低表面エネルギーリガンドである必要はないことをしめす。
【0076】
実施例13:ハフニウム材料
磁気攪拌棒を備えた100mL丸底フラスコに、10.0gの乳酸エチルおよび5.289gのハフニウムテトラブトキシド(TCIアメリカから入手可能)を秤量した。次いで、この攪拌された混合物に、0.1219gのDI水および5.1308gの乳酸エチルの溶液を滴下添加した。次いで、この混合物は還流まで加熱され、そして還流で攪拌しつつ2時間維持され、次いで室温まで自然に冷却された。次いで、この混合物に、攪拌しつつ、2.682gの2−ナフトエ酸、3.3748gのオクタン酸および8.047gの乳酸エチルの溶液が添加された。次いで、この混合物は攪拌しつつ60℃に加熱され、そして60℃の温度で2時間にわたって維持され、次いで室温まで自然に冷却された。実施例1の重量減少方法に従って、この溶液は17.5%固形分のオリゴマーオクタノイル/ナフトイルハフナートを含むと認められた。
【0077】
実施例14: Hf(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマーの製造。
500mLの三ツ口フラスコに還流凝縮器、機械式攪拌装置および添加漏斗が取り付けられた。この反応器に、100g(0.21mol)のHf(OBu)
4(Gelest Inc.から入手可能)を入れた。激しく攪拌されたこの材料に、ペンタン−2,4−ジオン(42.5g、0.42mol)を非常にゆっくりと6時間にわたって添加した。この反応混合物は室温で一晩攪拌された。この反応中に生じたn−ブタノールが真空下で取り出され、次いで800mLの酢酸エチルが添加され、この反応フラスコは室温で30分間激しくかき混ぜられた。この溶液は微細フリットを通して濾過されて、不溶性生成物を除去した。真空下で残留溶媒が除去され、そして薄白色固体が得られた(100.4g、90%収率)。この生成物であるHf(OBu)
2(acac)
2はさらなる精製なしに使用された。
【0078】
還流凝縮器、攪拌棒および温度計を備えた1Lの三ツ口フラスコに、上記生成物(100.4g、0.19mol)およびエチレンジグリコール(19.4g、0.18mol)の酢酸エチル(500mL)溶液が入れられた。この反応混合物は80℃で24時間還流された。この反応混合物は微細フリットを通して濾過され、次いで減圧下で乾燥させられた。白褐色固体がヘプタン(3回×1L)で洗浄され、次いで強い減圧下で2時間乾燥させられて、所望のHf(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマーを白色粉体として得た(67g)。得られた生成物は以下の構造を有していた。
【0079】
【化7】
【0080】
実施例15:
実施例14のHf(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマーを有機金属マトリックス前駆体材料として使用して、コーティング組成物が調製される。Hf(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマーの2−メチル−1−ブタノール(6%固形分)の溶液が調製される。この溶液に、一定量の実施例11のオキシメタル(チタナート)前駆体溶液が添加される。有機金属マトリックス前駆体材料の量に対する実施例11からのこのオキシメタル(チタナート)前駆体材料の相対量は、固形分基準で5%である。一定量のGBL補助溶媒(5体積%)もこの組成物に添加される。この組成物は0.2μmPFPEシリンジフィルタを4回通して濾過され、その後1500rpmでベアシリコンウェハ上にスピンコートされる。次いで、このウェハは100℃で60秒間ベークされ、次いで380℃で2分間硬化させられて、硬化した酸化ハフニウムマトリックス材料の層およびその酸化ハフニウム層上の酸化チタン材料の層を提供する。
【0081】
実施例16:Zr(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマーの製造。
トルエン/ブタノール中25重量%のジルコニウムビス(アセチルアセトン)−ビス(n−ブトキシド)(すなわち、Zr(acac)
2(OBu)
2)がGelest Inc.から得られ、さらなる精製なしに使用された。この溶媒が200gのZr(acac)
2(OBu)
2から除かれ、残留物が250mLの酢酸エチルで希釈された。この混合物に、等モル量のジエチレングリコールを室温で添加し、次いで、この混合物を80℃で18時間還流した。次いで、この反応混合物は冷却され、そして白色沈殿物を除くために濾過された。ろ液はロータリーエバポレータを用いて小体積になるまで濃縮され、そして残留物がヘプタンでクエンチされた。次いで、この沈殿物が集められ、減圧下で乾燥させられて、20.8gの所望の生成物(その構造が以下に示される)を得た:
【0082】
【化8】
【0083】
実施例17:
実施例16のZr(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマーを有機金属マトリックス前駆体材料として使用して、コーティング組成物が調製される。Zr(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマーの2−メチル−1−ブタノール(6%固形分)の溶液が調製される。この溶液に、一定量の実施例11のオキシメタル(チタナート)前駆体溶液が添加される。有機金属マトリックス前駆体材料の量に対する実施例11からのこのオキシメタル(チタナート)前駆体材料の相対量は、固形分基準で5%である。一定量のGBL補助溶媒(5体積%)もこの組成物に添加される。この組成物は0.2μmPFPEシリンジフィルタを4回通して濾過され、その後1500rpmでベアシリコンウェハ上にスピンコートされる。次いで、このウェハは100℃で60秒間ベークされ、次いで380℃で2分間硬化させられて、硬化した酸化ジルコニウムマトリックス材料の層およびその酸化ジルコニウム層上の酸化チタン材料の層を提供する。