(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
全ての前記導通ピンについて前記一端側とは反対側と接するように延在した天井壁と、該天井壁の外周に一周に亘って前記導通ピンとは反対側に向かって立設された周壁と、を有するとともに、前記導通ピンの前記端子金具への接離方向と同方向に移動可能に前記検査治具本体に設けられたカップ形状の一括空気受け部を有し、
前記配管は、前記一括空気受け部が前記端部に被せられるとともに複数の前記導通ピン及び前記一括空気受け部の自重により降下することで前記端部が塞がれ、当該端部から前記空気を吹き出すことで、複数の前記導通ピンを前記一括空気受け部を介して一括して上方へと吹き上げて複数の前記端子金具に接触させることを特徴とする請求項4に記載の導通検査治具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているような可動ピンをコイルバネで押圧する構成の検査プローブは、繰り返し使用した場合においても可動ピンと端子金具とを確実に接触させるために、コイルバネによる可動ピンを押圧する力を、当該コイルバネの劣化(バネ力の低下等)などを考慮して、可動ピンと端子金具との間の導通を確保するために最低限必要な力より大きく設定することが求められ、そのため、端子金具の変形や損傷を抑制する点で改善の余地があった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、端子金具の変形や損傷をより効果的に抑制することができる導通検査治具、導通検査装置及び導通検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、端子金具が端末に設けられた電線の導通検査に用いられる導通検査治具であって、前記端子金具又は当該端子金具を収容したコネクタハウジングを保持する検査治具本体と、前記端子金具に対して一端が対向配置されるとともに当該一端を前記端子金具に接離する上下方向に移動可能なように前記検査治具本体に支持された導通ピンと、前記検査治具本体に端部が上下方向に延在するように取り付けられて前記導通ピンが自重により降下して前記端部の開口を塞ぐとともに当該端部か
ら空気を吹き出し可能な配管と、を有し、前記導通ピンが、前記空気の圧力により上方へと吹き上げられて前記端子金具に押し付けられて接触するように設けられていることを特徴とする導通検査治具である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記導通ピンが、カップ形状の空気受け部を有し、前記
配管は、前記空気受け部が端部に被せられるととも
に導電性
を有するものであって、前記検査治具本体に取り付けられて、前記空気受け部
の内周面を前記空気の吹き出し方向と交差する方向に押圧して前記配管の端部
の外周面に押し付ける押圧部材と、を有していることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記配管は、前記導通検査に用いられる導通検査線が接続されるものであることを特徴とする。
【0010】
請求項
4に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記導通検査は、前記端子金具が各々の端末に設けられた複数本の前記電線それぞれについて行なわれる検査であり、前記導通ピンが、複数の前記端子金具と一対一に対応するように複数設けられ、複数の前記導通ピンは、前記空気の圧力により、それぞれ対応する前記端子金具に一括して接触することを特徴とするものである。
【0011】
請求項
5に記載された発明は、請求項
4に記載された発明において、全ての前記導通ピンについて前記一端側とは反対側と接するように延在した天井壁と、該天井壁の外周に一周に亘って前記導通ピンとは反対側に向かって立設された周壁と、を有するとともに、前記導通ピンの前記端子金具への接離方向と同方向に移動可能に前記検査治具本体に設けられたカップ形状の一括空気受け部を有し、
前記配管は、前記一括空気受け部が前記端部に被せられるとともに複数の前記導通ピン及び前記一括空気受け部の自重により降下することで前記端部が塞がれ、当該端部から前記空気を吹き出すことで、複数の前記導通ピンを前記一括空気受け部を介して一括して
上方へと吹き上げて複数の前記端子金具に接触させ
ることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に記載された発明は、上記目的を達成するために、端子金具が端末に設けられた電線の導通検査に用いられる導通検査装置であって、前記端子金具又は当該端子金具を収容したコネクタハウジングを保持する検査治具本体と、前記端子金具に対して一端が対向配置されるとともに当該一端を前記端子金具に接離する上下方向に移動可能なように前記検査治具本体に支持された導通ピンと、前記検査治具本体に端部が上下方向に延在するように取り付けられて前記導通ピンが自重により降下して前記端部の開口を塞ぐとともに当該端部か
ら空気を吹き出し可能な配管と、を有する導通検査治具と、前記導通ピンを前記空気の圧力により上方へと吹き上げて前記端子金具に押し付けて接触させる空気制御手段と、前記導通ピンを通じて前記電線の導通を検査する導通検査手段と、を備えていることを特徴とする導通検査装置である。
【0013】
請求項
7に記載された発明は、上記目的を達成するために、端子金具が端末に設けられた電線の導通検査方法であって、前記端子金具又は当該端子金具を収容したコネクタハウジングを保持した導通検査治具の検査治具本体において前記端子金具に一端が対向配置されるとともに当該一端を前記端子金具に接離
する上下方向に移動可能なように前記検査治具本体に支持された導通ピンを
、前記検査治具本体に端部が上下方向に延在するように取り付けられて前記導通ピンが自重により降下して端部の開口を塞ぐ配管の当該端部から吹き出させた空気の圧力により
上方へと吹き上げて前記端子金具に押し付けて接触させる空気制御工程と、前記導通ピンを通じて前記電線の導通を検査する導通検査工程と、を含むことを特徴とする導通検査方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、導通ピンを空気の圧力により端子金具に押し付けて接触させる。このようにしたことから、空気の圧力を用いることで、毎回の導通検査において導通ピンと端子金具との間の導通を確保するために最低限必要な力で当該導通ピンを端子金具に押し付けて接触させることができ、そのため、端子金具の変形や損傷をより効果的に抑制することができる。また、コイルバネのように劣化がないことから、常に一定の力で導通ピンを端子金具に接触させることができ、そのため、一定の品質を保つことができる。
【0015】
また、導通ピンが、カップ形状の空気受け部を有し、導通ピンの空気受け部が端部に被せられるとともに当該端部から空気を吹き出す導電性の配管と、空気受け部を空気の吹き出し方向と交差する方向に押圧して配管の端部に押し付ける押圧部材と、が検査治具本体に取り付けられている構成としてもよい。このようにすることで、導通ピンの移動の際に生じる摩擦を小さくしつつも、導通ピンと当該導通ピンを支持する配管の端部との接触度合いを高めて確実に接触させることができるので、より精度の高い導通検査を行うことができる。
【0016】
また、導通ピンが、複数の端子金具に一対一に対応するように複数設けられ、複数の導通ピンが、空気の圧力により、それぞれ対応する端子金具に一括して接触する構成としてもよい。これにより、複数の導通ピンが同時に動くこととなり、複数の導通ピンの相互間で動きのバラつきが抑制されることとなるので、複数の端子金具の電線について、より精度の高い導通検査を行うことができる。
【0017】
また、カップ形状の一括空気受け部を配管の端部に被せ、当該端部から空気を吹き出すことで、複数の導通ピンを、一括空気受け部を介して一括して複数の端子金具に接触させる構成としてもよい。複数の導通ピンを一括空気受け部を介して一括して動かすようにしたことにより、複数の導通ピンの相互間で動きのバラつきが一層抑制されることとなるので、複数の端子金具の電線について、更に精度の高い導通検査を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態に係る導通検査装置について、
図1〜
図4を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態の導通検査装置の概略構成を示す図である。
図2は、
図1の導通検査装置が備える導通検査治具の斜視図である。
図3(a)及び
図4(a)は、
図1の導通検査装置が備える導通検査治具の断面図であって、導通ピンが端子金具と接していない状態及び導通ピンが端子金具と接している状態を示したものである。
図3(b)及び
図4(b)は、
図3(a)及び
図4(a)の一部を拡大した断面図である。
【0021】
本実施形態の導通検査装置は、例えば、各図に示すように、水平に設置された検査台K上に配索された車両用のワイヤハーネス101の導通検査に用いられる。このワイヤハーネス101は、両端末に端子金具103が設けられた複数の電線102と、各電線102のそれぞれの端末の端子金具103を収容する複数のコネクタハウジング104と、を有している。ワイヤハーネス101は、幹部101aとこの幹部101aから分岐した分岐部101bとを有している。コネクタハウジング104に端子金具103が収容されることで、車両に搭載された電子機器等に接続されるコネクタ105を構成する。
【0022】
図1に示すように、導通検査装置1は、導通検査治具10と、空気制御手段としての空気制御部30と、導通検査手段としての導通検査部40と、を備えている。
【0023】
図2〜
図4に示すように、導通検査治具10は、検査治具本体11と、複数の導通ピン20と、を備えている。
【0024】
検査治具本体11は、例えば、電気絶縁性を有する合成樹脂などを材料として用いて構成されており、矩形ブロック状に形成された本体部12と、本体部12の下面12aの四隅に一体に設けられた4つの脚部13と、を有している。本体部12には、上面12bの中央に開口する平面視矩形状のコネクタ嵌合孔14が設けられている。このコネクタ嵌合孔14は、上述したコネクタ105(即ち、コネクタハウジング104)を挿入嵌合可能に形成されている。検査治具本体11は、検査台K上に載置されると、脚部13により本体部の下面12aと検査台Kとの間に隙間が設けられ、この隙間を利用して後述する配管37が配索される。
【0025】
また、本体部12には、本体部12の下面12aとコネクタ嵌合孔14の底面14aとを鉛直方向に貫通する複数のシリンダ孔15が設けられている。各シリンダ孔15は、コネクタ嵌合孔14に嵌合されるコネクタハウジング104に収容された各端子金具103に対応した位置に配置されている。また、本体部12には、各シリンダ孔15におけるコネクタ嵌合孔14の底面14a側の端部を塞ぐように設けられた円環状の規制壁部16が一体に設けられている。規制壁部16の内側には、後述する導通ピン20の接触部22が挿通される。
【0026】
複数の導通ピン20は、例えば、銅合金などの導電性の材料を用いて構成されており、それぞれが空気受け部21と、接触部22と、を一体に有している。空気受け部21は、カップ形状に形成されており、円筒状の周壁部21aと周壁部21aの一端を塞ぐ底壁部21bとを有している。周壁部21aの外径は上述したシリンダ孔15の径よりわずかに小さくされている。接触部22は、底壁部21bから周壁部21aの軸線上に延在する円柱状に形成されている。接触部22の径は、上述した規制壁部16の内径よりわずかに小さくされている。
【0027】
各導通ピン20は、それぞれの対応するシリンダ孔15に、接触部22の一部が規制壁部16の内側に位置づけられた状態で上下方向に移動自在に収容されている。つまり、各導通ピン20は、端子金具103に対して接触部22の先端が対向配置されるとともに接触部22の先端を端子金具103に接離可能なように検査治具本体11に支持されている。複数の導通ピン20のそれぞれの周壁部21aの他端には、導通検査部40と接続する導通検査線45が接続されている。
【0028】
空気制御部30は、コンプレッサ31と、レギュレータ32と、弁ユニット33と、を有している。
【0029】
コンプレッサ31は、空気を取り込んで圧縮する圧縮部31aと、圧縮部31aによって圧縮された空気を蓄えるタンク31bと、を有している。レギュレータ32は、配管35を通じてタンク31bと接続されており、タンク31bからの空気の圧力を所定値に減圧する。弁ユニット33は、配管36を通じてレギュレータ32と接続されており、レギュレータ32からの空気を供給及び遮断する弁装置(図示なし)と、弁装置の下流に設けられ各導通検査治具10に空気を分配する分配部(図示なし)と、を有している。弁ユニット33の分配部と各導通検査治具10とは、配管37で接続されている。
【0030】
配管37における導通検査治具10側の端部37aは、
図3、
図4に示すように、対応するシリンダ孔15内に同軸に配置され、当該シリンダ孔15に収容された各導通ピン20の空気受け部21に挿入されている。つまり、配管37の端部37aには、導通ピン20の空気受け部21が被せられている。配管37の端部37aからは、上方に向けて空気が吹き出される。また、配管37の端部37aは、空気受け部21の周壁部21aの内径より小さく形成されている。これにより、配管37の端部37aからの空気の吹き出しがない状態においては、導通ピン20は重力により下方に落ちて配管37に底壁部21bが突き当り、接触部22の先端が規制壁部16内に没入され(
図3)、そして、配管37の端部37aから空気が吹き出された状態(空気の圧力が加えられた状態)においては、導通ピン20は上方に移動して接触部22の先端が規制壁部16から突出される(
図4)。配管37は、本体部12に固定されて、検査治具本体11に取り付けられている。
【0031】
導通検査部40は、例えば、パソコンなどで構成されており、上述したコンプレッサ31、レギュレータ32及び弁ユニット33に対し制御信号を送信可能に接続されている。導通検査部40は、導通検査に際して、コンプレッサ31における空気の圧縮の開始及び終了を制御し、レギュレータ32の減圧値を設定し、弁ユニット33による空気の供給及び遮断を制御する。また、導通検査部40は、上述した導通検査治具10の各導通ピン20とも導通検査線45で接続されており、対をなす導通ピン20間の導通の有無を検査する。
【0032】
次に、上述した導通検査装置1の導通検査の動作の一例について以下に説明する。
【0033】
まず、導通検査対象となるワイヤハーネス101を検査台Kに配索し、ワイヤハーネス101の端末に設けられたコネクタ105を、それぞれに対応する導通検査治具10のコネクタ嵌合孔14に挿入して嵌合させる(
図1)。
図1において、ワイヤハーネス101は、幹部101aの端部及び分岐部101bの端部に設けられたコネクタ105が、導通検査治具10に嵌合されているが、当該ワイヤハーネス101が図示しない他のコネクタ105についても同様に図示しない導通検査治具10に嵌合されている。この状態において、導通検査治具10の各導通ピン20は、コネクタ105における対応する各端子金具103に接触していない(
図3)。
【0034】
次に、導通検査部40は、制御信号を送信して、コンプレッサ31による空気の圧縮を開始し、レギュレータ32における減圧値を設定する。このとき、レギュレータ32の減圧値としては、導通ピン20が上方に移動してその接触部22の先端が端子金具103に接し、導通ピン20と端子金具103との間の導通を確保するために最低限必要な力で押し付けられて接触する値が設定される。
【0035】
それから、導通検査部40は、制御信号を送信して、弁ユニット33の弁装置を開いて配管37の端部37aから空気を吹き出させる(空気制御工程)。これにより、吹き出された空気の圧力により各導通ピン20が上方に移動して規制壁部16からそれぞれの接触部22を突出させ、各接触部22が対応する各端子金具103と導通を確保するために最低限必要な力で押し付けられて接触する(
図4)。
【0036】
そして、導通検査部40は、ワイヤハーネス101の複数の電線102のうちの一の電線102を選択し、この一の電線102の両端末の端子金具103に正常(即ち、誤配線等がない)であれば接触される一対の導通ピン20間に通電し、当該一対の導通ピン20間に電流が流れるか否かを判断することにより導通を検査する(導通検査工程)。また、これら一対の導通ピン20とこれら以外の他の導通ピン20との導通を検査して電線102間の短絡や誤配線の有無を検査してもよい。
【0037】
導通検査部40は、ワイヤハーネス101の複数の電線102の全てについて上記と同様に導通を検査する。導通検査部40は、全ての導通検査が終了すると、制御信号を送信して、弁ユニット33の弁装置を閉じて配管37の端部37aからの空気の吹き出しを停止する。これにより、各導通ピン20は落下して、底壁部21bが配管37の端部37aに突き当り、当該配管37によって保持される(
図3)。また、導通検査部40は、制御信号を送信して、コンプレッサ31による空気の圧縮を停止して、導通検査を終了する。
【0038】
以上より、本実施形態によれば、導通ピン20を空気の圧力により端子金具103に押し付けて接触させる。このようにしたことから、空気の圧力を用いることで、毎回の導通検査において導通ピン20と端子金具103との間の導通を確保するために最低限必要な力で当該導通ピン20を端子金具103に押し付けて接触させることができ、そのため、端子金具103の変形や損傷をより効果的に抑制することができる。また、コイルバネのように劣化がないことから、常に一定の力で導通ピン20を端子金具103に接触させることができ、そのため、一定の品質を保つことができる。
【0039】
以上、本発明について、好ましい第1実施形態を挙げて説明したが、本発明の導通検査治具、導通検査装置及び導通検査方法は、第1実施形態の構成に限定されるものではない。
【0040】
上述した第1実施形態では、導通検査治具10において、導通ピン20が有する空気受け部21の周壁部21aの外径が、シリンダ孔15の径よりわずかに小さくされており、当該周壁部21aの内径が、配管37の端部37aの外径より大きく形成されている。これにより、導通ピン20はシリンダ孔15の内面により姿勢を維持することが可能となるが、一方で導通ピン20は、上下方向の移動に際してシリンダ孔15の内面と接触し、このときの摩擦が移動の抵抗となってしまうことがある。また、配管37の端部37aとの摩擦も移動の抵抗となり得る。そこで、導通ピン20の移動の際に生じる摩擦を小さくするために、
図5〜
図8に示すように、上記導通検査治具10のシリンダ孔15より拡径したシリンダ孔15Aを有する導通検査治具10Aが考えられる。
【0041】
図5及び
図6は、
図1の導通検査装置が備える導通検査治具の変形例の構成を示す断面図であり、それぞれ導通ピンが端子金具と接触していない状態及び導通ピンが端子金具と接触している状態を示す。
図7及び
図8は、導通ピンを配管の端部に押し付ける前後の状態を説明する図であり、(a)は、上方から見た図、(b)は、縦断面図である。
【0042】
この導通検査治具10Aは、検査治具本体11の本体部12にシリンダ孔15Aの軸方向(上下方向)に直交する方向(左右方向)に延在するスリット18が形成されており、このスリット18に左右方向にスライド移動可能に設けられたプレート60が挿入されている。プレート60における各導通ピン20に対応する位置には厚さ方向に貫通する円形の導通ピン挿通孔61が形成されている。この導通ピン挿通孔61の径は、導通ピン20が有する空気受け部21の周壁部21aの外径より大きく形成されている。プレート60は、導通検査部40により制御される図示しないソレノイドやモータなどの駆動手段によって図中左右方向に移動される。プレート60は手動により移動されてもよい。
【0043】
また、導通検査治具10Aの配管37は導電性の金属材料で構成されており、当該配管37に導通検査線45が接続されている。つまり、導電ピン20と配管37とが接触することにより互いに電気的に接続されて、導通検査の際に、導電ピン20、配管37及び導通検査線45に電流が流れる。もちろん、上述した実施形態のように、導通ピン20に導通検査線45が接続された構成であってもよい。
【0044】
導通検査治具10Aは、
図5に示すように、導通ピン20をコネクタ105の端子金具103に接触させる前の状態においては、各導通ピン挿通孔61が各シリンダ孔15と同軸となる位置にプレート60が駆動手段により位置づけられる。この状態において、各導通ピン20は、各シリンダ孔15Aの内面及びプレート60と接触していない。そして、配管37の端部37aから上方に向けて空気を吹き出すことにより、各導通ピン20が上方に移動して接触部22が各端子金具103と接触される。
【0045】
このとき、導通ピン20は配管37の端部37aにゆるく支持されているので、
図7(a)、(b)に模式的に示すように、軸心が鉛直方向に対して傾斜してその姿勢が崩れてしまい、そのため、この姿勢のままでは導通ピン20と配管37の端部37aとの接触が不確実であり、導通検査用の電流が正常に流れないおそれがある。そして、そのあとに、
図8(a)、(b)に示すように、
図7の状態からプレート60を図中右方向(即ち、空気の吹き出し方向と交差する方向)に移動させて、当該プレート60により導通ピン20を押圧して配管37の端部37aに押し付けることで、導通ピン20の軸心が鉛直方向に沿うようにその姿勢を修正する。プレート60は押圧手段に相当する。
【0046】
このように、導通ピン20を押圧して配管37の端部37aに押し付けることにより、導通ピン20と当該導通ピンを支持する配管37の端部37aとがより確実に接触して、より精度の高い導通検査をすることができる。なお、押圧手段としてプレート60を例示したが、これに限定されるものではなく、導通ピン20と配管37の端部37aとが確実に接触するように導通ピン20を押圧して配管37の端部37aに押し付けることができるものであれば、その構成は任意である。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、第2実施形態は、導通検査治具が、上述した第1実施形態と異なっており、以下では、この第2実施形態の導通検査治具に注目した説明を行う。
【0048】
図9は、本発明の第2実施形態の導通検査治具を、その内部構造が見えるように示した断面斜視図である。
図10は、導通検査治具について、
図9中のV1矢視の断面において、導通ピンが端子金具と接した状態を示した図であり、
図11は、
図10中の領域A1の拡大図である。
図12は、導通検査治具について、
図10と同様の断面において、導通ピンが端子金具と接していない状態を示した図であり、
図13は、
図12中の領域A1の拡大図である。
【0049】
尚、
図9〜
図13では、
図1〜
図4に示されているコネクタ105等の構成要素と同等な構成要素に、
図1〜
図4の符号と同じ符号が付されており、それらの構成要素について以下では重複説明を省略する。また、以下では、
図1に示されている導通検査装置1における、導通検査治具10以外の構成要素について適宜に参照する。
【0050】
導通検査治具70は、検査治具本体71、複数の導通ピン72、複数のピンガイド73、一括空気受け部74、及び1本の配管75、を備えている。
【0051】
検査治具本体71は、例えば、電気絶縁性を有する合成樹脂などを材料として用いて構成されている。検査治具本体71は、矩形箱状の第1基台711と、矩形板状の第2基台712と、第2基台712の四角と第1基台711とを繋ぐ4本の脚部713と、コネクタハウジング104(即ち、コネクタ105)の保持部714と、を備えている。検査治具本体71は、第2基台712が検査台K(
図1参照)上に載置されるように設けられる。
【0052】
保持部714は、第2基台712の略中央に箱状に突出して設けられており、上方に向かって開口している。この保持部714の開口からコネクタ105が挿入されて、コネクタ105が保持部714に保持される。
【0053】
第2基台712においてコネクタ105の保持部714の底壁をなす部分には、鉛直方向に貫通する複数のピン挿通孔712aが設けられている。各ピン挿通孔712aは、保持部714に保持されるコネクタハウジング104に収容された複数の端子金具103に一対一に対応した位置に配置されている。また、第2基台712において保持部714の底壁をなす部分の第1基台711側には、各ピン挿通孔712aに対応する位置に、円筒状のピンガイド73が設けられている。各ピンガイド73の内孔731は各ピン挿通孔712aに連通しており、後述する導通ピン72におけるピン状の接触部722が挿通される。
【0054】
複数の導通ピン72は、例えば、銅合金などの導電性の材料を用いて構成されており、それぞれが棒状部721と、接触部722と、を一体に有している。棒状部721は円柱棒状に形成された部分である。この棒状部721の外径は、上述したピンガイド73の外径よりわずかに大きくなっている。接触部722は、棒状部721の先端から軸線上に延在する円柱ピン状に形成されている。接触部722の径は、棒状部721の外径よりも小さくなっており、具体的にはφ0.3mm程度まで細径化されている。また、この接触部722の径は、ピンガイド73の内孔731及びピン挿通孔712aの内径よりわずかに小さな径でもある。
【0055】
各導通ピン72は、それぞれの対応するピン挿通孔712a及びピンガイド73に、円柱ピン状の接触部722が、ピンガイド73によって上下方向に案内されつつ移動自在に収容されている。つまり、各導通ピン72は、端子金具103に対して接触部722の先端722aが対向配置されるとともに接触部722の先端722aを端子金具103に接離可能なように検査治具本体71に支持されている。また、棒状部721の外径がピンガイド73の外径よりわずかに大きくなっていることから、各導通ピン72の上方への移動は、それぞれの対応するピンガイド73に棒状部721が当接したところで規制される。
【0056】
また、本実施形態では、各導通ピン72の棒状部721に、導通検査部40へと至る導通検査線45が1本ずつ電気的に接続されている。
【0057】
複数のピンガイド73は、それぞれの対応する導通ピン72の棒状部721における接触部722側の端部と、検査治具本体71における端子金具103の収容位置と、の間に配置される。各ピンガイド73は、上記のように細径化された接触部722の剛性よりも高い剛性を有した円筒である。各ピンガイド73の内孔731は、上述したようにピン挿通孔712aに連通し、接触部722の先端722aの端子金具103に対する接離方向に貫通して接触部722を内部に通す貫通孔となっている。このような構造により、各ピンガイド73は、導通ピン72の接触部722の、端子金具103に対する接離を案内する。
【0058】
一括空気受け部74は、検査治具本体71と同様に、電気絶縁性を有する合成樹脂などを材料として用いて構成されており、天井壁741と、周壁742と、を有するカップ形状に形成されている。天井壁741は、矩形板形状に形成され、導通ピン72の軸方向と直交し、全ての導通ピン72の棒状部721について接触部722側(即ち、先端722a側)とは反対側と接するように延在している。そして、この天井壁741には、複数の端子金具103に対して一対一に各接触部722の先端722aが対向配置されるように複数の導通ピン72が立設されている。周壁742は、天井壁741の外周に一周に亘って導通ピン72とは反対側に向かって立設された四つの壁からなる。金属製の導通ピン72の、樹脂製の一括空気受け部74の天井壁741への立設は、例えばインサート成形等による一体成形により行われる。
【0059】
第1基台711の天井壁711aにおける保持部714の直下の部分には、上記の一括空気受け部74が導通ピン72の軸方向(即ち、端子金具103への接離方向)に移動可能に通される矩形孔711a−1が設けられている。
【0060】
そして、第1基台711には、第1基台711の内部の空間における保持部714の直下の部分に端部75aが位置するように1本の配管75が取り付けられている。この配管75の端部75aには、上記の矩形孔711a−1を通された一括空気受け部74が被せられる。このようにして、一括空気受け部74は、導通ピン72の端子金具103への接離方向に移動可能に検査治具本体71に設けられている。
【0061】
配管75の他端は、弁ユニット33に接続されており、この弁ユニット33に配管36で接続されたレギュレータ32によって圧力が調整された空気が、弁ユニット33を介して送り込まれる。すると、配管75の端部75aから空気Ar1が吹き出して一括空気受け部74で受けられる。この空気Ar1の吹出しにより、一括空気受け部74が押し上げられ、その結果、複数の導通ピン72が一括空気受け部74を介して一括して押し上げられて複数の端子金具103に接触する。
【0062】
各導通ピン72には導通検査部40へと至る導通検査線45が1本ずつ接続されている。導通検査部40は、ワイヤハーネス101の複数の電線102のうちの一の電線102を選択し、この一の電線102の両端末の端子金具103に正常(即ち、誤配線等がない)であれば接触される一対の導通ピン20間に通電し、当該一対の導通ピン20間に電流が流れるか否かを判断することにより導通を検査する。
【0063】
導通検査部40は、ワイヤハーネス101の複数の電線102の全てについて上記と同様に導通を検査する。導通検査部40は、全ての導通検査が終了すると、制御信号を送信して、弁ユニット33の弁装置を閉じて配管75の端部75aからの空気の吹き出しを停止する。これにより、一括空気受け部74が落下する。この落下は、
図12に示されているように、一括空気受け部74の周壁742の端縁が、第1基台711の底壁711bに当接して止まる。一括空気受け部74の落下により、各導通ピン72が端子金具103から離れてピン挿通孔712aに没入する。この後、導通検査部40は、制御信号を送信して、コンプレッサ31による空気の圧縮を停止して、導通検査を終了する。
【0064】
以上に説明した第2実施形態によっても、上述した第1実施形態と同様に、端子金具103の変形や損傷をより効果的に抑制することができ、また、導通検査について一定の品質を保つことができることはいうまでもない。
【0065】
また、第2実施形態は、複数の導通ピン72が、空気の圧力により、それぞれ対応する端子金具103に一括して接触する構成となっている。これにより、複数の導通ピン72が同時に動くこととなり、複数の導通ピン72の相互間で動きのバラつきが抑制されることとなるので、複数の端子金具103の電線102について、導通検査の精度の向上が図られている。
【0066】
また、第2実施形態では、カップ形状の一括空気受け部74を配管75の端部75aに被せ、この端部75aから空気Ar1を吹き出すことで、複数の導通ピン72を、一括空気受け部74を介して一括して複数の端子金具103に接触させる。複数の導通ピン72を一括空気受け部74を介して一括して動かすようにしたことにより、複数の導通ピン72の相互間で動きのバラつきが一層抑制されることとなる。これにより、第2実施形態では、複数の端子金具103の電線102について、導通検査の更なる精度の向上が図られている。
【0067】
尚、上述した第1及び第2実施形態では、重力により導通ピン20,72を落下させることにより導通ピン20,72を端子金具103から引き離す構成であったが、これに限定するものではなく、例えば、配管37,75の端部37a,75aから空気を吸い込むことにより、導通ピン20,72を引きつけて端子金具103から引き離す構成としてもよい。
【0068】
また、上述した第1及び第2実施形態では、検査治具本体11,71がコネクタ105(即ち、コネクタハウジング104)を保持することにより、間接的に端子金具103を保持する構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、端子金具103がコネクタハウジング104に収容されない構成としたワイヤハーネスにおいて、端子金具103を直接保持するように検査治具本体11を構成してもよい。
【0069】
また、上述した第1実施形態では、導通ピン20が、カップ形状の空気受け部21を有し、空気受け部21内に空気を吹込む構成であり、上述した第2実施形態では、複数の導通ピン721がカップ形状の一括空気受け部74に立設され、一括空気受け部74に空気を吹込む構成であった。しかしながら、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、第1実施形態において空気受け部21の形状を外径がシリンダ孔15よりわずかに小さい円柱状又は円板状のピストン形状とし、シリンダ孔15内に空気を吹込むことにより、導通ピン20を移動させる構成など、空気の圧力により端子金具103に押し付けられて接触するものであれば、本発明の目的に反しない限り、導通ピン20の形状は任意である。
【0070】
また、上述した第1及び第2実施形態では、電線103の両端末に設けられた端子金具103のそれぞれに、上記導通検査治具10の導通ピン20,72を接触させるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、電線103の一方の端末に設けられた端子金具103に当該導通ピン20,72を接触させ、他方の端末に設けられた端子金具103には、他の構成の導通ピンを接触させる構成などとしてもよい。
【0071】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の導通検査治具、導通検査装置及び導通検査方法の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。