(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された仮設足場においては、足場板は、幅方向において、足場板ホルダーの一対の壁部に囲まれてその位置を規制されているが、足場板の幅方向外側の面間寸法と一対の壁部間の内面間の寸法とが一致していない場合にはぐらつきが生じるため、足場板の保持性が低かった。この場合、足場が安定しないために作業効率が低くなっていた。
また、狭小地に仮設足場を設けた場合に、支柱や上段にある梁枠体によって、これらと建物との間の空間が狭まることで、建物への作業スペースの確保が困難になり作業効率が低くなることがあった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、隣接する構造物と接近して建築された建物の作業を室外側から行う際の足場の安定性の高い狭小地用の仮設足場を提供することにある。本発明の他の目的は、作業効率を高めることが可能な狭小地用の仮設足場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の仮設足場によれば、建物と該建物に隣接する隣接構造物との間に設置され、前記建物の作業を行うために用いる仮設足場であって、間隔を置いて配置された一対の支柱と、一対の該支柱にそれぞれ両端側が連結される梁枠体と、該梁枠体上に固定される足場板と、を備え、該足場板は、前記梁枠体側に向かって突出する一対の突出部を有し、前記梁枠体には、該梁枠体に交差する交差方向に延在して前記足場板を保持する足場板ホルダーが形成されており、該足場板ホルダーは、前記足場板が前記足場板ホルダー上に載せられたときに、一対の前記突出部に係止される一対の係止突出部を有し、一対の前記突出部間の距離は、一対の前記係止突出部間の距離と同等となるように構成されてい
て、前記足場板は、本体と該本体に覆設される蓋体とによって構成されており、該蓋体は、矩形平板状の天板部と、該天板部の相対向する辺から同方向に各々垂下する一対の延出部とにより構成されるとともに、前記本体は、前記天板部と対向して配置される天板対向部(底部+側部+縁部)と、該天板対向部の相対向する両端辺から同方向に垂下する一対の垂下部と、を備えて構成されており、前記天板部と前記天板対向部の少なくとも一部との間には間隙形成されるとともに、前記延出部の内壁面と前記垂下部の外側面とが圧接する状態で、前記本体が前記蓋体に嵌合しており、一対の前記突出部は、一対の前記垂下部の内壁面から各々突出するものであるとともに、双方が対面するように突出していることにより解決される。
【0007】
上記構成によれば、足場板が有する一対の突出部と、足場板ホルダーが有する一対の係止突出部とを係止することができる。
当該構成により、足場板を足場板ホルダーの壁部が囲むようにして保持する従来の構成と比して、足場板ホルダーに対する足場板のズレを効果的に抑制することができ、よって、作業員の足場を安定させることができる。
また、上記構成によれば、本体が蓋体に嵌まり込むため、組付けが容易となる。
また、天板部と、天板対向部の少なくとも一部と、の間に間隙が形成されているため、上下方向の撓みに対して強度が向上する。
更に、延出部の内壁面と垂下部の外側面とが圧接する構成であるため、当該部分を固定すると(締結部材による締結や溶接等)、簡易に本体と蓋体とを固定することができ、足場板の製造が容易となる。
また、一対の突出部は、一対の垂下部の内壁面から各々突出しているため、垂下部の内壁面間の距離よりも突出部間の距離の方が小さくなる。
よって、製作誤差により、一対の突出部間の距離が、一対の係止突出部間の距離よりも若干大きくなったとしても、突出部間の距離は、一対の垂下部の内壁面間の距離よりも小さくなっているため、突出部が存在しない場合と比較して、足場板のガタつき代は小さくなる。
【0009】
また、具体的には、前記本体及び前記蓋体は、長尺状の部材であり、前記天板対向部は、前記天板部と所定の間隙をもって対面する矩形状の底部と、該底部の長手方向に延びる相対向する辺から、前記延出部と平行に起立する一対の側部と、一対の該側部の上端辺から前記底部と離隔する方向に向かって前記底部と平行に延びる縁部と、を有して構成され、前記垂下部は、前記縁部の長手方向の辺のうち、前記底部と離隔する側の辺から前記延出部と平行に垂下しており、前記垂下部と、前記縁部と、前記側部とで形成される空間である係止空間が一対形成されるものであり、一対の前記係止空間に一対の前記係止突出部が挿入されて係止されていると好ましい。
上記構成によれば、足場板ホルダーの係止突出部を係止空間に格納しながら、この係止空間内にて、係止突出部を突出部に係止することができる。
このため、この係止空間が、足場板ホルダーに足場板を覆設する際のガイドとなり、足場板の設置が容易となる。
また、当該係止空間内に突出部が突出する構成となるため、案内された係止突出部が自動的に突出部により係止されることとなる。よって、突出部に係止突出部が簡易かつ確実に係止される。
以上のように、当該構成によれば、足場板の設置が簡易となる。
なお、「係止突出部を突出部に係止」とは、係止突出部が突出部に当接(圧接を含む)している状態や、突出部と何等かの構成(例えば、側部)とで係止突出部を挟持している状態等を広く含むものとする。
つまり、突出部の存在により、係止突出部の移動(ガタつき)が阻止される構成、換言すれば、突出部の存在により、係止空間における係止突出部の位置が決められる構成であれば全て含まれるものとする。
【0010】
また、更に、好ましくは、前記延出部と前記垂下部とは、リベットにより固定されるものであり、前記突出部は、前記リベットの脚部であるとよい。
このように構成されていると、リベットにて本体と蓋体とを締結することができるとともに、締結に使用したリベットの脚部を突出部として利用して、係止突出部を係止することができる。
よって、足場板の製造コストを低減することができる。
なお、リベットは、所謂、ブラインドリベットが使用されていると、簡易に当該構成を実現することができる。
また、リベットは、簡易に取り替えることができるため、リベット劣化に伴うメンテナンスを簡易に行うことができる。
【0011】
更に、前記足場板ホルダーは、前記梁枠体を基準として前記建物側に偏って前記梁枠体に固定されていると好ましい。
上記構成によれば、足場板ホルダーが梁枠体を基準として建物側に偏って梁枠体に固定されており、逆に、梁枠体は建物から離間することになるため、梁枠体に柱が同一鉛直平面上に取り付けられている場合に、柱が建物から離間することになる。このため、柱及び梁枠体が建物への作業を阻害することを回避することができる。
【0012】
また、前記足場板の上面には、滑り止め孔が形成されており、前記足場板の上面において、前記滑り止め孔の縁は、その周囲よりも上方に盛り上がるように形成されていると好ましい。
上記構成によれば、滑り止め孔の縁が上方に盛り上がるように形成されていることで、
足場板上に乗る作業者の足が掛かるため、足場板上での足の踏ん張りがきくこととなり作業性を高めることができる。
【0013】
更には、前記梁枠体と前記足場板との間に、弾性を有する紐が掛けられていると好ましい。
上記構成によれば、弾性を有する紐が掛けられていることにより、梁枠体と足場板との間でズレが生じることを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、足場板の足場板ホルダーに対するズレを抑制することができ、建物への作業の効率性を高めることができる。また、突出部が係止突出部に接触しやすくなり、簡易かつ確実に足場板を足場板ホルダーへと係止することができる。
また、リベットを締結具として使用することにより、締結後に突出した脚部を突出部として利用することができる。
よって、特別な構成を用いることなく、突出部を形成することができるため、足場板の作成コストを低減することができるとともに、作成が容易となる。
更に、リベットは、取り替えが容易であるため、劣化した際には簡易に取り替えることができ、よって、メンテナンス性もまた向上する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る仮設足場について、
図1〜
図8を参照しながら説明する。
図1(a)は本発明の一実施形態に係る梁枠体を示す平面図、
図1(b)は梁枠体の側面図、
図2は梁枠体の一部を構成する端部梁枠の側面図、
図3は梁枠体を構成する中央梁枠と端部梁枠との連結状態を示し、足場板を載せる状態を示す斜視説明図、
図4(a)は足場板の分解図、
図4(b)は組立状態縦断面図、
図5は端部梁枠を示す斜視図、
図6は
図5のA−A線断面図、
図7は足場板のサイズ構成を示す説明図、
図8は足場板ホルダーと足場板との間にゴム紐を架け渡した状態を示す斜視図である。
【0017】
<仮設足場の全体構成について>
まず、本実施形態に係る仮設足場1の全体構成について説明する。
本実施形態に係る仮設足場1は、隣接構造物との距離が例えば30〜50cm程度しかないような狭小地に、隣接構造物と接近して建築される建物において、建築作業やメンテナンス作業を室外側から行うときに用いられる狭小地用の仮設足場1である。
本実施形態の仮設足場1は、
図1(b)に示す一対の支柱2と、一対の支柱2に両端が連結される梁枠体3と、梁枠体3上に固定される
図3に示す足場板6と、を備えている。
支柱2は、
図1(b)に示すように、鋼製の丸パイプ状体からなり、作業対象の建物と隣接構造物との隙間の地面の2カ所に固定される。支柱2には、梁枠体3の端部に形成された係止片45が係止される略筒状の係止ホルダー21が、支柱2の長さ方向に所定間隔を置いて複数設けられている。
係止ホルダー21は、支柱2の水平方向の断面の周に沿って、90°ずつずらして4つずつ設けられており、支柱2のほぼ同じ高さに、相互に垂直になるように、4つの梁枠体3を連結可能に構成されている。
【0018】
本実施形態では、梁枠体3は、長さ方向に3つに分割されており、一対の端部梁枠4と、一対の端部梁枠4に挟まれる中央梁枠5と、を備えている。
端部梁枠4は、
図2に示すように、端部梁枠体41を主要構成要素としている。
端部梁枠体41は、鋼製の丸パイプ状の上梁材42と、上梁材42の下方で上梁材42に平行に延びる鋼製の丸パイプ状の下梁材43と、上梁材42と下梁材43とを架橋して連結する架橋部材44とが、溶接により一体に形成されてなる。
上梁材42及び下梁材43の長手方向の一端には、端部梁枠4を中央梁枠5に連結するための板体46が一体に溶接固定されている。板体46は、上梁材42及び下梁材43に対して垂直な略矩形の板体である。板体46には、矩形の4つの頂点よりも中央よりの4か所に、不図示のボルト孔が穿孔されている。この不図示のボルト孔に挿入されたボルト46aとナット46bにより、後述する板体56(中央梁枠5を構成している)に固定される。
上梁材42の他端には、端部梁枠4を支柱2に連結するための係止片45が、上梁材42に一体に設けられている。係止片45は、端部が下方を向いており、係止片45の端部側を支柱2の係止ホルダー21に挿入することにより、係止片45を係止ホルダー21に係止する。
【0019】
上梁材42の上部であって、係止片45の近傍の位置、係止片45よりも長手方向中央寄りの位置と、板体46よりも長手方向中央寄りの位置の3カ所には、
図2に示すように、足場板6を固定するための足場板ホルダー36が溶接により固定されている。
【0020】
特に、足場板ホルダー36は、
図5及び
図6に示すように、水平面上における上梁材42の連続する方向に対して直交する方向の一方に偏って上梁材42に固定されている。足場板ホルダー36が、このように固定されているのは、梁枠体3及び梁枠体3の延長上にある支柱2を、施工対象である建物から離して作業空間を確保することにより、作業性を高めるためである。
【0021】
<足場板ホルダーの構成>
足場板ホルダー36は、
図5に示すように、コの字状部材36cと、支持板部36dと、により構成されている。
このコの字状部材36cは、矩形平板の平板部36aと、この平板部36aの両端を屈曲して係止した一対の壁部36bと、を有して構成されている。
そして、支持板部36dは、略矩形平板であり、コの字状部材36cを構成する平板部36aと一対の壁部36bとに囲まれた領域に溶接固定される。
一対の壁部36bは、本発明に係る一対の「係止突出部」に相当し、平板部36aから立設されている。換言すると、壁部36bは、下方から足場板6が載置される上方にかけて起立するように形成されている。
足場板ホルダー36は、足場板6が載せられる支持板部36dの上面が水平となるように、上梁材42に溶接されている。
【0022】
中央梁枠5は、
図3に示すように、中央梁枠体51を主要構成要素としている。
中央梁枠体51は、鋼製の丸パイプ状の上梁材52と、上梁材52の下方で上梁材52に平行に延びる鋼製の丸パイプ状の下梁材53と、上梁材52と下梁材53とを架橋して連結する架橋部材54とが、溶接により一体に形成されてなる。
上梁材52及び下梁材53の長手方向の両端には、中央梁枠5を端部梁枠4に連結するための板体56が一体に溶接固定されている。板体56は、上梁材52及び下梁材53に対して垂直な略矩形の板体である。板体56は、板体46と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0023】
上梁材52の上部であって、板体56よりも長手方向中央寄りの位置の3カ所には、
図3に示すように、足場板6を固定するための足場板ホルダー36が溶接により固定されている。
足場板ホルダー36は、上梁材52の連続する方向に垂直な向きに溶接されており、足場板6が載せられる支持板部36dの上面が水平となるように、上梁材52に溶接されている。
梁枠体3は、中央梁枠5の両端に一対の端部梁枠4が固定されることにより構成される。中央梁枠5と一対の端部梁枠4との間の固定は、板体46と板体56とが、ボルト46aとナット46bにより締結されることで行われる。
【0024】
<足場板の詳細な構成について>
次いで、本実施形態の主要構成である足場板6の構成について詳細に説明する。
本実施形態の足場板6は、長手方向の長さが、端部梁枠4及び中央梁枠5の長手方向の長さに近い長さに設定される長尺状の部材であり、端部梁枠4及び中央梁枠5それぞれの上方に一つずつ設置されている。
本実施形態に係る足場板6は、
図4に示すように、本体61と、開放側を下方に向けた断面コの字状に形成されて、本体61を覆う蓋体62と、を有して構成されている。
後述するが、これら本体61と蓋体62とは、リベットR1により一体化され、略矩形筒状の足場板6が形成される。このように筒状とし、本体61と蓋体62との間を中空とすることにより、軽量化を図ることができる。
【0025】
<足場板を構成する本体について>
本実施形態に係る本体61は、アルミニウム等の板材をプレス加工等により屈曲させて形成した長尺状の部材であり、長板状の底部61aと、底部61aの幅方向両端から上方に延在する一対の側部61bと、一対の側部61bの上端から幅方向外側に張り出す一対の縁部61cと、一対の縁部61cの幅方向端部から下方へと垂下する垂下部61dと、から構成されている。
本実施形態においては、垂下部61dは、側部61bと略平行となるように垂下している。
また、側部61b、垂下部61d、縁部61cとで囲まれた空間を、以下「ホルダー係止空間K1」と記す。本実施形態においては、当該ホルダー係止空間は、2個形成されている。
なお、底部61a、一対の側部61b、一対の縁部61cを併せた構成が、特許請求の範囲の「天板対向部」に相当する。
【0026】
また、垂下部61dの下方端部側には、本体側リベット貫通孔R2が形成されている。
本実施形態においては、本体側リベット貫通孔R2は、垂下部61dに3個形成されている。より詳細には、本体側リベット貫通孔R2は、垂下部61dの長手方向両端部付近、及び長手方向中央部に各々形成されている。
この本体側リベット貫通孔R2の形成位置や個数は、梁枠体3に取付けられる複数の足場板ホルダー36の位置に対応するように決定される。
つまり、隣接する本体側リベット貫通孔R2,R2間の距離は、隣接する足場板ホルダー36,36間の距離とほぼ同じとなるように構成される。
換言すれば、足場板6は、本体側リベット貫通孔R2の位置において、足場板ホルダー36に固定されることとなる。
なお、蓋体側リベット貫通孔R3の形成個数や形成位置等は、本実施形態に係る構成に限定されることはなく、足場板6のサイズや材質等の状況に応じて適宜設計変更することができるものである。
【0027】
底部61aは、足場板ホルダー36を構成する支持板部36dの上面に載せられる部位であり、幅方向において、足場板ホルダー36の一対の壁部36b間の長さよりも僅かに短い長さで形成されている。詳しくは、底部61aの幅方向長さは、壁部36b間(支持板部36d上端部が配設される位置における壁部36b間)に嵌まり込む程度の長さであれば好適である。
【0028】
また、ホルダー係止空間K1,K1には、足場板ホルダー36を構成する壁部36b,36bが挿入されて係止されることとなるが、この構成は後に詳述する。
このように、ホルダー係止空間K1,K1に壁部36b,36bが挿入されて係止されることで、足場板6が幅方向に移動することを制限することができる。
【0029】
<足場板を構成する蓋体について>
本実施形態に係る蓋体62は、アルミニウム等の板材をプレス加工等により屈曲させて形成した長尺状の部材であり、作業者の足場となる天板部62aと、天板部62aの幅方向両端から下方に延出する延出部62bと、から構成された縦断面略コ字形状の部材である。
この蓋体62の長手方向の長さは、本体61の長手方向の長さとほぼ同一となるように構成されている。
なお、本実施形態においては、延出部62b,62bは、天板部62aに対して略垂直に延出している。
また、延出部62bの下方端部側には、蓋体側リベット貫通孔R3が形成されている。
本実施形態においては、蓋体側リベット貫通孔R3は、延出部62bに3個形成されている。より詳細には、蓋体側リベット貫通孔R3は、延出部62bの長手方向両端部付近、及び長手方向中央部に各々形成されている。
【0030】
この蓋体側リベット貫通孔R3の形成位置や個数は、梁枠体3に取付けられる複数の足場板ホルダー36の位置に対応するように決定される。
つまり、隣接する蓋体側リベット貫通孔R3,R3間の距離は、隣接する足場板ホルダー36,36間の距離とほぼ同じとなるように構成される。
換言すれば、足場板6は、蓋体側リベット貫通孔R3の位置において、足場板ホルダー36に固定されることとなる。
なお、このように構成された蓋体側リベット貫通孔R3の位置は、本体61と蓋体62とを組合わせた際、本体側リベット貫通孔R2の位置と整合することとなり、両者により連通孔が形成される。つまり、足場板6は、この連通孔の位置において、足場板ホルダー36に係止されることとなる。
なお、本体側リベット貫通孔R2の形成個数や形成位置等は、本実施形態に係る構成に限定されることはなく、足場板6のサイズや材質等の状況に応じて適宜設計変更することができるものである。
【0031】
<本体と蓋体との組付けについて>
上記のように、蓋体62の長手方向の距離は、本体61の長手方向の距離とほぼ同一となるように構成されている。
まず、蓋体62を構成する天板部62aは、本体61を構成する底部61aに平行となるように、本体61の上方から覆設される。
そして、本体61は蓋体62に嵌合されるようサイズ構成されているため、垂下部61d,61dの外側面と延出部62b,62bの内側面が圧接した状態で、本体61が蓋体62に嵌まり込む。
このように本体61と蓋体62とが組合わされた状態においては、上記の通り、本体側リベット貫通孔R2と蓋体側リベット貫通孔R3とは、連通するように構成されている。
そして、この本体側リベット貫通孔R2と蓋体側リベット貫通孔R3との連通孔に、外側からリベットR1を挿入して締結することにより、蓋体62が本体61に固定される。
このようにして、本体61に蓋体62が取付けられて、足場板6が完成する。
本実施形態においては、リベットR1として、所謂ブラインドリベットが使用されている。
【0032】
このとき、垂下部61dの内側面において、本体側リベット貫通孔R2が配置されている部分には、リベット脚部R11が内側に向けて突出することとなる。
つまり、外側からブラインドリベットであるリベットR1を圧入すると、リベットフランジ部R12が延出部62b側に配置されるとともに、リベット脚部R11は本体側リベット貫通孔R2の内側部分に突出する。この状態で、マンドレルR13を引くと、リベット脚部R11は押しつぶされて、本体側リベット貫通孔R2の内側部分に突出した状態で、本体側リベット貫通孔R2に引っ掛る。このようにして、本体61と蓋体62とを固定するため、固定後においては、垂下部61dの内側面において、本体側リベット貫通孔R2が配置されている部分には、リベット脚部R11が内側に向けて突出している。
なお、リベットR1のリベット脚部R11のうち、垂下部61dの内側に突出している先端部分を、「リベット先端部R111」と記す。
また、リベット先端部R111(リベット脚部R11)が、特許請求の範囲の「突出部」に相当する。
このように、本実施形態においては、リベットR1により、本体61に蓋体62を固定することとした。このため、溶接にて両者を固定するよりも、作業が容易となるとともに、コストもまた低減することができる。
【0033】
<足場板ホルダーに対する足場板の取付けについて>
まず、
図7により、足場板6と、足場板ホルダー36と、の各サイズの関係性について説明する。
ホルダー係止空間K1において、リベット脚部R11の端部と側部61bとの距離t1は、壁部36bの厚さt2とほぼ同一若しくは僅かに大きくなるように構成されている。
また、ホルダー係止空間K1の高さt3は、壁部36bにおいて、支持板部36dよりも上方に突出している部分の高さt4よりも大きくなるように構成されている。
そして、リベット先端部R111,R111間の距離t5は、壁部36b,36b間の距離(外側面間の距離t6)と同程度若しくは僅かに小さくなるように構成されている。
【0034】
上記のようにサイズ形成された足場板6は、ホルダー係止空間K1,K1内に、壁部36b,36bの上端部を圧入することにより、足場板ホルダー36に取付けられる。
このとき、リベット先端部R111,R111間に壁部36b,36bが嵌まり込むこととなる。
換言すれば、リベット先端部R111,R111に、壁部36b,36bが圧接若しくは当接する。このように構成されているため、リベット先端部R111,R111により、足場板ホルダー36の壁部36b,36bが係止(位置決め)される。よって、足場板6のガタつきが有効に防止されることとなる。
つまり、一方のリベット先端部R111に係止されている一方の壁部36bは、リベット先端部R111の方向には、このリベット先端部R111が存在しているため動けない。また、反対方向に対しては、他方の壁部36bが他方のリベット先端部R111に係止されているため動けないか、動けたとしても、製造誤差範囲の僅かな距離である。
このように、足場板6は、足場板ホルダー36に対して動くことが規制され、よってガタつきの発生が効果的に抑制されることとなる。また、壁部36b,36bの上端側をホルダー係止空間K1,K1に挿入したときに、底部61aが支持板部36dの上端にて支持されるため、更に、足場板6の安定感が向上する。
【0035】
以上のように、本実施形態によれば、従来のようにホルダー係止空間K1に壁部36bを挿入するよりも、リベット脚部R11の端部であるリベット先端部R111で壁部36bを係止することができるため、足場板6は当該位置にて位置決めされる。このため、足場板6のガタつきが有効に抑制される。このため、足場板6上方で作業を行う作業者の作業効率が向上することとなる。
更に、リベットR1は、取り替えが容易であるため、劣化した場合には、簡易に取り替えることができメンテナンス性も良好である。
【0036】
なお、リベット先端部R111と側部61bとの間に、壁部36bが挟持されるようにサイズ構成されていてもよい。このように構成されていると、足場板6を更に強固に係止することができる。
また、逆に、側部61b、61bの外側面間の距離t7(底部61aの幅でもある)が、壁部36b,36bの内壁面間の距離t8よりも小さくなるように構成されていてもよい。
このように構成されていると、ホルダー係止空間K1の幅(つまり、垂下部61dの内壁面と側部61bとの間の距離)が大きくなるため、壁部36bに挿入されやすくなる。
通常作業員は、上方より、足場板ホルダー36に対して足場板6を覆設することとなる。よって、蓋体62により覆われた下方での係止作業は、視認し難いものとなる。
しかしながら、ホルダー係止空間K1の幅(つまり、垂下部61dの内壁面と側部61bとの間の距離)を大きくすれば、ホルダー係止空間K1への壁部36bの挿入が容易となり作業性が向上する。
このように構成されていても、壁部36b,36bは、リベット先端部R111,R111間に係止されているため、足場板6がガタつくことは有効に防止される。
【0037】
つまり、リベット先端部R111,R111の存在により、垂下部61d,61d間の距離(内壁間の距離)を小さくして壁部36bの移動(ガタつき)が阻止される構成、換言すれば、リベット先端部R111,R111の存在により、ホルダー係止空間K1における壁部36bの位置が決められる構成であれば、どのような構成でも採用することができるものである。
【0038】
<足場板の固定補強について>
足場板6と足場板ホルダー36との間のぐらつきを低減させる構成としては、
図8に示すように、ゴム紐71を用いるようにしてもよい。
具体的には、足場板6の長手方向端部近傍における幅方向両側の延出部62bに、一対の掛止孔62gが形成されている。この一対の掛止孔62gにS字フック57をかけ、下梁材43,53に跨るように取り付けられたゴム紐71の両端をS字フック57に取り付ける。ゴム紐71の長さを調節してゴム紐71に弾性力が生じる状態にすればよい。
このようにすれば、ゴム紐71の弾性力を、足場板6と下梁材43,53との間に常に生じさせるようにでき、両者間のぐらつきを低減させることができる。
【0039】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には各実施形態の特徴を組み合わせたもの、その等価物が含まれることは勿論である。
【0040】
なお、本実施形態では、
図1,
図3のように、仮設足場1に、梁枠体3及び足場板6を一組のみ設置した例を示したが、各支柱2の複数の係止ホルダー21に梁枠体3を係止することにより、複数組の梁枠体3及び足場板6を上下に設置してもよい。例えば、建物の異なる階層に対応する係止ホルダー21に梁枠体3をそれぞれ設置することにより、各階での作業を円滑に行うことができる。
【0041】
<改変例について>
次いで、
図9により、上記実施形態の改変例について説明する。
図9(a)は第一改変例に係る第二足場板106を示すものである。
この第二足場板106は、略矩形平板の第二天板部162aと、この第二天板部162aにおいて長手方向に延びる相対向する2辺から同方向に垂下する第二延出部162b,162bと、から構成された縦断面略コ字形状の長尺状部材である。
そして、第二延出部162bの内側面において、自由端辺(下端辺)付近には、内側に向けて突起部R211が突設されている。
この突起部R211の形状としては、長尺状の四角柱形状や長尺状のドーム形状(かまぼこ状)の突起物が長手方向全長に亘り突設されていてもよいし、長手方向に複数個並列するよう構成されていてもよい。
また、円筒形状、角柱形状、半球形状の突起部R211が少なくとも1個突設されるような構成であってもよい。
この第二足場板106は、向かい合うように配置される突起部R211,R211によって、足場板ホルダー36の壁部36b,36bを把持することにより、足場板ホルダー36に取付けられる。
なお、この突起部R211が、特許請求の範囲の「突出部」に相当する。
【0042】
図9(b)は、第二改変例に係る第三足場板206を示すものである。
この第三足場板206は、略矩形平板の第三天板部262aと、この第三天板部262aにおいて長手方向に延びる相対向する2辺から同方向に垂下する第三延出部262b,262bと、から構成された縦断面略コ字形状の長尺状部材である。
この第三足場板206は、足場板ホルダー36の壁部36b,36bの上端部に、第三天板部262aと第三延出部262b,262bとの内隅部分が載置されることにより、足場板ホルダー36に取付けられる。