特許第6647843号(P6647843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6647843カッティング装置におけるカッター刃受け機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647843
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】カッティング装置におけるカッター刃受け機構
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/20 20060101AFI20200203BHJP
   B26D 5/00 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   B26D7/20
   B26D5/00 F
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-235640(P2015-235640)
(22)【出願日】2015年12月2日
(65)【公開番号】特開2017-100247(P2017-100247A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087000
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】磯野 真滋
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 昌和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 広信
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 武
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−215878(JP,A)
【文献】 特開2015−030111(JP,A)
【文献】 実開平07−024600(JP,U)
【文献】 特表2002−531281(JP,A)
【文献】 実開平05−093800(JP,U)
【文献】 特開2015−044261(JP,A)
【文献】 特開2000−006085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/20
B26D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第1の方向に移動するメディアを、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動するカッティングヘッドに把持されたカッター刃によって、所定の形状にカッティングするカッティング機構を備えたカッティング装置におけるカッター刃受け機構において、
前記メディアが搬送されるプラテンの下方側において、移動する前記カッティングヘッドと対向する位置に、4つの側面が前記第2の方向に延長するように回転自在に配設された角柱形状のシャフト部材と、
前記シャフト部材を着脱自在に支持するとともに、前記シャフト部材の前記第2の方向に延長する前記4つの側面のそれぞれが前記プラテンの表面と面一となるように回転する回転手段と
を有し、
前記4つの側面の前記カッター刃と接触する可能性のある領域を含む領域に、前記カッター刃の受け構造が形成されており、
前記4つの側面のうちの第1の面に形成された前記カッター刃の受け構造は、塩化ビニル製のシートの表面をフッ素樹脂によりコーティングしたカッターパッドを貼り付けたものであり、
前記4つの側面のうちの第2の面に形成された前記カッター刃の受け構造は、溝を形成したものであり、
前記4つの側面のうちの第3の面に形成された前記カッター刃の受け構造は、溝の内部にブラシを植毛したものであり、
前記4つの側面のうちの第4の面に形成された前記カッター刃の受け構造は、溝の内部にフェルトを充填したものである
ことを特徴とするカッティング装置におけるカッター刃受け機構。
【請求項2】
少なくとも、第1の方向に移動するメディアを、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動するカッティングヘッドに把持されたカッター刃によって、所定の形状にカッティングするカッティング機構を備えたカッティング装置におけるカッター刃受け機構において、
前記メディアが搬送されるプラテンの下方側において、移動する前記カッティングヘッドと対向する位置に、4つの側面が前記第2の方向に延長するように回転自在に配置されている四角柱形状のシャフト部材と、
前記シャフト部材の一方の端面に形成された四角柱部であって、前記シャフト部材の中心軸と一致するように前記第2の方向に延長するとともに前記シャフト部材の前記4つの側面と平行な4つの側面を備え、かつ、端部が前記カッティング装置外部に突出した第1の四角柱部と、
前記シャフト部材の他方の端面に形成された四角柱部であって、前記シャフト部材の中心軸と一致するように前記第2の方向に延長するとともに前記シャフト部材の前記4つの側面と平行な4つの側面を備えた第2の四角柱部と、
前記第1の四角柱部の前記端部に形成された摘まみ部と、
前記第1の四角柱部と当接可能な当接部材と、
前記当接部材を前記第1の四角柱部へ向けて付勢して、前記当接部材を前記第1の四角柱部に当接させるバネと
を有し、
前記シャフト部材の前記4つの側面のそれぞれが前記プラテンの表面と面一となるように、前記プラテンの下方側において、前記第1の四角柱部と前記第2の四角柱部とを回転自在に支持することにより前記シャフト部材を回転自在に配置し、
前記シャフト部材の前記4つの側面の前記カッター刃と接触する可能性のある領域を含む領域に、前記カッター刃の受け構造が形成されており、
前記シャフト部材の前記4つの側面のうちの第1の面に形成された前記カッター刃の受け構造は、塩化ビニル製のシートの表面をフッ素樹脂によりコーティングしたカッターパッドを貼り付けたものであり、
前記シャフト部材の前記4つの側面のうちの第2の面に形成された前記カッター刃の受け構造は、溝を形成したものであり、
前記シャフト部材の前記4つの側面のうちの第3の面に形成された前記カッター刃の受け構造は、溝の内部にブラシを植毛したものであり、
前記シャフト部材の前記4つの側面のうちの第4の面に形成された前記カッター刃の受け構造は、溝の内部にフェルトを充填したものである
ことを特徴とするカッティング装置におけるカッター刃受け機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッティング装置におけるカッター刃受け機構に関し、さらに詳細には、所定の方向に搬送されるメディアを、所定の方向と直交する方向に移動するカッターによりカッティングするカッティング装置において、カッティングの際にメディアをハーフカットまたは貫通したカッター刃を受けるためのカッター刃受け機構に関する。
【0002】
なお、本明細書において「カッティング装置」とは、カッティング機能のみを備えたカッティング装置は勿論のこと、カッティング機能に加えて画像作成機能や各種の加工機能を備えたカッティング装置が含まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
従来より、例えば、特許文献1として提示する特開2015−44261号公報に開示されているようなカッティング装置が知られている。
【0004】
こうしたカッティング装置は、メディアをカッティングするカッティングヘッドを備えており、マイクロコンピューターに制御によって、メディアを所定の方向に搬送するとともに、所定の方向と直交する方向にカッティングヘッドを移動して、カッティングデータに基づいて、メディアを所定の図形、文字あるいは記号などの形状にカッティングする。
【0005】
ところで、こうしたカッティング装置においては、プラテン部分のカッティングヘッドと対向する領域に、例えば、塩化ビニル製のシートの表面をテフロン(登録商標)によりコーティングしたカッターパッドが貼り付けられる。
【0006】
これにより、メディアを貫通してしまったカッター刃によって、プラテン部分に傷が付かないように保護している。
【0007】
なお、こうしたカッターバッドは、両面テープなどの粘着材料によりプラテン部分の上記領域に接着されている。
【0008】
しかしながら、塩化ビニル製のシートによるカッターパッドが貼り付けられただけのカッティング装置では、塩化ビニル製のシートや記録紙などのメディアをカッティングすることは可能であるが、UVカット用カーフィルムなどのメディアはクッション性がないためカッティングすることができなかった。
【0009】
こうしたUVカット用カーフィルムがカッティング可能なカッティング装置では、プラテン部分のカッター刃が接触する可能性のある領域(つまり、カッター刃を受ける領域である。)などの形状を、UVカット用カーフィルムに適したカッティング方法に合わせて形成する必要があった。
【0010】
即ち、UVカット用カーフィルムのような特殊なメディアに対しては、プラテン部分に当該特殊なメディアのカッティング方法に適したカッター刃受けの構造を備えていなければならなかった。
【0011】
従って、UVカット用カーフィルムのような特殊なメディアを含む種々のメディアをカッティングする際には、種々のメディアのカッティングに適したカッター刃受け構造を備えたカッティング装置が必要となり、複数のカッティング装置を用意しなければならず、コスト高を招来してしまっていた。
【0012】
このため、カッティング装置において、メディアの種類に基づくカッティングに合わせてカッター刃受け構造を変更することができるカッター刃受け機構の提案が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2015−44261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、従来の技術の有する上記したような要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、メディアの種類に基づくカッティングに合わせてカッター刃受け構造を変更することができるカッター刃受け機構を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも、第1の方向に移動するメディアを、上記第1の方向と直交する第2の方向に移動するカッティングヘッドに把持されたカッター刃によって、所定の形状にカッティングするカッティング機構を備えたカッティング装置におけるカッター刃受け機構において、上記メディアが搬送されるプラテンにおいて、移動する上記カッティングヘッドと対向する位置に、回転自在に配設された角柱形状のシャフト部材と、上記シャフト部材の上記第2の方向に延長する各面を、上記プラテンの表面と面一となるように回転する回転手段とを有し、上記シャフト部材の上記第2の方向に延長する各面の、上記カッター刃と接触する可能性のある領域を含む領域に、上記カッター刃の受け構造が形成されるようにしたものである。
【0016】
また、本発明は、上記した発明において、上記シャフト部材は、上記回転手段に着脱自在に支持されるようにしたものである。
【0017】
また、本発明は、上記した発明において、上記シャフト部材の上記第2の方向に延長する1つの面に、上記カッター刃の受け構造として、塩化ビニル製のシートの表面をフッ素樹脂によりコーティングしたカッターパッドが貼り付けられるようにしたものである。
【0018】
また、本発明は、上記した発明において、上記シャフト部材の上記第2の方向に延長する1つの面に、上記カッター刃の受け構造として、溝が形成されるようにしたものである。
【0019】
また、本発明は、上記した発明において、上記シャフト部材の上記第2の方向に延長する1つの面に、上記カッター刃の受け構造として、内部にブラシが植毛された溝が形成されるようにしたものである。
【0020】
また、本発明は、上記した発明において、上記シャフト部材の上記第2の方向に延長する1つの面に、上記カッター刃の受け構造として、内部にフェルトが充填された溝が形成されるようにしたものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上説明したように構成されているので、メディアの種類に基づくカッティングに合わせてカッター刃受けの構造を変更することができるという優れた効果を奏するとともに、従来の技術によるカッティング装置と比較して、より多品種のメディアのカッティングに対応できるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明によるカッター刃受け機構を備えたカッティング装置の概略構成斜視説明図である。
図2図2は、図1に示すカッティング装置の要部たるベース部材のA矢視図である。
図3図3(a)(b)は、シャフト部材の概略構成斜視説明図である。
図4図4は、図3(a)のB−B線切断面の端面を表す説明図である。
図5図5は、シャフト部材の回転機構を示す説明図である。
図6図6(a)(b)(c)は、シャフト部材の回転機構の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるカッティング装置におけるカッター刃受け機構の実施の形態の一例を詳細に説明することとする。
【0024】
図1には、本発明によるカッター刃受け機構を備えたカッティング装置の概略構成斜視説明図が示されており、また、図2には、図1に示すカッティング装置の要部たるベース部材のA矢視図が示されている。
【0025】
この図1に示すカッティング装置10は、幅方向たる主走査方向において所定の長さを有するメディア22を、後述するベース部材12上に供給し、主走査方向と直交する方向たる副走査方向に搬送する。
【0026】
こうしたカッティング装置10は、主走査方向に延長して配設された固定系のベース部材12と、ベース部材12の左右両端でベース部材12に直交して配設された側方部材14L、14Rと、左右2つ側方部材14L、14Rを連結する中央壁(図示せず。)に主走査方向に延長して配設されたガイドレール16と、主走査方向に移動自在に配設された駆動ベルト(図示せず。)に固定的に配設されるとともに、ベース部材12上のメディア22と対向するようにしてガイドレール16に摺動自在に配設されたカッティングヘッド18とを有して構成されている。
【0027】
なお、カッティング装置10の全体の動作は、側方部材14R内に搭載されたマイクロコンピューター(図示せず。)によって制御されている。
【0028】
より詳細には、ベース部材12は、カッティングヘッド18と対向するように形成されたプラテン部20と、カッティング後に排出されたメディア22を誘導するメディアガイド部24とを有している。
【0029】
プラテン部20の左右両端部近傍には、駆動ロール26、28が設けられており、この駆動ロール26、28にはそれぞれ、従動ロール30、32が弾接しており、この駆動ロール26、28と従動ロール30、32とでメディア22を挟持した状態で、駆動ロール26、28が駆動することにより、メディア22を副走査方向で搬送する。
【0030】
また、プラテン部20には、駆動ロール26、28の間であり、かつ、上方側を移動するカッティングヘッド18と対向する位置に開口部20aが形成され、この開口部20a内において回転自在にシャフト部材34が配設されている。
【0031】
このシャフト部材34は、複数の種類のメディアを、異なるカッティング方法によりカッティングすることを可能にするカッター刃受けとして配設されている。
【0032】
即ち、シャフト部材34は、主走査方向に延長して四角柱形状に形成された角柱部34−1と、角柱部34−1と中心軸が一致するように主走査方向に延長して円柱形状に形成された円柱部34−2、34−3とにより構成されている(図3(a)(b)を参照する。)。
【0033】
角柱部34−1は、主走査方向において、カッティングヘッド18のカッターホルダー36に把持されたカッター刃38の主走査方向における移動範囲を超える長さL1を備え、また、副走査方向において、カッター刃38が移動する領域を含む所定の長さL2を備える。
【0034】
角柱部34−1の4つの面34−1a、34−1b、34−1c、34−1dにはそれぞれ、各種のメディア22のカッティングに適したカッター刃38の受け構造が形成されている。
【0035】
即ち、面34−1aは、塩化ビニル製のシートなどのメディア22を、カッティングする際に適したカッター刃38の受け構造とし、例えば、カッター刃38が接触する可能性のある領域を含む領域に、幅W1、深さd4の溝41が形成され、溝41内には塩化ビニル製のシートの表面に、例えば、テフロン(登録商標)などのフッ素樹脂によるコーティングがなされたカッターパッド40が貼り付けられる(図3(a)および図4を参照する。)。
【0036】
また、面34−1bは、ボール紙などのメディア22を、切り抜きするようにカッティングする際に適したカッター刃38の受け構造とし、例えば、カッター刃38が接触する可能性のある領域を含む領域に、幅W2、深さd1の溝42が形成される(図3(a)および図4を参照する。)。
【0037】
さらに、面34−1cは、ゴムなどのメディア22を、カッター刃38の受け構造における摩擦を少なくするようにカッティングする際に適したカッター刃38の受け構造とし、例えば、カッター刃38が接触する可能性のある領域を含む領域に、幅W3、深さd2の溝44が形成され、溝44内にはブラシ46が植毛されており、このブラシ46の長さは深さd2と一致する(図3(b)および図4を参照する。)。
【0038】
さらにまた、面34−1dは、UVカット用カーフィルムなどのメディア22を、ソフトに支えるようにカッティングする際に適したカッター刃38の受け構造とし、例えば、カッター刃38が接触する可能性のある領域を含む領域に、幅W4、深さd3の溝48が形成され、溝48内には、フェルト50が充填されている(図3(b)および図4を参照する。)。
【0039】
なお、カッターパッド40、溝42、44、48の主走査方向における長さは、カッター刃38の主走査方向における移動範囲と一致または当該移動範囲より長くなる。
【0040】
シャフト部材34は、プラテン部20内部において着脱可能に配設されている。
【0041】
即ち、シャフト部材34は、プラテン部20内部に設けられた軸受け52に円柱部34−2が貫入されるとともに、軸受け54に円柱部34−3が貫入されて回転自在に支持されている(図5を参照する。)。
【0042】
なお、このとき、開口部20aにおいて、シャフト部材34の面34−1a、34−1b、34−1c、34−1dはそれぞれ、シャフト部材34が回転することで、プラテン20の表面と同じ高さ位置となるように設計されている。
【0043】
また、円柱部34−3には、プーリー56が配設されており、このプーリー56と、駆動モーター58の回転軸58aに設けられたプーリー60とには、無端状にベルト62が張設されている。
【0044】
これにより、シャフト部材34は、駆動モーター58の駆動による回転軸58aの回転方向に基づいて回転することとなり、こうした駆動モーター58による回転軸58aの回転は、マイクロコンピューター(図示せず。)により制御される。
【0045】
以上の構成において、カッティング装置10により、メディア22をカッティングする場合には、ユーザーは、メディア22をセットしてメディア22へのカッティングを開始可能な状態とし、カッティングデータなどのカッティングに必要な各種の情報を入力するとともに、シャフト部材34におけるカッター刃受けとする面を指定する。
【0046】
すると、マイクロコンピューター(図示せず。)により、ユーザーにより指定されたカッター刃受けとする面が、プラテン部20の開口部20aにおいて、プラテン部20の表面と面一となるようにシャフト部材34が回転する。
【0047】
その後、ユーザーにより、カッティングの指示がなされると、カッティングデータに基づいてメディア22のカッティングがなされることとなる。
【0048】
以上において説明したように、本発明によるカッター刃受け機構を備えたカッティング装置10は、プラテン部20において、上方側を移動するカッティングヘッド18と対向する所定の領域内に、四角柱形状に形成された角柱部34−1を備えたシャフト部材34を回転自在に設けるようにした。
【0049】
このシャフト部材34における角柱部34−1の4つの面にはそれぞれ、異なるカッター刃38の受け構造を形成するようにした。
【0050】
そして、メディア22のカッティングの際に、ユーザーによりシャフト部材34におけるカッター刃受けとする面が指定されると、当該面として、角柱部34−1の4つの面の対応する面をプラテン部20の表面と面一となるようにシャフト部材34を回転するようにした。
【0051】
これにより、本発明によるカッター刃受け機構を備えたカッティング装置10においては、メディアの種類に基づくカッティングに合わせてカッター刃受け構造を変更することができるようになる。
【0052】
このため、本発明によるカッター刃受け機構を備えたカッティング装置10によれば、1種類のカッター刃受け構造しか備えていない従来の技術によるカッティング装置と比較して、より多品種のメディアをカッティングすることが可能となる。
【0053】
さらに、本発明によるカッター刃受け機構を備えたカッティング装置10によれば、多品種のメディアをカッティングすることができるため、カッター刃受け構造の異なるカッティング装置を複数用意する必要がなくなり、カッティングコストを抑制することができる。
【0054】
また、本発明によるカッター刃受け機構を備えたカッティング装置10は、シャフト部材34を着脱自在な構成とした。
【0055】
これにより、カッター刃38の受け構造に不具合が生じても、容易に交換が可能となる。
【0056】
さらに、カッター刃38の受け構造部分のみを取り外して不具合に対応することができ、作業スペースが小さくて済み、カッター刃38の受け構造の修復を行いやすくなる。
【0057】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(7)に示すように変形するようにしてもよい。
【0058】
(1)上記した実施の形態においては、ユーザーがシャフト部材34におけるカッター受けとする面を指定すると、マイクロコンピューター(図示せず。)により駆動モーター58の駆動が制御されて、当該面として、角柱部34−1の対応する面がプラテン部20の表面と面一となるようにシャフト部材34を回転するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、ユーザーが、手動によりシャフト部材34を回転するようにしてもよい。
【0059】
具体的には、この場合には、シャフト部材34は、角柱部34−1の副走査方向における端面に、角柱部34−1と中心軸が一致するように、主走査方向に延長して四角柱形状に形成された角柱部34−4、34−5が形成され、角柱部34−5の端部には摘まみ部64が形成される(図6(a)を参照する。)。
【0060】
このとき、角柱部34−4、34−5の主走査方向に延長した4つの面は、それぞれ、角柱部34−1の4つの面34−1a、34−1b、34−1c、34−1dと平行となっている。
【0061】
即ち、角柱部34−4の面34−4aは、角柱部34−1の面34−1aと平行であり、また、角柱部34−4の面34−4bは、角柱部34−1の面34−1bと平行であり、また、角柱部34−4の面34−4cは、角柱部34−1の面34−1cと平行であり、また、角柱部34−4の面34−4dは、角柱部34−1の面34−1dと平行であり、また、角柱部34−5の面34−5aは、角柱部34−1の面34−1aと平行であり、また、角柱部34−5の面34−5bは、角柱部34−1の面34−1bと平行であり、また、角柱部34−5の面34−5cは、角柱部34−1の面34−1cと平行であり、また、角柱部34−5の面34−5dは、角柱部34−1の面34−1dと平行となる。
【0062】
そして、シャフト部材34は、軸受け52に角柱部34−4が貫入されるとともに、軸受け54に角柱部34−5が貫入されて回転自在に支持される。
【0063】
さらに、角柱部34−5は端部が側方部材14Lから装置外部に突出しており、ユーザーは摘まみ部64を摘まむことができる(図6(b)を参照する。)。
【0064】
また、角柱部34−5には、バネ66により上方側に付勢された押上部材68が当接されている。
【0065】
ユーザーは、メディア22をセットしてメディア22へのカッティングを開始可能な状態とした後に、摘まみ部64を回転して、角柱部34−1における4つの面34−1a、34−1b、34−1c、34−1dのいずれか1つを、カッター刃受けとする面として、プラテン部20の表面と面一となるようにシャフト部材34を回転する。
【0066】
このとき、ユーザーが摘まみ部64を回転すると、角柱部34−5は、所定の面と押上部材68とが当接していた状態から、所定の面と当該所定の面と隣り合う面とにより形成された角部により押上部材68を押し下げ(図6(c)を参照する。)、一定量以上の回転がなされると、押上部材68の上方側への付勢力により、回転して当該所定の面と隣り合う面と当接した状態となる。
【0067】
これにより、ユーザーは摘まみ部64を回転する際の操作感を得ることができる。
【0068】
このようにして、カッター刃受けとする面をプラテン部20の表面と面一となるようにシャフト部材34を回転した後に、ユーザーによりカッティングの指示がなされると、カッティングデータに基づいてメディア22のカッティングがなされる。
【0069】
(2)上記した実施の形態においては、シャフト部材34の角柱部34−1を四角柱形状として、主走査方向に延長した4つの面34−1a、34−1b、34−1c、34−1dにそれぞれ異なるカッター刃38の受け構造を設けるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、角柱部34−1を三角柱形状あるいは五角柱形状以上の多角柱形状としてもよい。
【0070】
そして、この場合には、主走査方向に延長した面のそれぞれに異なるカッター刃38の受け構造を設けるようにする。
【0071】
(3)上記した実施の形態においては、特に記載しなかったが、シャフト部材34の角柱部34−1は、一本の棒状部材を加工して形成してもよいし、板金を加工して形成してもよい。
【0072】
(4)上記した実施の形態においては、シャフト部材34の角柱部34−1の面34−1aにカッターパッド40を貼り付け、面34−1bに溝42を形成し、面34−1cに内部にブラシ46を植毛した溝44を形成し、面34−1dに内部にフェルト50を充填した溝48を形成し、4つの面34−1a、34−1b、34−1c、34−1dのそれぞれに異なるカッター刃38の受け構造を形成するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0073】
即ち、カッター刃38の受け構造としては、上記した4種類に限定されるものではなく、従来より公知の技術による種々のカッター刃38の受け構造を用いるようにしてもよい。
【0074】
(5)上記した実施の形態においては、角柱部34−1の4つの面34−1a、34−1b、34−1c、34−1dのそれぞれに異なるカッター刃38の受け構造を形成するようにしていたが、これに限られるものではないことは勿論であり、例えば、特定のメディアのみをカッティングするためのカッティング装置などでは、4つの面34−1a、34−1b、34−1c、34−1d全てに同じカッター刃38の受け構造を形成するようにしてもよいし、2つあるいは3つの面に同じカッター刃38の受け構造を形成するようにしてもよい。
【0075】
(6)上記した実施の形態においては、シャフト部材34の円柱部34−3に設けられたプーリー56と、駆動モーター58の回転軸58に設けられたプーリー60とに無端状にベルトを張設し、駆動モーター58の駆動によりシャフト部材34を回転するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、シャフト部材34の回転機構としては、従来より公知の種々の回転機構を用いるようにしてもよい。
【0076】
(7)上記した実施の形態ならびに上記した(1)および(6)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、搬送されるメディアに対して所定のカッティングを施すカッティング装置に用いて好適である。
【符号の説明】
【0078】
10 カッティング装置、12 ベース部材、18 カッティングヘッド、20 プラテン部、22 メディア、34 シャフト部材、34−1、34−4、34−5 角柱部、34−2、34−3 円柱部、38 カッター刃、40 カッターパッド、42、44、48 溝、46 ブラシ、50 フェルト、52、54 軸受け、56、60 プーリー、58 駆動モーター、62 ベルト、64 摘まみ部、66 バネ、68 押上部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6